米流時評

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オバマの戦争と平和・テロ戦争とロシアのUターン

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   ||| オバマとロシアの テロ戦争と平和 |||

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オバマ政権のテロ戦争対策に援軍の名乗りを上げた、ロシアのアフガン・リターン

d0123476_18552829.gif昨日の記事では、北の金殿が健在ぶりをアピールするような核の脅しを発声し、相変わらずの狼少年ぶりを発揮したレポートだったが、今日はロシアからのプロポーズである。言わずもがなで、オバマ新政権に対して。
どういうことかという詳細はこの次のエントリー記事でお読みいただくが、端的に平たく言うと、「アフガンはロシアにまかせろ」と切り出したのだ。
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これはこの地域のこれまでの経緯を多少なりとも振り返れば、少なからず意外な発言である。そもそもがロシアの前身ソビエト連邦は、アフガン侵攻で10年間アルカイダの前身のアフガンゲリラと闘った末、初志貫徹できずに撤退した。その10年間で巨額の戦費を使い果たした経済逼迫が引き金となって、母体のソビエトの連邦体制そのものが、瓦解するきっかけになった戦争である。
骨の髄まで懲りているはずのロシアが、なぜまたアフガニスタンへ出かけて、米軍の代行としてこの地の平定を買って出ようとするのだろうか?
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表面的には、財政の屋台が傾きつつある米国の新しいオバマ政権に対して、難役を肩代わりするから苦境を乗り切ってほしい、という友好的アピールに見えるだろう。しかしその外交のオブラートを通して、ロシアが米国に対して基本的に要求したかった本音が突出している。

▶ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り 『米流時評』2007年6月10日号 再掲出
d0123476_14302471.jpg第1章 ロシアと米国の新冷戦 /第2章 ロシア・グルジア・アゼルバイジャンの三すくみ /第3章 ロシアの首飾りからユーラシアの回廊へ /第4章 資源外交と侵略戦争 /第5章 ユーラシアの長い暑い夏

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ロシアが米国の新政権に対して真っ先に手をつけてほしいと願っているのは、ブッシュ政権下で着々と進行していた米国の「東欧ミサイル防衛計画/MDSプラン」の撤廃である。オバマ政権からはMDSに関する新たな変更案や撤廃案はまだ発表されておらず、財政再建の巨大な難問に注入資金を投入する議案を可決へ持ち込むだけで四苦八苦の現状である。

防衛に関しては、以前から主張してきたイラク駐留米軍撤退案を推進し、来年中にはほとんど全ての部分でイラク自衛軍が国家治安を担当する。先月末に実施された新生イラクとして2度目の総選挙も、投票率も高く国民の支持を得て、米軍撤退も思惑通りに進行するような兆しが見えてきた。
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オバマ自身は選挙戦の前から主張してきたように、テロ戦争に対しては米国民が9/11の仇と執着するアルカイダのオサマ・ビンラディンやアル・ザワヒリなどのテロ組織のトップを倒せば、それで完了と思っている節がある。軍事に関してはたしかにアマチュアなのかも知れない。

肝心のペンタゴンは、ブッシュ時代と同じロバート・ゲイツ長官が居残ったままなので、外交政策ほどの大転換は、まだ戦略上の方針転換としては現れてきていない。ただブッシュ時代のような、やみくもな軍備拡張や戦線拡大に走らないことだけは確かだろう。なにしろイラク戦争とテロ戦争終結は、オバマの選挙戦で最たる公約のひとつだったのだから。戦費をカットできれば、財政の穴が少しは縮まる。戦線縮小による米軍撤退は、財政立て直しの鍵でもある。
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ブッシュからオバマへのテロ戦争の戦略的転換は、何も戦場がイラクからアフガン/パキスタンへ移動するだけではない。戦術的には天と地ほどの開きがある。
ブッシュ政権下では、彼のパトロンである軍需産業に貢献するための兵器と関連産業の「消費」が主目的だった。テロ戦争は、ネオコンの御用産業である警備代行のブラックウォーターから死体処理ビジネスのKenyonにいたるまで、Bush Co.と呼ばれる軍需産業ネットの完璧なフローワークで、巨額の利益を国庫から無尽蔵に吸い尽くす「ウォーマシン」と化していた。

▶ユーラシア大連邦と第三次世界大戦の兆候 米流時評 2007年10月16日号 再掲出
d0123476_14302471.jpg1. イスラエルとパレスチナ「エルサレム二都物語」/2. プーチンのイラン訪問とカスピ海サミット
3. アルメニア人虐殺とトルコのイラククルド地区侵攻/4. 国連安保理でカダフィのリビアが理事国
5. 世界同時多発のグローバルウォー

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オバマはこうした軍産一体化のネオコン体制に真っ向から斬り込んだ候補として、大統領選で勝利を収めたのだ。この肝心な点を日本でも誤解なさっている方が多いので、強調して言わねばならない。
オバマの主眼は、米国の覇権ではない。
外部からは想像もつかないほど腐敗したワシントンの国政と破局一歩手前の財政を立て直す政策・議案が、一刻を争って成立し実施されなければ、アメリカが立ち直るチャンスはない。そこまで追い詰められているのだ。
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ローマ帝国末期の症状を思い返せば、状況は容易に飲み込めるだろう。国家としての守備範囲が余りにも拡大膨張したがために、辺境でくり返される異民族との果てしない戦闘に巨大な戦費と兵力を使い果たし、帝国は内部崩壊した。
アメリカの政治家は、ローマ帝国や、大英帝国や、ソ連の膨張策の結末に待っていた巨大なる転落を忘れたわけではないだろう。その陥穽は、いつも戦争だ。
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アメリカ国民の一般感情としては、もう、ビンラディンさえどうでも良くなっているのかも知れない。9/11の年に生まれた子供は、すでに小学生である。その年代の親であれば、将来の学費を心配する方が先行するはずだ。アフガンやパキスタンでのテロ戦争は、正直なところ誰かに肩代わりしてほしい...... というのが本音だろう。ましてや社会全体が空前の不景気へと傾いている昨今、戦争どころではない。そこへ、降って湧いたようなメドベージェフからの申し出である。
「アフガンはまかせろ」
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さて、オバマがこのプロポーズに「Yes, You Can!」と言うかどうか、来週には回答が出るだろうか? オバマの支持者のコアを形成していたリベラル派は、当然「Peace=いのち」であるから、さっさと撤兵してロシアに肩代わりしてもらいたい。
だが、オバマが合衆国統一のかすがいとして取り込んだ保守中道の国民の大半は、ロシアへのアフガン戦線委譲はアメリカに負け犬の烙印を押すことになると受け止め、反対するだろう。彼らには「負けるが勝ち」という美学はない。キリスト教徒に仏教の諦観は通用しないのだ。
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オバマが本来の使命を貫いて、内政重視型の合衆国再建の道を取るならば、メドベージェフの申し出を飲むだろう。そうなれば、アラブ諸国やイスラム圏で必要以上に喧伝されていた、合衆国の帝国幻想も否定できる。弱者の勝利をとるか、強者の敗北を選ぶか。結論はすでに半分見えている。

【 米国時間 2009年2月3日『米流時評』ysbee 】f0127501_6213945.jpg

▶次号後編「メドベージェフ vs オバマ/ロシアのアフガン回帰」
〜メドベージェフ大統領、オバマ新政権に中央アジア防衛上の全面的協力を申し出
1. ユーラシア防衛で米国に全面的協力 /2. ロシアからキルギスへ20億ドルの国債 /3. 米軍のテロ戦争アフガン戦線を代行 /4. 全面的協力の見返りは何か? /5. パキスタン補給ルート代行のロジスティックス /6. 米国の東欧MDS計画に鉄槌 /7. 「民主主義に強制はない」/8. オバマ新政権への変化球 /9. 旧ソ連盟邦国との結束強化
▶予告「エルドアンの直言/ガザ侵攻のイスラエルを堂々糾弾・独占会見」
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d0123476_11564496.jpg記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/9298191
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米流時評 特集 ||| オバマの時代 |||
第1章 オバマ時代開幕 Road to White Housed0123476_19284774.jpg
▶11/01(1)世界が待ち望む オバマ時代の夜明け
▶11/02(2)世界危機に挑戦する 21世紀のニューリーダー
▶11/04(3)アメリカの再生を賭けた明日へのカウントダウン
▶11/07(4)オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」
▶11/13(5)オバマの初仕事・ホワイトハウスの組閣人事
▶11/14(6)オバマ紳士録・後編 クリントンが国務長官?
▶11/16(7)オバマのチャイナフリーFDA改革・禁中国汚染食品!
▶12/08(8)ウォール街復活? オバマのNewニューディール効果


第2章 オバマの百日革命 Revolutionary Road
▶1/19(1)勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり
▶1/23(2)ブッシュとオバマ/スーパーマンの仕事始め
▶1/24(3)カストロとオバマ/キューバとアメリカの新しい海峡
▶1/25(4)旧体制とオバマ/レボルーショナリーロードd0123476_1936736.jpg
▶1/27(5)中東とオバマ/カウボーイ外交からピース外交へ
▶1/28(6)アラブとオバマ/アルアラビアTVインタビュー対訳
▶2/01(7)金正日とオバマ/狼少年の歓迎のテポドン
▶2/03(8)テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧MD計画
▶2/04(9)メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン
▶2/05(10)アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋
▶2/06(11)パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略
▶2/07(12)アルカイダとオバマ/パキスタン ISIのCHANGE
▶2/08(13)ビンラディンとブッシュ/テロ戦争内幕の危険な関係
▶2/09(14)イスラエルとオバマ/タカ派三つ巴のイスラエル総選挙
▶2/10(15)ネタニヤフとオバマ/イスラエルの2月体制
▶2/11(16)アフマディネジャドとオバマ/テヘランの春
▶2/12(17)IAEAとオバマ/イラン核外交のCHANGE
▶2/13(18)パレスチナとオバマ/絶望と希望のはざまで


||| 『米流時評』 特集シリーズ |||
次世代冷戦時代  |  グローバルウォー  |  イラク戦争  | テロとスパイ陰謀d0123476_1746245.jpg
アルカイダ2.0 核のテロ | パキスタン戒厳令の季節  |  アフガン・タリバンの復活
中東のパワーラビリンス | プーチンのロシア | ユーラシアの回廊 | ダイハード中国
2008年米大統領選 | ブッシュと米国政治 | サルコジのフランス | トンデモ北朝鮮
ビルマの赤い川革命 |  欧米の見る日本  | 世界不思議探検 | グローバルビジネス


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by ysbee-2 | 2009-02-03 13:12 | ユーラシアの回廊
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