人気ブログランキング | 話題のタグを見る

米流時評

beiryu2.exblog.jp ブログトップ

中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆

中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_f0127501_128435.gif
||| 中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆 |||
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_6304469.jpg
ハマス反米・反イスラエル戦線のガザ制圧が示す中東の混沌と不気味な行く末
イスラム軍団の台頭:イラクのマフディ、レバノンのヘズボラ、ガザのハマス


By マイケル・ハーシュ | ニューズウィーク米国版 6月25日号掲載 | 翻訳:ysbee
台頭する中東のイスラム軍団
米国政府がかつて拡大民主主義国家と呼んだ国々(あえてこの地域で言えばイランやシリア)の市民は、現在では彼らの母国周辺で、民主主義の息吹すら感じられない3つの事例に遭遇している。
レバノンでは、イランが後ろ盾となるヘズボラ(ヒズブラ)が人口の大部を占めるイスラム系民衆の圧倒的支持を受け、勢力的にはレバノン政府の上に君臨している。

イラクでは、イスラム教の「スンニ対シーア」の対立宗派を基盤とする政党が、2005年の総選挙でシーア派主流のバランスの悪い連立政権を樹立して以来、血なまぐさい悪夢のような惨劇を繰り返している。この国では、真に国民の合意を築こうとする試みはすべて徒労に終わった。

また地中海側のパレスチナの領地ガザ地区では、アッバースのファタハ政権を軍事的・政治的に増強して、反米・反イスラエルのイスラム強硬派軍団ハマスを放逐しようとする米国政府の施策は、一昨年の選挙結果でいともたやすく拒絶されてしまった。そして今日、ガザはハマスが君臨する反米勢力の砦と化してしまった。
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_632765.jpg
Apocalypse Middle East-2: Fullhouse of Anti-israel Militias
Hamas and Fatah battle over control of the Palestinian territories
By Michael Hirsh | Newsweek — June 25, 2007 issue | Translation by ysbee
9. Islamist risen
Citizens of countries where Washington has called for greater democracy—Iran, say, or Syria—now have three less-than-inspiring examples close to home. In Lebanon, Iranian-backed Hizbullah reigns as a power unto itself. In Iraq, the sect-based parties that came to power in the 2005 elections have created a bloody nightmare, and stymied any attempts to forge a truly national consensus. And in the Palestinian territories, Washington simply rejected the election results.

__________________________________________________________________
JUNE 17, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_f0127501_6213945.jpg
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_f0127501_2052197.gif

N E W S W E E K | M S N B C .com
     ||| 中東の黙示録・反イスラエル連合の予兆 |||
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_6312424.jpg
反米・反イスラエル戦線ハマスのガザ制圧が示す中東情勢の不気味な行く末
10. Two-state nation splits again
Optimists in Israel and America argue that Abbas, having dismissed the Hamas-led Palestinian government, is now free to receive millions in aid money and customs revenues that had been held back. The idea seems to be to bolster the wealthier, less radicalized West Bank and starve Gaza (of attention and respectability, if not food).
ガザとウェストバンクに再分裂したパレスチナ
イスラエルやアメリカ政界の楽観主義者は、05年の総選挙当時の現地の政情ではハマスがパレスチナ人の間で支持者が急増していたものの、この軍事政党がパレスチナ政府の主権を握るという考えを、はなから拒絶していた。米国は欧米側の意向を受け入れる穏健派のアッバースを擁立していたが、今回のガザ抗争の結果ハマスがガザ地区を制覇。今やアッバース以下のファタハはガザから放逐され、ウェストバンクのラマラーに臨時政府の開設を余儀なくされた。
しかし逆に「以前はハマス連立政権であったがために棚上げとなっていた米国からの数十億の援助金や税関収入が、半亡命政権とはいいながらも米国受容の穏健派で一本化したために、逆に援助金や物資をスムーズに受けとれるようになったではないか」と現実肯定論を説く者もいる。
こういった経済面のみを重視した考え方は、ガザ地区よりは比較的裕福でより穏健なウェストバンクを支援テコ入れし、ガザを(食料援助など人道的にではなく観念的にと受けとりたいが)見限ろうとしているように見える。
▼親米穏健派のファタハ、アッバース大統領はガザから逃亡しウェストバンクへ/イランに亡命中のハマス首領
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_6331456.jpg
11. '2-state solution' failed
But simply walling off Gaza, and more than a million Palestinians, will bring the region no closer to peace. In a recent interview with NEWSWEEK, Rice said that establishing the idea of a "two-state solution" was one of her proudest achievements. "You now have a broad international consensus," she said. "That's a conceptual breakthrough." What she's left with now, at best, is a one-and-a-half-state solution.
ライスの「二都物語」のシナリオ潰滅
しかし端的に言って、今やハマスの手に陥落したガザとその地に住む百万人以上のパレスチナ人が中東にもたらすものは、平和とはほど遠い状況である。
ニューズウィークのつい最近のインタビューでライス国務長官 (日本の役職では外相) は、パレスチナの「2-state solution/連立政権方式」の概念を具現化したことは、国務長官として彼女自身誇りうる業績のひとつであると述懐していた。「国際的にも広汎な同意を得たのをご存知でしょう、コンセプトの勝利ですよ」と彼女は自慢していたものだった。しかしその結果として彼女が残したものは、どうひいき目に見ても今や「1.5国家方式」でしかない。

▼左の2葉はアッバース率いるファタハ正規軍 後半ハマスの圧倒的攻勢で連立政府は崩壊 路上で連絡を取る閣僚
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_6335173.jpg

12. Knell of 21st C. imperialism
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_6342531.jpgGaza also poses a lesson in the limits of imperial power in the 21st century. Let's face it: Americans have always made crummy imperialists. A century ago Teddy Roosevelt complained that "America lacked the stomach for empire." A senior White House official echoed that lament early in the Iraq occupation, noting that America has the power of a true empire, like Rome or like Britain in the 19th century, but not the taste for acting like one.
21世紀の帝国主義も中東で挫折
ガザはまた「21世紀における帝国主義勢力の限界」という良い教訓を示している。
忌憚なく言おう。アメリカ人はいつの時代にも性懲りもなく、お粗末な帝国主義者を世界のあちこちにつくってきた。1世紀前にはテオドア・ルーズベルトが「アメリカは、帝国となる肝がすわっておらん」と愚痴をこぼしたくらいだ。ルーズベルトの嘆きは、現政権のホワイトハウストップ高官がイラク占領の初期にもらした、次のような慨嘆と呼応する。「アメリカは、ローマ帝国や19世紀の大英帝国のような真の帝国となる実力を備えているのに、そう振る舞う体質を持ち合わせていない。」
▶聖書時代からの仇敵イスラエルをはさんで2つの飛び地で形成するパレスチナ:地中海沿岸の片隅にかろうじてへばりつくガザ地区と東部の死海西岸を占拠するウェストバンク 

13. Alienated democracy
"Look at us in Iraq—how much difficulty we have in saying we will anoint people to run the country. Does anyone think the Romans or the Brits would have been deterred?" he grumbled. Nor did many hard-liners in Washington ever fully understand that using raw power to "impose" democracy on peoples who were not ready to seize it for themselves was a chimera. By insisting on cure-all elections in countries and territories that had no institutions of justice and security, or a politically aware economic middle class, to sustain democracy, the Bush team clearly seems to have overreached.
移植した民主主義の失敗
「イラクでの米軍をごらんなさい。万一われわれがこの国を運営する人々を洗礼しようと言ったところで、(ローマ帝国や大英帝国時代と比べて)どれほどの困難があると言うのですか。ローマ人や英国人が同じ状況で中東におかれたら、怖じ気づいて帝国を拡張しなかったと誰が考えますか?」
これが帝国主義を推進するこの高官の、悲憤慷慨の意見である。ブッシュ政権内タカ派の多くもまた「戒律の厳しいイスラム教徒のイラク人に対して、欧米型の自由と民主主義を押し付けようとする帝国のパワーを行使することは、頭と胴体が別物の怪物チメラを形成することに他ならない」という事実が判っていないようである。
もともとサダム独裁下では正義や治安すらなかった地域、政治的に目覚めた個人主義の中産階級が存在しなかった国家で、お仕着せの民主主義を維持するために統治の万能薬でもあるかのように総選挙の成功にしがみついてみても、真の民主主義が定着する基盤は所詮存在していなかったのだ。ブッシュ政権は明らかに実力以上に手を伸ばして、イラクで文字通り墓穴を掘ったようである。

▼左から米軍から訓練を受けたファタハの軍隊/女性もファタハ支持デモへ/しかし結果はハマスがガザ全域を制圧
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_6351698.jpg
14. Worth than Pre-9/11 era
The next American president will have to grapple with a Middle East that is messier and quite possibly angrier than before 9/11. But also, in a larger sense, he or she will have to confront anew a harsh lesson in the limits of power. America can only be, at best, a guiding hand behind an international system that is disposed to democracy and open markets.
9/11以前より険悪化した中東情勢
来年選出される米国の次期大統領は、中東と素手で闘わねばならない。この地域は今や、9/11以前よりも険悪で、当時よりも米国に対する憎悪感を増しているという事実はきわめて確定的である。そればかりではない。新しく選出される大統領は大局的に見ても、世界のいたるところで地に落ちた「米国の権力の限界」という、新たなる厳しい教訓に対面しなければならない。
アメリカは、国際社会から最善に対処されたとしても、民主主義と自由貿易市場に投じられる国際機構活動の、縁の下の力持ち的役割を果たすくらいしか期待されないだろう。

▼叛徒が空になったアッバースのデスクにつくハマスのガザ制圧を象徴する写真 壁面の写真はイスラエルの寺院
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_6354524.jpg
15. Success in far, far away
Bush is himself coming to acknowledge this, especially by maintaining a multilateral front with the Europeans to deal with the nuclear threat from Iran. Rice, in her NEWSWEEK interview, acknowledged that the administration had scaled down its hopes for "transformational" policy. "We're laying the foundations for someone else to succeed in the future, and I think that's fine." But right now, success looks very far away indeed.
日暮れて道遠し
ブッシュ自身がこの状況を身にしみて知っている。特にイランからの核の脅威を対処するにあたって、欧州諸国と連合戦線を組むことを通して身につまされた現実である。
ライス国務長官はニューズウィークの最近のインタビューに対して「ブッシュ政権は、次期大統領へ委譲する『過渡的政策』として、中東民主化計画をスケールダウンしました」と認めている。
「我々は近い将来政権を引き継ぐ方に対して礎石を敷いているわけで、現状としてはそれで充分だと思います。」しかし目下のところその成功さえ、実にはるか彼方にあるように見えるのだが。

▼イスラエルの空爆で始まったガザ市街戦 後半ハマスが親米のファタハを討伐 爆撃やタンクの砲撃で家屋が崩壊
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_6361466.jpg
【米国時間 2007年6月17日  『米流時評』 ysbee訳】

__________________________________________________________________
▼ ご愛読たいへんありがとうございます。クリックで各ランキングへのご投票をよろしくおねがいします!

中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_f0127501_12134737.gifここをぽちっとよろしく!20位に入りたい
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_f0127501_1040831.gif全国区はきびしーっ 牛歩の歩みで25〜30位をうろうろですが、ぽちっ!
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_f0127501_10375846.gifこちらもトップをめざしてクリック!ヘンなサイトが多くて困った?
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_d0123476_10141436.gifおかげさまで1位をキープさせていただいてます。ありがとうございます!
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_f0127501_170889.gifサイト内で欄の左にある「投票」アイコンをクリックしてください。
4月までの第1部と5月からの第2部で1・2位を確保してます。多謝!
テクノラティお気に入りに追加する テクノラティはお気に入りブログの更新内容が一覧できて大変便利です

__________________________________________________________________
中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_f0127501_19325811.jpg1月から4月までの『米流時評』へ中東の黙示録後編・反イスラエル連合の予兆_f0127501_19383540.jpg

以下2006年版本誌『楽園通信』です
▶ 本誌『楽園通信』カバーページ
▶『楽園通信』全記事アーカイブ
▶『楽園紀行』イタリー編トラベローグ
▶『楽園百撰』ハワイのベスト100
『米流時評』自選コラム・ベスト3
▶ 傷だらけの星条旗/米国ジャーナリズムの良心
▶ 米国式濃縮ニュース解説/風に聴け精神よ何処へ
▶ 西暦2003年のコマーシャル/広告と戦争のはざまで

by ysbee-2 | 2007-06-17 14:27 | 中東のパワーラビリンス
line

世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


by ysbee-2
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31