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自由への厚い扉/エジプト側のガザ国境再開!

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   ||| ガザ・エジプト間の国境再開 |||

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  ガザのラファ国境、待望の再開!初日にビザ所持者1千名がエジプトへ入国
  アラブ連盟もガザ入り、イスラエルの戦争犯罪立証のため、現地で調査開始


d0123476_18552829.gifガザの国境の壁で対立するユダヤ人とパレスチナ人。ふたつの民族の帰属をめぐって数千年にわたって抗争が繰り返されてきた、聖書の時代からの永劫の戦地。昨年暮れから3週間続いたイスラエルのガザ侵攻は、周辺の中東アラブ世界は元より、和平を願う世界各国の耳目を集めてきた。
特に、常に中東和平を使命のように捉えている英国と米国にとっては、この地域の平定は政権の人気を左右するほどの影響力を持つ。米国では、クリントン国務長官の任命と時を同じくして、国際的紛争解決のベテランで北アイルランド紛争解決の立役者ジョージ・ミッチェルが中東特使に、コソボ紛争解決に貢献したリチャード・ホルブルックがアフガン・パキスタン特使に任命された。
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このふたつの地域は、イラク戦線とアフガン戦線というブッシュ政権から引き継がざるをえなかった「アメリカのふたつの戦争」の前線である。オバマ政権にとっては、公約通り戦争から平和へと転換していかねばならない、国家の中枢神経と国庫の予算をもっとも消耗させられる「現場」であることは確かだ。

こうした最前線の地域に対して、全神経を集中し現地政権と協力し、和平という最終のゴールまでもっていくためには、諜報と外交と軍事という国家の機能としての3つのパワーをスマートに操る、優れた政治力を発揮しなければならない。
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その新しいスマートパワー外交の萌芽が、先週のジョン・ケリー上院議員の中東歴訪に伺えた。ケリーのガザ訪問よりも1週間早く、オバマ政権からは中東へジョージ・ミッチェル特使が派遣され、従来からの親米国家であるヨルダン、エジプト、イスラエル、西岸を歴訪。各国の元首と新しい米国の外交方針に関して、直接会談が行われた。

この際にミッチェル特使はガザを訪れなかったのだが、元来人権擁護の意識の強いリベラル派からオバマ政権に対して「片手落ちである」と批判の声が上がった。しかし、イスラエルと左岸優先の場合に当然予測されたこうした批判の声も、もしかしたら非友好国へ非公式の特使を送るための「世論の裏付け」となる布石として必要という、政治的計算のうちだったのかもしれない。
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私の見るところでは、当初からオバマは両者の意見に聴く耳を持つ態勢であったと思う。しかし従来からの友好国家へは、国務省の立場を尊重し省の約定に従って、国務長官もしくは特使に公式訪問させる。国交を持たない国家あるいは政体(イラン、北朝鮮、ガザなど)へは、外交術に長けた議員を私的な立場で赴かせ、当地の代表と直接的な会話を持つ......という徹底した現場主義、実績主義のメソッドを展開している。

オバマは、こういうブッシュ政権時からは考えられない多面的なアプローチで、思い切った友好外交の道を拓こうと踏み出したように見える。今回のケリーのガザ訪問を検討しても明らかなように、オバマは外交の世界でも、実に驚くほどのプラグマチストであることがわかる。その成果は、次号の「9億ドルの同情/米国のガザ復興援助金」で詳説する予定である。
   【米国時間2009年2月22日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 22, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月22日号
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Associated Press | B R E A K I N G
ガザのラファ国境2か月ぶりで再開! アラブ連盟も戦争犯罪調査でガザ入り
米国時間 2009年2月22日午後6時44分 | AP 通信・ガザシティ現地速報 | 訳『米流時評』ysbee

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Egypt Opens Gaza Border for 1,000 to Cross
The opening allows students, patients and others with visas to leave Gaza

FEBRUARY 22, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
GAZA CITY, Gaza Strip — Hundreds of travelers left blockaded Gaza for Egypt on Sunday, in one of the sporadic openings that enable students, patients and others with Egyptian visas to cross the border. About 1,000 university students and holders of foreign residency permits were eligible to cross, and by mid-afternoon Sunday, about 600 people had made the trip, border officials said.

初日にビザ所有者1千名以上が通過
ガザ地区・ガザシティ発 |22日日曜、長い間封鎖されていたガザ地区から、千人を越えるパレスチナ人がエジプトへと旅立った。今回のガザとエジプトをつなぐラファ国境関門の再開は、これまでにも繰り返されてきた瞬発的な国境オープンの例にもれず一時的な措置だが、大学生やエジプトの病院の患者にとっては、国境を越えて目的の果たせる待望の朗報となった。
エジプトの大学に所属するパレスチナ人学生やエジプトの永住権を持ったガザ市民1千名以上が、国境管理事務所でビザ確認の手続きを終えた後で、越境を許可された。係員の談話では、日曜午後半ばまでにすでに600名がエジプトへ入国したと報告している。
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長い間完全封鎖状態だったエジプトとの国境関門が再開され、ラファの検問所で査証チェックを受けるパレスチナ人

2. Arab League delegation arrived in Gaza

Also on Sunday, Arab League delegation arrived in Gaza, and the representatives of Gaza's ruling Hamas movement welcomed the delegation at the Rafah border crossing. Their visit is aiming to document alleged Israeli war crimes committed during its three-week offensive in the territory last month. The delegation of international legal and forensic experts will present its findings to the Arab League's chief, Amr Moussa.
アラブ諸国連盟の調査団ガザ入り
国境が開通した22日日曜には、アラブ連盟の視察団がようやくガザ入りを果たした。ガザを運営する政体であるハマスは、視察団一行の到着を諸手を上げて歓迎した。
彼らの視察の目的は、12月末から1月後半まで3週間にわたってイスラエル軍によって強行されたガザ侵攻の期間中、イスラエルの軍隊が犯した戦争犯罪の疑惑に関して、現地で実地調査し記録を取るためである。国際法および犯罪科学捜査の国際的エキスパートによって編成されたこの視察団は、調査資料を編成しまとめたあとで、アラブ連盟のアムル・ムーサ議長へ提出する予定である。
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22日の国境再開で初めてガザ地区へ入国したアラブ連盟の調査使節団 目的はイスラエル軍の戦争犯罪立証捜査

3. Investigation on alleged Israeli war crimes

Then Arab League with its 22 member states could try to pursue war crime charges in some nations that allow such lawsuits. Critics accuse Israel of using disproportionate force, and failing to protect civilians during its offensive, which was meant to halt years of Gaza militant rocket fire toward southern Israel.
イスラエルの戦争犯罪捜査展開
アラブ連盟に加盟する22の中東諸国は、使節調査団から報告書が提出されたあとで、戦争犯罪の成立する国家(ジュネーブのスイスやハーグ国際裁判所のあるオランダなど)の法的機関へ、「戦争犯罪」の被告としてイスラエルを起訴処分にする予定である。
イスラエル側の言い分としては、ガザ侵攻は数年にわたってハマスがイスラエル南部へロケット砲攻撃を繰り返した報復措置としての軍事行動であると弁明している。しかし今回のガザ侵攻で行なわれた軍事作戦の実態を、国際問題の専門家や軍事評論家は「イスラエル全軍による比較にならない軍事力による過剰攻撃」が行なわれ、侵攻作戦中「一般市民の保護を怠った」(実際には一般市民を無差別に殺戮した)と厳しく非難している。
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イスラエルとの国境に近いガザ地区北部のベイトラヒヤ難民村は、もっともひどい爆撃を受け壊滅した戦災地のひとつ

4. Discovered bodies from the tunnels

Also Sunday, the bodies of four people were found in a smuggling tunnel under the Gaza-Egypt border, a day after another body was discovered in the area. Medics said all five suffocated. The 20-month closure of Gaza by Israel and Egypt has boosted smuggling of arms and consumer goods through hundreds of border tunnels.
トンネル内で窒息死した遺体4体を発見
一方同じ22日日曜、ガザ・エジプト国境の地下を走る物資密輸のトンネルから、4体の遺体が発見された。その前日に同じ地区で一体の死体が見つかった直後のことである。検死した医師の報告では、これら5名の犠牲者全員の死因は窒息死だったと言う。
1昨年夏にイスラエルとエジプトによって強行された国境閉鎖によって、これまで20か月の長きにわたって、ガザ地区は完全に封鎖状態となった。その結果 (ガザには他に物資補給のルートがないため)、武器や生活必需品などのあらゆる物資が、ガザ地区の国境線の地下に掘られた数百というトンネルを経由して、密輸入されていた。
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イスラエル軍爆撃機の空爆で破壊された地下トンネルから、崩れた土砂を排出するガザ国境地帯のパレスチナ人

5. Border reopening, the key for the truce

Israel destroyed dozens of tunnels during its three-week offensive against Gaza's Hamas rulers last month, but smuggling continues. The fate of Gaza's borders is key in two sets of Egyptian-brokered talks — on a truce deal between Israel and Hamas, and on a power-sharing agreement between Hamas and its rivals from President Mahmoud Abbas' Fatah movement. Hamas ousted Abbas' forces in a violent takeover of Gaza in June 2007.
和平交渉展開の鍵となる国境再開
ガザの制圧者ハマス掃討という大義名文で、昨年12月26日から3週間続けられたイスラエル軍によるガザ侵攻作戦。この戦闘期間中に、イスラエル側はガザ地区内の数十カ所のトンネルを爆撃して破壊したものの、密輸は相も変わらず続けられていた。
このガザ国境線の趨勢は、現在エジプトが仲介役となって進めているイスラエルとガザのハマスとの和平協定をゴールとする和解の話し合いにとって、成否の鍵を握る重要な案件である。また、左岸地区のアッバース大統領の率いるファタハ勢力と、ガザ地区をとりしきるハマス勢力との間で、パレスチナ代表としての覇権を統合するのか分立させたままか、という国家成立の可否を賭けた問題を解決するための前提条件でもある。
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イスラエル側の国境の町ベテシバの関門で、ガザ地区への入国許可を待ち衛兵と押し問答をするパレスチナ人女性

6. Power-sharing talks to begin Wednesday

Power-sharing talks between Hamas and Fatah are to begin Wednesday in Cairo, said Azzam al-Ahmed, a Fatah official in the West Bank. Hamas officials reiterated Sunday that Fatah must first release hundreds of Hamas prisoners, but it's not clear if Hamas would walk away from the talks if its demands were not met. Efforts to form a unity government have failed in the past.
カイロでハマス・ファタハのパレスチナ2者会談
ハマスは2007年の6月にガザを武力制圧して、政敵だったアッバースのファタハ勢力(Fatah=ファター/ファタ)を左岸へ追放した。パレスチナの代表権をめぐって、宿敵同士であるハマスとファタハの間で行なわれる直接会談は、25日水曜にカイロで開催されると、左岸のファタハ高官であるアッザム・アルアハメド氏から発表された。
この件に関して、ハマス側高官は日曜「ファタハがまず先に、左岸の捕虜になっている数百人のハマス兵士を解放するべきだ」というハマス側の要求を強調した。しかしながら、万一この要求をファタハが受け入れなかった場合には、ハマスが会談の場を蹴るかどうかはさだかでない。
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07年夏ハマスの軍事制圧でガザ地区から追われ、西岸のラマラーで別のパレスチナ政権を樹立したアッバース政権

7. Strong motives for unity deal

Efforts to form a unity government have failed in the past. However, after Israel's Gaza offensive, both sides have stronger motives to try to make it work. Hamas needs a unity deal to end the blockade of Gaza and be considered a partner by the international community in rebuilding the territory.
パレスチナ統一国家への悲願
パレスチナの統一政府創設への努力は過去にも何度か試みられたが、そのたびに失敗に終わっていた。しかしながらイスラエルのガザ侵攻が終わった現段階においては、ガザのハマス、左岸のファタハの双方とも、なんとかして統一政府を成立させたいという動機が強まってきている。
ハマス側としては統一協定が結ばれれば、ガザの封鎖が解除になり、すでに国連からは国家承認されている左岸政府に統合協力するパートナーとして、国際社会からも承認を受けて地域再建が進められる、という希望がある。
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11日トルコの首都イスタンブールを訪問、反イスラエルのエルドガン首相(左)と会談するエジプトのムバラク大統領

8. Abbas needs support from Hamas

Abbas, meanwhile, has overstayed his term as president and needs a partnership with Hamas to shore up his dwindling political legitimacy. Abbas was elected to a four-year term which expired in January 2009, and pollsters say most Palestinians don't accept his claim that he could extend by a year.
政権継続にはハマスの協力が要るアッバース
一方、左岸ファタハ政権の代表アッバース大統領は、すでに任期の期限を越えて大統領職に留任していた。また今回のイスラエルのガザ侵攻で、左岸パレスチナ人の支持をますます失ったために、任期延長の合法性を疑問視されている難局から自らを脱出させる手段として、ハマスにパレスチナ政府のパートナーシップを与えて、地位存続を図る必要がある。
実際問題として、アッバースは今年1月に4年の任期を終了した。さらには、左岸地区で行なわれた世論調査の結果では、彼の任期をもう1年延長するというアッバース提案を、左岸のパレスチナ人のほとんどは承認しないという結果が出ている。
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12月26日空爆開始とともに真っ先に爆撃で破壊された、ガザシティのハマス本部会議場。写真は政府要人の犠牲者。

9. International conference in Egypt on March 2

International donor countries are meeting in Egypt on March 2 for a pledging conference, to raise money for Gaza's reconstruction. Hamas will remain sidelined, including in reconstruction efforts, unless it moderates and allows Abbas a foothold in Gaza.
3月初めにエジプトで再建協力国会議
きたる3月2日には、国連のUNRWAや国際赤十字など国際社会の人道救援基金団体が主催して、「ガザ再建」への寄金を募る大会をエジプトで開く予定である。ガザの復興に関しては、ハマスとの和解が整いアッバースのガザ帰還を足場を築かない限り、ハマスは再建計画を含めたガザ復興において、脇役へ回らざるを得ないだろう。
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地中海の陽光に恵まれたガザ地区では、貴重な財源となる生花や果物を栽培し、ヨーロッパ各国へ輸出している

10. Elderly man bit by dog in West Bank raid

In other developments Sunday, the Israeli military confirmed that an army dog bit an elderly Palestinian, Salem Bani Odeh, 99, during the pre-dawn raid Friday in the West Bank village of Tamoun. He was in his bed when he was bitten repeatedly. He remained hospitalized Sunday with a gash in his left ear. Israeli troops regularly use dogs to detect explosives and search for militants.
西岸の老人を軍用犬に咬ませたイスラエル軍
22日日曜までのガザ地区の現況報告の中に、イスラエル軍が認めた軍用犬による傷害事件がある。この事件は、20日金曜明け方に西岸のタムーン村で起きたもので、村の老人サレム・バニ・オデさん(99才)が、イスラエル軍の掃討作戦部隊の奇襲に遭った災難である。
夜明け前ベッドでまだ就寝中だったところを、イスラエル陸軍が連れてきた軍用犬が襲い、オデさんは繰り返し咬まれた結果、左耳を咬みちぎられた。日曜の段階でも、オデさんはまだ治療入院中である。ちなみにイスラエルの軍隊は、爆発物の発見やイスラム兵士の捜索発見の目的で、通常作戦中でも軍用犬を引き連れている。 <了>

【 米国時間 2009年2月22日 『米流時評』ysbee訳 】
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産業のきわめて少ないガザ地区では、古代からの自給自足の牧畜や漁業を現在でも続けているパレスチナ人も多い

  >2/15 「絶望と希望のはざまで・ガザ停戦」 ハマスとイスラエル
  >2/19 「ジョン・ケリーのガザ巡礼」 リベラルとパレスチナ
  >2/21 「鼎頭の鷹の旗の元に/イスラエル組閣難航」 カディマとリクード党
  >2/22 「自由への厚い扉/エジプト側の国境再開!」 エジプトとガザ
  <2/23 「9億ドルの同情/米国のガザ復興援助」 パレスチナとオバマ
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*米流時評 特集『ガザ戦争』記事リストへ続く
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by ysbee-2 | 2009-02-22 20:18 | イスラエル・ガザ戦争

ケリー上院議員のガザ視察/リベラルとガザ

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   ||| ジョン・ケリーのガザ視察旅行 |||

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オバマの個人的なアドバイザーで上院の重鎮、ジョン・ケリー議員のガザ訪問
ミッチェル中東特使のイスラエル・左岸訪問と別個に、ガザの現地被害を視察


d0123476_18552829.gif村上春樹氏がイスラエルでエルサレム賞を受賞してから1週間経った。
ガザのひとびとの風前の灯火の運命を「卵」に例え、
イスラエルのシステマティックな侵攻、あるいは封鎖弾圧体制を「壁」に例えて
「それでも私は卵の側の立場をとる」と言い切った作家。
イスラエルの御大、ペレス大統領と文字通り隣席しての
正面切った「権力の横暴」に対する抗議。
思想を言葉へ、そして行動へと体現した、彼の勇気ある姿勢は、
われわれにも 自らの精神の立ち位置をあらためて確かめさせるような
充分なインパクトがあった。
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それは別に政治に関心のあるなしにかかわらず
「はたして、自分が正しいと思えることを今やれているだろうか?」
と真っ正面から問いかける疑問だった。
村上氏の行動が図らずも発したその問いかけは、
我々ひとりひとりが、自らの人生の軌跡を振り返ざるをえないような、
心の岸辺に打ち寄せる波紋を投げかけた。

昨年暮れからガザの記事を連載して以来、
随分ひどい中傷のデマや スパムの妨害に会ってきたが、
村上氏の「卵の側をとる」発言でふっ切れた。
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私は人気取りで書いているわけでもなければ、
政治的意図があって書いているわけでもない。
あくまで世の中の出来事の真実が見たいだけだ。
そして私なりに把握できた範囲で、その情報をシェアするだけだ。
わかる人にわかってもらえれば、私はそれで満足である。
その情報をどう判断し どう行動するかは、その先の個人の問題だからだ。

村上氏の立ち位置と似たような選択を、
一昨年のミャンマーの僧侶デモと虐殺事件の際に、エントリの中で書いていた。
写真につけたキャプションだったかもしれない。
数ある写真の中でも私が選ぶのは、
いつも機動隊とは反対側、石を投げる側に立った写真になる、と書いた。

政治的判断、あるいは法的判断での正悪は、
いずれ裁判や、もしくは歴史の判断が下されて、黒白がつくだろう。
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ただ、機関銃と装甲車で完全武装した体制側に向かって、
素手で石を投げるしかない民衆が立ち上がったのなら、
私は その無謀と呼ぶしかない決死の行動に出た人間に対して、
「頑張れ!」と声をかけるしかない。
撃たれるなと、うまく逃げろと。

そして、かつてダビデがゴリアテを倒した一撃のように、
いつか小さな石が強大な弾圧の体制を倒す日がくるまで、
しっかりと、堂々と、生き延びろと。
   【米国時間2009年2月19日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 19, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月19日号
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Associated Press | B R E A K I N G
オバマの切り札、米国上院の重鎮ジョン・ケリー議員 ガザ現地視察訪問
米国時間 2009年2月19日午後0時27分 | AP通信・ガザシティ発 | 訳『米流時評』ysbee

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Kerry Makes Rare U.S. Visit to Gaza Strip
Strikes in response to Palestinian fire further strain an informal cease-fire

FEBRUARY 19, 2009 | Association Press — BREAKING | Translation by ysbee
GAZA CITY, Gaza Strip — Sen. John Kerry came to the Gaza Strip on Thursday, the highest-level visit by a U.S. official since the Hamas militant group seized power in the territory nearly two years ago. Accompanied by U.N. escorts, Kerry said he was in Gaza to view the aftermath of Israel's recent military offensive against Hamas.

オバマの切り札ジョン・ケリー、ガザへ
ガザ地区・ガザシティ発 |2004年の大統領選立候補者で米国民主党の重鎮、ジョン・ケリー上院議員は、19日木曜、イスラエルのガザ侵攻で甚大な戦災の被害を被ったガザ地区を、実地視察のため訪問した。今回の視察旅行は、2年前にハマス軍団がガザ地区を制圧して以来、米国の政治家としては最高ランクの政府高官による訪問となった。
現地では、国連出先機関UNRWAのガザ担当官が同行したが、ケリー議員は今回ガザを訪れた目的は、先回のイスラエル軍によるハマスへの侵攻作戦の、戦後の現地状況を実地に視察するためであると語った。
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エルサレムではシモン・ペレス大統領(右)とオルメルト首相と会談したケリー上院議員。このあとガザへ向かった。

2. Hamas official welcomed arrival of Americans

Hamas official Ahmed Yousef welcomed the arrival of the Americans. "We highly appreciate the visit of any delegation that wants to find out the facts and see what has happened on the ground in Gaza," he said. Israeli government spokesman Mark Regev said Kerry met Prime Minister Ehud Olmert early Thursday, but made no mention of his plans to go to Gaza.
米上院議員の訪問をハマス代表は歓迎
ハマスのガザ政府高官アハメド・ユセフ氏は、アメリカ人のガザ訪問を歓迎すると次のように語った。「ガザの地で何が起きたのかをその目で実際に確かめ、真実を見出したいと思う人々ならば、我々はたとえどの国の使節であれ、その訪問に大いに感謝します。」
一方、イスラエル政府のマーク・レゲブ広報官は、ケリー議員は木曜の午前中エフド・オルメルト首相と会談したが、その席ではガザ訪問の予定については一言もふれなかった、と洩らした。
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新しい元首が決定するのも間近のオルメルト首相 ジョン・ケリーはオルメルトとも会談したがガザ訪問は内密だった

3. Possible harbinger of a new U.S. approach

Kerry did not meet with anyone from Hamas, which the U.S. shuns as a terrorist group, and used the visit to urge the group to end its violent campaign against Israel. However, the presence of the Massachusetts senator and former Democratic presidential nominee was a possible harbinger of a new U.S. approach in the region.
米国の新しい中東政策の兆候
ケリー議員は、米国政府がテロ組織としてブラックリストに載せている関係で、ハマスの要人とは一切会わなかった。また今回の訪問を利用して、ハマスに対してはイスラエルへの暴力行為(ロケット砲撃・自爆テロなど)を終結するよう呼びかけた。
しかしながら、2004年にブッシュと大統領選を競ったこのマサチューセッツ州選出のベテラン上院議員がガザを訪れたという事実は、中東、特にガザ地区に対する、オバマ政権による米国の新しい外交政策「話し合いによる平和外交」の可能性を伺わせるには充分の兆候だった。
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昨年暮れから22日間続いたイスラエル軍爆撃の犠牲者は1340人以上 その半数以上が子供を含めた一般市民

4. Serious commitment to the Mideast

Since taking office last month, President Barack Obama has said he wants to improve America's ties with the Muslim world. Kerry is considered close to Obama, and a separate visit to Gaza by Rep. Keith Ellison — the first Muslim congressman — and Rep. Brian Baird of Washington also came to Gaza on Thursday. Their visits were another possible sign of a new U.S. approach to the region.
中東への通り一遍ではないアプローチ
先月20日にホワイトハウスに就任して以来、バラク・オバマ大統領は、(ブッシュ政権のイラク戦争で敵対した)アメリカとイスラム世界の絆を改善したいと語ってきた。ケリー議員は2004年の民主党大会で、当時まだ新人の上院議員だったオバマ氏に基調演説を指名して以来、お互いに特別信頼を置く間柄だった。
今回のガザ訪問は、たまたま同日ガザを視察に訪れた2人の民主党議員、キース・エリソン下院議員(米国議会上下両院で初めて選出されたイスラム教徒議員)とワシントン州選出ブライアン・ベアード下院議員と重なった訪問だった。彼らの視察旅行もまた、米国の直接平和外交の新しい兆候を示す現れと言えるだろう。
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 左:爆撃で壊滅したガザ市内国連学校の瓦礫を実地に視察する、米国民主党のブライアン・ベアード下院議員
 中:もうひとつのパレスチナ、ウェストバンク(左岸)の米国とイスラエルの傀儡政権代表アッバース大統領
 右:ヨルダンでは国王夫妻から一般国民まで、献血運動や献金活動でガザパレスチナ人支援のデモを連日展開


5. Sporadic violence after cease-fires

Israel launched the offensive in response to years of Palestinian rocket attacks on its south. The sides declared separate cease-fires Jan. 18, but sporadic violence has persisted while Egypt works to broker a long-term truce.
一時的停戦後も続く小競り合い
パレスチナとの国境に近い南部のベテシバやスデロットの町へは、長年にわたってガザ地区からハマスがロケット攻撃を行なってきたが、昨年暮れにイスラエルは業を煮やして大々的な反撃へと軍事攻勢を開始した。その後連続22日間の激しい爆撃による侵攻を続けた後に、1月18日にイスラエル、ハマスの両軍がそれぞれ別個に、一時停戦と勝利宣言を発した。しかしその後も、エジプトが仲介に入って長期的和平交渉を調停する一方で、両軍のあいだでは局地的な小競り合いが続いていた。
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ガザ地区の総人口140万人の半数が18才以下の子供と若者、失業率は50%を越えるという凄まじい経済状況

6. Widespread mass-destruction and refugees

The operation killed some 1,300 Palestinians, including hundreds of civilians, caused widespread destruction and left thousands homeless. Kerry toured the ruins of an American-style school that was destroyed in the Israeli bombing, and visited a neighborhood in northern Gaza where dozens of homes were flattened.
ガザの壊滅的被害と膨大なパレスチナ難民
イスラエル軍のガザ侵攻作戦では、結果的に数百人の一般市民を含む1300人以上のパレスチナ人が殺され、国土の大半が爆撃で焦土と化し、数万人が家屋を失い難民化した。ケリー上院議員は、イスラエルの空爆で壊滅したアメリカンスタイルの国連学校の廃墟を訪れたあと、被害甚大で見渡す限り焼け野原と化した、ガザ北部ベイトラヒヤの難民村の惨状を視察した。
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南北に細長いガザ地区の中でもイスラエルとの国境に近い北部と東部は、イスラエル軍の爆撃で壊滅的に破壊された

7. Kerry, authority of U.S. Foreign Relations

"Let me make this clear, there is no change in policy," said Kerry, who chairs the Senate Foreign Relations Committee. "I am here to listen with the U.N. personnel on the ground. The things we need to do is to improve the situation in the region," he said.
上院外交委員会の権威でもあるケリー
民主党の重鎮で米議会上院外交委員会の常任委員でもあるケリーは、今回のガザ訪問に関する彼の立場をこう説明した。
「前もってはっきりさせておきたいことがあります。それは私がこの地を訪問したからと言って、米国の外交方針が変わったわけではない、ということです。私がここへやってきたのは、ガザの現地事情に精通する国連の担当者から、直接話を聞くためです。われわれが今しなければならないことは、この地域の状況を良い方向へともっていくことですから。」
(訳者注:ガザ地区の政権を握るハマスは、米国国務省からはテロ組織として認証されており、正式の国交はない。というよりも、テロ戦争状況下では敵性国家とみなされる立場にある。)
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エジプトとの国境の町ラファの国連人道救援機関UNRWAガザ支部が続けている食糧の配給に集まった子供たち

8. 'We need to live respectable lives'

He also spoke to residents, including Shaarhabel Alzeem, a prominent attorney. "We highly appreciate your visit here and hope you can talk to your colleagues and say that we want peace with Israel. But we also need to live respectable lives," Alzeem told the senator.
「人間として尊厳のある暮しを」
ケリー議員はまた、ガザの現地住民からも話を聴いた。その中のひとりでガザでも有数の弁護士であるシャーラベル・アルズィーム氏は、ケリーに向かって次のように訴えた。
「われわれは、貴方がここガザへ直接訪れたことを大いに感謝しており、当地でのあなたの体験を仲間の議員のみなさんに伝えていただければと望んでいます。そして、われわれガザ市民はイスラエルとの平和を望んでいるという事実を、ぜひ伝えてください。さらにはわれわれガザ市民もまた、同じ人間として尊厳のある人生を生きる必要があるのだ、という真実も。」
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1948年国連承認のイスラエル建国で土地を奪われたパレスチナ人は狭いガザ地区へ押し込まれ難民となった。
爆撃のひどかったジェバリヤ難民村では、住民が避難していたモスクと学校が、真っ先に爆撃の対象となった。


9. Kerry pointed to stop the rocket-attacks

"Your political leadership needs to make it clear how it is willing to move to make peace and those decisions have not been made yet," Kerry responded. "Your political leadership needs to understand that any nation that has rockets hitting it for many years threatening its residents is going to respond."
ケリー、ロケット攻撃の脅威を指摘
アルズィーム氏の「ガザ市民はイスラエルとの和平を望む」という意見に対して、ケリーは次のように答えた。「あなたがた(ガザ市民)の指導者は、どれだけ和平を結びたいと思っているのか、外部に対してはっきり示さなくてはいけません。実際には、まだそういった決意を固めてないように見えます。隣の国が何年もの間ロケット砲撃を続けて、住民の生活を脅かしたら、やはりどんな国であれ、報復措置に出るのは当然の成り行きでしょう。」
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ハマスのロケット砲によるイスラエル南部の住宅被害。窓ガラスも片方だけ破損する程度。これに対するイスラエル側の報復は、陸海空三軍の無差別爆撃である。

10. First U.S. envoy since terror-attack in 2003

Visits by U.S. officials to Gaza have been rare since Palestinian militants blew up an American diplomatic convoy in 2003, killing three people. Before Thursday, no American officials had come to Gaza since Hamas won Palestinian elections in June 2006. The group violently seized control of Gaza the following year after a brief civil war.
03年米国使節テロ攻撃以来のガザ訪問
2003年にパレスチナ人の武装勢力が米人外交官の車を襲い、爆破によって3名が死亡するというテロ事件が起きて以来、米国とガザとの外交関係は断絶している。そのため、米国政府の有力議員によるガザ訪問というケースは、非常に稀である。
さらに2006年6月の総選挙でハマスが勝利を収め、政権を掌握してから19日木曜までの間というもの、米国高官は誰一人として、この地を踏んだ者はなかった。選挙の翌年07年の夏には、短期間ではあるが、ハマスとファタハの市民戦争が勃発。その結果指導者ハニエの率いるハマスが、アッバースの率いるファタハを暴力で駆逐して西岸へ追いやり、ガザ地区の完全掌握に成功した、という政治的背景がある。
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アッバース政権の左岸でも連日イスラエルのガザ侵攻抗議デモ、機動隊に投石するハマス支援のパレスチナの若者

11. IDF still hitting the tunnels

During the day, Israeli warplanes attacked six suspected weapons-smuggling tunnels in southern Gaza in response to new rocket fire, the army said. The airstrikes set off a huge explosion, signaling a weapons cache had been hit, the army said. The airstrikes took place about 20 miles from where the lawmakers were visiting; there were no reports of injuries.
継続するガザトンネルへの爆撃
ケリー上院議員が訪問していたこの日の日中、イスラエル側では武器の密輸に利用されているとして、ガザ南部のラファ近辺で地下トンネルとおぼしき地点6カ所を、イスラエル空軍の戦闘ジェット機が空爆した。イスラエル陸軍広報では、新規のロケット攻撃への報復措置だと公表した。この空爆によって巨大な爆発が起きたが、多分地下に隠されていた爆薬に命中し誘爆したものと説明している。
この空爆は、ケリー上院議員が訪れていた場所からわずか20マイル(約32キロ)しか離れていなかったが、負傷者の報告はなかった模様である。 <了>

【 米国時間 2009年2月19日 『米流時評』ysbee訳 】
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ガザ地区は空爆で爆心地のように壊滅的に破壊された廃墟だけが残った。オバマ政権では復興再建援助資金を予定

  >2/15 「絶望と希望のはざまで・ガザ停戦」 ハマスとイスラエル
  <2/21 「三頭の鷹の旗の元に/イスラエル組閣難航」 カディマとリクード党
  <2/22 「自由への厚い扉/エジプト側の国境再開!」 ガザとエジプト
  <2/23 「9億ドルの同情/米国のガザ復興援助金」 パレスチナとオバマ
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by ysbee-2 | 2009-02-19 18:36 | イスラエル・ガザ戦争

「沈黙の壁を越えて」村上春樹とイスラエル-3

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   ||| 沈黙の壁を越えて・作家の魂 |||

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作家としての村上春樹の生き方:『朱雀式』2/17号「羊男のエルサレム」より

d0123476_18552829.gif村上春樹氏のエルサレム賞受賞式でのスピーチは、ずいぶん沢山のブログでとりあげられ、そのどれもが彼の行動と勇気に敬意を表するものでした。
シリーズの最後に、数あるエントリの中でも心に残った一編を。最近推奨ブログにリストアップした『朱雀式』の2/17号からの抜粋です。

  やはりどなたにも、それぞれの「羊男論」があるようですが、
  ここでもやはり、文学者としての村上氏のペンの力に対する賞賛を惜しみません。
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  さらには、私もそうでしたが、彼の言動一致の勇気に動かされ、
  自らの生き方の原点を 振り返った方が多かったのではないでしょうか。
  朱雀氏の展開にも そうした軌跡が見られます。

  ねずみや羊男が彷徨った長い旅路、はるかなる放浪。
  辿り着く場所が、原点なのか到達点なのかさえわからずに 
  魂のベクトルが指し示すまま あてどなくさすらった荒野の果てに、
  もしかしたら村上氏は、自らの創作の あるいは人生の、
  究極の目的を見出したのかも知れない.....
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  壁に見立てた「体制」と、その規制や弾圧と闘う、脆弱な卵としての「個」
  あるいは、人間の自由な精神。
  その具体化しにくい観念上の闘争を、見事に言い表した比喩。

  精神の自由という、かたちにならない魂のエネルギーを
  自らの行動で示して見せた作家。
  一閃の輝きの中に人生を見るような、秀逸なエントリです。

  【米国時間2009年2月18日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 18, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月18日号
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   B E I R Y U | C U R R E N T
作家としての村上春樹の生き方:『朱雀式』2/17号「羊男のエルサレム」より
米国時間 2009年2月18日 | ブログ『朱雀式』より | 転記『米流時評』ysbee

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ブログ『朱雀式』2/17号「羊男のエルサレム」より

<前略>...... 僕は文章についての多くを村上春樹に学んだ。
村上春樹は、デレク・ハートフィールドと同じく、
文章を武器として闘うことができる 数少ない非凡な作家だった。

両者の大きな違いは、ハートフィールドが 死ぬまで自分の闘う相手の姿を
明確にとらえることができず、不毛なままの一生を終えたのに対し、
村上春樹は生き続けて、現実世界と言葉で闘うことができるようになったことだ。
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そんなわけで、村上春樹は、エルサレムで堂々と、
イスラエルの暴力を真っ向から婉曲に批判し、
エルサレム賞の恥ずべき歴史に輝かしい一ページを加えることとなった。

  <中略>......「この暗喩の意味とは?
  ある場合には、まったく単純で明快すぎます。
  爆破犯(bomber)と戦車とロケット弾と白リン弾は高い壁です。
  卵とは、押しつぶされ焼かれ撃たれる非武装の市民です。
  これが暗喩の意味するところのひとつです。

  しかしながら、常にそうではありません。より深い意味をもたらします。
  こう考えて下さい。
  私たちはそれぞれ、多かれ少なかれ、卵です。
  私たちそれぞれが壊れやすい殻に包まれた
  唯一無二のかけがえのない存在(soul)です。
  
  ・・・・・「村上春樹: 常に卵の側に」


(*編者注:朱雀氏も引用したように、日本の報道では「bomber」を爆破犯と訳した媒体もあったようですが、村上氏の文脈から推して、また空爆から始まった戦況から判断して「bomber」は通常米語で「爆撃機」と解釈できます。自爆テロの場合は suicide-bomber。蛇足ですが、イラクの靴投げ抗議は shoecide bomber。)
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村上春樹は、壁の下敷きになって死んでいく弱者たちだけでなく、
僕たちの存在全てを「卵」と呼んだ。
もちろん、このスピーチによっても問題は何も解決していないし、
語り終えてもあるいは事態は全く同じと言うことになるかも知れない。

結局のところ、言葉を語るというのは変革の手段ではなく、
変革へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。
しかし村上春樹は、「個人の自由に与える賞」を受賞するために
エルサレムまで行き、
個人の命を奪い続けている力を 批判する言葉を語った。
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「村上春樹はこんな賞を辞退するべきだ」と非難した人も、
「作家がどんな賞をもらってもいい。小説と政治は関係ない」
と擁護した人も――無論、僕も含めて――
村上春樹の作家としての戦闘的な姿勢を知らなかった、
あるいは村上の「コミットメント」を信用していなかった、ということだろう。

この受賞スピーチは、とても真摯な、
しかもこれだけで成立しうる批評的な作品 と言っていいものだと思う。
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かつて村上春樹は、自らの作品の中でこう書いた。

 「僕たちが認識しようと努めるものと、実際に認識するものの間には
  深い淵が横たわっている。
  どんな長い物差しを持ってしても その深さを測りきることはできない」


それでも彼は、決して物差しを手離そうとはせず、
世界を認識する努力をあきらめなかった、ということだろう。

初期の村上春樹の小説は、冒険をしても 主人公が全く成長せず、
出会いがあっても変わらず、ある種の「不毛な」物語ばかりだった。

しかし あれから30年が過ぎ、
今や不毛の大地は 象が帰る草原となり、
彼は力強い言葉で 世界を語り始めたのだ。

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>>ブログ『朱雀式』2/17号「羊男のエルサレム」で全文を読む
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  >2/16 「ガザの壁と命の卵」 村上春樹とイスラエル-1
  >2/17 「投げつけられた卵」 村上春樹とイスラエル-2
  >2/18 「沈黙の壁を越えて」 村上春樹とイスラエル-3

  <予告「Good News, Bad News, Everything in Between」
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by ysbee-2 | 2009-02-18 18:06 | イスラエル・ガザ戦争

「投げられた卵」村上春樹とイスラエル-2

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    ||| 「投げられた卵」村上春樹とイスラエル-2 |||

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meixiさんのブログから Jerusalem Post 紙「村上春樹エルサレム賞受賞」対訳

d0123476_18552829.gifこのブログ『米流時評』を始めた当初からおつき合いいただいている方々がいる。「かたがた」と言うのもてれくさいようなポン友なのだが、忌憚なくほめたりけなしたり、冗談を言いあったりできる、ありがたい存在である。

  しかしその中には、ある日突然更新が止まったり、
  あるいは、こちらからのアクセスが効かなくなったりしたブログもある。
  ちょうど実社会で、行きつけの店が ある日行ったら閉店していたり、
  同僚が突然転勤して引っ越したような、そんな感触と似ている。
  非常に残念ではあるが、それが人生さ、と歩き続けるしかない。
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  そうした中で、いつも励まし続けてくれた方のひとりに
  長野で塾を運営してらっしゃるmeixiさんがいる。
  先生で、主婦で、高校生・中学生のお母さんで、
  なによりもしっかりした個人の意見を言い合える、素敵な女性である。
  ときどき披露する「うっかり」体験もご愛嬌。

  彼女も主に英文記事の翻訳で、海外情報を伝えてくれている。
  なぜか、中国とトルコに興味をお持ちである。
  私のブログが、殺伐としたテロや戦争の記事が多いのに比べ
  彼女のピックアップする題材は、
  いつもヒューマニズムの感性にふれる 暖かい記事が多いのも特徴。
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  今回も、村上春樹氏のエルサレム賞受賞に関して、
  現地の英字新聞の全訳とともに、エントリを上げられた。
  記事が長いので、前後編2編に分けての掲出である。
  ぜひ、ご一読をおすすめする。
  たとえ彼女と友だちでなかったとしても、多分、読んで良かったと思える記事なので。

  【米国時間2009年2月17日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 17, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月17日号
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   B E I R Y U | C U R R E N T
meixiさん〜Jerusalem Post紙掲載「村上春樹エルサレム賞受賞」記事の紹介
米国時間 2009年2月17日 | By meixi『英文記事を読む』前後編 | 転記『米流時評』ysbee

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meixiさんのブログ 2/19号「村上春樹氏、ガザ攻撃を批判」より

村上春樹氏がエルサレム文学賞を受賞したことで、
イスラエルでの授賞式へ行かないように との世論が巻き起こりましたが、
彼は迷った末に、「沈黙するより、述べることを選んだ。」と述べ、
受賞講演で イスラエルを直接名指しはしませんでしたが、
イスラエルを批判するスピーチを行いました。
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村上氏は「私たちを守るはずの体制が、組織的に人を殺すことがある。」と述べ
その体制を「高い壁」に例え、
守られなければならない人々を「壊れやすい卵」に例え、
その体制と戦うために 一人ひとりが団結しなければならない
とメッセージを送りました。

イスラエルへ行き、イスラエル政府高官も出席する式典にて、
イスラエル批判のスピーチをした村上氏の その勇気と行動に感銘を受けました。

彼のメッセージをどう受け止めたかは 人それぞれでしょう。
しかし、彼のスピーチ後半の部分の意味を理解できた人は、
「自分に何が出来るか?」そう問いかけ、行動することで、
彼のメッセージを本当に理解できた と言えるのではないでしょうか。
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私はJerusalem Postの記事を訳してみました。
記事の見出しは、『村上氏、ガザ攻撃を批判』としたかったのですが、
イスラエルのメディアの記事なので、英文の意味そのままで日本語に訳しました。
日本で発表されたスピーチの内容と、
Jerusalem Post が発表した彼のスピーチを比べると、
明らかに イスラエルに都合が悪いことは削られていることが分かり、残念です。

では、記事の訳を。
(以下全文対訳の中から一部抜粋。あとはぜひ元記事でご一読を)
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"Israel is not the egg"— Murakami, in trademark obscurity, explains why he accepted Jerusalem award
『村上氏、独特の難解さで、受賞理由を説明』

「だから、私はエルサレムに来ました。作家としてきたのです。
 それは、嘘の紡ぎ手としてということです。

作家だけが嘘をつくのではありません。
政治家も(申し訳ありません、大統領。)、そして外交官も嘘をつくのです。
しかし、作家は他の人たちと区別されます。
作家はその嘘がもとで 起訴されることもありません。むしろ賞賛されます。
そして 嘘が大きければ大きいほど、賞賛されるのです。
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私たち作家の嘘と 彼らの嘘との違いは、
作家の嘘は 真実をもたらすことを助ける ということです。
真実の全てをはっきりさせることは 難しいことです。
だから作家は それをフィクションの分野へと 置き換えるのです。
しかし、はじめに、私たち作家は、
自分の中のどこに真実があるのか、はっきりさせなければなりません。

今日、私は真実を語ります。
嘘を言うこととは係わりを持たない日、
つまり真実を語るという日は、一年に数日しかありません。
今日が その真実を語る日なのです。


>>このあとにも、記事の対訳が続き、前後編に分かれています。
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meixiさんのブログで「村上春樹氏、ガザ攻撃を批判」全文を読む
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   >2/16 「ガザの壁と命の卵」 村上春樹とイスラエル-1
   >2/17 「投げつけられた卵」 村上春樹とイスラエル-2
   <2/18 「沈黙の壁を越えて」 村上春樹とイスラエル-3
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by ysbee-2 | 2009-02-17 12:16 | イスラエル・ガザ戦争

村上春樹とイスラエル/ガザの壁といのちの卵

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   ||| 「卵と壁」村上春樹とイスラエル |||

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エルサレム賞受賞の村上春樹が、イスラエルから世界へ伝えた勇気あるメッセージ

d0123476_18552829.gif例の「イスラエル賞」を受賞した村上春樹氏の話である。そもそもは、パレスチナ関連の記事を連投なさっているピーさんのブログ『P-navi info』で、先月末に彼が文学賞を受賞したことを知り、これは問題になるな、と感じていた。

文学と政治は別物、と割り切って受けるにしろ、イスラエルのガザ侵攻は許せない、と拒絶するにしろ、彼なりの「イスラエル観」を表明せざるをえない結果になるだろうと予測したからである。

この問題で口をつぐむことは、言わば第二次大戦時にヒットラーのドイツ第三帝国によるユダヤ人の虐殺を、事実を知りながら看過したヨーロッパのナチス迎合派と同じ立ち位置になる、と私は解釈しているからだ。戦争のきっかけがどちらにあったか、などというテクニカルな話題で問題の焦点をそらそうとするメディアもある。
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しかし一番の問題は、イスラエルの強行した「虐殺行為」あるいは数年後には「戦争犯罪」と呼ばれるであろう、逸脱した軍事行動にある。これは人間性に逆行する蛮行であり、ユダヤ人がイスラエルという国家の形態を借りて強行した、「パレスチナ人の民族虐殺」にほかならない。

イスラエルの冒した大罪の数々は、12月末から一時停戦まで3週間続いた戦闘期間と同時進行で、『米流時評』でも特集を組んでほとんど毎日連載してきたので、詳細を知りたい方にはフィードバックでページ下のリンク集から各エントリーの記事を読んでいただける。

今日お知らせするのは、冒頭の村上春樹のイスラエル賞授賞式におけるスピーチについてである。ブロガー諸兄もそれぞれ一家言あったと見えて、皆さん秀逸なエントリを上げていらした。私自身が書くと、なにぶんガザに関しては怒りや悲しみの感情が先立って、いかんせん浪花節になってしまうので、ほんの一部だが、一読に値するブロガー氏のエントリーを紹介したい。
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この他にもたくさんの方々が、イスラエルとパレスチナの問題を日本人として真剣にとらえ、ひとりひとり、その方なりの気概に満ちたご意見を述べていらした。しかしみなさんのエントリを紹介したかったものの、紙面に限りがあるのでその中のほんの数氏だけになったことをあらためてお詫びする次第である。

日本の記事を直接読む機会が少ない私は、当初ニュースサイトのタイトルだけを見て「村上氏受賞」というものだから、なんだ彼でも迎合したか、と失望したのだが、cakeさんのブログで氏が気骨あるスピーチを「敵陣で」披露したことを知り、うれしかった。

文学者だからこその、言葉を武器にした落ち着いた抗議ができたのだろう。
それなりの覚悟もあったろうし……何しろモサドの本陣である。暗殺など朝飯前の土地だ。
長いこと彼の作品のファンではあったが、あらためて、人間として尊敬する。

【米国時間2009年2月16日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 16, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月16日号
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   B E I R Y U | C U R R E N T
エルサレム賞受賞の村上春樹が、イスラエルから世界へ伝えた勇気あるメッセージ
米国時間 2009年2月16日 | By cake / YAN-C / P-navi | 編集『米流時評』ysbee

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まず初めに、いつも暖かい応援で励ましてくださるcakeさんのブログから。
彼女のエントリでは特に最後のメディアの処理に対する批判が納得いきました。
私もあやうく、村上氏を誤解するところでしたから。


d0123476_14302471.jpgcakeさんのブログ『無題・休題−ハバネロ風味−』2/16号
「村上春樹氏とエルサレム賞」より

イスラエルの文学賞の エルサレム賞の授与式が
15日、エルサレムの国際会議場で行われた。
受賞した作家の村上春樹氏(60)には、ガザ空爆に反対したNPO団体始め、
一般市民からも、この時期にイスラエルへ行く事に反対する意見があがり、
賞を受けるべきではないとメールなども多数送られたと思う。
村上氏は賞を受ける事を決め、
この時期だからこそ、自分の目で確かめる必要もあると、イスラエルに向かった。

イスラエルから、悲惨なガザの状態が見える筈もない。
しかし受賞の演説の時に、表だって彼はガザへの空爆を非難する発言をした。
ガザの人達を卵に喩えて、壁というイスラエルに向かってのコメントは、
非常に重要な物だったと思う。

私も内心 彼の受賞には賛成出来かねるものがあったのだが、
彼の作家としての才能に賞されたものだし、これがイスラエルに行って、
きちんと自分の意見を公に述べる、絶好の機会だったのだろう。
私は素直に拍手を送りたい。

しかし、それを報道する日本のマスコミは一体何なのだ。
一切ガザへの非難のコメントを外して 
表彰のみを扱ったマスコミがいた事を、腹立たしく思う。
一般の人には、イスラエルに尻尾を振る日本人にしか見えないだろう。
情報操作とは恐い物だなと思う。

『無題・休題−ハバネロ風味−』2/16号「村上春樹氏とエルサレム賞」より
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次に情報の早いこと、そして問題を見抜く洞察力の鋭さでいつも一目おく、
YAN-Cさんのブログ『RE: SUKI』では、
現地イスラエルでの報道を対訳で載せながら、持論を展開します。
村上氏のスピーチの核心が掴める秀逸なエントリーです。


d0123476_14302471.jpgYAN-Cさんのブログ『RE: SUKI』2/16号
「村上春樹さん イスラエルにて『エルサレム賞』受賞」より

<前略>………小説の中での創作を「嘘」と表現することで、
小説家が多くの方から得る賞賛についてを語りました。
そして、小説家は、小説の中では、嘘を付くものと前提し、
1年の中、嘘に関わらない数日ある日の中の1日が、今日であると伝えています。
冗談ぽい内容ですね。

「今日、私は真実を話します。
私が嘘を付くことにかかわらないことは、1年に数日だけです。
今日は、その中の1日です。」


受賞に際しての、村上さんの考えは、以下のようなものでした。

「私がこの賞を受けることを聞いた時」
「私は、ガザ地区での戦いを理由に、ここに来る事を警告されました。
 私は自身で問いただした。『イスラエルを訪れることは、適切なことなのか?
 一方の国の支持にならないだろうか?』」

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やはり、ガザ地区での出来事と、ご自身の立ち場について、悩まれたようです。
誰もが悩むであろう問題ですが、
小説家は、「見て触れなかった物を信用しない」とし、
今回のイスラエルへの来訪を決めたとのことでした。

「小説家は、見なかった物と触れなかった何物をも、信用することが出来ない。
 だから私は、見ることを選びました。
 私は、何も言わないことより、ここで話すことを選びました。」


その後の内容は、日本でも報道されていますが、
「卵」を比喩表現として使った、興味深い内容でした。
私の中2脳で訳そうかなと思ったのですが、
日本の報道のほうが早いので、そのまま転載しておきます。

 "So here is what I have come to say."
「私が言いたいことは、ここにあります」

「わたしが小説を書くとき 常に心に留めているのは、
 高くて固い壁と、それにぶつかって壊れる 卵のことだ。
 どちらが正しいか 歴史が決めるにしても、わたしは常に 卵の側に立つ。
 壁の側に立つ小説家に 何の価値があるだろうか。」

 ……<中略>……

「壁はあまりに高く、強大に見えて わたしたちは希望を失いがちだ。
 しかし、わたしたち一人一人は、制度にはない、生きた精神を持っている。
 制度がわたしたちを利用し、増殖するのを許してはならない。
 制度がわたしたちをつくったのでなく、わたしたちが制度をつくったのだ。」


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 ……<中略>……
その様な情勢の中、イスラエル国内での村上さんの発言は、
意味のあるものであったと、個人的には思っています。
何もしない、何も出来ない、ではなく、
実際に動き、言葉を伝えることは、重要です。
全てではなくとも、イスラエルの人に、
村上さんの想いは届いたのではないでしょうか?

小説家の嘘、政治家の嘘、
どこに真実を見出し、何を重視するかは、
人々が努力し探すべき「道」であると伝えているように、私には見えました。
意味のある何かを 世界の人々が共有出来るなら、
「嘘の世界」はなくなるのかもしれません。

『RE: SUKI』2/16号「村上春樹さん イスラエルにてエルサレム賞受賞」より
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そもそも村上春樹のエルサレム賞受賞については、ガザ・パレスチナ関連の情報センターのようなピーさんのブログ『P-navi info』で知りました。先月のことです。
彼は当初からイスラエルには反対の立場で、村上氏へ受賞を再考するように、各方面へメール送付キャンペーンを展開してきた方です。抜粋したのはその抗議の手紙の一部ですが、他の記事でも日本でのガザ支援の情報が得られます。


d0123476_14302471.jpgブログ『P-navi info』1/27号
「拝啓 村上春樹さま ――エルサレム賞の受賞について」より

拝啓 村上春樹さま、
この度、村上さんが、イスラエルのエルサレム市が大きく関与している
文学賞「エルサレム賞」を受賞なさるということを聞きました。
しかし、お祝いの言葉を私は言うことができません。

この賞は「社会における個人の自由」を描いた作者に贈られるとありましたが、
村上さんがそれにふさわしくないのではなく、
贈る側が「社会における個人の自由」を口にする資格がありません。
この賞を辞退なさることをお薦めします。 ……<中略>……
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しかし、賞を辞退するのも、あなたが共犯者とならないですむひとつの方法です。

それでも、村上さん、あなたが受賞のためにエルサレムに出向くというなら、
受賞式より前に 入植地で虫食いになった東エルサレムを、
人びとを分断し隔離する 巨大な壁を、たくさんの検問所を、
囲い込まれて身動きがとれなくなった西岸の街を
ご自分の目で見ていただきたいと思います。
パレスチナの人びとの声に 耳を傾けてほしいと思います。

イスラエルのおつきの人の目を盗んで、ひとり動きまわるのは
村上さんならやすやすとできそうです。
……<中略>……
あなたの行為が、世界中のあなたの読者を、
そして あなた自身の作品を裏切らないでいてほしいと思うばかりです。

    敬具  ビー・カミムーラ(ナブルス通信編集部)……<後略>d0123476_14302471.jpg
ブログ『P-navi info』関連記事リンク

1/27 拝啓 村上春樹さま ――エルサレム賞の受賞について
1/31 [雑記]風邪ひき
2/02 「村上春樹に読者の声を届けるよ!」by. m_debuggerさん
2/12 Open Letter to Haruki Murakami about his Jerusalem Prize
2/12 「拝啓 村上春樹さま」3つの言語への翻訳
2/18 村上春樹エルサレム賞受賞スピーチ (追加あり)
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  >2/15 「絶望と希望のはざまで」ハマスとイスラエル・ガザ停戦
  >2/16 「ガザの壁と命の卵」 村上春樹とイスラエル-1
  <2/17 「投げつけられた卵」 村上春樹とイスラエル-1
  <2/18 「沈黙の壁を越えて」 村上春樹とイスラエル-3
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▼米流時評 特集『ガザ戦争』記事リストへ続く
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by ysbee-2 | 2009-02-16 12:48 | イスラエル・ガザ戦争

ハマスとイスラエル/絶望と希望のはざまで・ガザ停戦

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  ||| ガザ停戦・絶望と希望のはざまで |||

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ガザ地区のハマス政権、エジプトの仲介でイスラエルとの1年半の停戦協定を承諾
和平交渉役エジプトは、国境再開・捕虜交換・左岸とのパレスチナ統一政権を提案


d0123476_18552829.gif昨年暮れのイスラエルのガザ侵攻以来、3週間の戦闘期間、米流時評でも連載で米国の記事・情報を翻訳してお伝えしてきた。空爆や戦車からの砲撃の凄まじさは、写真で見るだけでも壊滅的だった。ましてや、目の前で親兄弟・子供を惨殺されたパレスチナ人の悲しみは、凡人の思いの及ぶところではない。

イスラエル側では、2006年のレバノン侵攻の時と全く同様に、体よく兵器を「消費」し、敵国の犠牲者の数が千を超したところで停戦に踏み切った。今回のイスラエルのパレスチナ人に対する周到な「戦略的虐殺」を、メディアを介してではあるが連日見聞きし伝えてきて、私にはガザのひとびとが「ユダヤの虐殺者」と呪っていた憎しみが、半分わかったような気がする。
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国連の人権擁護委員会が、茫漠たる荒野と化したガザの現地で、非人道的兵器白燐弾や劣化ウラン弾の使用をはじめ、凄絶な大量虐殺の実態を「戦争犯罪」として調査報告している。憎しみからは破壊しか生まれないが、虐殺を命じた者・手を下した者には、それ相当の処罰があってしかるべきだと思う。そのための国際法であり、そのためにハーグの国際裁判所が存在するはずなのだから。

折しも、危うかった一時的停戦が、やや長期の協定となって成立しそうな気配である。エジプトが仲介しての停戦協定に対して、イスラエルが先に承諾し、翌日ハマスからも了解の回答が出たようである。ともかく折り合えるうちにまとまってほしい。ガザは今でも隔絶された壁の中で、瀕死の状態なのだから。

【米国時間2009年2月15日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 15, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月15日号
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Associated Press | B R E A K I N G
エジプトのガザ停戦案:国境再開・捕虜交換・ハマスと左岸のパレスチナ統一政権
米国時間 2009年2月12日午後6時21分 | AP 通信・カイロ支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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Report: Hamas Agrees to Long-Term Truce
Egypt news agency says deal with Israel over Gaza to be announced soon

FEBUARY 12, 2009 | Association Press — BREAKING | Translation by ysbee
CAIRO, Egypt — The deputy leader of Hamas said Thursday night that the Islamic militant group agreed to an 18-month truce with Israel for the Gaza Strip, the official Egyptian news agency reported. Moussa Abu Marzouk told MENA that Egypt's government, which has been mediating between Hamas and Israel, would announce the truce in two days after consulting with other Palestinian factions.

エジプト仲介の停戦協定へ
エジプト・カイロ発 |12日木曜夜、ガザ地区のハマス軍団の指導者は、ガザ地区に関してイスラエル政府と18か月の停戦協定を結ぶことに合意すると発表したと、エジプトの国営放送MENAから報道された。報道の内容によると、ハマスとイスラエルの間に立って和平交渉を進めてきたエジプト政府は、他のパレスチナの政体(西岸地区のファタハ政権と、シリアに亡命中のハマス指導者を指す)の助言を受けたあとで、2日以内に正式に停戦を発表する予定であると公表した。
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度重なる爆撃で完全に破壊されたアルシファモスク跡。瓦礫を取り除いた跡地で礼拝するガザ地区のイスラム教徒。

2. No comment by Olmert administration

Earlier in the day, Egyptian and Hamas officials reported progress in truce talks, which included Hamas' strongman from Gaza, Mahmoud Zahar, and Egypt's top mediator, intelligence chief Omar Suleiman. In Jerusalem, Prime Minister Ehud Olmert's office said the Israeli government had no comment on the report.
オルメルト政権はノーコメント
同日12日の朝には、エジプト政府とハマス政権双方の広報担当官から、和平交渉は大巾に進展したと報告された。交渉の話し合いには、ガザの政権を握るハマスの有力者であるマフムード・ザハールと、エジプト政府の交渉使節団長で諜報部長官のオマール・シュリーマンの両者が出席し、直接話を詰めた模様である。
この新しい停戦協定のニュースに際して、エルサレムにあるエフド・オルメルト首相の執務室からは「イスラエル政府はその報告に関してはノーコメント」と無言を保っている。
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イスラエルの空爆開始とともに真っ先に第一弾が投下された、ガザのハマス政権付属のイスラミック大学女子学生棟

3. 1,340 killed, 4,000 more injured in 22 days assault

字数制限のため英文省略
22日間の総攻撃で死者1340名、負傷者4千名以上
イスラエル政府軍のガザ侵攻は、昨年12月27日の空爆に始まり、その後壁の中に封鎖された狭いガザ地区に対して、爆撃機からの空爆と地上軍戦車隊からの砲撃、さらには海軍戦闘艦からの砲撃という、陸海空三軍による無差別全面攻撃で徹底した破壊と殺戮を22日間連日連夜繰り返し、1月17日にイスラエル、ハマス双方から別個の停戦勝利宣言が出されて一時的終結をみた。
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イスラエル三軍の無差別爆撃で徹底的破壊が3週間休みなく繰り返され、ガザのめぼしい建物はすべて瓦礫と化した

4. Hamas, Israel refuse to negotiate directly

Egyptian diplomats have been working as go-betweens to try to arrange a truce deal between Hamas and Israel to solidify a cease-fire that ended Israel's devastating 22-day offensive in Gaza last month. Hamas and Israel refuse to negotiate directly. Marzouk told MENA that the Egyptian-brokered deal it agreed to calls for Israel to reopen six border crossings into the Gaza Strip.
直接交渉を拒否したハマスとイスラエル
それ以来エジプト政府の外交使節が、敵対する両者の間を行きつ戻りつしながら、和平交渉の折衝を繰り返し、ガザ・イスラエル間の停戦あるいは平和協定へこぎつけるよう努力してきた。ハマスとイスラエルが、ともに直接交渉を拒絶したためである。
エジプト側交渉団のマルズーク氏が国営放送MENAに語った内容によると、エジプト提案の協定案の骨子は、ガザ地区へと通じる6カ所の国境関門を再開するようイスラエルに対して呼びかける提案であり、この点に関する諸条件をハマスが了解したものだという。
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パレスチナのもうひとつの政権、左岸地区に掲げられた巨大なアッバース首相とPLOの故アラファト議長の看板

5. Gaza Ghetto by Israeli borders closing

Hamas leaders centered its truce demands on reopen of the tiny coastal territory's borders enclosing Gaza have been largely sealed by Egypt and Israel since Hamas gunmen seized control in Gaza in 2007.
イスラエルの国境封鎖によるガザゲットー
地中海のへりに細長くへばりついたような狭いガザ地区と、それを取り巻くイスラエルとエジプトとの国境。2007年の総選挙でハマスが政権の座に就き、その後対抗勢力のファタハ(アッバース首相を党首とする政党および軍団)をヨルダン川左岸地区のウェストバンクへと追放して、ガザ地区を完全掌握した。
それ以来、ガザを取り巻く国境とその関門は、ファタハを支持しハマスを敵対視するイスラエルとエジプト両国により、完全封鎖されてきた。
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22日間昼夜の別なく続けられたイスラエル軍の空爆と砲撃で、ガザ地区のめぼしい建物は瓦礫に帰した。

6. Re-installment of reopening Rafah crossing

Earlier Thursday he told Al-Jazeera television that Egypt had previously agreed to work with Israel to forge new arrangements for reopening Gaza's crossing into Egypt.
エジプトとの国境ラファ再開の再提案
ハマスの指導者たちは、この和平協定におけるガザ側の要求で最優先する焦点を、封鎖された国境関門の再開に絞っている。12日木曜のアルジャジーラとのインタビューでもマルズーク氏は、氏の率いる交渉団はエジプトとの国境関門だけでも再開を許可するよう、イスラエルに対して強要するべく集中努力することをすでに了解していると語った。
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地中海に沿って狭く細長く伸びたガザ地区は、イスラエルによって完全封鎖された巨大な檻=ゲットーと化している。

7. Halting military activities of Hamas

Israel, in turn, insisted that any cease-fire must include an end to militants firing rockets from Gaza into southern Israel and a halt to Hamas arms smuggling. In talking to MENA, Marzouk did not discuss details.
イスラエルの要求:ハマスの軍事攻撃の廃止
一方国境再開の見返りとしてイスラエル側では、ハマスの軍事攻撃を一切やめることが条件として盛り込まれなければならないとしているが、その活動にはガザ地区からイスラエル南部へ撃ち込まれるロケット砲撃から、地下の秘密トンネルを経由して搬入される武器密輸までが挙げられている。MENAのインタビューでは、マルズーク氏はそれ以上の詳細条件は明らかにしなかった。
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すべてを破壊された市民は棒切れとシーツのテントに住む。国際人権機関アムネスティが被害の実地調査を実施

8. Egypt as a broker for prisoner exchange

Marzouk said a deal for the release of a captured Israeli soldier Gilad Shalit held in Gaza would be negotiated later, according to MENA. Egypt has been trying to broker a prisoner exchange between Israel and Hamas. Hamas is holding Shalit, who was abducted more than two years ago in a cross-border raid from Gaza into southern Israel.
捕虜交換の交渉代理人エジプト
さらにイスラエル側から出されている要求には、ガザの捕虜となって以来、対パレスチナ紛争で常に国内世論の焦点となってきたイスラエル兵ギラッド・シャリットの解放があり、この問題はパレスチナ人で現在イスラエルの囚人となっている多くの捕虜との交換条件として、後日双方との交渉で話し合われる予定だと、マズーク氏はMENAのインタビューで明らかにした。
イスラエルのガザ侵攻よりも随分以前から、エジプトはこれまでにも数回イスラエルとハマスとの間に立って、捕虜交換交渉を進めてきた実績がある。イスラエル兵シャリットは、2年以上前にイスラエル南部でガザから越境したハマス兵士によって捕獲され、捕虜になったままである。
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左:イスラエルの捕虜になっているガザのパレスチナ人は1万人以上といわれ、総人口わずか140万のガザ市民は、何らかの形で捕虜の家族と関連がある /中:パレスチナの国旗 /右:ガザのハマス政権指導者、イスマイル・ハニエ

9. Reconciliation to form a unity government?

Besides mediating a truce for Gaza, Egypt also is trying to bring Hamas and its Palestinian rival, President Mahmoud Abbas, into talks on reconciling and forming a unity government that can move ahead with peace negotiations with Israel. Egypt hopes to host a reconciliation conference Feb. 22.
ハマスと左岸のパレスチナ統一政権?
ガザのハマス側との和平交渉を煮詰めるかたわらで、エジプトはパレスチナの正統権を争うハマスの宿敵であり、ウェストバンク/左岸パレスチナのファタハ政権元首であるマムード・アッバース首相を、ハマスとの和解のテーブルへと引っ張り出そうという案を画策している。
その意図の究極的ゴールは、イスラエルとの恒久平和を成立することであり、それにはどうしてもガザと左岸が元通りに一体化する「パレスチナ統一国家」としての政府を樹立することが前提条件だからである。エジプトはこの画期的な和解の会談を、2月の22日にエジプト国内で主催する予定である。
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左のグリーンの旗がハマス、右の黒・白・グリーンに赤い三角がパレスチナの国旗、しかし国家は現在左岸が代表

10. Palestinian refugee arrested

An Egyptian security official said Egypt had arrested a Palestinian who sneaked into Egypt through a tunnel from Gaza and was trying to purchase weapons in Egypt. The official, who spoke on condition of anonymity, said the man and two Egyptians who were sheltering him were arrested in the coastal city of El-Arish on Wednesday.
パレスチナ人の不法越境者を逮捕
12日水曜のガザ国境関連の事件としては、ガザ地区と国境を接するエジプトの海岸沿いの町、エルアリシュでの越境事件が報告されている。これは、ガザ地区のパレスチナ人住民が、エジプト国内で武器を購入しようとしてガザ地区からトンネルを経由してエジプト国内に密入国し、エジプト側の警備兵によって逮捕されたと、軍部高官が匿名の条件の下に明らかにしたものである。この事件では、越境したパレスチナ人男性と、彼をかくまったエジプト人2名が逮捕された、と伝えられている。 <了>
【 米国時間 2009年2月15日 『米流時評』ysbee訳 】
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ガザ地区北部のベイトラヒヤ難民キャンプも、もっとも被害の甚だしかった地区のひとつ。難民がさらなる難民へ

  >2/14 「核と平和のアメとムチ」 クリントンと北朝鮮
  <2/16 「ガザの壁と命の卵」 村上春樹とイスラエル-1
  <2/17 「投げつけられた卵」 村上春樹とイスラエル-1
  <2/18 「沈黙の壁を越えて」 村上春樹とイスラエル-3
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by ysbee-2 | 2009-02-15 20:25 | イスラエル・ガザ戦争

クリントンと金正日/核と平和のアメとムチ

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    ||| クリントンの半島対処外交 |||

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クリントン国務長官「オバマ政権は半島問題解決に向けて直接対話の用意」

d0123476_18552829.gif前回の記事の中では、きわめて重要な転機が記されていた。クリントンのアジア外交方針の演説の中で、特に中国よりも日本を「アメリカの友軍として再確認する」と断言している点である。ブッシュ時代の中国朝貢外交は、ユダヤ資本の中国投入を無制限に許していた。

毎年2桁の経済成長を重ねた中国は、グローバル経済の潮流の最先端で、世界の工場と化し国富を蓄積。一党独裁政権下にあっては、国益はそのまま軍備に回る。おめでたい話だが、世界が諸手を上げて中国の軍備拡張を手伝っていたようなものだ。オバマの新しいアジア外交政策では、そうしたビジネス偏重の盲目的旧体制を一蹴し、戦後以来の歴史ある日米友好関係の重大さを、あらためて再評価しているように受け取れる主張である。
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以前にも書いたが、オバマは中国がグローバルな紛争国の弾圧体制側やテロ組織へ、承知の上で武器を輸出取引していることを問題視しており、いずれはっきりした摘発、あるいは抗議の姿勢をとるのではないかと、私は期待している。少なくとも、これまで彼を初めから支援してきたリベラルのブログでは、長年敵視されてきたグローバル経済の汚辱の部分だからである。

とりあえず、クリントン国務長官が講演で明らかにした、日本との新しい関係に関する部分を前編で紹介したが、後編では北朝鮮との新しい外交関係についての翻訳である。ブッシュ時代には石油がらみで中東外交に重きが置かれたが、オバマ政権の元では、各地域の特殊性を十二分に知り尽くしたベテランを、それぞれ任命した。
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戦争から平和へと、グローバルな潮流を変えようとしているオバマ新政権。特にアジア地域に対しては、友軍であってほしいという願望が顕著である。北朝鮮に対しても、頼りないヒル特使任せだったブッシュ時代とは打って変わって、クリントン長官自身が直接対応する用意もできていると、平和的なメッセージの中にもすでにその強い姿勢をしっかり打ち出しているので、今後の金の対応と半島外交の展開が楽しみではある。

【米国時間2009年2月14日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 14, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月14日号
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 A s s o c i a t e d P r e s s | B R E A K I N G
クリントン長官:核開発廃絶と経済援助・国交回復・平和条約を交換条件に
米国時間 2009年2月13日午後11時51分 | AP通信・ニューヨーク支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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Clinton Warns N. Korea: No 'Provocative' Moves
She outlines priorities for Asia trip, including crucial issues in China, Japan
FEBRUARY 13, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
NEW YORK — Secretary of State Hillary Rodham Clinton, making her first major policy speech, urged North Korea Friday not to take any "provocative" actions that could undermine peace efforts.

クリントンから金へ「挑発行為はダメよ」
ニューヨーク発 |13日金曜ニューヨークで開催された、アジア・ソサエティ主催のフォーラムへ出席したヒラリー・ロッダム・クリントン国務長官は、米国の外交方針に関する就任後初の講演を行なったが、その中で北朝鮮に対する方針にふれ「東アジア和平への努力をむなしくするような、いかなる『戦争挑発行為』を取らないように」そ平壌政府に促す発言をした。
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昨年暮れに行なわれた北朝鮮建国60周年記念式典に出席しなかった金正日 その直後から健康危機説が流れた

2. China: Priority on environmental issue

Climate change will be another diplomatic priority, Clinton said, especially because of China's fast-growing industries. "Climate change is not just an environmental nor an energy issue, but also has implications for our health, our economies and our security," she said.
中国へ:環境汚染問題の解決策を
クリントン長官はまた、アジアの外交問題のもうひとつの優先事項は「地球温暖化問題」になるだろうとし、その理由は、特に温暖化の原因が中国の急速な工業化にあるからだと語った。
「地球温暖化問題は、ただ単に環境汚染やエネルギー問題に根ざすだけでなく、われわれの健康や経済・治安とも深く関わってくる問題です。」
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中国の急激な経済成長は、グローバル経済の潮流に乗って「世界の工場」としての立場を確立したからであるが、今や中国の垂れ流す公害は地球温暖化に拍車をかけ、東アジア全域の大気汚染の元凶となっている。

3. Call to give up N. Korea's nuclear programs

Amid press reports that North Korea might be preparing a long-range missile test, Clinton pledged to hold the communist regime to its commitments to give up its nuclear programs in return for international aid and political concessions. "We will need to work together to address the most acute challenge to stability in northeast Asia: North Korea's nuclear program," she said.
北朝鮮へ核兵器開発廃絶を呼びかけ
北朝鮮が長距離ミサイルの発射実験を準備中という報道に関しては、クリントンは厳しい姿勢を見せ、次のように明言した。
「国際的経済援助や政治的会談が可能であることの見返りとして、北朝鮮の共産党政権に対しては核開発計画を放棄するという取り決めを守らせます。われわれ(米国とアジアの友好国)は、北東アジアの安定化に対するもっとも厳しい試練『北朝鮮の核開発』に対して、ともに協力して働きかける必要があるでしょう。」
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上院議員時代から核廃絶問題に取り組んできたオバマは、旧ソ連盟邦国などの管理の杜撰な国からアルカイダなどテロ組織が核を入手する危険性を、世界にとって最大の脅威であるとこれまでにも口をすっぱくして警告してきた。

4. 'Opportunity to move discussions forward'

On North Korea, Clinton said the Obama administration is committed to working with the reclusive country through the framework of six-nation talks that produced the nuclear agreement. "We believe we have an opportunity to move these discussions forward," she said.
「和平への対話を前進させる可能性」
クリントン長官は、オバマ政権の北朝鮮核問題に対処する方針として、次のように述べた。
「東アジアにおける核に関する協定を結ぶための六カ国会談の枠組みを通して、孤立した北朝鮮とも協調して問題解決にあたる覚悟です。われわれは直接の話し合いを通して、お互いに問題解決へと前進する可能性をもっていると信じます。」
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昨年末の建国60周年記念式典に姿を見せなかったため、一時は「死亡説」の流れた北朝鮮政府の金正日総書記

5. U.S.: To normalize relations with N. Korea

"But it is incumbent on North Korea to avoid any provocative action and unhelpful rhetoric toward South Korea." The United States is willing to "normalize" relations with North Korea, Clinton said, but only if the regime in Pyongyang agrees to abandon its nuclear weapons programs and accept a program of verification.
米国は北朝鮮との国交回復も検討
「しかし、いかなる挑発的行為も韓国に対する問題発言も避けることは、北朝鮮にとって(国際的に承認されるための)必須条件です。米国は北朝鮮との国交正常化に対する意向はありますが、ただしそれは、平壌政府が核兵器開発計画を放棄して(国連 IAEAの)立入検査を受け入れてクリアした場合に限ります。」
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夫君のビル・クリントンは90年代に大統領を2期務めた経歴をベースにクリントン・グローバル・インスティチュートを設立。主に開発途上国の国家開発や産業振興のコンサルティングやエイズ撲滅などで世界を飛び回っている。

6. U.S. aid economy with 'De-Nuking' North

She suggested the United States could provide energy and economic aid and sign a peace treaty to formally end the Korean War. The 1950-53 conflict ended with a truce, and the two Koreas face each other across one of the world's most heavily armed borders.
核を放棄すれば米国から経済援助
クリントン長官はまた、米国側から北朝鮮への援助条件も示唆し(核放棄をクリアすれば)米国はエネルギーと経済援助を供与するとし、さらには半世紀以上停戦状態のままになっていた朝鮮戦争を、最終的に正式に終結するための平和協定(相互不可侵条約)を結ぶこともできると語った。
1950年から53年まで闘われた朝鮮戦争の結果、朝鮮半島は38度線の非武装地域をはさんで南北に二分され、世界でももっとも重装備の軍備が敷かれた地域のままである。
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朝鮮半島の38度線の国境を廃絶して南北統一を、と訴える民族統一を悲願とするソウルの統一運動のデモ

7. Peninsula to reach permanent peace treaty

"If North Korea is genuinely prepared to completely and verifiably eliminate their nuclear weapons program, the Obama administration will be willing to normalize bilateral relations, replace the peninsula's long-standing armistice agreements with a permanent peace treaty, and assist in meeting the energy and other economic needs of the North Korean people," Clinton said.
半島問題:休戦から恒久平和条約締結へ
「北朝鮮が核兵器開発計画を、完全に確認できる形態で放棄する用意を真摯に行なう場合には、オバマ政権は米国と北との二国間の外交関係をすすんで正常化するつもりです。その際には、長年一時休戦の協定で停滞していた半島平和の問題を、恒久的平和条約締結へと進められますし、北朝鮮の民衆が切望しているエネルギーと経済援助を見返りとして供与できるでしょう。」
クリントン国務長官は、米国と北朝鮮の新しい外交関係の可能性について以上のように講演した。
<了>
【 米国時間 2009年2月14日 『米流時評』ysbee訳 】
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左:北朝鮮政府の要職に就く金正日の義弟/中:中国からの親善使節を迎える金正日/右:韓国の統一推進担当相

◀前号「クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談」
▶次号「ガザ戦争終結へ!ハマスが1年半の停戦をついに受け入れ」
▶予告「アメリカの大いなる脱出・超大型活性化予算ついに成立!」
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by ysbee-2 | 2009-02-14 10:08 | トンデモ北朝鮮

クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談

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   ||| クリントン長官の日本初訪問 |||

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 ヒラリー・クリントン国務長官、アジア外交旅行第一歩は日本初訪問
 オバマ新政権、日本を最大の味方と重要視、北朝鮮拉致者家族と会談


d0123476_18552829.gifヒラリー・クリントンの変身には、何度も驚かされてきた。クリントン大統領が最初に立候補した際の健気な応援。しかしアーカンソー州知事夫人と言うよりも、勝気な学生のような歯に衣着せぬ当時の発言は、ある層には「生意気なリベラル」とひんしゅくを買ったのを覚えている。

その後、ホワイトハウスのファーストレディーに収まった後は、夫君の外遊や外交の表舞台で良きホステス役を務め、海外では米国を代表する顔となった。しかし、ビル・クリントンが大統領に再選された2期目に訪れた、クリントン家の土台を揺るがす危機。言わずと知れたモニカ・ルウィンスキー事件である。当時のニュースは、朝から晩までこのスキャンダルの細部まで暴露するのに汲々としていたように思い出す。平和な時代だったのかもしれない。
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醜聞にまみれながらも、一人娘チェルシーのために離婚の道は取らなかった、と後日談で語っていた。人生最大の危機を、アメリカ人には珍しい「耐える妻」の姿勢を通した。ビルが大統領として2期目の任期を終えたのと時期を前後して、今度はヒラリー自身がニューヨーク州の上院議員に立候補し、見事に当選を果たした。90年代からのクリントン夫妻への熱心なファンは、2008年の大統領選に際して、待ってましたと彼女を有力候補にかつぎ上げた。

スタート当初の下馬評では、無名の新人オバマを足下にも寄せ付けないだろう......と言うのが大方の予想だったのだが、オバマは百年にひとりの傑出した政治家だった。ブッシュ政権の嘘と欺瞞で凝り固まった簒奪(さんだつ)政治に辟易(へきえき)していたアメリカ人には、オバマの繰り出す腐敗政治へのストレートパンチは、長いこと待望していたヒーローの、必殺の一撃そのものだった。ご存知の通り、ヒラリー自身は「ナイーブ」と嘲笑した新人に予備選で敗れ、上院へ戻った。
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しかしこの新人は、ヒラリーの政治家としての資産を活用することを忘れなかった。夫妻の運営するクリントン財団が海外でどれだけパワーを発揮しているか、という実力を無視するほど、オバマは政治的に無垢ではなかった。彼の抜擢した人選を見ても、実に良くそれぞれの資質と経歴を見抜いて、最適のポジションへ配置している。チェスで言えば名人級の人事である。

そのオバマは、予備選では宿敵だったヒラリーを、閣僚の中でも副大統領に次いで重職の国務長官に抜擢した。世界のほとんどの国と直接外交交渉のあるアメリカにあって、この任務は実に重い。日本で言えば外務大臣だが、国務省の傘下にはCIAも収まっている。要するに、国家の中枢部分を司る省と言っても過言ではないだろう。
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そのヒラリーが日本を訪れる。外交旅行の振り出しはアジア訪問だが、最初のデスティネーションは東京だ。たしかに、中国へ向かう前の立寄り先に過ぎないと軽視する向きもいる。しかし、13日ニューヨークのアジア・ソサエティでの講演で、彼女はアメリカにとっての日本の重要性をことさら強調した。

外交辞令と言ってしまえばそれまでだが、花よりも実を取るなら、クリントンが日本訪問の際に会談する麻生首相や小沢氏が、どれだけ日本の国民の立場に立って切実に訴えてくれるか。またどれだけ米国側がその要求を真剣に受け止めて、実現に結びつけてくれるか。日本にとってのオバマ政権の外交の真価は、そこから歩き出す。ブッシュ時代の、のれんに腕押しの不甲斐ない外交関係を一蹴する、少しは歯ごたえのある新しい日米関係の時代が訪れることを、少しだけ本気で期待している。
【米国時間2009年2月13日『米流時評』ysbee】

注: トップの写真は、次のエントリで地球温暖化の件が出てくるので、たまたまとっておいたイメージで、特にクリントンが台風だと言っているわけではありません。(言ってるかな?)

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FEBRUARY 13, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月13日号
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   A s s o c i a t e d P r e s s | B R E A K I N G
オバマ新政権、日本を最大の味方と重要視、北朝鮮拉致者家族と会談
米国時間 2009年2月13日午後11時51分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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Clinton: 'Ready to Work with Asian Leaders'
She outlines priorities for Asia trip, including crucial issues in China, Japan
FEBRUARY 13, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
NEW YORK — Secretary of State Hillary Rodham Clinton declared that President Barack Obama's administration is "ready to work with leaders in Asia to resolve the economic crisis that threatens the Pacific as much as any other region, ready to strengthen our historic partnerships and alliances while developing deeper bonds with all nations."

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オバマ政権から国務長官に任命されて早々に、英国のミリバンド外相の表敬訪問を受け共同記者会見をするクリントン

国務長官就任後、初の外交方針演説

ニューヨーク発 |13日金曜ニューヨークで開催された、アジア・ソサエティ主催のフォーラムへ出席したヒラリー・ロッダム・クリントン国務長官は、就任後初の外交方針に関する講演を行なった。
「バラク・オバマ大統領の新しい米国政権は、環太平洋諸国はもとより、世界の他の地域にも波及し脅威を与えている経済危機を解決するために、アジア各国のリーダーとともに尽力する用意ができています。また、わが国が世界の国々と絆を深めて行く上で、歴史をふまえたパートナーシップと友軍関係を、さらに強化する覚悟もできています。」
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ニューヨーク市で開催されたアジアソサエティのフォーラムで初の外交方針をスピーチするクリントン国務長官

2. Speech at New York's Asia Society

Clinton spoke to New York's Asia Society on the eve of a trip to visit China, Indonesia, Japan and South Korea — her first as secretary of state — and noted that their major economies and huge populations will be critical to turning around the global financial crisis.
日本・韓国・中国・インドネシアを歴訪
ヒラリー・クリントンは、国務長官に任命されてから初めての親善旅行となる、中国、インドネシア、日本、韓国を歴訪する「アジア親善の旅」へ今週旅立つ。
彼女はその直前に、米国とアジア諸国の友好親善協会本部である、ニューヨーク市のアジアソサエティで基調講演を行なったが、その中では特に「世界経済のメジャーな担い手であり巨大な人口を抱えるアジア地区は、現在世界が直面しているグローバル規模の財政危機を切り抜ける上で、きわめて肝要な役割をになうだろう」と強調した。
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ホワイトハウスのジョージ・ワシントンルームでオバマ大統領、ジョージ・ミッチェル中東特使と歓談するヒラリー

3. Japan: Reassure as the top U.S. ally

She also sought to reassure Japan, the top U.S. ally in the region, on one of its top concerns, promising to meet with the families of Japanese citizens kidnapped by North Korea in the 1970s and 1980s. "I will assure our allies in Japan that we have not forgotten the families of Japanese citizens abducted by North Korea and I will meet with some of those families in Tokyo next week," she said.
日本:米国最大の味方として再確認
彼女はまた、この地域において日本は米国の最大の味方 (ally=友軍)であると再確認する考え方を強調し、70年代から80年代にかけて北朝鮮によって日本の本土から誘拐拉致された、日本の一般市民被害者の家族と会う約束があることも明らかにした。
「わが国の友好国日本を訪れたら、北朝鮮によって誘拐された日本人の市民の家族を、米国は決して忘れたりはしていないということを、私はあらためてはっきりさせたいと思います。ですから来週(今週)東京で、拉致被害者のご家族の方数人と会う予定です。」
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4. Meet the families of abductees

In a conference call with reporters after her speech, Clinton indicated that she would be taking a stance on the Japanese abduction issue similar to that of former President George W. Bush, who often spoke with emotion of his meeting at the White House with the mother of one of the victims.
北朝鮮拉致問題:被害者家族と直接面談
クリントン長官はフォーラムでの講演を終えた後、外部の記者とコンファランスコール(ネット会談)の時間を持ったが、その中で日本の拉致被害者問題に対する姿勢を説明し、ジョージ・ブッシュ前大統領と同じような立場を取ると自らを位置づけた。ちなみにブッシュ前大統領は、過去に拉致被害者の母親のひとりとホワイトハウスで面会した際に、個人的には非常に感情を動かされたとしばしば語っていた。(しかし、公的な動きは一切取らなかったのも事実である。)
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5. 'Cannot imagine what it must feel like'

"I don't know that I'll be meeting as a secretary of state, any more than I will be meeting with them as a wife, a mother, a daughter, a sister," Clinton said. "I cannot imagine what it must feel like to have lost family members and, for so many years, never to have heard anything about them or from them," she said.
「家族として想像に余りある悲しみ」
「家族の方々にお会いするときは、国務長官として逢うのか、それとも母親のひとりとして、あるいは娘や姉妹の立場がわかる一個人として逢うのか、わかりません。」(役職を忘れた一個人としての対話になるかも、という示唆)
「家族の一員を失ったまま、何の音沙汰もなく何の情報も得られないまま、こんなにも長い年月を過ごすのがどんなに悲痛なことか、想像に余りあります。」
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6. Continue to press NK for immediate address

"It's important that their plight not be forgotten. I attach great importance to the abduction issue." Clinton pledged to continue to press North Korea to immediately address Japan's concerns and to honor a previous commitment to provide more information to Japanese families. "They deserve it," she said.
「北朝鮮は日本へ即刻現状報告を」
「彼らの切実な願いを忘れないことが大事です。拉致被害者の問題 (abduction issue) については、きわめて重要性があると重きをおいています。」
クリントン長官は日本側の懸案に対して、速やかに声明を出すよう、また被害者の家族へより詳細な情報を伝えるというこれまでの姿勢を尊重して、北朝鮮に対して圧力をかけることを約束した。
「家族の方々は、切実にそう願っているはずですから。」クリントン長官は拉致問題へ対処する姿勢を以上のように語った。 <了>

【 米国時間 2009年2月13日 『米流時評』ysbee訳 】
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◀前号「テロ戦争とオバマ/タリバンの復活とパキスタン戦線」
▶次号「クリントンと金正日/核と平和のアメとムチ」
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by ysbee-2 | 2009-02-13 10:48 | オバマの時代

アフガンとオバマ/タリバンの復活とパキスタン戦線

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  ||| カブール同時多発テロ事件・後編 |||

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 オバマ新政権の軍事外交政策の焦点、アフガン戦線へ米軍派兵倍増で6万駐屯

d0123476_18552829.gifブッシュの8年間の間に掘り続けた赤字の大穴の総額が、奇しくもオバマが今週中に通そうとしている「Stimulus Plan=財政活性化予算案」の総額72兆円に近いというのも皮肉である(予算の正確な額は7870億ドル)。これは1929年に起きた世界大恐慌から脱出するために、ルーズベルト大統領が実施した「ニューディール政策」の予算と似た性質の、公共事業重視の経済活性化案である。
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良いところだけをクローズアップしてみると、この数十年補修されることもなく放置されてきた、道路・橋脚・トンネル・鉄道、送電・給排水施設、政府や学校・図書館などの公共建築物に巨額の「Rebuilding budget=再建予算」をつけて、ミネソタの橋崩落事故のような惨事が起きる前に、連邦施設のインフラ再構築を図る予算である。

この予算付けによって、当然受注業者のビジネスと失業者対策への一挙両得の活性化が見越せる。単純に解釈すればそれが活性化案の本命である。当然、根幹企業の周辺産業も活性化する。イラク戦争を断絶することによって、毎年ドブに捨ててきたような戦費が数十億ドルずつ国内予算へ回せるという算段である。
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このイッシューに関しては議案が上下両院を通過した段階で、フレッシュなニュースとしてお届けしたい。(ところで、本当に通過するのか?上院の予測賛成票がぎりぎりで、やや心配)

その前にこのカブール同時多発テロ事件、その翌日に起きたバグダッドの同時多発自爆テロ事件、さらにはニューヨークのバッファロー空港近くで起きた旅客機墜落事故、ロンドンの旅客機不時着事故………いやはやちょっと主立った事件を挙げただけでも、1日に何本もエントリを立てなければ追いつかない。昨日は野暮用で丸一日つぶれてしまったので、超特急で記事を翻訳してお届けします。(前書きなぞ書いてるバヤイではないぞよ)

【米国時間2009年2月13日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 12, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月12日号
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  Associated Press | B R E A K I N G
オバマ新政権の軍事外交政策の焦点、アフガン戦線へ米軍派兵倍増で6万駐屯
米国時間 2009年2月11日午前11時41分 | ロイター通信・アフガン支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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Obama's Foreign Policy Prioritize Afghan Frontline
Terror attacks on Kabul government underline the most dangerous zone
FEBRUARY 11, 2008 | REUTERS — BREAKING | Translation by ysbee
He faces a host of problems, from trying to ensure Pakistan battles the insurgents, encouraging the Afghan government to crack down on corruption and the drugs trade, to trying to ease age-old tensions between India and Pakistan.

叛徒制圧・汚職追放・カシミール紛争
前号「タリバンとオバマ/首都カブール同時多発テロ攻撃事件発生!」からの続き
アフガニスタン・カブール発 |オバマ政権での新しいアフガン・パキスタン特使、リチャード・ホルブルックは、数々の問題を抱えた大変な地域を受け持つことになる。
一例を挙げれば、パキスタン政府にはタリバン掃討に本腰を入れるようハッパをかけることとか、アフガン政府には汚職腐敗や麻薬取引の追放を叱咤激励するとか、さらには、インドとパキスタンとの間で (特にカシミール地方の帰属をめぐって) 長年わだかまっている敵意を和ませるよう奔走することとか、数え上げればきりがない。
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10. French officer and translator killed
The surge of U. S. troops in Afganistan is an attempt to stem the insurgent influence there that spills over into attacks and lawlessness inside Kabul itself. The commander of U.S. forces there warned of an increase in violence as his troops begin to patrol the area. A French officer and his Afghan translator were killed in an ambush in Logar on Wednesday, while four Afghan soldiers were killed elsewhere in the province by a roadside bomb.
NATO軍将校とアフガン通訳爆死
アフガニスタン駐留の米軍の増兵 (Surge/サージ) に関しては、辺境でのイスラム強硬派ゲリラの襲撃の影響が大きいと言える。その目的としては、自爆テロなどのテロ攻撃の発生を防ぐ治安警備と同時に、カブールの中央政府自身の内部腐敗や(麻薬密売などの)無法行為を摘み取る摘発作戦が主眼である。しかしながら米軍の現地司令官は、彼の部隊が各地域で治安パトロールを開始したのと同時に、逆にテロ攻撃も急増したと警告している。
その説を裏付けるかのように、11日水曜にはNATO軍所属のフランス軍将校がロガール地方でテロリストの一団の襲撃に遭い、アフガン人の通訳とともに殺されたし、アフガン政府軍の兵士はこの地方のあちこちで IED (道路埋込型遠隔操作爆弾) にやられ、4名が別個の場所で亡くなっている。
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11. Taliban suicide attacks surpassed 150/yr
While the nearly 70,000 foreign troops now operating inside Afghanistan insist they are making progress toward security, the wave of Taliban suicide attacks, more than 150 last year alone, only increases the sense of insecurity felt by most Afghans.
昨年だけでタリバンの自爆テロ150件以上
アフガニスタンでは今や、米軍・NATO軍あわせておよそ7万名近い外国の軍隊が活動を展開し、軍部側の発表では治安状態は進歩が見られたと自画自賛しているが、実際にはタリバンの自爆テロの波状攻撃はますます頻繁になり、昨年だけで150件以上のテロ爆破事件が起きている。したがって、一般のアフガン市民から見ると、治安状況はひたすら悪化の一途をたどっていると言わざるをえない。
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12. Afghan mess by lawless region
"The security is worsening, that is for sure. When the Taliban attack a ministry in the capital with explosives and weapons, they can do anything," said Mohammad Ziah, a phone card seller. On top of that, official corruption, slow economic progress, lack of rule of law and the mistaken killing of scores of civilians by foreign troops is further sapping faith in the ability of the Afghan government, as well as its Western backers.
汚職・政治腐敗・経済停滞・米軍誤爆 . . . .
「治安はたしかに悪くなっていることは事実だ。爆薬や武器で完全武装したタリバンが、首都の中央政府のビルを襲撃するなんて芸当ができるんだから、あいつらは何だってやれるさ」こう言うのは、フォーンカードの売人をするモハンマド・ジアーさんである。
こういった不穏な社会情勢に加えて、政府役人の汚職腐敗、経済停滞、無法状態があり、さらには外国軍隊の誤射や誤爆などで一般のアフガン市民が犠牲になる事件が頻発するに及んで、アフガン現政権の統治能力に対する信頼感は地に堕ちた。同様に、キリスト教国である欧米各国に対する信頼も消え去った。
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13. '30-yr to destroy, may take 100-yr to rebuild'
The hope of people — deserved to bring an end to nearly 30 years of war — was dissappeared. "If it took 30 years to destroy this country, it might take 100 years to rebuild it," Halim Fidai, the governor of Wardak province, told a news conference in Logar province.
「国家破壊に30年なら再建には100年以上」
アフガンのひとびとが望んでいた希望……30年近く続いた戦争に、終止符を打つこと。その夢はとうに消えた。
「もしこの国を壊すのに30年かかったなら、元通りに再建するには100年かかるだろう」
ワルダック州のハリム・フィダイ知事は、ローガン州での記者会見でこう語った。
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14. Facing difficulty in diversifying supply routes
As Washington prepares to send more troops to Afghanistan, most of them to the south to try to break a military stalemate there. NATO is faced with having to diversify its supply routes to the landlocked country after a series of attacks on convoys coming through Pakistan.
パキスタン経由の補給路をタリバン襲撃
ワシントンの米国政府がアフガニスタンへの派兵を倍増しようとしているが、配属される部隊のほとんどは、タリバンとの膠着 (こうちゃく) 状態が続いている現況を打破するために、パキスタンとの国境に近いアフガン南部の州へ送り込まれる予定である。
一方NATO軍の方では、パキスタンの軍港から陸揚げされた軍用物資を輸送するトラック部隊が、カイバー峠を通るルートで最近立て続けに襲撃を受けたあとでもあり、海岸線を持たない内陸国のアフガニスタンへの代行輸送ルートを探さなくてはいけない局面に直面している。
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15. Russia offers air-route to supply NATO
Russia could offer military aircraft to help supply NATO in Afghanistan, Moscow's Foreign Minister Sergei Lavrov said. The Kremlin views Afghanistan as an area where Russian interests coincide with those of the United States, despite fierce disagreements on other issues.
NATOアフガン軍の空路補給をロシアが提供?
モスクワのロシア政府のセルゲイ・ラブロフ外相は、アフガン駐留のNATO軍への物資補給を援助するためなら、ロシアが軍用機を飛ばして補給を代行してもいいと申し出をした。他の懸案ならいざ知らず、ことアフガンに関しては、テロ組織撲滅という目標で米国と利害が一致する地域と看做しているかららしい。
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16. Issue of closing AFB in Kyrgystan
The United States uses an airbase in ex-Soviet Kyrgyzstan to help supply its operations in nearby Afghanistan but the Kyrgyz government said last week it was closing the base. Moscow, which has been suspicious of the U.S. military presence near its borders, has denied any link between the closure of the base and Russia's decision to give Kyrgyzstan a $2 billion loan package.
キルギスタン米空軍基地閉鎖問題
米国は、アフガニスタンでの作戦に対する物資補給には、旧ソビエト連邦の盟邦国のひとつであるキルギスタンの米空軍基地を従来使用してきた。しかし先週キルギスタン政府は、首都ビシュケク郊外のマナス基地を閉鎖すると言い出した。その陰には、ロシアが自国と国境を接するキルギスタンでの米軍の存在を疑問視しているという事情もあった。
もっともロシア政府は、キルギスタンに対してロシアから20億ドルの借款を貸与する決断を下した事実と、キルギスタンが米軍の基地使用を断ったこととは、何の関係もないと否定はしているが。
<了>
【 米国時間 2009年2月12日 『米流時評』ysbee訳 】
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by ysbee-2 | 2009-02-12 19:18 | タリバニスタン最前線

カブール首都同時多発テロ攻撃で26名死亡!

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   ||| カブール同時多発テロ襲撃事件 |||

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 アフガニスタンの首都カブールで、政府3施設を自爆テロが襲撃、26名死亡

d0123476_18552829.gifイスラエル総選挙の結果報告と、ガザとの和平交渉の進展を書く予定だったが、いつものことでテロ襲撃が勃発した。今回は、オバマ政権が兵力を6万に倍増すると決定したばかりのアフガニスタン。しかも、首都カブールのアフガン中央政府の3つの省の建物、という大胆不敵な攻撃である。

バグダッド中央部の、コンクリートの分厚い壁で保護された、世界でももっとも孤立した場所のひとつ「グリーンゾーン」。アメリカのメディアは、その拵え(こしらえ)ものの一角を、自嘲を込めて「イラクのエメラルドシティ」と呼ぶ。革命運動で民衆が勝ち取ったのではなく、ネオコンの中東侵略政策の「ニューワールド・オーダー/新世界秩序」の青写真にのっとって、無理矢理捏ね(こね)上げられた押しつけの民主主義政権には、実に似つかわしい虚飾の呼び名だ。
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バグダッドには、米国のジャーナリストでも生え抜きの剛胆な記者が居座って、ブッシュ政権の傀儡政府であったアルマリキ政権の表裏を、如実に伝えてくれてきた。米国の援助資金の恩恵が、イラクの一般市民には回らず、中央政府要人の好き勝手な浪費に費やされてきたこと。

アメリカの国民は、国益よりもジャーナリスト魂を優先する、こうした勇気ある記者たちのレポートのおかげで、イラク戦争の大嘘、傀儡政府の腐敗ぶり、米軍と受注業者との癒着を知らされてきた。8年という長い月日がかかったが、ともかく簒奪王ブッシュ家はワシントンから去った。新しいオバマのホワイトハウス体制で、果たして公約通りのガラス張りの統治ができるだろうか。
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まずは就任早々、米軍の受注業者からブラックウォーター社をはずしたのは、大英断である。その調子で KBR、ハリバートンやベクテルからカーライル・グループにいたるまで、これまでに国庫から収益を膨大に吸い上げてきた受注業者をすべて洗い出して、健全財政にいくらかでも役立つようにしてもらいたいものである。

【米国時間2009年2月12日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 11, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月11日号
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  Associated Press | B R E A K I N G
アフガニスタン首都カブールの政府3施設を自爆テロが襲撃、26名死亡
米国時間 2009年2月11日午前11時41分 | ロイター通信・アフガン支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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Taliban Kill 26 in Trio of Afghan Capital Attacks
Militant assaults bear a resemblance to November strikes in Mumbai
FEBRUARY 11, 2008 | REUTERS — BREAKING | Translation by ysbee
KABUL, Afghanistan — Taliban militants killed 26 people in three simultaneous attacks on government buildings inside the Afghan capital on Wednesday, showing how far the Kabul government and its Western allies are from bringing peace.

ムンバイテロ事件のカブール版
アフガニスタン・カブール発 |11日水曜、アフガニスタンの首都カブールで、同時多発テロが勃発。タリバン叛徒と見られる複数の自爆テロリストが、アフガニスタン政府の3つの省を襲撃し、手榴弾や自爆ベストを爆破させ、少なくとも26名が死亡した。厳重な警戒態勢のはずの政府中枢を襲ったこのテロ攻撃事件は、アフガニスタンの社会状況がいかに「平定」からほど遠いか、という新たな証(あか)しとなった。
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テロ襲撃事件の翌日には、この地域担当の新しい米国特使リチャード・ホルブルックの訪問日で警備陣が倍増された

2. Gates, 'America's greatest military challenge'

The militants' aim appeared to be to shoot dead as many people as possible before blowing themselves up, a style of attack with similarities to that seen in the Indian city of Mumbai in November.
ゲイツ国防長官「アメリカ最大の軍事的挑戦」
テロ襲撃を実行した叛徒の目的は、出来る限り数多くの犠牲者を出すことだったようで、銃を四方八方へ撃ちまくったあと、自ら自爆装置の引き金を引いて自爆した。この攻撃スタイルは、昨年11月末にインドのムンバイで発生した同時多発テロを、そっくり真似たような手口だった。
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ムンバイのテロ襲撃事件とそっくりな態勢で、特別警備隊のコマンド部隊が屋根伝いに犯人の篭城場所へ

3. Gates, 'America's greatest military challenge'

U.S. Defense Secretary Robert Gates has described Afghanistan as America's greatest military challenge. As if to underline that, separate groups of militants attempted to storm three government buildings in Kabul on or just after 10 a.m. (12:30 a.m. ET). All were armed with assault rifles and wearing suicide bomb vests.
ゲイツ国防長官「アメリカ最大の軍事的挑戦」
米国のロバート・ゲイツ国防長官は、オバマ新政権でも引き続き国防総省を司る、新閣僚内でも数少ない「居残り組」のひとりだが、再任命の挨拶で「アフガニスタンは、アメリカが直面する最大の挑戦(難題)である」と警告した。今回のカブール政府施設へのテロ攻撃は、あたかもその言葉を裏付けるように起きた。
現地時間で水曜の午前10時過ぎ(米国東部時間で真夜中の午前0時半)、アフガニスタンの首都カブールで中央政府省庁の3つのビルを、3手に別れた数人ずつのテロ集団が奇襲した。犯人はみな一様にAK47の狙撃銃を手に、自爆用のベストを着用していた。
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アフガニスタン東部コースト州のキャンプサレルノ前線基地で、友人の戦死を悼む米軍海兵隊の女性兵士

4. Terrorists attacked 3 ministry buildings

One attacker tried to enter the Education Ministry, but was shot dead, Interior Minister Hanif Atmar told a news conference. Minutes later five militants entered the Justice Ministry after killing two guards. A policeman followed them in and killed one of the attackers while the other four fanned out shooting at everyone in sight.
テログループ、教育省・内務省・法務省を同時攻撃
紛争が収まった後で行なわれた記者会見で、ハニフ・アトマル内相は、襲撃者のひとりは教育省へ突入したが、すぐに警備員に射殺されたと報告した。またそのすぐあとに5人の叛徒が、入口にいた警備員2人を射殺して司法省へ突入。警官が内部へ追って行き一人を射殺したが、その間残りの4人は手当り次第に銃を打ち続け、周囲にいた勤務中の公務員を手当り次第に射ち殺したという。
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テロ襲撃を受けたカブールの内務省前の通りで、現場に駆けつけるANAアフガニスタン政府軍の警備部隊兵士

5. Two suicide-bombers attack on prison dept.

Ten people were killed before police stormed the building and shot dead the remaining attackers. Meanwhile in the north of the sprawling city, two suicide bombers entered a prison department building. A guard shot one dead before the second killed him and entered the complex, setting off his explosives and killing seven police.
刑務所に自爆テロ、警官8名殺害
事件発生後に駆けつけた武装警官が、内務省の建物に突入し残りの襲撃者を射殺したが、犯人たちはそれまでにすでに10人の勤務中の職員を殺害していた。
一方、南北に細長く伸びるカブール市の北端にある法務省刑務所庁の建物にも、2名の自爆テロリストが侵入。入口の警備員が犯人のひとりを撃ち殺したが、もう一人の犯人に打ち返されて死亡した。男はその直後に爆破物を巻き付けたベストを起爆したため、現場に居合わせた7名の警官が巻き添えになって亡くなった。
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アフガニスタン政府法務省所属の刑務所も襲撃され、爆破で破壊された建物 囚人脱走の有無は発表されていない

6. 26 killed, 60+ wounded in 3 attacks

"In total, 26 people have been killed, 60 more have been wounded," Atmar said. Taliban spokesmen swiftly claimed the attack, saying it was in revenge for the treatment of jailed insurgents. Only last month the first of up to 30,000 extra U.S. troops took up positions in Logar and Wardak provinces just south of the Afghan capital.
3省同時攻撃で死者26名、負傷者60名以上
アトマル内相から報告された被害状況によると、襲撃の結果26名が殺され60名以上が負傷した模様である。タリバン側のスポークスマンからも、事件発生後ただちに攻撃の事実を認める声明が発表されたが、今回の攻撃は、刑務所に収監されている囚人の取扱いに対する復讐であると語った。
一方米軍側では、つい先月アフガン駐在の米兵の部隊を倍増し、3万名を派兵増強する計画を発表した。増強部隊は、首都カブールのすぐ南にあるロガール州とワルダク州に駐屯する予定である。
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テロリストに射殺された警官 司法をつかさどる法務省のしかも刑務所部門が襲撃されるのでは治安のほどが知れる

7. Obama's Foreign Policy Prioritizing Afghan

U.S. President Barack Obama is awaiting a major review of strategy in Afghanistan which he has pledged to make his foreign policy priority, and is expected to sign off on plans to almost double U.S. troop levels to 60,000 and boost development aid.
アフガンに重点を置くオバマの軍事外交政策
米国新政権のバラク・オバマ大統領は、アフガニスタンにおける軍事戦略の大巾な見直しの報告書が上がるのを、今や遅しと待ち構えている。それというのも、オバマ自身が新しい政権の外交政策の中でも、アフガニスタンを最優先して解決したいと考慮しているためである。
アフガニスタンとパキスタンの国境地帯、俗にいうタリバニスタン地域のアルカイダとタリバン掃討戦線に、駐留米軍は従来2万6千名常駐していた。オバマ政権は、イラクからは米軍を撤退させる代わりに、この"Af-Pak Front"=アフ・パキ最前線には兵員を倍増して、トータルで6万という大規模増兵を行なう予定である。
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アフガニスタン・パキスタンへの外交特使リチャード・ホルブルックは、コソボ紛争解決の実績をもつ外交のベテラン

8. Holbrooke, 'Afghanistan, tougher than Iraq'

But as Obama's new regional point man Richard Holbrooke has admitted, Afghanistan will be a "tougher challenge than Iraq." Holbrooke is due in Kabul on Thursday after visiting Pakistan where Taliban militants train in the lawless tribal regions.
ホルブルック「イラクより困難なアフガン制圧」
しかし、この地域を平定する困難に関しては、オバマの任命したアフガン・パキスタンへ派遣のリチャード・ホルブルック特使も「アフガニスタンには、イラクよりも厳しい試練が待っているだろう」と認めている。ホルブルック特使は今週、タリバンが無法の辺境地帯でゲリラ戦士を訓練して問題となっているパキスタン、イスラマバードの政府を訪問したあと、木曜12日にカブール入りしカルザイ大統領大統領と会談する予定である。
>> 後編へ続く
【 米国時間 2009年2月11日 『米流時評』ysbee訳 】
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アフガニスタンは30年続いた戦乱で国土が荒廃した上旱魃が続き砂漠化した。名物の砂嵐で身動きの取れない米軍。

注:ここ1・2年はパキスタン北西部の北ワジリスタン州など、辺境のパシュトゥン族の民族自治州でタリバンの復活が目覚ましく、パキスタンのゲリラ基地から国境を越えてアフガニスタンへ襲撃をかけてくる事件が頻発した。特に昨年夏には、一時アフガニスタン第2の都市カンダハールが完全包囲され、陥落寸前の危機に陥った苦境もあったほどである。昨年9月に米軍の戦死者数でアフガンがイラクを上回って以来、ペンタゴン将校やCIAのスペシャリストの中でも、イラクはイラク政府へ任せ、アフガン・パキスタン国境を重点的に警備すべき、という声が高まってきていた。

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by ysbee-2 | 2009-02-11 11:48 | タリバニスタン最前線
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