過激派テロのターゲットは欧米資本と外国人ツーリスト
||| 狙われる外国人VIPツーリスト |||
アルカイダ系テロ組織のターゲットは、欧米資本高級ホテルと外国人ツーリスト
ジョージ・W・ブッシュの1期目、2001年の9/11同時テロ攻撃に対する復讐戦としてはじまったテロ戦争「War on Terror」。通常は英仏戦争、米西戦争のように、戦争当事国の名前が冠せられる戦争で、「Terror=テロ」という概念自体が敵という、前代未聞の漠然とした戦争の定義づけが成立してしまった。
この時点から、どの国家であれ組織であれ人物であれ、
ブッシュ政権下の国務省が「テロリスト」と認定すれば、
敵性対象として自動的に攻撃を容認するシステムが作られてしまった訳である。
(判断素材は、国務省配下のCIAおよびペンタゴン配下のNSAの諜報資料)
それまでブッシュ政権下で行き詰まっていた米国の
あらゆる方針と政策は180度方向転換し、軍事面でも
戦線を拡大する一途だったテロ戦争を、削減する方針へと変換した。
かくして、まず「テロ戦争」という用語を一切使用しない態勢となり、
1年以内にガンタナモ捕虜収容所も閉鎖する予定で、戦争捕虜にも
基本的人権にのっとって正規の裁判を受けさせるよう、方針転換した。
その結果、6月にはウイグル人の戦争捕虜が無罪放免となり、
出身地の新彊自治区へ帰国させると、
中国政府のイスラム教徒への弾圧で、再逮捕される恐れがあるので、
カリブ海の英領バミューダやパラオ諸島など、
受け入れを認可した国家へ亡命の形態で引き取られた。
今月の新彊ウイグル自治区での中国の弾圧には、
こうした背景も絡んでいるように見受けられる。
【米国時間2009年7月19日『米流時評』ysbee】
アジアの高級ホテルとVIPツーリストをターゲットにするイスラム過激派テロ
米国時間 2009年7月18日午前11時10分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
7/17号「ジャカルタのJWマリオットとリッツカールトン ホテル連続爆破テロ」
7/18号「真相究明・ラグジュアリーホテルに宿泊していた連続爆破テロ犯人」からの続き
Bomb hidden in laptop computer is also found at hotel hit by suicide attack
JULY 18, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
9. Executive forum of consultancy firm
JAKARTA, Indonesia — The attack occurred as the Marriott was hosting a regular meeting of top foreign executives at major companies in Indonesia organized by the consultancy firm CastleAsia said the group which is headed by an American.
国際フォーラム参加の外国人VIP宿泊中
今回の襲撃があった時点では、5スターホテルのJWマリオット・ジャカルタで、米国法人の「CastleAsia=キャスレーシア」というコンサルタント会社の主催で、インドネシアの主要企業を取りしきる外国人経営者が参加する年次恒例のフォーラムが、ちょうど開催されていた最中だった。
10. Australian think tank warned ahead
An Australian think tank, the Strategic Policy Institute, had warned the Southeast Asian terrorist group Jemaah Islamiyah might launch new attacks just a day before Friday's deadly strike.
事前警告を発していた豪州シンクタンク
また金曜のホテルテロ襲撃のまさに前日に「Strategic Policy Institute(戦略方針研究所)」というオーストラリアのシンクタンクが「東南アジアのテログループ、ジェマーイスラミヤが新たなテロ襲撃を実行する可能性がある」と、警告を発した翌日に事件が起きているのも偶然過ぎる。
11. Capitol under the extreme security
Security is tight at five-star hotels in Indonesia. Guests typically walk through metal detectors and vehicles are inspected, but many visitors say searches are often cursory.
首都ジャカルタの治安厳戒態勢下に
今回のテロ爆破事件の起きるよりもはるか以前から、インドネシアでは5スタークラスのラグジュアリーホテルに対しては、厳重な保安警備体制がとられていた。宿泊客やホテル内の飲食施設の利用客は、まずエントランスで金属探知機のゲートをくぐり、もちろん駐車する車輌もすべてチェックされていた。しかしながら利用客の多くからは、急ぐ際にはチェックはしばしばおざなりだったという批判の声も上がっている。
12. Technical advance by terrorists
"If they (the terrorists) were to separate explosives and metals they could get through the detectors because the wands the hotels use do not detect explosives," said Jakarta-based security consultant Ken Conboy.
警戒体制をくぐるテロリストの技術革新
「万一彼らテロリストが、爆発物の素材である化学物質と起爆装置などの金属素材を別々に持ち込めば(空港と違って化学物質を検出する機能を持たない)金属探知機しか設置していないホテルでは、チェックの関門をやすやすと通過できた可能性があります。」こう説明するのは、ジャカルタを本拠地とするセキュリティ専門のコンサルタント、ケン・コンボイ氏である。
13. Indonesian jihadists praised attacks
Meanwhile, hundreds of postings on a Web site used by Indonesian jihadists praised the attacks. "Mission accomplished," read one posting on the site Arrahmah.com. Indonesian President Susilo Bambang Yudhoyono said the attack was carried out by a "terrorist group" and vowed to arrest the perpetrators. He also suggested a possible link with last week's national presidential election.
襲撃を賞賛するインドネシアのジハディスト
一方、イスラム過激派グループのウェブサイトには、今回のテロ攻撃を讃える投稿が何百も上がった。テログループのサイト「Arrahmah.com」に貼られた投稿のひとつにはこう書かれている。「Mission accomplished=任務完了」(イラク侵攻時にブッシュ大統領が戦艦ミズーリ上で吐いた自画自賛の迷セリフ)
インドネシア政府のスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領は、次のような公式声明を発表した。
「今回の事件はテロリストグループによって実行された計画的なテロ攻撃であり、実行犯人はすべて逮捕することを誓う。」彼はまたテロ攻撃のタイミングについて、先週実施され彼自身が再選されたインドネシア大統領選の結果と関連があるという示唆を示した。
14. Series of attacks on the tourists target
It has been nearly four years since the last major terrorist attack in the world's most populous Muslim nation. In 2002, a triple suicide bombing attacked two Bali nightclubs, killed 202—mostly foreign tourists.
アジア地区の欧米人ツーリストがターゲット
東南アジアだけでなく、世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシア。この国で大規模なテロ攻撃事件が起きてから、すでに4年近く経った。これまでで最後の最大のテロ攻撃事件は、2005年のバリ島のナイトクラブトリプル爆破テロで、この事件では202名もの死者を出し、しかもそのほとんどが外国人ツーリストだった。しかし今回の先週金曜のテロ爆破事件では、ハイエンド顧客の利用するホテルでの警備体制のスキについて、新たな疑問が投げかけられる結果となった。
15. Mumbai attacks by Lashkare Taiba
Friday's strikes raised questions about security gaps at high-end hotels, which have become popular targets for militants in recent years, most notably in Mumbai, India, where attacks in November killed 164 people.
昨年のムンバイ同時多発テロ事件
こうした外国人ツーリストのハブとなるラグジュアリーな観光・宿泊施設は、近年特に武装テログループの格好のターゲットとなる傾向を強めている。その典型的な例が、昨年11月インドのムンバイで起きた同時多発爆破テロ事件で、164名が犠牲になった。ムンバイでのテロ攻撃のターゲットは、2つの最高級ホテル、タージマハールとオベロイ、さらに人通りの過密なムンバイ駅とムンバイの通りで、この事件の犯人もまたイスラム過激派のラシュカレタイバである。
『米流時評』11/26〜12/04 「ムンバイ テロの決算」特集記事参照
60時間の死闘の末、人質篭城のテロリスト最後の砦 タージマハルホテル陥落
16. U.S. continue to partner with Indonesia
President Barack Obama condemned the "outrageous attacks" and said the U.S. government "stands ready" to help its ally in the effort to combat extremism. "We will continue to partner with Indonesia to eliminate the threat from these violent extremists, and we will be unwavering in supporting a future of security and opportunity for the Indonesian people," said Obama, who spent part of his childhood in Indonesia. The European Union also condemned the blasts.
オバマ「テロとの闘いでインドネシアと共闘」
少年時代をインドネシアで過ごした経験を持つ米国のバラク・オバマ大統領は、今回の事件を「とんでもない攻撃」であると非難し、米国政府は過激派武装集団と闘争する局面で、友軍国家(この場合はインドネシアを指す)を援助する体制はできていると表明した。
「こうした暴虐を繰り返す過激派の脅威をなくすために、われわれはインドネシアとの共闘体制を継続していくつもりであり、インドネシアが平穏と繁栄の未来を享受できるよう、ゆるぎない支援を継続していく所存である。」
またヨーロッパでもジャカルタ滞在中の欧州人が数人負傷しており、米国同様にEUが今回の爆破テロ事件に対して糾弾声明を出した。
17. Employees of world's largest gold mine
Two of those wounded at the Ritz-Carlton were employees of Phoenix-based Freeport McMoRan Copper & Gold, Inc. said a company spokesman. He declined to identify the two men or their nationalities, citing company policy, but said their injuries were not life-threatening. Freeport operates the world's largest gold mine in Indonesia's restive eastern Papua province.
負傷者に世界最大の金鉱会社社員も
ホテル・リッツカールトン・ジャカルタに滞在中に爆破で負傷した外国人の中には、アリゾナ州フェニックスに本社を置くFreeport McMoRan Copper & Gold, Inc.=フリーポート・マクモラン金銅採掘会社の社員2名が含まれていると、同社の広報担当から発表されたが、同社の方針に従い個人名および国籍は伏せた。ただし、ふたりとも命に別状をきたすような症状ではないという。
フリーポート社は、インドネシア辺境のパプアニューギニア地区で世界最大の金鉱を有し、金の採掘を行なっている。
18. Attacks near mining complex in Papua
Several attacks have occurred in the past week on the road from the firm's sprawling Grasberg mining complex to the mountain mining town of Timika, leaving at least 15 people killed or wounded. Authorities initially blamed the ambushes on Papuan separatists, but official statements now refer to "an armed group" of professional marksmen.
パプアニューギニア鉱山襲撃で15名死亡
実は先週、フリーポート・マクモラン社がパプアニューギニアに所有するグラスバーグ鉱山から、
山間の鉱山の町ティミカへいたる道路で、過激派武装集団による襲撃が数回起きていた。その結果合せて15名が殺されたり瀕死の重傷を負っている。地元警察の発表では、当初パプア地区独立派の襲撃としていたが、今回のジャカルタ連続ホテルテロ爆破事件が起きたことによって、先週の襲撃もまた過激派のプロの武装集団によるものと、犯行容疑者に関する推論を変更した。 <了>
【 米国時間 2009年7月19日 『米流時評』ysbee訳 】
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