人気ブログランキング | 話題のタグを見る

米流時評

beiryu2.exblog.jp ブログトップ

テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出

テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_f0127501_128435.gif

    ||| テヘランは革命前夜か? |||

テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16465883.jpg
 グリーン革命とイランの未来『ニューズウィーク』ファリード・ザカリア時評
 革命は成功するのか? 米国はどう出るか? イラン危機はどう展開するのか? 


テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_13494652.jpg先週ウォール街では終値が9000ポイント以上を記録し、
昨年1月の平均株価にまで1年半ぶりで回復した。
週刊誌は ニューズウィークでも タイムでも、
「不況は終わった」とか「空前の中古住宅市場ブーム」とか、
ようやく朗報が聴かれつつある。(どちらも両誌のサイトコラムで)

 オバマ政権も、1月のスタートからすでに200日を過ぎ、
 脱兎のごとく駆け抜けてきた不況のトンネルを、
 ようやく脱出しつつあるようだ。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16473754.jpg
 現在、アメリカ国内の課題で最重要の案件は、
 クリントン政権時代から民主党の懸案だった、「国民健康保険」の立法である。
 
 しかし、議会の上下両院が夏休みに入る今週末までに法案が成立するのは、
 反対議員が半数を数える現在では、どう見ても無理だろう。

 そもそもは、トルーマン大統領時代からの悲願だったのだから、
 いかにオバマといえども、数ヶ月で成立することを期待するのは酷だ。
 
 これは長期戦で、長老が反対議員をひとりずつ説得し、
 賛成票を投じる側へ、根気よくひっくり返していくしかない。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16493940.jpg
 米国政府の目線を世界へ転じると、
 これまた呆れるほどの難題が山積している。
 
 北朝鮮の核開発・ミサイルの脅威と、半島問題、
 ウイグル、チベットに対する中国の弾圧と虐殺、
 ミャンマー軍事独裁政権の、スーチー女史解放、
 アフガンとパキスタンの、対タリバン戦線強化、
 イラクからの国際軍撤退、ロシアとの核軍縮案、
 イスラエル・パレスチナの中東恒久平和の課題、
 そして一向に止めないイランの核兵器開発問題。

 どの問題もおろそかにできない、危機的要素をはらんでいる。
 あれだけ騒がれたソマリアの海賊問題も かすむほどだ。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_17371822.jpg
 選挙の年を迎えた中東の場合、
 レバノンまでは、見事に民主化作戦が功を奏したようだが
 イランで、とんでもなくつまづいた。
 
 米国もロシアもイスラエルも、いや、アラブ諸国でさえ、
 アフマディネジャドの大統領再選を予期して
 外交姿勢を整えていたのが、見事な大番狂わせである。

 イランの民衆が、欧米諸国に「真の民主主義」の姿を
 身を挺して教えたような、逆風の革命である。
 (私はムサビ改革派を100%支持するので、あえてそう評価したい)
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16512366.jpg
 6月12日の投票日から、実に45日も経ったというのに、
 事態は落ち着くどころか、逆に(幸いなことに)
 現政権のアフマディ=ハメネイ体制に、不利に展開してきている。

 まるでオセロゲームのように、宗教界の高僧や有力政治家がひとりずつ、
 ムサビ元首相の率いる改革派へ、支持を表明してきていているという
 イランの新しい風向きを知らせるニュースが、連日続いている。
 いや、むしろその風速は、ますます増しているようだ。

 日が経つにつれて「革命の実現」という希望が、
 ありえなかった奇跡から、明日の可能性へと、
 もう少しで手の届くところまで、神の思し召しのように降臨してきた。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_18364366.jpg
 抗議のデモは禁じられており、
 武装警察やバシジに捕まれば、投獄され拷問される。
 (ニューズウィークの現地イラン人記者も逮捕されたまま)
 さらに、下手をすれば虐殺される。
 (すでに逮捕者3人の獄中死を確認)

 しかしそれでもなお、グリーン革命の戦士たちは
 果敢にも、連日テヘランの通りへと繰り出して、
 政府の不正と暴虐に、抗議する声を挙げるのを止めない。

 今週木曜には、テヘランで
 反対運動のために「政府に殺された」犠牲者の、追悼式があるという。
 多分、先月18日以来の、大規模なデモになるだろう。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16525099.jpg
 イランの革命運動に関しての、日本の記事があまりにも少ないので、
 このシリーズは、しばらく本腰を入れて連載します。

 ディジタルな媒体を通してであっても
 歴史を変えるであろう 実際の革命を目撃するという、
 稀なチャンスに恵まれた者として。
  
 【米国時間 2009年7月26日『米流時評』ysbee 】

テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_1539544.jpg
   JULY 26, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年7月26日号
 テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_f0127501_2052197.gif
「グリーン革命とイランの未来」ファリード・ザカリア中東時評
 By ファリード・ザカリア | ニューズウィーク・2009年8月3日号 | 訳『米流時評』ysbee

テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16534765.jpg
On Iran, Do Nothing. Yet.
What is happening in Iran, and what should the U.S. do for now?
AUGUST 3, 2009 issue | By Fareed Zakaria — NEWSWEEK | Translation by ysbee
1. Underneath the surface of Tehran

NEWSWEEK / GLOBAL ANALYSIS — What is happening in Iran? On the surface, the country has returned to normalcy. Demonstrations have become infrequent, and have been quickly dispersed. But underneath the calm, there is intense activity and the beginnings of a political opposition.
テヘランの皮相の下にあるもの
ニューズウィーク・グローバルアナリシス | 今イランで何が起きているのか?
表面上は、この国は以前のような正常を取り戻したかのように見える。政府に抗議するデモは違法として禁止されたため、その数はめっきり減り、たまに起こったとしても、すぐさま武装警察に追い散らされる。
しかし、そういった一見平穏が戻ったかに見えるイラン社会の表向きの顔の一枚下には、極めて根強い抗議行動への決意と、反体制の改革の開幕が看てとれる。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16544792.jpg
現体制閣僚:左から原子力相、ひとりおいて、アフマディネジャド大統領、右端がイラン最高位のハメネイ師

2. Reformists claims 'Iranian crisis'

In the past week, Mir Hossein Mousavi, the candidate has announced his intention to create a "large-scale social movement" to oppose the government and press for a more open political system. Mohammad Khatami, the reformist former president, has called for a referendum on the government.
改革派の警告「イランの危機」
先週(7月第3週)、アフマディネジャドに対抗する候補者、ミール・ホセイン・ムサビ元首相は、現行政府の弾圧体制に反対し、外部へより開かれた政治体制を求めるために「大規模な社会改革運動」を組織すると宣言した。
また同じ改革派候補で宗教界の高僧でもある、モハンマド・ハタミ師も、先週イランの議会に対して、アフマディネジャド政権を承認するか否かの、国会での決議投票を実施するよう呼びかけた。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16552517.jpg
先週日曜19日のテヘランデモ 機動隊の撃ち込む催涙弾を避け避難する改革派デモ隊

3. Iran's kingmaker: Rafanjani

Another powerful former president, Ali Akbar Hashemi Rafsanjani, has criticized the regime's handling election and post-election "crisis." All three have demanded the release of politicians and journalists imprisoned over the past month and held without charges.
イランのキングメーカー、ラスファンジャニ
もうひとりのイラン政界への影響力の強大な人物は、元大統領を2期務めたアリ・アクバル・ハシェミ・ラスファンジャニ師である。彼は現行政府の選挙の処遇と、それに続く「ポスト選挙危機」を、アフマディネジャドディ政権の責任であると、厳しく追及している。
ムサビ、ハタミ、ラスファンジャニの3人とも、選挙後のここひと月余りの間に確固とした嫌疑もなしに当局に逮捕された、反対派の政治家やジャーナリストの解放を要求している。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_165636100.jpg
宗教から軍事へと支配体制の比重を変えたハメネイ師に対抗して、改革派を支持するラスファンジャニ元大統領

4. Demand on release of detainees

Those prisoners include Maziar Bahari, NEWSWEEK's Tehran correspondent, a Canadian citizen, and an internationally recognized documentary filmmaker. These are not dissidents in the wilderness. Between them, the three men have been at the pinnacle of power for most of the Islamic Republic's existence.
改革派逮捕者の釈放を要求
こうした摘発による逮捕者の中には、ニューズウィークのテヘラン特約記者であるマジャール・バハリ氏も含まれている。彼はイラン人の血統だがカナダ国籍で、ドキュメンタリー映像作家としても国際的によく知られている。彼らは決して、取締当局が言うような無法な暴徒などではもちろんない。
しかし、改革派支持者として抗議運動に参加し逮捕された者たちにとっては、上述の3人は、軍事独裁国家に陥った現体制を改革して、本来のイスラム共和国としてのイランの存続を託せる、イランの3巨頭である。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16555729.jpg
左:デモ隊参加者に殴る蹴るの暴行を働くバシジ軍団/右:先月のデモ圧殺現場で取材中に逮捕されたバハリ記者

5. Only few Ayatollahs support Ahmadinejad

More striking has been the revolt of the clerics. Iran has only a score or so grand ayatollahs, the highest rank in the Shiite clerical order. Few have publicly supported President Mahmoud Ahmadinejad.
宗教界指導者の大半が改革派支持
ごく最近の状況で驚くのは、宗教界の高僧たちが現政権に反旗をひるがえしたことである。イランはシーア派を国教とするが、国内にはそのシーア派僧侶の最高位である「グランドアヤトラ」の階位を戴く高僧は、数えるほどしかいない。さらには、その中で現行大統領のマフムード・アフマディネジャドを支持すると公表した者は、ほとんどいないのが事実である。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16571096.jpg
 反対派のヒーロー、ムサビ候補(イラク・イラン戦争時の元首相)アフマディネジャドとハメネイの独裁体制に喝!

6. Fatwa against presidential inauguration

At the same time, according to the indispensable Tehran Bureau Web site, six grand ayatollahs have publicly criticized the regime. Last week one of them issued a fatwa (a religious ruling) declaring that it was appropriate to boycott Ahmadinejad's inauguration as president.
大統領就任式に対するファトワ
それどころか、イラン情報に欠かせないTehran Bureauのサイト記事によると、その中の6名のグランドアヤトラが、現体制を公然と批判しているという。先週この3人のうちのひとりハタミ氏がイスラム教独自の戒則「Fatwa/ファトワ」を宣言した。その対象はアフマディネジャドで、彼が大統領に就任する際に無効となるよう、合法的なボイコットを実施するというものである。
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_2158588.jpg
イスラム革命で民主化したはずの共和国イランを、アラブ世界の君主制と同じ軍事独裁国家におとしめたアフマディ

7. Criticizing Supreme Leader

He also directly criticized the country's Supreme Leader, Ayatollah Ali Khamenei. The clerics' actions highlight a shift in power in Iran away from the religious establishment and toward the military.
最高指導者ハメネイ師も批判対象に
ハタミ氏はまた、イランの国家的最高指導者であるアヤトラ・アリ・ハメネイ師に対しても、直接的に批判を下している。こうした一連の高僧による抗議行動は、アフマディネジャド=ハメネイ体制下のイランにおける実権が、イスラム共和国としての本来の宗教界から軍部へとパワーシフトした経緯に対して、イスラム教の権威者が以前から不満を抱いていた事実を物語る現象である。
>次号へ続く

【 米国時間 2009年7月26日 『米流時評』ysbee訳 】
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_2201542.jpg
絶対的最終決定権を持つ最高指導者ハメネイ師の忠実な僕臣(しもべ)アフマディ その親衛隊的軍隊ロイヤルガード

テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_13494652.jpg◀ 次号「さらば独裁!イラン第二革命に沈黙するオバマ外交」
8. アフマディの軍事的ポジション/9. 宗教統制から軍事独裁への傾斜 /10. アフマディ対 ハメネイ覇権の相克 /11. 亡国の独裁者による核兵器開発 /12. イスラム革命国家から中東型独裁国家へ/13. 絶望的な核計画廃絶交渉 /14. 米国最善の戦略は無為無策 /15. 対スターリン・毛沢東の戦略 /16. イスラエルと距離をおくオバマ政権 /17. イランの未来はグリーン?


▶ 前号「バカンス特急脱線!アドリア海リゾート列車事故で死傷者61名」

テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_1023580.jpg
テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_16472783.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/10042724
TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/10042724

テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_1539544.jpg
  いつもご愛読いただきまして大変ありがとうございます。ワンクリックがブログのエネルギーになります!
 テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_12465883.gif


ブログランキングでは、あともう少しでベスト10にカムバック!
  ブログランキング・にほんブログ村へ ブログ村の国際政治部門でも トップまであと数票。応援をよろしく!





テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_14585794.jpg
||| 米流時評 ||| 最近の記事リスト   b e i r y u * c u r r e n t
Good News, Bad News, Everything in Between
7/30 イランの恐るべき真実・7千万人の巨大な牢獄国家イラン
7/29 イランの恐るべき真実・獄死者数百名、カリザク牢獄の虐殺指令
7/28 イランの新世紀革命で甦る米国独立宣言のスピリット
7/27 さらば独裁!イラン第二革命に沈黙するオバマ外交
7/26 テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出
7/25 バカンス特急脱線!アドリア海リゾート列車事故で死傷者61名
7/24 また墜ちた!イラン今月2度目の旅客機事故で17名死亡
7/23 プーケットの舌戦・クリントン VS 北朝鮮 ASEANの対決(翻訳中)
7/22 黄昏のラプター F22廃止・軍産複合体に半世紀目の楔
7/21 オバマの軍縮・軍産複合体の解体へ大いなる第一歩
7/19 過激派テロのターゲットは欧米資本と外国人ツーリスト
7/18 真相究明・ラグジュアリーホテルに宿泊していた連続爆破テロ犯人
7/17 ジャカルタのJWマリオットとリッツカールトン ホテル連続爆破テロ
7/13 中国西域マイノリティリポート[8] 民族殲滅・新彊ジェノサイドに アルカイダが復讐宣言
7/08 中国西域マイノリティリポート[3] 武装警察・ついに始まった恐怖の人間狩り
7/07 中国西域マイノリティリポート[2] 民族自決・少数民族ウイグル人決死の抵抗
7/06 中国西域マイノリティリポート[1] 新彊弾圧・ウルムチの大虐殺で死者156名
7/05 明日の風に訊け イラン状況急旋回/レミニッセンス第4章(次号)
7/04 テヘランジャーナル 変革のクロニクル/レミニッセンス第3章(予告)
7/03 U2も支援するグリーン革命の自由の闘士/レミニッセンス第2章
7/02 テヘラン・自由への行進/革命のレミニッセンス第1章
7/01 イラン 革命のレミニッセンス 序章・前編
6/29 すべてはCIAの陰謀?イラン政府の真っ赤な大嘘『蜂起』6.29(未掲載)
6/28 潮目となるか?テヘラン決死の5千人デモ『イラン蜂起』6.28
6/26 BEAT IT ! 打倒イスラム狂信派 ニコのブログ『イラン蜂起』6.26テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出_d0123476_17124236.gif
6/25 マイケル・ジャクソン急逝!享年50才 R.I.P.
6/23 革命の殉教者ネダ バシジに射殺されたイラン女性の身元解明(未)
6/22 テヘラン大学の虐殺 イランの殺戮親衛隊バシジ
6/20 6.20 テヘラン血の土曜日 イランの命運を決した日
6/19 6.19 ハメネイの宣告 抗議運動には死を覚悟せよ(未)
6/18 6.18 テヘラン大行進 君は再び革命の川をわたる(未)
6/17 革命と弾圧の最後通牒 イラン・アルティメイタム(未)
6/16 ついに犠牲者7名!テヘランの市民蜂起と血の弾圧(未)
6/15 「グリーン革命の怒れる若者たち」タイム記者現地レポート-2
6/14 「略奪されたイランの大統領選」タイム記者現地レポート-1
6/13 6.13 テヘランの天安門事件 イランの流した血と汗と涙
6/12 イランのグリーン革命 「緑の津波」で空前の投票率
6/10 中東に民主化革命の波 レバノンとイランの民主化選挙


by ysbee-2 | 2009-07-26 18:00 | イランのグリーン革命
line

世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


by ysbee-2
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31