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カテゴリ:タリバニスタン最前線( 29 )

速報!パキスタン政府軍、南ワジリスタン地上侵攻開始

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    ||| タリバニスタン地上侵攻作戦開始 |||
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パキスタン政府軍、南ワジリスタン州のタリバン武装勢力本拠地へ総攻撃開始
数週間続いたタリバン同時テロ攻撃の犠牲者計175名、パ政府軍本格的反撃へ


d0123476_16582178.jpg この夏以来、パキスタンの各都市にある警察や軍隊・諜報の本部をターゲットに、
 本格的なテロ攻撃を絶え間なく繰り返してきた、タリバンと
 その軍事的同盟を結んだ地方の武装勢力、ムジャヒディーン。
 今年の春、雪解けとともに活発化してきたタリバンの奇襲攻撃。
 その軍勢が本拠地をかまえるのがアフガン・パキスタンの国境地帯、
 俗に「タリバニスタン」と呼ばれる、パシュトゥン族の辺境自治州ワジリスタンである。

 アフガニスタンの首都カブールにも、パキスタンの首都イスラマバードや
 古都ペシャワール、軍都ラワルピンジにも比較的近い、
 お尋ね者の隠れ家=テロリスト・ヘイヴンとして、また軍事教練の野営地として、
 アルカイダの系列化にあるパキスタンタリバン武装勢力の、格好の拠点である。

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 タリバンのテロ攻撃と言えば、以前は民心騒擾をねらった
 バザールやモスクなど、一般市民の蝟集する場所への自爆テロが多かったが、
 今年はそれよりももっと軍事的ターゲットを狙うように変化してきていた。

 特に10月に入ってからは、軍部当局自らが「タリバンは都市ゲリラ戦を展開」
 と認めたように、首都のイスラマバードをはじめとする、警察署の本庁や
 軍都ラワルピンジのパキスタン政府軍の本部にまで、白昼堂々と攻撃を仕掛けてくる始末。

 ラワルピンジの政府軍本部へ侵入し、50人近い人質をとって立てこもり
 最後に自爆して果てる……など、まるでパキスタンの9.11とみなせるような、
 大胆な奇襲作戦を展開したタリバンと軍事的同盟を結んだムジャヒディーン。

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 文字通り昼夜を分たず、2週間連続したタリバンの波状攻撃。
 戦況が刻々悪化して犠牲者の数はうなぎ上り。毎日毎時の新しいテロ攻撃事件発生で、
 情報を追うだけで時間を消耗しながらも、エントリを上げるべく準備していた最中に、
 ついに政府軍のワジリスタン侵攻作戦が開始された模様である。

 今回のタリバン掃討作戦は、はたしてパキスタン政府が主張するように
 徹底した「タリバン根絶」までいくのか、
 あるいはまた、今春のスワット谷侵攻作戦のように、
 ターゲットの地域から武装勢力を一掃しただけで終わるのか?

 タリバン側には、アルカイダの外人部隊4千名が馳せ参じ、
 パキスタン政府軍に対抗する援軍として合流しているだけに、
 今回の政府軍の南ワジリスタン地上侵攻作戦は、
 パキスタン政府にとっても、タリバン・アルカイダ勢力にとっても
 最終的決戦の様相を呈するだろうことは、想像に難くない。

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 タリバニスタンのニュースにかけては、いつも迅速・正確・公正な報道で
 定評のあるAP通信の、アフガン・パキスタン両支局の記者たちが
 さまざまな立場の地元住民の意見や、タリバン側からの直接諜報も加味した
 政府の方針にへつらわない、詳細な情報を提供してくれるので、
 今回はそのAPと、ロイターの現地記者レポートを混成したMSNBC.comの速報記事を
 急遽翻訳してご紹介したい。

【米国時間 2009年10月17日『米流時評』ysbee 】

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  OCTOBER 17, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年10月17日号
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 パキスタン陸軍、南ワジリスタンへタリバン殲滅の総攻撃開始
 米国時間 2009年10月17日午前2時59分 | AP/ロイター・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
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Pakistani Forces Move on Taliban Stronghold
Army launches ground offensive in tribal area after two bloody weeks
OCTOBER 17, 2009 | AP/REUTERS/MSNBC — BREAKING | Translation by ysbee

1. Ground offensive begun into South Waziristan
DERA ISMAIL KHAN, Pakistan — More than 30,000 Pakistani soldiers launched a ground offensive against al-Qaida and the Taliban's main stronghold along the Afghan border Saturday, officials said, in the country's toughest test yet against a strengthening insurgency.

パキスタン政府軍、南ワジリスタンへ地上侵攻開始
パキスタン 南ワジリスタン州 デライスマイルカーン発 タリバン戦争最前線戦況速報
パキスタン現地時間で17日土曜早朝、南ワジリスタン州のアフガン国境にそったアルカイダとタリバン武装勢力の軍事拠点に対して、総数3万名以上のパキスタン政府軍の大部隊がついに地上侵攻作戦を開始したと、政府軍広報部から発表があった。
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2. Five soldiers and 11 militants killed
d0123476_1853852.jpgFive soldiers and 11 militants were killed as the more than 30,000 troops deployed to the region met stiff resistance in parts of South Waziristan.

政府軍兵士5名、タリバン叛徒11名戦死
パキスタン政府軍は、タリバンとアルカイダ武装勢力の執拗な武力攻撃の軍事基地となっている南ワジリスタン辺境地区へ、武装集団殲滅を軍事目標とする地上侵攻作戦のため、17日未明から3万名以上の陸軍兵力を投入。現在までの戦況報告によると、銃撃戦や爆撃により、タリバン勢力側で11名、政府軍兵士で4名の戦死者が出た模様。

3. Region of 'Terrorists' Haven' Waziristan
South and North Waziristans is a possible hide-out of Osama bin Laden and a base for jihadists bent on overthrowing the U.S-backed government, attacking the West and scuttling the U.S. war effort in Afghanistan.

ワジリスタンはテロリスト・ヘイヴン
南北の両ワジリスタン州は、9/11同時テロ攻撃の首謀者と目されるアルカイダの指導者オサマ・ビンラディンが隠れていると定説のある地域である。また米国を後ろ盾とした前ムシャラフ政権と現行ザルダリ政権のパキスタン中央政府を、放擲しようと意図するジハディスト(イスラム原理主義者の聖戦戦士)をパキスタン内外から集め、軍事教練をほどこすミリタリー基地も点在する、無政府主義的な統治体制化にある少数民族パシュトゥン族の辺境自治区である。

*注:テロ戦争開始以来一時は討伐成功と見られたものの、米軍の軍事攻撃目標がイラク戦争へ転換したため、治安勢力が手薄となったアフガニスタンとパキスタンの国境地帯で、アルカイダとタリバンは再び組織を立て直した。こうしたイスラム原理主義グループの武装勢力は、パシュトゥン民族が大勢を占める辺境自治州の地方武賊=ムジャヒディーン勢力と結託して、南北ワジリスタン地域の自治と覇権を目指した。

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4. Fear of al-Qaida's nuke ambition
Pakistan is one of a few nuclear-armed countries in Asia, and the al-Qaida has been thought to aim to attack or steal the nuclear capability for so long, that the United States has been pushing the Pakistan government to carry out an assault in South Waziristan.

核保有国にテロ勢力が跋扈する恐怖
パキスタンはアジアでも有数の核兵器保有国である。米軍の主勢力がイラク戦争へ転換して以降、アルカイダとタリバン武装勢力の軍事的拠点と化した南ワジリスタンの辺境自治州。アルカイダなどのテロ組織が、パキスタンの軍事施設を攻撃して核兵器を入手した場合の、世界に対する脅威は計り知れない。

*注:しかし、パキスタン中央政府との数回の和平交渉も実らず、全土の主要都市にある警察や軍隊などの治安軍事施設の中枢を奇襲する、都市ゲリラ戦を展開。こうしたアルカイダとタリバンの連合した反政府勢力を掃討する目的で展開される今回の地上侵攻作戦は、政府軍がついに本腰を入れて叛徒征伐に取り組む態勢をとるもので、近年のパキスタン史上最大の侵攻作戦になると予測されている。

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5. U.S. pushed Pakistan towards offensive
The U.S. has pushed Pakistan to mount the offensive, which follows three unsuccessful campaigns since 2001 in the mountainous, remote region by mostly poorly equipped soldiers trained to fight conventional wars, not counterinsurgency operations.

米国からタリバン掃討戦展開への圧力
米国はこうした事情を背景に、昨今テロ攻撃の絶えないアフガンとの国境にそったこの地域に対してタリバン武装勢力の掃討作戦を展開するよう、長年にわたってパキスタン政府に圧力をかけてきた。また、国内各地で頻発した一般市民を狙うバザールへの自爆テロや、警察署や警官学校をターゲットにした爆破攻撃、外国大使館への爆破事件など、タリバン武装勢力とそのシンパ・ジハディストによるテロ攻撃が続発したため、パキスタン政府軍は2001年のテロ戦争開始以来3度の大規模な掃討作戦を実施した。

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6. Anarchy and guerrilla operation in remote
字数制限のため英文省略
タリバンのゲリラ攻勢で無政府状態
しかし3度とも組織の根絶にはいたらず、数年のうちにタリバン勢力が覇権の手を辺境の地に伸ばしてきていた。少数民族パシュトゥン人が古くから棲息する、急峻な山岳地帯のアフガン国境近辺の辺境自治区は、これまでは中央政府も完全統治を諦め地方豪族長老会議の自治権を認める施策をこころみたりもした。また治安の担い手である地方警察や国境警備隊までは予算も回らず、人員・武器ともに手薄だったため、近年では山岳地帯でのゲリラ戦に長けたタリバン勢力が思うままに武力行使する無法地帯と化していた。

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7. Three unsuccessful campaigns since 2001
Pakistan has fought three unsuccessful campaigns since 2001 in the region, which is the nerve-center for Pakistani insurgents fighting the U.S.-backed government. It is also a major base for foreign militants to plan attacks on American and NATO forces in Afghanistan and on targets in the West.

2001年以来3回の侵攻作戦いずれも失敗
パキスタン政府は2001年に米国がテロ戦争を開始して以来、アフガンとの国境地帯の辺境自治州に対して、これまでに3回タリバン攻略作戦を展開してきたが、すべて結果的に失敗している。
南北ワジリスタン州と区分的に一致するこの地域は、親米政権の中央政府に対抗するパキスタン人の武装勢力が軍事修練基地をもつ組織活動の拠点であり、テロ・サボタージュ活動の指令を出すタリバンの幹部が根城を置く本拠地でもある。ここはまた、アフガニスタンに駐屯する米軍やNATO連合軍、西側諸国のターゲットに対する攻撃を企む、アルカイダなどの外国人テロ組織にとっても治安の手の届かない別天地でもある。

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8. Two weeks militant attacks killed over 175
The assault, which has been planned for several months, comes after a surge in militant attacks killed more than 175 people across Pakistan over the past two weeks. The operation is expected to last around two months and is aimed at clearing the region, then holding it, officials said.

2週間連続のタリバン奇襲攻撃で死者175名
しかし、パキスタン中央政府がその重い腰をようやく上げたのは、過去2週間ものあいだ連日、国内主要都市の治安軍事拠点へタリバン・アルカイダ武装連合勢力が奇襲作戦を展開し、兵士・警官・一般市民あわせて175名もの犠牲者を出した後となった。
この地域に対するパキスタン政府軍の攻撃は、タリバン勢力の方が地の利に精通しているので地上の白兵戦では犠牲が大きすぎるため、過去数ヶ月間は空爆に徹していたが、2週間にわたる流血のテロ攻撃に対する反撃として、同地に拠点をおくテロ組織を徹底的に根絶する方針を固めた。また国内外からも、タリバン・アルカイダ勢力の討伐を強いられたパキスタン政府は、議論の余地なく総攻撃を準備し、現地時間で17日土曜未明ついに南ワジリスタンへの地上侵攻作戦に踏み切った。

*注:特に先週、軍都ラワルピンジの政府軍司令本部へ自爆テロが侵入し、50余名を人質にとって立て籠り、当日だけで41名の死者を出した事件は、軍部の治安弱体を内外に晒す結果となった。こうした一連の同時多発テロ攻撃に対する反撃として、空爆だけではないパキスタン政府軍の大々的地上侵攻作戦が、ついに開始されたわけである。
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9. Operation expected to last 2 months
After months of aerial bombing, troops moved into the region Saturday from several directions, heading to the insurgent bases of Ladha and Makeen among other targets, intelligence and military officials said on condition of anonymity because of the sensitivity of the topic or because they were not allowed to brief the media. They said the operation was expected to last around two months.

2か月を見越した長期的侵攻平定作戦
作戦の軍事攻撃目標は、タリバンが集結していると見られるラダアとマキーンにある軍事教練基地だが、その他の主要施設や幹部の巣窟(文字通り洞穴も含まれる)の所在地もすでに把握していると、政府軍およびISIパキスタン陸軍諜報の幹部はAP通信の記者に状況を伝えた。
軍部では、司令官と広報官以外はメディア関係者へのブリーフィングは許可されていないため、あくまで匿名と言う条件の下に情報を明らかにした。彼らの把握している範疇では、特に今回の地上侵攻作戦は、タリバン戦力の徹底根絶とその後の治安統治の完了を目指しているだけに、作戦終了までは2か月前後かかるものと政府軍側では覚悟して臨んでいる。
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10. Full-fledged ground ops to 'uproot' Taliban
Pakistan Army spokesman Maj. Gen. Athar Abbas said the operation effort was focused on uprooting the Pakistani Taliban, an umbrella group of militants led by members of the Mehsud tribe blamed for most of the attacks that have battered the country over the last three years.

タリバン武装勢力根絶が総攻撃の目標
パキスタン陸軍の広報官アタール・アッバース司令官も、今回の作戦の軍事目標は「パキスタンタリバンの根絶=uprooting the Pakistani Taliban」に焦点を定めていると公表した。
パキスタン・タリバンというのは、メスード部族の長老に率いられたムジャヒディーンの武装集団を統括する総称だが、過去3年間にわたってパキスタン各地で展開されたテロ攻撃事件のほとんどは、彼らが実行した破壊活動に他ならないと確信されている。 >次号続編へ続く
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【 米国時間2009年10月17日『米流時評』ysbee訳 】
 
d0123476_20304071.jpg◀ 次号「かくも長き戦争 タリバニスタン最前線レポート」
▶ 前号「DOW 10K-2.0 NY株式市場1万ドルの大台突破」
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by ysbee-2 | 2009-10-17 18:42 | タリバニスタン最前線

タリバンのエンドゲーム・テロ戦争の潮目

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   ||| タリバン戦線のエンドゲーム |||

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 テロ戦争8年目の潮目 パキスタンのタリバン拠点へ米軍のミサイル攻撃開始
 

d0123476_16582178.jpgここ数日で、アフガンとパキスタン国境地帯のタリバンの拠点に対して
米軍・パキスタン政府軍・アフガン政府軍の総攻撃が展開している。
7月の対タリバン戦線の戦死者数が、
米軍もNATO軍も、テロ戦争始まって以来の記録となってしまった。
もちろんそれ以前から「アフガン・サージ」(増兵)は始まっていた。

 本来のテロ戦争の目的から外れて、石油利権目当てのイラクへ侵攻した米軍。
 そのブッシュ政権の誤った指針を、本来のタリバンの拠点である
 アフガニスタンとパキスタンの国境地帯へ戻して、
 イスラム原理主義者のテロ活動の要請基地と、武器と兵力の拠点をつぶす。
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 そうした本来の戦争目標を達成するために、
 オバマ政権になってから、アフガン戦線の総司令官も首がすげ替えられた。
 
 新任のマクリスタル司令官は、イラク戦争でも
 アルカイダ・イラク戦線のリーダー、アブサヤブ・アブ・ムサウィを
 ミサイル攻撃でとどめを指した2006年の掃討作戦で、
 米空軍特殊部隊の攻撃を率いた、歴戦の強者である。
 
 ブッシュ時代の、投げやりなアフガン戦略から一変して、
 教育施設の建設や、農業灌漑事業の支援も始まった。
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 戦闘だけでなく、内政の充実、特に産業振興で職場を創成して
 タリバン組織へ若者が流れるのを阻止するという、
 きわめて当たり前の「戦後政策」に手を付けている。
 
 今回のエントリは8/8号の続編になるが、
 これ以降も、アフガンとパキスタンの両面展開で、
 タリバンを挟み撃ちにするべく、熾烈な銃撃戦が続いている
 国境地帯の戦闘状況をお伝えします。

【米国時間2009年8月10日『米流時評』ysbee 訳】

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  AUGUST 10, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月10日号
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 タリバンのエンドゲーム パキスタンの拠点へ米軍ミサイル攻撃
 米国時間2009年8月7日 | AP/REUTERS/NBC/MSNBC| 訳『米流時評』ysbee

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 Death of Taliban Chief — Part 2
Leader of group in Pakistan linked to Bhutto killing, many suicide attacks
AUGUST 7, 2009 | AP/REUTERS/NBC/MSNBC | Translation by ysbee

15. U.S. drones began striking Taliban
DERA ISMAIL KHAN, Pakistan — Earlier this year, however, U.S. drones began repeatedly striking Mehsud's territory in Pakistan's South Waziristan region as his power grew and concerns mounted that violence could destabilize Pakistan and threaten the region. In addition, some of Mehsud's fighters were suspected of attacking supply convoys for U.S. and NATO forces through Pakistan.
パキスタンのタリバン拠点へ米軍攻撃開始
前号「米軍のミサイル爆撃でタリバンの首領メスード爆死」からの続き
パキスタン社会の反応は変わってきていた一方で、アフガン駐留米軍は今年の年頭から南ワジリスタン地区に対して国境を越えて無人偵察機ドローンを飛ばすCIAアフガン戦線主導の攻撃作戦を開始していた。
南ワジリスタンでは近年、バイツラ・メスードが率いるパキスタン・タリバンが自爆テロ養成基地を構え、首都ペシャワール近郊までテロ攻撃を仕掛けたりするタリバンの活動拠点となっていた。
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 南ワジリスタンの山中へ入ったキャンプからタリバンの隠れ家と思われる穴居に地対地のロケット砲を撃ち込む米軍

16. Attacks on supply convoys for US/NATO

In addition, some of Mehsud's fighters were suspected of attacking supply convoys for U.S. and NATO forces through Pakistan.
カイバー峠で輸送部隊のコンボイを襲撃
メスード配下のタリバンは、地元の警察署・刑務所の襲撃、政府軍や米軍への協力者の公開処刑などを次々に実施して、復讐を恐れた地元住民や部族長老を恐怖政治の統制下においた。
さらには、パキスタンの港湾から荷揚げして、アフガン国境のカイバー峠を越えてアフガニスタンの米軍基地やNATOのアフガン戦線編成軍基地へと、通常の兵站物資を輸送する陸軍のトラック部隊を連続襲撃したため、アフガンの米軍とNATO軍に対しても大きな脅威となってきていた。
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17. Becoming a greater threat to the U.S

Whether Pakistan will now aim for militant leaders that are a greater threat to the U.S. — such as those led by Maulvi Naseer Wazir in South Waziristan, Hafiz Gul Bahadur in North Waziristan or the Haqqani group — remains to be seen, although the U.S. success in taking out Mehsud could be a strong nudge.
今や米軍に対する最大の脅威
パキスタンタリバンでメスードの後継者とみなされる他のリーダーたち、南ワジリスタンのマウルヴィ・ナシール・ワジール、北ワジリスタンを仕切るハフィズ・ガル・バハジュール、あるいはまた(かつてブット元首相の父親を暗殺した)今は亡きハッカニの後継者一派。
こうした一連のパキスタン政府軍の宿敵の中で攻撃対象として現在最重要視されるのが誰であれ、今回のメスード討伐は転機となるだろう。なぜなら「米軍の手でメスードをやっつけた」という実績が出来てしまった限りは、ワジリスタン統制における米軍とパキスタン政府の間の軍事的判断においても、米軍側の発言力のパワーバランスが増す事実は否めない。
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 タリバンとの銃撃戦で負傷した米兵を、戦闘の前線からバグラム基地へ運ぶシャトル用ヘリ、ブラックホーク

18. Brutal Taliban regime of Mehsud

Fueled by his alliances with al-Qaida and other militant outfits, Mehsud rose to the peak of Pakistan's militant pyramid thanks largely to his brutality and Pakistan's unwillingness to take him on.
メスードの残虐なタリバン恐怖政治
そもそもメスードは、アルカイダやパキスタン外部のテロ組織との連携によって急激に勢力を拡大し、パキスタン国内の叛徒グループの中でも組織ピラミッドの頂点を極めた。その覇権の秘密は、もっぱら彼の残虐な恐怖政治態勢にあったため、パキスタンの中央政府や軍事司令部ですら怖れをなして、今年初めまではあえて強硬攻撃を控えてきたのが実態である。
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19. A bold ambition of Mehsud

A 30-something son of a potato farmer who once taught physical fitness, Mehsud was soft-spoken but brash enough to once hold a news conference.
大胆不敵なメスードの野心
弱冠30代のメスードは、護身術の免許も持つジャガイモ畑を耕す小作農の息子として生まれ、一見話し方はおだやかだが、その剛胆な精神力は他を圧倒している。昨年5月には内外の記者多数を南ワジリスタンの山中にあるタリバンの基地に呼び寄せ、公然と記者会見するという、タリバンのトップ指導者としての威信を見せつける、野心的な冒険もやってのけた。
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 昨年5月24日南ワジリスタン山中のタリバン要請基地へ、内外記者を堂々と招集した記者会見でのメスード

20. Likely successor: deputy Hakimullah

Three Pakistani intelligence officials said the most likely successor was Mehsud deputy Hakimullah. Two other possibilities were Azmat Ullah and Waliur Rehman. The officials spoke on condition of anonymity because of the issue's sensitivity. Interior Minister Rehman Malik also named Qari Hussain, known for training suicide bombers.
後継者と目されるもうひとりのメスード
諜報部門の極秘情報のため匿名という条件の下にもらした、パキスタン陸軍諜報部ISI将校の諜報分析によると、パキスタンタリバンの総司令官としての後継者はメスードの副将を務めていたハキムラ・メスードだろう、という予測がもっぱらである。ほかにもアズマット・ウラーとか、ワリウル・レーマンといった名も挙がっている。政府側の消息筋では、レーマン・マリク内相の説で、自爆テロ養成基地のリーダーであるカリ・フサインの名もまた挙がってきている。
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21. Pakistan's Taliban Movement getting loose

The Tehrik-e-Taliban Pakistan, or Pakistan's Taliban Movement, was already a loose coalition, and rivalries were common. "It has the potential to fracture even more now that its boss is dead, and military might will have to be a key part of the approach to the truth," said Daniel Markey of the Council on Foreign Relations.
動揺するパキスタンのタリバン組織
パキスタンのタリバン運動「テーリケ・タリバン・パキスタン」は、5月のパキスタン政府軍の大々的なスワット谷侵攻作戦以来、すでにこれまでにも組織の統制がばらばらになってきており、これは他のライバル組織においても共通して見られる兆候である。
しかし特に今回は彼らの最高司令官メスードの死で、組織自体が崩壊する可能性も見えてきており、そうであれば現段階での軍事的裁定が、この地域の恒久平和につながる鍵を握ることになるだろう、とCFR 外交評議会(Council on Foreign Relations)のダニエル・マーキー氏は分析する。
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22. Afghan Taliban lost its ally

"Baitullah was an unusually effective leader, capable of pulling together disparate militant forces and maintaining discipline ruthlessly. Now there's an opportunity for the Pakistanis to try and peel off elements within the TTP, or at least encourage splits that are likely to develop on their own in the aftermath of Baitullah's death," Markey said.
最強の援軍を失ったアフガンのタリバン
「バイツラ(メスード)は、ずば抜けて統制力のある指導者でした。テロ戦争の緒戦で米軍のアフガン侵攻で蹴散らされて壊滅状態だったタリバン兵士を、ふたたびかき集めて教練し直し、徹底した情け容赦のない戒律で、強硬な軍隊を再編成しました。」
「しかし、その彼が不在となった今は、TTP=パキスタンタリバンの内部崩壊の機に乗じて、パキスタン政府にとってはメスードの支配下にあった南ワジリスタン地区を挽回する、絶好のチャンスでしょう。少なくとも、バイツラの死後は組織自体が指導者権争いで分裂の危機にあるので、そうした状況を加速するような諜報の動きがあってしかるべきだと思います。」
CFRのマーキー氏は、パキスタン政府側が失地挽回する好機であると強調した。
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23. 'Cat and mouse' situation

In this, Pakistan's record is not inspiring. It has regularly staged military operations that it says have cleared out insurgents, only to see the groups re-emerge. It also has a record of striking peace deals with insurgents, which critics say have helped the Taliban.
タリバンと政府軍のイタチごっこに終止符
タリバン幹部の討伐に関しては、パキスタン側の実績はぱっとしない。テロ戦争では、ブッシュ政権の友軍を買って出たムシャラフ政権だったが、パキスタンの基地から国境を越えて、アフガン側へテロ攻撃を仕掛けてくるタリバンに業を煮やした米軍側から圧力がかけられると、そのときだけおざなりな派兵を行なって、タリバンは駆逐したと表明していた。
しかし実際には、タリバンは山中の基地に戻っただけで、この本陣を集中攻撃しない限り、パキスタン政府軍とタリバンのいたちごっっこが繰り返されるだけだった。さらに、昨年の選挙で政権がムシャラフからブットの寡夫ザルダリに移ってからは、一時南ワジリスタンの辺境地域の自治統制権をタリバンシンパの部族長老の手に渡すことを認証する失態も起きた。この地域専門のアナリストの評価によると、こうした地域の政変が結果的にタリバンの勢力拡大に、大いに役立ったものと分析している。 >続く

【 米国時間 2009年8月10日『米流時評』ysbee 訳 】
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左:国境付近を走るパキスタンの国営鉄道、アフガンには鉄道自体がない /中:スワット谷侵攻作戦が一段落して故郷に戻った避難民だが、見る影もなく破壊された民家 /右:5月にアフガン戦線の最高司令官に抜擢された米軍のマクリスタル将軍。空軍82部隊と言えば泣く子も黙る特殊部隊だが、イラク戦線転任直後にこの部隊を率いて、アラブアルカイダ指導者ムサウィをしとめた実績が評価されていた。彼の戦略の特徴は「Precision Operation」脳外科医の患部摘出手術のように、周辺地区に危害を及ぼさずにターゲットだけを殲滅する、特殊部隊特有の作戦。

d0123476_11564496.jpg◀ 次号「今度は地中海の海賊?消えた貨物船アークティックシーの謎」
▶ 前号「スワット谷の夜明け・戦線の鍵を握るパシュトゥン族」

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by ysbee-2 | 2009-08-10 19:50 | タリバニスタン最前線

スワット谷の夜明け・タリバン戦線の鍵を握るパシュトゥン族

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  ||| スワット谷パシュトゥンの夜明け |||

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 ブッシュの始めたタリバンとの戦争を、オバマは終わらせることができるか?
 テロ戦争9年目、終結の鍵を握るスワット谷・パシュトゥン民族の自衛組織


d0123476_16582178.jpg昨日末尾にちらっと書き足した補足の部分が
実はかなり重要なヒントを含んでいるように思えるので、
今日の冒頭で、記事リンクと一緒にあらためて書き直しました。
この8年のテロ戦争に対する、私の真情です。

【 スワット谷に夜明けは来るか 】

 今年5月、パキスタン政府軍がタリバン掃討戦に本腰を入れ、
 空爆まで含んだ全面戦争を宣言。
 タリバンが完全に掌握していた北ワジリスタン州の
 スワット谷一帯に、大々的な侵攻作戦を展開した。
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 おかげで、戦火を逃れる住民200万人以上が
 比較的安全な、首都ペシャワール郊外などへ大移動。
 
 つまり、わずか1週間足らずで、群馬県や栃木県とほぼ同じ面積の地域から
 県の総人口と同数の住民が、全員脱出したのと同じである。
 「エクソダス」のタイトルが大袈裟ではないことが察せられよう。
 
 実態調査に難民村を訪れた国連の調査団も、
 言語に絶する難民のスケールに、絶句するはずである。
 
 今年5月の当時の詳細は、米流でも「スワット谷のエクソダス」として連載。
 5/07 第1章「百万人の難民エクソダス・パキスタン最前線レポート」
 5/08 第2章「スワット谷のエクソダス・タリバニスタン民族大移動 」
 5/09 第3章「さらば中世! タリバン恐怖政治の終焉」
 5/10 第4章「21世紀狂気の蛮族・タリバン最期の日々」
 5/10 第5章「テロ戦争終章へ・アフパキ前線のエンドゲーム」

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 一方、ミンゴラなどの町中は空爆で見る影もなくなったが、
 かつてはのどかな果樹園の緑の谷間だったスワット谷に
 避難していた住民がちらほら帰郷。

 パキスタン政府軍の警備兵がパトロールしているものの
 一旦掃討したタリバンがリターンしないように、
 地主である地方豪族の長老以下、住民の有志は、
 政府から武器を供与してもらい、自警団を形成した。
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 これは、パキスタン政府にとっても、住民自身にとっても
 実に革命的なできごとである。
 
 なぜなら、この地域の住民は、
 昔日のアレキサンダー大王の東方遠征の時代から
 外部からの侵略者に対しては、徹底抗戦。

 何千年にもわたって伝承されてきた
 「外敵に屈しない」という民族の誇りを
 唯一の精神的資産として守り続ける彼らから見れば、
 中央政府でさえも、彼らの自治権を奪う「略奪者」なのだろう。
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 辺境と言われながらも、数千年の歴史が織り込まれたこの地に、
 数百代にわたって住み続ける、パシュトゥン民族。
 
 近代化を標榜する中央集権の国政をうとんじて
 国家的行政や事業にも なかなか参加しようとしない。
 社会慣習としての行事は、地域の長老が執りしきる。

 特に近年、米国のテロ戦争以降は
 ムシャラフ軍事政権は、イスラムの教理に背信する、
 アメリカの傀儡と嫌悪されてしまった。
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 こうした、歴史と因習に封じ込められた経緯があるので、
 一歩間違えばタリバンに寝返るかも知れない
 中央政府の宿敵だったパシュトゥン族に、
 政府側から武器を供与というのは、驚愕の方針転換である。
 
 しかしイラクでは、スンニ派の蜂起が絶えなかった
 やはり反政府的体質の アンバープロバンスで、
 この大胆な政策を実施し、平定に成功した。
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 この地元民の反抗するパワーを、逆手にとって
 テロの恐怖政治でこの地域の社会活動を麻痺させていた
 イラクアルカイダを地域から掃討する軍事力に転換する政策。

 これが「アンバーの夜明け」とか「スンニの目ざめ」と呼ばれる、
 地元住民を味方の戦力にとりこむ施策である。

 当時のイラク大使で「バグダッドのロレンス」と異名をとる
 国務省の英才、ライアン・クロッカーが発案。
 当時イラク米軍の総指揮官だった ペトレイアス司令官が実施した。
 この施策以降、スンニ派のテロ活動は激減した。
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 多分、イラク平定の成功策を、パキスタンにも応用する意図で
 ペトラエウス司令官の地域戦略を、過去の成功戦略として分析。
 
 これを戦略アドバイザーのジェームズ・ジョーンズ大統領補佐官が
 タリバニスタンと呼ばれる国境地帯の、地域特性に沿うよう策定し直し、
 アフガン・パキスタン地域専任のリチャード・ホルブルック外交特使が、
 現行政府のザルダリ政権へ箴言した結果だろう。
 
 ブッシュ時代には、アフガンとパキスタンを分離して対応し
 米軍の戦力の大半を イラク侵攻に向けたために、
 そのあとのタリバン戦略は、パキスタンの地元警察や国境警備隊による
 神出鬼没の叛徒を後追いする、モグラ叩きにひたすら終始して
 結果的にタリバンは、テロ戦争以前の領土を挽回してしまった。
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 ブッシュは本当に、戦争が下手である。
 長期にわたっての、為政者としての政治的理念というものがない。
 そもそも、終戦を見越した地域平定という観念が欠落していた。
 
 あったのは、ネオコンのニューワールド構想が
 ご破算で願いましては……と勝手に中東全域の国境線を引き直した
 「悪魔の地図」と(アラブ世界ではそう呼ぶらしい)、
 軍産共同体の、兵器と戦闘機と爆弾の、莫大な消費計画。

 レジデュアル・インカムならぬ、レジデュアル・コンサンプション。
 ネオコンというハツカネズミが、永遠に回し続ける
 軍事消費の永久輪廻だった。
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 ブッシュ政権下のペンタゴンでは
 米軍は実に、米国のためではなく、
 他国の軍事と経済の、覇権の指令の元に闘わされた。
 
 イスラエルロビー団体AIPACの思惑をそのまま投影して
 ブッシュとチェニーが進めた中東の解体と再編成。
 その目的は、
 イスラエルの軍需産業への長期大規模発注と
 サウジ王家のライバル国家打倒による中東覇権と
 英国石油ブリティッシュ・ペトロリウムの石油業界寡占。
 
 米軍は、それらを都合よく実現するために引かれた
 イラクとイランを攻略する青写真にそって、
 ドルで雇われた中東の傭兵役を果たしたにすぎない。
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 戦争とは、そのゴールに平和を見越して、初めて
 国際社会から、開戦事由の意義が認められる。

 平和を最終目標におかない闘いは、
 おおよそにして侵略行為であり、
 単なる「連続する戦闘行為」に過ぎない。

 その一点で、「戦闘の永続」を目的とする軍需産業、
 特に、米国の軍産共同体が、国家の軍事政策を左右するのは、
 根本的に、アメリカ合衆国の憲法違反であり、国家反逆罪である。
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 ブッシュ政権の、特にチェニーの犯した大罪をならべたてるのは
 他の機会に回す。
 
 さもないと、1週間あっても終わらずに、
 最後は、ハーグの国際裁判所まで
 その足跡を追っていかねばならないはずだから。
 
 【 米国時間 2009年8月9日『米流時評』ysbee 】
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 ▶【イラク戦争特集】2007年『米流通信』イラク戦争記事一部リスト
 07/2/06 「アメリカはなぜ勝てない?イラク戦争諦観」
 07/8/23 「イラクの4年半・長く熱い終わらない戦争」
 07/9/10 「ペトレイアス将軍のイラクレポート」


d0123476_11564496.jpg◀ 次号「タリバンのエンドゲーム・テロ戦争の潮目」
▶ 前号「特報!米ミサイルでタリバン首領メスード爆死」

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||| 米流時評 ||| 最近の記事リスト   b e i r y u * c u r r e n t
Good News, Bad News, Everything in Between
8/12 チェックメイト・タリバン戦線の最終章へd0123476_17124236.gif
8/11 終りのはじまり・アフパキ国境最前線レポート
8/10 タリバンのエンドゲーム・テロ戦争の潮目
8/09 スワット谷の夜明け・戦線の鍵を握るパシュトゥン族
8/08 特報!米軍爆撃でタリバン首領メスード爆死
8/07 テロ戦争8年目のCHANGE・パキスタンのタリバン
8/07 攻略・Mission to North オバマ外交の最終兵器クリントン
8/06 終章・北のエンドゲーム 半島外交の新しいチャネル
8/05 帰郷・独房生活140日の悪夢の果てに
8/04 解放・ビル・クリントンのYES, YOU CAN外交
8/03 特命・ビル・クリントン、米記者解放交渉で北朝鮮へ
8/02 ポンコツを現金に!オバマのグリーンカー作戦3日で25万台販売
7/28 イランの民主革命で甦る米国独立宣言のスピリット
7/27 さらば独裁!イラン第二革命に沈黙するオバマ外交
7/26 テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出
7/25 バカンス特急脱線!アドリア海リゾート列車事故で死傷者61名
7/24 また墜ちた!イラン今月2度目の旅客機事故で17名死亡
7/22 黄昏のラプター F22廃止・軍産複合体に半世紀目の楔
7/21 オバマの軍縮・軍産複合体の解体へ大いなる第一歩
7/19 過激派テロのターゲットは欧米資本と外国人ツーリスト
7/18 真相究明・ラグジュアリーホテルに宿泊していた連続爆破テロ犯人
7/17 ジャカルタのJWマリオットとリッツカールトン ホテル連続爆破テロ
7/13 中国西域マイノリティリポート[8] 民族殲滅・新彊虐殺にアルカイダ復讐宣言
7/08 中国西域マイノリティリポート[3] 武装警察・ついに始まった恐怖の人間狩り
7/07 中国西域マイノリティリポート[2] 民族自決・少数民族ウイグル人決死の抵抗
7/06 中国西域マイノリティリポート[1] 新彊弾圧・ウルムチ大虐殺死者156名
7/03 U2も支援するグリーン革命の自由の闘士/レミニッセンス第2章
7/02 テヘラン・自由への行進/革命のレミニッセンス第1章
7/01 イラン 革命のレミニッセンス 序章・前編

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by ysbee-2 | 2009-08-09 19:40 | タリバニスタン最前線

特報!米ミサイルでタリバン首領メスード爆死

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    ||| タリバン首領メスードの死 |||

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 タリバン最高司令官メスード、米軍無人スパイ機からのミサイル発射で爆死
 アフガニスタン・パキスタン国境地帯のタリバンテロ活動に、致命的な打撃


d0123476_16582178.jpg毎日ビッグニュースが続く。今日も朝一から「タリバンのトップ爆死!」
パキスタンを本拠地として、アフガンとの国境地帯を舞台に
テロ活動を続けてきた、タリバンの「首領」メスードが、
CIAの無人偵察機 Drone から発射したヘルファイアミサイルで、
ついに殺された、とのニュース。これは大きい。

 何しろ、昨年のイスラマバードのマリオットホテル爆破や
 パキスタン国内で頻発した爆破テロ。
 さらには07年のベナジール・ブット元首相暗殺も
 彼の指令の元に実行されたのだから。
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 その犠牲者総数は、遺体を確認できただけでも1200体以上。
 現地警察の内部事情に精通する者の説では、
 行方不明も含めて、2千人を越えるという。
 そのほとんどが、政治とは無関係な一般の市井人である。
 ましてや、老人や幼いこどもも含めて。

 もし現代にも、人非人とか極悪人とかいう言葉が通用するなら
 このバイツラ・メスードこそ、その名にふさわしいだろう。
 通常のミサイル攻撃には、忸怩たる思いがあるが、
 今回の一撃だけは、認めてもいいと思う。
 
【米国時間2009年8月8日『米流時評』ysbee 訳】


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  AUGUST 8, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月8日号
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 エンドゲーム-1 タリバン首領メスード、米軍ミサイル攻撃で爆死
 米国時間2009年8月7日 | リチャード・エンゲル/NBC/AP/REUTERS| 訳『米流時評』ysbee

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 500万ドルの懸賞金が首にかかっていたが、ついに殺されたパキスタン・タリバンの首領バイツラ・メスード
Death of Taliban Chief a Blow to Extremists
Leader of group in Pakistan linked to Bhutto killing, many suicide attacks
AUGUST 7, 2009 | Ron Moreau/Sami Yousafzai — NEWSWEEK | Translation by ysbee

1. Killed by U.S. Predator drone strike
DERA ISMAIL KHAN, Pakistan — Pakistan's Taliban chief was killed by a CIA missile strike, a militant commander confirmed Friday — a severe blow to extremists threatening the stability of this nuclear-armed nation.
米軍無人偵察機のミサイル攻撃で爆死
パキスタン・デライスマイル前線発 |現地時間で7日金曜、パキスタンのタリバン首領がCIA無人スパイ機のミサイル攻撃で死亡した事実が、タリバン側の軍司令官によって確認された。今回の総司令官喪失は、パキスタンを活動拠点とするイスラム過激派にとって、致命的な打撃となると見られている。
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 政府軍のタリバン掃討戦が激化し、戦場となったスワット谷の住民が故郷から避難したキャンプ村にもニュースが

2. Possible boost to U.S.-Pakistani cooperation

Also it may possibly boost the U.S.-Pakistani cooperation in fighting insurgents who wreak havoc along the Afghan border. Pakistani officials vowed to dismantle the rest of the network run by Baitullah Mehsud regardless of who takes over. This move seen as essential to crippling the violent Islamists behind dozens of suicide attacks and beheadings in the country.

米・パキスタン軍の共同戦線の可能性
また、核兵器を所有するパキスタンに対して、近年とみに増していたタリバンの脅威を阻止する上で、アフガン国境に訓練基地をもちパキスタンを攻略する過激派に対抗して、今後パキスタンと米国の共同戦線が急速に展開するものと期待されている。
事実、パキスタン政府軍指令部は、今後誰が後継者になったとしても、殺害されたバイツラ・メスードによって運営されていたテロリストネットワークの残党を、この機会に一掃すると宣言した。この転換は、パキスタン国内で実行された何十件にも及ぶ自爆テロや斬首などの残虐な暴力行為の裏に存在する、過激なイスラム原理主義者の組織を骨抜きにするためには必須と見られている。
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 アフガン国境に近いスワット谷では、タリバンの暴虐に堪忍袋の緒が切れた住民たちが反タリバンの自警団を結成

3. 'Shura' council in South Waziristan

Already, the Taliban were holding a "shura" council in the lawless, rugged South Waziristan tribal region to choose Mehsud's successor, intelligence officials and militants told The Associated Press, speaking on condition of anonymity because of the sensitive nature of the information. It was unclear when they might reach a decision.

南ワジリスタンで後継指名のシュラ会議
大黒柱を失った組織の一網打尽を企てる米軍やパキスタン政府の思惑をよそに、すでにタリバン側では、南ワジリスタン州のパシュトゥン民族自治区の辺境の無法地帯へ幹部が集合し、殺されたメスードの後継者を決めるべく「シュラ」と呼ばれる評議会的会合を開いている。
この情報は、複数のパキスタン陸軍の諜報部将校とタリバン叛徒の双方から、AP通信の元へ伝えてきたものである。もちろん、この情報は非常に微妙な現況とかかわっているために、全員匿名と言う条件の下で情報提供したものである。ただし次期最高指導者の人選について、彼らがいったいいつ最終決定を下すかはさだかでない。
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 元タリバンの司令官で現在は部落長老まとめ役のアブドゥル・サラム・ロケティは、今期のアフガン大統領選に出馬

4. Victory by CIA-controlled missile strikes

字数制限のため英文省略
CIA無人スパイ機のミサイル攻撃
長らくテロ戦争の宿敵だったメスードの死は、バラク・オバマ大統領にとってはめざましい勝利を意味するものであり、ブッシュ前政権の敷いたテロリスト撲滅の戦線にも一理あったと言えるだろう。しかし、何と言っても今回の快挙は、兵力の及ばない荒涼とした山脈が連なるパキスタンの北西部にあっては、CIAがリモートコントロールする無人偵察機のミサイル攻撃に負うところが大きい。
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 代表的イスラム原理主義団体ジャマティイスラミがラホールで展開した、米軍無人偵察機の爆撃に反対するデモ

5. $5 million bounty on Mehsud

The U.S. had a $5 million bounty on Mehsud, whom it considered a threat to the Afghan war effort. White House spokesman Robert Gibbs said Friday the administration could not confirm the death. But the administration was aware that it was the growing consensus among "credible observers."

懸賞金5億円のお尋ね者メスード
米国政府はブッシュ政権時に、アフガン戦線の脅威となる嫌疑でテロリストのブラックリストに載っているメスードの首に、500万ドル(約5億円)の懸賞金をかけていた。
一方オバマ政権のロバート・ギブズホワイトハウス広報官は、7日金曜のプレス発表で、メスードの死はまだ米国サイドでは直接確認できていないと述べたが、「信頼できる消息筋」からの情報を総合してみると、死亡説を肯定せざるを得ないようである。
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 昨年5/24アフガンとの国境地帯辺境コトゥカイの本拠地に内外の記者を集め、堂々と記者会見を行なったメスード

6. Growing consensus among the credibles

A senior counterterrorism official said that while the U.S. is still working on final identification, authorities now have strong indications that Mehsud is dead. The official spoke on condition of anonymity to discuss intelligence reports. "If he is dead, without a doubt, the people of Pakistan will be safer as a result," Gibbs said.

信頼できる消息筋情報を総合した結論
米国諜報機関のテロ対抗部門の高官は、今回のメスード死亡の件に関しては最終的事実確認を行なっている最中だと語っているが、関係機関の担当者はみなすでに「メスードは死んだ」という事実を肯定する、テロ組織の動きをつかんでいる。
この件に関する一切の情報は、消息筋を匿名でという条件の下に聴きだしたものである。一方、ホワイトハウスのギブス広報官はこう洩らした。「もしも彼が死んだのなら、これはとりもなおさず、パキスタンの人々にとってはより安全な社会になるという結果をもたらすでしょう。」
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北ワジリスタン州のデライスマイルカーンの町で、メスードのテロ行為に嫌気がさし、反旗をひるがえしたパシュトゥンの地元住民反タリバン組織と、指導者のカン・ザイヌディン(中央)。欧米人から見ると、長髪に髭といいAK47といい、タリバンとどこが違うのか区別がつかないが、スローガンやヘッドバンド(ハチマキ)で微妙に違うらしい。

7. Hellfire missile strike on S. Waziristan

Islamabad officially protests the missile strikes, although many analysts suspect the two countries coordinate on the drone-fired attacks. Mehsud was killed with one of his two wives Wednesday in his South Waziristan stronghold, his militant aide said.

南ワジリスタンの隠れ家にミサイル
首都イスラマバードのパキスタン政府では、米軍がアフガニスタンの国境を越えて飛ばすスパイ機(夜間でも偵察可能な赤外線ビデオカメラ装備で、遠隔操作で高照準ミサイル発射可能な無人偵察機 Drone)からのミサイル攻撃に対して、従来は表向きには反対し抗議声明を出してきた。しかし、同地域専門の軍事アナリストによると、米国とパキスタンの両国はスパイ機によるミサイル攻撃に関して、諜報の共同作業を進めていたものと分析している。
メスード配下の親タリバン派軍閥のひとりがAP通信へ連絡してきた内容によると、ミサイル攻撃でメスードが殺されたのは現地時間で5日水曜で、当時彼は南ワジリスタン州の活動の本拠地にある義父の家で、二人の妻と一緒だったそうである。
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 パキスタン現地時間で5日、デライスマイルカーン駐屯の諜報機関によって攻撃破壊された、メスードの義父の家

8. Taliban commander confirmed death

"I confirm that Baitullah Mehsud and his wife died in the American missile attack in South Waziristan," Taliban commander Kafayat Ullah told AP by telephone. Pakistani leaders said they were getting the same reports and were reasonably sure of their accuracy but did not have forensic evidence such as a body for irrefutable confirmation. Final confirmation could take days or weeks.

タリバン司令官から死亡確認の連絡
南ワジリスタン地区担当のタリバン司令官のひとり、カファヤット・ウラーは、ペシャワールのAP通信に電話を介して次のように連絡してきた。「南ワジリスタンにいたバイツラ・メスードと彼の妻のうちひとりは、米軍(正確にはCIAの無人スパイ機)のミサイル攻撃で死んだ。私自身が現場で確認したよ。」
パキスタン政府の軍指導部もまた同じような情報を得ており、諜報ルートからいって事実として信用に足ると判断できるらしいが、遺体などの身元判明の決め手となる物的証拠はまだ入手していない。科学捜査(CSI)などによる最終的事実確証にいたるまでは、まだ数日か下手をすれば数週間かかるものと見られている。
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 反タリバン組織のリーダーもまた、タリバンの暗殺で殺されてしまった。葬儀に参列する反タリバン派の自警団。

9. While treating a kidney ailment

A tribesman who spoke on condition his name not be used said the missile struck Mehsud's father-in-law's house. He said a doctor was treating the Taliban leader there for a kidney ailment. The tribesman said he attended Mehsud's funeral.

肝臓障害を義父の自宅で治療中に攻撃
また同じく電話で聴きだした、攻撃のあった現場の村の部族民のひとりは(もちろん名前は公開できないが)、ミサイルはメスードが滞在していた義父の家に命中したと語った。彼の話では、ミサイルが撃ち込まれた時、メスードは長年の持病の糖尿病による肝臓障害の治療を医師から受けていた最中だった。(その話を裏付けるように、発見されたメスードの遺体には内服液の注射の針が刺さったままだったと言う。)その住民は、死後すぐに行なわれた葬儀に立ち会ったそうである。
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 2004年の写真でも、すでに肥満の兆候で慢性の糖尿病を患っていたと言われる、タリバンの長バイツラ・メスード

10. Pakistanis' growing willingness on battle

Pakistani officials would not say they coordinated with the U.S. on the strike, although they insist they cooperate with U.S. and Afghan forces on border-related operations. Intelligence sharing between Washington and Islamabad has been increasing in the past year, now that Pakistan has a civilian government and has shown a growing willingness to battle militants in its borders.

タリバン攻撃支持の増えたパキスタン世論
パキスタン軍司令部では、今回のミサイル攻撃で米軍と共闘したとは公表していないが、アフパキ国境地帯の作戦実行に関しては、米軍やアフガン政府軍に協力すると以前から強調していた、米国政府とパキスタン政府との間での諜報情報の交換共有は、昨年の選挙でムシャラフの軍事独裁政権からザルダリの民間政権へ移行して以来、その機会はますます増えてきている。
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ムシャラフ政権時代の政府軍カリミ司令官。パキスタンでのタリバン掃討戦線が一向に進展せず逆にタリバン勢力の復活を許してしまったのは、陸軍内部の諜報部 ISI 将校にタリバンと通じる者が相当数いたためと言われている。

11. Zardari's revenge for Bhutto's assassination

字数制限のため英文省略
ブット暗殺指令者へのザルダリの復讐
何と言っても、ザルダリはタリバンのメスードの指令で暗殺された故ベナジール・ブット元首相の夫であり、親欧米派でもあることから、タリバン及びその勢力下にある辺境の軍閥に対しては、積極的に攻撃の手を強めている。今年5〜6月のスワット谷侵攻作戦は、パキスタンでは初めてタリバンの本拠地を全面攻撃した大々的な軍事行動だった。
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賛否両論あるベナジール・ブット元首相のポスターがかかる街角。一昨年12月、亡命先のUAEから帰国直後に起きた彼女の暗殺に関しては、直接の暗殺者は現場で爆死したが、指令を下した陰の犯人は、選挙の対抗馬となるムシャラフ大統領だとか、パキスタン陸軍の諜報部ISIだとか、数十年にわたる政敵のハク氏だとか、諸説紛々だった。しかしブットの夫のザルダリ氏が新任大統領に選ばれて以降、タリバンの内外情報からメスードの指令である事が確認された。

12. NATO, U.S. underestimated Mehsud

字数制限のため英文省略
メスードを甘く見た前任のNATO、米軍
今回のミサイル攻撃に関しては、従来の米軍の攻撃には付きものだった評論家の批判や民衆の憤慨は、めずらしく聞こえて来ない。(あたかも一般民衆がタリバンに対して嫌悪を抱くようになった兆候を示すようにも受け取れる。)
そもそもこれまでの何年もの間、パキスタン・タリバンの指導者メスードの存在を、他のタリバンやアルカイダの指導者と比べて、それほど脅威には捉えていなかったきらいがある。その理由は、メスードの攻撃対象がパキスタン国内に限られ、アフガン駐留のNATO連合軍や米軍には、直接影響がなかったからである。
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だいぶ前更迭されたNATOアフガン軍司令官で英国陸軍将校マーク・ライティ。イラク戦争開始後は主要戦闘部隊がイラクへ転戦したため、アフガン戦線残留軍は「左遷組」的にとらえられ連合軍側の戦意喪失に一役買ってしまった。

13. Previous admin. rejected to attack Mehsud

Three times in two years, the Americans turned down Pakistani requests to target Mehsud, according to a former Pakistani security official who spoke on condition of anonymity because he was not authorized to inform. U.S. officials would not comment directly on the Pakistani assertion.

メスード攻撃依頼を3度断ったブッシュ政権
「この2年間に3回も、パキスタン政府は『メスードをターゲットに攻撃してくれ』と米国政府に依頼してきましたが、アメリカは3度ともその依頼を受けつけなかったんですよ。」
ブッシュ政権時代の実情をこう語るのは、パキスタン政府軍司令部の一将校である。彼はもちろん軍事的情報を公開できる立場にないため、あくまで匿名の元に過去の実情をこぼした。他方米軍関係者も、パキスタン領空での作戦展開に関しては、口をつぐんだままである。
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 イスラマバードのパキスタン政府で、メスードの死亡に関して記者会見するザルダリ政権のレーマン・マリク内相

14. Same goal but conflicts over tactics

字数制限のため英文省略
最終目標は同じでも作戦に相違
しかしながら、米軍内部の消息筋の話では、メスードをテロ戦争の敵性人物として攻撃対象とする件に関しては賛否両論あったが、昨年のある時点からターゲットリストに入っていたと語った。
米軍諜報機関のテロ担当部門の高官もまた、匿名の条件の下にその間の事情を説明したが、たとえテロ組織を壊滅するという最終のゴールは終始変わらないにしても、各作戦の展開時点で、どの施設をまたは誰を攻撃するかなどという現場での戦術の細部に関しては、論争は常につきものだとも状況説明している。 >次号「スワット谷の夜明け」へ続く

【 米国時間 2009年8月8日『米流時評』ysbee 訳 】

d0123476_11564496.jpg◀ 次号「スワット谷の夜明け・タリバン戦線の鍵を握るパシュトゥン族」
▶ 前号「テロ戦争8年目のCHANGE・パキスタンのタリバン」

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by ysbee-2 | 2009-08-08 18:50 | タリバニスタン最前線

テロ戦争8年目のCHANGE・パキスタンのタリバン

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     ||| テロ戦争8年目の CHANGE |||

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 タリバンに始まりタリバンに終わるか、
 テロ戦争8年目 米軍戦略のCHANGE

d0123476_16582178.jpg 9/11以来ブッシュ時代を通して、
 アルカイダやタリバンの木っ端司令官は
 数多く殺されたり、逮捕されたり、
 文字通り「Dead or alive」の状態で報道されてきた。

 しかし、彼らはみな下士官クラス。
 前線の兵士が3〜4年実戦経験を積めば、いくらでも後釜が据えられ
 組織は再生を繰り返してきた。
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 組織の機能が麻痺するほどの、大物の捕獲や死亡というのは
 8年間のテロ戦争の長い期間でも、十指に満たない。
 
 その中でも首領格の死と言えば、
 06年イラク アルカイダの、アブ・ムサブ・アルザルカウィと
 07年5月に、アフガンタリバンの首領だった片目のオマールの、
 そのまた片腕だった、ムラー・ダドゥラーぐらいなものである。
 (オマールも、実はすでに死亡しているという説も有力)

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 毎年米国の国庫から数百億ドルのテロ戦争費用を費やしながら
 アフガンとパキスタン国境の、
 俗にタリバニスタンと蔑称される地域は
 近年ますます タリバン勢力が猖獗をきわめ、
 
 一時はパキスタン政府が、スワット地方の自治を
 タリバンシンパの地方豪族に任せたりする事態も起こった。

 彼らは、ブッシュの傀儡政権と言われた
 ムシャラフ大統領の軍事独裁政権に反対し、
 「反米愛国」というその一点で共通する、
 タリバンの統制を受け入れてしまった。

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 もちろん、宗教的な観点で、
 近代的民主主義を排斥して
 中世以来のイスラム教の教義で社会を規制する
 シャリア=イスラム法の実施にしがみついたせいもある。

 しかし、このタリバンのマニフェスト、
 見ると聴くとは大違いで、

 小中学校を爆破したり(イスラム教以外の学習を禁じる)
 女子には学習そのものを禁じたり……
 (女性は家に所属する資産の一部!)

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 アフガニスタンのはなはだしい例では、
 登校途中の女子中学生の顔に硫酸をかけたり……
 
 英語を習っているというだけの理由で
 校庭で惨殺された男の子もいた。

 日常生活では、既婚女性にブルカ着用を命じ、
 親族の男性の随行がなければ、単独では外出できない。

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 男性にはひげ剃りを禁じたり
 テロ組織の財源となるアヘン栽培を奨励したり……

 というイスラム原理派の、ばかばかしいまでの
 時代錯誤の因習に染まった、狂信的生活規範を強要。

 さらに、スワット谷住民を恐怖に陥れたのは、
 鞭打ち刑、石打ちの刑、斬首刑……
 
 中世以来の残酷な極刑を再現。
 公開処刑にして、見せしめにしたことである。

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 タリバンをかばう物好きな人物は、
 現代の日本にはまず存在しないと思うが、
 8年間のテロ戦争を、メディアを介してだが見聞してきた
 私から言わせていただければ、
 一言で言って「中央アジアの蛮族」である。

 だから、その首領(間違っても総司令官などと呼べる代物ではない)が
 ミサイルで殺されたと聴いて、安堵の声は出すが、
 今回ばかりは同情はしない。

 何しろ、昨年のイスラマバードのマリオットホテル爆破や
 パキスタン国内で頻発した爆破テロ。

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 さらには07年のベナジール・ブット元首相暗殺も
 彼の指令の元に実行されたのだから。

 その犠牲者総数は、
 遺体を確認できただけでも1200体以上。

 現地警察の内部事情に精通する者の説では、
 行方不明も含めて、2千人を越えるという。
 
 そのほとんどが、政治とは無関係な一般の市井人である。
 ましてや、老人や幼いこどもも含めて。

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 もし現代にも、人非人とか極悪人とかいう言葉が通用するなら
 このバイツラ・メスードこそ、その名にふさわしいだろう。
 
 通常のミサイル攻撃には、忸怩たる思いがあるが、
 今回の一撃だけは、認めてもいいと思う。

【米国時間2009年8月7日『米流時評』ysbee 訳】


>次号「特報!米ミサイルでタリバン首領メスード爆死」へ続く
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【スワット谷 百万人のエクソダス】2009年5月
 5/07 第1章「百万人の難民エクソダス・パキスタン最前線レポート」
 5/08 第2章「スワット谷のエクソダス・タリバニスタン民族大移動 」
 5/09 第3章「さらば中世! タリバン恐怖政治の終焉」
 5/10 第4章「21世紀狂気の蛮族・タリバン最期の日々」
 5/10 第5章「テロ戦争終章へ・アフパキ前線のエンドゲーム」

【イラク戦争特集】2007年『米流通信』イラク戦争記事一部リスト
 07/2/06 「アメリカはなぜ勝てない?イラク戦争諦観」
 07/8/23 「イラクの4年半・長く熱い終わらない戦争」
 07/9/10 「ペトレイアス将軍のイラクレポート」

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*スワット地区へ戻った住民が反タリバンに転向し、政府が武器を供与して自警団を形成したいきさつは次号で詳説↓

d0123476_11564496.jpg◀ 次号「特報!米ミサイルでタリバン首領メスード爆死」
▶ 前号「帰郷・独房生活140日間 北の悪夢の果てに」
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 G o o d  N e w s  B a d  N e w s  E v e r y t h i n g  i n  B e t w e e n
||| 米流時評 ||| 最近の記事リスト  b e i r y u * c u r r e n t

8/12 チェックメイト・タリバン戦線の最終章へd0123476_17124236.gif
8/11 タリバンのエンドゲーム・テロ戦争の潮目
8/10 終りのはじまり・アフパキ国境最前線レポート
8/09 スワット谷の夜明け・タリバン戦線の鍵を握るパシュトゥン族
8/08 特報!米軍爆撃でタリバン首領メスード爆死
8/07 テロ戦争8年目のCHANGE・パキスタンのタリバン
8/07 攻略・Mission to North オバマ外交の最終兵器クリントン
8/06 終章・北のエンドゲーム 半島外交の新しいチャネル
8/05 帰郷・独房生活140日の悪夢の果てに
8/04 解放・ビル・クリントンのYES, YOU CAN外交
8/03 特命・ビル・クリントン、米記者解放交渉で北朝鮮へ
8/02 ポンコツを現金に!オバマのグリーンカー作戦3日で25万台販売
7/28 イランの民主革命で甦る米国独立宣言のスピリット
7/27 さらば独裁!イラン第二革命に沈黙するオバマ外交
7/26 テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出
7/25 バカンス特急脱線!アドリア海リゾート列車事故で死傷者61名
7/24 また墜ちた!イラン今月2度目の旅客機事故で17名死亡
7/22 黄昏のラプター F22廃止・軍産複合体に半世紀目の楔
7/21 オバマの軍縮・軍産複合体の解体へ大いなる第一歩
7/19 過激派テロのターゲットは欧米資本と外国人ツーリスト
7/18 真相究明・ラグジュアリーホテルに宿泊していた連続爆破テロ犯人
7/17 ジャカルタのJWマリオットとリッツカールトン ホテル連続爆破テロ
7/13 中国西域マイノリティリポート[8] 民族殲滅・新彊虐殺にアルカイダ復讐宣言
7/08 中国西域マイノリティリポート[3] 武装警察・ついに始まった恐怖の人間狩り
7/07 中国西域マイノリティリポート[2] 民族自決・少数民族ウイグル人決死の抵抗
7/06 中国西域マイノリティリポート[1] 新彊弾圧・ウルムチ大虐殺死者156名
7/03 U2も支援するグリーン革命の自由の闘士/レミニッセンス第2章
7/02 テヘラン・自由への行進/革命のレミニッセンス第1章
7/01 イラン 革命のレミニッセンス 序章・前編


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by ysbee-2 | 2009-08-07 22:36 | タリバニスタン最前線

テロ戦争最終章へ?アフパキ戦線のエンドゲーム

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    ||| タリバニスタンの最終戦争 |||

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 近代化民主化運動とイスラム原理主義復権のエンドゲームの戦場、スワット渓谷
 アフガニスタンから本拠地を転換したタリバン勢力と、政府軍の最終戦争の墓場

d0123476_3532373.jpgずいぶん以前になるが、
今回のスワットバレーの名を初めて聞いた時に、
どこなのだろう、とネットで調べたことがあった。

きっかけになった記事は、ニューヨーク・タイムズの
一連の「タリバン復活の辺境」シリーズだったか、
あるいは、いつも世界の最前線の裏側から敵陣潜入ルポを伝えて来る
ニューズウィーク特派の、命知らずの戦場のジャーナリスト、
ロッド・ノードランドの「タリバニスタン」特集だったか、
どちらかだったと思う。
もう、かれこれ2年以上前のことになる。
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2007年 9/25号 「地の果てへの旅・序章」
戦場のジャーナリスト ロッド・ノードランド

「アメリカ人の中にも、現場に生きる知性と 人生のロマンを綴れる感受性を、
 痛々しいほどの迫力で仕事に開花させている男がいる、という実証でもあり……
 また、淡々とした旅行記の体裁をとってはいるものの、戦争をある程度達観し、
 悲痛な告発を込めた目で見ている点も見逃せません………」


いやはや、今読み返してみると、かなり惚れ込んでいるのがわかる。
今回の一連のエントリでもお伝えしたWaPo紙の
パメラ・コンステーブル記者と並んで、あの時期に彼らは口をそろえて、
アフガンとパキスタンの国境では、タリバン勢力が復権して
「タリバニスタン」の様相を呈している……
と指摘した、叫びに近い危機感に満ちた警鐘のレポートだった。

当時2006年の段階では、彼らの報告と同じ目線での危機感をもち、
「テロ戦争の正念場はパキスタンだ」と発言していたのは、
ワシントンでは、当時まだ当選してキャピトル入りしたばかりの
バラク・オバマ上院議員ぐらいのものだった。
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それから3年、世界覇権を目指したニューワールドオーダー構想で
ブッシュ=チェニーが指揮棒をふるったネオコンは凋落し、
新米議員だったオバマが、現在ではホワイトハウスに納まり
米国と世界との関係を変えようと、毎日ネジの巻き戻しに余念がない。
かつて、そのオバマを「ナイーブ」と嘲笑したクリントンは
オバマ体制下の国務長官のパスポートをふりかざして、
モスクワや、テヘランや、平壌と わたり合っている。

ときどき笑い出したくなるくらい、世界は変わった。

この「時代の大地震」で起きた亀裂や段差で、でこぼこになった道程を
なにがしかの方向性と、過去と未来を照らし出す かすかな光を頼りに
世界がこれまで動いてきた、あるいは これから動いていこうとする
実相の地図を描き上げようとする行為が、歴史家の作業なのだろう。

が、しかし、これでは、道標(みちしるべ)というよりも、
澪標(みおつくし)が要るようなほどの、深い霧の冥界だ。

なにか昨年後半から、経済だけではなく すべての社会状況が、
メルトダウンとは言わないが、液状化しているように感じるのは、
私だけだろうか?
世界の Liquidation……ご破算で願いましては……

しかし、新自由主義経済の妄想が崩壊しただけでも
最悪の事態から一歩抜け出したことは 確かだろう。
歩一歩、明日のページへ。

【米国時間2009年5月11日『米流時評』ysbee】
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『米流時評』緊急特集 パキスタン最前線レポート
 〜「スワット谷 百万人のエクソダス」〜
第1章 百万人の難民エクソダス パキスタン最前線レポート /AP通信パキスタン支局
第2章 スワット谷のエクソダス タリバニスタン民族大移動 /AP通信パキスタン支局
第3章 さらば中世!  タリバン恐怖政治の終焉 /ワシントンポスト・パキスタン支局
第4章 21世紀狂気の蛮族 タリバン最期の日々 /ワシントンポスト・パキスタン支局
第5章 テロ戦争終章へ アフパキ前線のエンドゲーム /ワシントンポスト・パキスタン支局
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MAY 10, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年5月10日号
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   W A S H I G T O N P O S T | A N A L Y S I S
アフガン・パキスタンをひとつの戦局と見る、米軍対タリバンの最終戦争
米国時間 2009年5月10日 | パメラ・コンステーブル/ワシントンポスト | 訳『米流時評』ysbee

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スワット谷周辺の農村地帯ではクルマの便宜がなく、ペシャワールまでの100キロ以上の道をひたすら歩いて脱出


Swat Valley Chronicle-3: Frontline of End Game
Uprooting the insurgents will mean unpopular consequences
MAY 10, 2009 | By Pamela Constable — WASHINGTON POST | Translation by ysbee

19. Islamization under ul-Haq in 1977-88
Yet Pakistan has had bitter experiences with the overzealous application of sharia, especially when it has been combined with force. During the military dictatorship of Mohammed Zia ul-Haq from 1977 to 1988, a system of "Islamization" was imposed that mandated extreme sharia punishments.
ウルハク軍事独裁政権のイスラミゼーション
シャリア法復活の気運がパキスタン全土に高まってきた経緯は、前号で書いた通りだが、パキスタンは過去に、その導入の行き過ぎで苦い経験を味わってきている。特にイスラム法の厳しい規制が軍事力と結びついたとき、その暴力的抑圧の両輪が社会全体を蹂躙した、思い出すのもつらい手痛い過去だ。
それは1977年から88年まで続いた、モハメド・ジア・ウルハク首相が国家の全権を掌握した軍事独裁体制の時代である。「イスラミゼーション」と呼ばれるその社会システムは、シャリア法の極端な厳罰制度を導入し、近代化を目指す社会を弾圧する「恐怖の枷」として利用した。
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マルダンの国連難民テント村に数十万人単位で収容され、配給のチャイ(茶)のポットを運ぶスワット谷の少女

20. Stoning, flogging, beheading

They included stoning and flogging, for committing adultery and drinking alcohol. These laws, which were known as the Hudood Ordinance and were finally amended and reformed in 2006, inflicted particular suffering on women.
鞭打ち・石打ち・首斬りの公開処刑
軍事独裁政権のもとで導入されたシャリア法の刑罰では、不貞罪や飲酒罪にも鞭打ち・石打ちといった厳しい公開刑が執行された。こうした刑罰法は「フドゥード法/Hudood Ordinance」として知られているが、2006年の法改正で改善されるまでパキスタン全土で実施され、特に女性に対して厳しい措置がとられたため長らくパキスタン女性を苦しめてきた悪法であった。
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親米派や政府軍への密告者と見られた者は、一族郎党テロの対象となり、家が爆破されたり公開の斬首刑に処される

21. Faded criticism of draconian practices

For one thing, if a woman tried to accuse a man of rape, she often ended up being found guilty of adultery and punished severely, while the man went free for lack of evidence. Criticism of such draconian practices, faded all at once after Zia's death in 1988.
女性蔑視・迫害の暗黒法
女性にとって厳しい刑罰の一例を挙げよう。ある女性がひとりの男性にレイプされたと訴え出たとする。しかし大概の場合、被害者の女性の方が不貞罪でとがめられ、石打ちの刑などの見るに忍びないほどの厳罰の公開刑に処される。しかも犯人の男性の方は、証拠不充分で無罪放免となるのがおちである。
しかし、こうしたドラコニアン流の極端な厳罰主義をとる論陣も、88年の独裁者ジア・ウルハクの死とともに、突如影がうすくなった。
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イスラム過激派の強制する理不尽な風俗では、女性は頭部・肌を見せてはならず、男性はひげを剃ってはいけない

22. Taliban justice brought in Swat Valley

But again, those horror stories of Taliban-style justice suddenly revived and have filtered out of the Swat Valley. Newspapers are filled with letters from readers expressing outrage at the perversion of Islam being perpetrated there and warning that the Taliban is trying to force a modern country back to medieval times.
スワット谷でタリバン恐怖政治の再現
ところがウルハク独裁政権の崩壊後、しばらくは民主的社会を復活できたのも束の間、タリバン流の法と秩序の恐怖の体験談が、スワット谷にふたたび急激に復活し、今年に入ってからは、その暗黒の勢力を他の土地へも伸ばし始めていた時期だった。新聞の投稿欄にはひんぱんに、読者からの次のような警世の意見が載るようになってきていた。
「スワット地方でのイスラム法の過激な解釈による暴力的支配は目に余るものがある。タリバンはその勢力を拡大して、近代化したわれわれの社会を中世の暗黒時代に引き戻そうとしている。」
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戦闘の爆撃で妻と4人の娘のうち2人とベッドに横たわる娘の足を失った父親 それでも生きていかなくてはならない

23. Subtler, more insidious social trend

And yet some observers have noticed a subtler, more insidious trend. It is not only the fire-breathing sermons by radical mullahs calling for a "sharia nation" or the rantings of Taliban leaders who accuse the entire Muslim government of being "infidel."
社会全体の微妙なイスラム化への傾斜
それでもなおかつ、世論を分析する専門家である批評家の中には、表立ってはいないけれども、パキスタン社会にかすかに芽生えている危険な兆し、過激派を支持する風潮へと「時代を逆行する反動の傾斜」を感じ取っている者もいる。
その兆候は、イスラム原理主義の訓戒師のように「シャリア国家を!」と火を吐くような演説を展開するのでもなければ、イスラム教の現行政府全体を「不浄な輩」と決めつけるタリバン指導者の絶叫ともちがって、きわめて微妙な傾向に過ぎない。
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タリバンが支配する土地では、中央政府への密告者や親米派とみなされる一族は、家族全員がテロの対象となった

24. 'Talibanization of the mind'

These observers describe a creeping social and intellectual chill that several have called "the Talibanization of the mind." It is a growing tendency for women to cover their faces, for hosts to cancel musical events.
タリバニゼーションの精神構造
こうした観察者は、社会の奥深くしのびよる知的啓蒙を冷遇する傾向を看破し、一連の負の方向への社会全体の心理的傾斜を、「精神のタリバニゼーション=タリバン化する社会思潮」と呼ぶ。
特にこの傾向は女性層に著しく見られ、イスラム教特有のベールで顔をおおったり、音楽イベントを主催してきたホストがキャンセルしたり、といった変化がしばしば見られるようになった。
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生活の隅々まで規制するイスラム原理主義は、テロリズムを観念ではなく骨身にしみる恐怖政治として植え付けた

25. Silencing the free opinions

For journalists, they had to use phrases that would not offend powerful Islamist groups, for strangers to demand that shopkeepers turn off their radios. "With each passing month a deeper silence prevails," columnist Kamila Hyat recently wrote in a widely circulated article.
思想・言論の自由を抹殺する風潮
パキスタンのジャーナリストは長年の習慣で、イスラム過激派グループに対して攻撃的な言葉の使用を避ける術に長けているので、今のところ衝突は起きていないが、外国人はこうした習慣に不慣れなため、原理主義の支持者が外国人所有のショップに入っては(音楽を流す)ラジオを消すよう注意したりする場面も見られる。(注:イスラム過激派は音楽・芸術も堕落の風潮とみなすため)
「これまでの数ヶ月、街中での沈黙の度合いはますますひどくなってきている。」
パキスタンの政治コラムニストのカミヤ・ハイヤット氏は、国内で広汎に読まれているメディアのコラム欄で、ごく最近こう感想をもらしたばかりだ。
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この少年のような西欧風の服装は、真っ先にイスラム過激派の攻撃の対象になる。撮影は5/2だがその後先週、少年の学校のあったハリプールの町はタリバンの手に落ちた。はたしてこの少年は、無事に過ごせているだろうか?

26. 'Must struggle to regain the liberties'

字数制限のため英文省略
「失われた自由の復権を目指す闘い」
「パキスタンの一般民衆は、不確かな将来を見通せない不安にかられ、宗教に逃げ込もうとしている。その理由は、この国の指導者が国家の問題と取り組むことに失敗したことに尽きるだろう。」
(注:スワット地方でのタリバンの萌芽を摘出せず、逆に迎合してタリバンに自治権を与えてしまった失敗策を指す)

そうしてハイアット氏は、彼のコラムをこう結んでいる。
「われわれがタリバンに奪われた祖国の地を回復するためには、彼らと闘わねばならないのと同じように、われわれが失いつつある(精神の)自由を回復するためにもまた、抑圧するものと正面から闘って、自由を勝ち取らねばならない。」  <了>

【 米国時間 2009年5月11日 『米流時評』ysbee訳 】
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昨年までは「Go U.S.」だったが、現在は「Go Taliban」に180度転換した首都イスラマバード市民の抗議運動

   ◀ 次号「タリバン+封建主義+コールドプレイ=Remix」
   ▶ 前号「21世紀狂気の蛮族 タリバン最期の日々」
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by ysbee-2 | 2009-05-11 13:56 | タリバニスタン最前線

21世紀狂気の蛮族 タリバン最期の日々

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  ||| 21世紀の蛮族 タリバンとの訣別 |||

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 イスラム原理主義者のシャリア法執行がもたらした、タリバニゼーションの終焉
 グローバルな政治の亀裂に増殖する、アルカイダとタリバンの恐怖政治との訣別

d0123476_3532373.jpgいつも的をついたご質問をいただく散策さんとの、前号のコメント欄での質疑応答です。訊ねられると、つい一所懸命答えてしまう性分なもので(その割には遅筆というか遅レスで有名)このところのアフパキ戦線の大雑把なおさらいを。

<Commented by 散策>
ysbee様 こんにちは。 アフガニスタン駐留米軍に
マクリスタル元米統合特殊作戦軍司令官の起用が発表され、
戦術も変わってきそうです。
このところにアフガン、パキスタン情勢を憂慮しています。
ちょっと前まで、妥協とか新聞記事で見ていたような気がするのですが、
いつの間にか交渉決裂、掃討と、一気に戦闘が激化しているように見えます。
ちゃんとニュースをフォローできていなかったので、
何でこうなってしまったんだろうという思いはあります。
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<Commented by ysbee>
散策さん、いつもコメントとTBを ありがとうございます!
先週は、ペンタゴンにとっては「大厄」の週だったようで
ざっと大きなトラブルを挙げるだけで、次の通り。

【アフガニスタン】
・アフガニスタンの空爆で一般住民に膨大な死者(百数十名とも……)
・アフガン駐留の米軍は、タリバンが住民を人間の盾にしたからと弁明
・アフガンのカルザイ大統領は、以前から住民居住地域への空爆は止めよ
 と米国へ懇願してきたのに、また同じ惨事が繰り返されてしまった。
 今回は、カルザイも後ろに引かない。
・その空爆と前後して、空軍が白燐弾を使用した模様(現地医師の報告)

この一連の不祥事で、アフガン駐留の米軍司令官マッキャノンが
更迭される条件がそろってしまった。(日本のメディアではマキャナン?)

【パキスタン】
・ワシントンのア・パ・米サミットでタリバン掃討の共同戦線の体制が固まった。
・翌日早速、タリバン本拠地に化したスワットバレーへ、パキスタン政府軍が
 これまでにない猛攻を開始。空爆まで始まった。
・スワット住民は、空爆の間は戒厳令も出ており自宅内避難。
・戒厳令が一時解除になった日に30万人が大脱出。
・その後も避難は収まらず、今年に入ってからの50万人の国内難民に
 さらに80万人の新たな難民が発生。

 国連難民局の調査では、これで130万人の難民を確認。
(配給を受ける難民証明書の発行数なので、確実な数字でしょう)
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【イラク】*追記
・バグダッドの米軍イラク駐留軍基地で、米兵が銃を乱射し兵士5名死亡。
 理由は古くて新しい「戦場での錯乱」
 映画『フルメタル・ジャケット』そのままの惨劇の再現……
 すでに前線送り7〜8回という経歴の兵士も。
 戦争の日常化。 戦意の風化。
 もはや何のために闘っているのか、というゴールさえない。

しかし驚いたのは、マッキャノンの「実質的クビ」が、
日曜(だったと思うのですが)いきなり記者会見で発表されたこと。
これは、ペンタゴンでは異例だそうで、
いかにオバマ政権が、アフガニスタンでの空爆の不祥事を重く見ているか、
ということの現れでしょう。

記者会見には、ロバート(ボブ)・ゲーツ長官と、
マイケル・ミューレン統合総司令官が出てきましたが、
ゲイツ長官の顔面紅潮で、明らかに怒りまくっているのが読めました。
しかし、雰囲気として「このひとも長くはないな」と見えたのが、私なりの直感。
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ゲーツはそもそも、パパブッシュに重用されて
CIA長官を経歴してきた実務派官僚で、生粋の軍人ではないために
事後処理には長けるが、積極的作戦展開の発想ができない。
したがって、NATOの最高司令官時代の評価が高く、
軍事的国際社会では一目置かれている、オバマ政権の現行の安全保障補佐官
ジェームズ・ジョーンズ氏から見ると、多分どうにも物足りないはず。

今更ですが、コーリン・パウエルや、ウェスリー・クラークなど
民主・共和両党からも信頼の厚い制服組が、
近い将来、ゲーツの後任に納まって、
新たに「オバマ体制のペンタゴン」を再編成していくのでは? と見ています。

それまでは、ブッシュ体制の膿を出すだけ出して
従来の責任者と一緒に摘出手術する体制、と読んでます。
ちょっと先読み過ぎかも知れませんが。

【米国時間2009年5月10日『米流時評』ysbee】
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『米流時評』緊急特集 パキスタン最前線レポート
 〜「スワット谷 百万人のエクソダス」〜
第1章 百万人の難民エクソダス パキスタン最前線レポート /AP通信パキスタン支局
第2章 スワット谷のエクソダス タリバニスタン民族大移動 /AP通信パキスタン支局
第3章 さらば中世!  タリバン恐怖政治の終焉 /ワシントンポスト・パキスタン支局
第4章 21世紀狂気の蛮族 タリバン最期の日々 /ワシントンポスト・パキスタン支局
第5章 テロ戦争終章へ アフパキ戦線のエンドゲーム /ワシントンポスト・パキスタン支局
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MAY 10, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年5月10日号
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   W A S H I G T O N P O S T | A N A L Y S I S
グローバル化する世界の亀裂に増殖する21世紀の蛮族 タリバン最期の日々
米国時間 2009年5月10日 | パメラ・コンステーブル/ワシントンポスト | 訳『米流時評』ysbee

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何度こういう惨めな行列を目にしなければいけないのか 政府と蛮族の覇権抗争の犠牲者はいつも辺境の少数民族だ


Swat Valley Chronicle-2: End Days of Taliban
Sharia system in Swat being perverted, Pakistanis say
MAY 10, 2009 | By Pamela Constable — WASHINGTON POST | Translation by ysbee

13. Harsh adaptation of Sharia Law
In March, many Pakistanis were horrified when a videotape surfaced that showed Taliban enforcers publicly whipping a teenage girl in Swat accused of having an affair.
タリバン流解釈の公開処刑
前号「さらば中世!タリバン恐怖政治の終焉」からの続き | パキスタン・イスラマバード発
今年3月スワット地方で、この地域の支配者にのし上がったタリバンが「通常未婚者に禁じられている性的関係を持った」という理由でシャリア法の罪に問われた十代の少女を、鞭打ちの公開処刑に処しているビデオがネットに浮上してきた時には、パキスタン市民の多くが震え上がった。
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アフガン国境のカイバー峠から南下してパキスタンのスワット谷を占拠したタリバンは、パンジャブ地方を狙っていた

14. Inquiry of 13 preconditions to punish

But experts here said this summary punishment without evidence or trial was un-Islamic and had nothing to do with sharia. They said that if the girl had been brought before a real sharia court, judged by extremely high standards of proof. That includes testimony by four witnesses to the alleged illicit relations, and thus she might have gone free.
本来の懲罰には13の立証条件が必要
しかしながら、パキスタン国内のイスラム教義の神学者は、この処刑あるいは裁判そのものが、充分な物的証拠もなく行なわれたと言う点で、反イスラム的であり、シャリア法とはまったく相容れない無法行為だと非難する。神学者の理論では、もしこの少女が正統的シャリア法の法廷で裁かれるとしたら、極端に厳しい水準の証拠をそろえてから裁かれるはずだと異議を唱える。
一例を挙げれば、その禁じられた関係の疑惑を目撃した最低4人の証人が必要となり、実際的にはそのような状況はあり得ないため、少女は無罪放免になっていたはずだと主張する。
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かつては「パキスタンのスイス」と呼ばれ風光明媚な山岳地帯として世界から観光客の集まったスワット谷だったが

15. Crimes and punishments in Sharia law

"When people talk about sharia law and punishments like cutting off a thief's hand, they don't realize there are 13 preconditions that have to be met before that punishment is ordered. That's why nobody's hand is ever cut off here," said Raja Zafar ul-Haq, an Islamic scholar and political activist.
シャリア法の罪と罰
「人々が通常シャリア法の罪と罰について話す場合、たとえば盗みを働いた者の手を斬り落とすなどという刑罰ですが、本来そういう場合には判決が下される前に『まず起訴するに足る前提条件が13件以上そろうことが問われる』という原則を知らずに語っている場合が多いです。それだけ刑罰の実施に関しては厳しい条件が求められますから、パキスタンでは手を斬り落とされた罪人は、現実にはいまだかつていないわけですよ。」
イスラム教の神学者で政治活動家でもあるラジャ・ザファール・ウルハク氏は、シャリア法の実践条件と、イスラム原理主義者の曲解についてこう説明した。
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休戦協定成立当時は遵法姿勢を示したタリバンも、ここ数ヶ月反対派に対して残虐な公開処刑を実施し恐怖の対象に

16. No contradiction between Islam and democracy

In theory, he said, there is no contradiction between Islam and democracy in Pakistan. The constitution says no law may contradict the Koran or the teachings of the prophet Muhammad. But in practice, the state justice system is so slow and biased that people are fed up.
イスラム法と民主主義は矛盾しない?
ウルハク氏いわく「パキスタンでは理論上は、イスラム教と民主主義は矛盾しない」と主張する。なぜなら、パキスタンの憲法自体が「コーランもしくは預言者モハメッドの教えに矛盾する法律はない」と規定しているからである。
しかしたとえ理屈ではそうであっても、実践の場ではそうはいかない。これまでの中央政府の裁判制度があまりにもスローで、支配階級に有利に働くよう偏向していたため、一般国民は国レベルでの司法と言うものにうんざりし、嫌気がさしていたというのが事実である。
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つい3か月前までは「No America, No NATO」だったのが、タリバンの実相を知り「No Taliban」に急変

17. Gathering the complaints against unjustice

"Unless there are major reforms," he said, "the demand for sharia may spread all over the country." There is a growing movement in mosques and seminaries throughout Pakistan today.
地方に山積する司法・行政への不満
司法界の今後の展望を、ウルハク氏はこう見る。「パキスタンでは大きな改革でもない限り、シャリア法実施に対する要望は、国中に広がっていくばかりでしょう。」
彼の分析を裏付けるかのように、こういった旧法復帰の主張が、モスクでの訓戒師の説教やマドラサなど僧院での学習で繰り返され、シャリア法実施を掲げる運動は、今日でもパキスタン全土で高まってきているのが実情だ。
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パキスタンでもイラクと同様にIEDの爆破で一般市民が巻き添えに 犠牲者への政府の救済援助は微々たるもの

18. Radical islamists movement

That is the movement to abolish the modern justice system and make sharia the supreme law of the land. Radical Islamic clerics in major cities give emotional weekly sermons, urging their followers to turn from decadent Western ways and spread vigorous moral purity.
イスラム原理主義の潮流
こうした一連の運動は、「近代社会の司法制度を廃棄してシャリア法をこの国の絶対的法律に復活させよう」というイスラム法復帰の気運となって、パキスタン全土に伝播してしまった。
国内の主要都市のモスクでは、イスラム過激派の訓戒師が激情を込めた説教を毎週展開し、追従者に向かって「西欧流の退廃的な風潮を排除して、清廉で凛とした道徳倫理の復権を」と、イスラム法復権の説得を繰り返している。   >次号へ続く

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何十年も住み慣れたスワット谷をあとにして、すでに130万人が「IDP=国内難民」と言う名の流浪の民と化した

【 米国時間 2009年5月10日 『米流時評』ysbee訳 】
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* 3 月 兎 の 走 り 書 き *
『米流』では、今日も昨日に引き続き、
アフパキ戦線の最前線でがんばっている戦場のジャーナリスト、
ワシントンポスト紙のパメラ・コンステーブル記者の手になる
現地直送のレポートとアナリシス『タリバン最後の戦争』です。

原題は『Taliban-style justice stirs growing anger
within the Swat Valley residents』ですが、
長過ぎるので私流に一言で通じるような和名のタイトルに。
前号の見出しにした『中世よさらば!』にはじまって、
『スワット谷戦記』『タリバン最後の日々』『パキスタンのエンドゲーム』
『タリバニスタン最終戦争』『百万難民のスワット谷大脱走』……などなど。

大昔とったコピーライターという杵柄で、
売れないゲームか、ヒットをかすった戦争映画のような、
どうにも俗っぽい命名ですが……
もちろん、これで最終戦争=エンドゲームにしてくれ、という
私めの勝手な、しかし切実な希望が込められているのは
言うまでもありません。
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   ◀ 次号「テロ戦争終章 タリバニスタンの最終戦争」
   ▶ 前号「さらば中世!タリバン恐怖政治の終焉」
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d0123476_16472783.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/9724920/
TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/9724920

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by ysbee-2 | 2009-05-10 11:50 | タリバニスタン最前線

さらば中世!タリバン恐怖政治の終焉

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  ||| さらば中世!タリバン恐怖政治の終焉 |||

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 イスラム原理主義で中世の暗黒時代を再現した狂気の蛮族、タリバン統治の終焉
 密告・暗殺・公開斬首刑……殺戮の恐怖政治から脱出する百万のスワット谷住民

d0123476_3532373.jpg日本は、昨夜の小沢民主党代表の辞任宣言で、
みなさん一斉にこの話題をとりあげてらっしゃいますね。
次期総選挙の勝敗の鍵を握る当事者の辞任ですから、無理もない。

私はすでに米国永住の身柄なので、一片の意見も寄せる権限はありません。
なので、あくまで私感にすぎませんが、外野席で見る限りでは
「なんとタイミングの悪い……」という実感は拭えません。
 
辞めるなら辞めるで、政治資金問題のピーク時であれば、
いさぎよいとも思えたのかも知れませんが
すったもんだの挙げ句、このまま連投していくかに見えた直後の辞意。
やはり間が悪い。
決断力のブレというか、歯切れの悪さだけが残る……
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結果の出ていない事態を予測する「ちから」が
指導者としての洞察力であり、
あえて一歩先の課題に決断を下す「しごと」が
政治家としての判断力であるはず。


このタイムラグは、政党の党首としては致命傷に近い。
あくまで、政治家に求められる資質としての一般論ですが。
まあ外野には発言権はないので、みなさんのエントリで勉強させていただきます。

さて本日も、風雲急を告げるパキスタンのスワット谷で展開する
政府軍のタリバン掃討作戦と、その結果派生した100万人の国内難民
IDP (Internally Displaced Persons) の問題についてのエントリ。
今回から3編にわたって紹介するのは、
ワシントンポストの才媛、パメラ・コンステーブル記者の
タリバン掃討戦線における、スワット谷侵攻作戦の現地レポートです。
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彼女は01年のアフガン侵攻以来、アフガニスタンとパキスタンにおける
テロ戦争の実相と、アルカイダ・タリバンと地元住民の相克について
現地記者ならではのきめ細かい深奥の情報を伝えてくれる貴重な存在。

今回の記事も、これまでの複雑な経緯をきわめてわかりやすく「まとめ」てあり
クロニクルのように「おさらい」できる時評なので、あえて取り上げました。

この中では、通常のニュースでは語られない
日本人には不可解な、イスラム教の一般的教義解釈と
狂信的なタリバンの解釈との違いを、明確に指摘。
蛮族の覇権の謀略と、普遍的な宗教倫理との
「永訣の論理」を浮き彫りにしてくれます。


なぜパキスタン政府が、一地方にせよタリバンに統治をまかせたのか?
などという基本的な疑問にも、きちんとした解説があり
一筋縄ではいかないパキスタンの国情の概略を掴む上でも
参考にしていただければと思い、翻訳する次第です。

【米国時間2009年5月9日『米流時評』ysbee】
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『米流時評』緊急特集 パキスタン最前線レポート
〜「スワット谷 百万人のエクソダス」〜
第1章 百万人の難民エクソダス パキスタン最前線レポート /AP通信パキスタン支局
第2章 スワット谷のエクソダス タリバニスタン民族大移動 /AP通信パキスタン支局
第3章 さらば中世!  タリバン恐怖政治の終焉 /ワシントンポスト・パキスタン支局
第4章 21世紀狂気の蛮族 タリバン最期の日々 /ワシントンポスト・パキスタン支局
第5章 テロ戦争終章へ アフパキ前線のエンドゲーム /ワシントンポスト・パキスタン支局
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MAY 9, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年5月9日号
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   W A S H I G T O N P O S T | B R E A K I N G
イスラム原理主義で中世の暗黒を再現した、タリバニゼーション統治の終焉
米国時間 2009年5月9日 | ワシントンポスト・パキスタン支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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タリバン本拠地への政府軍攻撃の巻き添えで頭部を負傷し、着の身着のままミンゴラから脱出してきた避難民の老人


Swat Valley Chronicle-1: Taliban Justice
Taliban-style justice stirs growing anger within the Swat Valley residents
MAY 9, 2009 | By Pamela Constable — WASHINGTON POST | Translation by ysbee

1. Ruling by fear in Swat Valley
ISLAMABAD, Pakistan — When black-turbaned Taliban fighters demanded in January that Islamic sharia law be imposed in Pakistan's Swat Valley, few alarm bells went off in this Muslim nation of about 170 million.
スワット谷、タリバンの暗黒統治
パキスタン・イスラマバード発 |今年の1月、黒いターバンが特徴のタリバン軍団が、パキスタン北西部のスワット谷にイスラム教法典のシャリア法を施行した時には、この1億7千万人の人口がひしめくイスラム国家パキスタンで、警世の声を上げる者はほとんどいなかった。
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元々パキスタンでは少数民族の辺境自治州だった北ワジリスタン州は、中央政府からは見捨てられた棄民の州だった

2. Taliban's swift justice of Sharia Law

Sharia, after all, is the legal framework that guides the lives of all Muslims. Officials said people in Swat were fed up with the slow and corrupt state courts, scholars said the sharia system would bring swift justice, and commentators said critics in the West had no right to interfere.
タリバン勢力下のシャリア法適用
「シャリア法/Sharia Law」というのは、とどのつまりムスリム、つまりイスラム教徒すべてが生活の規範とする、法的枠付けである。
この地区へシャリア法が導入された経緯(いきさつ)は、地元の役人たちが一概に言っている説を借りれば「スワット地方の住民は、腐敗した中央政府による司法体制の進行が、あまりにも遅々として進まないのに業を煮やしたからだ」と言う。
また法学者たちも、シャリア法の裁判制度では判決が直ちに行なわれる司法体制を支持し、政治評論家たちは導入当時、口々に「西欧諸国が口をはさむ権利はない」と国際的な批判を拒絶した。
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パキスタン中央政府軍のジャウールの駐屯基地もタリバンの爆破テロで壊滅 政府施設が真っ先にターゲットになる

3. Fear and threat of Talibanization

Today, with hundreds of thousands of people fleeing Swat and Pakistani troops launching an offensive to drive out the Taliban forces, the pendulum of public opinion has swung dramatically. The threat of "Talibanization" is being denounced in Parliament and on opinion pages, and the original defenders of an agreement that authorized sharia in Swat are in sheepish retreat.
「タリバニゼーション」恐怖政治の終焉
しかし今日では、数十万人の住民がスワットの谷間から逃げ出し、パキスタン政府軍はタリバン勢力をこの土地から追い出すための攻撃作戦を開始した。この急転直下の事変の陰には、一般大衆の意見が劇的なほど急旋回したという背景がある。
ほんのここ数ヶ月で「タリバニゼーション」の脅威は、新聞の社説欄や国会でも大々的に取り上げられ、スワット地方でのシャリア法施行を承認する議案の提案者たちは、現在のような危機を招いた手前、羊のように寡黙になり議論の場から身を引いてしまった。

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左・中:家畜運搬用トラックに詰め込まれてスワット谷から脱出する住民 /右:反タリバンの気運も高まってきた

4. 'Victims of ignorant cavemen'

The refugees are the "victims of ignorant cavemen masquerading as fighters of Islam," columnist Shafqat Mahmood charged in the News International newspaper Friday. He said that the "barbarian horde" that invaded Swat never intended to implement a sharia-based judicial system and that they just used it as cover. "This is a fight for power, not Islam," he wrote.
「無知な野蛮人の犠牲者」
「スワット谷からの難民は、イスラム戦士の仮面をかぶった無知な野蛮人の犠牲者だ。」
パキスタンの代表的コラムニスト、シャフカット・マフムード氏は、パキスタンの大手新聞『ニュース・インターナショナル』金曜付けの紙上で、こう論評した。
「スワット地方を侵略した『蛮族/barbarian horde』がシャリア法を基盤とする司法体制の確立を目指したというのは、彼らの本心を隠すための言い訳にすぎない。彼らの本来の目的は、実はこの地方の『覇権』であって、イスラム教徒のために闘っていると言うのは、体のいい口実の隠れみのにすぎない。」
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先月15日 スワット谷のチャルサッダでは、警官19名がタリバンのジハディストが敢行した自爆テロの犠牲になった

5. Distinction between the Taliban and Islam

Such widely expressed views make a clear and careful distinction between the Taliban version of Islam — often described as narrow-minded, intolerant and punitive — and what might be called the mainstream Pakistani version of Islam, which is generally described as moderate and flexible.
タリバンとイスラムとの「永訣の論理」
タリバンを糾弾するこのような意見が広汎な国民に読まれ、パキスタン社会に新たにもたらされた啓蒙……しばしば「狭量・厳格・狂信的」と表現されるタリバン流のイスラム教の解釈と、一般的には「温和・柔軟」と形容される、パキスタン人の主流とも呼べるイスラム教の解釈との間に、こうした反タリバニズムの言論は、微妙ではあるが明確な「永訣の論理」をもたらした。
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地元長老会議の要望をやむなく受け入れ、中央政府はスワット地方の自治権を認めてタリバンと休戦協定を結んだが

6. Two complementary aspects of Islamism

Pakistan is a vast country with many sects and varieties of Islam, but experts here said most Pakistani Muslims agree that their religion has two complementary aspects. One is a set of unchangeable principles that guide their behavior, values, faith and relationships.
イスラム主義の思想と実践
そもそもパキスタンは、イスラム教に関しては数限りない宗派・門派が、1億7千万人の国民の間に併存する広大な国である。しかしイスラム研究の専門家の間では「パキスタンのイスラム教徒の間には、大別して2つの潮流がある」というのが通説である。
そのひとつは、パキスタン人の行動様式・価値観・信仰心・人間関係のガイダンスとなる、一連の「不変の綱領」とも呼べる精神的規範である。
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パキスタンでは親米政権とみなされる中央政府の役人・警官・軍隊がテロの犠牲となり、これまでに1500名が死亡

7. 'Our identity and system of life'

The other is a practical application of these principles, may adapt and evolve according to changing times and conditions, including war, weather, technology and taste. "Islam is our identity and our system of life, but variety and choice are part of it," said Khurshid Ahmad, an Islamic scholar and national legislator.
「イスラム教は人生のすべて」
もうひとつの法則は、こうした精神的指導要綱を実践に移す際の方法論で、時代や社会環境の変化にしたがって柔軟に適応し進化する「実践原理」である。この場合の社会条件としては、戦争・気候変化・技術革新・世論の風潮、などが挙げられる。

「イスラム教は、われわれの存在意義であり生き方の基盤であるが、柔軟な変化対応と選択の余地もその一環として存在する」こう主張するのは、イスラム教研究の学者で国会議員でもあるクルシド・アハマド氏である。
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避難した先のマルダンの国連難民キャンプで、パキスタン人に欠かせないチャイの配給を受ける避難民の少年たち

8. 'Taliban destroyed their own case'

"People should dress modestly, but women don't have to cover their faces and men don't have to grow long beards," Ahmad said. "The Koran is very clear that there should be no coercion in religion. You cannot cram it down people's throats. This is where the Taliban destroyed their own case."
「極端な解釈で自滅したタリバン」
「イスラム教徒ならば、装いは品をわきまえて慎ましくありたいものですが、だからといって女性が顔をバーカで隠したり、男性が長いあごひげを伸ばしたりしなければならないという鉄則はありません。コーランの教えでは『宗教には一切の強制はない』という一点で、きわめて明快です。」
「信仰というものは、人々の口をこじあけて無理矢理飲み下させるようなことはできません。この『狭義な信仰実践の強制』という点が、タリバンが墓穴を掘った由縁です。」
議員でイスラム教義の学者であるアハマド氏は、タリバンの自滅の論理をこう解説した。
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昨年までのブッシュ=ムシャラフ体制は親米傀儡政権として各地で反発を招き、タリバンシンパが増える結果を招いた

9. Result of corruption of justice

Yet the demand for sharia courts in Swat was not just a Taliban fiction. It was the result of deep public dissatisfaction with a secular state court system criticized across the country as slow and corrupt, with cases dragging on for decades and influential people often able to buy off police and win cases over their poor adversaries. Islamic courts are generally smaller, faster and cheaper.
腐敗した司法制度への不満
しかしながら、スワット地方の地元住民がシャリア法による裁判実施を希望したのは、タリバンの覇権の攻略に従ったからだけではない。それは、中央政府と地方行政の腐敗の構造を指摘する批判と、遅々とした司法体制に対する積年の憤懣が、パキスタン全土の一般大衆の間で堆積してきた結果にほかならない。
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タリバンの過激なイスラム原理主義では、西欧風の啓蒙教育を敵視するために、小学校が爆破対象として狙われる

10. Why Sharia Law was applied?

With a secular state court system they criticized across the country as slow and corrupt, since the cases dragging on for decades and influential people often able to buy off police and win cases over their poor adversaries. Meanwhile, Islamic courts are generally smaller, faster and cheaper.
スワット地方でのシャリア法の導入
特に地方の有力者が犯罪行為を犯した場合でも、彼らは警察や裁判官を買収して無罪放免になり、貧窮層は弁護士を雇えないために有罪になる、というケースが多々積み重なってきた事実に民衆がうんざりした結果、シャリア法の導入に走ったと解釈されている。対照的にイスラム教典で裁く法廷は「州の法廷よりも小規模で、迅速に判決が下るので安上がり」という長所が、貧しい一般的な層の支持を集めたのだった。
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狂信的イスラム原理主義者ゲリラであるタリバンと一般住民の区別がつきにくいため、市民の犠牲が絶え間ない

11. Parallel jury systems in Pakistan

Under Pakistan's constitution, both types of courts function, but sharia courts have limited jurisdiction over certain crimes such as extramarital sex and murder.
パキスタンの二律背反の司法制度
現行のパキスタン憲法の元では、中央政府の法廷もシャリア法の法廷も、共に裁判所としての実効機能が認められているため、ふたつの異なるタイプの司法制度が併存する結果を招いてしまった。

しかしながらシャリア法の裁判では、特に不義密通や殺人などに対して「犯罪」が成立しても、判決の実行に対してはある程度の限定条件が課せられている。
(注:目には目をという厳しい刑罰法を実施するサウジアラビアやイランなどとの相違点)
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腐敗した中央政府の行政に愛想を尽かし長老会議でタリバンのシャリア法を受け入れたが、最後に泣くのはいつも庶民

12. Taliban's absolute powers in Swat

Sharia court judges have legal as well as religious training, and their verdicts can be appealed to state superior courts; nowhere do they have the kind of absolute powers the Taliban sought in Swat.
スワット谷の独裁勢力となったタリバン
シャリア法実施の法廷裁判官の場合、イスラム教僧侶の修得課程と同様に、イスラム法の履修課程をクリアした者に裁判官としての法的権限が与えられる。かくして彼らの下した判決は、パキスタン中央政府の最高裁判所への上告と同等の権限を有する。
しかしながら、スワット地方でタリバンが覇権を果たしたようなたぐいの「絶対権力の執行」は、パキスタンのよその地方では前代未聞の事態だったのも事実である。  >次号へ続く

【 米国時間 2009年5月9日 『米流時評』ysbee訳 】
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先週水曜にワシントンで決定されたアフガン・パキスタン・米国の三国連合の対タリバン戦線がスワット谷でも展開

 ◀ 次号「21世紀狂気の蛮族 タリバン最期の日々」
 ▶ 前号「スワット谷のエクソダス タリバニスタンの民族大移動」
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by ysbee-2 | 2009-05-09 16:30 | タリバニスタン最前線

スワット谷のエクソダス タリバニスタンの民族大移動

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   ||| スワット谷 少数民族の大移動 |||

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タリバンの恐怖政治支配と政府軍攻撃を逃れて、国内難民と化したパシュトゥン族
和平協定を蹂躙したタリバンを猛攻する政府軍の空爆で、戦場と化したスワット谷


UN: Pakistan Fighting Displaces One Million
Jets hit Taliban positions as refugees plea for pause, Zardari asks for help
MAY 8, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
6. Mass exodus from fear
Continued from the previous issue |MINGORA, Pakistan — The U.N. refugee agency said Friday that half a million people have fled from the fighting in Swat Valley within the past few days, bringing the total displaced in recent months to 1 million. A spokesman for the U.N. High Commissioner for Refugees said the fighting has led to massive displacement in the area.
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前号「百万人の難民エクソダス パキスタン最前線レポート」からの続き
国連の国際難民局からの発表された現地情報によると、スワット谷で激化する戦火を避けるために脱出する住民は、この3日間で50万人を越えた。その結果、今年に入ってから過去2〜3ヶ月の間に総計100万人以上の住民が、パキスタンの国内難民(IDP=Internally Displaced Persons)として新たに発生したことになる。
恐怖政治と戦火から逃れる住民
国連難民局高等弁務官担当の広報官の説明では、今回の大量の難民移動は、スワット谷を制圧したタリバンに対して始まったパキスタン政府軍の攻撃がきっかけで、この地域で日増しに激しくなる戦闘の巻き添えになるのを避けるために、パキスタン国内のより安全な地を求めて住民が脱出するために起きたものである。

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MAY 8, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年5月8日号
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  A s s o c i a t e d P r e s s | B R E A K I N G
タリバンの恐怖政治支配と政府軍攻撃を逃れて、難民百万人の大移動
米国時間 2009年5月8日 | AP通信・パキスタン最前線レポート | 訳『米流時評』ysbee

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タリバン統治下では女性は全身を覆う「バーカ」を強要される 青いバーカの母親に抱かれて眠る難民の子供


7. IDPs surpass one million
U.N. spokesman Ron Redmond said up to 200,000 people have arrived in safe areas in the past few days, and another 300,000 are on the move or are about to flee. He told reporters in Geneva on Friday that the numbers were in addition to 555,000 already counted by the United Nations since August.
100万人を越える難民発生
国連難民局のロン・レッドモンド広報官が発表した調査結果によると、パキスタン政府軍がスワット谷へ爆撃を始めて以来ここ3日間で、戦火の巻き添えになるのを怖れてスワット谷を脱出し安全な地へたどりついた住民は、到着時点の集計で20万人を越え、さらに30万人が避難の途についているものと見られている。
この難民状況の現地報告は、8日金曜にジュネーブの国連難民局本部で記者団に発表されたが、この集計によって、昨年8月以来タリバンの制圧によってこれまでにすでに発生していた難民の国連集計55万5千人にさらに50万人増えることになり、スワット谷からの難民は100万人を超す見込みとなった。
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タリバン掃討戦で戦場と化したスワット谷のブネールを逃れ、マルダンの難民キャンプへ逃れてきた避難民の少女

8. PM Gilani pleaded for assistance

Pakistan's prime minister appealed for international assistance late Thursday in a television address for the growing refugee crisis and vowed to defeat the militants in the latest operation. "I appeal to the people of Pakistan to support the government and army at this crucial time. We pledge to eliminate the elements who have destroyed the peace and calm of the nation and wanted to take Pakistan hostage at gunpoint."
ギラニ首相、内外に支援協力を呼びかけ
スワット谷からの大量の難民発生に際して、7日木曜午後ギラニ首相は「国際社会に対して難民救済と政府軍のタリバン討伐作戦への支援を要請する」と、テレビを通してパキスタン政府の方針を国民に伝えた。
「パキスタン国民は、今回の国家的試練に際して政府と軍隊を支援するようお願いする。パキスタン政府は、市民に銃をつきつけて捕虜にするような、国家の平和と安寧を破壊する危険分子を、わが国から断固として排除するつもりである。」
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スワット谷から比較的安全なスワビへ逃れ国連の難民キャンプで起居。飲用水の配給のために並ぶ避難民。

9. Seen the real face of Taliban

The military hailed signs of the public's mood shifting against the Taliban after the militants used the peace deal to regroup and advance.
タリバン支配の恐怖の実相を知った民衆
スワット谷地方では、一度はパキスタン政府と休戦協定を結んだものの、その後も南下侵攻して勢力拡大をはかったタリバンに対しては、あまりにも暴力的な支配が地元民衆の反感を買ってきていた背景がある。パキスタン政府軍はこの機を逃さず、米国とアフガニスタン両国のさらなる共闘態勢を確認した直後に、今やスワット谷を本拠地として跳梁するタリバン勢力の掃討に乗り出したと明らかにした。
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マルダンの国連難民キャンプ村で、パキスタン人の生活に欠かせない朝一番の「ティー」を湧かす難民

10. Double sword of Taliban and public

"The public have seen their real face," Maj. Gen. Athar Abbas said. "They realize their agenda goes much beyond Shariah (Islamic) courts. They have a design to expand." Still, the pro-Western government will face a stiff task to keep a skeptical nation behind its security forces.
パキスタン政府の二重の敵
こうした新しい作戦展開に関して、パキスタン政府軍のアタール・アッバース陸軍司令官は、次のように語っている。「スワット谷で、タリバンは民衆に彼らの真の顔をさらした。住民たちは、タリバンの政策が実はシャリア法(イスラム法)の法廷規定よりもはるかに過激だ、ということを思い知ったようだ。また、タリバンが休戦協定を結んだ真の目的は、政府軍をかく乱して勢力拡大を図ることだった。」
しかしそうした状況変化にある現在でもなお、パキスタン国内では新欧米派のザルダリ政権は、政府軍が国家防衛の役割を果たせるものかどうか懐疑的な国民一般から、政策方針に対して支持をとりつけるという厳しい試練を控えているのが、パキスタンの実情である。
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爆破されたミンゴラの小学校。タリバンの支配する北西部の州では、中央政府の施設が攻撃対象となる。

11. Many civilian deaths in Maradan

Much of the fighting has been in the Swat Valley's main city of Mingora, a militant hub that was home to around 360,000 people before the insurgency two years ago. Military operations are taking place in three districts that stretch over some 400 square miles. The military says that more than 150 militants and several soldiers have been killed since the offensive began last week.
マラダン攻撃で住民にも死者
スワット谷での戦闘のほとんどが、人口36万の同地方の主要都市であるミンゴラで展開されている。この数字はタリバン勢力がミンゴラを活動の本拠地とする2年前よりも前のデータであり、現在ではこの地から相当数の市民が脱出し過疎化している。
政府軍のタリバン掃討作戦はスワット谷の3つの郡にまたがり、行動範囲にして400平方マイル(約10平方キロメートル)の広域にわたっている。政府軍側の発表によると、先週始まった掃討作戦の戦闘による戦死者は、タリバン側が10名以上で政府軍にも数名出たと公表した。
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「タリバニスタン」からはるかに南下したカラチの難民キャンプ。辺境から移動した少数民族は各地へ散らばる。

12. Taliban hold residents as human shields

The military says that more than 150 militants and several soldiers have been killed since the offensive began last week. It has not given any figures for civilian deaths, but witness and local media say they have occurred. Some have said the Taliban are not allowing them to leave, perhaps because they want to use them as "human shields" and make the army unwilling to use force.
タリバンの「人間の盾」に使われる住民
しかし政府軍の発表には、目撃者もいてすでに地元メディアも巻き添えの死亡事件が起きたと報道している一般市民の犠牲者については、何の数字も挙げなかった。この地域からはミンゴラを中心として避難したが、いまだに数十万人が残っている。
当地から脱出した中でもある者は「タリバンは彼らが土地を離れることを許さないからだ」と説明し、その理由として「タリバンは多分彼ら残留組を、政府軍の攻撃意図を邪魔するような『人間の盾』として使いたいからだろう」と解釈している。
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辺境地区では誘拐がテロリストビジネスとして横行 タリバンに集団で誘拐されたブネールの地方政府役人

13. Reality of casualties of war

A hospital in Mardan just south of the battle zone on Thursday was treating 45 civilians with serious gunshot or shrapnel wounds. Among the youngest patients was Chaman Ara, a 12-year-old girl with shrapnel wedged in her left leg.
局地戦争の真の犠牲者
作戦開始翌日の7日木曜の時点で、戦闘地帯となった場所の真南にあるマルダンの町の病院では、銃弾や爆撃の破片で重傷を負った住民45名を治療中であるが、その中の年少の負傷者のひとり、12才の少女シャマン・アラさんは、左足に爆撃の破片が突き刺さり、治療のために入院中である。
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ブネールの山間部道路で、タリバンのIED(リモートコントロール式地雷)で爆破された避難民の車輌

14. Victims are always 'the weaks'

She said she was wounded last week when a mortar shell hit the truck taking her family and others out of Buner. She said seven people died, including one of her cousins, and pointed to a nearby bed where the boy's wounded mother lay prone. "We mustn't tell her yet. Please don't tell her," she whispered.
巻き添えになるのはいつも弱者
この少女は、先週タリバンの占拠したブネールの町を脱出しようと、彼女の家族とほかの住民たちが乗り込んだトラックに、砲撃が命中したときに怪我をしたのだと言う。彼女の話によると、この砲撃で彼女の従兄弟のひとりを含む7人が死亡した。少女のベッドの近くには、その亡くなった従兄弟の母親が同じく負傷して横たわっていたが、少女はこうささやいた。
「いとこのお母さんには、まだ知らせちゃダメよ。気を落とさせちゃいけないから、彼女には事実を教えないでね。」
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パキスタン政府軍爆撃機の空爆で、爆撃の破片を足に受け負傷した避難民の少女 マルダンの病院にひとり入院

15. 'Kill terrorists, but don't harm us'

"We want to leave the city, but we cannot go out because of the fighting," said one resident, Hidayat Ullah. "We will be killed, our children will be killed, our women will be killed and these Taliban will escape." "Kill terrorists, but don't harm us," he pleaded.
テロリストと住民の区別を
パキスタンにおけるタリバンの本拠地となっているミンゴラの現状について、住民のひとりヒダヤット・ウラーさんは、次のように語り懇願した。
「われわれは町を離れたかったんだが、戦闘が激しかったために外に出ることすらできなかった。戦争が起きると、殺されるのはわれわれだ。子供たちが殺され、女たちが殺される。そうして、あいつらタリバンは、のうのうと逃げ仰せるのさ。テロリストは殺しても良いけど、われわれを傷つけないでほしいね」 <了>

【 米国時間 2009年5月8日 『米流時評』ysbee訳 】
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タリバンの隠れ家となったスワット谷の一般住民家屋も、無差別爆撃で跡形もない

◀ 次号「さらば中世!タリバン恐怖政治の終焉」
▶ 前号「百万人の難民エクソダス パキスタン最前線レポート」
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by ysbee-2 | 2009-05-08 16:22 | タリバニスタン最前線

百万人の難民エクソダス パキスタン最前線レポート

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    ||| 百万人の難民エクソダス |||

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 タリバン勢力が牛耳るパキスタン北西部のスワット谷へ、政府軍の猛攻開始
 戦火を逃れる「タリバニスタン」辺境自治区の、100万人を超す民族大移動

d0123476_3532373.jpgただ今ラビットホール降下中。前号の前書きに長々と書いた通り、来週からちょっとしたシリーズ物をやっていかなくてはいけない。ブッシュ政権下での世界の災厄の構造の、その方程式が解けそうな予感がしている。Revelation is the Best Revenge である。

先月下旬以来、豚インフルのパンデミックの展開と
その発生起源を掘り起こす、情報発掘作業にかまけている間にも、
世界の歴史はどんどん「進化」していっている。
進化の触媒「エボルーショナリー・エージェント」は、
ホワイトハウスで発光している。
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一昨日のオバマは、宿敵であるアフガンとパキスタンの溶媒となった。
アフガニスタンからはカルザイ大統領が、
パキスタンからは(故ブットの寡夫)ザルダリ大統領が、
双頭のワシントンの番犬よろしく(サーベラス=ケルベラスではない、念のため)
オバマをはさんで「タリバン掃討」目的の
三国共同戦線の確立を宣言した。

三位一体論で言うならば、タリバンの生みの親であるアフガニスタンが父。
アフガン戦争で敗走したタリバンが再生復活した土地の、パキスタンが子。
(以前にも増して強い勢力の鬼っ子)
そして、タリバンのそもそもの起源となる種子を撒いた、
CIA=米国が スピリット=精霊………という、
タリバンとの確執に明け暮れる三役そろい踏みである。
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共同戦線協定、あるいは友軍協定(Treaty of Alliance)という
成文化調印まではいかなかったが、
この共同記者発表宣言で、今後の状況展開によっては
米軍がアフガニスタンだけでなく、
パキスタンでも合法的にタリバン掃討作戦を展開できる、という
戦場での免罪符を入手したような感は否めない。

このトライアングルが、あまりにも均衡のとれた正三角形なので、
私はこの三国首脳会談を「トリニティーサミット」と呼ぼうと思う。

たしかに、サミットの翌日には早速、パキスタン政府軍が
スワットバレーへ猛攻撃を開始した。
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パキスタン空軍の爆撃機使用、というのは初めてではないか?
そもそも、陸軍は有名だが、空軍があったとは……

しかし、戦場で最初に犠牲となり、最後まで泣かされるのは
どこの国でも地元の住民。
今回も例外なく、タリバンが跋扈(ばっこ)するスワット谷の住民が
戦火を避けて一斉に避難を開始した。

すでにペシャワール周辺の難民キャンプへ逃れている者と
今回の新しい難民を総計すると
なんと百万人を超えると言う、国連発表である。
気が重い。またもや、辺境からのエクソダス。
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地球のどこかで戦火が燃え上がるたびに
住み慣れた土地から追い立てられ、
裸足で地べたの上で生き延びることを余儀なくされるのは
いつも辺境の少数民族だ。
難民収容テント村という、体のいい強制収容所に押し込まれて……

「ショック・ドクトリン」の特集の前に
どうしても触れないわけにはいかない、タリバニスタンの
少数民族の大移動が始まった。

   【米国時間2009年5月7日『米流時評』ysbee】
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MAY 7, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年5月7日号
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  A s s o c i a t e d P r e s s | B R E A K I N G
パキスタン政府軍とタリバンの戦火を逃れる、スワット谷の難民エクソダス
米国時間 2009年5月7日午後11時40分 | AP通信・パキスタン最前線レポート | 訳『米流時評』ysbee

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タリバンに制圧されたブネールを逃れ、イスラマバード近郊の国連難民収容テント村へ避難したスワット谷の子供たち


UN: Pakistan Fighting Displaces One Million
Jets hit Taliban positions as refugees plea for pause, Zardari asks for help
MAY 7, 2009, 11:40 p.m. | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee

1. Military assaults on Taliban began
MINGORA, Pakistan — Pakistani jets screamed over a Taliban-controlled town Friday and bombed suspected militant positions as desperate residents appealed for a pause in the fighting so they could escape.
パキスタン政府軍のスワット谷侵攻作戦開始
スワットバレー最前線レポート第1報 | パキスタン・ミンゴラ発
現地時間で8日金曜、アフガニスタンとの国境に近いパキスタンの北西部、北ワジリスタン地方。タリバンが制圧するスワットバレーの町ブネールの上空を、パキスタン政府軍の戦闘爆撃ジェットが轟音とともに飛来しては、タリバン戦士の陣地とめぼしい箇所を次々と爆撃していく。
戦火の巻き添えになるのを怖れ、近郊のペシャワールや首都イスラマバードへ避難するために、空襲を一時停止してくれと懇願するスワット谷住民の懇願を、政府軍は聞き入れたようである。
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アフガンとの国境に近いパキスタン北西部スワット地方ミンゴラの広場に、戦火から脱出するバスが並ぶ

2. Million exodus from Swat Valley

One million people have been displaced in recent months over the operation in the northwestern Swat Valley and surrounding districts.
スワット谷の難民 百万人のエクソダス
戦火が鎮まったほんのひとときの間に、この地域の村人は老いも若きも一家こぞって、着の身着のままでバスからトラック、トラクターまで、走れるクルマに飛び乗って、一目散に戦場と化した故郷から脱出しようとしている。
パキスタン北西部のタリバンが制圧したスワット谷からは、叛徒制圧目的の政府軍の攻撃を怖れ、住み慣れた故郷を後にして安全な土地へと脱出する住民が、ここ数ヶ月でついに百万人に達した。
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タリバン勢力が制圧した北部の町ブメールから、戦火を逃れるため一族郎党避難の準備をするハサナブダイの家族

3. Broken peace deal with Taliban

The mass-scaled exodus followed strong U.S. pressure on Pakistan to fight back against militants advancing toward the capital as a now-defunct peace deal crumbled.
反古になったタリバンとの和平協定
昨年後半から、パキスタン北西部北ワジリスタン州のアフガンとの国境に近い辺境の砦から南下して、スワットバレーの集落を制圧したタリバン勢力。イスラム原理主義の時代錯誤の掟を強要して、住民を厳しい戒律で威圧するタリバンと、そのシンパである地元長老に迎合して、タリバンの活動を許す和平協定を結んだザルダリ政権のパキスタン政府。
しかしその協定も、今や反古となってしまった。和平協定を破ってスワット谷を南下し、首都イスラマバードまでわずか96キロのブメールを制圧したタリバン。スワット谷挽回を目指すパキスタン政府軍の逆襲作戦は、拡大するタリバン勢力を討伐するために、米国政府からパキスタン政府に対して政治的圧力がかけられた翌日に始まった。今回のマススケールのエクソダスは、その戦火を逃れるために、作戦と同時に始まったものである。
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パキスタン北部ミンゴラの町から首都ペシャワールへ、戦火を逃れて脱出行のバスを待つスワット谷住民の一家

4. Escalation of Taliban's safe-heaven

Nuclear-armed Pakistan has launched at least a dozen operations in the border region in recent years, but most ended inconclusively and after massive destruction and significant civilian deaths. It remains a haven for al-Qaida and Taliban militants, foreign governments say.
拡大するタリバンの別天地
インド・中国に次いでアジアで3番目の核兵器所有国家、パキスタン。ブッシュ政権の傀儡だったムシャラフ大統領の後継者として選出されたザルダリ大統領は、戦略的には前政権が数年来行なってきたタリバン掃討路線を受け継ぎ、アフガンとの国境地帯へ数十回の攻撃作戦を展開してきた。
しかし毎回大規模な集落破壊と戦火の巻き添えとなった住民の大きな犠牲者を出しては、これといった成果もなく退却していたのが実情である。かくしてパキスタン北西部の国境地帯からスワット谷にかけての辺境地域は、海外の政府からは「タリバニスタン」の蔑称で呼ばれる、アルカイダとタリバン勢力の跋扈するイスラム原理主義者ジハディストの別天地と化してしまった。
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アフガンとの国境を自由に往来するタリバンが近年勢力拡大した辺境地帯には「タリバニスタン」の俗称ができた

5. Swat Taliban fighters moved into Buner

To end one of those protracted offensives, the government signed a peace accord in Swat that provided for Islamic law in the region. But that deal began unraveling last month when Swat Taliban fighters moved into Buner, a neighboring district just 60 miles from Islamabad.
首都イスラマバードへ100キロのブネール制覇
その結果、反政府勢力の反抗を抑えきれなかったパキスタン政府は、だらだらとしかも断続的に続いた一連の効果のない攻撃作戦にいい加減にけじめをつけて終わらせるという口実で、北西部の州にイスラム教の厳格なシャリア法の導入を認可するという思い切った施策に出た。この地域に限ってタリバン勢力との和平協定を結ぶこの妥協案が、それまでタリバン勢力と8年近く闘ってきた米国を始めNATO加盟の欧州各国から猛烈な批判を浴びたことは、もちろん言うまでもない。
しかしながらこの和平協定も、スワット谷全域の制圧を目指すタリバン勢力が協定を破り、イスラマバードまでわずか60マイル(約96キロ)に位置するこの地区の要衝であるブネールの町を包囲陥落した時点から、パキスタン政府の和解妥協政策は根本から揺るがされる事態となっていた。 >次号へ続く

【 米国時間 2009年5月7日 『米流時評』ysbee訳 】
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ペシャワールの郊外で急増する国連の難民収容テント村 北部スワット地方だけですでに百万人の戦災難民が発生

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* 3 月 兎 の 走 り 書 き *
CIAとタリバン誕生の経緯を描いたのが、鬼才マイク・ニコルズ監督、トム・ハンクス主演の『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー/Charlie Wilson's War』。現在は引退した実在の上院議員、チャーリー・ウィルソンの手記を映画化したストーリーだが、タリバンとの攻防に明け暮れるパキスタン・アフガニスタンそして米国の、相克の種子がここにあったのかと納得のいく内容が、マイク・ニコルズ特有のシニカルな風俗評論のようなタッチで綴られる。

CIAのブレーンとなるチェスの天才や、活躍の割にはうだつのあがらないCIAエージェント、議員とロビイストのなれ合い、テキサス州独特の政界の裏幕、イスラエルの武器商人……などが実にわかりやすく描かれ、政治に興味のない方でも楽しめるプロットである。この映画ともうひとつ、『The Good SHepherd』は、CIAの内情を克明に描いた映画として秀逸。
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◀ 次号「スワット谷のエクソダス タリバニスタン少数民族の大移動」
▶ 前号「死人に口なし、戦慄のパンデミック・ドクトリン」
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by ysbee-2 | 2009-05-07 09:45 | タリバニスタン最前線
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世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


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