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「大草原の小さな家」で触れるアメリカ

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   |||「大草原の小さな家」で触れるアメリカ |||
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ローラ・インガルス・ワイルダーが書き綴った西部開拓時代のアメリカ

『大草原の小さな家』………このタイトルを聞いただけでテーマ音楽がよみがえり、懐かしさがこみ上げてくる日本人は少なくないと思います。私もそのひとり。みなさんの中にも毎週日曜の夕方一家そろってNHKにチャンネルを合わせ、食卓を囲んだ思い出があるのでは?
日本ではTVのシリーズが先に公開され、70年代のマイホーム主義の家庭に根強い人気を博しました。一方本国のアメリカでは、元々ローラ・インガルス・ワイルダーという作者が、自分が実際に過ごしてきた西部開拓時代のフロンティア精神に満ちた子供時代を、生き生きとした筆致で綴った回顧録風の小説を75年前に出版し、それが一世を風靡したのがそもそもの始まりです。

彼女の育った時代は、19世紀から20世紀へとアメリカ自体がまさに世界の中で成熟して行った時代と重なります。開拓時代のワイルドウェストから、洗練された文化と興隆する経済に支えられたモダン・アメリカへと変遷して行く様子は、ローラの小説の中でもその手触りが感じられ、アメリカの堅実な家庭が営々と培ってきた、たくましい真のアメリカンスピリットが脈打っています。

「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_d0123476_12214686.jpg「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_d0123476_1222780.jpg「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_d0123476_12222535.jpg「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_d0123476_12224358.jpg「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_d0123476_12225982.jpg
初版から75周年を迎えた今年、インガルスの『大草原の家』シリーズの発行元であるハーパー・コリンズ社では、長らく愛されてきたイラストの表紙をこの機に時代感覚に合わせたヴィジュアルなイメージ写真に差し替え、新しいシリーズにして発売しました。70年代のテレビドラマで主役の三姉妹を演じた子役たちも今はみな熟年俳優ですが、新しく起用したイメージキャラクターは今の子にも親しみやすい少女の写真で、本の表紙はもちろんサイトでも活用し、「ローラ・インガルス」シリーズのトータルなイメージ作りに一役買っています。

上の一連の写真は代々の系譜の少女のイメージですが、左からローラの曾祖母にあたるマーサ・タッカー(1782ー1862)、祖母のシャーロット・クィナー(1809ー1884)、母親のキャロライン・インガルス(1839ー1924)、作者のローラ・インガルス・ワイルダー(1867-1957)、そしてローラの娘のローズ・ワイルダー(1886ー1968)です。こうして見ると、ローラが思いを馳せて書き綴った開拓時代のアメリカの少女の物語は、そのまま彼女の家系5代にわたって綿々と語り継がれてきた、膨大な「米国女性のクロニクル」であることがわかります。
いつの時代も母親が娘に与える本として、米国児童文学のトップにランクされ愛読されてきたことも無理なく頷ける、堅実なアメリカンスピリットに満ちた内容です。大人の読者ならば、時とともに紡がれてきた「少女の目から見た米国の生活史」として読んでみても面白いでしょう。

「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_d0123476_12244264.jpg「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_d0123476_1225314.jpg「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_d0123476_12252337.jpg
アメリカでは親子代々4・5世代にわたって読み継がれ、学校でも副読書として常にトップリストに挙げられるインガルス本。もちろんそのしっかりした文章、卓越した状況説明や人物の性格描写など、子供向けの文学としての高い評価は言う間でもありません。しかし作者自身の体験をベースにした自伝に近い内容が生き生きと描かれ、遠い昔にアメリカ人の先祖が遭遇した、開拓地での冒険や怖れや四季のうつろいや、そして何よりも家族の絆がしっかりと書き留められているところが、万人の思いを惹きつける心の故郷のような役割を果たしているからこそ、児童文学の古典としての地位を築いたのではないでしょうか。

75周年のニュースと一緒に『大草原の小さな家』のファンの方のために、ハーパーコリンズ社の「Little House Books」のサイトもこの下にご紹介しておきます。TVドラマについてのサイトは日本のファンの方もブログなどで随分アップされてるようですが、この機会に原文で作者のハートに触れてみたいとお思いの方は、原作のサイトへもぜひ訪れてみてください。何冊もシリーズになっているので、お子さんと一緒に英語の本にトライするには最適かと思います。きっと読むだけで、古き良きアメリカの心の故郷に戻れるでしょう。

【米国時間 2007年5月27日 米流時評 ysbee書】
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MAY 27, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_f0127501_6213945.jpg
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【 B r i e f B i o g r a p h y o f L a u r a I n g a l l s W i l d e r 】
Laura Ingalls Wilder was born in 1867 in the log cabin described in Little House in the Big Woods. She and her family traveled by covered wagon across the Midwest. Later, Laura and her husband, Almanzo Wilder, made their own covered-wagon trip with their daughter, Rose, to Mansfield, Missouri. There, believing in the importance of knowing where you began in order to appreciate how far you've come, Laura wrote about her childhood growing up on the American frontier. For millions of readers Laura lives on forever as the little pioneer girl in the beloved Little House books.

左はローラの家族が西進しフロンティアとして住んだカンザス州インディペンデンス、プレーリーのキャビン
右はそれ以前にローラが育ったサウスダコタ州ペピン、ビッグウッズのキャビン どちらも地元有志によって復元された

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【 ローラ・インガルス・ワイルダー抄伝 】
ローラ・インガルス・ワイルダーは1867年に、彼女の処女作「Little House in the Big Woods」に描かれたサウスダコタ州ペピンにある文字通り大平原の、小さなログキャビン(丸太小屋)で生まれました。彼女の家族インガルス家は、その後幌馬車で中西部を横断し西へと向かい、カンザス州のプレイリーに新しいキャビンを建て落ち着きます。そのビッグウッズで少女時代を過ごした後、ローラ・インガルスはアルマンゾ・ワイルダーと結婚し、ふたりの間に生まれた一人娘ローズを連れて、幌馬車で南へ下りミズーリ州のマンスフィールドへ落ち着きます。

ローラはその地で初めてそれまでの長い旅路を振り返り、無事に家族そろって暮らせることに感謝すると同時に、そこへたどり着くまでの遥かな出発点を振り返る重要性を再認識します。彼女はそのロッキーリッジの農場で、アメリカの西部開拓時代にフロンティアの一員として育った自分の少女時代について、60才を過ぎてから初めて回顧録を書き始めます。

70年代にはこの物語がテレビドラマシリーズにもなり、世界中に数千万人のファンが生まれました。彼女の著した「大草原の小さな家」シリーズは、現在までにローラだけでなく、その祖先の少女時代にまで遡った何十冊もの本が発行されています。そのどれもが母から娘へと受け継がれ読み継がれる、アメリカの児童書の古典として愛され続けています。(左下の写真は晩年のローラ)

「大草原の小さな家」で触れるアメリカ_d0123476_1226120.jpg『大草原の小さな家』Little House Booksのサイト:
http://www.littlehousebooks.com/

インガルス家の年表とアメリカの歴史が一望できるビジュアル・クロニクル:
http://www.littlehousebooks.com/girls/timeline.cfm

ハーパーコリンズ出版社の子供向けの本のサイト:
http://www.harpercollinschildrens.com/harperchildrens/

▶次号『大草原の小さな家』刊行75周年・ローラの実在の家訪問レポート へ続く

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by ysbee-2 | 2007-05-27 17:17 | ニュースで一服
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