米流時評

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第5章 消された記事『中東代理戦争:シリア対イスラエル』

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    ||| 中東代理戦争:シリア対イスラエル |||
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消された記事『Rising Heat』中東代理戦争:シリア対イスラエル

d0123476_18552829.gif長いこと米国に住んでいるので、9/11以来どうしても「戦争・テロ・陰謀」といったきな臭いニュースをいち早く感知する「紛争過敏体質」になってしまった。
今回の「イスラエル空軍のシリア爆撃事件」に関しても、現地の英語メディアは別として、当初大手メディア上でその最初のニュースを発見したのはいつものようにネット上で、9月7日のニューズウィークのサイト記事としてであった。タイトルは『Rising Heat: Damascus says Israel again violated Syrian air space. How the incident could affect a volatile region=紛争過熱:シリア政府はイスラエルが再度シリア領空を侵犯と主張 激動の中東に今回の事件が及ぼす影響』。(写真はイスラエルのスパイ衛星 ofek-1のロケット打上げシーン)

ご存知のように、イスラエルはガザ地区を日常茶飯事で空爆しているので、「パレスチナを爆撃」では驚きもしないが、よりによってシリアの領空を侵犯し、しかも爆弾まで落としたというのだから、ことは穏やかではない。シリアはひと言で言うとイランの弟分のような存在である。この記事の筆者が「Are Israel and Syria edging closer to war?=イスラエルとシリアが開戦寸前?」と緊張感に満ちた出だしで本文を切り出したのも無理はない。
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中味は通常のニュースとか時事評論ではなく、ニューズウィーク特約のジョアンナ・チェン女史が、この緊急の話題について、地元イスラエルでテルアビブ大学の中東問題専門家の教授にインタビューする、という内容であった。私はいつものようにざっと目を通し、かなりつっこんだ内容だったので、この英文記事のURLと最初のページをセーブし、「次なるカード:シリア対イスラエル」と仮のタイトルをつけて、のちほど翻訳するつもりでファイルしておいた。

しかし、翌日このページを再訪してみると、全部で3ページあったはずの記事が、最初の1ページだけそのままで、2ページ目3ページ目が、ページは開いても本文の部分だけ空白なのである。私はとっさに「しまった、消された!」と悔やんだ。こういうことはたまにある。年に3〜4回ほど経験している。大概が、国家機密に関連するようなスクープであることが多い。そしてまた、それは米国政府が一般大衆に知られては困る内容のときに限って発生する。(以前はイラクCPAの汚職スキャンダル)とりもなおさずその情報は、消されたというその不自然なプロセス自体によって、「知られたくない真実」であることを、逆に無言で証明しているようなものだ。
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そうこうしているうちに、この話題は翌週には各メディアが競って報道するトップニュースとなってしまった。いやしくも「仮想敵国への領空侵犯」である。しかも、犠牲者は出なかったとはいっても爆弾を落としているのである。これが挑発行為でなくて何であろう。案の定各紙のタイトルも「イスラエルがシリア領空侵犯!」「IDF(イスラエル防衛軍)がシリア領土を爆撃!」と出た。昨年のレバノン戦争での残虐な爆撃でイスラエルの本質を見てしまった私は、今回もしっかりその挑発行為の真実を把握して追求したかったので、その後ここ数日関連記事を掲載してきた。

そしてこの事件は決して突発して起きたのではなく、昨年からちらちらと挑発的軍事行動が双方にあり積み重なってきた結果である事もわかった。私自身も当ブログで何回か取り上げている。かくいう今日現在も、関連するイランのアフマディネジャド大統領が国連出席のため米国を訪れ、総会の前に招待された地元NYのコロンビア大学で、問題をさらに大きくするような公開討論会に望んでいる。米国の保守系メディアは「悪魔が米本土に上陸」とか「21世紀のヒットラーの講演」とかの大見出しをふり、子供じみて思えるほどの極端な反応でかまびすしい。日本のメディアでも当然報道するであろうから、この話題は私はパスする。
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それよりも、今月冒頭の「消された記事」の方が気になる。政府の圧力でメディアのサイトから忽然と消え去った2ページ。いったいその中には何が書かれていたのだろうか。今となっては、唯一残存している最初のページの内容から推測するほかないようだ。しかもさらにご丁寧なことには、今週そのURLを開けてみたら、「ブラジルのキリスト像」の記事にすり替わっているではないか。
メディア操作の影を読み取るな、と言う方が無理である。謎また謎の「消された記事」の生き残った部分を紹介したい。

【米国時間2007年9月23日 『米流時評』ysbee記】

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SEPTEMBER 23, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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N E W S W E E K | B R E A K I N G

消された記事「Rising Heat」中東代理戦争:シリア対イスラエル
米国時間 2007年9月7日 | ニューズウィーク・サイト独占掲載 | 訳『米流時評』ysbee

Rising Heat
Damascus says Israel has again violated Syrian air space.
How the incident could affect a volatile region.


A blink of War?d0123476_1234321.jpg
Newsweek — Web Exclusive|Breaking News
By Joanna Chen | Translation by ysbee
SEPTEMBER 7, 2007 — Are Israel and Syria edging closer to war? Tensions between the two longtime enemies have ratcheted up still further after Damascus alleged that Israeli Air Force planes had penetrated Syria’s northern air space earlier this week. Syrian reports say that its forces fired anti-aircraft missiles at the Israeli planes after they dropped "munitions" inside the country.

イスラエル・シリア戦争勃発?
2007年9月7日 |イスラエルとシリアが戦争開始の瀬戸際に? 長年仇敵同士として育まれた両国間のにらみ合いは、今週早々イスラエル空軍のジェット機がシリア北部の空域を侵犯したとダマスカスのシリア政府から抗議があって以来、ますます緊張の度を高めてきている。シリア側では「イスラエルの空軍機がシリア国内に爆発物を落としたので、シリア空軍が航空機に向けて対空ミサイルを発射した」と報告している。

Not the first invasion
Israeli authorities have refused to comment officially, and Syrian Vice President Farouk Shara was quoted in The Jerusalem Post as saying that his country was not interested in being drawn into a war with Israel. This is not the first time that Israel has invaded Syrian airspace. In June 2006 Israeli warplanes flew over Syrian President Bashar al-Assad's palace in what many saw as a defiant message to the Syrian people.
たび重なるシリア領空侵犯
イスラエル政府の関係者側では、今回の事件についての公式のコメントを避けているが、シリアのファルーク・シャラ副大統領は、イスラエルの新聞「エルサレム・ポスト」紙の取材に応え「わが国は今回の一件で、イスラエルとの戦争に引き込まれるようなことにはしたくない」と述べた。イスラエルがシリア領空を侵犯したのは、なにも今回が初めてではない。過去にも2006年の6月に、イスラエル空軍の戦闘爆撃機がシリアのバッシャー・アル・アサド大統領の居城上空に飛来したが、大方の意見では「シリア人に対する戦闘意欲を伝える示威行為」と受け止められた事件がある。

Interview for an expert of the Mideast
NEWSWEEK's Joanna Chen spoke to professor Eyal Zisser, head of the Moshe Dayan Center for Middle Eastern and African Studies at Tel Aviv University, about the possible impact of the latest developments. Excerpts:
中東問題の権威者にインタビュー
今回の事件による最新の展開が、中東全域に与えるに違いない衝撃について、ニューズウィークのジョアナ・チェン記者が、イスラエルのテルアビブ大学にあるモッシェ・ダヤン・中東アフリカセンターの研究所長、イヤル・ズィッサー教授にインタビュー。以下抜粋:


NEWSWEEK Question: Israel has penetrated Syrian airspace before, but this time the incident is being treated more seriously. What has changed?
Eyal Zisser:
The political climate changed in [August] 2006, when President Bashar al-Assad declared a shift in the status quo between Israel and Syria. His speech created a new and more hostile environment, and what happened [Thursday] must be seen against this background.


ニューズウィーク Q: イスラエルは以前にもシリア領空を侵犯しましたが、今回の事件はより深刻に受け止められています。どういう変化があったのでしょう?
ズィッサー教授 A:
 両国間の政治的状況は、昨年2006年の8月にバッシャー・アル・アサド大統領が、イスラエルとシリア間の現状維持からシフトすると呼びかけて以来一変しました。その時の彼の声明以降、新たな厳しい敵対関係が生まれ、それが今回(木曜に)起きた事件の背景となったと思わざるをえません。

NW Q: So what exactly happened?
A: That's the big question. We have the Syrian report, but so far there has been no Israeli denial. Israel may have been testing Syrian radar detection facilities in the area.


Q: それでは、正確に言うといったい何が起ったんでしょう?
A: それが今回の最大の疑問ですね。我々にはシリアからはレポートが届きましたが、それに関してイスラエルからはなんの否定もされていません。もしかしたらイスラエルは、シリアのその地域のレーダー施設の、感知能力を試していたのかも知れませんね。

Q: Is a quick military response from the Syrians at all likely?
A: I don't expect anything dramatic right now. The incident is not something big in itself, and Syrian sources have stated this. Syria isn't interested in any deterioration in relations at this stage and is clearly not interested in war, so any further response to this incident, if any, will be diplomatic. However, I suggest following events closely, since there's clearly rising tension between Israel and Syria and it's not going to go away.


Q: シリア側からは即座に、なんらかの軍事的反応があったんでしょうか?
A: 現時点では劇的な対応というのは特別なかったと推測します。今回の出来事では、領空侵犯ということ自体が大事件で、これに対してシリア政府の消息筋はこんなふうな声明を出しました。
「シリアは、現時点において両国間の関係にいかなる障害が発生することにも関心をもたないし、また戦争に関しては、はっきりとその意向がないことを明言する。従ってこの件に関しては、これ以上のいかなる反撃もありえない。万一あるとしても、それは外交的反応にとどまるだろう」
こう言ってましたが、しかしながら私としては、今後の展開を注意深く見守っていくべきだと思います。なぜなら、ちょっとやそっとではなくならない緊迫が、イスラエルとシリアの間に高まってきていることは明らかですから。


........... (*以下、元記事の2ページ目3ページ目は空白となっていた。当初私がざっと一通り目を通した段階では、そこにはたしか「IDF(イスラエル空軍)の2機の戦闘爆撃機が、発進命令を受けた。しかしその使命の目的地は、地上から発進した後で初めて、すでに機上のひととなっているパイロットにだけ伝えられた」というくだりがあった。状況が極秘裏に進行されたことを物語るきわめて印象的な内容だったので、睡眠前のうろんな頭にもしっかり刻み込まれていた。

その他の部分では、爆弾を無人の砂漠に落下したが、そのあとで旋回してイスラエルに戻る途中で、地上からシリアの対空砲火を受けたが、命中する事なく帰還.....うんぬんと、かなり微に入り細に入り、イスラエル空軍の作戦のディテールが教授の口から語られていた。この教授がイスラエル軍部とのコネクションがあるのは、こうした叙述で一目瞭然だったが、それにもまして、彼はこの作戦の計画段階からすでに知っていたか、あるいは計画に加担したのではなかろうか、と疑わしくなるほど、それぞれのディテールが現実味を帯びていた。しかし、今となってはそれを証明するよすがもない。)

【米国時間 2007年9月23日 訳『米流時評』ysbee】

d0123476_16472783.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/6225476
TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/6225476

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次号 第6章 中東核戦争6.1 『ホワイトハウスのウォーゲーム』へ続く
以下「中東核戦争」の記事を継続して掲載します。なにぶん事態が極めて流動的であり参考記事も膨大なため、掲出順序やタイトルの変更も予想されますので、よろしくご了承ください。

||| 中東核戦争 特集記事 |||
d0123476_8345660.jpg序 章 中東核戦争前夜?急浮上するシリア対イスラエル核紛争
第1章 戦争挑発行為?イスラエル爆撃機のシリア領空侵犯
第2章 シリア対イスラエル 中東核戦争の危機は本物か
第3章 新・ジェリコの闘い イランのミサイル報復作戦
第4章 核のターゲットは駐留米軍 国連とEUの経済制裁
第5章 消された記事『中東代理戦争・シリアvsイスラエル』
第6章 囁かれる中東核戦争
    中東核戦争6.1 ホワイトハウスのウォーゲーム
    中東核戦争6.2 米国・イスラエルのイラン攻略
    中東核戦争6.3 イランの核戦争対抗戦略
第7章 ラマダンとヨムキッパー 沈黙の壁を崩したナタニヤフ
第8章 新冷戦中東編 モサドとCIAのニューインテリジェンスウォー
第9章 アフマディネジャドの大発見 シリアと北朝鮮のコネクション
第10章 アフマディネジャドの大遠征 NYに吠える中東の孤狼


||| 『米流時評』 特集記事 |||
中東のパワーラビリンス 特集 | イラク戦争 関連記事特集 | 安倍首相辞任と総裁選 特集

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秋 と は 名 ば か り の 常 夏 の 庁 舎d0123476_8305032.jpg

いつもご愛読いただき、大変ありがとうございます。
「ブッシュの戦争」はイラク戦争だけでは終りません。
ネオコンの描いた「中東ニューワールド」の構想では、
初めから、イランが最終のゴールとしてありました。
地図を見れば、アフガニスタンとイラクにはさまれ、
石油利権をめぐるオセロゲームに出たのは一目瞭然。
ブッシュ家とサウディ王室の関係も大きな要因でしょう。


f0127501_12134737.gifブログ村では国際政治部門でただいま2位です。感謝!
f0127501_1040831.gifおかげさまでベスト10にはいりました。 ぽちっ!
f0127501_10375846.gif政治部門にチャレンジです。20位から一歩一歩です。ぽちっ!
d0123476_10141436.gifおかげさまで ニュース部門で1位をキープ。ありがとうございます!
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by ysbee-2 | 2007-09-23 13:15 | 中東核戦争
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世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


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