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中東のフルハウス・パワーアラベスクの解読

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||| 中東のフルハウス・パワーアラベスクの解読 |||
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中東フルハウス:イラクのマフディ、レバノンのヘズボラ、ガザのハマスとファタハ

昨日の記事へのコメントでレバノンに関する質問への回答を書いていたら、非常に大雑把ではありますが端的で判りやすいのではないかと思われ、今日の冒頭に再録することにいたしました。この一節は、最近の中東各国の大要を、これ以上省略しようがないほど極めて大まかに把握することを目的とする、言わば「中東のアンチョコ」であります。詳細記事にいきなり入る前に、概略を把握したい方へおすすめします。

長いこと拙ブログを読んでいただいている方にはお分かりのように、私自身は自説の主張や政治的思想にとらわれず、あくまで欧米のメディアが報道している詳細記事を、なるべく生のままみなさまにお伝えするという作業を続けております。日本の新聞やニュースサイトの記事があまりにもお粗末なので、ネットで欧米の週刊誌並みの内容をお届けすることが目標です。

対訳を比較していただければ納得されると思いますが、本文記事は極力原文にそって訳しております。しかし時には冗長で不要と思われる文章は割愛します。また各段落の小見出しは、英語も日本語も私が勝手につけたタイトルであり、原文にはついておりません。その意図は、お忙しい方のために「つかみ」で理解していただくためです。日本語は英語とは基本的にニュアンスが違うので、日英でタイトルが異なることが頻繁にありますことをご了解ください。

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前置きがやけに長くなりましたが、最近の中東情勢をあらためて端的に整理しますと、
2003年の侵攻以来米軍が駐留している、イラクの親米政権代表はシーア派のアルマリキ首相。
これを武力の圧力で陰で操っているのが、同じくシーア派のムクタダ・アルサドルで、
サドルシティを本拠地とする彼のシーア派武装軍団が、マフディ軍。
叛徒に対する米軍の取締が厳しかったこの春は、ムクタダはイランに潜伏していたが、
先月サドルシティへ戻ってきた。
爾来スンニ派と合同の反米デモを呼びかけたりして、政治的に練れてきている。

中東のフルハウス・パワーアラベスクの解読_d0123476_13262176.jpgイラクの西隣がシリア。世襲ではないけれど2代目のアサド大統領が元首。彼は若いけれど、ヨーロッパ諸国や米国民主党とも外交の窓口を保つしたたかなやり手。3月末〜4月のイラン海域侵犯で英国水兵15人が捕虜になった際には、シリアが英国とイランの間に入って釈放の交渉をしたと伝えられている。

イラクの東隣が、アフマディネジャド大統領のイラン。核兵器開発停止をめぐって、ここ数年国連安保理の問題児。米国とは79年のテヘラン駐在米国大使館員の人質事件以来国交を断絶。しかしつい先月、27年ぶりに外交交渉を持ちバグダッドで会談。この時の立役者が「国務省のアラビアのロレンス」と呼ばれる、新任大使のライアン・クロッカー。この人物の来歴が小説のように面白いので、近々に書く予定です。

シリアとイラン、どちらもシーア派で、イラン政権は特に
ブッシュの「悪の枢軸」国家に指定されてからますます反米色が濃い。

シリアの西隣の地中海岸の国が、かつてはフェニキアと呼ばれたレバノン。
ここも親米政権のシニオラ(シニョーラと読む人もあり)首相が、弱体ながら一応は元首。
昨年夏のレバノン紛争では、レバノン国内のヘズボラ(英語ではHezbollah、あるいはHizbullah
「ヒズボラー」と表記される)を掃討するという名目で、空港からベイルート市街区、
さらには南部全域まで、イスラエルのオルメルト首相から徹底的に空爆を受けた。
その惨状を国連で訴えて、世界の人道主義者の紅涙をしぼった指導者。

中東のフルハウス・パワーアラベスクの解読_d0123476_13273087.jpgしかしレバノン内部では、ナスララー師の率いるヘズボラが、軍事・行政・治安・教育・福祉にいたるまで、中央政府のいたらない部分をパッチする地元密着型の実質的政治力で市民の支持を集め、国会の議席も確保している。5/20以来のレバノン正規軍のトリポリ攻撃に対して、ヘズボラが無言のままなのが不思議。(一連のガザレポートのあとでお伝えします)

そして、今回お伝えしている中東のピボタルポイントとなりそうな、肝心のパレスチナ・ガザ地区の紛争ですが、ここでもムスリム武装集団はご多分に漏れず、雨後の筍のように乱立。
あえて擁立者の数で他をしのぐ二大勢力を挙げれば、米国の庇護を受け連立政権をかろうじて樹立した、穏健派アッバース大統領の率いるファタハと、本来の頭目はイランに亡命している強硬派ハマスとに大別できたわけです。先週までは。

ところが、今回のハマス蜂起で、ファタハはもうひとつのパレスチナである、
イスラエルをはさんで東の死海西岸にある飛び地のウェストバンクへ遁走した。
これで、イラクの敗北よりも先に、ライス長官以下米国国務省(日本の外務省に相当)の
中東平定政策は、傀儡政権のアッバース以下が潰走したことで、ものの見事に失敗した訳です。
だから、ハマスの勝利で勢いに乗り、反米反イスラエルという同じ旗印の元に
イスラム過激派が結束するのではないか、という怖れが急浮上してきた。

と、以上ざざざっとですが、中東の対立抗争に関連した国の色分けと
これまでの大まかな経過を、文字通り走り書きさせて頂きました。
それでは、この次の記事「中東の黙示録・後編 反イスラエル連合の予兆」へどうぞ。


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上の写真は今回のガザ紛争の発端となった、イスラエルのガザ地区へのミサイル攻撃です。たしかに年がら年中小ぜり合いを繰り返し、パレスチナゲリラもイスラエルへ向けて自家製のお粗末なロケット弾を散発的に発射していますが、イスラエルはいつもビーチや子供の遊び場あるいは一般市民が密集する市街地に、ジェット戦闘機で「無差別の空爆」を強行します。その非人道的な暴虐ぶりは、昨年夏のレバノン紛争でも毎日いやとうほど見せつけられました。

特にこの写真はミサイルが地面で炸裂する直前と直後を撮った決定的瞬間として、世界中のブログ界にあっと言う間に広まったものです。単に「爆撃で何人死亡」という新聞の見出しが、実際にはこんなにも野蛮で非人道的な行為だということを銘記するためにもと思いあえて掲載しました。コピーして使っていただいてもかまいません。ベトナム戦争時のソンミ村の少女の写真のように、これは歴史を目撃した貴重な写真としてブログ界の共有財産になりつつあります。戦争と言う愚かしい行為をストップさせるために鳴らし続ける警鐘として。

【米国時間 2007年6月18日  『米流時評』 ysbee】

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by ysbee-2 | 2007-06-18 12:24 | 中東のパワーラビリンス
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