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終幕へのベルが鳴るヒラリー最後の舞台

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    ||| ヒラリー終幕への十三階段 |||

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3月4日のセカンド・スーパーチューズデーに賭けるクリントン
テキサス・オハイオ州予備選の決戦はヒラリーの終幕となるか?


By エリノア・クリフト | ニューズウィーク・サイト独占掲載 | 訳『米流時評』ysbee
米国時間 2008年2月29日 | 前号「土壇場のヒラリー最後の秒読み」からの続き
今週、クリントン陣営が素材の提供元とされる一枚の写真が(クリントンのルウィンスキースキャンダル以来暴露記事で有名な)ドラッジ・リポートのサイトに現れたときは、ちょっとした騒動だった。それは、バラク・オバマがアフリカ訪問の際に同地の民族衣装をつけた写真であった。

トップの写真は、2004年発行のヒラリー・クリントンの伝記でベストセラー『Living History』。出版当時は「ファーストレディとして歴史に残る人生」という意味で付けたタイトルだったのだろうが、現在では図らずも、英語でのもうひとつの意味「過去の人物」がふさわしい状況になってきている。
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Day of Reckoning: The Final Countdown–2
Before the second Super-Tuesday, Clinton HQ sees signs of serious trouble

By Elenor Clift | NEWSWEEK — Web Exclusive | Translation by ysbee
Continued from the previous issue — There was pandemonium this week when an image of Barack Obama in African garb appeared on the Drudge Report, sourced to the Clinton campaign.


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FEBRUARY 29, 2008 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版終幕へのベルが鳴るヒラリー最後の舞台_f0127501_6213945.jpg
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   N E W S W E E K | W E B E X C L U S I V E

ヒラリー最後の決戦、セカンド・スーパーチューズデー予備選目前
米国時間 2008年2月29日 | ニューズウィーク・サイト独占掲載 | 訳『米流時評』ysbee

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10. So-called 'silly season of election' began
There was pandemonium this week when an image of Barack Obama in African garb appeared on the Drudge Report, sourced to the Clinton campaign. A day of witch hunts apparently yielded nothing, and Obama took Hillary's word that as far as she knew her campaign was not behind it. Donning unusual cultural costumes is a diplomatic gesture, not a career-ender.
大統領選「馬鹿げた季節」の開幕
(クリントン陣営がせっかく仕掛けた)魔女狩りの企みは、翌日の討論の質問に上ったが「私の知る限り、我々はこの誹謗中傷とは関係ない」と開き直ったクリントンの言葉をオバマが真に受けたので、1日とおかずに何事もなく終わってしまった。珍しい民族衣装を身につけるのは外交的社交辞令であって、(彼の政敵が望むような)政治家としての経歴を汚す原因にはならなかった。
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ヒラリー・クリントンも大統領夫人時代にアフリカを始め各国の民族衣装を外交辞令として身につけた経験がある。
バラク・オバマは92年に彼の父の故郷ケニアを訪れた際に現地の伝統的衣装を身に着けたが、この装束がイスラム系ではないかということで保守系ブログ上で物議をかもした。ヒラリー側では写真の出所を否定している。


11. Paint Obama as somehow un-American

It's not like when Michael Dukakis wore a helmet and rode around in a tank to prove his national-security bona fides. The furor died down pretty quickly—for now—but it was one more element in a budding storyline, nurtured by conservatives, that is calculated to paint Obama as somehow "other," not a red-blooded American, not one of us.
オバマの異端視を謀る保守強硬派
オバマの「問題の写真」事件は、マイケル・デュカキスが治安体制への侍精神を見せつけようとして、兵士のヘルメットを冠って戦車を乗り回して失笑を買った一件とは、一線を画する。この騒ぎはきわめて迅速に治まった。あくまで今のところは、だが。それというのも、このエピソードの支流のようなもうひとつの騒動が派生したからである。それはオバマをなにか生粋のアメリカ人、われわれと同じ人間とは異なる「異邦人」として色付けしようと計算された企みだった。
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この事件というか勇み足は、マケイン支持者のニュースアンカーが、すでに過去にも何度も話題にのぼったオバマのミドルネーム「フセイン」を、マケイン支持集会で事を荒立てるように連呼した出来事である。しかし「人種差別」と指摘するメディアの猛烈な批判を怖れて、マケイン自身が記者会見で正式に謝罪し、事なきをえた。さらにはマケインが、保守派のメディアから「弱腰」と叩かれるおまけまでついた。

12. Clinton's 'state of denial'

The much vaunted Clinton campaign operation, billed as the biggest, baddest game in town, had no post-Super Tuesday strategy because its leaders apparently didn't think one was needed. Whether that's due to arrogance or ignorance, it's the campaign equivalent of what President Bush did in invading Iraq without a post-Saddam plan.
クリントンの「否定の帝国」
昨年発足当初は賞賛の的だったクリントンの選挙運動は、ワシントンでも最高のスタッフをそろえ最強の戦略を展開してきたはずだった。しかし選挙参謀は(それまでにはヒラリーが首位確定するだろうから)明らかにその必要がないと判断したためだろうか、2月5日以降のポスト・スーパーチューズデーの戦略を用意していなかった。その判断が傲慢から出たものか、現実を無視した結果なのか、いずれにしろクリントン陣営のその体勢は、ブッシュ大統領が「ポスト・サダム」プランを用意せずにイラク侵攻に踏み切った体制と、軌を一にする。
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ヒラリーの有力支持者のひとり、メキシコ系女性票を握るニタ・ロウイー議員。この応援演説のあと興奮しすぎて実際に失神した。どうもクリントン陣営にはこういう血気盛んな女性が多く、ヒラリーを始めジョークの種に事欠かない。

13. Obama's eleven consecutive victory

The primaries are in a very true sense a practice run for the White House, and if you emerge with high marks, as Obama has, it's a pretty clear statement of the kind of government you would run. Obama has shown a steadiness in demeanor and message.
オバマ、予備選11州連勝の理由
「プライマリー/予備選」とはまさに真の意味で、ホワイトハウスへと登竜する人物の資格として「予め体制を備える」ために、国民との直接のふれあいを通して政治のシステムを身をもって習得していく過程にちがいない。そこでもし高い得点を取得できれば、ちょうどオバマが行く先々で証明したように、それは「どのような体制の政府で政治を実践したいのか」という、かなり明快な宣言でもありうる。オバマは(真の民主主義を実現しようとする)たゆまぬ意志を、その果敢な態度とメッセージの中で一貫して体現してきた。

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オバマの演説会は、どの州のどの都市でも「市の歴史始まって以来」という聴衆が雲霞のごとく集まる。数万人という数なのでスタジアムなどで実施されるが、それでも入りきれない市民が会場の外にあふれる。これはその一場面で、中での演説を終えたあと会場の外の群衆にも同じく演説を施すバラク・オバマ。ちなみにクリントンの演説会は2千人前後、共和党ジョン・マケインの演説会は300〜600人前後というデータが出ている。マケインの場合は常に、高級ホテルのパーティー会場で資金集めのチャリティを兼ねて実施されることが多いせいかも知れない。

14. Confusing sprit personality

Clinton has blown through $120 million dollars, and her persona is more confused than ever. A USA Today cartoon captures the shifting moods with a political weather map and a "Five-day Hillary Forecast: Monday…Friendly; Tuesday…On the attack; Wednesday…Complimentary; Thursday…Hostile; Friday…Conciliatory."
バイポーラーの分裂症的性格露呈
ヒラリー・クリントンは、1.2億ドル(約140億円)も費やした挙句、彼女の人格は以前にも増して不可解な混迷の印象を与えるに終わった。『USA Today』紙に載ったマンガが、彼女の気性の激しい変わりようを政治の天気予報として次のように揶揄していたのは、まさに痛いところをついている。 「ヒラリー地方の5日間の予報:月曜…フレンドリー/火曜…攻撃モード/水曜…ごますり/木曜…敵意むき出し/金曜…仲直り」
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CNNの討論会の最後では「バラク・オバマとこうして肩を並べられて光栄です」などとしおらしく謙遜の態度に出て各方面から賞賛されたのに、その翌々日にはバラク陣営のチラシを手にして悪名高い「Shame on you=恥を知れ!」を絶叫。記者団を介して「Meet me in Ohio=オハイオ(の討論会)で会おうぜ」と捨て台詞。これはよくチンピラの喧嘩で「Meet me outside=外に出てカタつけよーじゃねーか」という時に使う常套句で、ご婦人の口からこの啖呵が出たのには、さすがのアメリカ人にもショックだったようだ。ニュースチャンネルではこのシーンをハイライトとして全番組がこぞって扱ったために、すっかりこのヒステリックな態度が「バイポーラー・ヒラリー」(分裂症的・二重人格傾向のヒラリー)として定着してしまった。それにしてもチラシの内容は「クリントン時代に認可したNAFTAの貿易規制緩和のおかげで、中国やカナダ製品に押されて国内産業が不景気に陥った」というきわめてもっともな批判の内容で、「恥を知れ!」はむしろオバマがクリントンに投げかけてもいい台詞だった。しかし、彼の場合は知性が邪魔をして、決してそんな暴言は吐けない良識の人なので安心。

15. Judged by a double standard

Clinton thinks she is judged by a double standard, or by a standard that can't be met. As the first woman to seriously contend for the presidency, she's required to be two things at the same time: the tough commander in chief and a guardian of home and family values. The two don't easily go together, and there is no obvious precedent.
大統領に求められる内柔外剛の両面
クリントン自身は、彼女はダブルスタンダードで評価されて損だとこぼす。もしくは割に合わない物差しで測られるとも。大統領の座を狙う有力候補としては米国政治史上初めての女性として、彼女にはふたつの条件が同時に問われる。タフな精神の戦時大統領としての全軍指揮官と、家庭・家族の価値を護る守護神の、二つの役割である。両者はなかなか、たやすく同時に実現できるものではない。またこれといった先例の大統領も存在しない。
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この写真を見るたび、この人が大統領にならなくてよかったと胸をなでおろす今日この頃である。まだ3日早いが…

16. Thatcher had a great toughness

When it comes to toughness, former British prime minister Margaret Thatcher comes to mind. She famously warned former President Bush not to go "wobbly" before the first Persian Gulf War. It was said of her, not entirely tongue in cheek, that she was the only man in the cabinet.
女性宰相の鑑サッチャー元首相
「タフな宰相」の代表と言えば、英国のマーガレット・サッチャー元首相がまず頭に浮かぶ。第一次湾岸戦争の直前に、彼女が元ブッシュ大統領(パパブッシュ)に対して「攻めるならまごつかずに斬り込め」と忠告したのは、有名な話である。全く歯に衣着せずに言えば、これは彼女が友軍首脳部の中で唯一の「男」だった事実を物語るエピソードである。
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「プロのポリティカルビジネスマン」として定評ある夫君ビル・クリントンは、先週オハイオ・テキサス両州の予測について記者から質問を受け「大人数の代議員を抱える両州で(ヒラリーが)勝たなければ、It's through=終わった」とけっこう冷静な発言をして注目された。ということは、すでに彼の心中では「ヲワタ」の状況なのかも。

17. Not being American Thacher

But Thatcher wasn't married to a former prime minister. Clinton wouldn't have brought her husband into the campaign so publicly if she didn't need him. It's like calling in the National Guard after the Panzer Division fails, quips a friend of Bill and Hillary. It's unclear how many ground troops would be needed to save Hillary's campaign now.
サッチャーになれなかったヒラリー
しかしサッチャー夫人は、元首相の妻ではなかったが首相に選出された。一方クリントンは、彼女の夫君をこれほど公然と選挙運動に参加させるつもりはなかったらしい。もっとも必要としなければの話だが、実際はそうはいかなかった。それはまるで、第二次大戦のアフリカ戦線でドイツ軍のパンツァー戦車隊が負け戦の後に、米軍のナショナルガードを呼んだようなものだ、とビルとヒラリー両者をよく知る友人が例えていた。しかし今となっては、ヒラリーの選挙戦を救うためにいったいどれほど多くの地上軍が必要なのかさえ、さだかではない。 [了]
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»» 次号「オバマとクリントンの選挙戦略比較論・トレンドはマイクロからマクロへ」に続く
【米国時間 2008年2月29日 『米流時評』ysbee 訳】
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by ysbee-2 | 2008-03-01 18:00 | 2008年米国大統領選
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