米流時評

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カテゴリ:ユーラシアの回廊( 12 )

アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋

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    ||| カイバー峠の戦場にかける橋 |||

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 米軍3万名増兵で中央アジアの平定を図る、オバマ新政権テロ戦争の戦略転換
 タリバン掃討戦の焦点はア・パ国境の前線へ、鍵を握るロシア参戦の可能性は?


d0123476_18552829.gif前号「メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン」のあとがき:
古代マケドニアのアレキサンダー大王が、ローマ帝国時代には皇帝カエサルのローマの歩兵が、東方大遠征の際にいずれも通った歴史的要衝、カイバー峠。西方からオリエントへとエキゾチックなスパイスや宝石を求めて、インドへの危険な旅路を目指した冒険家たちも、東洋と西洋をつなぐ天下の嶮カイバー峠を越えなければ、エキゾチックな王侯たちの都へは辿り着けなかった。
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この東洋と西洋の世界の狭間に立ちはだかるドアの鍵穴のようなカイバー峠は、米軍が展開するテロ戦争の戦略ステージでも、歴史の故事に倣ったかのように、陸路の重要な関門となっている。歴史のターニングポイントとなった2001年の9/11同時多発テロと、それに続くテロ戦争の第1幕であるアフガン侵攻。この時以来、トラボラをはじめとするタリバンの拠点を攻撃するため、米軍はさらに中央アジアの要所に補給用の空軍基地を設置して、ドイツやイタリーの米軍駐屯基地から、物資や兵力を輸送する中継基地として利用してきた。
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その中に、中央アジアの小国タジキスタンの首都ビシュケク郊外の、マナス空軍基地がある。しかしつい最近、これまで7年間ストップポイントとして利用してきた米国に対して、タジキスタン政府からは契約更新を拒否する動きが出ている。イエスかノーかは、タジキスタンの国会で決定されるが、昨日の決議は案件が重要すぎるのか、延期となった。

【追記】その後6日金曜のニュースでは、タジキスタンの国会決議でマナス空港の米軍へのリースは継続中止に決定。すなわち将来的に立ち退きを迫られる事態が予測される。近々にアフガン戦線へ3万名の増兵を予定しているペンタゴンの将校たちは、今頃は総立ちで蒼白のはずだ。
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その陰には元々、ロマノフ王朝の帝政時代から中央アジアの高原一帯を配下に治めてきた、歴史的執着を捨てきれないロシアの思惑が働いている。ソ連邦時代のアフガン侵攻で、国費を使い果たして国庫破綻しソ連の国家崩壊につながった史実は、前号でも述べた通りである。また、ロシアの国境に沿って首飾りのようにユーラシア大陸に連なる、コーカサスと中央アジアの国々「ユーラシアの回廊の資源戦争と戦略外交」については、米国の東欧MD計画が暴露され、ブッシュとプーチンの間が急速冷却して「新冷戦開幕か」と囁かれた、2007年の夏のエントリーで解説した。

▶ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り 『米流時評』2007年6月10日号 再掲出
d0123476_14302471.jpg第1章 ロシアと米国の新冷戦 /第2章 ロシア・グルジア・アゼルバイジャンの三すくみ /第3章 ロシアの首飾りからユーラシアの回廊へ /第4章 資源外交と侵略戦争 /第5章 ユーラシアの長い暑い夏

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ソ連撤退からユーラシアの弧包囲網を構築しようとした米軍とNATOだが、アフガンとパキスタンでの叛徒グループの反撃がしぶとく、いまだに平定すらできていない。そこへもってきて、戦線撤退を最終目的に掲げるオバマ政権が樹立した。ロシア側から見れば、まさに10年に1度のチャンスである。ソ連時代の雪辱を果たす、というよりも、この地域に眠る貴重な地下資源に対する固執が優先しているように伺える。
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ロシアのメドベージェフ大統領は、オバマ新政権に対して「(アフガン・パキスタンを含めた)中央アジアの安全保障は、歴史と経験豊富なわが国に任せなさい」と申し出たのである。
ポーランドとチェコに設置予定だった米軍ミサイル防衛計画(東欧MDSプラン)のレーダー施設やミサイル打上げ施設をめぐって、プーチンとブッシュが「新冷戦」開幕と危惧される衝突を起こしたのは07年来で、米ロ間の外交関係の急激な冷却と、関係諸国間の外交の緊張につながった。
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そこで、メドベージェフからの申し出の交換条件として出されたのは、案の定「東欧MDS」の撤廃である。当然、チェコやポーランドの計画に直接関連する国からは、猛烈な反対がくるだろう。
しかしそもそもは、東欧ミサイル防衛網計画を立案し推進したのは、イスラエルと密着したネオコンタカ派とその傀儡のブッシュ政権であって、オバマ新政権ではない。オバマは、そうした世界へ覇権の軍備を拡大するタカ派のプロジェクトは、国家としてのアメリカを崩壊へ招くものと解釈するハト派の国民の支持を集めて、ホワイトハウスへの道を拓いた。
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世紀に一度の大不況のさなかに生まれたオバマ新政権は、否が応でも内政と経済を最優先させる運命にある。政治のベクトルが国政充実に内向すれば、軍事費は大巾に削減せざるをえない。戦線は縮小、あるいは首尾よく行けば撤退がゴールである。
一方ロシアは、米国の覇権への野心が足をすくわれたこの機を、中央アジアへの影響力を奪還する最大のチャンスと見たのだろう。ロシアからのサイは投げられた。中央アジアという賭博場のテーブルについているのはメドベージェフだが、背後から指示を囁いているのがプーチンであるのは、誰の目にも明らかである。
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この、のるかそるかの大転換の流れを、紛争と衝突の繰り返しに戻すのか、
あるいは、奇跡的な平和をもたらす交渉の場に変えることができるのか?
人種の壁を越えた新しい時代の指導者は、東西の宗教の峡谷への架け橋となりえるだろうか?

決断のときが、オバマを待っている。
米国の未来だけでなく、西欧諸国とイスラム世界との融和を賭けて。

【米国時間2009年2月5日『米流時評』ysbee】
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◀前号「メドベージェフ vs オバマ/ロシアのアフガン回帰」
▶次号「パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略」
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d0123476_11564496.jpg記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/9306903
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米流時評 特集 ||| オバマの時代 |||
第1章 オバマ時代開幕 Road to White House
▶11/01(1)世界が待ち望む オバマ時代の夜明けd0123476_19284774.jpg
▶11/02(2)世界危機に挑戦する 21世紀のニューリーダー
▶11/04(3)アメリカの再生を賭けた明日へのカウントダウン
▶11/07(4)オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」
▶11/13(5)オバマの初仕事・ホワイトハウスの組閣人事
▶11/14(6)オバマ紳士録・後編 クリントンが国務長官?
▶11/16(7)オバマのチャイナフリーFDA改革・禁中国汚染食品!
▶12/08(8)ウォール街復活? オバマのNewニューディール効果


第2章 オバマの百日革命 Revolutionary Road
▶1/19(1)勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり
▶1/23(2)ブッシュとオバマ/スーパーマンの仕事始め
▶1/24(3)カストロとオバマ/キューバとアメリカの新しい海峡
▶1/25(4)旧体制とオバマ/レボルーショナリーロード
▶1/27(5)中東とオバマ/カウボーイ外交からピース外交へ
▶1/28(6)アラブとオバマ/アルアラビアTVインタビュー対訳
▶2/01(7)金正日とオバマ/狼少年の歓迎のテポドンd0123476_1936736.jpg
▶2/03(8)テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧MD計画
▶2/04(9)メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン
▶2/05(10)アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋
▶2/06(11)パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略
▶2/07(12)アルカイダとオバマ/パキスタン ISIのCHANGE
▶2/08(13)ビンラディンとブッシュ/テロ戦争内幕の危険な関係
▶2/09(14)イスラエルとオバマ/タカ派三つ巴のイスラエル総選挙
▶2/10(15)ネタニヤフとリブニ/イスラエルの2月体制
▶2/11(16)タリバンとオバマ/首都カブール同時多発テロ攻撃
▶2/12(17)カルザイとオバマ/アフガン増兵とアフ・パキ戦線
▶2/13(18)クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談
▶2/14(19)クリントンと北朝鮮/核と平和のアメとムチ
▶2/15(20)パレスチナとオバマ/絶望と希望のはざまで
▶2/17(21)アフマディネジャドとオバマ/テヘランの春
▶2/18(22)IAEAとオバマ/イラン核外交のCHANGE


||| 『米流時評』 特集シリーズ |||
次世代冷戦時代  |  グローバルウォー  |  イラク戦争  | テロとスパイ陰謀d0123476_1746245.jpg
アルカイダ2.0 核のテロ | パキスタン戒厳令の季節  |  アフガン・タリバンの復活
中東のパワーラビリンス | プーチンのロシア | ユーラシアの回廊 | ダイハード中国
2008年米大統領選 | ブッシュと米国政治 | サルコジのフランス | トンデモ北朝鮮
ビルマの赤い川革命 |  欧米の見る日本  | 世界不思議探検 | グローバルビジネス


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by ysbee-2 | 2009-02-05 12:35 | ユーラシアの回廊

メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン

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    ||| メドベージェフのプロポーザル |||

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メドベージェフ大統領、オバマ新政権に中央アジア防衛上の全面的協力を声明
キルギスタン米軍基地撤退など、旧ソ連盟邦国へのロシア防衛力浸透を意図か


d0123476_18552829.gif前号のまえがき「オバマの戦争と平和・テロ戦争とロシアのUターン」からの続き
地政学上ロシアと中東・南アジアの間に横たわる中央アジアは、ユーラシアの回廊として常に覇権攻略の対象となってきた。

カザクスタンの地政学上の重要性と埋蔵地下資源を認識してクリントン元大統領が強力なコネクションを結んだのは記憶に新しい。カザクの南方のウズベクスタン・トルクメニスタン・キルギスタン・タジキスタン。この中央アジアの高原の国々は、アフガニスタンとパキスタンにおける米国のテロ戦争のロジスティックベース(戦略上の拠点となる輸送基地)として、2001年以降重要な役割を果たしてきた。
▲トップ:クレムリンにメドベージェフ大統領を訪問し20億ドルの借款を取り決めたキルギスタンのバキエフ大統領
▼ 左図のブルーの部分がキルギスタン /右は左の拡大マップ
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しかしロシアから見れば、どの国も帝政ロシア時代から旧ソビエト連邦時代までは、盟邦国として配下にあった。軍事上は「中央アジアにおけるロシアの包囲網」と受け止められるのも、当然のポジショニングではある。年が明けて、8年間のブッシュの覇権体制から新しいオバマ政権へと、米国政権は移行した。しかし、ブッシュ政権の無謀な放漫財政の結果、国庫財政は破綻しつつある。

その危機を見越したかのように、米空軍基地を提供していたキルギスタンが、契約更新を断る態勢である。その態度変更の裏には、ロシアからの20億ドルの借款があった。以下の記事は、そうした関連各国の一連の動きが、カドリールのように相手を代えて覇権抗争の中で生き残ろうとする小国のステップとともに、歴史の1ページへ刻まれる瞬間の記録である。
【米国時間2009年2月4日『米流時評』ysbee】

参照 ▶ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り『米流時評』2007年6月10日号 再掲出
d0123476_14302471.jpg第1章 ロシアと米国の新冷戦 /第2章 ロシア・グルジア・アゼルバイジャンの三すくみ /第3章 ロシアの首飾りからユーラシアの回廊へ /第4章 資源外交と侵略戦争 /第5章 ユーラシアの長い暑い夏

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FEBRUARY 4, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2009年2月4日号
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    Associated Press | B R E A K I N G
ロシア、オバマ新政権に中央アジア防衛上の全面的協力を申し出
米国時間 2009年2月4日午後0時38分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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どう見ても米軍か国連軍だが、これがANAアフガニスタン政府軍兵士。戦後の日本が急激にアメリカナイズされていったように、アフガンの一般民衆もサングラスから脱イスラム化するのか? トラックは地球上どこでもTOYOTA

Russia: We'll Help U.S. Stabilize Afghanistan
Comments follow move by Kyrgyzstan to evict U.S. forces from key air base
FEBRUARY 4, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
MOSCOW — President Dmitry Medvedev said Wednesday that Russia and its ex-Soviet allies want to help the United States stabilize Afghanistan, saying Moscow wanted "full-fledged" cooperation with Washington. He spoke a day after the ex-Soviet republic of Kyrgyzstan announced it would evict the U.S. from an air base key to the Afghan war.

ユーラシア防衛で米国に全面的協力
モスクワ発 |ロシアのドミトリ・メドベージェフ大統領は「ロシアと旧ソ連盟邦国は、アフガニスタン平定を目指す米国を援助するために、米国政府に対して『全面的に協力』する意向である」という声明を4日水曜発表した。この声明は、アフガン戦争における物資輸送の重要な拠点であるメナス米空軍基地の存続をめぐって、契約更新をしない方針をとろうとしているキルギスタン共和国(旧ソ連邦盟邦国)のバキエフ大統領と、メドベージェフ大統領がモスクワで会見した翌日に公表されたが、オバマ新政権に対するロシアの外交姿勢の急変を物語るものである。
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中央アジア空路の米軍補給ルートの要衝、キルギスタンの首都ビシュケクから郊外へ30キロにある米空軍マナス基地

2. Russia promised $2 billion to Kyrgystan

Kyrgyzstan made the move after getting a promise for $2 billion in loans from Russia — which resents the American presence in a region Moscow regards as part of its traditional sphere of influence.
キルギスタン、ロシアから20億ドルの借款
問題の国キルギスタンは、ロシアから20億ドルの借款契約をとりつけたあとで、この動きに出たものである。カザクスタンやタジキスタン、キルギスタンなど、ロシアを囲繞する中央アジアの一連の国家は、コーカサスの小国家群とともに、長い歴史の中でも伝統的にロシア的世界に包括される地域「帝政ロシアの首飾り/ユーラシアの回廊」として認識されてきた。
そうした身内のような地域に、テロ戦争以来米国の出先機関が顕在化する現象は、ロシアにとってはたしかに目障りであったにちがいない。
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キルギスタンの米空軍マナス基地は、アフガニスタンの駐留米軍へ物資・兵器・燃料を輸送するロジスティック基地

3. Base closure affects Afghan surge

The possibility of the base closure poses a serious challenge to the new U.S. administration and President Barack Obama's plan to send up to 30,000 more American forces into Afghanistan this year.
3万名のアフガン増兵計画にも支障
しかし、首都ビシュケクの郊外30キロにある米空軍駐屯マナス基地に対して、万一キルギスタンが借地契約の更新を打ち切って米軍が使えなくなれば、オバマ新政権が今年予定しているアフガン戦線への3万名派兵計画にも支障をきたすことになる。
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米軍の戦車や車輌に補給するガソリンや重油などの燃料を運ぶS-371輸送機と防火服を着た作業員

4. 'Ready for full-fledged cooperation w/U.S.'

"Russia and other (alliance members) are ready for full-fledged comprehensive cooperation with the United States and other coalition members in fighting terrorism in the region. This fight must be comprehensive and include both military and political components. Only in the case will this have a chance to succeed," Medvedev said.
米軍のテロ戦争アフガン戦線を代行
「われわれロシアと盟邦国は、この地域(アフガニスタンとパキスタンの国境地帯)でテロリズムとの戦いを続けている米国とその友軍国家に対して、全面的な協力体制で臨む用意はできている。この地域での戦闘においては、軍事的および政治的な戦略を統合したときに初めて完遂できるという特殊事情があることを、肝に命じなければならない。」アフガン侵攻時の苦い軍事的経験に裏打ちされたロシア軍の教訓を込めて、メドベージェフ大統領はアフガン戦争での戦略をこう語った。
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アフガニスタンの政府軍ANA/Afghanistan National Army の実戦演習場 米軍が軍事指導を担当

5. What is the exchange of 'full-fledged' cooperation?

It was not clear if Medvedev's reference to "full-fledged" cooperation was an attempt to reassure Washington or an indication that Moscow would seek concessions in exchange for helping keep the Manas air base open.
全面的協力の見返りは何?
メドベージェフ大統領が公言した「全面的協力」が具体的には何を指すのかについては明確ではない。果たしてモスクワのロシア政府が、オバマ新政権との友好的外交関係を模索して発した社交辞令なのか、あるいはマナス米空軍基地を継続して使えるようキルギス政府と交渉する代わりに、その代償として何らかの見返りを期待するという含みなのかは、現在のところ定かではない。
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アフガニスタンの首都カブールでの軍事パレードを終え、基地へ戻る陸軍のコンボイ=トラック輸送部隊

6. Alternative logistics to Pakistani supply lines

Russia has appeared open to aiding the U.S. and NATO in Afghanistan by facilitating attempts to find northern alternatives to Pakistani supply lines increasingly threatened by militant attacks.
パキスタン補給ルート代行のロジスティックス
今回の申し出の表向きでは、アフガン国境に近いパキスタン側にある米軍の補給ルートに対して、昨今タリバンシンパゲリラの攻撃が頻発していることから、アフガン北方地域へ通じる代行の輸送経路を探し出して、アフガンで闘う米軍とNATO軍を表立って援助しよう、という外交姿勢の方針変更に見える。
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戦場にかける橋:アフガンの米軍基地へ物資を補給する山岳部隘路カイバー峠の橋はタリバンによって3日爆破された

7. Vehement opposition against U.S. MDS plan

But Moscow also wants to protect what it says as its strategic backyard by blocking the possibility of NATO membership for Ukraine and Georgia. Russia has also vehemently opposed U.S. plans to put a missile defense system in the Czech Republic and Poland.
米国の東欧ミサイル防衛計画に鉄槌
しかしながらロシア政府はまた、自国の守備範囲の防衛体制を崩したくないので、お膝元のウクライナとグルジア両国がNATOに加盟する可能性は何としても阻止したい、と以前から公言してきたのも事実である。また、ブッシュ政権時に米国がチェコとポーランドに計画した東欧ミサイル防衛網/MDSの建設に関しては、プーチン大統領の時代から猛烈に反対し、一時は米国との間に「新冷戦開幕か」と危機感が表面化した時期もあった。
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ブッシュ政権1期目の国防長官ラムズフェルド。ネオコンのニューワールド計画の軍事上の推進者だった。

8. 'Democracy cannot be forced'

Medvedev appeared to criticize U.S. efforts on stabilizing Afghanistan, saying it would be impossible to defeat terrorism there only using military means."It is necessary to form a full-fledged political system, keeping in mind, cultural and historic traditions. Democracy cannot be forced upon (a country). It must grow from within," he said.
「民主主義に強制はない」
メドベージェフはまた、米国がアフガニスタンを平定しようとする努力に対して、批判的な意見も明らかにした。その理由として、彼の地(アフガンとパキスタンの国境地帯にあるパシュトン民族の自治州)では、軍事的手段だけではテロリズムに勝つことは不可能だと主張し、次のように発言した。
「あの地域のパシュトン族を治めるには、彼らの心情や伝統ある文化と歴史をそっくりそのまま包含するような、政治形態そのものから全面的に統合する必要があるのです。民主主義とは、決して国家が押し付けるものではないはずです。それは、国家の内なる人民の間から、自然に芽生えてくるものでなければなりません。」
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キルギスタンの主要産業は中央アジア小国の例にもれず放牧農業。冬場に閑をもてあます首都ビシュケク郊外の農民。

9. Mixed signals for Obama administration

"It's not the number of bases that matters. It would be good if that would help reduce the number of terrorists, but the fight against terrorism is not limited to building up military forces." Russia, which waged its own bloody and unsuccessful attempt to control Afghanistan, has sent mixed signals about working with the Obama administration, after years of political clashes with the administration of George W. Bush.
オバマ新政権への変化球
「平定へのこだわりは、基地がいくつあるかではないでしょう。もちろん、テロリストの数が減ればそれに超したことはありません。しかしテロリズムとの闘いは、なにも軍事力増強だけで解決のつく問題ではないはずです。」
ロシア自身、ソ連時代の末期にアフガン侵攻で辛酸をなめ、数千の戦死者を出し国庫が疲弊した苦い経験を持っている。またジョージ・W・ブッシュの前政権とは、外交政策と軍事戦略で正面から衝突した数年間を過ごした後だけに、オバマ新政権に対しては玉虫色の外交姿勢を見せ、様子を伺っている段階だと受け取られる。
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ビシュケクの国立歴史博物館 高く建立された銅像と国旗掲揚塔がソ連邦時代のモスクワ様式

10. Enforcement on ex-Soviet alliance

On Wednesday, Medvedev hosted presidents from seven-member Collective Security Treaty Organization — a loose, Moscow-dominated alliance made up of several ex-Soviet states. After Kremlin talks, the group announced the creation of a joint rapid reaction force that would boost the military dimension to the alliance, which until now has served mostly as a forum for security consultations.
CSTOで旧ソ連盟邦国との結束強化
4日水曜メドベージェフ大統領は、Collective Security Treaty Organization(CSTO=総合安保条約機構)に加盟する7カ国の元首をモスクワに迎えた。この組織は旧ソ連邦盟邦国の数カ国からなる、明文化してはいないがロシアが主導権を握る安全保障の共同機構である。クレムリン宮殿での本会議の後、出席したメンバーは共同声明を発表したが、その内容は次のようなものであった。

「共同安全保障の加盟国間では、その中の一国でも有事に際した場合には(=紛争発生時)、他の加盟国はただちに共同戦線を結成して、友軍としての軍事力を行使する。ただし現時点では、平時にあっては安全保障のコンサルテーションを専らの機能として、関連課題のフォーラムを開催する機構として発効するものである。」 <了>

【 米国時間 2009年2月4日 『米流時評』ysbee訳 】
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キルギスタンの首都ビシュケクにある合衆国設立の中央アジア大学 University of U.S. Central Asia

◀前号「テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧 MDS 計画」
▶次号「アフガニスタンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋」
▶予告「エルドアンの直言/ガザ侵攻のイスラエルを堂々糾弾」
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▼米流時評 特集『オバマの時代』記事リストへ続く
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by ysbee-2 | 2009-02-04 12:24 | ユーラシアの回廊

オバマの戦争と平和・テロ戦争とロシアのUターン

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   ||| オバマとロシアの テロ戦争と平和 |||

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オバマ政権のテロ戦争対策に援軍の名乗りを上げた、ロシアのアフガン・リターン

d0123476_18552829.gif昨日の記事では、北の金殿が健在ぶりをアピールするような核の脅しを発声し、相変わらずの狼少年ぶりを発揮したレポートだったが、今日はロシアからのプロポーズである。言わずもがなで、オバマ新政権に対して。
どういうことかという詳細はこの次のエントリー記事でお読みいただくが、端的に平たく言うと、「アフガンはロシアにまかせろ」と切り出したのだ。
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これはこの地域のこれまでの経緯を多少なりとも振り返れば、少なからず意外な発言である。そもそもがロシアの前身ソビエト連邦は、アフガン侵攻で10年間アルカイダの前身のアフガンゲリラと闘った末、初志貫徹できずに撤退した。その10年間で巨額の戦費を使い果たした経済逼迫が引き金となって、母体のソビエトの連邦体制そのものが、瓦解するきっかけになった戦争である。
骨の髄まで懲りているはずのロシアが、なぜまたアフガニスタンへ出かけて、米軍の代行としてこの地の平定を買って出ようとするのだろうか?
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表面的には、財政の屋台が傾きつつある米国の新しいオバマ政権に対して、難役を肩代わりするから苦境を乗り切ってほしい、という友好的アピールに見えるだろう。しかしその外交のオブラートを通して、ロシアが米国に対して基本的に要求したかった本音が突出している。

▶ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り 『米流時評』2007年6月10日号 再掲出
d0123476_14302471.jpg第1章 ロシアと米国の新冷戦 /第2章 ロシア・グルジア・アゼルバイジャンの三すくみ /第3章 ロシアの首飾りからユーラシアの回廊へ /第4章 資源外交と侵略戦争 /第5章 ユーラシアの長い暑い夏

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ロシアが米国の新政権に対して真っ先に手をつけてほしいと願っているのは、ブッシュ政権下で着々と進行していた米国の「東欧ミサイル防衛計画/MDSプラン」の撤廃である。オバマ政権からはMDSに関する新たな変更案や撤廃案はまだ発表されておらず、財政再建の巨大な難問に注入資金を投入する議案を可決へ持ち込むだけで四苦八苦の現状である。

防衛に関しては、以前から主張してきたイラク駐留米軍撤退案を推進し、来年中にはほとんど全ての部分でイラク自衛軍が国家治安を担当する。先月末に実施された新生イラクとして2度目の総選挙も、投票率も高く国民の支持を得て、米軍撤退も思惑通りに進行するような兆しが見えてきた。
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オバマ自身は選挙戦の前から主張してきたように、テロ戦争に対しては米国民が9/11の仇と執着するアルカイダのオサマ・ビンラディンやアル・ザワヒリなどのテロ組織のトップを倒せば、それで完了と思っている節がある。軍事に関してはたしかにアマチュアなのかも知れない。

肝心のペンタゴンは、ブッシュ時代と同じロバート・ゲイツ長官が居残ったままなので、外交政策ほどの大転換は、まだ戦略上の方針転換としては現れてきていない。ただブッシュ時代のような、やみくもな軍備拡張や戦線拡大に走らないことだけは確かだろう。なにしろイラク戦争とテロ戦争終結は、オバマの選挙戦で最たる公約のひとつだったのだから。戦費をカットできれば、財政の穴が少しは縮まる。戦線縮小による米軍撤退は、財政立て直しの鍵でもある。
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ブッシュからオバマへのテロ戦争の戦略的転換は、何も戦場がイラクからアフガン/パキスタンへ移動するだけではない。戦術的には天と地ほどの開きがある。
ブッシュ政権下では、彼のパトロンである軍需産業に貢献するための兵器と関連産業の「消費」が主目的だった。テロ戦争は、ネオコンの御用産業である警備代行のブラックウォーターから死体処理ビジネスのKenyonにいたるまで、Bush Co.と呼ばれる軍需産業ネットの完璧なフローワークで、巨額の利益を国庫から無尽蔵に吸い尽くす「ウォーマシン」と化していた。

▶ユーラシア大連邦と第三次世界大戦の兆候 米流時評 2007年10月16日号 再掲出
d0123476_14302471.jpg1. イスラエルとパレスチナ「エルサレム二都物語」/2. プーチンのイラン訪問とカスピ海サミット
3. アルメニア人虐殺とトルコのイラククルド地区侵攻/4. 国連安保理でカダフィのリビアが理事国
5. 世界同時多発のグローバルウォー

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オバマはこうした軍産一体化のネオコン体制に真っ向から斬り込んだ候補として、大統領選で勝利を収めたのだ。この肝心な点を日本でも誤解なさっている方が多いので、強調して言わねばならない。
オバマの主眼は、米国の覇権ではない。
外部からは想像もつかないほど腐敗したワシントンの国政と破局一歩手前の財政を立て直す政策・議案が、一刻を争って成立し実施されなければ、アメリカが立ち直るチャンスはない。そこまで追い詰められているのだ。
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ローマ帝国末期の症状を思い返せば、状況は容易に飲み込めるだろう。国家としての守備範囲が余りにも拡大膨張したがために、辺境でくり返される異民族との果てしない戦闘に巨大な戦費と兵力を使い果たし、帝国は内部崩壊した。
アメリカの政治家は、ローマ帝国や、大英帝国や、ソ連の膨張策の結末に待っていた巨大なる転落を忘れたわけではないだろう。その陥穽は、いつも戦争だ。
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アメリカ国民の一般感情としては、もう、ビンラディンさえどうでも良くなっているのかも知れない。9/11の年に生まれた子供は、すでに小学生である。その年代の親であれば、将来の学費を心配する方が先行するはずだ。アフガンやパキスタンでのテロ戦争は、正直なところ誰かに肩代わりしてほしい...... というのが本音だろう。ましてや社会全体が空前の不景気へと傾いている昨今、戦争どころではない。そこへ、降って湧いたようなメドベージェフからの申し出である。
「アフガンはまかせろ」
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さて、オバマがこのプロポーズに「Yes, You Can!」と言うかどうか、来週には回答が出るだろうか? オバマの支持者のコアを形成していたリベラル派は、当然「Peace=いのち」であるから、さっさと撤兵してロシアに肩代わりしてもらいたい。
だが、オバマが合衆国統一のかすがいとして取り込んだ保守中道の国民の大半は、ロシアへのアフガン戦線委譲はアメリカに負け犬の烙印を押すことになると受け止め、反対するだろう。彼らには「負けるが勝ち」という美学はない。キリスト教徒に仏教の諦観は通用しないのだ。
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オバマが本来の使命を貫いて、内政重視型の合衆国再建の道を取るならば、メドベージェフの申し出を飲むだろう。そうなれば、アラブ諸国やイスラム圏で必要以上に喧伝されていた、合衆国の帝国幻想も否定できる。弱者の勝利をとるか、強者の敗北を選ぶか。結論はすでに半分見えている。

【 米国時間 2009年2月3日『米流時評』ysbee 】f0127501_6213945.jpg

▶次号後編「メドベージェフ vs オバマ/ロシアのアフガン回帰」
〜メドベージェフ大統領、オバマ新政権に中央アジア防衛上の全面的協力を申し出
1. ユーラシア防衛で米国に全面的協力 /2. ロシアからキルギスへ20億ドルの国債 /3. 米軍のテロ戦争アフガン戦線を代行 /4. 全面的協力の見返りは何か? /5. パキスタン補給ルート代行のロジスティックス /6. 米国の東欧MDS計画に鉄槌 /7. 「民主主義に強制はない」/8. オバマ新政権への変化球 /9. 旧ソ連盟邦国との結束強化
▶予告「エルドアンの直言/ガザ侵攻のイスラエルを堂々糾弾・独占会見」
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TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/9298191

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米流時評 特集 ||| オバマの時代 |||
第1章 オバマ時代開幕 Road to White Housed0123476_19284774.jpg
▶11/01(1)世界が待ち望む オバマ時代の夜明け
▶11/02(2)世界危機に挑戦する 21世紀のニューリーダー
▶11/04(3)アメリカの再生を賭けた明日へのカウントダウン
▶11/07(4)オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」
▶11/13(5)オバマの初仕事・ホワイトハウスの組閣人事
▶11/14(6)オバマ紳士録・後編 クリントンが国務長官?
▶11/16(7)オバマのチャイナフリーFDA改革・禁中国汚染食品!
▶12/08(8)ウォール街復活? オバマのNewニューディール効果


第2章 オバマの百日革命 Revolutionary Road
▶1/19(1)勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり
▶1/23(2)ブッシュとオバマ/スーパーマンの仕事始め
▶1/24(3)カストロとオバマ/キューバとアメリカの新しい海峡
▶1/25(4)旧体制とオバマ/レボルーショナリーロードd0123476_1936736.jpg
▶1/27(5)中東とオバマ/カウボーイ外交からピース外交へ
▶1/28(6)アラブとオバマ/アルアラビアTVインタビュー対訳
▶2/01(7)金正日とオバマ/狼少年の歓迎のテポドン
▶2/03(8)テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧MD計画
▶2/04(9)メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン
▶2/05(10)アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋
▶2/06(11)パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略
▶2/07(12)アルカイダとオバマ/パキスタン ISIのCHANGE
▶2/08(13)ビンラディンとブッシュ/テロ戦争内幕の危険な関係
▶2/09(14)イスラエルとオバマ/タカ派三つ巴のイスラエル総選挙
▶2/10(15)ネタニヤフとオバマ/イスラエルの2月体制
▶2/11(16)アフマディネジャドとオバマ/テヘランの春
▶2/12(17)IAEAとオバマ/イラン核外交のCHANGE
▶2/13(18)パレスチナとオバマ/絶望と希望のはざまで


||| 『米流時評』 特集シリーズ |||
次世代冷戦時代  |  グローバルウォー  |  イラク戦争  | テロとスパイ陰謀d0123476_1746245.jpg
アルカイダ2.0 核のテロ | パキスタン戒厳令の季節  |  アフガン・タリバンの復活
中東のパワーラビリンス | プーチンのロシア | ユーラシアの回廊 | ダイハード中国
2008年米大統領選 | ブッシュと米国政治 | サルコジのフランス | トンデモ北朝鮮
ビルマの赤い川革命 |  欧米の見る日本  | 世界不思議探検 | グローバルビジネス


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by ysbee-2 | 2009-02-03 13:12 | ユーラシアの回廊

アルバニアとクロアチアのNATO加盟作戦

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   ||| アルバニアとクロアチアのNATO加盟問題 |||

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 米国が後押しするアルバニアとクロアチアのNATOメンバー国加盟問題
 旧ソ連邦の脱共産圏国家をめぐるロシアと米NATO連合軍の熾烈な確執


d0123476_18552829.gif 今週は昨日まで3日間、グルジア紛争後の
米国・ロシア関係の意外な進展に関して書いてきた。
ライス長官やチェニー副大統領は、
親米派で知られるグルジアのサアカシビリ政権の立場を支持してきた。

 しかし、国務省の動きとは裏腹に
 ペンタゴンはロシアとの直接交渉で、
 バルカンと並ぶヨーロッパの火薬庫である
 コーカサス地域の鎮静に乗り出したようである。
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トップ:コーカサスの冬は長い 旧ソ連邦領土だった元共産圏国家の離脱を抑えようと必死のロシア軍の防衛体制
上:NATO加盟の意向を訴えるグルジアのサアカシビリ大統領だが南オセチア侵攻の勇み足がグルジア紛争の契機に


 この地域のカスピ海沿岸国家、
 アゼルバイジャンのバクー油田をめぐる資源戦争の背景は、
 昨年夏のエントリー「ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り」と
 「ユーラシア大連邦と第三次世界大戦の兆候」でも詳説した。

 帝政ロシア時代からの恩執をひきずる コーカサスの小国家群に関しては、
 限りない民族抗争とロシアとの確執が、
 歴史のタピストリーの中に 重層に織り込まれていて、
 ニュース記事のタイトルからだけでは決して理解できない、
 複雑なパワーバランスの迷図が横たわっている。

 この地域の地政学に興味をお持ちの方には、
 ぜひご一読いただきたい自薦の記事である。
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カスピ海と黒海にはさまれたコーカサス地域は、古代から異文化の交流する要の地点として、文明と戦争の興亡の歴史を歩んできた。特に20世紀初頭に発掘されたバクー油田を擁するアゼルバイジャン、アルメニア、グルジアは、民族闘争と資源戦争の難問を抱えたまま世紀を超えてきた国々であり、バクー=トビリシ=ジーハンと伸びるBTCパイプラインの確保は、ロシアとそれにに対抗する国家群の紛争の焦点となっている。

 米軍の総司令官ミューレンと ロシアの総帥マカロフが、
 電話で直接連絡をとりあって、ついに実現したヘルシンキ会談。

 その結果の公式発表は 未だないとは言うものの、
 関係者が漏らした証言では「新冷戦解消」の方向へ、
 両国関係の風向きが転換したようである。

 その態勢が進展すれば、やがて外交のトップ同士の
 正式会談がもたれるだろうことは 想像に難くない。
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グルジア紛争勃発と同時に、国境地帯に終結していたロシア地上軍の数千台の戦車大隊は一気に南オセチアへ侵攻した

 しかし、また新しい難問が浮上した。

 グルジアの南隣の小国アルバニアと、バルカンのコソボの隣国クロアチア……
 その両国をNATOに加盟させようとする、ブッシュ政権の動きである。

 両国とも、冷戦時代にはソ連の翼賛下の共産主義国家であったが、
 モスクワが冷遇した異民族辺境国家の例に漏れず、
 法外な課税と収奪で泣かされてきた、
 いわばクレムリンの隷属領地であった。

 したがって、81年のソ連邦崩壊後に、両国が民主主義国家として独立し、
 モスクワに自由の反旗を翻したことは言うまでもない。
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旧共産圏国家でソ連の圧政を耐え抜いた国々では、いまだに反露感情は険悪だ プーチン=ヒットラーの抗議

 しかしながら、国内の民主化だけにとどまらず
 NATOに加盟するとなると、事はやぶさかではない。

 両国ともロシアに対抗する最前線となる位置にあるからには、
 プーチン・メドベージェフ政権のマトリューシュカ体制が
 この動きを看過するわけがない。

 グルジア紛争で孤立化したロシアを、
 ビジネス重視路線で EU/NATOとの友好体制に復帰させようと努力する、
 メドベージェフの冷や汗が見えるようである。
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シベリアの広大なタイガ地帯にあるロシア空軍のミサイル基地をグルジア紛争後に訪れたメドベージェフ大統領

 おりしも、米大統領選の決戦日 11月4日が目前に迫っており、
 オバマとマケインの近況に関する『米流時評』の記事を
 翻訳してエントリーする宿題も山積しているのだが、
 短いけれども、非常に気になった
 「アルバニアとクロアチアのNATO加盟」への動きに関する記事を、
 その前に緊急でお届けしたい。

[米国時間 2008年10月24日『米流時評』ysbee]

__________________________________________________________________
OCTOBER 24, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年10/24号
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  A S S O C I A T E D P R E S S | B R E A K I N G
米国が後押しする アルバニアとクロアチアのNATO加盟問題
米国時間 2008年10月24日午前7時16分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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風光明媚なアドリア海に面したクロアチアは、古代から地中海交易の要衝として栄えた 現在はEU観光が売り物

U.S. Works to Get Albania, Croatia into NATO
Bush to meet with alliance chief, but some members oppose expansion
WASHINGTON — The United States is taking another step toward getting Albania and Croatia — both isolated behind the Iron Curtain during the Cold War — folded into the NATO alliance. President Bush was to meet Friday with NATO Secretary-General Jaap de Hoop Scheffer and then sign so-called accession protocols paving the way for the two former communist nations' final membership in the military alliance.

ブッシュ外交のデザートコース
ワシントン発 |コーカサス地方のアルバニアとバルカン半島のクロアチア。冷戦時代には両国はともに、ソ連の鉄のカーテンの内側に隔離された共産圏国家であったが、今やNATOの友軍国家として西側の翼の下へ納まるために、米国はメンバーとして承認させるための外交手段をふたたび打ち出した。
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昨年6月にコーカサスの小国アルバニアを訪れたブッシュ 現役の米国大統領初の訪問とあって国を挙げて歓迎された

2. 160 diplomats for signing ceremony

The White House invited to the signing ceremony about 160 lawmakers, members of the diplomatic corps, the U.S. ambassadors to Albania and Croatia, and members of Albanian-American and Croatian-American groups. NATO leaders agreed at a summit earlier this year in Romania to invite Albania and Croatia into the alliance.

アルバニア・クロアチア加盟への道程
ブッシュ政権はアルバニアとクロアチア両国の外交関係者や両院議員、現地駐在の大使、米国と両国の友好協会代表の総勢160名をホワイトハウスへ招待し、NATO加盟国としてのメンバー申請書に両国代表の署名に立ち会わせると言う祝賀的会合を催した。NATO首脳部は、今年前半にルーマニアで拓かれた防衛サミットへ、アルバニアとクロアチアを友軍国家としてオブザーバーで招待していた。
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左:アルバニア、クロアチア、マセドニアの元首と友好国の合意/右:アルバニア首脳と政府軍精鋭部隊と記念写真

3. Uninvited Ukraine and Georgia

However, the alliance rebuffed U.S. attempts to begin the process of inviting Ukraine and Georgia, both former Soviet republics, to join. Despite strong U.S. backing to bring them in, Germany, France and some other alliance members opposed the move, fearing it would provoke Russia. The idea of NATO enlargement on its doorstep has irked the Russians.

ウクライナとグルジアの出席は拒否
しかしながらNATOメンバー諸国は、米国が旧ソ連邦国家だったウクライナとグルジアに対しては、メンバー参加の第一歩のプロセスであるオブザーバー招待からスタートする試みを却下した。ウクライナ、グルジアの両国に関しては、米国が強力に推進しているが、ドイツ、フランスとその他の数カ国は、両国加盟への動きはロシアを挑発するからという理由で反対している。NATO拡大のこうしたステップは、とりもなおさず旧ソ連邦国家の西側への転身を促す事に他ならず、覇権の境界線の後退を余儀なくされるロシア側の、神経を逆撫でする結果を招いている。
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ソ連時代の圧政に泣いたアルバニアは現在でもロシアに対する敵意が強い。その反動として親米意識も浸透している。

4. Russia unhappy with NATO expansion

Ties between Russia and NATO members have been further strained by the Georgia-Russia conflict. The war erupted in August when Georgia launched an attack to regain control over South Ossetia, which broke from Georgian control in the early 1990s. Russian forces swiftly repelled the attack and drove deep into Georgia.

ロシアが嫌う旧共産圏へのNATO拡大
元々親密ではなかったロシアとNATO諸国の友好関係は、今夏のグルジア・ロシア紛争でさらに溝が深まってしまった。8月6日に勃発した戦闘は、90年代の冒頭にグルジアの統治から離脱した南オセチア自治州において、本来の統治権を奪回しようと図ったグルジアが、オセチア独立運動ゲリラに最初に攻撃をかけたことに端を発する。
これをきっかけにして、今度はロシア政府軍が「オセチア駐留のロシア警備兵が攻撃を受けた」という理由で、あっという間に国境を越え南下して侵略。陸海空三軍による大規模な爆撃の総攻撃で、オセチアだけでなく、地中海側のアブハジア自治州とグルジア中央部全域を制圧。一時はグルジアの首都トビリシを包囲する最悪の危機を招くにいたった。
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米国では支持率が2割を切る落ち目の三度笠カウボーイだが、旧共産圏で民主化したいわゆる「ユーラシアの回廊」国家では圧倒的人気があるブッシュ。悪の枢軸論のような前時代的シンプルな浪花節外交が、受ける由縁だろうか?

5. For complete accession to join NATO

Albania and Croatia will be eligible to join NATO when all 26 allies have ratified the accession protocols. Slovakia and Hungary have ratified them to date. NATO officials hope Albania and Croatia will be able to participate as full members at next year's summit.

NATO加盟に必要な26カ国合意
アルバニアとクロアチアは、現在NATO加盟の26カ国代表全員が、加盟承認の議定書を批准した場合のみ、参加が可能となる。旧ソ連邦国家としては、すでにスロバキアとハンガリーが批准されている。NATO首脳部の思惑としては、アルバニアとクロアチア両国も、来年のサミットが開催される際には、正規の加盟国として参加出席できるものと見ているのが実情である。 [了]
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【 米国時間 2008年10月24日 『米流時評』ysbee 訳 】 
バルカンやコーカサスの「帝政ロシアの首飾り」と呼ばれる諸国には、20世紀初頭のロシアンバロックの素晴らしい建築が無限に点在する。特にギリシャ正教会や美術館・劇場・駅・市庁舎などの公共建築で現存している。[写真をクリックすれば拡大して見られます]

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d0123476_10383762.jpg||| 特集・新冷戦終焉の夜明け |||
10/21 特報!ヘルシンキ会談・グルジア紛争で米・ロが軍事的解決
10/22 米流時評:新冷戦から平和へ!米・ロ関係も新時代へ転換か
10/23 新冷戦は終わった!ヘルシンキ会談に見る米ロ関係のシフト
10/24 米国が推進する アルバニアとクロアチアのNATO加盟問題

»» 次号「テロ戦争最前線レポート・タリバンの要塞バジュール陥落」へ
«« 前号「新冷戦は終わった!ヘルシンキ会談に見る米ロ関係のシフト」へ


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||| 『米流時評』グローバル恐慌レポート |||
第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)

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by ysbee-2 | 2008-10-24 10:48 | ユーラシアの回廊

【再掲】ユーラシア大連邦と第三次世界大戦の兆候

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  ||| ユーラシア大連邦と世界大戦の兆候 |||
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 ロシア・イラン・中国のユーラシアユニオン 対 NATO拡大軍の
 グローバルな第三次世界大戦は すでに始まっている

d0123476_18552829.gifイスラエル、アルメニア、トルコ、クルド、イラン、リビア、ソマリア、ダルフール、ミャンマー、東トルキスタン、チベット...... 紛争の焦点はグローバルに散在 【2007年10月の記事再掲出】
イスラエルとパレスチナ「エルサレム二都物語」
d0123476_191566.jpg先月末から2週間近くミャンマーの虐殺に胸つぶれる思いで、軍事独裁政権の弾圧を糾弾してきたので、他の重要なニュースに紙面を割く事ができなかった。しかし現在、世界はすさまじいスピードとスケールで、一大変革の渦に巻き込まれているかのようだ。今日お伝えする「エルサレム二都物語」も、これまでの国際社会の常識では想像もつかなかったドラスチックなシフトで、ユダヤ対アラブの数千年にわたる民族紛争の焦点エルサレムを、イスラエルとパレスチナ双方の首都として分割するという、思いがけない紛争解決策である。それも、当事者である好戦的なイスラエルのオルメルト首相から提案されたという驚愕の展開だが、そのほかにも続々と唖然とする大変化が、国際社会の大舞台で開幕している。

プーチンのイラン訪問と「カスピ海サミット」
d0123476_19185638.jpgひとつは、一昨日から2回に分けてお届けした「プーチンのイラン訪問」。今回のカスピ海サミットの詳細については前回の記事を読んでいただくとして、要はロシアとイランのエネルギー資源の供給路を確保する会議と観た方が、てっとり早いかも知れない。
ロシアはすでに中国とは共同で軍事演習を行なっている状況であるから、北朝鮮=中国=ロシア=カザクスタン=トルクメニスタン=イラン=シリア、そしてトルコという一連の「ユーラシアの連帯と結束」をプーチンは胸に描いていて、実現しつつあるように受けとれる。その共通点が、NATO、EUをも含めた「反アメリカ覇権主義」にあるのは明白である。

「アルメニア人虐殺」とトルコのクルド侵攻
d0123476_19224065.jpgもうひとつ重要な動きとして、トルコの親米体制からの離脱。これは第一次大戦下のオスマントルコによる「アルメニア人虐殺」の史実承認問題である。韓国と日本の慰安婦問題と似て非也なのは、下院を議案通過した時点ではアナクロな争点の蒸し返しに見えたが、トルコにとっては国辱問題であり、ナショナリストを中心に俄然反米運動が巻き起こってしまった。一般の米国市民にはどうにも解せない晴天の霹靂。が、実はイラクとの国境地帯クルド地区では、トルコ政府軍とクルド人の独立運動ゲリラPKKとの間の数十年の小競り合いが最近急激に険悪になり、戦死者数十名を出す本格的紛争に発展してきた背景がある。これもまた、サダム政権という鉄拳統制の崩壊以来険悪化してきた状況で、関連国にとっては火急の事態である。

国連安保理事会でカダフィのリビアが理事国に
d0123476_19233050.jpgさらにもうひとつ。これには驚きを通り越して呆れてしまったのだが、カダフィ議長の率いる地中海沿岸北アフリカの小国家リビアが、国連安保理事会で「アフリカ代表として理事国に選出された」のである。88年スコットランドでのパンナム103便爆破事件はカダフィの指令と看破されたにも拘らず、最終責任は追求されずに今日に至っている。しかしイランのアフマディネジャドやベネズェラのチャベスら反米主義強硬派とは違い、カダフィは数年前にいち早くテロ戦争への加担を申し出てブッシュの「悪の枢軸」国家の隊列離脱に成功し、米国務省のテロ国家ブラックリスト入りを危うく免れている。この「リビアの理事国化」は国連の権威を失墜する象徴的な出来事として後々に必ずや禍根を残すと予測できるので、後日報告したい。

世界同時多発のグローバルウォー
その他にも大きな動きが多々あるのだが、トルコの反米動向を除いて、これらがすべて今週に入ってからたった2日間の出来事である。もし今現在本音で「世界は平和だ」と宣っている方がいらしたら、それは無人島に住んでいてワイアレスなためにニュースに触れる機会がないのか、端的に盲目か、という状況にある方々に相違ない。
これほどの深刻な紛争が同時多発している状況を、もし数世紀後の歴史家が振り返って名付けるならば、きっとこう呼ぶに違いない。「21世紀初頭のグローバルウォー」だと。
あるいは先人を踏襲して単純にこう記述するだろう。第三次世界大戦は2007年に始まった、と。

【『米流時評』昨年10月16日のエントリーより再掲出 ©2007 ysbee 】
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写真の説明:トップはトルコとアルメニアの国境にそびえるアララット山の勇姿。ノアの方舟が山頂にたどり着いたという伝説もある。/右側の縦長の写真は、すべてモンゴル共和国の中央アジアの平原。鉄道はその名もエキゾチックな「サイベリアン・エキスプレス=シベリア特急」で007かマタハリでも潜んでいそうだが、北朝鮮の金正日がモスクワへプーチン詣での時に愛用する列車。/一番下の写真は「Armenian genocide」で昨今急激にクローズアップされるアルメニアの高原の夏。オスマントルコが150万人のアルメニア人イスラム教徒を計画的に殲滅したと伝えられ、このような破壊の跡を示すモスクのドームが、今でもそのまま放置されている。

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||| 『米流時評』テロ戦争関連特集 |||
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||| ユーラシアの回廊 特集記事 |||d0123476_12543738.jpg
10/29 アゼルバイジャンで米大使館襲撃テロ発覚
10/22 クルドPKKの橋梁爆破でトルコ軍12名戦死
10/16 ユーラシア大連邦と第三次世界大戦
6/10  ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り
6/09  緊急レポート・アゼルバイジャンの秘密
6/08  外交の神業・プーチンのムーンサルト アゼリの切札
6/07  G8サミットのプーチンショック! 米露ミサイル防衛網


||| 中東核戦争 特集記事 |||d0123476_8345660.jpg
序 章 中東核戦争前夜?急浮上するシリア対イスラエル核紛争
第1章 戦争挑発行為?イスラエル爆撃機のシリア領空侵犯
第2章 シリア対イスラエル 中東核戦争の危機は本物か
第3章 新・ジェリコの闘い イランのミサイル報復作戦
第4章 核のターゲットは駐留米軍 国連とEUの経済制裁
第5章 消された記事『中東代理戦争・シリアvsイスラエル』
第6章 囁かれる中東核戦争
   中東核戦争6.1 ホワイトハウスのウォーゲーム
   中東核戦争6.2 2008年核戦争の冬・チェニーのウォープラン
   中東核戦争6.3 復讐の世紀・中東戦争「核のアルマゲドン」
   中東核戦争6.4 暴かれた大謀略・イスラエルとネオコン中東核戦略
第7章 驚愕!原爆搭載機 B-52飛行事件は米空軍内のクーデターか?
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by ysbee-2 | 2008-10-16 09:40 | ユーラシアの回廊

速報!チェッチェンに地震発生!死者12名以上

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  ||| 北コーカサス地震・第1報 |||

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 ロシアの北コーカサス地方チェッチェンに M5.3の地震発生
 地元住民12名以上死亡、グロズニー市内の病院・学校に被害


米国時間 2008年10月11日(土)午後1時38分 | ニュース速報 
ロシア・ロストフォンドン発 |ロシア現地時間で11日土曜、チェッチェン自治州を中心とする北コーカサス地方で地震が発生。現在確認されただけでも、地元の住民12名以上が死亡。病院や学校など市街区の建物が被災した。現地の救急隊員からの報告によると、地震の震源地はチェッチェン自治州の州都グロズニーの北東部で、午後1時過ぎに発生。米国地震調査局の観測ではマグニチュード5.3と発表された。

Quake kills 12 in Russia's North Caucasus

d0123476_714401.jpgMost victims died from falling debris
hospitals, schools, buildings damaged

OCTOBER 11, 2008 | REUTERS — BREAKING
ROSTOV-ON-DON, Russia — A strong earthquake hit Chechnya and other parts of Russia's North Caucasus Saturday, killing at least 12 people and damaging scores of hospitals, schools and other buildings, emergency officials said. The quake hit around 1 p.m. and was centered northeast of the Chechen capital, Grozny, Russian emergency officials said. The U.S. Geological Survey said the temblor had a magnitude of 5.3.

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OCTOBER 11, 2008 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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 ASSOCIATED PRESS | B R E A K I N G
ロシアのチェッチェン自治州に M5.3の地震発生、死者12名以上
米国時間 2008年10月11日午後1時38分 | ロイター通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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1. Rattled Grozny throughout N. Caucasus
At least 12 people were killed in the quake and a series of aftershocks, which were felt throughout the North Caucasus and which rattled Grozny for more than 30 seconds, the regional Emergency Situations Ministry office said. The toll was expected to rise as officials got information from outlying districts. Most victims were killed by falling debris or furniture in homes and apartment buildings, said Oleg Grekov, a regional emergency official.
グロズニー震源の北コーカサス全域で揺れ
土曜午後一番に発生した地震は、チェッチェンの中心地グロズニー市を中心として北コーカサス地方全域で30分以上揺れが感じられたが、この強震とそれに続く一連の余震により、現時点でわかっただけで少なくとも12名の死者を出したと、緊急時対策省から発表された。当局の観測では、市外の震源地からの詳報が入れば犠牲者の数はさらに増えるものと予測されている。死亡した住民のほとんどは、倒壊したアパートの落下物や家具の下敷きになったものと、同地域の緊急対策本部長オレグ・グレコフ氏から発表された。
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写真はすべて2000年のチェッチェン戦争直後、ロシア軍の空爆とタンクの砲撃で焼け野原となったグロズニー市街

2. 60 wounded in Grozny, Gudermes

More than 60 people sought medical help in the hardest hit Chechen towns, which included Grozny and Gudermes, he said. Emergency officials said buildings in some districts saw serious structural damage, including hospitals in two Chechen districts. Russia's Caucasus Mountain region only sees occasional earthquakes. Most buildings are not reinforced against severe structural shocks and even small quakes can cause serious damage.
病院倒壊で負傷者収容できず
地震の被害のもっともひどかったグロズニーやグデルメスのチェッチェンの市街では、60名以上の負傷者が手当を受ける場所を探している。この2つの市内にある病院は、建物の構造そのものから深刻なダメージを受けたために使用できず、そのほか相当な地域の建物が崩壊に近い状況を呈していると緊急隊員は報告している。グルジアやアブハジア、アゼルバイジャンと国境を接するロシア南部のコーカサス山脈地帯では、たびたび大きな地震に見舞われている。同地域の建築物は激震には堪えない安易な建築工法の構造であり、今までにも軽度の地震でも大きな被害を被ってきている。
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2000年のチェッチェン戦争で市内全域が戦場となり廃墟と化した当時のグロズニー

3. Capital of tragedy in Chechnya war

Chechnya is one of Russia's poorest regions, having suffered through two devastating wars in the past 15 years. Many people in the region are unemployed, and sporadic fighting between separatist rebels and federal and regional forces erupts regularly.
チェッチェン戦争の悲劇の首都グロズニー
チェッチェン人の民族自治州チェチュニアは、ロシアでももっとも貧しい辺境地域のひとつであるが、過去15年間に2度もロシア政府軍に侵略されたチェッチェン戦争の戦場となり、市街地は廃墟となり国土は荒廃した。この地域の市民の大部分がいまだに失業者の状態にあり、(過去の戦争から続くロシア政府への怨念と困窮した生活状態から)独立運動の反旗をひるがえすチェッチェンゲリラと同地を鎮圧するロシア政府軍との間では、いまだに定期的に抗争が勃発している。 [了]
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【 米国時間 2008年10月11日 『米流時評』ysbee 訳 】

| 回想 チェッチェン戦争 |
チェッチェン。ロシアに徹底的に痛めつけられた民族自治州。
今回の地震にしても、本当に天災なのか? 私の中では新しい疑問が生まれた。
チェッチェン戦争時のビデオが You-Tubeに何本も上がっています。
ともかく壮絶です。言葉がありません。
戦争を肯定するすべてのひとに、この現実を見て考え直してもらいたい。
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Chechnya — Grozny '95
チェッチェン戦争/1995年 グロズニー戦線


Battle of Grozny or 60 hour "Maikopskoy" brigade
グロズニーの闘い/マイコプスキー連隊 60時間の攻防


Russian Genocid ruskih Chechnya Grozny—Part 1
ロシアンジェノサイド/チェチュニア・グロズニー パート1



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||| 『米流時評』グローバル恐慌レポート |||
第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 IMF警告「グローバル・メルトダウン!」(翻訳中)
10/13 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)


||| 『米流時評』で読む世界危機の最新情報 |||
次世代冷戦時代 | ユーラシアの回廊 | プーチンのロシア | テロとスパイ陰謀 | サルコジのフランス
グローバルウォー | 中東核戦争 | 中東のパワーラビリンス | イラク戦争レポート | トンデモ北朝鮮
アルカイダ2.0 核のテロ | アフガン・タリバンの復活 | パキスタン戒厳令の季節 | ビルマの赤い川革命
四川大地震と中国の核施設 | フリーチベット・フリー東トルキスタン | 北京の長い夏 | ダイハード中国
米大統領選 | ブッシュと米国政治 | 欧米メディアの見る日本 | EUとNATO | グローバル ビジネス


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by ysbee-2 | 2008-10-11 07:12 | ユーラシアの回廊

ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り【再掲出】

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   ||| ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り |||
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プーチンの欧州MD代替案と資源外交の新しい焦点旧ソ連圏小国家
君臨するロシアの懐柔策を逃れ親米政権に転向するユーラシアの国々


昨年6/10の『米流時評』エントリー「ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り」から転載
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JUNE 11, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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    b e i r y u —  y s v o i c e
   ||| ユーラシアの回廊・ロシアの首飾り |||
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           第1章 ロシアと米国の新冷戦

E  u  r  a  s  i  a  n   C  o  r  r  i  d  o  r


【プーチンのG8ショック】
G8サミットでロシアのプーチンがブッシュに提案した「米国の」欧州ミサイル防衛施設の代替案。それまで米国側が計画していた「チェコにレーダー基地、ポーランドにミサイル打上基地」という東欧の予定地を根本から考え直して、アゼルバイジャンに現存するロシアのレーダー施設を共同利用しようという、前例のない思いがけない提案(unprecedent, unpredicted proposal)である。

【ヨーロッパMD計画】
たしかに宇宙開発においては、インターナショナル宇宙ステーションの共同利用など、米国とロシアの相互乗り入れプロジェクトがないことはなかったが、ミサイル防衛は学術文化ではなく冷徹な軍事活動(stone-clod military action)である。従来の常識から見て、共産主義と民主主義というイデオロギーの対極にある両国が、共同で軍事施設を利用するとは考えられない。ましてや、最近の「冷戦の復活」と取りざたされる噂の元凶となった、ヨーロッパMD計画の施設である。

【ロシアの仕掛けた罠】
d0123476_214636.jpg常識的に観察すれば、ブッシュが「欧州のMDシールドは対ロシアではなく、イランの核ミサイル防止が目的」と主張している言い訳を、プーチンは逆手にとって「それが本当なら、対イランに最適の場所があるよ」と提言したのだろう。つまり、この提言をブッシュが袖にすれば「対イランは口実で、本来の仮想敵国は(やはり誰もが想定する通り)ロシアだったじゃないか」と指摘できる状況を作った、と見るのが妥当だろう。
▲上の写真:バルト三国ラトヴィアの建築装飾 ロシア帝政時代末期の豪華な装飾にアールデコの先駆け部分がほの見える
▶右:ロシアのサンクトペテルスブルクの秘宝エルミタージュ美術館の回廊 ロシア経済復興を象徴する豪華な宮殿を美術館として公開


【米国の東欧戦略】
プーチンの提言通り、コーカサスの高地から西はヨーロッパ全域、南は中東・中央アジア全域をカバーできるレーダー施設が即利用できるなら、確かになにもわざわざ数兆円をかけて東欧に新設することで「ロシアに背を向けEUに加盟した東欧2国を米国の傘下におく新しい冷戦ムード」を増長しなくてもいいじゃないか、という持ちかけであろう。しかし米国側にしてみたら、西欧勢力の強大な布陣になるEU加盟のポーランドとチェコというふたつの中堅国家は、戦略的に対ロシアの基地としては絶好の位置にあり、地政学的な緩衝地帯になりえる。かつては共産圏であった両国に米国自体のミサイル基地を建設できるとは、レーガン政権時代以前の誰が予測できただろうか。

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  第2章 ロシア・グルジア・アゼルバイジャンの三すくみ
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チェコの首都プラハの街を流れるヴルタヴァ川 ワルシャワと並んで経済復興が目覚ましくEU加盟以来観光ブーム

【ロシアとアゼルバイジャン】
しかしここで注目するべき焦点は、対米国というよりも、ロシアとアゼルバイジャンとの最近の関係である。両国の仲は最近急速に疎遠になり、この石油と天然ガスの宝庫である資源リッチの小国を手放すのは、プーチンとしては資源外交上非常に不利になる、という看過できない背景である。

【ロシアとグルジア】
アゼルバイジャンとの関係が冷めたのには直接的原因がある。アゼルバイジャンの北にあるグルジア共和国とロシアの関係悪化である。それ以前にすでに04年に親米派のサーカシビリ政権が誕生した時点から、ロシアはグルジアからの輸入制限やガス供給の停止など、親露時代とは手のひらを返したような仕打ちでグルジアを窮地に追いやった。かくして、ロシアの支配を逃れNATOへ加盟しようと画策するグルジアとの間でも対立が表面化し、昨年のクリスマス当日に、ついに200年以上駐留したロシアの軍隊はグルジアから引き上げた。

【グルジアとアゼルバイジャン】
ロシアからの燃料補給ストップで窮地に陥ったグルジアに救援の手を差し伸べたのが、グルジアの南隣にある豊富な資源を供給できるアゼルバイジャンである。親子2世代にわたってアゼルバイジャンの元首を務めるアリエフ大統領は、元々どちらもかなりな親米派で知られる。アリエフは資源に枯渇するグルジアに石油を供給するだけでなく、さらに追い打ちをかけるように、アルメニアを優遇するロシアに対し強硬手段に出た。黒海への石油輸送をストップしたのである。

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    第3章 ロシアの首飾りからユーラシアの回廊へ
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バルト3国に接する小国リヒテンシュタインの美術館 グローバル買占めで暗躍する企業カーライルが買い取った

【ソ連解体による群小割拠】
ロシアと国境を接する過去のソ連邦自治区が、現在ではみな独立した共和国である。コーカサス地方からウラル山脈にいたる中央アジアの国々。西から挙げると、トルコの北に位置し黒海に面したグルジア、その南にイラン・トルコと国境を接するアルメニア、その東でカスピ海沿岸のアゼルバイジャン。カスピ海をわたった東岸では北から膨大な国土面積を有するカザクスタン(国名は英語読み)、その南にトルクメニスタン、両国の中間に挟まれたウズベクスタン、その東にタジキスタン、キルギスタンと連なっている。

【中央アジアの第2革命】
特に、この国名の末尾に「スタン」とつく国々すべてで、一昨年クーデタに近い政権交代が行われたのは記憶に新しい。まるで中央アジアの高原に放たれた野火のように、この旧体制からの脱出を試みる民主化運動は、あっという間に伝播した。背景には、ロシアに搾取されるがままで利権をむさぼっていた自国の政府高官に対し、一部の軍人と重税にあえぐ国民が結束して蜂起したというのが、これら一連の「スタンの国々」に共通した図式であった。しかし、主張するスローガンと蜂起の戦術があまりにも酷似していたので、一説では民主化を焚き付けて脱ロシアをうながす米国CIAの工作だろうというのが、この地域に精通した評論家の分析であった。ことの真偽はいまだに解明されていないが、少なくとも以前よりは親米的な民主化政権が誕生したことだけは確かである。
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アルバニア高地 中央アジアの高原でかつては権勢を誇った回教寺院のモスクも今は夏草だけが生い茂る廃墟に

【ユーラシアの回廊】
またロシアとヨーロッパとの回廊部分にあたるのは、北端のバルト三国;エストニア、ラトヴィア、リトワニア、その南にベラルス、ウクライナ、モルドバと続いている。東欧と接する回廊部分の国々は、ここ数年ですべてEUとNATOに加盟、あるいは参加を希望している。連盟国になったが最後、再びロシアに帰依することはありえないだろう。そうした意味合いでは、EUは共産主義国家から脱退を表明する踏み絵である。

【EUとNATOへの転向】
またかつて「ロシアの首飾り」と呼ばれた旧ソ連圏の小国たちは、その個々の宝石をつないでいた共産主義という一本の赤い糸が切れると同時に、ユーラシアの宝石箱の中にバラバラになって転がった。それを再び寄せ集めて繋いで行けば、NATOというヨーロッパ防衛のロザリオが2連になるだろう。旧ソ連圏諸国のNATO加盟は、宗教で言えば無神論者からカソリックに改宗するような極端な「軍事的転向」である。なぜならどの国でも、精神的にもっとも保守的なのは軍人であり、軍隊とは制度的に短期の変更を実現しにくい機構だからである。したがってモスクワの軍事体制に組み敷かれていた各国の軍部司令官がNATO体質を受け入れるというのは、ロシアに対して余程の反感が積み重なっていた裏付けに他ならない。

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           第4章 資源外交と侵略戦争
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カスピ海西岸のバクー油田からグルジアのトビリシを経て黒海へと通じるパイプライン いわば陸路のホルムズ海峡

【ロシアの資源外交】
ロシア自体天然資源は豊かであるが、EU諸国やインド・中国という巨大消費市場を相手にするとき、従来は旧ソ連圏であったカスピ海沿岸の石油ガス産出国の輸出燃料をあてにせざるを得ない。したがって主要供給源であるバクー油田を要するアゼルバイジャンに縁を切られたら、石油輸送で巨大な利益を上げロシア経済の基幹となっている、トランスネフツという国策企業の資金源が激減することになる。そうなるとますます原油供給源の国イランとの絆が強くなるだろう。
昨年そのイランとロシアの中間に位置するカザクスタンが突如脚光を浴びたのは、何も映画『Borat』のおかげばかりではない。イランからの石油輸送においてパイプラインの重要な中継地になるからである。米国もカザク優遇に必死で、おかげで現実的に観光の対象にはならないであろうカザクスタンのCMが、カザク首相が訪米中に頻繁にTV画面に流れた。

【米国の資源侵略戦争】
そもそも最近の世界情勢は、イデオロギーで割り切れる状況ではない。むしろ国家のパワーはその背景に資源を有しているか否かで評価され、その資源を販売する企業体として国家が存在すると見た方が判りやすい場合が多い。イデオロギーは、その資源侵略をカモフラージュする販売促進のコンセプトに過ぎなくなってきている。「人類は利権をめぐって永遠に闘争を繰り返す経済学的動物である」と言うと、まるで前世紀の遺物の経済論になりそうだが、少なくともエネルギー資源をめぐる抗争を見る限りでは、この論は一概に古いと一蹴することはできない。
そもそもアフガン戦争は、ペルシャ湾を経由せずにバクー油田から直接パイプラインを引いて来るための、中央アジアの死線を確保する戦略だったのであり、イラク戦争にいたってはそのものずばり、北部のクルド地区の油田が目当てであった事実は、米国では今なら小学生でも知っている。
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石油利権闘争は20世紀冒頭から中東の運命を変えてきた 80年代イラク・イラン戦争で爆破されたパイプライン

【ブッシュの石油王国】
国策としての石油資源争奪戦争。そう捉えると、なぜブッシュ政権が膨大な費用と多大な米軍戦死者を出してまで、イラクに拘泥し続けるかが理解できるだろう。しかし、米国内の石油価格はサダム政権陥落後もうなぎ昇り。今年に入って、ついには1ガロン当たり4ドルに届きそうなほどの高騰を続けている。ブッシュ政権の人気が地に落ちた理由は、もちろんホワイトハウス関連の山積する不祥事とイラク戦争の失敗によるところが大半である。
しかしもし石油価格が、大半の国民が期待した通りにサダム討伐後に目に見えて下落していたら、はたして今日ほどの不評をかこっていただろうか。多分2割ほどの歯止めは利いたのではないかと思われる。ブッシュは国益のためではなく、献金企業の主幹である石油関連企業の利益のために(あるいはサウジアラビアの市場寡占のために)戦争を起こした、と捉えているのは、何もリベラルの左派だけではなくなってきている。

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         第5章 ユーラシアの長い暑い夏
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バルト海に面した海岸 ヨーロッパはここ数年地球温暖化の影響で毎年真夏には死人まで出る猛暑が続いている

【ロシアとウクライナ】
以上80年代後半にモスクワの腐敗したクレムリン政権がついに崩壊しソビエト連邦が解体して以来の、ロシア周辺諸国「ユーラシアの回廊」の現状を、つむじ風のように一瞬にではあるが巡回してきた。このレジオンは大きな流れとして、政治的には民主主義化、文化的には欧米化へと傾いているが、その速度にセーブをかけているのが、従来石油・ガス供給で継続してきたロシアとの資源的絆である。だからこそこの地域でも、エネルギーを司るものが覇権の座につけるのだ。そうした背景を理解すると、ここ半年のロシアの強硬な態度と、一転して敵陣(米国)のミサイル防衛基地に自国所有の施設を貸し出すと言う、突然の解凍現象の謎が氷解するだろう。

【ユーラシア夏の旅】
ご明察、ロシアは手塩にかけたアゼルバイジャンを手放したくない一心で、米国に嫁に出したと見るのが妥当だろう。秘められた持参金、石油とガスの利権をたずさえて嫁入りした先で、最後に発言権を持つのは、果たして養父のロシアだろうか、それとも姑のアメリカだろうか。
G8を観察していた私には、資源産出国との直接交渉を虎視眈々とねらうフランスのサルコジが視界に入ってきた。このEUの新しいリーダーを目指す大統領は、同じく欧州のトップを目指すドイツのメルケル首相同様、ロシアと米国が角突きあわせて冷戦の序幕を演じている間に、こうしたユーラシアの回廊諸国と直接交渉を取り結んで、フランス経済を立て直しその優位を確実なものにしていこうと、すでに戦闘を開始しているように思えてならない。この夏の各国首脳の動きは、辣腕営業マンが新しい契約を取って回るような目まぐるしい外交のビジネスツアーになることが、今から予想される6月の晴天である。

【 以上『米流時評』昨年6月10日の時評エントリーより再掲出 ©2007 ysbee 】
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旧約聖書でノアの箱船が着いたという伝説のアララット山 コーカサス地方アルメニアの国境に近いトルコに存在

»» 次号「ロシアのグルジア侵略で全面戦争にエスカレートするオセチア紛争」
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by ysbee-2 | 2008-08-11 21:48 | ユーラシアの回廊

アゼルバイジャンで米大使館襲撃テロ発覚

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 ||| アゼルバイジャンで米大使館襲撃テロ発覚 |||
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首都バクーでアゼリ政府施設と米大使館襲撃の大規模テロ計画発覚
イスラム過激派の政府軍人が首謀者か 容疑者1人死亡、数名検挙


アゼルバイジャン・バクー発 |29日月曜、首都バクー市でアゼルバイジャン政府から発表された報告によると、イスラム過激派グループが「凄惨な内容の大規模テロ襲撃計画」を、欧米各国大使館など外交施設とアゼルバイジャンの政府施設を対象に実行する予定だったが、国家警察側では未然に首謀者を逮捕した模様である。この影響で、バクー市内の米国と英国の大使館は、月曜急遽一時閉鎖した。
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左からモスクワ鉄道のバクー駅/トルコ大使館/旧ソ連現ロシア大使館/イラク大使館/アゼルバイジャン国会議事堂

Azerbaijan: ‘Horrifying’ Terror Attack Thwarted
U.S. Embassy, several government structures targeted, official says
OCTOBER 29, 2007, 10:33 a.m. EST | Associated Press/MSNBC.com | Translation by ysbee
BAKU, Azerbaijan — The U.S. and British embassies suspended operations Monday in Baku, where the government said it thwarted a radical Islamic group’s plot to conduct a “large-scale, horrifying terror attack” against diplomatic missions and government buildings.
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アゼルバイジャン行政府/国立科学アカデミー/アリイェフ前首相生誕75年記念公園/ロシア銀行/経済省脇の小径


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OCTOBER 29, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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A s s o c i a t e d P r e s s | B R E A K I N G

アゼルバイジャンで政府施設と米国大使館襲撃テロ計画が発覚
米国時間 2007年10月29日午前10時33分 | AP通信・ニュース特報 | 『米流時評』ysbee 訳


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すべて国立:カーペット美術館/ロシア劇作家シアター/国立オペラ座/パペットミュージアム/作曲家ミュージアム

1. One suspect killed, several detained
The Azerbaijani National Security Ministry said one suspect was killed and several others were detained in a weekend sweep in village outside the capital. The ministry said the Islamic group included an army lieutenant who stole 20 hand grenades, a machine gun, four assault rifles and ammunition from his military unit and made them available for the planned attack. The ministry said that a hunt for other members of the group was still under way.
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犯人1人死亡、数名逮捕、首謀者に陸軍中尉
アゼルバイジャンの防衛相の記者会見では「首都バクー市郊外の村で先週末挙行された一斉検挙で、容疑者のうちひとりが死亡、数名が逮捕された」と発表された。テロ襲撃グループの容疑者の中には、アゼルバイジャン政府陸軍の中尉も含まれており、この人物が所属する部隊の武器庫から手榴弾20発、重機関銃1基、オートライフル4挺とこれらの武器に必要な弾薬を盗み出し、襲撃計画が可能な状況ができていたものと見られる。防衛相の発表では、逮捕者以外にもまだ容疑者がいるものとみて、テログループ捜索はまだ続行中であると言う。
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2. Terror attack on government, U.S. Embassy
National Security Ministry spokesman Arif Babayev told The Associated Press that the radical Islamic group had planned to launch a “terror attack against several government structures in Baku and the U.S. Embassy.” The U.S. Embassy sent out an announcement to American citizens saying it had closed its consular office for an indefinite period because of a security threat and said it encouraged Americans to “maintain a high level of vigilance.” Police cars were parked outside.
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政府施設と米国大使館をねらったテロ襲撃
国家治安省のアルフ・バベイェフ広報官がAP通信記者に語った内容によると、イスラム過激派グループは「首都バクー市内数カ所の政府の建物と米国大使館をねらったテロ襲撃」を実行する計画を立てていた。この情報を受けて、米国大使館ではアゼリ国内に在住あるいは滞在中の米国市民を対象に、治安状態が危ぶまれるため、大使館の公務用オフィス部門を一時的に一定期間閉鎖すると通告を出した。またアゼリ国内にいる米国民に「高レベルの警戒態勢を維持」するように呼びかけた。大使館の周囲にはパトカーが常駐して警戒に当たっている。
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3. UK Embassy, BP also closed
The British Embassy closed completely on Monday, according to a receptionist in the Landmark building where the embassy is located. No one answered the phone at the embassy. Several offices in the Landmark building also shut down operations Monday, including included Norway’s StatoilHydro ASA and BP Azerbaijan, the receptionist said.
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英国大使館、英国石油も休業
ランドマークビルの受付の情報では、同ビル内に入居している英国大使館も、月曜は終日休館した。大使館に電話をしても応答はない。ランドマークビル内の他のオフィス数カ所も、月曜は営業を停止したが、その中にはノルウェーのStatoilHydro ASA(ノルウェー国営ガスASA)や、BP Azerbaijan(英国石油アゼルバイジャン支社)といった大手のエネルギー企業も含まれている。
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4. Expecting to reopen Embassy soon
In Washington, the State Department declined to comment on the specific nature of the threat but said the embassy, in cooperation with officials in Azerbaijan, had beefed up security and the mission would likely reopen soon. “They have worked closely with the government of Azerbaijan, they are in a good posture now and I would expect they would resume normal operations in the days to come,” spokesman Sean McCormack said.
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国務省、数日中に大使館再開を期待
ワシントンの国務省では、今回のテロ襲撃計画の詳しい実状についてコメントするのは差し控えたが「現地の米国大使館はアゼルバイジャン政府に協力して警戒を強化し、まもなく再開できるように鋭意努力している」と現状を説明した。「現地の大使館員はアゼルバイジャン政府と密接に協力して動いており、現時点では安全な環境にあるので、2・3日中には正常な運営に戻れるものと期待している。」国務省(米国外務省)のショーン・マコーミック広報官は、今回のテロ襲撃計画に対する米国側の受け止め方をこう表明した。
【米国時間 2007年10月29日 訳『米流時評』ysbee】
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10/29 アゼルバイジャンで米大使館襲撃テロ発覚
10/22 クルドPKKの橋梁爆破でトルコ軍12名戦死
10/16 ユーラシア大連邦と第三次世界大戦
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第1章 戦争挑発行為?イスラエル爆撃機のシリア領空侵犯
第2章 シリア対イスラエル 中東核戦争の危機は本物か
第3章 新・ジェリコの闘い イランのミサイル報復作戦
第4章 核のターゲットは駐留米軍 国連とEUの経済制裁
第5章 消された記事『中東代理戦争・シリアvsイスラエル』
第6章 囁かれる中東核戦争
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第7章 驚愕!原爆搭載機 B-52飛行事件は米空軍内のクーデターか?

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by ysbee-2 | 2007-10-29 12:20 | ユーラシアの回廊

クルドPKKの橋梁爆破でトルコ軍12名戦死

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||| クルドPKKの橋梁爆破でトルコ兵12名戦死 |||
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17日水曜の国会でイラク・クルド地区へのトルコ軍攻撃合法化
PKKに対する実質的宣戦布告以来、トルコ兵に初の戦死者12名


トルコ・シルナック発 |21日日曜早朝、トルコとイラクの国境近辺で、クルド人独立派ゲリラがトルコ政府軍を襲撃、この戦闘で陸軍兵士12名が戦死した。この事件によって、トルコ政府は以前にも増して、イラク国内に基地を張るゲリラに対して、攻撃の手を強めるものと予想されている。クルド出身のイラクのタリバニ大統領は、19日土曜の段階でクルド人ゲリラに対して武器を捨てて国外に退去するよう命じたが、トルコの副首相はこれに対して、もはや言葉だけでは充分ではないと批判し「われわれ(トルコ)は、イラクが、PKK=クルド独立派ゲリラに対して、断固とした軍事的手段をとるように望む」という強硬な声明を出した。
Kurdish Rebels Ambush Iraq Border, Killing 12
Turkey faces increasing pressure to attack; Iraq president orders peace
OCTOBER 21, 2007 EST | Associated Press / MSNBC.com | Translation by ysbee
SIRNAK, Turkey — Kurdish rebels ambushed a military unit near Turkey’s border with Iraq early Sunday, killing 12 soldiers and increasing pressure on the Turkish government to stage attacks against guerrilla camps in Iraq. Iraq’s president, a Kurd, ordered Kurdish guerrillas to lay down their weapons or leave, but Turkey’s deputy prime minister said words were no longer enough: “We are expecting concrete steps from them.”

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OCTOBER 22, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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A s s o c i a t e d P r e s s|BREAKING

PKKイラク国境の橋梁爆破、クルド戦線初のトルコ軍戦死者12名
米国時間 2007年10月21日午後0時1分 | トルコ国境発現地速報/AP通信 | 訳『米流時評』ysbee


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イラク国内のクルド自治区は、米軍侵攻後サダムの迫害がなくなりむしろ安定化したが、トルコ側のクルド地区の独立を標榜するPKKの活動が活発化し、トルコの国境地帯の治安を脅かしてきた。

1. Blewing up bridge with 12-vehicle convoy
The soldiers died when rebels blew up a bridge as a 12-vehicle military convoy was crossing it, less than three miles from the Iraq border, CNN-Turk television said. Deputy Prime Minister Cemil Cicek said the military had circled a group of rebels, killed 23 of them and were shelling their positions. “Our anger, our hatred is great,” Turkish Prime Minister Recep Tayyip Erdogan said on national television. He said the government would take “an approach that is calm, far from agitation and based on common sense.”
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左:トルコ東南部の山岳地帯でクルド独立運動のゲリラ活動を展開する PKK/トルコ政府軍の国境警備隊


12台の装甲車を橋ごと爆破
CNNトルコ支局の報道によると、戦死した兵士たちはイラク国境からわずか3マイルの地点で、12両編成の軍用車を連ねて走行していたが、橋を渡っていた最中にゲリラ部隊が橋ごと爆破したので死亡した、と伝えている。トルコのチェミル・チチェック副首相は、記者会見で戦闘の模様を次のように述べている。「襲撃を受けた軍隊はゲリラグループを包囲して、そのうちの23名を殺した。その後も包囲を続けている」また、トルコのレチェップ・タイップ・エルドガン首相は、国営テレビで「われわれの怒り、われわれの憎しみは大きい。しかし、トルコ政府は常識的立場に立って熟慮し、アジテーションとは距離をおいた手段をとるだろう」と語った。

2. Turkish soldiers captured
A Kurdish rebel group also claimed its guerillas had captured a number of Turkish soldiers hostage. Cicek declined to comment on the claim, saying “the clashes are still underway.” Iraqi President Jalal Talabani urged the separatist Kurdistan Workers’ Party, or PKK, to stop their attacks amid fears an incursion would destabilize the relatively peaceful autonomous Kurdish region in northern Iraq.
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壁にかかる写真とこの下のクルド人女性の持つ旗にあるのはPKKクルド労働党リーダー、アブドゥラ・オカラン党首


戦闘で数人のトルコ兵PKKの捕虜に
また21日の戦闘に際して、クルド人ゲリラグループは、トルコ政府軍兵士数名を捕虜として拉致したと語っている。チチェック副首相は「戦闘はいまだ継続中である」と語り、この件に関するコメントを避けた。一方イラクでは、クルド出身のタラバニ大統領が、「トルコ軍のイラク・クルド地区への侵攻は、今までイラクの中でも比較的平穏を保ってきた北部のクルド自治区を争乱に巻き込む」として、トルコからのクルド人自主独立を標榜するPKKクルド労働党に対して、トルコ軍への攻撃を直ちに止めるよう勧告した。

3. 'Should leave Iraq to Kurdistan'
“But if they insist on the continuation of fighting, they should leave Iraq to Kurdistan, and not create problems here. And they should return to their countries and do there whatever they want,” Talabani said at a joint news conference with Kurdish leader Massoud Barzani.
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トルコとイラクが南北に国境を接する山岳地帯の辺境に住むクルド人:昔から少数民族としてアラブ人からもトルコ人からも疎外された迫害の歴史を持つ。PKKは「トルコ労働党」の頭文字。


タラバニ「イラクからクルディスタンへ去れ」
「しかし、それでも彼らが闘争を続けると主張するならば、この地でこれ以上問題を起こさぬよう彼らはクルディスタンへ去り、イラク政府に保護されているクルド自治区から出ていくべきだ。彼らの土地クルディスタン(トルコ南東部山岳地帯)へ戻って、そこでどうとでもやりたいようにやればよろしい。」状況収拾のため、バグダッドからイラク北部クルド自治区の首都スレーマニヤへ飛んだタラバニ大統領は、自治区の首長マスード・バルザーニ氏との共同会見で、イラク政府側の意見をこう表明した。

4. Pressure on the U.S., Iraq
Turkey has been pressing the U.S. and the Iraqi government to crack down on rebels who have found haven in the remote, mountainous areas of northern Iraq. The United States opposes any unilateral action by Turkey, fearing it could destabilize the most stable part of Iraq. But Cicek rebuffed Talabani’s call. “Statements do not satisfy us, there has been nothing left to say, we are expecting concrete steps from them,” Cicek said. Talabani tempered his strong words, however, acknowledging the difficulties in controlling the rebels who operate from bases in northern Iraq. “The leaders of PKK are not within our reach. They are based in Kurdistan’s rugged mountains and the Turkish army, with all its might, was unable to dislodge or capture them,” Talabani said.
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米国下院外交委員会での「アルメニア人虐殺」の史実承認には、ナショナリストだけでなくトルコへの冒涜行為として国民の大半が憤激。10月半ばには各地で反米の抗議デモが盛り上がった。


トルコ、米国とイラクにプレッシャー
トルコは米国とイラク政府に対して、イラク北部のクルド自治区の辺境の山岳部をゲリラ活動の拠点とするクルド独立派PKKを制圧するように圧力をかけていた。それというのも、米国はイラクの中でももっとも安定した地域であるクルド自治区が紛争に巻き込まれるのを怖れ、トルコによって行なわれるいかなる単独軍事行動にも反対してきたからである。しかしトルコのチチェック副首相は、タラバニ大統領のPKKに対する呼びかけを、にべもなく却下した。「イラクの声明はまったくお話にならない。PKKとは、もはや話し合いの余地はない。われわれが期待しているのは、断固とした行動あるのみだ」チチェック副首相はあらためて、トルコ側の強硬姿勢を明らかにした。

5. PKK based in rugged mountains
Talabani tempered his strong words, however, acknowledging the difficulties in controlling the rebels who operate from bases in northern Iraq. “The leaders of PKK are not within our reach. They are based in Kurdistan’s rugged mountains and the Turkish army, with all its might, was unable to dislodge or capture them,” Talabani said.
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写真左:問題解決のため故郷クルド自治区の首都スレイマニヤに急行したタラバニ首相/右:米国とイラク政府を相手にPKKとの紛争と「アルメニア人虐殺」史実問題で急激に対立を深める最中のトルコ政府を、なぜかシリアのアサド大統領が訪問。アサド(右から二人目)を丁重に扱うエルドガン首相(一番右)の態度に注目。シリア・イラン・ロシア路線への歩み寄りか?


タラバニ「険しい山岳地では侵攻も難航」
トルコ側のこの発言に対してイラクのタラバニ大統領は、イラク北部を拠点として作戦を展開するゲリラを、トルコ国内にとどまって制圧することの難しさをよく知っているので、感情的な応酬は控えた。「PKKのリーダーたちは、われわれの手の届くところにはいない。彼らはトルコ国内のクルディスタン地方の険しい山岳地帯に本拠地のキャンプを張っていて、たとえトルコ陸軍が総力を挙げて闘ったところで、彼らを根絶したり、捕虜にすることすら、きっとままならないでしょう」タラバニ氏は、トルコ軍のPKKへの侵攻の結果を予測してこう語った。

6. Border of Turkey, Iraq, Iran
字数制限のため英文省略
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国境地帯へ向かう軍用トラックに乗ったトルコ陸軍コマンド部隊/小学生の登下校も国境警備のトルコ兵に守られて

トルコ・イラク・イランの接する国境地帯
今回の襲撃事件は、トルコ・イラク・イランの3国が国境を接するトルコ国内ハッカリ地方のダグリカというトルコ人部落の近辺で、トルコ軍によるゲリラ掃討作戦が開始された直後の、21日の真夜中を回った時点で起きた。ハッカリ地方は隣接するシルナック地方の東にあり、PKKとトルコ政府軍との紛争が頻発していたもうひとつの地域である。
「かなりの人数のPKKのゲリラがわが国へ国境を越えて侵犯し、ダグリカの町の近くで、歩兵部隊に向かって三手に分かれた攻撃をかけた。その結果、我が軍の12名の兵士が戦死、16名が負傷した。」軍部からは以上のように発表された。また、当初の攻撃を受けた箇所よりは南の地点で、現時点でもなお戦闘状態が続いている、と補足された。トルコ軍が国境を越えてイラク領土内へ侵入したかどうかに関しては、一切報道されていない。

7. Off-limits area by Turkish military
字数制限のため英文省略
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国境地帯は立入禁止となり戒厳令状態 戦闘用のタンクがそこかしこに、偵察ヘリが上空を飛ぶ完全な戦闘準備態勢

国境付近トルコ軍によって立入禁止
イラク北部PKKのスポークスマン、アブドゥル・ラーマン・アルチャドルチ氏は、ゲリラ側には一人の戦死者もいないと、犠牲者の噂を否定した。この地域へ取材に向かおうとする報道陣の車は、トルコ軍が主要道路に設置した検問所でU-ターンを余儀なくされている。国境に沿った辺境地帯の大部分は、すでにトルコ軍によって立入禁止となっている。
「21日日曜の朝7時頃に、トルコ軍がイラク領土内に15発前後の砲撃を開始した」と、イラク国境警備隊のフセイン・ラシッド中佐が報告している。砲撃はもっぱらアマディヤ市近郊のマティーン山地に集中して打ち込まれた。ラシッド司令官は、昨今の国境付近での緊迫した情勢のために、付近の村落住民はすでに避難したあとだったと伝えている。

8. Turkey expects U.S. taking actiond0123476_1114877.jpg
The Iraqi region of Amadiyah is roughly opposite the Turkish town of Cukurca, in Hakkari province. Rebels are active near Cukurca, about 30 miles from the location where the soldiers died Sunday. On Saturday, Erdogan said Turkey expected the United States to take action against the PKK but would take its own measures if it saw no results in the fight. The U.S. lists the PKK as a terrorist organization and has condemned its attacks in Turkey. However, Washington has called on the Turkish government to work with the Iraqis. Rebels periodically cross the border to stage attacks in their war for autonomy for Turkey’s predominantly Kurdish southeast. More than 30,000 people have died in the conflict that began in 1984.

トルコは古代キリスト教がヨーロッパへと伝播する橋渡しの要衝アナトリアにあった。昔からヨーロッパとアジアの東西文明の、またキリスト教とイスラム教の南北宗教世界の交差点でもある。


トルコは米軍介入でPKK攻撃を期待
翻訳中

【米国時間 2007年10月22日 訳『米流時評』ysbee】

d0123476_7294370.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/6428058
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次号予告:アルメニア人虐殺問題でトルコ、米と決裂/ミャンマー軍事政権に日本もついに経済制裁/
/イスラエルのオルメルト首相提案:ユダヤとアラブのエルサレム二都物語

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by ysbee-2 | 2007-10-22 10:48 | ユーラシアの回廊

ユーラシア大連邦と第三次世界大戦

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   ||| ユーラシア大連邦と世界大戦の兆候 |||
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d0123476_18552829.gifロシア・イラン・中国のユーラシアユニオン対
NATO拡大軍のグローバルな第三次世界大戦は
すでに始まっている


イスラエル、アルメニア、トルコ、クルド、イラン、リビア、ソマリア、ダルフール、ミャンマー、東トルキスタン、チベット...... 紛争の焦点はグローバルに散在


イスラエルとパレスチナ「エルサレム二都物語」
d0123476_191566.jpg先月末から2週間近くミャンマーの虐殺に胸つぶれる思いで、軍事独裁政権の弾圧を糾弾してきたので、他の重要なニュースに紙面を割く事ができなかった。しかし現在、世界はすさまじいスピードとスケールで、一大変革の渦に巻き込まれているかのようだ。今日お伝えする「エルサレム二都物語」も、これまでの国際社会の常識では想像もつかなかったドラスチックなシフトで、ユダヤ対アラブの数千年にわたる民族紛争の焦点エルサレムを、イスラエルとパレスチナ双方の首都として分割するという、思いがけない紛争解決策である。それも、当事者である好戦的なイスラエルのオルメルト首相から提案されたという驚愕の展開だが、そのほかにも続々と唖然とする大変化が、国際社会の大舞台で開幕している。

プーチンのイラン訪問と「カスピ海サミット」d0123476_19185638.jpg
ひとつは、一昨日から2回に分けてお届けした「プーチンのイラン訪問」。今回のカスピ海サミットの詳細については前回の記事を読んでいただくとして、要はロシアとイランのエネルギー資源の供給路を確保する会議と観た方が、てっとり早いかも知れない。
ロシアはすでに中国とは共同で軍事演習を行なっている状況であるから、北朝鮮=中国=ロシア=カザクスタン=トルクメニスタン=イラン=シリア、そしてトルコという一連の「ユーラシアの連帯と結束」をプーチンは胸に描いていて、実現しつつあるように受けとれる。その共通点が、NATO、EUをも含めた「反アメリカ覇権主義」にあるのは明白である。

「アルメニア人虐殺」とトルコのクルド侵攻
d0123476_19224065.jpgもうひとつ重要な動きとして、トルコの親米体制からの離脱。これは第一次大戦下のオスマントルコによる「アルメニア人虐殺」の史実承認問題である。韓国と日本の慰安婦問題と似て非也なのは、下院を議案通過した時点ではアナクロな争点の蒸し返しに見えたが、トルコにとっては国辱問題であり、ナショナリストを中心に俄然反米運動が巻き起こってしまった。一般の米国市民にはどうにも解せない晴天の霹靂。が、実はイラクとの国境地帯クルド地区では、トルコ政府軍とクルド人の独立運動ゲリラPKKとの間の数十年の小競り合いが最近急激に険悪になり、戦死者数十名を出す本格的紛争に発展してきた背景がある。これもまた、サダム政権という鉄拳統制の崩壊以来険悪化してきた状況で、関連国にとっては火急の事態である。

国連安保理事会でカダフィのリビアが理事国に
d0123476_19233050.jpgさらにもうひとつ。これには驚きを通り越して呆れてしまったのだが、カダフィ議長の率いる地中海沿岸北アフリカの小国家リビアが、国連安保理事会で「アフリカ代表として理事国に選出された」のである。88年スコットランドでのパンナム103便爆破事件はカダフィの指令と看破されたにも拘らず、最終責任は追求されずに今日に至っている。しかしイランのアフマディネジャドやベネズェラのチャベスら反米主義強硬派とは違い、カダフィは数年前にいち早くテロ戦争への加担を申し出てブッシュの「悪の枢軸」国家の隊列離脱に成功し、米国務省のテロ国家ブラックリスト入りを危うく免れている。この「リビアの理事国化」は国連の権威を失墜する象徴的な出来事として後々に必ずや禍根を残すと予測できるので、後日報告したい。

世界同時多発のグローバルウォー
その他にも大きな動きが多々あるのだが、トルコの反米動向を除いて、これらがすべて今週に入ってからたった2日間の出来事である。もし今現在本音で「世界は平和だ」と宣っている方がいらしたら、それは無人島に住んでいてワイアレスなためにニュースに触れる機会がないのか、端的に盲目か、という状況にある方々に相違ない。
これほどの深刻な紛争が同時多発している状況を、もし数世紀後の歴史家が振り返って名付けるならば、きっとこう呼ぶに違いない。「21世紀初頭のグローバルウォー」だと。
あるいは先人を踏襲して単純にこう記述するだろう。第三次世界大戦は2007年に始まった、と。
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【米国時間 2007年10月16日 『米流時評』ysbee】
写真の説明:トップはトルコとアルメニアの国境にそびえるアララット山の勇姿。ノアの方舟が山頂にたどり着いたという伝説もある。/右側の縦長の写真は、すべてモンゴル共和国の中央アジアの平原。鉄道はその名もエキゾチックな「サイベリアン・エキスプレス=シベリア特急」で007かマタハリでも潜んでいそうだが、北朝鮮の金正日がモスクワへプーチン詣での時に愛用する列車。/一番下の写真は「Armenian genocide」で昨今急激にクローズアップされるアルメニアの高原の夏。オスマントルコが150万人のアルメニア人イスラム教徒を計画的に殲滅したと伝えられ、このような破壊の跡を示すモスクのドームが、今でもそのまま放置されている。

d0123476_12434412.jpg記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/6391366
TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/6391366


次号予告:ミャンマー軍事政権に日本も制裁/ダライラマがブッシュと初会見、下院の褒賞授与に中国が激怒
     オルメルト提案:ユダヤとアラブのエルサレム二都物語/アルメニア人虐殺問題でトルコ、米と決裂

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序 章 中東核戦争前夜?急浮上するシリア対イスラエル核紛争d0123476_8345660.jpg
第1章 戦争挑発行為?イスラエル爆撃機のシリア領空侵犯
第2章 シリア対イスラエル 中東核戦争の危機は本物か
第3章 新・ジェリコの闘い イランのミサイル報復作戦
第4章 核のターゲットは駐留米軍 国連とEUの経済制裁
第5章 消された記事『中東代理戦争・シリアvsイスラエル』
第6章 囁かれる中東核戦争
   中東核戦争6.1 ホワイトハウスのウォーゲーム
   中東核戦争6.2 2008年核戦争の冬・チェニーのウォープラン
   中東核戦争6.3 復讐の世紀・中東戦争「核のアルマゲドン」
   中東核戦争6.4 暴かれた大謀略・イスラエルとネオコン中東核戦略
第7章 驚愕!原爆搭載機 B-52飛行事件は米空軍内のクーデターか?

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by ysbee-2 | 2007-10-16 18:44 | ユーラシアの回廊
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