米流時評

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ネオ紅衛兵?経済危機と中国次世代ナショナリズム

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    ||| 中国新世代の経済愛国主義 |||

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  中国を襲うグローバル不況の波と、第2世代の五星紅旗ナショナリズム
  米国バッシング、国際新通貨の提案、中国の海軍力重視への危険な傾斜


d0123476_18552829.gifニューズウィークは普段から愛読している週刊誌で、サイトの記事も充実しているが、その中でも特に「investigative journalists」の活躍がめざましい、真相追求のジャーナリズム雑誌である。ブッシュ政権8年の暗黒政治の暴露、オバマの大統領選の報道にはめざましい活躍を示し、政見雑誌としての役割も見逃せない。

特にワシントン政界の裏幕を暴露するジャーナリストとしてウォーターゲート事件以来の伝統ある「政界探偵物」のようなレポートを書き続ける、マイケル・イシコフ、マーク・ホーゼンボール、エヴァン・トーマス...米国民主主義の主流とも言える建設的な論陣を張る、マイケル・ハーシュ、ジョナサン・アルター、ハワード・ファインマン、エレノア・クロフト......
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ひるがえって海外の特派員もそれぞれ個性ある豪傑ぞろいで、特にイラクやアフガニスタンの戦局の最前線から実録記事を送って来る「戦場のジャーナリスト」たちの活躍には、時として戦争映画を見ているような臨場感を覚える。名前を聞くだけで、今度は何処の前線から?と期待してしまうロッド・ノードランドをはじめ、ラリー・カプロウ、スコット・ジョンソン......

また各国の首都駐在の特派員にも、ジャーナリストとしての洞察力と作家とまがうほどの文学的味わいのある文章で、堪能させられる才人が多い。その筆頭は『米流時評』でも開始当初から何度も紹介してきたクリストファー・ディッキー、ファリード・ザカリア、オーウェン・マシューズ....
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彼らは皆、時代の表層を突き抜けて歴史の真実をつかみ出す達人ばかりだ。私がある程度、世界の出来事の裏おもてを把握できるようになったのも、彼らの送ってくる情報の確かな視点に教えられ育てられてきた余録かもしれない。(それまでは単なるプランナーと言うか、一クリエーティブ)たしかにこちらへ来てからの私の「世界科」の教師は、もっぱら雑誌とネットだった。

今日のエントリで翻訳して紹介するのは、その中でも北京からのダイレクトな中国情報でおなじみのメリンダ・リウ女史。彼女は中国の人民パワーを評価しながらも、中共政府の全体主義的な弾圧の体制には常に批判の眼を向け糾弾の声を上げてきた、勇気あるジャーナリストのひとりである。
昨年3月のチベット騒乱弾圧の際には、ラサ蜂起よりも1週間早く「中国公安警察がチベット僧院の周囲に集結、ひと波乱起きる」と予言し、ニューズウィークの記事で報告していた。彼女の予感が不幸にも的中した3月14日以降の現地レポートは、言うまでもなく臨場感あふれる緊迫した記事の連続だった。
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今回の記事は、米国に端を発したグローバルな経済危機、その余波をまともに受けた中国経済、国内に横溢する新しい世代のナショナリズム、そして見逃してはならない軍事力、特に海軍パワー増強への傾斜。こういった中国の世相の表面に現れた「点」を、ジャーナリスト特有のたしかな視点で「線」としてつないで、国家としての今後への流れまでを垣間見せた、秀逸な時事評論である。日本のネオナショナリズムの台頭と照らし合わせてみても、興味深い一文だろうと思う。

【米国時間2009年3月28日『米流時評』ysbee】

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MARCH 28, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年3月28日号
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  N E W S W E E K | A N A L Y S I S
ネオ紅衛兵の台頭? グローバル不況と中国次世代ナショナリズム
米国時間 2009年3月28日 | メリンダ・リウ/ニューズウィーク・北京発 | 訳『米流時評』ysbee

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中共軍がチベットに侵攻しラサの王宮を占拠してから50年。この侵略の日を中共政府はいみじくも「農奴解放の日」と呼び、厳重な警戒の元に祝賀式典を強行。過去の真実の隠蔽・捏造・欺瞞の集大成、虚偽きわまった祭典である。

China: There’s Plenty Of Blame For All
Nationalist angst directed at the U.S. has also rattled China's government
MARCH 24, 2009 | By Daniel Gross — Economic Analysis | Translation by ysbee

1. China's outburst of America-bashing
NEWSWEEK APRIL 8, 2009 issue — The latest recession-fueled outburst of America-bashing in China might worry Washington, but it's even scarier to the rulers in Beijing. Millions of ordinary Chinese are in trouble, and they're asking why their government is continuing to prop up one country — United States.
中国を筆頭に始まった米国バッシング
中国では現在このところの経済不況にあおられたアメリカバッシングの暴発が、米国政府の頭痛の種になってきているが、こうした不測の事態はむしろ北京の政府支配者側にとってこそ、脅威を感じる元凶となっている。グローバルな経済危機の影響をまともに受け、中国ではすでに数百万人の一般市民が経済的窮地におちいっている。こうした貧窮層は、自分たちの政府がなぜよその国の縁の下の力持ちの立場を取り続けるのか、疑問を持ち始めた。その外国とは、もちろん米国である。
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中国全土の各都市で「増殖」する新しい建築群 政府の規制が開発のスピードにに追いつかず違反建築は野放し状態

2. U.S. as blaming target of economic crisis

U.S. is the country that practically everyone blames for creating the global economic crisis. Never mind what would happen to the roughly $2 trillion in Chinese foreign reserves that are invested in U.S. securities if Beijing suddenly tried to cut America loose. Seeking to placate the domestic critics, China's leaders are hardening their stance toward the Americans.
経済危機の元凶アメリカへの糾弾
「今回のグローバルな経済危機を作り出した張本人は米国だ」と糾弾する意見に関しては、どの国も異論がない。だからといって、万一中国政府が米国との友好の絆を突然断ち切ってしまったら、それまで米国債を買い続けてきた中国の200兆円にものぼる海外投資が、どういう結果を迎えるのかについては論外だ。言うまでもなく当然、両国の関係に破綻を招くだろう。しかしながら共産党首脳部は、中国国内の批判勢力をなだめるのに躍起なあまり、米国政権に対するこれまでの態度を一変して、強硬な姿勢を示し始めている。
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時代を百年もへだてた新旧が混在するのが現代中国の実相。どの都会にも最先端のビルの陰にスラム街が残存する

3. Asking IMF for replacement to new currency

Last week China's Central Bank Gov. Zhou Xiaochuan called for the greenback to be replaced with a new reserve currency controlled by the International Monetary Fund. That proposal came on the heels of Premier Wen Jiabao's pointed expression of "concern" for the safety of China's U.S. holdings amid the current turmoil.
国際基金にドルに代わる新通貨を提案
先週、中国政府中央銀行のズー・シャオチャン頭取は、貿易収支決済をドル建てからIMF発行の新しい国際通貨に切り替えてはどうか、と呼びかけた。この提案は、最近問題化してきている米中間の負債の保全に関して、温家宝首相がその安全性について難色を示した時点から間を置かずに出てきたものである。
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天安門広場で売っている中共みやげの毛沢東主席バッジ 政治的と言うよりキッチュというデザイン的評価で買われる

4. China's economic nationalists

The tough talk is expected to continue as China demands a greater say in international financial matters at this week's G20 summit in London. But the anti-U.S. hard-liners—"economic nationalists," as they're known in China—are far from satisfied. Wang Xiaodong, a prominent member of the movement, scoffs at the idea of replacing the dollar with a new IMF-backed reserve currency.
中国のエコノミック・ナショナリスト
今週ロンドンで開催されるG20主要20カ国首脳会議では、今や最大の国際問題となっている財政危機について、大いに一言ありと大上段に構える中国のおかげで、米中間のIMF通貨問題に端を発した論争がますます過熱し、厳しい対立を招きそうな気配である。
しかし、中国の中でも強硬な反米派の連中は、国内では「エコノミック・ナショナリスト=経済的愛国主義者」として周知の存在だが、話し合いなどで妥協できる段階からはほど遠い立場をとっている。反米運動の旗手として知られるワン・シャオドン氏は、米ドルに代わる新しいIMF基軸通貨のアイディアををいきなり打ち出し、関係諸国を面食らわせた。

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昔日のスローガンが天井に残る廃墟となった鉄道のプラットホーム 何かの展示会場として再利用するための工事中

5. 'Quit buying U.S. T-bills, but invest in domestic'

"Isn't the IMF also under the control of the United States?" he asks, with a conspiratorial grin. He says Beijing should simply quit buying U.S. T-bills and invest the money at home instead, building up China's own infrastructure, defense forces and social services.
米国債買いを止めて国内に投資
「国際通貨基金IMFもまた、米国のコントロール下にあるのではなっかたかね?」とワン氏は意味ありげな笑みを浮かべて問い返した。
彼の言うところでは、中国政府はただ単に米国の国債購入を止めて、代わりにその金を国内のインフラ整備や、防衛力強化、社会福祉などの、国内への投資に回したいだけだと説明した。
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中国13億の民 国家としてのGDPは2桁の伸張を続けるが、典型的官僚優遇体制で貧富の階級格差は開くばかり

6. Brand-new bestseller, 'Unhappy China'

Wang is one of five authors of a new book, "Unhappy China," which sold 100,000 copies in just 11 days after its release in mid-March. The book takes Beijing to task not only for coddling the Americans but also for neglecting national defense. Wang and his cohorts say China needs to beef up its Navy.
ベストセラー『アンハッピー・チャイナ』
中国では現在、3月中旬に発売されて以来わずか11日間で10万部売れた、新刊本のベストセラーがある。ワン氏はその『アンハッピーチャイナ/不幸な中国』の5人の共著者のひとりでもある。この本の中で、ワン氏と彼の仲間は「北京政府は(度重なる国債買いによって)米国を甘やかし過ぎたばかりでなく、自国の国防と言う重要な役割を無視した」と指摘し、さらに「中国は海軍力を強化する必要がある」と主張している。
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昨年4月の四川省大地震で崩壊した道路や橋が現在も残骸のまま放置 川向うの学校へロープウェイで命がけの登校

7. Younger Chinese asking for a strong Navy

They insist in beefing up China's military muscle if it continues buying up natural resources everywhere from Australia to Africa. "All those commercial contracts mean nothing unless we have aircraft carriers to back them up," says Wang, "That's why so many younger Chinese are asking for a strong Navy."
海軍力強化を希望する中国の若い世代
彼ら著者は、オーストラリアからアフリカまでいたるところで中国が天然地下資源を買い続けようとするならば、中国政府は軍事力を増強する必要があると、次のように主張している。
「これら一連の商業取引は、その海上輸送の安全を保障するためにわが国が航空母艦を持たない限り無意味である。それが、中国の若い世代が強力な海軍を望んでいる理由である。」
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天安門広場に翻る五星紅旗 昨夏の北京五輪では中国ナショナリズムのシンボルだったが度が過ぎると憎悪の対象に

8. Aggressive military budgets and actions

A new Pentagon report says China is already headed in that direction. Beijing's military budgets have doubled between 2000 and 2008; the Chinese Navy is venturing; farther out to sea to secure energy transport routes; conduct anti-piracy patrols off the coast of Somalia.
軍事予算も行動範囲も飛躍拡大した中国の軍隊
先週発表された新しいペンタゴンレポートによると、中国はすでにそのように海軍力を強化する方向へ進んでいると報告している。その他の主な報告内容は以下の通り:
 ・中国政府の年次の軍事予算は、2000年から2008年までの間に倍増
 ・中国海軍は石油などエネルギー資源の輸送ルート安全確保のため、従来以上の海路へ進出
 ・海賊対策のためにソマリア沖にまで海軍が進出
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昨年8月五輪聖火リレー時のチベットの首都ラサ 五星紅旗が並ぶポタラ宮前広場をパトロールする中国の武装警察

9. Biggest parade of Chinese sea power

Senior officers have reportedly decided to train 50 pilots to operate from a refurbished Soviet-era aircraft carrier purchased from Ukraine. This month Chinese forces are scheduled to lay on a spectacular "naval parade" off Qingdao, the biggest show of Chinese sea power since the birth of the People's Republic in 1949. Perhaps the sight will make Wang and his coauthors at least a little less unhappy.
4月に中国海軍最大の軍事演習
中国海軍では、ウクライナから買い取ったソビエト時代の航空母艦を改修し、ベテランの司令官が同艦上で50名の戦闘機パイロットを育成している最中である。
また中国海軍は今月、青島沖で壮大な「海上パレード」を挙行する予定だが、これは1949年に中華人民共和国が誕生してから50周年にあたるため、中国の海上軍事力を世に示す建国以来最大の軍事ショーが展開される予定である。この演習光景は、多分ワン氏とその仲間の不幸な感慨を、少なくとも軽減するものになるだろう。 <了>

【 米国時間 2009年3月28日 『米流時評』ysbee訳 】
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左:北京市内で商店撤去後の警備員 /中:ユービキタスな毛沢東の銅像 /右:中国海軍の演習を視察する軍司令官d0123476_1023580.jpg

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by ysbee-2 | 2009-03-28 16:15 | ダイハード中国
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