米流時評

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21世紀狂気の蛮族 タリバン最期の日々

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  ||| 21世紀の蛮族 タリバンとの訣別 |||

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 イスラム原理主義者のシャリア法執行がもたらした、タリバニゼーションの終焉
 グローバルな政治の亀裂に増殖する、アルカイダとタリバンの恐怖政治との訣別

d0123476_3532373.jpgいつも的をついたご質問をいただく散策さんとの、前号のコメント欄での質疑応答です。訊ねられると、つい一所懸命答えてしまう性分なもので(その割には遅筆というか遅レスで有名)このところのアフパキ戦線の大雑把なおさらいを。

<Commented by 散策>
ysbee様 こんにちは。 アフガニスタン駐留米軍に
マクリスタル元米統合特殊作戦軍司令官の起用が発表され、
戦術も変わってきそうです。
このところにアフガン、パキスタン情勢を憂慮しています。
ちょっと前まで、妥協とか新聞記事で見ていたような気がするのですが、
いつの間にか交渉決裂、掃討と、一気に戦闘が激化しているように見えます。
ちゃんとニュースをフォローできていなかったので、
何でこうなってしまったんだろうという思いはあります。
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<Commented by ysbee>
散策さん、いつもコメントとTBを ありがとうございます!
先週は、ペンタゴンにとっては「大厄」の週だったようで
ざっと大きなトラブルを挙げるだけで、次の通り。

【アフガニスタン】
・アフガニスタンの空爆で一般住民に膨大な死者(百数十名とも……)
・アフガン駐留の米軍は、タリバンが住民を人間の盾にしたからと弁明
・アフガンのカルザイ大統領は、以前から住民居住地域への空爆は止めよ
 と米国へ懇願してきたのに、また同じ惨事が繰り返されてしまった。
 今回は、カルザイも後ろに引かない。
・その空爆と前後して、空軍が白燐弾を使用した模様(現地医師の報告)

この一連の不祥事で、アフガン駐留の米軍司令官マッキャノンが
更迭される条件がそろってしまった。(日本のメディアではマキャナン?)

【パキスタン】
・ワシントンのア・パ・米サミットでタリバン掃討の共同戦線の体制が固まった。
・翌日早速、タリバン本拠地に化したスワットバレーへ、パキスタン政府軍が
 これまでにない猛攻を開始。空爆まで始まった。
・スワット住民は、空爆の間は戒厳令も出ており自宅内避難。
・戒厳令が一時解除になった日に30万人が大脱出。
・その後も避難は収まらず、今年に入ってからの50万人の国内難民に
 さらに80万人の新たな難民が発生。

 国連難民局の調査では、これで130万人の難民を確認。
(配給を受ける難民証明書の発行数なので、確実な数字でしょう)
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【イラク】*追記
・バグダッドの米軍イラク駐留軍基地で、米兵が銃を乱射し兵士5名死亡。
 理由は古くて新しい「戦場での錯乱」
 映画『フルメタル・ジャケット』そのままの惨劇の再現……
 すでに前線送り7〜8回という経歴の兵士も。
 戦争の日常化。 戦意の風化。
 もはや何のために闘っているのか、というゴールさえない。

しかし驚いたのは、マッキャノンの「実質的クビ」が、
日曜(だったと思うのですが)いきなり記者会見で発表されたこと。
これは、ペンタゴンでは異例だそうで、
いかにオバマ政権が、アフガニスタンでの空爆の不祥事を重く見ているか、
ということの現れでしょう。

記者会見には、ロバート(ボブ)・ゲーツ長官と、
マイケル・ミューレン統合総司令官が出てきましたが、
ゲイツ長官の顔面紅潮で、明らかに怒りまくっているのが読めました。
しかし、雰囲気として「このひとも長くはないな」と見えたのが、私なりの直感。
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ゲーツはそもそも、パパブッシュに重用されて
CIA長官を経歴してきた実務派官僚で、生粋の軍人ではないために
事後処理には長けるが、積極的作戦展開の発想ができない。
したがって、NATOの最高司令官時代の評価が高く、
軍事的国際社会では一目置かれている、オバマ政権の現行の安全保障補佐官
ジェームズ・ジョーンズ氏から見ると、多分どうにも物足りないはず。

今更ですが、コーリン・パウエルや、ウェスリー・クラークなど
民主・共和両党からも信頼の厚い制服組が、
近い将来、ゲーツの後任に納まって、
新たに「オバマ体制のペンタゴン」を再編成していくのでは? と見ています。

それまでは、ブッシュ体制の膿を出すだけ出して
従来の責任者と一緒に摘出手術する体制、と読んでます。
ちょっと先読み過ぎかも知れませんが。

【米国時間2009年5月10日『米流時評』ysbee】
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『米流時評』緊急特集 パキスタン最前線レポート
 〜「スワット谷 百万人のエクソダス」〜
第1章 百万人の難民エクソダス パキスタン最前線レポート /AP通信パキスタン支局
第2章 スワット谷のエクソダス タリバニスタン民族大移動 /AP通信パキスタン支局
第3章 さらば中世!  タリバン恐怖政治の終焉 /ワシントンポスト・パキスタン支局
第4章 21世紀狂気の蛮族 タリバン最期の日々 /ワシントンポスト・パキスタン支局
第5章 テロ戦争終章へ アフパキ戦線のエンドゲーム /ワシントンポスト・パキスタン支局
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MAY 10, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年5月10日号
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   W A S H I G T O N P O S T | A N A L Y S I S
グローバル化する世界の亀裂に増殖する21世紀の蛮族 タリバン最期の日々
米国時間 2009年5月10日 | パメラ・コンステーブル/ワシントンポスト | 訳『米流時評』ysbee

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何度こういう惨めな行列を目にしなければいけないのか 政府と蛮族の覇権抗争の犠牲者はいつも辺境の少数民族だ


Swat Valley Chronicle-2: End Days of Taliban
Sharia system in Swat being perverted, Pakistanis say
MAY 10, 2009 | By Pamela Constable — WASHINGTON POST | Translation by ysbee

13. Harsh adaptation of Sharia Law
In March, many Pakistanis were horrified when a videotape surfaced that showed Taliban enforcers publicly whipping a teenage girl in Swat accused of having an affair.
タリバン流解釈の公開処刑
前号「さらば中世!タリバン恐怖政治の終焉」からの続き | パキスタン・イスラマバード発
今年3月スワット地方で、この地域の支配者にのし上がったタリバンが「通常未婚者に禁じられている性的関係を持った」という理由でシャリア法の罪に問われた十代の少女を、鞭打ちの公開処刑に処しているビデオがネットに浮上してきた時には、パキスタン市民の多くが震え上がった。
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アフガン国境のカイバー峠から南下してパキスタンのスワット谷を占拠したタリバンは、パンジャブ地方を狙っていた

14. Inquiry of 13 preconditions to punish

But experts here said this summary punishment without evidence or trial was un-Islamic and had nothing to do with sharia. They said that if the girl had been brought before a real sharia court, judged by extremely high standards of proof. That includes testimony by four witnesses to the alleged illicit relations, and thus she might have gone free.
本来の懲罰には13の立証条件が必要
しかしながら、パキスタン国内のイスラム教義の神学者は、この処刑あるいは裁判そのものが、充分な物的証拠もなく行なわれたと言う点で、反イスラム的であり、シャリア法とはまったく相容れない無法行為だと非難する。神学者の理論では、もしこの少女が正統的シャリア法の法廷で裁かれるとしたら、極端に厳しい水準の証拠をそろえてから裁かれるはずだと異議を唱える。
一例を挙げれば、その禁じられた関係の疑惑を目撃した最低4人の証人が必要となり、実際的にはそのような状況はあり得ないため、少女は無罪放免になっていたはずだと主張する。
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かつては「パキスタンのスイス」と呼ばれ風光明媚な山岳地帯として世界から観光客の集まったスワット谷だったが

15. Crimes and punishments in Sharia law

"When people talk about sharia law and punishments like cutting off a thief's hand, they don't realize there are 13 preconditions that have to be met before that punishment is ordered. That's why nobody's hand is ever cut off here," said Raja Zafar ul-Haq, an Islamic scholar and political activist.
シャリア法の罪と罰
「人々が通常シャリア法の罪と罰について話す場合、たとえば盗みを働いた者の手を斬り落とすなどという刑罰ですが、本来そういう場合には判決が下される前に『まず起訴するに足る前提条件が13件以上そろうことが問われる』という原則を知らずに語っている場合が多いです。それだけ刑罰の実施に関しては厳しい条件が求められますから、パキスタンでは手を斬り落とされた罪人は、現実にはいまだかつていないわけですよ。」
イスラム教の神学者で政治活動家でもあるラジャ・ザファール・ウルハク氏は、シャリア法の実践条件と、イスラム原理主義者の曲解についてこう説明した。
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休戦協定成立当時は遵法姿勢を示したタリバンも、ここ数ヶ月反対派に対して残虐な公開処刑を実施し恐怖の対象に

16. No contradiction between Islam and democracy

In theory, he said, there is no contradiction between Islam and democracy in Pakistan. The constitution says no law may contradict the Koran or the teachings of the prophet Muhammad. But in practice, the state justice system is so slow and biased that people are fed up.
イスラム法と民主主義は矛盾しない?
ウルハク氏いわく「パキスタンでは理論上は、イスラム教と民主主義は矛盾しない」と主張する。なぜなら、パキスタンの憲法自体が「コーランもしくは預言者モハメッドの教えに矛盾する法律はない」と規定しているからである。
しかしたとえ理屈ではそうであっても、実践の場ではそうはいかない。これまでの中央政府の裁判制度があまりにもスローで、支配階級に有利に働くよう偏向していたため、一般国民は国レベルでの司法と言うものにうんざりし、嫌気がさしていたというのが事実である。
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つい3か月前までは「No America, No NATO」だったのが、タリバンの実相を知り「No Taliban」に急変

17. Gathering the complaints against unjustice

"Unless there are major reforms," he said, "the demand for sharia may spread all over the country." There is a growing movement in mosques and seminaries throughout Pakistan today.
地方に山積する司法・行政への不満
司法界の今後の展望を、ウルハク氏はこう見る。「パキスタンでは大きな改革でもない限り、シャリア法実施に対する要望は、国中に広がっていくばかりでしょう。」
彼の分析を裏付けるかのように、こういった旧法復帰の主張が、モスクでの訓戒師の説教やマドラサなど僧院での学習で繰り返され、シャリア法実施を掲げる運動は、今日でもパキスタン全土で高まってきているのが実情だ。
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パキスタンでもイラクと同様にIEDの爆破で一般市民が巻き添えに 犠牲者への政府の救済援助は微々たるもの

18. Radical islamists movement

That is the movement to abolish the modern justice system and make sharia the supreme law of the land. Radical Islamic clerics in major cities give emotional weekly sermons, urging their followers to turn from decadent Western ways and spread vigorous moral purity.
イスラム原理主義の潮流
こうした一連の運動は、「近代社会の司法制度を廃棄してシャリア法をこの国の絶対的法律に復活させよう」というイスラム法復帰の気運となって、パキスタン全土に伝播してしまった。
国内の主要都市のモスクでは、イスラム過激派の訓戒師が激情を込めた説教を毎週展開し、追従者に向かって「西欧流の退廃的な風潮を排除して、清廉で凛とした道徳倫理の復権を」と、イスラム法復権の説得を繰り返している。   >次号へ続く

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何十年も住み慣れたスワット谷をあとにして、すでに130万人が「IDP=国内難民」と言う名の流浪の民と化した

【 米国時間 2009年5月10日 『米流時評』ysbee訳 】
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* 3 月 兎 の 走 り 書 き *
『米流』では、今日も昨日に引き続き、
アフパキ戦線の最前線でがんばっている戦場のジャーナリスト、
ワシントンポスト紙のパメラ・コンステーブル記者の手になる
現地直送のレポートとアナリシス『タリバン最後の戦争』です。

原題は『Taliban-style justice stirs growing anger
within the Swat Valley residents』ですが、
長過ぎるので私流に一言で通じるような和名のタイトルに。
前号の見出しにした『中世よさらば!』にはじまって、
『スワット谷戦記』『タリバン最後の日々』『パキスタンのエンドゲーム』
『タリバニスタン最終戦争』『百万難民のスワット谷大脱走』……などなど。

大昔とったコピーライターという杵柄で、
売れないゲームか、ヒットをかすった戦争映画のような、
どうにも俗っぽい命名ですが……
もちろん、これで最終戦争=エンドゲームにしてくれ、という
私めの勝手な、しかし切実な希望が込められているのは
言うまでもありません。
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   ◀ 次号「テロ戦争終章 タリバニスタンの最終戦争」
   ▶ 前号「さらば中世!タリバン恐怖政治の終焉」
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by ysbee-2 | 2009-05-10 11:50 | タリバニスタン最前線
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