米流時評

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どうなる?ポスト・シラク 親米派サルコジの百日改革

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        ||| サルコジ新体制の光と影 |||
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どうなるポストシラクのフランス 親米派の体制改革は成功する?
米国知性派の代表クリストファー・ディッキーが論じる、サルコジの「罪と罰」


昨年の私のブログ『楽園通信』で紹介して以来、クリストファー・ディッキー氏の国際時事評論は、2007年の当ブログ『米流時評』でも、事ある毎に翻訳し紹介してきました。彼は詩人を父に持つ生え抜きの文学者ですが、特有の鋭い洞察力と広汎な歴史の知識、そして各国語を自由に操る才と西欧・中東のトップクラスと対等に会話できる知性を持つ、アメリカには珍しい繊細な感性を備えたオールラウンドな知識人です。

d0123476_13522766.jpg現在はパリを本拠地に、特に最近紛争の多い中近東の各国に直接取材の足を延ばす、典型的「現場指向」のジャーナリストでもあります。英語の達者な方は、米国版Newsweek誌の『Shadowland』という時事コラムで、毎週彼の秀逸な評論を読むことが出来ますし、Newsweekのポッドキャストでも、一朝ことあるごとに音声で彼のオピニオンを聞くことも可能です。

しかし通常はビジネスのスケジュールに追われ、とてもそこまでフォローできない日本の忙しい方々のために、これだけは読んでおいて欲しいという私自身の勝手なオファーとして、いつも彼の記事の「独断的代読」を行っています。昨年末のサダム・フセインの処刑。絶望的なイラク戦争の行方。イランとの外交と核問題。そして3月末に起きた英兵捕虜事件。今年に入ってからだけでも毎月毎週不穏な問題が発生するたびに、当ブログでも彼の論評の鋭い分析に与ってきました。
【右の写真はシラク大統領が引退後の住まいとして購入したパリ7区のアパルトマン(1・2階のアネックス部分)】

今回は、昨日結果の出たフランスの次期大統領ニコラ・サルコジ氏の手腕と政策について。ひいてはフランス国内、フランスとアメリカ、フランスとヨーロッパ、フランスと世界が、彼の体制改革によって、今後どのように影響を受けるのかを、具体的な過去の方針や政策を元に分析してくれます。知る人ぞ知るアメリカの隠れた鬼才、クリストファー・ディッキー氏のサルコジ評『France Is Back』を2部に分けておとどけします。   【2007年5月7日 米流時評 ysbee記】

d0123476_18552829.gif昨年の『楽園通信』から今年の『米流時評』へと移動しても変りなく意見を交換し応援してくださるありがたいブログ友の皆さま、いつもありがとうございます。今回のサルコジ当選の話題でも、 読書評論のVIVAさんが開票予測政治評論のKazuさんが開票結果をそれぞれ記事にされたので、偶然にも私の記事と併せて結果的に『サルコジの昨日・今日・明日』的な三部作になりました。おふたりともそれぞれのフィールドで気骨ある評論を毎日欠かさず展開し、ファンも多くブログ界でもトップを行く方々です。いつも中味の濃いブログなので、ぜひご訪問をおすすめします。


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MAY 7, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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N E W S W E E K | Web Exclusive
親米派サルコジの百日改革
米国知性派クリストファー・ディッキーが論評するサルコジの功罪
米国時間 2007年5月7日 | ニューズウィーク サイト独占掲載 | 訳:『米流時評』ysbee
'France is Back'
A Modern Lafayette? The election of conservative Nicolas Sarkozy as president of France likely means stronger ties with the United States.
By Christopher Dickey | NEWSWEEK — Web Exclusive | Translation by ysbee

d0123476_14272834.jpg1. A 'very American' president-elect
MAY 6, 2007 — France's new president speak American? Sure looks that way. Conservative Nicolas Sarkozy has defeated his Socialist Party rival, Ségolène Royal, by a margin of 53 percent to 47 percent. Royal, the first woman ever to come this close to the French presidency, conceded within minutes. So now the man set to govern the oldest (and arguably the most temperamental) ally of the United States for the next five years is someone whose message will be easy to translate: lower taxes, harder work for more money, greater consumption as the key to more employment and ever tougher measures against criminals and terrorists.
アメリカびいきの次期大統領
フランスの新しい大統領は「米語」を話すのでは? そう言われれば、たしかにそんなふうにも見える。保守党のニコラ・サルコジ候補は、53%:47%という得票率で社会党候補のセゴレーヌ・ロワイヤル女史を引き離し、大統領選に勝った。ロワイヤル女史はフランスでは女性として初めて大統領選の最終選にまで勝ち残った候補ではあったが、開票結果が発表されてわずか数分後には、もう敗北声明を出した。
かくして今やこれから先の5年間、アメリカのもっとも古い友軍であったフランスを統治する座に着くのはこの人物であるが、彼の公約は(アメリカ流に)誠に判りやすいものであった。いわく、減税/労働時間延長で収入増/雇用促進の鍵となる消費拡大/犯罪常習者とテロリストに極刑。

2. Opponents: 'New poodle for Bush'
Braving derision by political rivals branding him the new “poodle” of President George W. Bush, who has long been as unpopular in France as he is these days in the United States, Sarkozy made a high-profile visit to Washington last September. Just weeks ago, the French candidate published an American edition of his campaign manifesto, “Testimony: France in the Twenty-First Century” (Pantheon), with a new introduction that makes him sound like the best friend the Yanks have had in Paris since the Marquis de Lafayette.
反対派「ブッシュの新しい愛玩犬」d0123476_15231100.jpg
政敵によって彼に新しく付けられたブランドは、ジョージ・W・ブッシュ大統領の「新しいプードル」。ブッシュは、最近のアメリカ国内でと同様、フランスでは長いこと不人気であったが、サルコジ氏は昨年の9月にワシントンを表敬訪問し、ブッシュに会見している。さらに投票日のちょうど数週間前には、このフランスの候補者は自らのキャンペーン・マニフェストを、Pantheon 出版から米国版で出版してもいる。『Testimony: France in the Twenty-First Century/証言:21世紀のフランス』という本で、この新刊を読む限りでは「ヤンキーにはマルキ・ド・ラファイエット以来の親友がパリにいる」と思えるような人物として自己紹介しているようだ。

米国版のニコラ・サルコジ著『Testimony: France in the Twenty-First Century/証言:21世紀のフランス』Pantheon出版より刊行

3. In charge of public order
How Sarkozy’s ideas will play with the notoriously protest-prone population he now has to lead is an open question. Testifying to the confrontational mood he brings to the office, police contingents were reinforced today in the same outer-city ghettos that erupted with inchoate, incendiary anger in 2005, while Sarkozy was in charge of public order as the minister of interior. Large contingents of cops were also on hand in Place de la Concorde, the heart of central Paris, in case victory celebrations by the right wing degenerated into outright confrontation between Sarkozy’s supporters and those who hate and fear the man—or just want to use the occasion to raise hell.
手慣れた騒擾鎮圧体制
今やサルコジ氏自身が統率して行かねばならない、悪名高い抗議集団であるフランス都市部の若年層に対して、氏の理論がどのような効果を現すか、というのが誰でもまず第一に頭に浮かべる疑問である。これまでに彼が行政機関や取締当局の特例条項に導入した「対立抗争を煽るような行政感覚」への反撥を証言するかのように、すでに今日また不穏な騒動が勢力を盛り返して再現された。その発端は、サルコジ氏がまだシラク内閣の内相職にあり、群衆鎮圧の采配をふるっていた2005年に、フランス主要都市周辺部のゲットー/貧民地区で起った、一触即発状態の民衆のやり場のない鬱憤が爆発した一連の騒擾事件である。
今夕パリのど真ん中にあるコンコルド広場では、機動隊が一団となって待機している。保守党の勝利を祝う人出が、サルコジ氏支持派と彼を憎み怖れる反対派との間の衝突に発展するのを警戒して。さもなければ、ただ単に騒ぎを起こしたいと思っている危険な連中を取り締まるために。
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サルコジ勝利が決定した日曜夜、パリ他主要都市で勃発した投石・火炎ビンなどの騒擾事件で反対派が機動隊と衝突

4. The last debate‘s warning
“The choice of Nicolas Sarkozy is a dangerous choice,” Royal said as campaigning drew to an end on Friday, claiming she had to “sound the alarm” about “the violence and brutality that will be spawned in the country. Everyone knows it, but no one says it. It is a kind of taboo.” Sarkozy responded with undisguised contempt: “Ah, well, she wasn’t in a good mood this morning. It must be the polls.”
選挙戦最終日の警告
「ニコラス・サルコジ氏を選ぶのは危険な選択です」先週金曜の選挙戦の最終日、両陣営のキャンペーンが最期の幕を下ろそうとしているときにロワイヤル女史はこう断言した。「(彼が支配すれば)この国に繁殖するだろう暴力と虐待について警報を発しなければならない。誰もが判っているけれど、誰もそれにふれようとはしない。このことは一種のタブーになってます」と民衆に訴えかけた。この真っ向からの非難に対して、サルコジ氏はどうしようもないという反応を隠そうともせず、こう反論した。「やれやれ、彼女は今朝は上機嫌ではないようですね。きっと予想集計の数字のせいでしょう」(当日の得票予想のアンケート集計ではサルコジ氏が6%リード)
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サルコジ氏の対抗馬でフランス初の女性の大統領選最終候補となったが敗れた社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル女史

5. Clear, concise conciliation with U.S.
While Sarkozy’s ability to ram through major changes in the way France and the French do business looms as the imponderable and possibly ominous theme of the weeks to come—he has vowed to push his programs into law in 100 days—his pitch to Americans is clear, concise and conciliatory. Sarkozy writes in the preface to the U.S. edition of “Testimony,” “I have no intention of apologizing for feeling an affinity with the greatest democracy in the world.” Opting more for Bushism than Gaullism, Sarkozy extols the transatlantic alliance with the United States “that enabled France and Western Europe to preserve their freedom.”
米に対する和解の申し入れ
フランスが、さらに下ればフランス国民がものごとに対処する (do business) 上で関わってくる諸問題に対して、大幅な改革を強行しようとするサルコジ氏の手腕に頼れば、抑えのきかないそして多分(雇用問題・移民問題・ゲットー整備・騒動鎮圧などの)陰鬱なテーマと、これから先の数週間は否が応でも対面しなければならないことを覚悟しなければならないだろう。実際、彼はその大断行の法制化を100日以内にやってみせると公約したのだから。またアメリカに対する彼の意見も「明白で簡潔な和解の申し入れ」であった。
サルコジ氏は、自著『Testimony』の米国版のまえがきにこう記している。「世界で最も偉大な民主主義に対して好感を持つことに対して、弁明する気持ちはさらさらない。」
またドゴール主義/Gaullismよりもブッシュ主義/Bushismを重視して、米国の大西洋をはさんだ連合国体制に賞賛を惜しまず、サルコジ氏はこう書いている。「アメリカのおかげでフランスと西欧は自由を堅持することができた。」
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5日土曜フランス全土で行われた次期大統領選は、国民の関心の高さを物語る投票率84%という驚異的数字を挙げた

6. Verbose Chirac, straight-shooter Sarkozy
While he tends to wriggle around the question of French opposition to the war in Iraq, hinting he would eschew the kind of “verbosity” shown by outgoing President Jacques Chirac when Sarkozy was serving in his cabinet, the former interior minister is unquestionably a hard-liner in the wider fight against terrorists. “Now at the start of the 21st century, the United States and France again stand together in the same camp against a serious threat to global freedom.” Every time “terrorism strikes,” he says, “it is freedom that is the target. Facing such a threat, free countries have no choice but to pool their forces and work together.”.
饒舌のシラク、不言実行のサルコジ
サルコジ氏がまだシラク政権の閣僚だった時代には、物怖じしないジャック・シラク大統領がよく口にした一種の「饒舌」を唾棄するかのように、フランスがイラク戦争に反対したことについての質問をぬらりくらりとかわすきらいがあったとはいうものの、この前内相はテロリスト相手の広汎な戦争については、疑いもなく強硬派である。対テロ戦争に関して、彼はこう断言する。
「21世紀初めの今日、グローバルな自由を脅かす深刻な脅威に対抗するために、米国とフランスは再び同じ陣営に立つ。彼らテロリストのターゲットは、我々の「自由」そのものだ。そのような脅威に立ち向かうには、自由主義国家はその力(軍隊)を集結し共に闘う以外選択の余地はない。」
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社会党候補のロワイヤル女史を破って次期フランス大統領の座が決定し、支持者の祝福を受けるニコラ・サルコジ氏

【米国時間 2007年5月7日 訳:米流時評 ysbee】

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by ysbee-2 | 2007-05-07 12:36 | サルコジのフランス
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