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米流時評

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Vol.3:大統領選にまで波及したNIEシンドロームの衝撃

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   ||| 拡大するNIEシンドロームの余波 |||
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NIE事実露呈で勝利宣言のイラン IAEA・ロシア他 関連諸国の反応
イランの核問題が次期大統領候補の踏み絵に 第一の犠牲者ヒラリー


ニューズウィーク・サイト独占掲載 | マイケル・ハーシュ時評 | 『米流時評』ysbee 訳
前号「NIE衝撃レポート2・暴かれたブッシュ政権の戦争体質」からの続き
2005年版のNIEの内容は、今回の報告とは対象的に、全面的に政治的影響力の元で制作されたようなものだった。しかもそのNIEでのイランに対する国家評価を元に、ブッシュ政権トップの連中はその後数年間にわたって、自信たっぷりに「イランは原爆を作ろうとしている」と断罪してはばからなかった。しかしその一方では、IAEAー国際原子力機関のモハメド・エルバラダイ事務局長と、イランの原子力エネルギー省高官という、海外のふたつの原子力管理機関の専門家が、報道陣に対して倦む事なく「核兵器開発の物的証拠は皆無だ」と主張してきてはいたのだが。
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Forget War With Iran — Part 3
Part 1: NIE Shockwave/ Part 2: NIE Effect / Part 3: NIE Syndrome
By Michael Hirch | NEWSWEEK — Web Exclusive | Translation by ysbee
Continued from the previous issue — The 2005 NIE, by contrast, was likely to have been politically influenced. Over the past several years, while administration officials asserted confidently that Iran was pursuing a bomb, both outside experts—chief among them IAEA head Mohamed ElBaradei—and Iranian officials have consistently told reporters that there was little hard evidence of this.


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DECEMBER 7, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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  N E W S W E E K | W E B E X C L U S I V E

PART 3 米大統領選にまで波及したNIEシンドロームの衝撃
米国時間 2007年12月4日 | マイケル・ハーシュ/ニューズウィーク | 『米流時評』ysbee 訳


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15. Iran's strategic need for a nuclear weapon
On the contrary, there was ample evidence that a real debate was underway in Tehran about whether pursuing a nuclear weapon was wise in the face of international isolation and opprobrium—and this was pretty much the conclusion of the new NIE yesterday. "We don't see a strategic need for a nuclear weapon right now," a senior Iranian official told me two years ago. "That would change, of course, if America attacked. Then we would need one."
逆説的に生じた核兵器の戦略的必要性
ところが、イランがこれまで言い張ってきた主張とは対象的に(国連での経済制裁決議等によって)国際社会での孤立化と弾劾に否応なく向き会わさせられたおかげで、逆にイラン政府内では「核兵器を入手すべきかどうか」という重大な決定に関して、激しい議論が闘わされる皮肉な結果となった。
12月3日に公開されたイランに対する新しいNIE=国家情報評価の結論の要旨は、以下の通りである。「我が国の偵察調査では、現在のところ核兵器に対する戦略的必要性は見受けられない。」これは、私(ニューズウィークのマイケル・ハーシュ)が2年前にイラン政府の高官に直接取材した際に得た返事とまったく同じである。しかし彼のその時の回答では、さらに続けてこう言っていたのだ。「でもそういった現状も、もちろん変わりますよ。もしもアメリカがイランを攻撃したら、という場合を想定すればの話ですがね。そうなったら我が国も核兵器が必要になるでしょう。」
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16. Technology for nuking Iran
Or as S.M.H. Adeli, Iran's moderate former ambassador to London, said when I visited Iran in June, "Iran would like to have the technology, and that is enough for deterrence." Other reporters heard similar things. Surely if mere journalists were hearing it, America's intelligence analysts and top officials were getting wind of this consensus as well.
核兵器製造テクノロジーは不要だったイラン
その高官以外にも、ロンドンに駐在していた穏健派の元イラン大使、S.M.H.アデリ氏が、今年6月に私がイランを取材訪問した際に答えたように、こう考えるイラン高官が多かった。「イランは核エネルギー技術を開発したかっただけです。ところがそのおかげで、中止するにも充分過ぎるほどの国際的非難を受けてしまい、こりごりですよ。」
私以外の取材記者連中も、政府内の各関係者から同様の回答を得ていた。もちろん、たかがジャーナリストの取材だけでもそういう意見が聞かれたのだから、世界に名だたるアメリカの諜報機関の情報分析のプロやトップの長官・次官連中も同じように、イラン側のこういう一致した意見の情報を入手していたはずである。
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米国が常に核兵器製造の疑惑の場所と主張し続けていた、イランのナタンツ原子力パワープラントと核燃料炉

17. Huge propaganda victory for Iran
So what changed?
Simple: the politics surrounding a war with Iran, the departure of ideologues who habitually bent facts to fit prefixed views, and the chastening of a president who, until now, has let them do it.
What of the fallout? And the winners and losers?
The administration has handed a huge propaganda victory to the Iranians at a time when they are less compromising than ever on their "right" to enrich.

イランに転がり込んだプロパガンダ戦での大勝利
ならば、いったい何が変わったのか?
答えは単純である。それはイラン戦争をめぐる政治の力学の変化である。それは、現実を無理矢理に捩じ曲げてあらかじめ敷かれた観点に押し込もうと習性的な捏造を繰り返していた、ネオコンのイデオロギー偏執者たちが政権内から去って行き、現在にいたるまで彼らのなすがままにされていた大統領を操っていた連中が交代したという、ワシントンの政治劇の舞台転換の現れである。
ブッシュ政権はここにいたって、イラン人がいつもうたっている「偉大なるプロパガンダの勝利」を、米国政府自らの手で彼らの手中に掴ませたかのようだ。しかも、彼らがウラン濃縮化の権利に関して、かつてないほど協定を守らない態度を明らかにした段階になってから。
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カスピ海サミットでロシア、OPECでアラブ諸国の支援を確保した矢先に米国の自爆でタナからボタ餅のアフマディ

18. ElBaradai won another credibility
ElBaradei, winner of the Nobel Peace Prize, has won another windfall in credibility and may bring more countries over to his view that Iran should be permitted to keep some enrichment capability as long as it comes under strict international monitoring.
ノーベル平和賞のエルバラダイに再評価
ノーベル平和賞受賞者でもある、IAEA国際原子力機関のエルバラダイ事務局長もまた、思いがけない米国諜報の公開によって、その信頼性への評価が転がり込んだもう一方の人物である。この期に及んでは、これまで以上により多くの国家に対して、彼の観点を説得しやすくなるだろう。彼は常々こう主張してきたのだから。
「厳しい国際的監視体制の下で進行する限りなら、イランはエネルギー開発用のウラン濃縮化の可能性をある程度認められるべきである。」
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19. Losers: Mideast peace corp and Israel
Putin, coming off a questionable election victory, looks positively statesmanlike. Losers may include the Mideast peace process, which was energized by a common sense among the Arab states that they needed to align with the United States and Israel against Iran.
プーチンに有利、中東和平とイスラエルには大損失
疑問の多かったロシアの総選挙での勝利を祝ったばかりのプーチンでさえ(ブッシュと比べると)断固として国家元首の威厳を保っているように見える。
今回の諜報公開の余波をこうむった敗者には、現在進行中の中東和平会議も含まれる。会議の主唱者たちは、アラブ国家諸国も(核兵器開発を進める危険な)イランを阻止するためには、米国とイスラエルとともに共闘戦線をとる位置につく必要性がある、という共通認識を徹底させる目的で開催したのだが、今やすべて事実は裏目に出てしまったのだから。
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20. Unpredicted loser, Clinton
Another loser may be Hillary Clinton, whose alignment with hardliners on Iran looks even less perspicacious today, and whose rivals for the Democratic presidential nomination piled on her again today in Iowa. Finally, Washington's moral authority in the world is as low as it has been in memory. Still, if it all goes to preventing an unnecessary war, perhaps it's worth the price.
ヒラリーの選挙戦に思わぬ障害
もうひとりの敗者にはヒラリー・クリントンがいる。イランの核開発問題に関して彼女が政権内のタカ派とまったく同じ路線をとった事実は、選挙戦に響いた。今日になっては結果的に、彼女がいかに先見の明がないかを暴露してしまったようにも見える。4日火曜アイオワ州で行なわれたPBS(米国の公共放送)のラジオ部門NPRが主催した公開討論会では、他の民主党候補者たちがヒラリー女史に対して、彼女のイランに対する攻撃的態度を再度指摘する方向で討論が展開された。
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アメリカ国民はこの5年近く、毎日米兵・イラク市民の犠牲者と膨大な歳費の赤字を増すだけの無意味なイラク戦争に、とことんうんざりしている。彼らに向かって、新たにイランを敵対視する「もうひとつの戦争」というコンセプトを投げかけても、ひたすら拒絶反応を示すだけである。
米国一般大衆のこの厭戦の空気が読めなかったヒラリーは、今週アイオワ州でのNPRの公開ラジオ討論会でイラン戦争に対する意見を聞かれた際に「ブッシュ政権がイランのQod軍をテログループに指定したおかげで彼らが少しは大人しくなった」と、ライス国務長官の言い訳と同類の「イラン攻撃肯定」をほのめかした。この一言でやはり彼女は女ブッシュ(Female Bush)に過ぎなかったという失望を呼び、それまで彼女を支持してきたリベラルの、特に高年齢層の女性票を大量に失った。その層が「イランともまず外交の対話を」と主張するオバマに流れたことは言うまでもない。イラク戦争とブッシュ政権の政策を支持する候補者は、共和党のジョン・マケインを初めとして全員苦戦している。


21. Gave peace a chance
Finally, Washington's moral authority in the world is as low as it has been in memory. Still, if it all goes to preventing an unnecessary war, perhaps it's worth the price.
すべては平和のために
結論を言おう。世界における米国政府の倫理的権威は、記憶にある限り最低の地位に失墜した。堕ちた偶像である。しかしそれでもなお、もしこれまでのすべて一切合切が、不必要な戦争を避けるために作用したと言うのなら、多分それだけの価値は、たしかにあったと言えるだろう。[完]

【米国時間 2007年12月7日『米流時評』ysbee 訳】
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»» 緊急特集「NIE衝撃の諜報レポート」
d0123476_1746245.jpg時 評  「NIEレポートで暴かれたブッシュの大嘘」
Part-1 「嘘から出た真実 さらば、イラン戦争」
Part-2 「暴かれたブッシュ政権の戦争体質」
Part-3 「大統領選にまで波及するNIEシンドローム」
Part-4 「米外交のUターン・金宛ブッシュ親書の謎」
Part-5 「半島平和?ブッシュ最終章外交の突然変異」

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by ysbee-2 | 2007-12-07 01:14 | ブッシュと米国政治
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