米流時評

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第1章「スロバキア核のウラン密輸事件」

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   ||| スロバキア核のウラン密輸事件 |||
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核のテロの恐怖は現実だ!スロバキアで起きた濃縮ウラン密輸事件
昨年だけで濃縮ウラン紛失252件!恐るべき「核の闇市場」の存在


マイケル・ハーシュ時事評論 | ニューズウィークサイト独占掲載 | 『米流時評』ysbee 訳
いつの時代にも、その時代特有の世界の終焉を想定できる「アポカリプス/黙示録のビジョン」すなわち終末観が存在した。われわれの時代の黙示録は、核のテロリズムに他ならない。
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The Reality Check About Missing Nuke Materials
Never-ending stream of alarmist books, and the 'real world' news as well
By Michael Hirch | NEWSWEEK — Web Exclusive | Translation by ysbee
NOVEMBER 29, 2007 — Every age needs its vision of apocalypse, its End of the World myth. Ours is nuclear terrorism.


【この記事は、先月29日にニューズウィークのサイトに掲載されたマイケル・ハーシュの評論コラムの翻訳紹介です。ロシアの総選挙や米国のNIEレポート騒動で掲載が遅れましたことをお詫びします。なお掲載の写真は1葉の証拠写真を除いて、すべてスロバキアの観光写真で、記事のコンテンツとは全く無関係ですのでご了承ください。ysbee】

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DECEMBER 15, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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N E W S W E E K | W E B E X C L U S I V E

テロ戦争黙示録 第1章 スロバキア核の濃縮ウラン密輸事件
マイケル・ハーシュ国際時評 | ニューズウィーク・サイト独占掲載 | 『米流時評』ysbee 訳


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1. Unnerving stories about loose nukes
It is a fear that has provoked at least one war (Iraq), endless speculation about another (with Iran), and a never-ending stream of alarmist books—Jonathan Schell's "The Seventh Decade: The New Shape of Nuclear Danger" being the latest. And every now and then we hear some unnerving story about loose nukes that sends chills down our collective spine.
核原料紛失の不気味な実話
少なくとも、ひとつの戦争は核兵器への恐怖から始まった。そして米国はイラクへ侵攻した。今またもうひとつの際限のない疑惑が繰り返され、イラン攻撃が取り沙汰されて久しい。市場では核戦争への恐怖を煽る警告の書があとを断たない。
ごく最近のそうした本のひとつに、ジョナサン・シェルの書いた『The Seventh Decade: The New Shape of Nuclear Danger/70年後:核の危機の新しい相貌』がある。そして誰もが芯からぞっとせずにはいられない「核紛失」の不気味な話題が、現実の世界でも今も相変わらずひんぱんに聞こえてくる。
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スロバキアの首都ブラチスラヴァの中心にある旧市街には、帝政ロシア時代のクラシックな建築物が現在も甍を連ねる

2. Arrest of smuggling highly enriched uranium
The most recent came to light on Thursday, when police in Bratislava, Slovakia—the very town in which George W. Bush and Vladimir Putin signed a pact on nuclear safeguards in 2005—announced the arrests of two Hungarians and a Ukrainian trying to sell a pound or so of highly enriched uranium from the former Soviet Union for $1 million.
スロバキアで濃縮ウラン密輸を摘発
もっとも最近浮上してきた事件は、11月29日木曜に、スロバキアの首都ブラチスラバで起きた事件である。この街は、2005年にジョージ・W・ブッシュとウラジミール・プーチンの米露両大統領が、核の保安管理に関する協定を交わしたという因縁の土地でもあるが、現地の警察が発表した内容によると、「ハンガリア人2名とウクライナ人1名の3人の男が、旧ソ連領から時価100万ドル(約1.1億円)相当の高純度の濃縮ウラン約1ポンドを持ち出し、売ろうとしていた容疑で逮捕された」というものである。
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スロバキア警察が押収した核兵器に使用できる純度の高度に濃縮したウラン 恐ろしいほど原始的なパッケージ

3. 252 reports of radioactive materials missing
"That's the biggest case in quite a number of years," says Matthew Bunn, a proliferation expert at Harvard. In an Associated Press story on the incident, an official with the International Atomic Energy Agency (IAEA), Richard Hoskins, was quoted as saying that last year alone the nuclear watchdog had registered 252 reported cases of radioactive materials that were stolen, missing, smuggled or in the possession of unauthorized individuals.
昨年の放射性物質の盗難紛失届出252件
「ここ数年で最大の核の密輸事件だと思います。」こう説明するのは、ハーヴァード大学で核の保安について専門に研究してるマシュー・バン氏である。
また、この事件を報道したAP通信の記事では、国連の原子力エネルギー事務局IAEAの監査官であるリチャード・ホスキンス氏の談話を載せていたが、その中で彼はこう語っている。
「昨年の1年間だけでも、核の監視委員会には全部で252件の放射性物質の盗難・紛失・密貿易、あるいは無資格の個人が所有という、核保安管理協定に違反する事件が報告されています。」
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スロバキアは 80年代まではチェコソロバキアという現在のチェコ共和国と統合した、ソ連傘下の共産圏国家だった
西はオーストリー、チェコ、北はポーランド、東はウクライナ、南はハンガリーに接する、風光明媚な山国である


4. 385% increaseed since 2002
That's a 385 percent increase since 2002, he noted. Well, maybe I'm just whistling past the graveyard, since I live in Washington, D.C., which is supposed to be the ultimate target for every Islamist terrorist worthy of the name. But when I dug into the details of those stats, I wasn't especially unnerved. In fact, I was somewhat heartened.
昨年252件、5年間で4倍弱の急増
1年間の報告件数252件という数字は、2002年の時点と比べると385%という驚異的な増加率であると、ホスキンス氏は述べている。やれやれ、どうやら私(マイケル・ハーシュ氏)は口笛を吹きながら墓場を通り過ぎたのかも知れない。(不吉な事態を招いたという例え)それもそのはず、何と言っても私は、すべてのイスラム過激派テロリストの究極のターゲットであるらしいワシントンに住んでいるのだから。
しかし、これらの統計の詳細を読んだあとでは、特に戦慄を覚えるほどではなかった。実のところ、逆に私は何かしら心強くさえ感じられた、というのが正直な感想だろう。
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ブラチスラバに残るユダヤ教のシナゴーグ(霊廟)スロバキアもポーランド同様ナチスのユダヤ人迫害がひどかった

5. 99 nations on Nuclear Non-Proliferation Treaty
First, according to Hoskins, that 385 percent increase can actually be seen "as a measure of success," because so many more countries are now tracking and reporting incidents since 2002, when the IAEA database was formed. Ninety-nine countries are now cooperating; in recent years even roguish nonsignatories to the Nuclear Non-Proliferation Treaty like Pakistan and India have joined the database.
核拡散防止条約に99カ国調印
IAEAのホスキンス氏の談話によれば「まず第一に報告件数が385%も増加したという事実は、実際には監視体制が成功している証拠と解釈することができます」と逆説的な論理を述べている。「それというのも、現在は以前に比べてかなりの数の国家が、2002年以降の盗難紛失事件を追跡調査して報告しているからです」と、急増の原因を分析する。ちなみに、IAEAが初めてデータベースを作成した年が2002年だった。
2007年の現時点では、核の保安管理体制に協力している国家は99カ国に及び、パキスタンやインドのような核拡散防止条約に加盟していない「アブナイ連中」ですら、IAEAのデータベースには資料を提供して参加しているそうである。
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ブラチスラバ旧市街の中心部にある 第二次大戦の終結を記念して造られた「Peace Square=平和広場」

6. All the 18 'bomb material' cases recovered
So has China, despite "a huge bureaucratic system that I don't think is working 100 percent," Hoskins told me. The vast majority of those 252 cases are small-scale ones involving industrial radioactive material like what one might find in medical isotopes or moisture-density gauges used in highway construction. Of the cases reported since the IAEA database began in 1993, only 18 involve nuclear bomb-making material, and Hoskins believes that "nearly all" were recovered.

核兵器材料摘発は15年間で18件d0123476_15102563.jpg
またインドやパキスタンと同様に、中国も「巨大な官僚主義体制のために、100%実施されているとは思いませんが」と断った上ではあるが、彼らもデータベース作成に協力していると、ホスキンス氏は私の取材に対して答えている。
昨年報告された252件のほとんど大部分が、工業用放射性物質を含む極めて少量の紛失盗難であり、どういう用途に使われる物質かというと、例えば医療用のアイソトープだったり、高速道路建設用に使われるコンクリートの緻密度を計測する測定用の放射性物質などだそうである。
1993年にIAEAがデータベースの作成を開始して以来報告された盗難紛失全件数の中でも、核爆弾製造の材料となる高純度の放射線物質(ウラニウム等)に関連した事件は、たった18件だけだと言う。ホスキンス氏に言わせれば「ほとんど全部」が発見されて回収されたもの、と信じているらしい。

7. Fear of all the dirty bombs
It takes only one miss, of course, to "change the world," as Hoskins says. The Bratislava incident isn't even close to enough to do that—the amount allegedly being peddled there was less than one percent of the 110 pounds of highly enriched uranium that would be necessary to create a crude "gun-type" nuclear bomb. Still, it is possible that terrorists are slowly trying to accumulate the necessary amount, or intend to use it to create a small "dirty bomb."
「核汚染爆弾」の恐怖
しかしもちろんの話だが、たった1件の見逃しがあっても「世界を変えてしまう」とも、ホスキンス氏は述懐する。今回のブラチスラバ事件で回収されたのは、そのような最悪の事態をもたらす脅威となるには、はるかにほど遠い微量である。密輸される疑いで摘発された濃縮ウランの総量は、「ガン・タイプ」の核爆弾を製造するのに必要とされる110ポンドの1%にも満たない量だった。
しかしながらそれでもなお、こういう可能性も考えられる。ひとつは、テロリストは核爆弾を造るのに必要な量を集めるまで、微量ずつでも入手し続けるかもしれないという怖れ。もうひとつは、少量であっても小型の「dirty bomb=核汚染爆弾」を造るには充分だ、という事実である。
>次号へ続く
【米国時間 2007年12月15日 『米流時評』ysbee 訳】
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»» 次号 テロ戦争黙示録 第2章「実在する東欧 核のブラックマーケット」へ続く

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時 評  「NIEレポートで暴かれたブッシュの大嘘」
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by ysbee-2 | 2007-12-15 15:28 | テロとスパイ陰謀
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