米流時評

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サルコジのアメリカンドリーム 親米派の百日フランス革命

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      ||| サルコジのアメリカンドリーム |||
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親米派サルコジの百日革命・後編 「知られざるサルコジ」
米国知性派の時事評論家クリストファー・ディッキーのサルコジ論


知る人ぞ知るアメリカの隠れた文才、時事評論家クリストファー・ディッキー氏のユニークなサルコジ評『France Is Back』の後編『A Modern Lafayette?』です。前編では対抗馬ロワイヤル女史との政治的主張・手腕の違いを分析してみせましたが、後編ではその解剖論のメスをさらに深く掘り下げて、サルコジの強さとなっている「American Optimism/アメリカ流の楽観主義」と「Judo in the global capitalism/グローバル経済の懐柔策」を実例を挙げて実証してみせます。

オプティミズムはアメリカ人一般の性向を表現する際にもっとも多用される形容ですが、政治論における「Judo/柔道」とはなんぞや?と疑問に思う方がずいぶんいらっしゃると思います。これは米国の現政権の得意技、特にブッシュの側近カール・ローブが得意とする政治の舞台での寝技で、「Jujutsu of Karl Rove」と言えば、彼一流の土壇場での逆転戦術。つまり政敵の攻撃してくるパワーを逆手に利用する受け身の必殺技。相手の突いてくるポイントを逆にブッシュ陣営からの攻撃ポイントに置き換えて、最後のワンラウンドでずっでんどうと相手を投げて勝負を決める、という意味で使われます。

これは2004年の大統領選の選挙運動の最後にも、ブッシュに対抗するジョン・ケリー候補が1日だけちらっと「Quail hunting/うずら狩り」に出かけたことがありました。このことをブッシュ陣営では大々的に攻撃材料として取り上げ、数日後にあったハロウィーンでは、カール・ローブ、カレン・ヒューズ以下がハンターの仮装をしてケリーの行動を揶揄するなど、実に低レベルでの攻撃を展開しました。しかしアメリカの一般大衆もそのレベルだったのか、それ以前はケリー圧勝と出ていた開票予測が突然落ち込み、1週間後の投票結果では、みなさんもご存知のようにミリ単位(?)の僅少差でブッシュが当選してしまった、といういきさつがありました。これが典型的な「ローブの柔術」です。
蛇足が冒頭にきてしまいました。それではディッキー氏のサルコジ評論「France is Back」の後編「A Modern Laffayette?」をどうぞ。       【2007年5月8日 米流時評 ysbee記】


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MAY 8, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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N E W S W E E K | Web Exclusive
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A Modern Lafayette?  |Christopher Dickey
米国知性派のクリストファー・ディッキー時事評論「知られざるサルコジ」
By クリストファー・ディッキー | 2007年5月6日 NEWSWEEK サイト独占掲載 | 訳:ysbee

6. Cooperation in counterterrorism

Indeed, quiet but effective cooperation between Paris and Washington in counterterrorism reached new heights during Sarkozy’s two terms as interior minister, and that’s not the least of the reasons he has been received so warmly in the past by U.S. officials, including Bush. “I have always done all I can—even when our two countries disagreed, as we did over the Iraq war, for example—to ensure that our security services cooperated on a daily basis, in full transparency.” (Transparent to each other, that is. Only rarely did the extent leak into the public sphere.)

テロ対策での両国の協力体制
実際、サルコジが内相を2期務めた期間に、カウンターテロリズム(テロ対策)において米仏両国政府の間で進展した、人知れずしかし実効性のある協力体制は、新たな高水準へと達していた。しかし過去において彼がブッシュも含めた米国首脳部に暖かく迎え入れられたのは、それだけが理由ではない。
「例を挙げるとイラク戦争の時がそうでしたが、我々両国の意見が不一致を見た時でさえも、お互いの公安機関が毎日隠し立てのない協力体制にあるよう確かめるというように、私はいつもできる限りのことをしてきました。」(お互いに隠し立てなく……まさしく。その協力体制が一般社会に漏れたことが滅多になかったことだけは確かだ。)
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7. Faith in the American dream
What may be most appealing and accessible about this son of a Hungarian refugee (albeit an aristocratic one) who has worked in politics since he was a teenager to become president of France is his faith in the American dream. “In the United States there are all sorts of opportunities for those who know how to seize them. Americans don’t ask about the diplomas or social origins of someone who comes up with a new idea; they just ask whether the idea is good or not. Past failures [and here we should say Sarkozy himself had quite a few] if they’re honorable ones, should be seen as an opportunity to learn, and not as a stain on one’s reputation.”

アメリカンドリームの信奉者
ティーンエージャーの頃からフランスの大統領になることが、彼にとってのアメリカンドリームの実現だったから、政治畑に就職した男。何がこのハンガリーの亡命者(ただし貴族階級)の息子を最も惹きつけ、憧れさせるのか。
「米国では、どうやってチャンスを生かすか知っている者にとっては、ありとあらゆる種類の機会が待っている。アメリカ人は、新しいアイディアを考えついた人物に向かってその学歴や氏育ちを訊ねたりはしない。そのアイディアの是非を問うだけだ。(ここからがサルコジ自身少なからず経験者であると強調しておくべきだが)過去の失敗は、もしそれが自信をもってやった結果ならば、その経験から世知を学んだ良いチャンスとして考えられるべきであって、その人物の経歴の汚点として受けとられるべきではない。」
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8. French gloire almost as 'Gaullism'
But, manifestos and rhetoric aside, just how "American" is Sarkozy, really? During his tenure the French passion for gloire and the sometimes eccentric attachment to “exceptionalism” may not change on some key issues. “Certain aspects of American society would never suit France,” he writes. “I am proud, for example, that France devotes a large part of its resources to provide a social safety net for those who have the least. I believe that possession of handguns is too dangerous not to be strictly regulated. I admire the way the French people are interested in global affairs."

ドゴール主義に近いフランスへの誇り
しかし、こういった主義主張や理屈は抜きにして、サルコジ氏は果たしていったいどれだけ「アメリカン」だと言えるだろう?彼の内相時代には、(ドゴール流に)フランスの栄光を追求する情熱あふれる政策や、時には米国式の「特例措置法案」に奇妙なつぎはぎをした法案などを施行したが、そんな小手先の政策だけではとても、いくつかの今後の鍵となる問題の流れを変えることはできなかった。「アメリカ社会での法則はフランスには当てはまらない」と彼は書いている。「フランスの場合は、持たざる者に対して社会的安全ネットを提供する財源の大部分に国家が貢献しているのが良い例で、私はこの政策に誇りに思っている。」(アメリカの場合は貧者救済には民間の慈善事業がかなりの部分を占める)

9. 'Remain what is unique to France'
d0123476_12261763.jpg"Finally, I like the way that France seeks to give its immigrants a new identity within the Republic, rather than continue to define them according to their ethnic origins. These are not minor differences. They will remain part of what is unique to France.” (Some American political candidates might consider whether there’s something to learn here …)

フランス式の寛容な移民政策
「最後に、私は共和国内の移民に対して新しいアイデンティティを与えるためには、アメリカ流に彼らの民族性の違いに従って区分し続ける方策よりも、フランスが模索している方法の方を好ましいと思う。この差は決して小さなものではない。この寛容な移民政策が、フランスをフランスたらしめている部分だ。」
(アメリカの選挙候補者は、この彼の指摘から何がしか学ぶことの有無を検討すべきである。)

10. The darker side of Sarkozy
But the darker side of Sarkozy—the darker “American” side, if you will—is reminiscent of those Republican candidates in the United States in the 1970s and '80s who set out to capture the unsavory votes of erstwhile bigots like Alabama Gov. George Wallace while distancing themselves from the tainted man himself. In France, the equivalent figure is perennial ultra-right candidate Jean-Marie Le Pen, who stunned the nation by making it into the runoff in the 2002 presidential elections.
Sarkozy, playing to working-class French voters who feel overwhelmed by foreign immigrants, even adapted a loaded phrase from the troubled America of the 1960s to attract Le Pen’s voters today: “France, love it or leave it.”


知られざる側面「暗いアメリカン」
しかし、サルコジ氏には知られざる側面がある。あえて言うならば「暗いアメリカン」な部分である。この陰の部分は、ちょうど往年のアラバマ州知事ジョージ・ウォーレスが黒人差別問題の張本人であることを棚に上げて大統領候補として名乗りを挙げたように、時代に逆行する腹黒い連中の腐敗票をかき集めようとした70〜80年代米国の共和党候補者たちを彷彿とさせる。今回のフランス大統領選では、2002年の大統領選で最終候補に残って世間を驚かせた保守系極右候補ジャンマリー・ルペン氏が、まさにその最たる人物であった。
それにひきかえサルコジ氏は、異邦人の移民の急増に嫌気がさしている有権者層であるフランスの労働者階級に、巧くとりいったように見える。その戦術として、「今日の旧体制派」であるルペン氏の支持者票にも食い込むために、60年代にアメリカが抱えていた社会問題に対してよく使われた脅し文句を応用して、こう訴えかけている。「フランスを愛せよ、さもなくば離れよ」
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12. Grand plans for revitalizing France
Will Sarkozy’s grand plans for revitalizing France bring the kind of progress he promises, or massive unrest, or, perhaps both?
He’s not the first French leader to promise a revamp of the country’s economic machinery. Twelve years ago President Chirac tried to push through similar measures, only to back down in the face of nationwide strikes and protests that shut down the country for weeks.


壮大なフランス活性化計画のゆくえ
サルコジ氏が提案する壮大なフランス活性化計画は、彼が約束した通りのある種の進歩をもたらすだろうか? それとも社会全体を不穏な状況に陥れるだろうか? 多分その両者が出現する?
この国の経済の歯車を一新すると公約したフランスの指導者は、なにも彼が初めてではない。12年前にはほかでもないシラク大統領が、同様の経済政策を強行しようとした。その結果は、何週間にもわたって国全体が麻痺するほどの全国規模のストライキや抗議集会に出会い、すごすごと引き下がるほかなかったという過去がある。
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13. Political runner against the clock
Sarkozy, the self-styled man of action, loves to run against the clock. For months a digital counter on his Web site has been ticking off the days, hours and seconds until the results of the election contest would be made public at 8 p.m. Sunday night in Paris. He’s given himself 100 days after the election to get the legislation he needs, even though elections for the national assembly won’t be held until the middle of next month (campaigns for those seats are just beginning).
France may not be able to keep up with him, in fact, and the French, put to the test, may not want to. But if at first Sarkozy doesn’t succeed, he will doubtlessly pick up another maxim from American culture, “try, try again.”


時間にチャレンジして走る政治家
サルコジ氏は、自己流の「行動する男」として知られるが、時計の針にチャレンジして走るのが好きなようでもある。彼のウェブサイト上にあるディジタルカウンターは、選挙結果が公表になるパリ時間で日曜の夜8時をゴールに、もう何カ月も分秒を刻み続けてきた。そして当選の暁には100日間で自分の必要とする行政体制をつくってみせると豪語する。しかも国会議員の選出さえ来月半ばまで待たねばならない状況にもかかわらず、である。(選挙運動はやっと始まったばかりだ)
フランスはとても彼のペースには着いて行けないかも知れない。実際、フランス人に試させてみれば、そんなペースで走るのはごめんだと思うにちがいない。しかし、万一スタート時点でサルコジ氏が成功しなかったとしても、彼はアメリカンカルチャーのもうひとつの金句を拾って走り続けるだろう。「何事にもトライ!だめならもう一度トライ!」
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                          【米国時間 2007年5月8日 訳:米流時評 ysbee】

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by ysbee-2 | 2007-05-08 08:25 | EUとNATO近況
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