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米流時評

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資本家は何処へ行った?ガイトナー・ソルーションの行方

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  ||| ガイトナー・ソルーションの行方 |||

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 ガイトナー財務長官のほどこす財政の大手術で、米国経済は生き返るのか?

資本家は何処へ行った?ガイトナー・ソルーションの行方_d0123476_18552829.gif『米流時評』は通常、本文は米国メディアの翻訳記事で、私自身の意見はトップの前書き(もどき)に書いていますが、時事の焦点に的を得た質問が出ると、待ってましたとばかりにレスが書きやすくなります。なぜかと言えば、掲載記事のコンテンツ以外にもこちらの新聞・テレビのニュース解説や討論番組で得たホットな情報も、あわせて紹介したいからです。

いつも時間がなく週遅れのレスになっているにもかかわらず、正鵠を得たコメントを残してくださる皆さんには、改めてその誠意に深く感謝申し上げる次第です。今回のAIGボーナス問題に関しても色々ご意見をいただきましたが、日本へ帰国してますます水を得た魚のようなunimaroさんからのコメントへ書いたレスに、私の言いたかったことが凝縮されているので、そのまま記載します。(それにしてもカジュアルな文体で、冷や汗三斗ですが)
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3/16号『オバマ激怒!AIGの巨額ボーナスに待った』のコメント欄より
>うにさん、いつもコメントをありがとうございます!
4年前から応援していた身としては、全然「化け」てはいないと思うんですが。
オバマほど主張を変えない政治家も珍しい、と思えます。
公約通りの政策を議案として次々成立させていっているので
そこまで律儀に約束を守れるとは思っていなかったとすれば、意外かも。

今回のボーナス問題で一番の収穫は、上のレスでも書いた通り
金融界の天井知らずの報酬に対して、規制が成立した、という点ですね。
これは、下院では民主党が圧倒的与党で議案通過、大統領も民主党なので、
最終承認のオバマのサインでスピーディーにスムーズに成立するわけです。
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これまでは、クリントンの時は下院の与党が共和党で「ねじれ」で成立せず。
ブッシュの時には、特に2期目の後半 2006年の総選挙で
民主党が圧勝を収め、下院で多数を占める与党となったのですが、
せっかく成立した良い議案も、大統領の拒否権発動で却下されていました。
ですから、かれこれ16年間も すったもんだの膠着状態だったわけですよ。
この間、金融資本家がはびこり放題。

ですから、今回の金融機関への政府の介入は
一種の経済革命と言ってもいいかと思います。


みなボーナスの額の大きさとか、経営陣の強欲に目がとられて
本質的なドラスティックな変化に言及している評論家はまだおらず、
この上で書いたローレンス・オドーネルが、
クリス・マシューズの「Hardball」で指摘したのが、最初で最後です。
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しかしこの変化は、政治・経済両面において巨大なUターンになったと思います。
多分その効果は、これからじわじわとオバマ政権の圧倒的強みになって
社会全体に健全な効果が現れてくるんじゃないでしょうか。

格差社会のハレーションにストップがかかったわけです。
やっと庶民が王様になる時代が、訪れつつあるのですよ。
この大局的な構図が見えない人だけが、社会主義化とか騒いで、
ネガティブな恐怖感をあおっているだけです。

この次に打つ手の対象は、こういった特権階級の隠し金で
海外の、特にスイスの銀行に預金していた口座を対象に、
税金逃れに対するチェックメイトの手が伸びるでしょう。
その件に関しては、ただ今翻訳中のシャープな評論がありますので
ご期待ください。
   【米国時間 2009年3月24日『米流時評』ysbee 】

資本家は何処へ行った?ガイトナー・ソルーションの行方_d0123476_16391691.jpgunimaroさんのブログ 3/22のエントリでは、この件に関する日本の偏向報道を取り上げ、「プロ」のジャーナリストの言葉の選択如何で、いかに事実が歪曲されていくかについて、実例とともに鋭い批判を浴びせています。ぜひご一読を!
▶【株屋は株屋】分をわきまえられない永遠の屑達♪【金貸しは金貸し(銀行)】

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MARCH 24, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年3月24日号
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  N E W S W E E K | A N A L Y S I S
資本家はどこへ行った? ガイトナー・ソルーションの行方
米国時間 2009年3月24日 | ダニエル・グロス/ニューズウィーク | 訳『米流時評』ysbee

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いつもは米国の危機を一身に背負ったような険しい表情のTiny Timmyが、珍しく笑顔を見せた一瞬
Man Up, Capitalists! — Part I
Why do we have to bribe investors to take risks?
MARCH 24, 2009 | By Daniel Gross — Economic Analysis | Translation by ysbee

1. Market loves it
NEWSWEEK Web Exclusive — What to think of the latest plan to get crummy mortgage-related assets off the books of large financial institutions? Two of the economists whose views I most respect differ widely on it. Paul Krugman hates it. Brad DeLong is more optimistic. The stock market, which is a poor barometer of public policy, totally loves it.
市場が気に入ったガイトナー案
【 By ダニエル・グロス / ニューズウィーク経済時評・サイト独占掲載 】
財政破綻でゾンビ化しつつある巨大金融機関の財務表から、その癌ともいえる住宅ローン関係のにっちもさっちもいかない不良資産を一掃しようという、ガイトナーのソルーションをどう評価したらいいものだろう?
ここに常日頃私がもっとも敬愛するふたりの経済学者の評価があるが、両者の意見には大きな開きがある。ポール・クルッグマンは、この案が嫌いだ。もうひとりブラッド・デロングは、より楽観的に受け止めている。しかしながら、決して国民の総意を反映するバロメータにはなりえないが、米国の投機市場自体は、この案をすっかり気に入ったようである。
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昨年経済学でノーベル賞受賞のポール・クルッグマンはNYタイムズの常連コラムニスト ガイトナー案には批判的

2. Excitement and exuberance in Wall St.

In its wisdom, Wall Street could easily decide tomorrow, or next month, that it hates the plan. That's been the pattern for the last six months of bailouts—excitement and exuberance that the cavalry is about to arrive followed by disappointment that it's armed with pop guns.
ローラーコースターのウォール街
相場の知恵を働かせれば、政府からの提案を嫌うウォール街としては、買いに転じる決断を明日に回してもよかっただろうし、用心深く来月まで待つこともできたはずだ。それが昨年9月のリーマンショック以来これまで半年の間、連邦準備銀行からの注入金で息を継いできた株式市場のパターンだった。助けの神の騎兵隊が到着するぞという興奮と喜びもつかの間、その武器ときたら役立たずのおもちゃの鉄砲程度で、ちゃちな援軍だったからである。(注入金の不足を指摘)
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NYSE ニューヨーク株取引市場 昨年9月のリーマンショック以来下落の一途で14年間最悪の底値を更新していた

3. Who is taking the risk?

We should sympathize with the dilemma the Treasury Department faces in trying to clean up this mess. As Treasury Secretary Timothy Geithner said last week: "Many banks in this country took too much risk, but the risk now to the economy as a whole is that you take too little risk." (Moneybox made a similar point.) But who is taking the risk? And who stands to reap the rewards?
リスクテイカーはいないのか?
連邦政府の画期的政策には、賛否両論、議論百出の現状である。しかしわれわれ一般大衆は、この8年間放置され山積みされてきた、金融危機の残滓である不良資産を一掃するという大役に直面して、経済活動の自由か規制かというジレンマに陥っている財務省にたいして、もっと同情を寄せるべきではないだろうか? ティモシー・ガイトナー財務長官が先週いみじくもこう言ったように。
「この国の金融機関の多くは、自らを利するためには、あえて多大なリスクがあっても相場に賭けてきたはずです。しかしながら、自社の財政だけでなく経済全体の運命がかかっているというリスクに対しては、われ関せずなのですか?」(ファイナンシャルサイトのMoneyboxでも同様のポイントを指摘していた。)
しかし、いったい誰がこの壮大なリスクを受け止めるのだろう?
そして誰が勇気をもって立ち上がり、勝利の栄冠を得るのだろうか?
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ニューヨークのAIG本社前で「AIGreed/AIGは守銭奴」と書いたカードを掲げて、ボーナス問題を糾弾する市民

4. 'Legacy loans' for the toxic assets

The Treasury acknowledges that private investors will be subsidized to take on the ownership of what it's calling "legacy loans" and "legacy securities." (If these horrific securities are legacy loans, then the funeral industry should reclassify corpses as "legacy bodies.")
不良資産買い付けに「レガシーローン」
財務省の提案した新しい財政プランは「legacy loansレガシー・ローン(継承資産購入ローン)」あるいは「legacy securities/レガシー・セキュリティ(継承資産保険)」と呼ばれる、銀行が不良債権の担保として差し押さえた不動産物件の所有権を、民間投資家や一般市民が個人資産として買い取れるよう、連邦政府が保証して援助する、という「金融と不動産」という2大業界の活性化を一挙に促進しようとする大胆な施策である。
(それにしても、こういった金融ゾンビ化の要因だった二重三重に担保の付いた「所有権の容れ子状態」の不良資産に対する貸付保証を「レガシーローン」という小じゃれた名前で呼べるなら、葬儀屋の業界では、死体のことを「レガシーボディ(肉体的遺産)」と呼ぶべきかもしれない。)
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コネチカット州では、写真の AIG 創業者ハアス氏の自宅をはじめ、AIG 役員邸宅めぐりの抗議ツアーが始まった

5. 72% government loan with 6% deposit

The Treasury cites as an example a loan valued by a bank at $100 that is sold for $84. In that instance, the private investor and the government would each put in $6, and the investor would borrow the other $72 from the government. If you're keeping score at home, it means the private investor would put in 7 percent of the cash but would receive a much higher percentage of the profits.
手付金6%で政府の貸付金72%
財務省では、きわめて単純な例でその内容を説明した。その仕組みは次の通りである。
・まずここに銀行が100ドル貸付したローンの担保物件として没収した、住宅なり不動産物件があるとする。その市場販売価格が現行で84ドルだったとする。
・その場合、新しい買主となる個人投資家と連邦政府が、物件購入の手付金としてそれぞれ6ドルずつ自己負担して支払う。
・購入契約が成立したら、残額の72ドルを買主は連邦政府から借り入れができる。
・その物件を保有し続ければ、買主は7%の現金を投資したことになるが、実質的には不動産が資産として計上されるので、損益対照表ではそれをはるかに上回るパーセンテージの利益が出ることになる。
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T-Bondsと呼ばれる米国連邦準備銀行発行の国債証券/ドル離れが加速し、中国では新しいグローバル通貨を提唱

6. Where are all the capitalists?

The plan raises the disturbing question: Where the hell are the capitalists? Where are all the people who are willing to put their own money, and that of people willing to lend them cash, at risk in pursuit of profit? Why are Wall Street's tough guys such a bunch of girly men?
資本家は何処へ?
しかし、この新しいガイトナー案にも次のような疑問がつきまとう。
資本家はいったいどこへ行ったんだ? 好況の頃には、利潤のためならリスクを冒してでも、あれだけ持ち金を積んで投資した連中、またそういう連中にじゃんじゃん貸し付けた銀行、あいつらはいったいどこへ行ってしまったんだ? ウォール街のタフガイはこれほど女々しい奴らだったのか?
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投資金融機関JPモーガンの本社ロビー 成金を絵に描いたような、なんと悪趣味で空疎なデザインだろうか!

7. Investors without risk-taking guts

The Geithner plan assumes that Wall Street's bravest investors won't spend a penny or borrow unless the government is willing to cover losses, make loans, and give away extra profits. It assumes, in short, that these great businesspeople are afraid to do business.
投機心を失った投資家たち
ガイトナーの連邦ローン案を見る限り、ウォール街の闘士だったはずの投資家たちは、リスクの一切合切を政府が背負わない限り、一銭たりとも払ったり借りたりするつもりはなさそうだ。連邦政府が不良資産を引き取りローンを貸し付けし、おまけに余剰利益をくれるというおんぶにだっこの算段がととのうまでは。とどのつまり端的に言うと、あの偉大なる「ビジネスピープル」たちが、今ではビジネスするのを怖がっているような案配だ。
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先月頻繁に開かれた財務省の予算案編成委員会 左からショーン・ドノヴァン補佐官、ティム・ガイトナー財務長官

8. Investment horizon ahead

Dislocations create opportunities for investors with the courage to jump in and the vision to extend their investment horizon beyond a year or two.
投資の新しい地平線
しかし、新しい状況に飛び込む勇気をもった投資家にとっては、現在急旋回している米国経済の転換期はまたとないビジネスチャンスであり、あと1・2年先には新しい産業に対するインベストメントの地平線が拓けてくるという、希望の持てるビジョンが見えたに違いない。 >> 後編へ続く

【 米国時間 2009年3月24日 『米流時評』ysbee訳 】
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ウィンドパワー、ソーラーパワーなど、石油に変わる新しいエネルギーの発電で「グリーンエナジー(エネルギー)」改革を進めるオバマ政権。写真はコロラド州デンバーにある太陽熱発電のモデル企業 Namaste Solar。資本家は何処へ行った?ガイトナー・ソルーションの行方_d0123476_1023580.jpg

資本家は何処へ行った?ガイトナー・ソルーションの行方_d0123476_16472783.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/9511492
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by ysbee-2 | 2009-03-24 22:30 | オバマの時代
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