米流時評

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オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」

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  ||| 第6章 アメリカの大いなる挑戦 |||

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「米国経済の大いなる挑戦」オバマ次期大統領、初の公式記者会見
変革のスローガンCHANGEから山積する問題にCHALLENGEへ


d0123476_18552829.gif「CHANGE」このスローガンをひっさげてオバマが大統領選に立候補宣言をしたのが2007年の2月。それから党公認候補として指名されるまでの長い長い予備選を、最大の強敵ヒラリー・クリントンと各州ごとに一進一退の「死闘」を重ねた末、盛夏のコロラドの民主党全米大会で公認候補の栄誉を受けたのがふた月半前。
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その長い1年半の間に、オバマの知性に印象づけられ、人柄を敬愛し、公約の真価を認めて「YES, WE CAN.」と叫ぶ群衆が、わずかなコアのマイノリティから、全米が青く染まるような社会運動にまで発展してきた。
国民ひとりひとりとのダイレクトな結びつき。オバマのキャンペーンスタッフに、インターネットを選挙媒体として駆使するノウハウを熟知した、クリエーティブとITテクとマーケティングのエキスパートを揃えたことが、オバマというラフダイアモンドを磨き上げるための最強の武器になったのかも知れない。
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ルーズベルトがラジオを駆使し、ケネディがテレビを活用したように、メディアを制する者は、選挙戦も制する。従来までの地縁・人脈を頼り寄金パーティに明け暮れる、共和党型の旧態依然とした選挙運動と手を切り、社会を構成する個人ひとりひとりと、サイトでのネットワークで心情的にも結束してゆく。ここがこれまでのどの政治家とも異なるオバマの原点であり、バーチャルで無限に増殖する有機体のようなキャンペーンの、最強の政治の砦となった。
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政治的活動でのオバマ・モデルは、常に現場の要求を吸収して改革し進化する、ポリティカルな生物のイノベーションの歴史を見るようだった。オバマの選挙キャンペーンが「メタ・エレクション・キャンペーン」(どこまでも進化し続ける選挙運動) と呼ばれる由縁である。
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そして強敵クリントンの執拗な追撃と、老練マケインの卑劣な誹謗中傷を乗り越えて、ついに勝ち得た栄冠! 第44代アメリカ合衆国大統領のタイトルは、この国始まって以来220年を経て、初めてマイノリティの手に渡される。来年1月の就任式までは「President-Elect」次期大統領という肩書きで、レームダックのブッシュ政権からのアメリカンビジネスの引き継ぎに費やされる。
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選挙の最終投票日が4日の火曜日。2000年のブッシュ・ゴア戦で数ヶ月尾を引いた勝敗の結論。あのときのフロリダ開票の悪夢とは打って変わって、今回は開票が始まってから4時間足らずで決着がついた。いかにもオバマらしい、実に明快・迅速で鮮やかな結論だった。
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地元のシカゴは元より、ニューヨーク、ワシントン、ロス、ベガス……そして地球上のありとあらゆる国で、自由と民主主義を尊重する群衆が、国境を越え人種を越えて勝利の歓声を挙げた。
テレビで70過ぎの老練の評論家がつぶやいた言葉、「こんなシーンは映画でしか見た事がない。いや、第二次大戦が終わった時と、宇宙飛行士のアームストロングが月面に降り立った時がこんな風だった。」
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私も確かに月面着陸の時はよく覚えている。学校の夏休み直前で、世界中で5億人以上がこの時のサテライト同時ライブ中継の映像を、固唾を飲んで見守った。ソ連がスプートニクでライカ犬を飛ばしてからわずか3年後の快挙で、まさに「人類の進歩」を目の当たりにする思いだった。モノクロのノイズの多い画面で、宇宙飛行士の「人類の大きな第一歩」が、月の表面にぴょんと降り立った瞬間に、地球のあらゆる国の人間が感動をひとつにして歓声を挙げたのが聴こえたような、あのときの一体感を、今でも忘れない。
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それから42年。その間、ベトナム戦争、コソボ戦争、アフガン戦争、イラク戦争と、めぼしい戦争を4つ経てきている。しかし、そのうちのふたつのテロ戦争が、わずかここ7年間のブッシュ政権の元に、同時進行で押し進められてきたものだ。米軍の兵力も米国の国庫も疲弊した。
イラクやアフガニスタンの最前線で、今日もAK47の銃弾やらIEDの爆破やらの攻撃を生き抜いて、この無用な戦争の終りを文字通り命がけで待ち望んでいる20余万の米軍兵士たち。ブログでもデモでも、オバマを支援する兵士のグループを数多く見てきた。特にイラク戦線兵士の「この戦争は間違っている。一刻も早く方向を変えてくれ!」という声は、オバマのCHANGEと呼応して増幅した。
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ここで流れを変えなければ、アメリカは経済的にも精神的にも滅びる。この危機感が「CHANGE」を最大の盾として現政権を打ち破った、今回のオバマの最大の勝因だろう。彼が闘った相手は、何もマケインひとりではなく、共和党だけでもなく、戦後以来ワシントンの政界で無限に増殖し続けたロビイストと政治家の癒着と腐敗の構造「アメリカのアンシャンレジーム」そのものだった。
有権者のひとりひとりに訴えかけ、ほとんど毎日のメールでダイレクトに結びつき、わずかな金額からでも寄金を受けつけた結果、前代未聞のキャンペーン資金が寄せられ、全米で800万人以上がこの運動に参加した。「勝利は与えられるものではなく、勝ち取るもの」当初絶対に不可能と予測されていたオバマの勝利が実現した裏には、この闘争の黄金律が時代を超えて輝いている。
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しかし勝利の美酒に酔いしれる暇もなく、2日目の昨日は、大統領側近のトップにあたるWhite House Chief of Staff=大統領首席補佐官に、オバマと同じく民主党シカゴ出身のラーム・エマヌエル下院議員が指名された。彼は民主党の選挙戦の金庫番、「ワシントンのランボー」と呼ばれる、ばりばりのやり手である。06年の総選挙で民主党議員の大量得票に資金付けした功績も大きい。
頭脳明晰、人脈も豊富で、上下両院の両党に顔の利く実践主義者。会社人事で言うと「幹事型」のポリティカルビジネスマンなので、オバマの手足となって稲妻のように両院を走り回る姿が、容易に予想できる。
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そして来週月曜には、ホワイトハウスでブッシュ大統領との公式会見があるが、その前にすでに、CIAなどの諜報機関から、新しい大統領職に対する諜報部門のブリーフィングが行われた。よくSF映画で、新しい大統領が宇宙人やUFOと引き合わせられる、例の場面である。もちろん、現実にはそういうエンタメ(?)はなかったとは思うが、それから数時間も経たずに、次期大統領としての最初の公式記者会見があった。
内容は所信表明のブリーフィング的な政策方針の方向性を示すものに過ぎないが、質問する記者団の方が昨日までの2年間オバマの遊説旅行について回った「オバマ番」のレポーターなので、まだ「オバマ大統領」の実感が湧かない。記者とのやり取りは別枠で詳説するが、それでもオバマの後ろにずらりと並んだ、彼の「エコノミストチーム」である経済政策顧問のメンバーが壮観だった。
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そして、いつも平明な言葉で率直にズバリと言い切る、彼の所信表明の第一声は「CHALLENGE」だった。選挙戦のスローガンとして首尾一貫して貫いてきた、時代の流れを変えようという「CHANGE」から、実行段階の「CHALLENGE」へ。オーケー! もはやアメリカ人は、クラウチングスタートから腰を上げて、アメリカの新しいコースへダッシュしようとする段階だ。
Challenge! 挑戦。しかも「The Greatest Challenge」である。彼がいつも遊説演説の中にはさんできた、アメリカのThe Greatest Generationと呼応する呼びかけだ。大恐慌から第二次大戦をくぐり抜けて、アメリカを世界最大の国に押し上げた世代。現在の若者の祖父母の世代である。つまり「我々の先代の世代が恐慌と戦争を乗り越えてきたように、われわれももう一度、この傷だらけのアメリカを再興させようじゃないか」という呼びかけが、わずか3語で言い尽くされている。そして時代はまさに、ふたつの戦争とグローバル恐慌の真っ只中だ。
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方向は見えた。姿勢も構えた。さあ、これからの実際の政策を待とう。………今日のオバマの第一声を聞いたアメリカ人は、みな真摯にそう考えたに違いない。オバマはすでに、われわれの世代のルーズベルトであり、ケネディだ。凋落したアメリカのイメージを、もう一度輝かせてくれるオバマのマジックが、世界を元気づけることを信じて、耳を傾けていこう。時代は彼の言う通り、一夜で変わったのだから。
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【 米国時間 2008年11月7日 『米流時評』ysbee 】
*お知らせ* オバマの政策方針は、2年間の選挙運動の間に彼のサイトで実にわかりやすく公開されてきたので別の機会に詳説したいが、それよりも先に緊急でお知らせしたいのは、彼のキャビネットとなるオバマ新政権の組閣人事予測である。当初はニューズウィークの緊急レポートを選んでいた。しかし、今読み返してもこちらの方が当たっていると思われるのが、オピニオンブログの「Huffington Post」。3日付けで掲出されたリストアップを訳して、次の記事でお届けします。
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[余談]オバマを上院議員に選出した地元のシカゴでは、立候補以前からオバマブーム。同じイリノイ出身にあやかって、オバマを黒人のリンカーンと呼ぶ者もいる。地元のシカゴ・トリビューン紙は、当選の翌日5日は全ページカラーのオバマ大統領誕生記念特集号。ネットでも買えるが、ひとりで何十部も買い占める市民も現れてあっという間に売り切れ、さらに20万部増刷になった。

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11/07 オバマの仕事始め「ミドルクラスに対する経済救済案を」
MSNBC News Video —'Rescue plan for middle class'

MSNBC—Nov. 7: View Barack Obama's first news conference as president-elect.


»» 次号「オバマワールド第7章 オバマの初仕事・ホワイトハウス組閣人事」へ続く
»» 予告「オバマワールド第4章 YES, WE WILL. 21世紀の民主革命」へ

«« 前号「オバマワールド第3章 明日へのカウントダウン」からの続き


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by ysbee-2 | 2008-11-07 16:15 | オバマの時代
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