米流時評

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パキスタンとオバマ/タリバン最前線の共闘戦略

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   ||| タリバニスタン最前線の共闘戦略 |||

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オバマ新政権とパキスタン、テロ戦争最前線タリバニスタン国境地帯での共闘戦略

d0123476_18552829.gifオバマとテロ戦争に関しては、このエントリーで4回連続となる。そのうち2本がNo.2の翻訳記事に前後して書き下ろした、まえがきとあとがきである。何しろこの地方に関しては、9/11以来8年越しの執着というか、他人事ではない関心があるのはたしかだ。

カブール、カンダハール、トラボラ、ワジリスタン、バジュール、バルキスタン/バロチスタン、マザレシャリフ……俗にタリバニスタンと呼ばれるアフガンからパキスタンへかけての国境地帯。パシュトゥン民族の住むこの一帯と、それを取り巻く中央アジアから中東にいたる地域の戦乱について、いったい何度書いたことだろう。テロ戦争の開戦以来だから、カテゴリーも多岐にわたり、エントリーの数も膨大だ。
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ブッシュと米国政治イラク戦争レポートテロとスパイ陰謀アルカイダ 2.0 核のテロアフガン タリバンの復活パキスタン戒厳令の季節次世代冷戦時代ユーラシアの回廊中東のパワーラビリンス中東核戦争グローバルウォーロシア・グルジア紛争インド ムンバイテロソマリアの海賊イスラエル・ガザ戦争…………

辺境のゲリラの紛争が連なってグローバルな戦争へ。これまでにも何度も言ってきたように、地球上のどこかでこれらの紛争や戦争が同時多発しているのだから、もしある国やある組織の主導者の意図が直接的間接的にこの傾向に拍車をかけているのだとしたら、これは第三次世界大戦の前哨戦である。通例でひと口にテロ戦争と言っても、何と限りなく国名と民族名を変えて、戦闘と戦死者の数を積み重ねてきたのだろうか。
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たとえ万が一この一帯の争乱の元凶であるアルカイダとタリバンが殲滅されるなり掌握されるなりして、中央アジアから中東にかけてのユーラシアの辺境地帯が平定される時期が訪れるとしても、それが2010年よりも前に実現されるのは、まず無理だろう。
ロシアが米軍とNATO軍に協力して中央アジアに乗り出し、イランがイスラム原理派への援助を停止しない限り、それは果てしなく不可能に近い奇跡でしかない。しかし、戦争のつむじ風が猛烈に吹き荒れたあと、人々の回帰するこころの方角は、ひとえに安息を目指すのも人間の道理だ。

恒久平和の約束がもたらされない限り、この地域の住民は戦場と化した故郷を捨てて、終りのない難民生活を余儀なくされるだけである。すべての戦線に関わり合う米軍の最高司令官である米国大統領が、ブッシュからオバマへと代わったことは、こうしたユーラシア一帯に拡大した戦線を、縮小へそして終結へと治めるための、時代の方向を変える巨大なターニングポイントだった。
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今日は、今まで鬼畜米・NATOを叫んでいたイランまでが、ミュンヘン会議では譲歩の姿勢を見せている。それは、就任早々オバマがアラブ・イスラム圏に対して呼びかけた「ダイレクトな対話」の主張が受け入れられ始めたから、と解釈できるだろう。たとえ仮想敵国に対しても、国家としての尊厳を無視せずに敬意ある対話を尊重するという、外交の最低線の基本姿勢。

そして大国も小国も国家のエゴにとらわれず、国民が、特に辺境の少数民族であっても人間らしい生活を送れるように、為政者として同じ人間の立場に立った最低線の安全保障を約束してほしい。この伝で行くとオバマの最大の敵とは、無論ブッシュが敵視し勝手に烙印を押した悪の枢軸国ではなく、むしろ自国の権益拡張のために少数民族の弾圧と虐殺にいそしんで省みない、中国とイスラエルなのかも知れない。

【米国時間2009年2月6日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 6, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月6日号
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  N E W S W E E K | B R E A K I N G
オバマ新政権とパキスタン テロ戦争タリバン最前線の共闘戦略
サミ・ユサフザイ現地取材 / マーク・ホーゼンボール / マイケル・ハーシュ / ロン・モロー / ジョン・バリー
Newsweekコラムニスト 共同執筆編集・ニューズウィーク 2月9日号掲載 | 訳『米流時評』ysbee

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昨年夏就任直後に英国ブラウン首相を表敬訪問したパキスタンのザルダリ大統領 ダウニング街10番地の首相官邸

Predators on the Hunt in Pakistan
A barrage of pinpoint strikes may be unsettling Al Qaeda
By Sami Yousafzai, Mark Hosenball / Edited with Michael Hirsh, Ron Moreau, John Barry
NEWSWEEK — FEBRUARY 9, 2009 issue | Japanese translation by ysbee

After one of the latest U.S. Predator attacks in North Waziristan, a Taliban subcommander visited the site. He's seen the results of many airstrikes over the past year or two, but this one really impressed him. The missile didn't just hit the right house; it scored a direct hit on the very room where Mustafa al-Misri ("Mustafa the Egyptian") and several other Qaeda operatives were holed up.

必殺必中の無人スパイ機ミサイル
パキスタン北西辺境の北ワジリスタン州で最近頻発している、米軍の無人偵察機 unman predatorによる地上攻撃の中でもつい先週の1件を検証するため、タリバンの副将のひとりはその爆撃現場を訪れた。彼はそれまでにも過去1・2年の間に、数多くの爆撃現場の跡を見てきていたが、この現場の状況には心底驚かされた。ミサイルは、単にターゲットとなった家に命中しただけでなく、砲弾はその家にいたムスタファ・アルミスリ(俗称で「エジプト人のムスタファ」の意)と配下のアルカイダのスパイが潜伏していた、まさにその部屋に飛び込んだのだから。
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パキスタン現地駐在のニューズウィーク特約サミ・ユサフザイ記者は、アフガン・パキスタン国境の戦闘の現場へも、タリバン派のテロ組織本拠地へも出かけて直接取材を敢行する、果敢なジャーナリスト。記事も常に秀逸である。

2. Meticulously accurate hit

The hit was so accurate, the subcommander says, it's as if someone had tossed a GPS device against the wall. Unfortunately for others at the scene, the mud-and-stone house collapsed, killing several Afghans along with the foreign fighters. Nevertheless, the subcommander told NEWSWEEK, "We are stunned" by such precision.
正確無比のミサイル的中率
その副将が伝える話によると、ミサイル発射の照準は極めて正確で、まるで誰かがGPSのディバイスをその部屋の壁に向かって投げつけたかのように命中していたという。しかしその場に居合わせた者には不幸なことに、泥と石でできた民家は爆撃で全壊し、隠れ家にしていたタリバンの外人部隊兵士はもちろん、その家の住人である数人のアフガニスタン住民も巻き添えとなって殺された。
副将は惨状を嘆くよりもむしろミサイルの精度に驚嘆して、ニューズウィーク(パキスタン特約サミ・ユサフザイ記者)に向かってこう言った。「ものすごく正確な的中で、度肝を抜かれたよ」
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左:遠隔操作高照準ミサイルが命中した瞬間/右:パキスタン領空を飛行する米軍無人スパイ機 unman predator

3. Danger of collateral damage

Al Qaeda's hideouts in Pakistan's tribal areas aren't quite as safe as they used to be. After years in which they were suspected of shielding Osama bin Laden's lieutenants—or, at least, not pursuing them very vigorously—Pakistan's intelligence services have finally started helping the Americans track and kill the fugitive terrorists in the frontier belt.
ついにアルカイダ掃討に本腰を入れたISI
パキスタンの辺境自治区(特に北西部の北ワジリスタン州)にあるアルカイダの隠れ家は、これまで彼らが甘受してきたようなアンタッチャブルの安全地帯だとは、もう言えなくなってきている。長年にわたってオサマ・ビンラディン直属のアルカイダ武将たちをかくまっていたとおぼしき民家や、あるいは少なくともいやいやながら場所を提供していた住民に対して、すでに一連の協力者の情報が手中にあったパキスタン政府軍の諜報部 ISI はついに追求の手を伸ばし始めた。
米軍のテロ戦争の最前線となっているアフガニスタンとパキスタンの国境地帯で、そこを根城とするタリバンに対する殲滅作戦、およびお尋ね者のテロリストの掃討作戦に、パキスタン諜報部は初めて本腰を入れて協力体制をとり始めたようだ。
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左:パキスタンの北ワジリスタン州からアフガニスタン東部へ移動するタリバンシンパのゲリラ軍団
右:単身タリバンの本拠地へ乗り込んで直接インタビューを敢行したユサフザイ記者(中央白シャツ)


4. 11 of the top 20 top targets killed

According to Pakistan's Inter-Services Intelligence agency, 11 of the top 20 "high-value targets" along the Afghan border have been eliminated in the past six months. And while the Americans blast the bad guys in the tribal areas, the Pakistanis have been confronting problems in their own ranks.
アルカイダ派トップ20人のうち11名討伐
パキスタン政府軍諜報部(いわばパキスタンのCIAである ISI/Inter-Services Intelligence agencyのabbr. 略称)の発表によると、過去半年の間にアフガンとの国境地帯で、タリバンの「high-value targets」ハイランクのお尋ね者のトップから20人のうち、11人が「消された」という実績を挙げた。しかし米国側が辺境自治区へのリモート爆撃で悪漢を蹴散らしている一方で、パキスタン政府側では関係者がそれぞれの立場で深刻な問題に直面していることも否めない現実である。
>>後編へ続く
【 米国時間 2009年2月6日 『米流時評』ysbee訳 】
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いつ戦闘が勃発してもおかしくないアフガンとの国境地帯の警備に当たるパキスタン陸軍のグリーンベレー

◀前号「アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋」
▶次号「アルカイダとオバマ/パキスタン諜報部 ISIのCHANGE」

5. ISIからイスラム原理派140名放逐/6. 米国から10年間で150億ドルの援助資金/7. 「我々の敵はインドでなくテロリスト」/8. 駐米パキスタン大使「テロ戦争で共闘を」/9. パキスタンの不穏化を目論むザワヒリ/10. 得策ではないと諭すビンラディン/11. ワジリスタンからアフガン東部へ移動/12. オバマ新政権へのアルカイダレポート
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米流時評 特集 ||| オバマの時代 |||
第1章 オバマ時代開幕 Road to White House
▶11/01(1)世界が待ち望む オバマ時代の夜明けd0123476_19284774.jpg
▶11/02(2)世界危機に挑戦する 21世紀のニューリーダー
▶11/04(3)アメリカの再生を賭けた明日へのカウントダウン
▶11/07(4)オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」
▶11/13(5)オバマの初仕事・ホワイトハウスの組閣人事
▶11/14(6)オバマ紳士録・後編 クリントンが国務長官?
▶11/16(7)オバマのチャイナフリーFDA改革・禁中国汚染食品!
▶12/08(8)ウォール街復活? オバマのNewニューディール効果


第2章 オバマの百日革命 Revolutionary Road
▶1/19(1)勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり
▶1/23(2)ブッシュとオバマ/スーパーマンの仕事始め
▶1/24(3)カストロとオバマ/キューバとアメリカの新しい海峡
▶1/25(4)旧体制とオバマ/レボルーショナリーロード
▶1/27(5)中東とオバマ/カウボーイ外交からピース外交へ
▶1/28(6)アラブとオバマ/アルアラビアTVインタビュー対訳
▶2/01(7)金正日とオバマ/狼少年の歓迎のテポドンd0123476_1936736.jpg
▶2/03(8)テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧MD計画
▶2/04(9)メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン
▶2/05(10)アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋
▶2/06(11)パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略
▶2/07(12)アルカイダとオバマ/パキスタン ISIのCHANGE
▶2/08(13)ビンラディンとブッシュ/テロ戦争内幕の危険な関係
▶2/09(14)イスラエルとオバマ/タカ派三つ巴のイスラエル総選挙
▶2/10(15)ネタニヤフとリブニ/イスラエルの2月体制
▶2/11(16)タリバンとオバマ/首都カブール同時多発テロ攻撃
▶2/12(17)カルザイとオバマ/アフガン増兵とアフ・パキ戦線
▶2/13(18)クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談
▶2/14(19)クリントンと北朝鮮/核と平和のアメとムチ
▶2/15(20)パレスチナとオバマ/絶望と希望のはざまで
▶2/17(21)アフマディネジャドとオバマ/テヘランの春
▶2/18(22)IAEAとオバマ/イラン核外交のCHANGE


||| 『米流時評』 特集シリーズ |||
次世代冷戦時代  |  グローバルウォー  |  イラク戦争  | テロとスパイ陰謀d0123476_1746245.jpg
アルカイダ2.0 核のテロ | パキスタン戒厳令の季節  |  アフガン・タリバンの復活
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ビルマの赤い川革命 |  欧米の見る日本  | 世界不思議探検 | グローバルビジネス


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by ysbee-2 | 2009-02-06 19:52 | タリバニスタン最前線
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