米流時評

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R.I.P. アメリカ民主主義の魂 テッド・ケネディ

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   ||| Rest In Peace, Kennedy |||

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 アメリカンスピリットと民主主義の魂、民衆に愛されたテッド・ケネディ追想
 

d0123476_16582178.jpg まずはじめに、とりあえずお詫びを。
 exblogが今朝からトラブって、半日ほどアクセスできませんでした。
 こんなに長く「不通」になったのは、
 "駅風呂"で拙ブログを開設して以来3年間、初めてのトラブルです。
 その間にTBを送信できなかったみなさまには、深くお詫び申し上げます。
 
 今日の記事は、ここ3日連載していたテッド・ケネディの葬儀に
 ちょっと付随して書いたあとがきのような内容で、
 丸山氏(マルコおいちゃん)からいただいたコメントと、
 それに対する私のレス。
 
 60年代のケネディ兄弟の輝かしい生き方を知る者にとっては
 やはりどうしても一言添えて、
 弔いの一灯を掲げたかった……というところです。
 大きなニュースの合間に、ちょっと一服のつもりでどうぞ。
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 【8月31日のコメント欄より】

 こんにちは、丸山光三です。TBありがとうございました。
 
 ケネディ基金会というノース・キャロライナにある組織の
 ケネディ氏を知っていますが、この基金会、
 シナへ留学生を派遣するビジネスを20数年前からおこなっておりまして、
 しかしそれは名目だけで
 実際は留学生に名を借りたミッショナリーでした。
 
 どうもアイルランド系人は ややことなる気質をもった人が多いのか、
 変わった人との印象でした。
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 さて JFKがそれこそアメリカン・ドリームの最後の大輪で
 かつまた アメリカの民主主義を救う
 最後のチャンスであったのだ、と
 後知恵ながら 昨秋のリーマン・ショックを作り出した
 FRBの歴史的策動を見て、そう思いました。
 
 ジョンとボブの華々しい生涯にかくれて
 めだたないテッドでしたが、
 例のチャパキディック事件さえなければ
 大統領候補でもあったでしょう。

 冥福を祈ります。
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 【8月31日のコメントへのレス】
 
 >丸山さま、コメントをありがとうございます!
 (マルコおいちゃんの方が呼びやすいですね。)
 
 いつもizaのどなたかのコメント欄で拝見しておりましたが
 なぜか、今までお伺いする機会がなく、
 今回初めて「ジュディ・ガーランド」の袖にふれたようで
 ビデオを楽しませていただきました。(あれは傑作!ですね)
 
 (注:丸山氏のブログ『丸山光三或問集』
 8/28号でご紹介の
ビデオ『ジュディ・ガーランドの呪い』は、
 プロはだしというか、プロ以上の出来で驚嘆です。)
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 ケネディの基金は、
 多分 Kennedy Foundation のことだと思うのですが
 おっしゃるような留学生基金もそうですが、
 ボストンやニューヨークには、この団体の設立した
 図書館・博物館・シアターなど、数々の立派な文化施設があります。
 
 さらに、そうしたハードな施設で行なわれるソフト、
 つまりアートイベントやフォーラムなど、
 政治と一歩も二歩も離れた、純粋な文化推進事業も
 東海岸・西海岸両コーストの、文化人・知識人をゲストに
 市民が参加できる体裁で、開催しています。
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 実業の世界に投資しないで、社会福祉に財源を注いできたのは
 彼の家族が以前からよく言ってましたが、
 母親ローズが敬虔なカトリック信者で、
 家風のベースが聖母マリアの救済精神にあるから、のようです。
 
 さらには、姉妹のひとりが発育不全で、
 社会生活ができなかったこともあり、
 (カリフォルニア州知事)シュワちゃんに嫁に行った
 マリア・シュライバーの母親で、テッドの姉にあたる
 ユニス・シュライバーさんが、
 パラリンピックを創設したんだそうです。
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 まあ、慈善事業家と言えばケネディ家、
 と最初に挙げられるくらい 社会福祉には熱心な家系なので、
 末っ子のテッドは当然、母親や姉たちの影響に
 どっぷり浸かって育ったんでしょうね。
 
 (慈善と言えば、偽善とシノニムに受け取られる場合が多いですが
 ケネディ家の場合は、各自がライフワークとして
 一生を通して奉仕してきています。
 
 特にテッド・ケネディは、上院議員の立場を介して
 常に社会の底辺に生きる人々の代弁者として保護法案を通し、
 奉仕精神での公僕に徹した代表的な人物)
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 ご指摘の通り、FRB、軍産共同体など、
 米国の社会構造の脊髄に寄生している癌を、
 ケネディの2兄弟はしっかり気づいていて、これを排除しようとした。
 
 しかし、ユダヤ軍閥(米軍の巨額な軍事予算の発注先である軍需産業に投資する
 ユダヤ人資本家の財閥)とつるむタカ派の連中の意図の元に、
 63年と68年の2度にわたって、ふたりとも暗殺されてしまった。

 彼らの側近たちが、今回のテッドの死で
 各局で特集になった番組に、それぞれ出演してました。
 往時のビデオを見せながら(時効でもあるためか)
 その折々の事件の舞台裏を あらためて吐露してました。
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 しかしみな、オットー・プレミンジャーやフランク・キャプラの
 50〜60年代のアメリカの社会派映画に出てくるような
 正義感の塊みたいな老人ばかりで、驚きました。
 
 (ブッシュ時代の側近の50倍位、知的な話を
  口角泡を飛ばさずに、落ち着いて語る……理想的な老人たち)
 
 やはり、リンドン・B・ジョンソンが、
 ダラスの1件に1枚噛んでいたようですね。
 テキサス出身の政治家は、決して信用しちゃいけない
 というのは、ブッシュ以前からの鉄則のようです。
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 先週は朝から晩まで、アメリカのメディアは
 ケネディ追悼の一色で埋まっていたので、
 話し出すときりがないほど、政治の舞台の表裏の
 色んなエピソードをあらためて知ったりして
 非常に有意義な1週間でした。
 
 ほんと、テッドの場合、あのスキャンダルがなければ
 (チャパキディックで女性側近が溺死した事件)
 凡庸な大統領になって、任期最大でも2期の
 8年間で終わっていたのかもしれません。

 しかし逆に、ホワイトハウスを断念したことで、
 議会の牽引力としての立場を、地道に築いていく道を見つけたようですね。
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 逆境をバネに人生の坂道に挑戦する、というのは
 アメリカ人がもっとも評価する生き方ですが、
 彼の場合、金持ちのお坊ちゃんの立場から、
 あの事件で犯罪者扱いされて、煮え湯を呑んだわけですから、
 その克服力というのはただ者じゃなかったのでしょう。
 
 あの朗々と割れんばかりの声は(というより咆哮は)
 まさに「上院のライオン」と呼ばれるにふさわしい、
 最後の雄叫びでした。
 ああいう大人物は、また半世紀ほど経たなければ現れないんでしょうかね。
 つくづく残念です。
 Rest In Peace!

【米国時間 2009年8月31日『米流時評』ysbee 】
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d0123476_11564496.jpg◀ 次号「ハトヤマショック!米国から見た日本の政権交代」
▶ 前号「ケネディ家最後の英雄、アーリントン墓地に永眠」
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by ysbee-2 | 2009-08-31 18:48 | オバマの時代

テッド・ケネディ、アーリントン墓地に永眠

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  ||| God Bless Kennedy |||

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 テッド・ケネディの棺、数万の市民に見守られ兄たちの眠るアーリントン墓地へ
 オバマの悼辞「民主主義の基礎を確立した、我々の時代のもっとも偉大な政治家」


d0123476_16582178.jpg 27日に亡くなったエドワード・M・ケネディ上院議員の棺は、
 4日間の追悼のセレモニーをすべて終え、
 土曜夕刻に米国の英霊が眠るアーリントン墓地へ埋葬された。

 ハイアニスの自宅から出棺し、
 ボストンでの追悼式・告別式・葬儀をまっとうし、
 上院議員として47年を過ごした、首都ワシントンの議事堂の丘に立ち寄り、
 最後は兄たちの墓のある、バージニア州アーリントン墓地へ。
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 彼の暖かい人柄と膨大な交友を物語るように、
 ボストンとワシントンの沿道には数万人の市民が繰り出し、
 テッド・ケネディの葬列へ最後の別れを告げた。

 彼の人生は、ジョンとロバート、
 二人の兄が託した遺志「たゆみない理想の実現」を、
 半世紀近く議会で実践した
 「理想主義者の政治の実践」そのものだった。
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Family, Leaders Pay Final Tribute to Kennedy
Obama praises late senator as 'the greatest legislator of our time'
AUGUST 30, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
WASHINGTON — Sen. Edward M. Kennedy was laid to rest alongside slain brothers John and Robert on hallowed ground at Arlington National Cemetery on Saturday evening, celebrated for "the dream he kept alive" across the decades since their deaths.

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  AUGUST 30, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月30日号
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 テッド・ケネディの棺、兄たちの眠るアーリントン墓地で永眠
 米国時間 2009年8月30日午後8時16分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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 1. Obama, 'Greatest legislator of our time'
BOSTON — President Barack Obama led the nation Saturday in mourning and remembering "the greatest legislator of our time," celebrating the indelible impact of Edward M. Kennedy as a senator for nearly a half-century and leader of America's most famous family during tragedy and triumph.

オバマ「我々の時代のもっとも偉大なる政治家」
マサチューセッツ州ボストン/ワシントン D.C./バージニア州アーリントン発
29日土曜バラク・オバマ大統領は、水曜未明に亡くなったエドワード・ケネディ上院議員の葬儀に参列し、米国民を代表して「我々の時代のもっとも偉大なる政治家」と弔辞を述べた。
テッド・ケネディは半世紀近く上院の長老議員として8期務め、米国議会法案可決の最大の貢献者として、党派を超えた尊敬を集めた。またふたりの兄を暗殺で失ったもっとも著名なファミリー、ケネディ家の家長として、悲劇を乗り越えて大家族を率いてきた。
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 2. From Boston to D.C., Arlington
Rain beat down steadily as Kennedy's coffin was borne by a military honor guard into the Basilica of Our Lady of Perpetual Help, in a working class neighborhood of Boston, and later again when it was brought back out for the flight to Washington and the military cemetery in Virginia just across the Potomac River from Washington.

ボストン > ワシントン > アーリントン
翻訳中
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 3. Get together with his brothers in Arlington
Kennedy died Tuesday at 77, more than a year after he was diagnosed with a brain tumor. In life, the senator had visited the burial ground often to mourn his brothers, John and Robert, killed in their 40s, more than a generation ago, by assassins' bullets. "The Mass of Christian burial weaves together memory and hope," said the Rev. Mark R. Hession, parish priest at the church.

アーリントン墓地の兄弟のそばへ埋葬
翻訳中
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 4. Ending of 4-day public/private mourning
Saturday's events marked the end of four days of public and private mourning meant to emphasize Kennedy's 47 years in the Senate from Massachusetts, his standing as the foremost liberal Democrat of the late 20th century yet a legislator who courted compromise with Republicans, a family man and last heir to a dynasty that began in the years after World War II.

4日間の壮大な葬送にピリオド
翻訳中
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 5. 'Heir to a weighty legacy' of Kennedys
Delivering an emotional, simple eulogy for Kennedy that capped a two-hour Roman Catholic funeral Mass, Obama employed humor, his own experiences and timeless anecdotes to memorialize the senator, who died Tuesday at 77 after battling brain cancer for more than a year. The country may have viewed him as "heir to a weighty legacy," Obama said.
「ケネディ家の栄光の歴史の重荷を継承」
翻訳中
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 6. 'Lifetime to touch as many lives and right'
"He was given a gift of time that his brothers were not. And he used that time to touch as many lives and right as many wrongs as the years would allow," Obama said in a eulogy that also gently made mention of Kennedy's "personal failings and setbacks." As a member of the Senate, Kennedy was a "veritable force of nature," the president said.

「あらゆる階層に市民権確立のライフワーク」
翻訳中
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 7. 'Kennedys' dream he kept alive'
But more than that, the "baby of the family who became its patriarch, the restless dreamer who became its rock." Those left behind to mourn "grieve his passing with the memories he gave, the good he did, the dream he kept alive" Obama said inside the packed church.

「ケネディ兄弟の理想の灯火を燃やし続けた人生」
翻訳中
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 8. Grandkids close to their 'big cheese'
But he was playfully known by the youngest Kennedys less grandly: as the big cheese, "The Grand Fromage." "He was a product of an age when the joy and nobility of politics prevented differences of party and philosophy from becoming barriers to cooperation and mutual respect — a time when adversaries still saw each other as patriots," Obama said.

孫たちから「親分」と慕われたよき祖父
翻訳中
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 9. Legacy of Joe, Jack, Bobby
"He answered Uncle Joe's call to patriotism, Uncle Jack's call to public service and Bobby's determination to seek a newer world. Unlike them, he lived to be a grandfather," he said. Joseph Kennedy Jr. died in World War II, John F. Kennedy was the nation's 35th president when he was assassinated in 1963.

早逝した3人の兄の遺志を継いで
翻訳中
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 10. 'The greatest legislator of our time'
And Sen. Robert F. Kennedy was killed five years later as he campaigned for the presidency. "And that's how Ted Kennedy became the greatest legislator of our time. He did it by hewing to principle, but also by seeking compromise and common cause — not through deal-making and horse-trading alone, but through friendship, and kindness, and humor."

「我々の時代のもっとも偉大な政治家」
翻訳中
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 11. Thanks calls for 47 years of public service
With flags over the Capitol flying at half-staff in his memory, his hearse stopped outside the Senate where he served for 47 years. "Go now, to your place of rest. And meet the Lord, your God," said the Rev. Daniel Coughlin, the House chaplain. Crowds lined the streets of two cities on a day that marked the end of a political era.

上院議員として公僕に徹した47年間への感謝
翻訳中
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 12. Thousands lined to say farewell
Outside Kennedy's funeral in rainy Boston, and later in the day in humid, late-summer Washington, thousands lined nearby sidewalks, ignoring the rain, as the funeral procession passed. "I said to myself this morning, 'No matter what the weather, I'm going, I don't care if I have to swim," said Lillian Bennett, 59, a longtime Kennedy supporter, and determined to get as close as she could to the invitation-only funeral.

数万人が沿道で最後のお別れ
翻訳中
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 13. Finally rest in peace at Arlington
A few miles away, Kennedy's freshly excavated gravesite was on a gently sloping Virginia hillside, flanked by a pair of maple trees. His brother Robert, killed in 1968 while running for president, lies 100 feet away. It is another 100 to the eternal flame that has burned since 1963 for John F. Kennedy, president when he was assassinated.

兄達とアーリントン墓地に永眠
翻訳中
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 14. Fall and rise of one man's legacy
Kennedy's career spanned the assassinations of his brothers, President John F. Kennedy and Sen. Robert F. Kennedy, the civil-rights era, Apollo moon-landings, battles over health, education and immigration, as well as the country's election of Obama as its first black president, who was born roughly 18 months before Kennedy took office. The emotional funeral concluded four days of public and private mourning.

栄光・敗北・復活の見事な人生
翻訳中  >次号「R.I.P. アメリカ民主主義の魂 テッド・ケネディ」へ続く

【 米国時間 2009年8月30日『米流時評』ysbee 訳 】
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d0123476_11564496.jpg◀ 次号「R.I.P. アメリカ民主主義の魂 テッド・ケネディ」
◀ 9月初週予告「どうなる日本?米国から見た日本の政権交代」
8/29 感動4日目、テッド・ケネディの壮麗なる葬儀

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by ysbee-2 | 2009-08-30 20:45 | オバマの時代

感動!テッド・ケネディの壮麗なる葬儀

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  ||| Fairwell the Last Kennedy |||

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 ボストンで行なわれたカトリック教会の壮麗な葬儀で、ケネディに最後のお別れ
 

d0123476_16582178.jpg ケネディ家と言う場合、単にKennedy Familyと言うよりも、
 よく「Kennedy Clan=ケネディ一族」という言い回しをする。
 たしかに、ケネディ3兄弟の両親、ジョーとローズの間には、
 姉妹が5人、兄弟が4人 (長兄ジョーJr.はパイロットで戦死)。
 
 父親が米国大使としてロンドン駐在の間は、
 一家そろって11人という大所帯だった。
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 カトリック信奉のアイリッシュアメリカンなので、
 産児制限をしない家系のせいもあるが、
 それよりも、戦時中の生めよ増やせよの風潮で、
 子沢山はお国への貢献という、社会的背景もあったのだろう。
 
 ケネディ家のクロニクル/年代記は、
 まるで 大戦後の米国政治史を一巡するような趣きの
 歴史の「厚みと奥行き」があるので、
 週末後半にたっぷり書く予定である。

 そういうわけで、今日は取り急ぎ、
 現在進行形のニュース記事を紹介。
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 テッド・ケネディの祖父が市長を務めたこともある
 母親の出身地であり、彼の母校ハーヴァード大学の所在地でもある
 ボストンで、米国政界の錚々たるメンバーが参列して
 カトリックの壮麗な「お葬式」が執り行われた。

 しかし、米国政治の要人がずらりと顔を揃えた、
 国葬並みの参列者も壮観だったが、
 何と言っても圧倒されたのは、その来賓が教会の左側を埋め、
 右側の席には、大型バス4台を連ねて到着した
 ケネディ一族で占められたことだ。

 たしかに、9人の子供から孫・ひ孫と末広がりに増え、
 さらに、それぞれの配偶者の家族まで参列しているのだから、
 その数は200名を下らないのだろう。
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 教会の席数の関係で、絞りに絞った列席者総数
 1500名と伝えられたので、実数はもっと多いかもしれない。

 その一族が、みな鼻筋の通った眼窩の深い
 独特の「ケネディ顔」をしているので、
 これは、どこから見ても「Clan=一族」と呼ぶほかない。

(飛行機事故で亡くなった故ジョン・ケネディ・ジュニアや
 シュワルツェネッガー夫人のマリア・シュライバーが好例。
 どちらも、テッド・ケネディの甥・姪に当たる。)
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 教会の葬儀では、テッド・ケネディの娘カーラと
 ふたりの息子、テッドJr. とパトリックが悼辞を述べた。

 特に、12才の少年期に癌にかかり、
 片足を切断せざるをえなかった長男の
 テッド2世の、父親の思い出話には
 思わずほろりどころか、大泣きしてしまった。

 東部時間とハワイとでは、夏場で6時間の時差があるので
 今朝の2時から現在お昼少し前まで、ず〜〜〜〜〜っと実況を見ている。
 そして、一瞬も飽きない展開なのが、また驚きだ。
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 まるで『アイリッシュ・ゴッドファザー』のようなイメージである。
 いや、本物の感動なので、映画以上だ。

 現在は、早逝した3人の兄が眠るアーリントン墓地まで
 ケネディの棺を乗せた霊柩車が、粛々と進んでいる。

 首都ワシントンを一望する上下両院議事堂、
 キャピタルの前を通過するのを
 1万数千人の市民が並んで待ちかねているところ。
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 ジョン・F・ケネディ記念館におかれたケネディの棺に
 最後の別れを告げる、一般公開の告別式の記帳には、
 昨日までの2日間、5万人が哀悼訪問したようである。

 私が「アメリカはすごいな」と思うのは、こうした状況である。
 誰が指示した訳でもないのに、弔意を表したい。

 いや単に、素直な尊敬と愛情の表現として、
 党派を超えたフツーの市民が、
 手づくりのサインや星条旗の小旗を持って、
 三々五々集まってくることだ。
 自分の国を本当に愛している、というのが伝わってくる。
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 今朝方は、夏場に珍しいどしゃぶりだったため、
 雨の上がった現在はひどく蒸し暑い、とレポーターが訴えるが、
 道路の両脇を埋めた群衆は、何時間も「うれしそうな笑顔で」待っている。
 テッド・ケネディが、どれだけ愛されている(いた)のか、
 この群衆の顔を見れば、一目瞭然だ。
 
 さようなら、最後のケネディ兄弟。
 Fairwell the beloved survivor!
 
【米国時間 2009年8月29日『米流時評』ysbee 】

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  AUGUST 29, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月29日号
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 テッド・ケネディの壮麗なる葬儀 第4日目 ボストンカトリック教会篇
 米国時間 2009年8月29日午後1時42分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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Family, Leaders Pay Final Tribute to Kennedy
Obama praises late senator as 'the greatest legislator of our time'
AUGUST 29, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee


1. 50,000 visitors for 2-day mourning

Thousands of mourners filed past his flag-draped coffin earlier in the week when Kennedy lay in repose at the John F. Kennedy Library in Boston. Republicans and Democrats alike recalled his political career in a bipartisan evening of laughter-filled speechmaking on Friday.

2日間で5万名の弔問記帳者
ケネディの遺体を納めた棺が、今週木曜金曜の2日間、ボストンハーバーを見下ろすジョン・F・ケネディ記念館に据えられ、亡き上院議員の棺に弔意を示す一般市民が5万人以上訪問記帳した。その後、金曜の夜には彼の所属する民主党議員も対抗する共和党議員も、党派を超えた旧友が集まって、涙と笑いに満ちたケネディとの思い出話を披露した。
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 ボストンのドチェスター湾を見下ろす岬の先端にそびえる、JFK記念館のハーバービュールームに据えられた棺

2. Boston: The second home city

Massachusetts citizens kept on electing him as their Senator for almost half a century. Regarding Boston, especially, even the church had special meaning for the family. Kennedy prayed there daily several years ago during his daughter Kara's successful battle with lung cancer.
ケネディゆかりの地、ボストンの沿道
ボストンはケネディの母方の祖父が市長だったゆかりの地であり、マサチューセッツ州民は半世紀近くもの間、たとえ彼がスキャンダルの渦中で窮地に陥っても、常に変わることなく彼を支援し続けてきた第2の故郷である。
ここでは土曜に葬儀の行なわれる教会でさえ、ケネディにとってはなじみ深い場所だった。それというのも、数年前に彼の娘カーラが肺がんと闘っていた最中に、全快を祈願しによく通ったのがこの教会「Our Lady of Perpetual Help Basilica/永続する救済の聖母大聖堂」 だったからだ。
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 左:肺ガンを克服した元北アイルランド特使の娘カーラ /右:テッドが親代わりになったロバート・ケネディ2世

3. Thousands lined to say 'Thank you'

字数制限のため英文省略
数万人が「ありがとう、ケネディ」
教会へ向かう道の両側には、ケネディに最後のお別れを告げる市民が舗道を埋め、国旗の小旗を振ったり「ありがとう、ケネディ」と手書きしたサインや真っ赤なハートを掲げる者もいた。
この日のボストンは、大西洋東方海上に熱帯性低気圧ダニーが接近している影響で、外気の気温は通常よりもやや低めだったが、教会の中は席を埋めた参列者の熱気でむんむんしていた。数百年の歴史ある石造建築の教会にはエアコンが設備されておらず、教会側ではステンドグラスの窓を開けて外気を取り込んだり、扇風機を回したりして対応に大わらわだった。
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 ボストンのJFK記念館から出棺、首都ワシントンを通過しアーリントン墓地へ向う葬列に最後の別れを告げる市民

4. Vicki's final good by

字数制限のため英文省略
ヴィッキ未亡人、最後のお別れ
この日の朝、星条旗で被われたケネディの棺は、生憎の土砂降りの雨で濡れないようぴっちりと透明なビニールで巻かれ、8人の儀仗兵がしずしずと追悼式会場だったボストンのJFK記念館から搬出した。棺は黒塗りの霊柩車へと移されて、ボストン市内のカトリック教会へと向かった。
土砂降りの雨の中で傘をさして、出棺を見届けていたケネディ上院議員の未亡人ヴィクトリア(ヴィッキー)は、その瞬間静かに目を閉じて涙をこらえているようであった。
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 脳腫瘍が発見されて以来、夫の手足となって介護したケネディの2度目の妻ヴィクトリアと息子のクラン・ラクリン

5. Politicians, family, friends share the aisle

字数制限のため英文省略
聖堂の左に政界要人、右に家族と友人
病状が悪化してからも、ケネディがほとんど毎日通っていた大聖堂の伽藍の下では、司祭が7名、棺をかつぐ親族が11人、さらにその応援組が29名、それぞれの役割を担当して葬儀を進める。12名以上のケネディ家の選ばれたメンバーの手で、棺は儀仗兵の手から教会の通路へと安置される。それからひとりずつ、棺を被った布をタッチしていく、という式次第で葬儀のミサが始まった。
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 陸海空三軍の儀仗兵8名の手で霊柩車から降ろされ、大聖堂へと向かう棺を両脇で見守るケネディ家のひとびと

6. Gathering big-name celebrity friends

字数制限のため英文省略
スポーツ界ハリウッドにも広い親交
ケネディの葬儀の参列者は、招待客のみに限定されていたが、その中には全米プロバスケットボールのヒーロー、ボストンケルティックのビル・ラッセル、ハリウッドスターのジャック・ニコルソン、かつてケネディの側近を務めたこともある最高裁判事のスティーブン・ブライヤーなどの顔も見えた。
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 ケネディの交友はローマ法王からハリウッドまで広い。ジャック・ニコルソン、シュワルツェネッガーも参列

7. Attended Clinton, Bush, Carter

字数制限のため英文省略
クリントン、ブッシュ、カーターも参列
大聖堂の参列者の中では、オバマ、ブッシュ、クリントン、カーターと、新旧合わせて4名の大統領が、それぞれ配偶者とともに最前列に並んだ。祭壇へ向かう通路をはさんで、右側にはケネディ一族の親族とケネディの親友。左側には数百人の上下両院の新旧議員が着席したが、みな多かれ少なかれテッド・ケネディの影響と薫陶を受けた者ばかりである。
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 左:民主党のヘビーウェイト、ニュージャージー州知事コルジン、ゴア元副大統領、ケネディの親友トッド上院議員
 右:超党派の議案提出ではよくケネディと肩を組んだ、共和党の長老マケイン上院議員と43代プチ・ブッシュ


8. Almost the class of national funeral

字数制限のため英文省略
国葬並みの格調高い葬儀
国務省派遣特使として北アイルランド紛争の和平調停役を果たしたこともある、テッド・ケネディの娘カーラ・ケネディは、当時の紛争当事国双方から招待客を迎えた。アイルランドからは首相ブライアン・コーウェン、ショーン・ウッドワード国務次官、マーチン・マクギネス第一書記官、アイルランド共和党党首ゲリー・アダムス。英国からは首相夫人サラ・ブラウン……など英国とアイルランドの政界重鎮が参列した。
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 マーサズヴィニヤードで夏休みの休暇中のオバマ夫妻も駆けつけ、クリントン国務長官&元大統領夫妻と挨拶

9. Placido Domingo and Yo-Yo Ma

字数制限のため英文省略
ヨーヨーマとプラシド・ドミンゴの聖歌
大聖堂への入棺から出棺まで2時間余りの葬儀のミサは、若くして亡くなったふたりの兄、ジョンとロバートの国葬を彷彿とさせる、荘厳な葬儀だった。しかし、77才で大往生した故テッド・ケネディ上院議員の私生活を豊かに彩った思い出が随所に散りばめられ、兄たちの悲壮な葬儀とは異なる「人生を極めた者への祝福」の雰囲気が、参列した賓客の顔にもミサの内容そのものにもあふれていた。音楽ではチェロ奏者のヨーヨーマとテナー歌手のプラシド・ドミンゴ、そしてオペラ歌手のスーザン・グラハムが、優雅な調べで参列者を魅了した。
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 世界的テナー、プラシド・ドミンゴとチェロ奏者ヨーヨーマの共演 おまけにスーザン・グラハムという贅沢の極み

10. So many funerals for Kennedys

字数制限のため英文省略
ケネディ家からあまりにも多くの葬儀
土曜に行なわれた正統なカトリックの葬儀ミサは、60年代に相次いで暗殺されて亡くなった二人の兄、ジョン(愛称ジャック)とロバート(ボビー)の葬儀を思い起こさせた。1968年大統領選の予備選の期間中にロサンゼルスで暗殺されたロバート・ケネディの葬儀の際に、民衆に愛されたボビーの死を悼んで、後世に残る有名な悼辞を述べたのは、ほかならぬエドワード(テッド)・ケネディそのひとだった。
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 マリア・シュライバーの母親でテッド・ケネディの姉ユニスを亡くしたばかりの夫、サージェント・シュライバー

11. Kennedy's sons also rise

字数制限のため英文省略
テッドの遺志を継承する息子たち
テッドの二度目の妻ヴィクトリア(ヴィッキー)未亡人と、9人兄弟姉妹の中で唯一存命中の妹ジーン、ロバート・ケネディの未亡人エセルらが次々と、白い被布でおおわれた祭壇の前の棺にそっと手を置いて哀悼の意を示した。特にテデイの長男エドワード(テッド)・ケネディ2世は、棺に手を置いて父親の遺志を受け継ぐかのように、しばらくの間黙祷を捧げた。
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 プラシド・ドミンゴとヨーヨーマの賛美歌共演の後に謝意を表す、ケネディ未亡人ヴィッキーと長男のテッド2世

12. Kennedy family's moving eurogy

字数制限のため英文省略
3人の子供から別れの言葉
ケネディの家族を代表してまず初めに長女カーラが、聖書から「パリサイ人の手紙」第72節を朗読。続いて次男のパトリック・ケネディ下院議員が弔辞を述べた。
彼は政治家としての父親を「理想主義者で、かつ実践主義者だった/an idealist and a pragmatist」と評価した。特に民主・共和の党派を超えて、両陣営の議員から尊敬を集めた「議会統一のまとめ役」としての存在を強調したが、最後は涙ながらに「親父、愛してるよ、これからもずっと。もう今から淋しいよ」と愛息らしく結んだ。
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 左:ケネディの次男パトリックと長女カーラ /右:棺に続いて聖堂へ入場する未亡人ヴィッキーと息子のクラン

13. A life struck by great tragedies

字数制限のため英文省略
悲劇と難関を乗り越えた人生
続いて長男のテッド・ケネディ2世が、何十年も前の子供時代のエピソードを披露した弔辞を述べたが、父親の思い出話を聖堂の祭壇から語っているあいだ中、パトリックもすすり泣いていた。テッド2世は12才のとき癌にかかり、不運にも片足を切断するという悲劇に出逢っている。その直後のある冬の朝、前の年まではよくソリで滑って遊んだ凍った坂道へ出たものの、義足のために転んでしまった。彼はその時を思い出して語り出した。
「僕はもう前のようには歩けない、遊べない……という絶望感にうちのめされて、もうこんなことも僕にはできない……と泣き出しました。」
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 77才で大往生したテッド・ケネディの二人の息子、パトリックとテッド・ジュニア。父親の存在は偉大だった。

14. "Never give up, you can do it"

Then father told me, 'My son, there's nothing you can't do. Never give up, you can do it.' And he hold me up by his gentle and strong arms. So it took all day to reach the top of hill finally, while my father was always carefully watching. I learned that even in a profound losses, there's nothing you can't get through.'"
「諦めるな、やれば必ずできる」
「すると父は僕に向かってこう言いました。『息子よ、お前にできないなんてことはないんだよ。けっして諦めちゃいけない。必ずできるよ!』そう言って、優しくてかつ力強いあの腕で私を抱き起こしてくれました。そのあと丸一日かかって、やっと丘のてっぺんまで自分の片足でたどり着いてソリで滑り降りることが出来ました。」
「その間中、親父はずっとそばにいて、僕が片足をひきずって凍った坂道を上るのを見守っていてくれました。その経験で僕が学んだのは、いかなる絶望的な境遇にあっても、自分で克服しようとする努力を続ければ、いつか必ず乗り越えられるものだ、と言う真実です。」
  >次号へ続く
【 米国時間 2009年8月29日『米流時評』ysbee 訳 】
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 参列者ももらい泣きしたケネディの長男テッド・ジュニア、涙の弔辞を終えて祭壇から降りる際に棺にお別れのキス

d0123476_11564496.jpg◀ 次号「ケネディ家最後の兄弟、アーリントン墓地に永眠」
◀ 予告「どうなる日本?米国から見た日本の政権交代」
▶ 前号「巨星墜つ、ケネディ上院議員死す。享年77才」

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by ysbee-2 | 2009-08-29 09:50 | オバマの時代

巨星墜つ、エドワード・ケネディ死す。

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  巨星墜つ、テッド・ケネディ死す 

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  米国政治の最重鎮、サー・エドワード・ケネディ上院議員、77才で逝去
  昨年来脳腫瘍で病床にあった "アンクル・テディ" 姉ユニスと同月の悲報


d0123476_16582178.jpg エドワード・ケネディ上院議員が、ついに亡くなられました。
 昨年来、脳腫瘍で病床にあったテッド・ケネディ。
 上下両院で多分もっとも尊敬され、影響力の大きかった政治家。
 彼の応援がなければ、オバマ大統領も生まれなかったでしょう。

d0123476_19244332.jpg 60年代の、アメリカンカルチャーの黄金期に
 中学・高校時代を過ごした私としては、
 アメリカの政治家と言えば、
 リンカーンでもルーズベルトでもなく
 ジョン・F・ケネディにほかならない。

 そのケネディ家3兄弟の末っ子が
 テッド・ケネディ。
(写真左からジョン、ボビー、テッド)
 
 二人の兄、JFKとロバート・ケネディを
 暗殺で亡くしているだけに、
 大統領への夢を諦めざるをえなかった彼。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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 ただ今MSNBCで特集番組を見ています。
 このあと1週間位は、ケネディの話題が
 メディアの枠を埋めるでしょう。

 ケネディに関しては、個人的に思い入れが大きいので、
 この続きは明朝、きちんと書きたいと思います。

 *写真は欧米主要メディアサイトのトップページ。死去の臨時ニュースから1時間以内。

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MSNBC.com/ケーブルニュースチャンネルMSNBCのサイト。全米のテレビ局を網羅するNBCニュースネットワークだけでなく、AP通信、ロイター通信、ニューズウィーク、ニューヨークタイムズ、ビジネスウィーク、エンターテイメント・ウィークリーほか、もっとも広範なニュースソースをそろえているサイト。私の記事はもっぱらこのサイトのトップニュースが多いです。
(明朝この下のニュースサイトについても書き足します。)

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Newsweek/MSNBCの次に紹介することの多いニューズウィーク米国版


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Huffington Post/ハフィントン・ポスト


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POLITICO/ポリティコ


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DAILY BEAST/デイリー・ビースト


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TIME/週刊誌タイムのオンラインサイト


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The New York Times/全米トップ紙ニューヨークタイムズ

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Washington Post/米国政治紙の老舗ワシントンポスト


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The Wall Street Journal/経済紙ウォールストリートジャーナル


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Los Angeles Times/ウェストコーストを代表するロサンゼルス・タイムズ


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Chicago Tribune/シカゴ・トリビューン


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CNN.com/ケーブルニュースチャンネルCNNのサイト


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英国・BBC

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英国・ロイター通信

【米国時間2009年8月25日『米流時評』ysbee】

d0123476_11564496.jpg◀ 次号 感動4日目、テッド・ケネディの壮麗なる葬儀
▶ 前号「完結編・海賊事件は嘘?国家レベルの機密物資闇取引?」

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||| 米流時評 ||| 最近の記事リスト   b e i r y u * c u r r e n t
Good News, Bad News, Everything in Between
8/31 どうなる日本?米国から見た日本戦後体制の終焉d0123476_17124236.gif
8/31 どうなる日本?米国から見た日本の政権交代
8/30 ケネディ家最後の兄弟、アーリントン墓地で永眠
8/29 感動4日目、テッド・ケネディの壮麗なる葬儀
8/28 ダライラマの台湾訪問で中国の批判炎上
8/27 スクープ!北朝鮮発イラン行き武器密輸船をUAEが拿捕
8/26 巨星墜つ、ケネディ上院議員死す。享年77才
8/22 8. 秘密結社マルタ騎士団とロシア・リビア・英国の陰謀
8/21 7. 秘密結社聖ヨハネ騎士団とカリーニングラード
8/20 6. リビア人テロリスト釈放の陰にBP英国石油の闇取引
8/19 5. 完結編・貨物船消失は嘘?世界をペテンにかけたロシア
8/18 4. 貨物船オデッセイ・ロシアが隠蔽する海賊事件の真相
8/17 3. 貨物船ミステリー10の疑惑・積荷の真相は核兵器関連?
8/16 2. 謎の貨物船カーボベルデ沖で発見!ロシア人乗組員は無事
8/15 1. 今度は地中海の海賊? 消えた貨物船アークティックシーの謎
8/10 タリバンのエンドゲーム・テロ戦争の潮目
8/09 スワット谷の夜明け・タリバン戦線の鍵を握るパシュトゥン族
8/08 特報!米軍爆撃でタリバン首領メスード爆死
8/07 テロ戦争8年目のCHANGE・パキスタンのタリバン
8/05 帰郷・北の独房生活140日の悪夢の果てに
8/04 解放・ビル・クリントンのYES, YOU CAN外交
8/03 特命・ビル・クリントン、米記者解放交渉で北朝鮮へ
7/28 イランの民主革命で甦る米国独立宣言のスピリット
7/27 さらば独裁!イラン第二革命に沈黙するオバマ外交
7/26 テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出
7/25 バカンス特急脱線!アドリア海リゾート列車事故で死傷者61名
7/24 また墜ちた!イラン今月2度目の旅客機事故で17名死亡
7/22 黄昏のラプター F22廃止・軍産複合体に半世紀目の楔
7/21 オバマの軍縮・軍産複合体の解体へ大いなる第一歩


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by ysbee-2 | 2009-08-25 20:30 | オバマの時代

海賊・失踪事件は嘘?国家レベルの機密物資闇取引?

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   ||| 謎の貨物船オデッセイ・完結編 |||

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 ロシアは貨物船海賊事件の被害者か?闇取引を仕掛けた国際的陰謀の画策者か?
 スウェーデン・ロシア・英国・マルタの海事専門家が推理する貨物船ミステリー


前号「貨物船オデッセイ・ロシアが隠蔽する海賊事件の真相」からの続き
モスクワ発 |バルト海で海賊に襲われ、英仏海峡を通って大西洋を南下、行方不明になってから3週間後にアフリカ西岸近海のカーボベルデ諸島沖合の洋上で発見された(と一応ロシア政府からは発表された)謎の貨物船アークティックシー号。錯綜した航跡と同じように、その所属形態も複雑だ。
船の本当の持ち主はロシア
船のマストに掲げられたのは、船籍登録をしたマルタ共和国。運行管理はフィンランドの海運会社ソルチャート社だが、最終的な経営権はロシアにあり、ロシアのアルカンゲルスクに本社を置く姉妹会社が、操縦から一切の船の運航技術面を請け負っていた。救出された(と伝えられている)15名のロシア人乗組員は、全員アルカンゲンスクに住んでいることがわかった。
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Officials Knew Where 'Missing' Cargo Ship Was
AUGUST 18, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
11. Ship's real owner is Russia

The Arctic Sea, which flies under a Maltese flag, is operated by the Finnish company Solchart, which has Russian management and a sister company providing technical support in the Russian city of Arkhangelsk, the home of all 15 crew members.


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  AUGUST 19, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月19日号
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 謎の貨物船オデッセイ・完結編 ロシアが隠蔽する貨物船の秘密
 米国時間 2009年8月18日午前7時43分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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12. Why no contacts from crew?
MOSCOW — Mikhail Voitenko, the editor of the online Maritime Bulletin-Sovfracht, said he had spoken with some of the Arctic Sea's sailors. However, after conversation he was more puzzled than ever. "The vessel had all the necessary modern means of communication and emergency alarms, and was located in waters where regular mobile telephones work," he said at a news conference.

乗組員はなぜ連絡できなかったのか?
ロシアの海事情報サイト「Maritime Bulletin-Sovfracht=ソヴフラヒト海事情報」の編集者ミハイル・ヴォイオテンコ氏は、救出されたアークティックシー号の乗組員のうち数人と電話で話すことができたと語っている。しかしながら彼は会話を交わしたあと、実際には謎が解けるどころか、それ以前よりももっと訳が分からなくなったと述介している。
「あの船には、必要な限り最先端の通信設備と緊急時の信号発信装置が備えてあったはずなのに?しかも普通の携帯が使える海域を航海していたにもかかわらず、なんで連絡が取れなかったのだろうか?」
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13. Operation cost more than cargo+ship

"To hijack the vessel so that no one makes a peep — not one alarm goes off — can you imagine how that could be? I can't." Voitenko, whose company Sovfracht specializes in anti-piracy security consulting, said the hijacking was beyond the means of ordinary pirates. "The operation cost more than the cargo and ship combined," he said.

積載物よりもはるかに高額な作戦費用の謎
翻訳中
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 まだロシアの港湾に停泊していた時点のアークティックシー号。海賊は右舷にある緊急脱出用の赤いボートで逃走。

14. Carrying undeclared cargo with state interests?

Finnish port officials in Pietarsaari confirmed the timber was on board before the Arctic Sea left and said no radiation had been detected on board. Voitenko said he suspected the freighter was carrying an undeclared cargo and that state interests were involved. He refused to elaborate.

国家レベルの機密物資を搭載か?
貨物船アークティック号がフィンランドのピエタルサーリ港を出航する前に、フィンランド港湾管理局の税関官吏が積載物をチェックしたが、届け出の貨物は木材で放射線反応もなかったと証言している。しかしながらヴォイテンコ氏は、貨物船には提出書類で出港許可を得た木材以外の、国家レベルでの利害関係が絡んでいる機密の積載物が積まれていたものと推測している。彼はそれ以上の推理の展開は控えた。
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15. Suspicion of Russian SS involvement

Prominent analyst Yulia Latynina also said she believed the ship had a secret cargo, and noted that before setting sail the freighter was in the Russian port of Kaliningrad for repairs. Latynina, writing in the online Yezhednevny Zhurnal, said she suspected the involvement of special services.

ロシアの秘密警察が関与の疑惑
翻訳中
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16. Far-fetched state involvement

She and others have reported widespread speculation that the Arctic Sea was smuggling nuclear materials. British maritime security expert Nick Davis said he considered state involvement to be far-fetched and predicted it would turn out to be "a straightforward case of criminals trying to extort money out of an owner."

当初から国家レベルでのオペレーション
翻訳中
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17. Mystery of ransom made

Finnish investigators said a ransom demand had been made, though it was unclear to whom. Swedish police were still investigating. Police spokeswoman Ylva Voxby said they had received pictures of the crew's injuries from the Arctic Sea's operator, which had received the pictures from the ship by e-mail.

支払われた身代金の受取人は誰?
翻訳中
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18. No witness confirmation yet

Voxby also said Swedish police still haven't received any witness reports confirming that an inflatable boat approached the freighter in the Baltic Sea. However, police have confirmed through radar pictures and other vessels in the area that the Arctic Sea made strange movements at the time of the alleged hijacking.

第三者による海賊の目撃者ゼロ
翻訳中
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 船のオペレーションをあずかるフィンランドの海運会社ソルチャート社の壁にあった貨物船現在位置を示す地図

19. Murky by Moscow's Information firewall

Davis, of the Merchant Maritime Warfare Centre, said the full story may never be known, in part because the Russian government has been playing it down. The government initially appeared reluctant to take action. Moscow only sent Russian Navy to search on Aug. 12 after relatives of the crew publicly appealed for help in finding the missing ship.

ロシア政府の情報管制で真相は謎のまま
翻訳中 
謎の貨物船オデッセイシリーズ<完了>

【 米国時間 2009年8月19日『米流時評』ysbee 訳 】
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▶ 前号「貨物船オデッセイ・ロシアが隠蔽する海賊事件の真相」

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by ysbee-2 | 2009-08-19 14:36 | 海賊シージャック

謎の貨物船オデッセイ・ロシアが隠蔽する海賊事件の真相

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   ||| 謎の貨物船4週間のオデッセイ |||

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 謎の貨物船オデッセイに終止符?ロシアが隠蔽するカリーニングラードの秘密
 バルト海で失踪してからカーボベルデ沖で発見までの3週間、何が起きたのか?


d0123476_16582178.jpg まっさきに、次号の予告を。(正確には次々号)
 ここ1週間エントリのアップが遅れていたのは、
 みなさん多分見当がついていたと思いますが、
 膨大な量の関連記事やブログ情報、写真を洗っていたからです。

 お察しの通り、実質的には「オデッセイ」とも言える
 ロシアの貨物船の消失から発見までの航跡。

 謎の貨物船アークティックシー号のミステリーを解明しているうちに、
 実は とんでもないダイヤモンドの鉱脈に
 つきあたってしまったようです。
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 その謎を解く鍵は、次号で解説しますが。
 「カリーニングラード」であり、
 もうひとつは「マルタの騎士団」。

 おまけに核と石油と、リビアとスコットランドまで絡んでいたとは!

 次回のエントリは、あくまで私個人のつきとめた推論ですが、
 まだ欧米のブログでも解明していない謎が、
 するっと解けたような展開です。お楽しみに。

【米国時間2009年8月18日『米流時評』ysbee】
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 *今回のエントリの写真は段落 (2) を除いて、すべて英国南部の海岸から見た英仏海峡です。

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  AUGUST 18, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月18日号
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 謎の貨物船オデッセイ・完結編 ロシアが隠蔽するカリーニングラードの秘密
 米国時間 2009年8月18日午前7時43分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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8 Arrested in Mystery of Vanishing Freighter
Russia: Hijackers ordered crew to take vessel thousands of miles off-course
AUGUST 18, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee

1. The cargo was not missing!
MOSCOW — For more than two weeks, the freighter Arctic Sea seemed to have vanished in the Atlantic Ocean's vastness, but officials said Tuesday they knew where it was all along and were just staying mum in order to bring a dangerous hijacking drama to a bloodless end.

ロシアは一部始終の消息を知っていた
モスクワ発 |貨物船アークティックシー号は、すでに2週間以上、茫漠たる大西洋のどこかで消息を絶ったと思いわれていた。ところが19日火曜になって、実は船の関連各国の関係者一同、貨物船の所在を一部始終知っていながら、最後まで沈黙していたという新しい事実がわかった。
関係者の説明では、船がハイジャックされたという危険なドラマを、流血を見ることなく安全な結末で終わるよう気遣ったための隠蔽だったと言う。
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 ドーバーの白い崖から見下ろすイングリッシュチャネル=英仏海峡の絶景 晴れた日には永遠が見えそうな場所だ

2. Missing ship found off Cape verde

A Russian naval vessel reached the Arctic Sea late Sunday in waters near Cape Verde, thousands of miles from the Algerian port — primarily destination to dock on Aug. 4. Russian Defense Minister Anatoly Serdyukov said Tuesday that eight suspected hijackers were in Russian custody. It was the first official confirmation that the ship had been attacked, after weeks of rumors and clues about why the vessel might have disappeared.

ロシア巡洋艦がカーボベルデ沖で貨物船発見
船舶行方不明・海賊襲撃事件が世界的ニュースとなってから捜索のために出動したと伝えられていた、ロシア海軍の艦隊のうちミサイル巡洋艦が16日日曜午後、大西洋をはるかに南下したアフリカ西岸に近いカーボベルデ諸島の沖合で問題のアークティックシー号を発見した、とロシアの国営メディアを介して報道された。
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 アフリカ西岸のセネガルやギネアビサウとは対岸の大西洋上のクレオールの島 カーボベルデ諸島沖で貨物船を発見

3. First official confirmation of highjacking

Russian Defense Minister Anatoly Serdyukov said Tuesday that eight suspected hijackers were in Russian custody. It was the first official confirmation that the ship had been attacked, after weeks of rumors and clues about why the vessel might have disappeared.

ロシア海軍「海賊行為」として初めて公表
それから2日後の18日火曜の記者会見で、ロシアのアナトリー・セルジュコフ防衛相の口から「船は海賊にハイジャックされ、その犯人8名を逮捕した」と発表されたが、これがロシア政府からの「海賊行為があった事実」の初の公式発表となった。それまでは何週間も詳しい事実は一切公表されなかったため、貨物船が大西洋上で忽然と消えた事件をめぐって、ありとあらゆる噂が流布する原因となった。
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4. Everybody knows everything!
The Maritime Authority in Malta, where the Russian-crewed ship is registered, said in a statement late Tuesday that "The movements of the MV Arctic Sea were always known for several days, not withstanding reports that the ship had 'disappeared.'" Authorities in Finland, Malta and Sweden had agreed not to disclose any sensitive information in agreement to avoid jeopardizing life of the crew and to keep ship in safe and integrity, the statement said.

関係国全員が事実を隠蔽!
一方、地中海の真ん中の島国マルタ共和国は、ロシア人の乗組員が乗り込んで行方不明になった貨物船が船舶登録をした国であるが、マルタ海運局でもまた18日火曜午後の段階で、次のような記者発表を行なった。
「わが国の海運局の関係者は、ここ数日のアークティックシー号の動きはずっと把握していた。しかし実際問題として、問題の船が消えたという情報を肯定するには、やぶさかではなかった。」
フィンランドとマルタ、スウェーデンの三国とも、微妙な問題にかかわるために、船の存在確認を公表しない事に同意していたという見解を表明した。船の存在を機密にしていた理由は、船の乗組員の命と船の安全を危険に晒すのを避けるためだったと、当事国は供述している。
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 夕暮れが近づくとエトルタ海岸にそそり立つドーバーの白い崖も黄昏色に染まる。映画『Atonement』の舞台

5. Highjacked off the Gotland island, Swedish

The ship left the Finnish port of Pietarsaari with a load of timber on July 21. More than a week later, Swedish police said they were investigating a report that masked men had raided the ship and beat the crew near the Swedish island of Gotland before speeding off 12 hours later.

スウェーデンのゴットランド島沖で襲撃
貨物船は7月21日に木材の積み荷を搭載して、フィンランドのピエタルサーリ港から出航した。それから1週間以上経過した時点でスウェーデン警視庁から記者発表があった。
その内容によると、貨物船がスエーデンのゴットランド島近海を通過した時点で、覆面をして武装した一団が船に乗り込んで、乗組員を殴打し縛り上げるという海賊事件が発生した。船を襲撃した一団は、それから12時間後には、貨物船に備えてあった緊急脱出時の救命ボートに乗って、海上を走り去ったと報告されている。
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6. Armed hijackers tied up the crew
The armed hijackers had boarded the freighter under the pretext that there was a problem with their inflatable craft, Serdyukov reportedly said. They then forced the crew to change course and turned off the Arctic Sea's navigation equipment, he said, according to Russian news agencies. The ship's signal going dead coincided with news of the reported attack.

武装した海賊が乗組員を縛り上げ脅迫
武装したハイジャッカーは当初、彼らの船の緊急脱出用ボートに問題が起きたという理由で、援助を求めて船に近づいて乗り込んだという、セルジュコフ防衛相からの説明も報道された。
しかしいったん船に乗り込むと、彼らは一変して銃で脅して乗組員を縛り上げ、アークティック号のナビゲーションシステムや通信装置をすべて遮断し、針路を変えるように命令したという。以上はすべて、ロシアの国営メディアで発表された内容である。
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7. Last contact on July 28 off Bay of Biscay
By the time the report of the attack had emerged, the ship had already passed through the English Channel, where ship made its last known radio contact on July 28. Signals from the ship's tracking device were picked up off the French coast late the next day.

ビスケー湾沖からが最後の交信
しかしながら、アークティックシー号が海賊の襲撃を受けたという報告がなされた時点では、船はすでに英仏海峡を通り抜けてしまった後だった。海峡を通過したのは7月28日だが、同船はその時点でフィンランドの海運会社と最後の無線交信を行なっている。
一方、翌日の午後にも、同船が自動的に発信していたGPSの地上位置確認用の電波が、フランスの沿岸地域で傍受されている。
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ユーミンが荒井由美だった頃の「海を見ていた午後」を思わず口ずさみたくなる ソーダ水の中を貨物船がと〜お〜る

8. Highjackers: Estonian, Latvian, Russians

The suspected hijackers — citizens of Estonia, Latvia and Russia — were arrested without a shot being fired, state news agencies quoted Serdyukov as saying. The ship's 15 crew members were safe and were taken aboard by the navy for questioning.

犯人はエストニア人、ラトビア人、ロシア人
今回のハイジャック事件の犯人としてロシア政府の捜査当局に逮捕された容疑者は、エストニア、ラトビア、ロシア人の男性8名である。警察当局が一発の銃弾も撃つ事なく海賊を逮捕できたことを、セルジュコフ防衛相は快挙と賞賛したと、国営メディア各紙から報道された。
また貨物船のロシア人乗組員15名も全員無事救出され、ロシア海軍のミサイル巡洋艦ラトニー号に収容されて、事情聴取を受けているとも伝えられた。
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9. Mystery of 4-week odyssey
There was still no information on why they allegedly seized the Arctic Sea, an 18-year-old ship with a cargo of timber worth only $1.8 million. Security and maritime experts said the Arctic Sea's mysterious four-week journey pointed to something other than piracy, with some suggesting state involvement or a secret cargo, possibly of nuclear materials.

4週間のミステリー・オデッセイ
しかしながら、こうした一連の経過報告が報道されたにもかかわらず、肝心の疑問の要点「積み荷と言っても、たかだか1億8千万円相当の木材しかなく、建造年数すでに18年にもなる半老朽船のアークティックシー号を、なぜわざわざ海賊が襲ったのか?」という基本的な海賊行為の動機に対する疑問である。
海上保安と海事事件に詳しい専門家たちもまた、アークティックシー号の謎に包まれた4週間の航海を、海賊襲撃では説明がつかないと指摘する。彼らは、同号のミステリアスな航海は、何か別の要素、つまり機密物資の密輸、おそらく核兵器素材の運搬に国家レベルでかかわっているのではないだろうか、という疑惑を抱くようになった。

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10. 'Whole thing sniffy from start to finish'

Experts and officials across Europe said the saga of the missing 320-foot freighter was perplexing. "The whole thing has been sniffy from start to finish," said David Osler, a maritime journalist at Lloyd's List in London.

専門家「最初から最後までうさん臭いことだらけ」
事件が表立ってから3週間、ヨーロッパ中の海事専門家や政府関係者は、全長98メートルもの大型貨物船の消失事件について、その間の紆余曲折があまりにも込み入っており、つじつまが合わない事を一様に指摘する。ロンドンのロイズ・リスト社の海事専門情報誌の編集長デヴィッド・オスラー氏は、こうした疑惑を次のように表現した。
「ともかく一から十まで、終始一貫してすべてがうさん臭いことだらけですね。」

>次号「完結編・貨物船消失は嘘?ロシアはすべて知っていた」へ続く

【 米国時間 2009年8月18日『米流時評』ysbee 訳 】
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d0123476_11564496.jpg◀ 次号「完結編・貨物船消失は嘘?世界をペテンにかけたロシア」
▶ 前号「貨物船ミステリー10の疑惑・積荷の真相は核物質?」

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by ysbee-2 | 2009-08-18 10:45 | 海賊シージャック

貨物船ミステリー10の疑惑・積荷の真相は核物質?

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   ||| 貨物船ミステリー10の疑惑 |||

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 カーボベルデ沖で発見された貨物船、ロシア政府の発表でますます深まる謎の航跡
 偽装された航路? 搭載物資の実体は? 核物質搭載? ロシアンマフィアが関連か?


d0123476_16582178.jpg今週連載でお届けしている謎の貨物船のオデッセイ。
関連している国だけでも、海峡の数ほど多岐にわたる。
4千トンの大型貨物船の生まれたのが、地中海のマルタ島。
船を所有して運航するソルチャート社が、フィンランド。

 15人の乗組員が、なぜか全員ロシア人で、
 消息を絶った後の海軍艦隊出動 という大掛かりな反応からして
 積荷もどうも、ロシアに所属するものらしい。
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 そもそもは、7月にフィンランドの港湾から積荷出航して、
 バルト3国やドイツ北岸沖の バルト海を南下。

 さらに北フランスのブルターニュやノルマンジーの沖へ。
 ドーバー海峡と英仏海峡を通過して、
 この時点で、英国とフランスの海運局が関連。
 
 スペイン沖の大西洋を南下して、
 最終目的地のアルジェリアに向かうかと思われた。
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 この間に、船籍をおくマルタ島の海運局も、
 ビスケー湾の沖合からの発信を傍受。

 しかし、消息不明の海事事件が、世界の耳目を集めるようになり
 突然、身代金要求の発表が。
 「ヨーロッパの公海に海賊出現!」というので
 世界中のメディアがトップで報道。

 その時点では、すでにロシア海軍から
 戦闘艦と潜水艦が、それぞれ数隻発進していた。
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 それから2日後の8月17日、
 今度はフランスの主張していた通りの展開に。

 行方不明だった貨物船、アークティックシー号が
 アフリカ西岸沖のカーボベルデ諸島の海上で、
 消息を絶ってから3週間ぶりに「見つかった」というニュース。

 ロシア人乗組員は全員無事。
 2日後に犯人も8名逮捕された。(次号で詳報)
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 しかし、いったいなんで3週間も放置されていたのか?
 それまでは内密に捜索されていたのが、(もしくは探されていなかった?)
 世界が騒ぎ出してから突然に、ロシア海軍の艦隊が発進した。
 
 するとたちまち、カーボベルデ沖の海上の「現場」で
 「乗組員救出」「犯人逮捕」・・・という
 急転直下に解決したかに見える不自然な展開。
 
 この間の、緯度も経度も相当ずれるような
 船のアリバイの極端な食い違いは、
 いったい どういう理由で発生したのだろうか?
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 ロシアの国営メディア、タス通信から発表された海軍の経過報告、
 すなわち メドベージェフ=プーチン体制の
 ロシア政府の公式見解は、いつものことながら
 発表通りには、すんなり受け止められない。
 
 疑問に対する 確とした回答は得られないまま
 搭載物への疑惑は深まるばかり……
 謎の貨物船オデッセイの第3話です。
 
【米国時間2009年8月17日『米流時評』ysbee 】

 *注:掲載の写真はすべて、マルタ島の首都バレッタの、地中海の港町らしい風景

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  AUGUST 17, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月17日号
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 貨物船ミステリー10の疑惑・積荷の真相は核物質?
 米国時間 2009年8月17日 | 英『ガーディアン』紙・モスクワ支局 | 訳『米流時評』ysbee

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 アフリカとヨーロッパの中間で「地中海の飛び石」と呼ばれる島国、マルタの首都バレッタのヨットハーバー
Missing Cargo Mystery — 3
Russia Finds 'Piracy' Cargo Ship, But What Really Happened?
AUGUST 17, 2009 | Caroline Davies/Tom Parfitt — The Guardian | Translation by ysbee

1. 'Nothing in common with traditional piracy'
MOSCOW — Puzzling over speculation that the ship had fallen victim to pirates, a spokesman for the European commission, Martin Selmayr, said on Friday: "From information currently available it would seem that these acts, such as they have been reported, have nothing in common with 'traditional' acts of piracy or armed robbery at sea."

疑惑その1:ありえない海賊行為
前号「謎の貨物船カーボベルデ沖で発見!ロシア人乗組員は無事」からの続き
ザ・ガーディアン・モスクワ支局発 |問題の貨物船アークティックシー号が海賊の手中に堕ちたという憶測は、誰の首をもかしげさせるのに充分な前代未聞の出来事だった。EU本部のマーチン・セルマイヤー広報官でさえ、先週金曜の記者発表では次のように驚きを隠せないでいた。
「つい最近入手できるようになった情報によると、問題の船が遭遇した状況が伝えられた報告通りであれば、従来の伝統的な海賊行為やシージャックとはまったくかけ離れたものに思えます。」
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 右の白いドームはローマンカトリック教会のサンジョバンニ・カテドラル=聖ヨハネ大聖堂、左の尖塔は英国国教会

2. Truth, or not? French report of witness

Then, French officials reported the same day that a ship "resembling" the Arctic Sea had been spotted off the Cape Verde islands, off the west of Senegal, though there was no immediate confirmation of this.
疑惑その2:フランス「それらしき船を見た」
EUの記者発表があったと同じ日その後まもなく、今度はフランス政府高官の消息筋から「アフリカ西海岸のセネガルの沖合にあるカーボベルデ諸島付近で、消息不明だったアークティック号とそっくりな船を見かけたという報告がある」という談話が発表されたが、この事実をただちに確認するまでには至らなかった。
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 星型の城壁に囲まれた地中海の要塞都市バレッタ フランスの城塞や函館の五稜郭と共通する軍港の都市構造

3. Twisted report by Finnish owner

The plot took a further twist at the weekend with unsubstantiated reports that its Finnish owners, who have denied its cargo is anything other than timber, had received a ransom note for a "large sum", reported to be almost £1m.

疑惑その3:海運会社が事実隠蔽?
行方不明の船の居場所をめぐっての諸説紛々にさらに輪をかけるように、フィンランドの海運会社オーナーから「身代金要求があった」という報告が上がってきたものの、これもまた事実を裏付ける証拠のない話で、捏造ではないかと言う風評さえ立った。
彼の話では(船の略奪者から、乗組員、船と引き換えに)巨額の身代金を要求する連絡があったそうで、漏れ聞こえる噂では100万ポンド(約1億5千万円相当)と伝えられている。
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 往時の支配者の建築様式が時を越えて残るバレッタの街並。この通りはバルコニーが特徴の英国ヴィクトリア朝。

4. Substantial question over cargo

But there was never confirmation whether this was genuine. Since it went missing, unsubstantiated suggestions have been made that the ship might have been hijacked because it was carrying a "secret" shipment, such as drugs or arms, unknown to its crew or owners.

疑惑その4:本来の積荷は機密物資?
しかしながら、貨物船が所属する海運会社が発表した「海賊襲撃で身代金要求」という状況説明に関しても、その情報が真実であるかどうかを裏付ける証拠が一切示されなかったのも事実である。「アークティックシー号失踪事件」は、確固とした確認情報に欠け謎に包まれた部分が解明されないままだったために、問題の貨物船が消息を絶って以来さまざまな根拠のない憶測を生み出した。
その中でももっぱら噂の主流となったのは「行方不明の船には、船の所有者や乗組員にも知らされていない、麻薬や武器のような『機密物資』が搭載されているのでは?」という疑惑で「だからこそ海賊にハイジャックされたにちがいない」という推論だった。
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 車もすれ違えないような狭い露地、島国特有の急な石畳の坂道、中世以来のバレッタの露地によく似合う観光馬車

5. Russian Navy: 'Mission accomplished'

Russia's NATO ambassador, Dmitry Rogozin, gave no indication of how, or by whom, the ship had been seized, and how the Russian military had managed to get the crew aboard the Russian-guided missile frigate Ladny. He told Interfax: "We can say now that the operation has been carried through successfully. It was done with brilliance."

疑惑その5:ロシア海軍「作戦首尾よく成功」?
NATO出向のロシア大使ドミトリー・ロゴズィン氏は、今回の貨物船失踪事件に関して国営メディアのインーターファクスのインタビューに答えたが、いつ、誰によって、どのように船が略奪されたのか?という肝心な点については一切説明しなかった。
また乗組員救出にあたって (通常の哨戒艇ではなく) ロシア海軍がわざわざミサイル巡洋艦ラドニー号以下の攻撃艦隊を出動したのはなぜか?という疑問に対する解答も得られなかった。彼の答えはこうである。「今や作戦は見事に成功裡に完遂された、と言えるだろう。わが国の作戦の首尾は上出来である。」
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 日の丸は世界でも最もシンプルなデザインのひとつだが、それ以上にシンプルなのが紅白で二分したマルタの国旗

6. Piracy: Attacked in the Baltic Sea?

Swedish police said the crew allegedly told their shipping company that up to 12 masked men, claiming to be Swedish anti-drugs police had boarded the vessel on July 24, one day after leaving Finland, tying up the crew before leaving in an inflatable boat after 12 hours.

疑惑その6:バルチック海で海賊襲撃?
インターポルの捜査開始以来、欧州各国の捜査陣も協力しているが、捜査に参画しているスウェーデン警視庁が、「船の運航を管理するソルチャート社が乗組員から受けた報告」として、襲撃された当時の情報を公開している。
その内容によると、フィンランドの港を出航した翌日の7月24日の時点で、「スウェーデン警察の麻薬摘発班」と名乗る覆面をした12名ほどの武装した一団が船に乗り込んで来て、一旦乗船すると乗組員をしばり上げ通信装置を不能にして、それから12時間後に貨物船に装備してあった救命ボートで、海上に去ったという。
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 サテライト中継のパラボラアンテナとバルコニーに干された洗濯物は、地中海全域の民家に共通の庶民的風景

7. Something much expensive, dangerous?

However — not according to its owners — Mikhail Voitenko, editor of Russia's Sovfracht maritime bulletin, fuelled intense speculation by suggesting on the Russia Today news channel that its cargo might not be drugs or arms, "but something much more expensive and dangerous."

疑惑その7:搭載物は巨額で危険なサムシング
当事者である海運会社からの情報ではないが、ロシアの海事情報専門誌『Sovfracht/ソヴフラヒト』の編集長ミハイル・ヴォイテンコ氏がロシアのケーブルニュースチャンネル Russia Today に出演して披露した推論は、それまでにもありとあらゆる憶測が渦巻いていた巷間の噂を、さらに炎上させる結果を招いた。
彼の説によると、貨物船に搭載されていたのは「麻薬でも武器でもなく、実はそれよりもはるかに巨額で数段も危険な『something』何かにちがいない」というものである。

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 ローマ帝国時代のギリシャ様式からルネッサンス期のロマネスク、近世のバロック、ロココまで街中がミュージアム

8. Ship started from Kalininglad, Russia

He did not elaborate. "It seems some third party didn't want this transit to be fulfilled so they made this situation highly sophisticated and very complicated," he said. The operating company pointed out that the ship was checked by customs agents on leaving Kaliningrad, and in Finland.

疑惑その8:最初の出港地はロシアの軍港!
ヴォイテンコ氏は、詳細な裏付けを取ったものではないが、彼独自の推理をこう説明した。
「この貨物運送に関しては送り手と受け手の他に何か第三者の組織のような存在が関与していて、極度に手の混んだ複雑怪奇なシナリオにそって行動し、物資輸送を妨害したものと思えます。」
一方、海運会社の報告によると、船は最初にロシアの軍港カリーニングラードを出航する際とフィンランドの港に立ち寄って出航する際の2度とも、税関のチェックを受けていると報告している。

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 温暖な地中海気候のマルタの首都バレッタはヨーロッパ・アフリカ・中東から通年観光客が押し寄せる自由貿易港

9. Surging claims of a 'nuclear cargo'

The Finnish Radiation and Nuclear Safety Authority dismissed as "stupid" claims of a nuclear cargo. Officials did conduct radiation tests on the ship at a port in Finland, but the head of the authority said there was "no basis" for reports that a fireman had thought there might be some radioactivity involved.

疑惑その9:真相は核物質搭載?
ヴォイテンコ氏を筆頭とする、こうした一連の「ロシア政府による核密輸疑惑」説を、フィンランド政府の放射性核物質安全委員会では「ばかげた妄想=stupid claims」であると一蹴した。
特にフィンランドの港で出荷物の放射線調査を実施した税関の担当官は、地元の消防署から上がってきた「その積み荷には何らかの核物質が絡んでいる疑いがある」という警告に関して、その根拠を示す証拠は発見できなかったと答えている。

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 インターナショナルなショップが連なるバレッタ銀座のトリキル・リピュブリカ=共和国プロムナードの坂道の夜景

10. Dispute: Russian mafia involved?

The possibility that the Arctic Sea was involved in a commercial dispute, perhaps involving the Russian mafia, was widely rumoured. David Osler, who writes on Maritime Safety for Lloyd's List, told the BBC's Today programme: "It doesn't look like it's the sort of theft of a high-value ship or cargo. It looks like some sort of dispute between Russian interests."

疑惑その10:ロシアンマフィアが関連か?
またもうひとつ有力な説は、「アークティックシー号は、ロシアンマフィアが介在する何らかの取引あるいは密輸をめぐる紛争に巻き込まれたのではないか?」というもので、このロシアンマフィア犯人説が、巷ではもっぱら噂の主流である。
英国のロイド名鑑で海上保安問題に関して執筆する専門家、デヴィッド・オズラー氏は、BBCテレビのニュースショーTodayに出演して、次のような自説を披露した。
「この事件は、一見して貴重な船舶あるいは高額な積荷を目当てにした略奪とは思えません。どう見ても、ロシア人同士の利権争いから発したある種の紛争に、この船あるいは積み荷が巻き込まれたのではないでしょうか?」 >次号完結編へ続く

【 米国時間 2009年8月17日『米流時評』ysbee 訳 】
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 地中海の黄昏時、薔薇色に染まるバレッタの街 ドームと尖塔はローマ教会と英国国教会の対立を象徴するかのよう

 英国『ガーディアン』紙 関連記事で読む紆余曲折のオデッセイ
 8/19 | Arctic Sea hijackers demanded £1.5m ransom, Russian defence ministry says
 8/19 | David Osler discusses the mystery surrounding cargo ship the Arctic Sea
 8/18 | Russia holds eight after recovering missing ship Arctic Sea
 8/17 | 'Pirated' cargo ship Arctic Sea found off Cape Verde
 8/16 | Russian website picks up signal from missing freighter Arctic Sea | The Observer
 8/14 | Ship mystery continues as Cape Verde sightings are denied
 8/14 | Missing Russian cargo ship that went missing last month discovered off the coast of west Africa

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d0123476_11564496.jpg◀ 次号「Vol.4 貨物船オデッセイ・ロシアが隠蔽する海賊事件の真相」
▶ 前号「Vol.2 謎の貨物船カーボベルデ沖で発見!ロシア人乗組員は無事」

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by ysbee-2 | 2009-08-17 14:22 | 海賊シージャック

謎の貨物船カーボベルデ沖で発見!ロシア人乗組員は無事

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  ||| 見つかった貨物船の解けない謎 |||

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 ロシア政府発表「大西洋航行中消息を断った大型貨物船、カーボベルデ沖で発見」
 ロシア人乗組員15名全員無事で、ロシア海軍戦闘艦に収容、事件の顛末は調査中


d0123476_16582178.jpgカーボベルデ共和国、通称カーボベルデは、
大西洋の南、アフリカの西沖合いに位置する
バルラヴェント諸島とソタヴェント諸島からなる共和制国家。
マクロネシアの島国であり、元ポルトガル領であった。

 カーボベルデ諸島は、西アフリカから約375km離れた場所に位置し、
 10の島(内1つは無人島)と 8つの小島から構成されている。
 史跡としては、かつてポルトガルの重要な植民地であったが、
 フランシス・ドレークによって破壊された町、シダーデ・ヴェーリャが残っている。
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 大小15の火山群島からなり、最高峰はフォゴ島にある2829mのカノ山。
 熱く乾燥した気候で、旱魃が何年も続く事があり、
 農作物などの被害を受けやすい。
 
 カーボベルデ諸島は1460年に、ギニアは1445年に
 ポルトガル人によって「発見」された。
 これらの領土は1553年1月31日に、法王クレメンス7世により、
 ローマンカトリックの司教管区に選ばれた。
 
 植民地化が始まった当初は、
 マデイラ諸島やアソーレス諸島のような
 ポルトガル人の大規模移住は行われなかった。
 しかし16世紀になると、アフリカから南北アメリカ大陸へ向かう奴隷船の
 大西洋上の中継拠点となり、奴隷貿易で栄えた。
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 カーボベルデ諸島には、
 南洋の植民地として入植したポルトガル人と
 アフリカ大陸から奴隷貿易で連行されたアフリカ人によって
 両者の混血が進み、ヨーロッパとアフリカ混在の
 独自のクレオール文化が形成されていった。
 
 開放的なバルコニーやテラス、強い日差しを遮る鎧戸、
 色鮮やかな南欧風のペイントをほどこした
 プランテーションスタイルの建築様式は、
 貿易船とともに そのままニューオーリンズを中心に
 米国南部へ伝承され、独自のクレオール様式の建物が
 現在でも南部の各州で見られる。
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左:クレオール文化が漂着した代表的な土地、ニューオーリンズ。フレンチクォーターの一角には、植民地時代の栄華を残す建物が今も影をおとす /中:何代にもわたって、ポルトガル・フランス・西アフリカ・インド・中国人が完全に混血したクレオーリアン /右:カーボベルデの首都プライアの港に面した、遠洋航海の船員向けの旅籠 (はたご)

 カーボベルデの料理は、大概が魚介類と
 トウモロコシ・米のような穀類をベースにし
 スパイスの効いた味付けが特徴。
 
 独自の風味で、ヨーロッパ人にもアフリカ人にも受け入れられた
 カーボベルデのクレオール料理は、
 奴隷貿易の船とともに、独立以前のアメリカ南部に上陸。
 
 メキシコ湾から穫れる豊富なシーフードを素材として
 クレオールのフルーティでスパイシーな味付けに
 当時フランス領だったルイジアナの領主が好んだ
 クリーミーなフレンチキュイジーンをミックスした
 独自の「ケイジャン・キュイジーン」が生まれた。

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トマトやパプリカのレッド、タンジェリンのオレンジ、バナナリーフのグリーン、珊瑚礁のターコイズブルー……南国の自然からもぎとったような、オーガニックな色合いのクレオールチェック。何となく黄八丈と通じるものがある。

 カーボベルデの音楽はポルトガル、西インド諸島、
 アフリカ、ブラジルの音楽から影響を受け、混合している。
 
 カーボベルデの真髄たる国民音楽はモルナ(パルラヴェント系)で、
 哀愁に満ちたかつ熱情的な歌の形式は、クレオールミュージックと呼ばれる。
 
 カーボベルデ出身の歌手の中でも最もよく知られた存在は
 セザリア・エヴォラであり、
 彼女の歌は、クレオール文化を代表する音楽となった。

【米国時間2009年8月16日『米流時評』ysbee】

*注:上記の内容は Wikipedia の「カーボベルデ」の項目からの抄文。ブルー文字の段落は編集人の加筆補足です。また今回のエントリの写真は、貨物船とソマリアの海賊の写真を除けば、ほとんどカーボベルデ諸島の海岸風景で、(i) のマークの写真はLonely Planetから。

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  AUGUST 16, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月16日号
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 消息不明の貨物船アークティックシー号、カーボベルデ沖で発見
 米国時間 2009年8月17日 | 英『ガーディアン』紙・モスクワ支局 | 訳『米流時評』ysbee

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貧しい国に限って、空と海は抜けるように青く素晴らしい、そこに住む人間も誠実だ。神はその一点で公平だと思う。
Muddied Waters
Russia Finds 'Piracy' Cargo Ship, But What Really Happened?
AUGUST 17, 2009 | Caroline Davies/Tom Parfitt — The Guardian | Translation by ysbee

1. Arctic Sea found off Cape Verde
MOSCOW — Three weeks after it vanished on the high seas, the cargo ship Arctic Sea was found off the Cape Verde islands today with its Russian crew alive, well and "answering questions."

北極海号、カーボベルデ諸島沖で発見
モスクワ発 |マルタ共和国船籍でフィンランドの海運会社が運航する4千トンの貨物船『アークティックシー号』が、機密物資と思われる貨物を搭載したまま公海上で消息を絶ってから3週間後の17日月曜、南大西洋のカーボベルデ諸島沖で同船が発見された。
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 トロピカルの太陽を照り返す白砂のビーチ。リゾート地として最適な環境でもあり、近年は別荘用ヴィラが隆盛。

2. 15 sailors all alive and safe

All 15 sailors were aboard a Russian anti-submarine warship , bringing to a conclusion one of the most intriguing maritime mysteries of modern times.

ロシア人乗組員15名全員無事
同船の捜索には世界20カ国以上のインターポル捜査協力があったが、ロシア政府の発表によると、同船が発見された時点では15名のロシア人乗組員は全員無事で元気であり、同海域を哨戒中だったロシア海軍の戦闘艦に収容され、現在船舶の捜索を担当していた当局の質問に答えていると言う。
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 今回カーボベルデ沖でみつかったアークティックシー号 母港はフィンランドで、ソルチャート社が運行を管理する

3. Mystery of secret cargo's saga

But, even as the Russian authorities announced the development, the few details to emerge left more questions than answers at the end of a saga. The missing mystery of the cargo 'Arctic Sea' has inspired frenzied rumors of piracy, ransom demands, secret cargos and arms smuggling — all worthy of a cold war thriller.
ロシアンマフィアの武器密輸?海賊の略奪?
ロシア政府及び海軍からの公式発表があったとはいうものの、詳細な経緯はほとんど語られておらず、大西洋上でこつ然と消息を絶って以来、今日(記事掲載の17日)発見までの一部始終の真相に関する謎は、かえってますます深まる結果となった。
マルタ船籍・フィンランド運営の貨物船「アークティックシー (北極海) 号 謎の失踪事件」のミステリーは、事実がほとんど解明されないまま世界の耳目を集め、地中海に海賊出現か? 身代金支払はいくら? ロシアンマフィアの武器密輸か? とメディアとネットを騒がせた。この一件だけで、冷戦時代のスパイ陰謀小説のようなお膳立てだが、今回の消息発見で推理劇の第一幕がおりた。

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 遠目に見るとグリーンの島に見えるため、Cape Verde/アフリカ西端の碧の岬という名のついたカーボベルデ諸島

4. Crew not under armed control

字数制限のため英文省略
捕虜状態ではなかった乗組員
ロシアの国営メディア タス通信の報道によると、17日土曜モスクワのクレムリンで、アナトリー・セルジュコフ防衛相がドミトリー・メドベージェフ大統領に、次の報告をしたと伝えている。
大西洋上で消息を絶ち行方不明になっていた貨物船アークティックシー号が発見された時点では、船の乗組員たちは、武装した襲撃犯人に捕まっていた状況ではなかったこと。乗組員たちは、捜索救出のため現地に向かったロシア海軍の戦闘艦に保護され、今回の前代未聞の船舶失踪事件に関して真相を糾すために、係官から現在事情聴取を受けていると言う。
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 浅瀬の海岸に地元の漁船やヨット用の小さなピア/桟橋が連なる 町の建物は典型的なカリビアンカラー

5. Discovered at 300 miles off Cape Verde

字数制限のため英文省略
カーボベルデ諸島の沖合480キロで発見
タス通信が報道する記事の内容は以下の通り。
「アークティックシー号は、モスクワ時間で今日(17日)午前1時にカーボベルデ諸島の沖合480キロの海上で発見された。同船の乗組員(ロシア人15名)は、ただちにロシア海軍の対潜水艦哨戒艇に乗り移って、戦闘艦本艦に収容された。彼らは状況説明で事件の全容を明らかにするべく、捜査担当官の尋問に答えている。乗組員は全員無事で健全であり、武器で脅されていたのではないようである。」
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 近代的工業施設が皆無に近いカーボベルデ共和国では、住民の大半が昔ながらの手漕ぎボートの漁で生業を立てる

6. Solchart director exhilarated

Viktor Matveyev, director of the Finnish-owned vessel's operating company, Solchart, told the Komsomolskaya Pravda newspaper: "We are extremely pleased, we've been told that everyone is alive and nobody was hurt … I can't say any more. I'm rushing to a meeting to organize getting the crew home, checking their health and providing any help. We still don't know what condition the ship is in".

貨物船発見で歓喜のソルチャート社
問題の船の運行管理会社で、フィンランドを本拠地とするソルチャート社のヴィクトール・マトベイエフ業務部長は、地元ヘルシンキの新聞『コムソモルスカヤ・プラウダ』紙の取材にこう答えている。
「当社では今回発見されたという朗報に、手放しで喜んでいます。我々に伝わってきた情報では、乗組員は全員無事で怪我をしたものもいないと聴いています。」
「いやもうこれ以上は私の口からは言えません。健康状態のチェックやその他諸々の救援作業を進めて乗組員が全員無事帰宅できるよう段取りを組む会議に、これから急がなければいけないので失礼します。いかんせん船が一体どういう状況にあるのか、我々にも皆目わからないんですよ。」
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 町の中央にあるローマンカトリックのノッサ・セニョーラ・ド・ロザリオ教会のチャペル=礼拝堂

7. How could 4,000-ton ship disappear?

The disappearance of the Arctic Sea, carrying a £1.1m cargo of timber, baffled experts as it eluded all radar and satellite detection by vanishing after passing through the English Channel on July 28.

4千トンの巨艦がこつ然と消えた謎
ミステリーの焦点となっている貨物船アークティックシー号の消失事件は、フィンランドから1億3千万円相当の木材を積んだまま出航した同艦が、先月28日にイングリッシュチャネル=英仏海峡を通過した直後、一切のレーダーから忽然と姿を消した海事事件である。
同艦は今回のカーボベルデ沖の発見まで、専門家の懸命の捜索にもかかわらず消息を絶ったままだったため、海賊のシージャックからロシアンマフィアの武器密輸まで、ありとあらゆる陰謀説が各国の報道記事でも噂された。

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 北欧のフィヨルドの港から大西洋へ出るには、英国とフランスをへだてる英仏海峡を通過するのが常道の航路

8. Bermuda triangle? Ghost ship?

Just how a 4,000-ton ship could drop off the charts in these days of space-age technology prompted allusions to the Bermuda triangle and the "ghost ship" Marie Celeste.

バミューダトライアングル? 幽霊船?
それにしても、衛星回線を介した時代の最先端の通信設備を備えながら、どうすれば4千トンもの巨艦が、GPSやその他一切の受信網のレーダーから忽然と消えることが可能だろうか?という基本的な疑問を、誰もが抱かざるをえない。その結果、この海域ではおなじみの「バミューダトライアングル」説や「マリー・セレステの幽霊船」説まで、ありとあらゆる妄想の仮説がネットやブログ界に流布する結果を招いた。
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 カーボベルデ諸島のひとつ、サンヴィンセント島のカルハウビーチ 後方に見えるのは暗緑色のモンテベルデ山

9. Seajacked at the Baltic Sea?

Further intrigue came with reports that the Malta Maritime Authority had received information that the vessel had been boarded by up to a dozen armed men in masks as it sailed through the Baltic Sea, sparking concerns of piracy — almost unheard of in European waters.

バルチック海を航行中に海賊襲撃?
こうした話題の中でももっとも注目されたのは、アークティック号の船籍所在地(船舶の本籍を登記した国)であるマルタ共和国の海運局 MMAから発表された情報である。その内容によると、貨物船がバルチック海(スカンジナビア半島とバルト3国・ドイツに囲まれた北欧の海)を航海していた最中に、12名ほどの武装集団が船に乗り込んで来た、というものである。
状況から推して、すわ海賊によるシージャックか?という疑惑が発生したが(ソマリア沖やインド洋では頻発していても)近代以降のヨーロッパの海域ではおよそ前代未聞であるだけに、大きな波紋を巻き起こした。

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 アフリカ大陸の反対側、東海岸と紅海の接点「Horn of Africa=アフリカの角」から出航するソマリアの海賊

10. From Finland to Bejaja, Algeria

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フィンランド出航、アルジェリア行き航路
MMAマルタ海運局の情報では、この「Raiders」侵入者は、12時間後に救命ボートに乗って船を離れるまで、貨物船の乗組員に目隠しをして縛り上げた、と伝えられている。その間、貨物船の通信装置をすべて使用不能にしたらしい。
当初アークティックシー号は、7月23日にフィンランドの港を出航した後、バルチック海・英仏海峡を通り、ジブラルタル海峡を回って、8月にアルジェリアの港町ベジャイアへ入港する予定だった。

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 大西洋航海の重要な寄港地点として、大航海時代から植民地時代まで繁栄を誇ったカーボベルデ諸島

11. Via off-Dover and Bay of Biscay

字数制限のため英文省略
ドーバー沖、ビスケー湾からも連絡
同船は7月28日に、ドーバー海峡の公海を警備する海上警備艇へも通信連絡があったようだが、その時点では「襲撃」された報告や救助を求めるような連絡ではなかったため、警備艇は貨物船を捜索するまでにはいたらなかった。
それから2日後、今度は地中海のスペインからフランス沖合のビスケー湾に同船が位置していることが、マルタ海運局のレーダーで一瞬だったが傍受されている。またこれと全く同じ地点から発信した同船の信号が、運行管理会社であるフィンランド、ソルチャート社のGPS装置でも、まったく同じ時点で受信されていた。

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 ヨーロッパ大陸西岸と英国から大西洋航海へ向かう船舶がひっきりなしに通行する、ドーバー海峡と英仏海峡

12. Communication stopped on July 28

字数制限のため英文省略
7月28日に消息を経つ
行方不明になっていた貨物船の現在位置が、28日にビスケー湾沖と確認できたとはいうものの、その後ふたたびぷっつり音信不通となり、8月後半まで消息不明のままだった。その間、同船に搭載のGPSや各種位置確認通信装置は、電源が切られたものか機能不全になったのか、全く発信機能は作動していなかったと見られる。
同船の当初の運航予定では、最終目的地のアルジェリアの港へは8月4日入国予定だった。しかし発見されたのが南大西洋のカーボベルデ諸島沖という地点から見ても、当初の地中海へ侵入する航路ではなく、英仏海峡を抜けた後そのまま大西洋を南米方面に向かって南下していた途中ではないか?と推論されている。

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 クレオール特有のアフリカ色の濃いトロピカルカラーが、引き潮の砂浜に屹立する船のもやいの支柱にも

13. Navy sent warships and submarines

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ロシア海軍の戦艦と潜水艦が捜索へ
こうした一連の事態を深刻に受け止めたクレムリンのロシア政府では、乗組員15名が全員ロシア人だったこの貨物船が、海賊襲撃のターゲットとなったという状況判断の元に、大西洋上で同船を捜索する目的で、ロシア海軍の戦闘艦と潜水艦それぞれ数隻を出動する態勢をとっていた。
一方NATO海軍では、海賊行為のありえない海上で、通常の判断では決断しかねる特殊な展開を見せた貨物船消失事件に対して、直接の関わり合いはないとはいうものの、事態の進展を注意深く見守っている現状である。  >次号第3話へ続く

【 米国時間 2009年8月17日『米流時評』ysbee 訳 】
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 クレオール特有のスパイシーカラーのマドラスチェックの衣装で踊る ドミニカのクレオールパレードの子供たち

d0123476_11564496.jpg◀ 次号「貨物船ミステリー10の疑惑・積荷の真相は核関連?」
▶ 前号「地中海の海賊?消えた貨物船アークティックシーの謎」

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d0123476_16472783.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/10121259
TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/10121259

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by ysbee-2 | 2009-08-16 14:30 | 海賊シージャック

地中海の海賊?消えた貨物船アークティックシーの謎

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   ||| 消えた貨物船「北極海号」の謎 |||

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 ロシア人乗組員・機密物資搭載のアルジェリア行き貨物船、忽然と消息絶つ
 ポルトガル沖航行中に謎の失踪、ロシア軍艦出動。欧州沖で初の海賊行為?


d0123476_16582178.jpg海賊と言えば、おととしまではカリビア海の、
昨年以降はソマリアの海賊が通例だった。ソマリアといっても、
インド洋のはるか沖合まで遠征してのシージャック=船舶略奪行為なので、
各国海軍を繰り出しての海賊掃討作戦が、メディアをにぎわした。

 しかし、今回のシージャック、フィンランドの貨物船消失事件は、
 地中海で起きた。
 ヨーロッパの公海上での海賊行為というのは、
 数世紀の間なかった、前代未聞の事件らしい。
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 さらに事件の謎を深めているのは、その貨物船自体の複雑怪奇な運航内容。

 先ず最初に、船の船籍は、地中海の島国マルタであること。
 その船の運航営業を取り扱っているのは、北欧フィンランドの貨物運航会社。
 そして問題なのは、15名の乗組員全員が、ロシア人である事。
 (ここで、突然スパイ小説じみてきます)

 さらにさらに、否が応でも興味を惹かずにおかないのは、
 搭載していた1億3千万円相当の「木材」というのは、表向きの名称で、
 実際には「ミサイル」なのか、「核廃棄物」なのか、
 あるいはまた「核燃料」なのか……?
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 これだけの国際的事件に発展しても、
 いまだに公表できない性質の、
 軍事関連の物資が積まれていた疑いがあるようである。

 GPSグローバル位置確認装置の発信が突然ストップし、
 地中海上でこつ然と消失してしまった、
 このフィンランドの貨物船「アークティックシー/北極海号」。
 
 現在位置の情報も各国でまちまちなら、
 海賊の身代金要求も通ったようだが内密のまま。
 それにもまして、非常に気なるのは、
 同船の捜索に、ロシア海軍の戦闘艦が出動した、という確認情報である。
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 いったい、何が積まれていたのか? 
 いまだ謎に包まれたままの、北極海号の秘密に迫る(れるか?)

【米国時間2009年8月15日『米流時評』ysbee 】

*注:今回のエントリの掲載写真の大半は、事件とは直接関係ありませんが、
 北極海号が生まれたマルタ島の写真で、少しばかり夏休み気分を。

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  AUGUST 15, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月15日号
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 消えた貨物船 北極海号の謎 機密物資輸送?捜索にロシア海軍出動
 米国時間2009年8月15日 | MSNBC/REUTERS・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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 ヨーロッパとアフリカの中間に位置し、古代から「地中海の飛び石」として地中海交易の要衝だったマルタ島
Mystery Deepens Over Missing Cargo Ship
Ransom demand reported amid conflicting accounts of whereabouts
AUGUST 15, 2009 | MSNBC News/REUTERS — BREAKING | Translation by ysbee

1. Mystery of missing cargo ship
HELSINKI, Finland — A ransom demand has been made for the lost merchant ship Arctic Sea, Finnish media said on Saturday, but the whereabouts of the vessel were still unknown in a saga looking increasingly like the plot of a spy thriller.

貨物船「北極海号」謎の消失事件
フィンランド・ヘルシンキ発 |今月1日にヨーロッパ沖で消息を絶って以来、乗組員を乗せたまま行方不明になっていた商用貨物船「Arctic Sea/北極海号」に対して、身代金の要求があったと言う事実が、15日土曜フィンランドのメディアから報道された。
しかし、貨物船の現在位置やこれまでの消息は依然として謎のままであり、「北極海号謎の消失事件」は日が経つにつれ、ますますスパイ小説の筋書きのような様相を呈してきている。
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 マルタ島の朝が明ける 古くからの地中海交易の要衝だったヴァレッタの港湾は、街全体が要塞のようにも見える

2. Large ransom demanded for release

"A ransom demand has been made ... let's say it's a largish amount of money," Markku Ranta-Aho, of Finland's National Bureau of Investigation, told national YLE radio Saturday. He said the demand was addressed to the Finland-based company that owns the Arctic Sea, but he would not give further details or say where the ship might be located for fear of endangering the crew.

フィンランドの運航会社に多額の身代金要求
「身代金の要求がありました。あえて言えば、かなり巨額です。」フィンランドの国家捜査局(米国のFBI、日本の警視庁に相当か)のマルック・レンタアホ氏は、フィンランドの現地時間で15日土曜、国営ラジオ局のYLEの番組でこう語った。
レンタアホ氏の説明では、今回の貨物船の身代金要求は、シージャックされたアークティックシー(北極海)号が所属するソルチャート社のヘルシンキ本社宛てに届いたと言う。しかしながら、氏は乗組員の安否を気遣ってか、船舶の所在地などそれ以上の詳細は明らかにしなかった。
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 マルタ島南部の町ゼイツン イタリーの地方都市のように見えるが、建築様式はローマ帝国以来地中海全域に共通

3. Unprecedented hijacking in European waters

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ヨーロッパの公海で初めての海賊シージャック
ここ数年、海賊行為による一連のシージャックが横行し、紅海からインド洋を航行する船舶を恐怖に陥れているのは、もっぱら「アフリカの角」と呼ばれるソマリアの沖合だった。
公海上のテロとも言うべき、大胆な船舶略奪と乗組員誘拐による身代金要求事件の連続に、被害国家は業を煮やした。その結果、自国船舶の航行安全を図って商用船舶を護送するために、各国とも海軍の戦闘艦を繰り出し、ソマリア沖の海賊掃討作戦で共闘体制をとるまでになっていた。
しかしながら、ヨーロッパの公海上でのシージャック=海賊行為というのは、近代社会になってからはいまだかつて前例のない、前代未聞の海事事件である。
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 インターナショナルな貿易港バレッタは、旧市街をとり囲む深い運河と合わせて、外国の大型船舶が停泊できる

4. Heading to Algeria with 15 Russian crew

The report was the latest fragment of information to surface about the missing ship. 15-member Russian crew, who have been cloaked in mystery since failing to deliver a $1.3-million cargo of timber to the Algerian port of Bejaia on August 4.

ヘルシンキ発アルジェリア行き、ロシア人乗組員15名
ソルチャート社が問題の貨物船からの最後の連絡を受信したのは、先々週8月1日で、ポルトガル沖を通過中だった。その後ぷっつり消息を絶って以来、さまざまな憶測を呼んでいた謎の船舶失踪事件だったが、今回の身代金要求の報道で事件の性質が明らかになってきたようである。
アクアティックシー号は、1億3千万円相当の木材を輸送して、本来の予定では8月4日に北アフリカ・アルジェリアのベジャイアの港に到着し荷下ろしする予定だった。しかしながら、身元を公開しない15名のロシア人乗組員を乗せたまま、ポルトガル沖の海上でこつ然と消息を絶って以来、同船に対する謎は深まるばかりだった。
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 マルタ島最大の港町バレッタ 歴史の深く刻まれたライムストーンの地中海様式建築が連なる特徴ある坂道

5. Ship's whereabout unknown

"I don't sleep. I don't eat. I have been working 24 hours a day," said Viktor Matveyev, director of Solchart, the Finland-based operator of the vessel. "We hope that the crew is alive," he told Reuters. Matveyev declined to comment on any ransom demand.

ポルトガル沖?スペイン沖?フランス沖?
「眠る時間もなければ、食事する暇もありません。1日24時間かかりきりですよ。」こうもらすのは、消息不明の貨物船の航行を管理するフィンランドのソルチャート本社に詰めっぱなしのヴィクトル・マトベーエフ営業部長である。
「ともかくも、乗組員の無事を願うばかりです。」氏はロイター通信記者の取材に答えてこう所存を述べたが、身代金要求に関する質問に関しては、一切ノーコメントだった。
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 運航会社ソルチャートのフィンランド部門営業部長ヴィクトル・マトベーエフ氏 ヘルシンキのオフィスで連絡待ち

6. Moscow sent warships for search

The vanishing of the Maltese-registered vessel and its crew has unsettled authorities in Europe and North Africa. The mysterious situation for its disappearance have included piracy, foul play or a secret cargo. Moscow sent warships to find it.

捜索に海軍戦闘艦を出動したロシア
マルタ共和国船籍の商用貨物船アークティックシー号が、乗組員を乗せたまま消息を絶った事件は、これまで前例がない地中海海域で発生しただけに、この海域を利用するヨーロッパ、及び北アフリカ各国政府の関連各省を震撼とさせている。
今回の船舶失踪事件でも特に謎を呼んでいる状況は、消息不明は海賊の襲撃によるものか? 不測の事態が発生したのか? さらには搭載した貨物そのものが機密物資なのではないか? という点に由来するものである。
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 文字通りコートダジュール=紺碧のサンジュリアン湾に浮かぶ巨大な航空母艦のような地中海の要塞都市バレッタ

7. State-level Russia involved?

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国家レベルでのロシアの機密物資搭載?
一方、ロシアの一紙の報道によると、行方不明の船舶は15日日曜の時点で一時的に所在が確認されたが、発信した位置はフランス沖の模様である。また他のメディアの報道では、その発信元はケープベルデとなっていた。
ロシアの海運関係者が信頼を寄せる業界専門誌『ソヴフラクト・マリタイムジャーナル (海事情報)』の編集長ミハイル・ボイテンコ氏の談話によると、実は「同船は船舶所有権をおくマルタ共和国にも、運行管理会社の本拠地であるフィンランドにも内容証明の届け出を出していない、秘密の物資を搭載しているのではないか?」という疑惑も浮上してきていると言う。
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 8月1日時点でぷっつり音信不通になった貨物船から最後に届いた航海日報のコピー/マリンジャーナル

8. 'Cloak-and-dagger, like a le Carre novel'

"I don't think that it was pirates who took this vessel but it really smells of some sort of state involvement. This is real cloak and dagger stuff, like a le Carre novel," the editor told Reuters. Solchart's director Matveyev said his main focus was on trying to find the Arctic Sea.

ル・カレのスパイ陰謀小説のように
「私が思うに、どうも今回の船を略奪したのは海賊ではないと受け取れるんですがね。それにしても、今回の失踪事件には、国家レベルでの何らかの関わり合いがあると、やけに匂います。まるでジョン・ル・カレのスパイ小説のように、 国家反逆罪ものの陰謀でも絡んでるんじゃないかと思えますよ。」海運ジャーナルの編集長ボイテンコ氏は、こう分析した。
しかし、海上運輸会社ソルチャート社のマトベーエフ部長は、そうした下馬評よりもとにかくアークティックシー号を探し出す事に専念集中すると強調した。
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 フィンランド出航アルジェリア行きの航海途中で、乗組員を乗せたまま突如行方不明になったアークティックシー号

9. Last GPS signal: Bay of Biscay

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最後のGPS発信位置はビスケー湾
ロシアの海事雑誌『ソヴフラクト』の記事によると、アークティックシー号のGPS=自動位置確認装置から、米国東部時間で15日土曜の午前4時30分(グリニッチ標準時で08:30)に、たった一度だけ発信があって確認できたが、その後すぐに音信不通になったようである。
ヘルシンキのソルチャート社がとらえたGPS信号が指した位置によると、行方不明の貨物船はその時点では地中海のスペイン沖、ビスケー湾にいたと言う。
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 この地図はソルチャート社の運航チャートで、8/13時点の貨物船の現在位置がフランス沖合にオレンジで表示

10. French Navy: ship heading to Brazil

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フランス海軍「針路は南大西洋からブラジルへ」?
同じく15日土曜、フランスでは海軍のジェローム・バロー広報官から貨物船の消息について、関連海域担当艦から報告があった事が明らかにされたが、その内容を裏付ける情報は一切公表されなかった。ただし広報官は地中海での行方不明説を否定し、「該当船舶は多分いまだに南大西洋上を航海中で、ブラジルに向かっているものと思われる」という、フランス独自の見解を付け加えた。
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 マルタ島のバレッタは古代ローマ帝国時代に開港 以来治世が変わっても地中海の要衝として繁栄を続けてきた

11. French conclusion: off Cape Verde

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ケープベルデ沖と結論したフランス
フランス海軍広報官は、消息を絶った貨物船がフランス海域には存在しないという点を強調した。
「フランス海軍の情報から判断して、問題の船はケープヴェルデ(カーボベルデ共和国)の沖合にいるものと思われる。しかし現状では、その事実を100%保証することはできない。もしその船が捜索中の貨物船だとしたら、船の外観は部分的に偽装されていると見ていいだろう。先月初めにハイジャックされてから随分の日数が経っているので、そうした変化があったとしても不思議ではない。わが国の海軍はまだ現場へ急行していないが、ポルトガルの海軍が向かったようだ。」
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 マルタ島の領主の居城だった王宮には、現在では国立美術館・国会議事堂・大統領官邸が内部に併在している

12. Conflicting informations from various sources

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謎が謎を呼ぶ錯綜した情報
「以上、われわれが知る限りでの情報から総合判断した結果、この船はわが国フランスの海域を航行してはおらず、カーボベルデ沖にいるといっても航行中のようであり、その向かう先はどうも、ブラジルの方向を指している。」仏海軍広報官は最終的にこうしめくくった。
しかしながらフランスの出した結論は、消息を絶ってからこれまでのひと月半の間、謎の貨物船をめぐってありとあらゆる噂が投じられた錯綜した情報の渦に、さらに新たなさざ波を立てたに過ぎない。
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 現在は美術館となっている王宮グランドマスターズパレスの回廊 ルネッサンス時代以来変わらないインテリア

13. international investigation under way

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国際犯罪の略奪事件として捜査開始
その代表的な例として、先週14日金曜に報道されたロシアの一外交官がもらした説では、全長98メートル4千トンの巨艦である貨物船が、遠浅の海岸線を持つケープベルデの沖を運航するというのは、あり得ない話だと、大西洋南下説を否定している。
一方、問題の貨物船が船籍をおくマルタでは、共和国政府の海運局長が次のような新しい展開を発表した。「国際的な犯罪捜査のネットワークが、海上略奪行為とシージャックの嫌疑で、この貨物船消失事件の捜査を開始した。」
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 マルタ共和国の国会議事堂へ向かう荘厳なエントランス 由緒あるグランドマスターズパレスの内部にある

14. Broad investigation via Interpol, Europol

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インターポル・ユーロポル20カ国以上で捜査
MMAマルタ海運局局長は、失踪事件にかかわる現況の展開を次のように説明した。
「貨物船消失事件に直接関連する犯罪行為の嫌疑に対して、フィンランド・スェーデン・マルタ各国の捜査当局が、緊密に連絡をとりあって事件捜査の指揮に当たります。」
捜査に協力するのは上記3国だけでなくヨーロッパ・アフリカ・南米の総数20カ国以上にのぼり、国際警察のインターポルとユーロポルもまた、捜査ネットワークに加担する状況となった。
>次号「消えた貨物船の謎・カーボベルデ篇」へ続く

【 米国時間 2009年8月15日『米流時評』ysbee 訳 】
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 モスタの町の由緒ある英国国教会のカテドラル(大伽藍) 第2次大戦中にドイツ軍の空襲で爆撃されたが、
 爆弾は伽藍の壁に突き刺さったまま不発に終わったという奇跡で有名。


*Cape Verde/カーボベルデ共和国*

英語読みでは「Cape Verde/ケープヴェルデ」ポルトガル語の現地読みでは「Cabo Verde/カーボベルデ」で、意味は碧の岬。アフリカ大陸の西側の南大西洋に点在する自然の桟橋のような、トロピカル環礁から成る列島の共和国。
ヨーロッパとアフリカと南北アメリカ大陸の中間に位置して、人種と文化の交差点のようなカーボベルデ諸島で培われたクレオール音楽とクレオール料理。そのクレオール文化のふるさとでもあるこの国については、次号で詳しく紹介。
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バーミューダ島やセントジョン島のようなカリビア海のトロピカルな島々と共通する、ピンクのさらさらしたパウダーサンドと、どこまでも透き通ったターコイズブルーの海が特徴の、カーボベルデのビーチ

d0123476_11564496.jpg◀ 次号「消えた貨物船の謎 続編・カーボベルデ沖で発見!」
▶ 前号「タリバンのエンドゲーム・テロ戦争の潮目」

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by ysbee-2 | 2009-08-15 17:24 | 海賊シージャック

タリバンのエンドゲーム・テロ戦争の潮目

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   ||| タリバン戦線のエンドゲーム |||

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 テロ戦争8年目の潮目 パキスタンのタリバン拠点へ米軍のミサイル攻撃開始
 

d0123476_16582178.jpgここ数日で、アフガンとパキスタン国境地帯のタリバンの拠点に対して
米軍・パキスタン政府軍・アフガン政府軍の総攻撃が展開している。
7月の対タリバン戦線の戦死者数が、
米軍もNATO軍も、テロ戦争始まって以来の記録となってしまった。
もちろんそれ以前から「アフガン・サージ」(増兵)は始まっていた。

 本来のテロ戦争の目的から外れて、石油利権目当てのイラクへ侵攻した米軍。
 そのブッシュ政権の誤った指針を、本来のタリバンの拠点である
 アフガニスタンとパキスタンの国境地帯へ戻して、
 イスラム原理主義者のテロ活動の要請基地と、武器と兵力の拠点をつぶす。
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 そうした本来の戦争目標を達成するために、
 オバマ政権になってから、アフガン戦線の総司令官も首がすげ替えられた。
 
 新任のマクリスタル司令官は、イラク戦争でも
 アルカイダ・イラク戦線のリーダー、アブサヤブ・アブ・ムサウィを
 ミサイル攻撃でとどめを指した2006年の掃討作戦で、
 米空軍特殊部隊の攻撃を率いた、歴戦の強者である。
 
 ブッシュ時代の、投げやりなアフガン戦略から一変して、
 教育施設の建設や、農業灌漑事業の支援も始まった。
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 戦闘だけでなく、内政の充実、特に産業振興で職場を創成して
 タリバン組織へ若者が流れるのを阻止するという、
 きわめて当たり前の「戦後政策」に手を付けている。
 
 今回のエントリは8/8号の続編になるが、
 これ以降も、アフガンとパキスタンの両面展開で、
 タリバンを挟み撃ちにするべく、熾烈な銃撃戦が続いている
 国境地帯の戦闘状況をお伝えします。

【米国時間2009年8月10日『米流時評』ysbee 訳】

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  AUGUST 10, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月10日号
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 タリバンのエンドゲーム パキスタンの拠点へ米軍ミサイル攻撃
 米国時間2009年8月7日 | AP/REUTERS/NBC/MSNBC| 訳『米流時評』ysbee

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 Death of Taliban Chief — Part 2
Leader of group in Pakistan linked to Bhutto killing, many suicide attacks
AUGUST 7, 2009 | AP/REUTERS/NBC/MSNBC | Translation by ysbee

15. U.S. drones began striking Taliban
DERA ISMAIL KHAN, Pakistan — Earlier this year, however, U.S. drones began repeatedly striking Mehsud's territory in Pakistan's South Waziristan region as his power grew and concerns mounted that violence could destabilize Pakistan and threaten the region. In addition, some of Mehsud's fighters were suspected of attacking supply convoys for U.S. and NATO forces through Pakistan.
パキスタンのタリバン拠点へ米軍攻撃開始
前号「米軍のミサイル爆撃でタリバンの首領メスード爆死」からの続き
パキスタン社会の反応は変わってきていた一方で、アフガン駐留米軍は今年の年頭から南ワジリスタン地区に対して国境を越えて無人偵察機ドローンを飛ばすCIAアフガン戦線主導の攻撃作戦を開始していた。
南ワジリスタンでは近年、バイツラ・メスードが率いるパキスタン・タリバンが自爆テロ養成基地を構え、首都ペシャワール近郊までテロ攻撃を仕掛けたりするタリバンの活動拠点となっていた。
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 南ワジリスタンの山中へ入ったキャンプからタリバンの隠れ家と思われる穴居に地対地のロケット砲を撃ち込む米軍

16. Attacks on supply convoys for US/NATO

In addition, some of Mehsud's fighters were suspected of attacking supply convoys for U.S. and NATO forces through Pakistan.
カイバー峠で輸送部隊のコンボイを襲撃
メスード配下のタリバンは、地元の警察署・刑務所の襲撃、政府軍や米軍への協力者の公開処刑などを次々に実施して、復讐を恐れた地元住民や部族長老を恐怖政治の統制下においた。
さらには、パキスタンの港湾から荷揚げして、アフガン国境のカイバー峠を越えてアフガニスタンの米軍基地やNATOのアフガン戦線編成軍基地へと、通常の兵站物資を輸送する陸軍のトラック部隊を連続襲撃したため、アフガンの米軍とNATO軍に対しても大きな脅威となってきていた。
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17. Becoming a greater threat to the U.S

Whether Pakistan will now aim for militant leaders that are a greater threat to the U.S. — such as those led by Maulvi Naseer Wazir in South Waziristan, Hafiz Gul Bahadur in North Waziristan or the Haqqani group — remains to be seen, although the U.S. success in taking out Mehsud could be a strong nudge.
今や米軍に対する最大の脅威
パキスタンタリバンでメスードの後継者とみなされる他のリーダーたち、南ワジリスタンのマウルヴィ・ナシール・ワジール、北ワジリスタンを仕切るハフィズ・ガル・バハジュール、あるいはまた(かつてブット元首相の父親を暗殺した)今は亡きハッカニの後継者一派。
こうした一連のパキスタン政府軍の宿敵の中で攻撃対象として現在最重要視されるのが誰であれ、今回のメスード討伐は転機となるだろう。なぜなら「米軍の手でメスードをやっつけた」という実績が出来てしまった限りは、ワジリスタン統制における米軍とパキスタン政府の間の軍事的判断においても、米軍側の発言力のパワーバランスが増す事実は否めない。
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 タリバンとの銃撃戦で負傷した米兵を、戦闘の前線からバグラム基地へ運ぶシャトル用ヘリ、ブラックホーク

18. Brutal Taliban regime of Mehsud

Fueled by his alliances with al-Qaida and other militant outfits, Mehsud rose to the peak of Pakistan's militant pyramid thanks largely to his brutality and Pakistan's unwillingness to take him on.
メスードの残虐なタリバン恐怖政治
そもそもメスードは、アルカイダやパキスタン外部のテロ組織との連携によって急激に勢力を拡大し、パキスタン国内の叛徒グループの中でも組織ピラミッドの頂点を極めた。その覇権の秘密は、もっぱら彼の残虐な恐怖政治態勢にあったため、パキスタンの中央政府や軍事司令部ですら怖れをなして、今年初めまではあえて強硬攻撃を控えてきたのが実態である。
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19. A bold ambition of Mehsud

A 30-something son of a potato farmer who once taught physical fitness, Mehsud was soft-spoken but brash enough to once hold a news conference.
大胆不敵なメスードの野心
弱冠30代のメスードは、護身術の免許も持つジャガイモ畑を耕す小作農の息子として生まれ、一見話し方はおだやかだが、その剛胆な精神力は他を圧倒している。昨年5月には内外の記者多数を南ワジリスタンの山中にあるタリバンの基地に呼び寄せ、公然と記者会見するという、タリバンのトップ指導者としての威信を見せつける、野心的な冒険もやってのけた。
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 昨年5月24日南ワジリスタン山中のタリバン要請基地へ、内外記者を堂々と招集した記者会見でのメスード

20. Likely successor: deputy Hakimullah

Three Pakistani intelligence officials said the most likely successor was Mehsud deputy Hakimullah. Two other possibilities were Azmat Ullah and Waliur Rehman. The officials spoke on condition of anonymity because of the issue's sensitivity. Interior Minister Rehman Malik also named Qari Hussain, known for training suicide bombers.
後継者と目されるもうひとりのメスード
諜報部門の極秘情報のため匿名という条件の下にもらした、パキスタン陸軍諜報部ISI将校の諜報分析によると、パキスタンタリバンの総司令官としての後継者はメスードの副将を務めていたハキムラ・メスードだろう、という予測がもっぱらである。ほかにもアズマット・ウラーとか、ワリウル・レーマンといった名も挙がっている。政府側の消息筋では、レーマン・マリク内相の説で、自爆テロ養成基地のリーダーであるカリ・フサインの名もまた挙がってきている。
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21. Pakistan's Taliban Movement getting loose

The Tehrik-e-Taliban Pakistan, or Pakistan's Taliban Movement, was already a loose coalition, and rivalries were common. "It has the potential to fracture even more now that its boss is dead, and military might will have to be a key part of the approach to the truth," said Daniel Markey of the Council on Foreign Relations.
動揺するパキスタンのタリバン組織
パキスタンのタリバン運動「テーリケ・タリバン・パキスタン」は、5月のパキスタン政府軍の大々的なスワット谷侵攻作戦以来、すでにこれまでにも組織の統制がばらばらになってきており、これは他のライバル組織においても共通して見られる兆候である。
しかし特に今回は彼らの最高司令官メスードの死で、組織自体が崩壊する可能性も見えてきており、そうであれば現段階での軍事的裁定が、この地域の恒久平和につながる鍵を握ることになるだろう、とCFR 外交評議会(Council on Foreign Relations)のダニエル・マーキー氏は分析する。
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22. Afghan Taliban lost its ally

"Baitullah was an unusually effective leader, capable of pulling together disparate militant forces and maintaining discipline ruthlessly. Now there's an opportunity for the Pakistanis to try and peel off elements within the TTP, or at least encourage splits that are likely to develop on their own in the aftermath of Baitullah's death," Markey said.
最強の援軍を失ったアフガンのタリバン
「バイツラ(メスード)は、ずば抜けて統制力のある指導者でした。テロ戦争の緒戦で米軍のアフガン侵攻で蹴散らされて壊滅状態だったタリバン兵士を、ふたたびかき集めて教練し直し、徹底した情け容赦のない戒律で、強硬な軍隊を再編成しました。」
「しかし、その彼が不在となった今は、TTP=パキスタンタリバンの内部崩壊の機に乗じて、パキスタン政府にとってはメスードの支配下にあった南ワジリスタン地区を挽回する、絶好のチャンスでしょう。少なくとも、バイツラの死後は組織自体が指導者権争いで分裂の危機にあるので、そうした状況を加速するような諜報の動きがあってしかるべきだと思います。」
CFRのマーキー氏は、パキスタン政府側が失地挽回する好機であると強調した。
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23. 'Cat and mouse' situation

In this, Pakistan's record is not inspiring. It has regularly staged military operations that it says have cleared out insurgents, only to see the groups re-emerge. It also has a record of striking peace deals with insurgents, which critics say have helped the Taliban.
タリバンと政府軍のイタチごっこに終止符
タリバン幹部の討伐に関しては、パキスタン側の実績はぱっとしない。テロ戦争では、ブッシュ政権の友軍を買って出たムシャラフ政権だったが、パキスタンの基地から国境を越えて、アフガン側へテロ攻撃を仕掛けてくるタリバンに業を煮やした米軍側から圧力がかけられると、そのときだけおざなりな派兵を行なって、タリバンは駆逐したと表明していた。
しかし実際には、タリバンは山中の基地に戻っただけで、この本陣を集中攻撃しない限り、パキスタン政府軍とタリバンのいたちごっっこが繰り返されるだけだった。さらに、昨年の選挙で政権がムシャラフからブットの寡夫ザルダリに移ってからは、一時南ワジリスタンの辺境地域の自治統制権をタリバンシンパの部族長老の手に渡すことを認証する失態も起きた。この地域専門のアナリストの評価によると、こうした地域の政変が結果的にタリバンの勢力拡大に、大いに役立ったものと分析している。 >続く

【 米国時間 2009年8月10日『米流時評』ysbee 訳 】
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左:国境付近を走るパキスタンの国営鉄道、アフガンには鉄道自体がない /中:スワット谷侵攻作戦が一段落して故郷に戻った避難民だが、見る影もなく破壊された民家 /右:5月にアフガン戦線の最高司令官に抜擢された米軍のマクリスタル将軍。空軍82部隊と言えば泣く子も黙る特殊部隊だが、イラク戦線転任直後にこの部隊を率いて、アラブアルカイダ指導者ムサウィをしとめた実績が評価されていた。彼の戦略の特徴は「Precision Operation」脳外科医の患部摘出手術のように、周辺地区に危害を及ぼさずにターゲットだけを殲滅する、特殊部隊特有の作戦。

d0123476_11564496.jpg◀ 次号「今度は地中海の海賊?消えた貨物船アークティックシーの謎」
▶ 前号「スワット谷の夜明け・戦線の鍵を握るパシュトゥン族」

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by ysbee-2 | 2009-08-10 19:50 | タリバニスタン最前線
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