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カブールで朝食を・オバマ視察旅行2日目

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    ||| オバマのアフガン共闘宣言 |||

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オバマの研修旅行2日目:カルザイと会談後、アフガン戦線共闘宣言
巨額の軍事援助を反故にタリバン側と妥協したパキスタン政府を批判


米国時間 2008年7月20日 | AP 通信・アフガン支局発 |  訳『米流時評』ysbee
アフガニスタン・カブール発 |米国大統領選の民主党候補バラク・オバマ上院議員は、現地時間で20日日曜、海外歴訪最初の訪問地アフガニスタンの首都カブールで、カルザイ大統領を始めとするアフガン政権と会談した。オバマ候補はその席で、テロ戦争の本来の目的を遂行するために(イラク戦線ではなく)アフガン戦線に一刻も早く(軍事物資両面での)米国からの支援を送りたいと、親米派のカルザイ大統領に表明したと、会談に同席したアフガン高官の消息筋は伝えている。

Obama Pledges Steadfast Aid to Afghanistan
Day 2: Presidential hopeful meets with troops, Karzai in Kabul

JULY 20, 2008, 2:40 p.m. | Associated Press — AFGHANISTAN | Translation by ysbee
KABUL, Afghanistan — Democratic presidential candidate Barack Obama pledged steadfast aid to Afghanistan in talks Sunday with its Western-backed leader and vowed to pursue the war on terror "with vigor" if elected, an Afghan official said.

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JULY 20, 2008 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版カブールで朝食を・オバマ視察旅行2日目_f0127501_6213945.jpg
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A S S O C I A T E D P R E S S | A F G H A N I S T A N

オバマの研修旅行2日目:カルザイと会談後、アフガン戦線共闘宣言
米国時間 2008年7月20日午後2時40分 | AP 通信・アフガン支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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1. Meet with Karzai in Kabul
文字数制限のため英文省略
2日目:カブールでカルザイと会談
一般にはイリノイ州出身のオバマ候補の外交経験を補足するためと解釈されている、今回の3人の上院議員の海外視察団は、旅程2日目の目的地であるアフガニスタンの首都カブールでハミド・カルザイ大統領官邸を訪問。オバマ氏は、2001年のアフガン侵攻によってタリバン政権が崩壊して以来、一旦はテログループの活動が鎮静したかに思われたが、ここ数年はまた勢力を挽回してアフガンの治安が一向に向上しない現状に対して、オバマ候補は過去にカルザイ政権の不徹底を批判したこともあった。
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3日カブールで、タリバン政権以前のアフガン王政時代に権勢を誇った軍司令官の葬儀に参列するカルザイ大統領

2. Salute to the U.S. troops overseas

文字数制限のため英文省略
アフガン駐留の米兵を激励
オバマ候補はカルザイ大統領との会見後、正式の記者会見は行なわなかったが、記者団には声明書を手渡した。その中でオバマ氏は、彼のアフガン訪問の主な目的は現地駐留の米軍慰問であると述べ、日夜現地でテロ掃討に従事する米兵の卓越した奉仕精神に感謝の意を表し、米国が彼らを誇りに思っている事実を直接伝えたいためと語っている。オバマ氏はまた、視察団の一行はアフガン政府の指導者や軍事・外交のトップと、タリバンやアルカイダを掃討するために必要な、適正な戦略と軍事援助について話し合ったことを明らかにした。
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給油で立ち寄ったカタールの米軍キャンプ/最初の目的地カブールのキャンプ・エジャースで駐留米兵を慰問

3. Joint statement by 3 senators delegation

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上院議員視察団のアフガン共同声明
視察団の3人の上院議員、イリノイ州選出バラク・オバマ議員(民主)、ネブラスカ州選出チャック・ヘーゲル議員(共和)、ロード・アイランド州選出ジャック・リード議員(民主)は、今回のアフガン政府指導者との会談の後、次のような共同声明を発表した。
「アフガニスタン政府へ送る我々視察団からのメーッセージは以下の通りです:アフガニスタンに関して、我々はあらゆる面で現在以上になるよう要望する。米軍とNATO軍からは、今まで以上の軍事的援助を。また、アフガニスタン国民の生活水準が向上するよう、アフガン政府に対しては現在以上の政策を鋭意実行されるよう望む。」
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19日アフガニスタンで最初のジャララバードでの会談では、アフガン南部の地元の州知事らから現地の窮状を聴取

4. 'Urgent acts against threat of Taliban, al-Qaida'

文字数制限のため英文省略
テログループの脅威に緊急対処
「われわれ(米国とアフガニスタン両国)は、以上の案件を早急に行動に移す必要がある。なぜなら、タリバンとアルカイダによる攻撃の脅威は日に日に増しており、政策は直ちに実行に移さねばならない。この政策には確固とした決断と忍耐が必要だ。なぜなら、この目的が完遂されるまではある程度の年月を要するからである。しかしながら、この軍事政策が正しい戦略と軍備で裏打ちされるならば、使命は達成できるだろう。」
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今回の外遊は上院議員の視察旅行団の一員としてだが、副大統領候補のひとりに挙げられる共和党チャック・ヘーゲル議員(左から二人目)民主党ジャック・リード議員(右から二人目)も参加。両議員とも軍事に強い超党派議員。

5. 'Commitment to support Afghanistan'

文字数制限のため英文省略
「アフガン支援とタリバン討伐完遂を約束」
アフガニスタンのカルザイ政権は、オバマのメッセージをポジティブに受け取っている。大統領スポークスマン、フマユン・ハミザダ氏は、カルザイ大統領の意向を記者団に次のように公表した。
「オバマ議員はきっと、テロリズムと闘う戦争を強力に推進してアフガニスタンを支援していくことを、本気で継続していってくれるでしょう。民主党も共和党も、どちらもアフガニスタンの味方です。大統領選でどちらの党の候補が勝つにしても、アフガニスタンは米国のきわめて頼りになる同志であることに変わりありません。」
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米・NATO軍に協力したというだけの理由で、タリバンによって公開の斬首刑にされた辺境自治区の村民。生命保険も何の保証制度もないこの国で唯一残された手段……犠牲者の父親に見舞金を直接手渡すカルザイ大統領

6. Afghanistan a centerpiece of his strategy

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ア・パ国境地帯がオバマのテロ戦争戦略の焦点
オバマ氏はまた、テロの脅威に対処するために彼が提案した新しい米国戦略の焦点はアフガニスタンにあり、この地域での成否がテロ戦争の成功を左右する鍵を握ると明白にした。イリノイ出身の46才の上院議員は、タリバンとアルカイダ系列の軍閥が復活しているアフガニスタンとパキスタンが国境を接する地帯には、これまで以上の軍隊と今以上の政策上の留意が必要であると述べた。
この主張は、上院議員に選出される以前からオバマ氏が反対し続けてきた、イラク戦争に対する政策とはまったく逆の立場をとる意見であり、イラク増兵に拘泥しイラン攻撃を示唆する共和党のジョン・マケイン候補とも、中東と中央アジアという戦略の焦点の相違で、まったく対照的な立場をとっている。
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タリバンシンパの辺境部族と和平交渉を結んだパキスタンのパシュタン部族自治区はイスラム過激派ゲリラの別天地。「ジハディスタン」「タリバニスタン」とも別称されるこの国境地帯から、アフガニスタンへフリーパスで流入するジハディスト(イスラム聖戦の戦士)があとを絶たない。
『米流時評』テロ戦争関連記事シリーズ: 「グローバルウォー」「テロとスパイ・陰謀」
「アルカイダ 2.0・核のテロ」「アフガン・タリバンの復活」「パキスタン戒厳令の季節」

7. Urging to send more troops immediately

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2連隊増強して戦局の危機に対応
20日日曜に米国のネットワークで放映されたインタビューで、オバマ氏は当地の状況は治安崩壊の一歩手前であり、それを防止する緊急措置が必要であると説く。その理由として、米国が今まで以上の兵力を派遣するために必要な政策の議案提出や決議の経過を待てないほど、事態は危機に逼迫しているからだと説明した。イラクの兵力増強のために派兵された兵力が、一応の治安をみて撤退へと方向転換する時期にさしかかりつつある現在、オバマ氏は同様の効果を生み出すためにも、急遽2連隊をアフガンへ差し向けるべきだと主張した。
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米軍のアフガン戦線はNATO軍ISAFの掃討作戦に2万1千人、ANAアフガン自衛軍と混成の治安部隊に1万5千人

8. Number of attacks increased 40%

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今年に入ってから4割も激増したテロ攻撃
ペンタゴン高官の情報では、アフガニスタン東部の米軍兵力がもっとも多く配備されている地域では、昨年同時期と比較して、今年に入ってからだけでもタリバン側の攻撃件数が40%も激増しているという。イラク駐留軍の最高司令官デービッド・ペトラエアス将軍が、19日土曜AP通信の記者に語ったところによると、イラク駐留米軍の集中的ゲリラ掃討作戦の結果、イラクで活動していたアルカイダ(イラク・アルカイダ戦線)が、このテロリストグループ本来の生まれ故郷であるアフガニスタンへと撤退して当地で攻撃を展開したため、ここ2か月というもの、アフガン戦線での米軍の戦死者がイラクでの数を上回る結果を招いたと、米軍では分析している。
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一昨年来タリバンやアルカイダ第2世代の台頭が著しいア・パ国境の辺境自治区はゲリラが跋扈して無政府状態に近い

9. Weariness with efforts by Pakistan

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テロ戦争でのパキスタン側の甘さを懸念
オバマ氏はまた、この国境地帯でテロリストを掃討するためには、アフガニスタンの隣国パキスタンがとる対応策を、大いに懸念している。パキスタン軍部の不徹底に対する不満は、「パキスタン政府軍の諜報部門がタリバンの軍事行動を陰で支援していると非難するカルザイ大統領と、軌を一にする見方かも知れない。もっとも、パキスタン側ではこうした非難を否定してはいるが。しかしながらオバマ氏はまた、過去のある時点ではカルザイ大統領とその政権に対しても、「塹壕から出て闘う努力をせず、国家の統制もとれないため、議会と警察の組織確立にはほど遠い」と厳しい評価を下していた。
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パキスタンの新政権樹立以来初めて、今月上旬訪米してライス国務長官と会見したクレシ外相。しかし新政権がタリバンシンパ辺境長老や軍閥と結んだ和平条約が仇となり、中央政府の取締りが弱体となった国境を越えてタリバン戦士がアフガニスタンへ大量流入。連日襲撃・テロ事件が激増している。にもかかわらずクレシ外相は「タリバン対策は国内問題だから口出しするな」と米国側に釘を刺した。その発言が傲慢と解釈されブッシュ政権の逆鱗にふれる結果に。

10. U.S. force shift from Iraq to Afghan

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イラクからアフガンへの戦力シフト
オバマ氏は「米軍撤退によって、米軍のかかわるイラク戦争は終結しよう」という論陣を張る第一人者であるが、撤退期間として就任してから16か月以内に全軍撤退をめどとし、毎月1〜2連隊ずつ引き上げる設定を提案している。しかし、その一方では「アフガン戦線への米軍は増強」と、テロ戦争の本来の戦場で徹底的に闘うことを主張する。オバマ氏の具体的提案では、アフガニスタンへ2連隊、兵力にして7千人増強をうたっている。
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シルクロードの中継拠点として古来栄えたアフガン南部の都市カンダハールや首都のカブールも、20世紀来主な戦闘だけでも、80年代のソ連のアフガン侵攻をはじめ、タリバンの征服、米軍主導テロ戦争のアフガン侵攻と、数十年にわたる数回の戦乱で荒廃したまま。写真は昔から中央政府に従わない自立と反抗精神で名高い、パシュタンをはじめとする辺境民族の軍閥が割拠しているカイバー峠付近の村落

11. Obama one step ahead of nation

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米国の方向転換に先行したオバマの指針
一方マケイン候補は、ことあるごとに「オバマ議員はイラクやアフガンには大した時間をとっていない未経験者である」と批判していた。またイラク戦争に固執しイラン攻撃を示唆する発言もたびたび漏らしていたが、今週になってから「打ち続く戦争で疲弊したこの国アフガニスタンに対して現在以上の兵力を増強するべき」という、旧来からのオバマ氏と同じ方針に急遽変更した声明を出した。
オバマ氏は「イラク撤退・アフガン重視」の軍事戦略を、選挙戦よりもはるか以前の2003年から主張していたが、図らずも米国の軍事方針を決定するペンタゴンから、先週ついにオバマの主張と同一路線の方向転換が発表された。そして、最終的にマケイン候補からも同様の声明が出されたのは、ペンタゴンが方針変更を発表してから数日経ったあとであった。 [了]

【米国時間 2008年7月20日 『米流時評』ysbee 訳】
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5・6月と2か月連続で戦死者がイラク戦線を上回ったアフガン戦線の危機に、ペンタゴンも蒼白。9/11以来数百億ドルをテロ戦争で共闘する軍事援助金として投下してきた米国としては、パキスタン新政権のテロリストに甘い政策転換で飼い犬に手を咬まれた状況。上述のクレシ外相の「ほっといてんか」宣言の直後、ペンタゴンではパキスタンを切り捨て、隣国アフガニスタンにテコ入れする方針へとテロ戦争戦略の大転換をした。

»» 次号 特集『オバマドクトリン』
    第1章「オバマの外交戦略 アメリカが変わる、オバマが変える」
    第2章「オバマの軍事戦略 核とテロの脅威に対応する米国の新戦略」へ続く
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by ysbee-2 | 2008-07-20 10:12 | 2008年米国大統領選
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