米流時評

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パキスタンの11月革命・民主化への潮目が見えた!

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  ||| 米流時評・パキスタンの11月革命 |||
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「戒厳令の季節」今我々がパキスタンで目撃しているのは革命か?
米国特使ネグロポンテ、紛争解決の談合で首都イスラマバード入り


d0123476_18552829.gif驚きました。元CIA暗闘グループのドンで、80年代のイランコントラ時代にニカラグアを始めとする南米各国の反共ゲリラ作戦の影で暗躍した、あのジョン・ネグロポンテの登場です。諜報関係のダーティーワークを得意技とする暗闘コネクションの統帥。その名の通り、陰謀への黒い橋です。(Negro=Black/Ponte=Bridge)

米国諜報界の影の主役
ジョン・ネグロポンテは、NSAを統率する局長職を務めた後、イラク駐在米国大使として、初期のポール・ブレマー、2代目と現在のライアン・クロッカーの中間の時期にバグダッドの米国政府本部をとりしきった。その間スンニ派とアルカイダのテロ爆破が急増したことでも知られている。この人物の行くところ常に暗殺と紛争が相次ぎ、デンジャラス・リエゾンが見え隠れする。
(南米におけるCIA工作は、映画『Good Shepherd』の一部にかなり具体的に描かれている)
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米国メディアの報道体制
今回の戒厳令以降勃発したパキスタン紛争では、ブッシュ政権はいつものことだが「パキスタンはテロ戦争の友軍に変わりない」の一点張りで、当初からムシャラフ支持で静観を続けた。しかし、その間に事態は刻々悪化。米国へはCNNを筆頭に生々しい暴力的な弾圧の映像が流れ、ニューズウィークでは連日現地特派記者のロン・モローから、秀逸な緊急レポートがサイトに掲載された。

独裁将軍の自爆クーデター
ニューヨークタイムズやワシントンポストも、「基本的人権・言論報道の自由・三権分立の憲法遵守」という民主主義の三鼎を、見事にそろって蹂躙したムシャラフの「自爆クーデター」に対して真っ向から攻勢。タイムズは今週に入ってからブットの主張を「OP-ED」コラムに掲載するなど、11月のある日突然に自由を圧殺されたムシャラフ反対派の悲痛な叫びが、連日マスメディアのトップで「民主主義回復」の響きを増幅していった。
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民主主義とアメリカンスピリット
アメリカでは「個人の自由」を抑える独裁に対しては、右も左もなく「サタン」視されるのは、こちらで少しでも暮らした経験のある方ならご存知だろう。個人の尊厳が国益よりも先行するのは、合衆国の建国精神なのだから、言うまでもない。個人の自立があって初めて、その統合体「United States」が成立するというこの精神を、アメリカ人は小学校に入った時点から国旗に対する敬意と国歌斉唱で徹底させられている。個人と国家は対立概念ではなく、細胞が最終的に人間を形成するように、相互不可欠の包括された概念であるようにも受けとれる。

人権問題とオピニオンブログ
そういう政治以前のスピリチュアルな背景があるので、アメリカ以外の国でその国民が人間性を無視して虐げられたり、言論や報道が暴力的に規制されたりすると、アメリカ人は黙ってはいない。(ブッシュ一味は例外)今回のパキスタンの戒厳令と、9月のミャンマーの僧侶弾圧に際して、アメリカのメディアは元より、ブログ界から湧きおこった非難はすさまじかった。反応の早さがアクセルとなって、米国でのネットの有力オピニオンブログは、もはや議会や選挙運動を左右するほどの圧力団体になってきている。
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事件から事変へ、歴史の潮目「革命」へ
連日数を増す弁護士連盟のデモや、幽閉されたブットに対する民衆の同情と支援。弾圧が厳しく過酷になるほど、パキスタン国民の反撥も強靭になってきた。特に「反対派はテロリストと同等に看做し、5人以上の集会・デモは即刻逮捕投獄で7年以上から無期懲役」という過酷な処分が通達されたが、その後でもなおいっそう抗議への参加者が増えた事実は、ムシャラフ政権に対する絶望と、新しい指導者を求める悲痛な願いの現れと解釈できる。
これはもう、戒厳令に対する一時的抗議デモが、民主化への変革を求めるうねりの中で、後戻りのできない「歴史の潮目」に入ってしまい、パキスタンの社会全体が革命にまで発展しつつあるピボタルな海域へ漕ぎ出してしまった、時代を画する現象なのかも知れない。

「新しい指導者を探せ」
そうこうしているうちに、テロ戦争・民主化戦線の友軍だったムシャラフが、週が開けるとミャンマーの軍事独裁政権と同等視される弾圧の象徴に化してしまったのは、米国にとってもっとも手痛い状況変化だった。戒厳令施行からまだ3日後、事態の進展が読めずホワイトハウスがまだ困惑の渦中にあった時点で「ムシャラフ以外の指導者を探せ」と提言した民主党の長老ジョー・バイデンの判断は、誰よりも素早く果敢な発言であった。さらに今週に入ってからは共和党内部からも、ムシャラフの軍事独裁の弾圧政策に批判の声が上がってきた。国務省内部でも当初からムシャラフの戒厳令には反対であった。ライス国務長官は実施の2日前に強行を察知した時点で、実はむしろ「戒厳令には踏み切るな」の禁令の一項を電話を介してムシャラフに強調したと伝えられている。
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国務省対ペンタゴンの暗闘
ここでもまた、米軍が軍事的優位に立つことしか頭にないペンタゴン国防総省と、国際社会でのリーダーシップをなんとか失地回復しようと図る国務省の、タカ派とハト派の相克が浮き彫りになってしまった。その渦中にパキスタンへ特使として飛んだネグロポンテ。彼はペンタゴンにもワシントンにも属さない暗闘派である。しいて言えば諜報の中枢ラングレーの洞窟に巣食う蝙蝠か。たとえ現職がライス長官に次ぐ国務省のナンバー2であっても、諜報出身と言う出自はサイレンサーでは消せない。プーチンがいかにロシアを復興したツアーと崇拝されても「元KGB」というブランドが一生ついて回るように。

パキスタン情勢、嵐の針路
彼のパキスタン訪問が、一体ムシャラフ体制への肩入れなのか、それとも反対派結束で反米政権が誕生するのを防ぐために、辞任を勧告する肩たたきなのか。ネグロポンテが直参したからには、いかに傲岸なムシャラフも将軍の座を降りるほかない。いや、軍部の司令官職は辞退すると数日前宣言したから、これは予定通りのステップとしても、肝心の大統領職は果たして継続できるのか?
それとも米国は上院外交委員会長老たちの諌言で、すでに次の指導者を想定しているのだろうか?
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そのヒントは、ネグロポンテの道中で時々刻々明らかになるだろう。何しろ、米国の全権を与って交渉しに飛んできたこの特使が、イスラマバードへ着くなり最初に電話を入れた相手は、ブット女史だったのだから。
パキスタンの針路は、まさにイスラム国家の民主化という台風の目に一歩一歩近づきつつある。

【米国時間 2007年11月16日 『米流時評』ysbee 記】

»» 次号「ブットの上げ潮ムシャラフ退潮・ネグロポンテのうず潮会談」へ続く
»» 予告『米流時評』緊急特集 「パキスタン・戒厳令の季節」
第1章 「ダークスーツ革命」  司法権の独立を守るため立ち上がった弁護士たち
第2章 「ホワイトスカーフ革命」 民主主義のためブット女史を支持する女性たち
第3章 「アイボリータワー革命」 独裁弾圧に抗議してカーンを支援する学生たち

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by ysbee-2 | 2007-11-16 18:24 | パキスタン戒厳令の季節
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