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GDPに見る日本とグローバル経済の神話と現実

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  ||| GDPに見るグローバル経済比較論 |||

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国民総生産のマジックに隠れた 米国経済のインフラ消耗の実相
GDPとパーキャピタが一致する、健全な日本経済と消費の底力


米国時間 2008年3月13日 | エコノミスト・ロンドン発 | 訳『米流時評』ysbee
アメリカ経済と日本経済。過去5年間でどちらの国が最良の経済実績を上げただろうか? 
こう質問すると、大概の人はアメリカを挙げる。通常の解釈では、日本経済が蝸牛の歩みでのろのろと進んでいたのを横目に、アメリカの(サブプライムローンを中心とする空前の)活気ある景気が先頭をきっていた印象を受けるからであろう。もっともその実態は今振り返って見ると、現在バブル崩壊で苦痛にあえぐクレジット企業とハウジング産業によって焚き付けられた現象に過ぎなかったのだが……
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Grossly Distorted Picture
If you look at GDP per head, the world is a different and better place

MARCH 13, 2008 | ECONOMIST — Economics Focus | Translation by ysbee
LONDON — WHICH economy has enjoyed the best economic performance over the past five years: America's or Japan's? Most people will pick America. The popular perception is that America's vibrant economy was sprinting ahead (albeit fuelled by credit and housing bubbles that have now painfully burst), whereas Japan crawled along at a snail's pace.

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MARCH 13, 2008 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版GDPに見る日本とグローバル経済の神話と現実_f0127501_6213945.jpg
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 E C O N O M I S T | F O C U S

GDPのギャップが生んだグローバル経済の神話と現実
米国時間 2008年3月13日 | エコノミスト・ロンドン発 | 訳『米流時評』ysbee
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1. Japan's economy really in bad shape?

And it is true that America's average annual real GDP growth of 2.9% was much faster than Japan's 2.1%. However, the single best gauge of economic performance is not growth in GDP, but GDP per person, which is a rough guide to average living standards. It tells a completely different story.
日本経済はアメリカの不況よりもひどいのか
こうした先入観を裏付けるように、アメリカの実質的国民総生産の伸びは、この5年間平均で年間2.9%を記録し、たしかに日本の2.1%よりも、かなりのスピードで伸びた事実を示している。
しかしながら、経済実績を計測する唯一最高の物差しは、国民総生産GDPではなく、国民一人当りの生産高/パーキャピタである。この数値によってその国の国民の生活水準の平均が、おおよそではあるが導きだされるからである。アメリカと日本のその数字を比較すると、前述の予測とはまったく異なる結論が現れる。
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2. U.S.'s GDP gap between per capita
GDP growth figures flatter America's relative performance, because its population is rising much faster, by 1% a year, thanks to immigration and a higher birth rate. In contrast, the number of Japanese citizens has been shrinking since 2005. Once you take account of this, Japan's GDP per head increased at an annual rate of 2.1% in the five years to 2007, slightly faster than America's 1.9% and much better than Germany's 1.4%.
米国の国民総生産のギャップ
国民総生産の伸び率は、アメリカが実はまあまあの出来に過ぎなかったという事実を底上げして見せる効果があった。なぜなら、米国の人口増加率は日本のそれと比べて急激に増え、この5年間毎年平均で1%ずつも増加してきたからである。その原因は、移民の急増と出生率の増加のおかげである。それとは対照的に、日本の国民人口は2005年以来減少する一途である。
この事実に気がつけば、日本の国民一人当りの生産高は、2007年までの5年間に年平均2.1%で増加してきていたことが判る。この数字は、アメリカの1.9%よりもやや上で、ドイツの1.4%と比べるとかなり良い数字を上げてきていたのである。
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3. Japan's GDP per person at No.2
In other words, contrary to the popular pessimism about Japan's economy, it has actually enjoyed the biggest gain in average income among the big three rich economies. Among all the G7 economies it ranks second only to Britain (see left-hand chart).
日本は実質的に世界第2位
こうした事実を換言すれば、日本経済に関して国際的に敷衍している悲観的観測とは逆に、日本は実際には世界の三大経済大国の中でも、国民一人当たりの平均収入においては最高の増収を享受してきたわけである。G7加盟国の中では、パーキャピタで見る限り世界第2位で、唯一英国に首位を譲っているだけである。
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国民総生産とパーキャピタの比較グラフ:左は各国別伸び率の比較/右は過去50年間の伸び率の比較

4. GDP gap in Australia

Using growth in GDP per head rather than crude GDP growth reveals a strikingly different picture of other countries' economic health. For example, Australian politicians often boast that their economy has had one of the fastest growth rates among the major developed nations—an average of 3.3% over the past five years. But Australia has also had one of the biggest increases in population; its GDP per head has grown no faster than Japan's over this period.
米国型のオーストラリア
国民総生産の成長率よりもむしろ国民一人当りの生産高を引き合いに出せば、米国、日本以外のグローバルな各国も、その国の経済の健康を見極める上で驚くほど異なる様相が見えてくる。その好例として、オーストラリアの政治家は、自国の経済は主要先進国の中でももっとも成長率の高いグループに属しているとしばしば自慢する。確かにGDPを見る限りでは、5年間で平均3.3%以上の成長率である。しかしながらオーストラリアもまた、人口増加率ではトップクラスの国でもある。従って結果的には、国民一人当たりの生産高の成長率は、同じ期間の日本のそれと比べてひけをとるのが事実である。
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5. Likewise in Spain, Germany
Likewise, Spain has been one of the euro area's star performers in terms of GDP growth, but over the past three years output per person has grown more slowly than in Germany, which like Japan, has a shrinking population. Some emerging economies also look less impressive when growth is compared on a per-person basis.
スペイン、ドイツの場合
同様にスペインも、GDP成長率という分類ではユーロ通貨圏内でもスターに位置づけられる国のひとつだった。しかし過去3年間にわたって、国民一人当りの生産高の成長率は、人口減少の傾向を示す日本と似た態勢の西ドイツよりもはるかに低い数値を示している。また、一見急上昇したかに見えるその他の国でも、パーキャピタの数字データで比較すると、さして目立つほどの増加ではないことが露呈する。
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6. In BRICs and Russia
One of the supposedly booming BRIC countries, Brazil, has seen its GDP per head increase by only 2.3% per year since 2003, barely any faster than Japan's. Russia, by contrast, enjoyed annual average growth in GDP per head of 7.4% because the population is falling faster than in any other large country (by 0.5% a year).
ブラジル、ロシアの場合
本来であればブーム景気を呈しているはずのBRICに属する諸国のひとつブラジルは、2003年以来パーキャピタがわずか2.3%しか増えていない。日本の増加率と比べてもたいして増えていないのである。しかし、それとは対照的に、ロシアは一人当りの生産高の成長率が年間平均7.4%という、驚異的な伸びによる繁栄を享受している。その理由は、ほかのどの経済大国よりも急速に人口が減少しているからに他ならない。(ロシアの人口減少率:年間平均0.5%)
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7. In China, India
Indians love to boast that their economy's growth rate has almost caught up with China's, but its population is also expanding much faster. Over the past five years, the 10.2% average increase in China's income per head dwarfed India's 6.8% gain.
中国、インドの場合
自国の経済成長を伸ばすのに夢中のインド人は、GDP成長率ではほとんど中国の数値に追いつく勢いであるが、インドの人口増加率も相変わらずの勢いで増えている。したがって過去5年間の両国をパーキャピタで比べてみると、年平均10.2%を記録する中国が、インドの6.8%をはるかに引き離してトップを独走する。
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8. World GDP grown by 4.5% per year
Focusing on GDP per person also affects comparisons of economic health over time. During the past five years, world GDP has grown by an average of 4.5% a year, its fastest for more than three decades, though not as fast as during the golden age of the 1960s when annual growth exceeded 5%.
グローバルなGDP平均は年4.5%増
国民一人当りの生産高に焦点を当てて検討することは、長期的展望で各国の経済の健全性を比較する上でも、大いに効果的である。過去5年間にわたって、世界全体のGDP成長率は年間におしなべると、およそ4.5%/年という数値が出る。1960年代に世界的に及んだ戦後の好景気ブームで、年間の上昇率が5%を越えた黄金時代には及ばないが、4.5%という数字は過去30年以上に遡っても最高の成長率である。
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9. Record in the Income per capita
But the world's population is now growing at half of its pace in the 1960s, and so world income per head has increased by more over the past five years than during any other period on record (see right-hand chart above). Mankind has never had it so good.
記録破りの一人当たりの収入
しかし世界の人口増加率は、1960年代のベビーブーム時代のペースと比べ、今やその半分程度のパーセンテージである。しかも、世界の一人当りの平均所得は、記録にある限り、過去のどの時代にもありえなかった数字にまで達した。(前出の右側のグラフ参照)とどのつまり我々は今、人類がいまだかつて経験したことのないほどの好景気の真っただ中にいるのである。 »» 続く

【米国時間 2008年3月13日 『米流時評』ysbee 訳】
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»» 次号 エコノミスト続編「ミレニアム型のニュー・リセッション」へ続くGDPに見る日本とグローバル経済の神話と現実_d0123476_1023580.jpg

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by ysbee-2 | 2008-03-13 19:12 | グローバルビジネス
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