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米流時評

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独占会見完訳「ツァーリ・プーチンの居城へ」

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  ||| ツァーリ・プーチンの居城へ |||
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タイム誌「今年の人」特集・プーチン独占インタビューを完訳紹介
冷徹なるツァープーチンの私邸で知られざる側面にふれる独占会見


エイディ・イグナチウス | TIME誌/モスクワ支局 |『米流時評』ysbee 訳
何びともウラジミール・プーチンのような眼光をもって生まれる者はいない。ロシアの大統領の澄明で真っ青な瞳は、余りにも冷たく、あまりにも感情を現さないので、「権力なんてものは日常の必要性に突き動かされてやむをえずできあがったものだ」という真理をよくわかった人間が、感情表現の必要性に迫られてやるような、つまり「まばたき」のような何気ない人間臭い所作で、会話の糸口をつくらねばならないほど、冷徹なまなざしであった。
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The Tzar Is Born — Vol. 1
DECEMBER 19, 2007 | By Adi Ignatius — TIME Magazine | Translation by ysbee
No one is born with a stare like Vladimir Putin's. The Russian President's pale blue eyes are so cool, so devoid of emotion that the stare must have begun as an affect, the gesture of someone who understood that power might be achieved by the suppression of ordinary needs, like blinking.


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DECEMBER 22, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版独占会見完訳「ツァーリ・プーチンの居城へ」_f0127501_6213945.jpg
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ザ・プーチン第1巻 「ツァーリ・プーチンの居城へ」
TIME誌独占インタビュー連載第1回 | エイディ・イグナチウス/モスクワ支局 | 『米流時評』ysbee 訳

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1. Chilling gaze as if saying 'I'm in charge'
The affect is now seamless, which makes talking to the Russian President not just exhausting but often chilling. It's a gaze that says, I'm in charge. This may explain why there is so little visible security at Putin's dacha, Novo-Ogarevo, the grand Russian presidential retreat set inside a birch- and fir-forested compound west of Moscow.
四方を威圧する冷徹な目
いったん親密さを現すとその後はきわめてスムーズに進行したが、ロシアの大統領との会見には、ひたすら消耗させられたばかりでなく、その冷徹なまなざしに射すくめられてぞっとしたことも、たびたびであった。じっと凝視するまなざしはこう語っていた。「俺が仕切っているんだ」
モスクワの西の郊外にある、白樺ともみの林に取り囲まれたロシア王朝風の大統領の別邸、ノーヴォ・オガレヴォ。なぜあのプーチンの私邸を警護する警備要員があんなに少ないのかという理由は、もしかしたらこの威圧する眼力のせいかも知れない。
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2. Through the suburbs of new oligarchs
To get there from the capital requires a 25-minute drive through the soul of modern Russia, past decrepit Soviet-era apartment blocks, the mashed-up French Tudor-villa McMansions of the new oligarchs and a shopping mall that boasts not just the routine spoils of affluence like Prada and Gucci but Lamborghinis and Ferraris too.
オリガーキーのベッドタウンを抜けて
モスクワの都心からそこまでは、車で25分ほど要する。近代的ロシアの街並から、やがてソ連時代の凡庸なアパートが延々と続く団地を通り過ぎ、新しい世代のオリガーキー(ロシアのプチブル官僚)御用達の、ベルサイユ様式とチューダー様式をないまぜにしたような瀟洒なマクマンションが林立し、プラダやグッチのような「ありきたりの」贅沢なブティックだけでなく、ランボルギーニやフェラーリまで取りそろえた超高級ショッピングモールが立ち並ぶのを横目にしながら、郊外へと抜ける道程である。
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3. Arriving the sniper-positioned compound
When you arrive at the dacha's faux-neoclassical gate, you have to leave your car and hop into one of the Kremlin's vehicles that slowly wind their way through a silent forest of snow-tipped firs. Aides warn you not to stray, lest you tempt the snipers positioned in the shadows around the compound. This is where Putin, 55, works. (He lives with his wife and two twentysomething daughters in another mansion deeper in the woods.)
狙撃手が警備する郊外の私邸
ダーチャ(ロシア語で別邸)のネオクラシックスタイルを模したゲート(赤坂迎賓館のようなゲート?)に到着したら、乗っていた車はそこへ停めて、クレムリン側で用意した一台に乗り込まなくてはいけない。その送迎用の車は、てっぺんにすでに雪をかむってしんと静まり返った樅の木の、鬱蒼とした木立の中をゆっくりと走り抜けてゆく。同乗した側近は、敷地のいたるところで物陰に隠れてこちらに狙いを定めているスナイパーの注意を引くような、挙動不審の行為をとらないようにと注意する。ここはなにしろ、あの55才のプーチン猊下の職場なのである。(彼が妻とふたりの20代の娘と一緒に私生活で住んでいるのは、この森のもっと奥深くにある邸宅である)
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4. In spacious but spartan office
The rooms feel vast, newly redone and mostly empty. As we prepare to enter his spacious but spartan office, out walk some of Russia's most powerful men: Putin's chief of staff, his ideologist, the speaker of parliament—all of them wearing expensive bespoke suits and carrying sleek black briefcases.
飾り気のない広大な大統領執務室
邸内の部屋は、やたらにだだっぴろく感じられた。最近リノベーションを行なったばかりらしく、ほとんどの部屋がガランとしていた。われわれ一行が、広々としてはいるがスパルタ式に飾り気のないプーチンの執務室へまさに足を踏み入れようとしたとき、中から入れ替わりに出てきたのは、ロシアでも最もパワフルな閣僚たちであった。プーチンの側近のトップ(メドベージェフ)、彼の政見アドバイザー、ロシア議会下院議長などである。彼らはみな一見して高価なオーダーメイドと看てとれるりゅうとしたスーツに身を包み、スマートな黒いブリーフケースをたずさえていた。
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5. Three-1/2 hours interview over full-course dinner
Putin, who rarely meets with the foreign press, then gives us 3-1/2 hours of his time, first in a formal interview in his office and then upstairs over an elaborate dinner of lobster-and-shiitake-mushroom salad, "crab fingers with hot sauce" and impressive vintages of Puligny-Montrachet and a Chilean Cabernet.
ディナーを交えて破格の3時間半の会見
プーチンはといえば、本来は外国の記者と直接会見することはめったにないのだが、われわれには執務時間から3時間半もさいて、インタビューに宛ててくれた。この会見は、まず最初に彼の執務室で行なわれ、その次には階上へ上がって、細心にして完璧なフルコースディナーをとりながら行なわれた。ディナーは、ロブスターと椎茸のサラダに始まり、蟹の爪のホットソース添え、ワインは年代物のピュリニー・モンラッシェとチリ産のカベルネが供された。
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6. First impression of contained power
Vladimir Putin gives a first impression of contained power: he is compact and moves stiffly but efficiently. He is fit, thanks to years spent honing his black-belt judo skills and, these days, early-morning swims of an hour or more. And while he is diminutive—5 ft. 6 in. (about 1.7 m) seems a reasonable guess—he projects steely confidence and strength. Putin is unmistakably Russian, with chiseled facial features and those penetrating eyes. Charm is not part of his presentation of self—he makes no effort to be ingratiating.
第一印象「小矩に秘められた権力への意志」
プーチンの与える第一印象は「秘めたるパワー」である。彼は小柄で敏捷だが、無駄のない動きをする。彼の引き締まった体躯は、長年黒帯の有段者として鍛えた柔道の鍛錬と、早朝に欠かさない1時間以上の水泳のおかげである。身長にして5フィート6インチ(約170cm)というロシア人にしては「チビ」の部類に入るが、だからこそ反動で、逆に腹の据わった自信と鋼のような強靭な精神を身につける原動力になったのでは、と憶測させられる。しかしプーチンは、その鋭く削ぎおとされた頬と鋭く射るようなまなざしからして、紛れもなくロシア人の風貌を備えている。愛嬌は彼の魅力の片鱗ですらない。会話の合間には、お愛想のひとつさえ口の端にしようともしなかった。
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7. Determined inner discipline
One senses that he pays constant obeisance to a determined inner discipline. The successor to the boozy and ultimately tragic Boris Yeltsin, Putin is temperate, sipping his wine only when the protocol of toasts and greetings requires it; mostly he just twirls the Montrachet in his glass. He eats little, though he twitchily picks the crusts off the bread rolls on his plate.
うちに秘めた強靭な自己統制
彼と会った者の中には、プーチンはまるで自分の内に秘めた戒律に絶え間なく畏敬の念を払っているかのようだ、と感じられる方もいるかもしれない。しかし、大酒飲みで最後には悲劇的に幕を引いたボリス・エリツィンの後継者であるからには、プーチンは否が応でも激昂することなく、乾杯の音頭をとって祝杯を挙げるときだけ、グラスのワインをちびりちびりと口にする程度にならざるをえないのだろう。そんな塩梅でディナーの間中もっぱら、彼はモンラッシェの入ったグラスをゆっくりと回していた。彼は概して小食だったが、ロールパンのパン屑をパン皿からひっきりなしにつまみ出していたのが印象的だった。
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8. Favorites: Brahms, Beatles, and Bible
Putin grudgingly reveals a few personal details between intermittent bites of food: He relaxes, he says, by listening to classical composers like Brahms, Mozart, Tchaikovsky. His favorite Beatles song is Yesterday. He has never sent an e-mail in his life. And while he grew up in an officially atheist country, he is a believer and often reads from a Bible that he keeps on his state plane. He is impatient to the point of rudeness with small talk, and he is in complete control of his own message.
座右にブラームスとビートルズとバイブル
ディナーの料理を口に運ぶ合間合間に、プーチンは自ら口を開いたときだけ、きわめて僅かではあるが彼のプライベートな側面のディテールをぽつりぽつりともらした。クラシックの作曲家では、ブラームス、モーツァルト、チャイコフスキーを聴くとリラックスできること。彼の好きなビートルズの曲は『イエスタデイ』。生涯まだ一度もe-メールを送ったことがないこと。そして(驚いたことに)公的には無神論の共産主義国家に育ったにもかかわらず、彼はキリスト教の信者で聖書も時々読むこと。その聖書は大統領専用のジェット機に常備しているそうである。
彼はつまらない会話には横暴とも言えるほど我慢できないそぶりを見せたが、自分自身の口から発するメッセージに対しては、完璧とも言えるほどしっかりと内容を表現をしていた。 »» 次号へ続く

【米国時間 2007年12月22日 『米流時評』ysbee 訳】
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KGB退役後公職への登竜門となったサンクトペテルスブルク市 元市長の命日の供養に未亡人を訪れたプーチン

»» 次号「ザ・プーチン第2章 民衆に選ばれし皇帝」へ


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»» 米流時評 特集「ポスト・プーチンのロシア」独占会見完訳「ツァーリ・プーチンの居城へ」_d0123476_1746245.jpg
序 章 「プーチンの過ぎゆくままに」米国とロシアの『戦争と平和』
第1章 「メドベージェフ登場」プーチン次期後継者を指名
第2章 「明日のプーチン」メドべージェフ、プーチンを首相に逆指名
第3章 「ユーラシア連邦の野望」ポストプーチン時代の予測独占会見完訳「ツァーリ・プーチンの居城へ」_d0123476_1023580.jpg
第4章 「クレムリンの暗闘」プーチン王朝内部のパワー闘争
第5章 「プーチニズムの踏襲」次世代ロシア時代の到来


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by ysbee-2 | 2007-12-22 20:30 | プーチンのロシア
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