日本のパワーシフト・保守から革新へ、歴史的大転換
||| 日本のパワーシフト・鳩山内閣発足 |||
ついに発足したハトヤマ=キマイラ内閣。
キマイラというのは、ギリシャ神話に出てくる、ライオンの頭と山羊の身体を持ち、蛇の尻尾がついた、合成異形の怪物。 いつも卓見のブログを連載する三四郎さんの命名です。 *推奨ブログ『三四郎の日々』9/08号「キマイラの始動」
さて、このところシリーズで連載している鳩山民主党政権のエントリですが、
今日はこちらのメディアにも、国際面のトップに バーン!と出てきたので、
即時性を重視して「鳩山新内閣発足」の米国での報道を翻訳してお届けします。
下の写真は、米国でもっともよく読まれているニュースサイトの、MSNBC.com の国際欄。
AP通信、ロイター、NBCニュースネットワーク、NYタイムズ、
ワシントンポスト、ウォールストリートジャーナル、他の
米国のめぼしいメディアの主要ニュースを網羅しています。
毎日膨大な量ですが、記事内容もきわめて中立公正と言えるでしょう。
今朝7時前のページはご覧の通り、鳩山氏が日の丸をバックに、
新内閣発足の声明を発表しているところでしょうか。
左側のマレン三軍総司令官が「アフガン戦線には兵力増強が必要」と訴える
米国にとっての非常に重要なニュースよりも、さらに大きな扱い。
これはあくまで見出し部分なので、ここから本文のページへ飛びます。
記事評価は、5点法ではかなりGOODなランクの 4点となっています。
しかし、国旗とクロスして、その左側に掲げられた旗が気になります。
例の「日の丸の細胞分裂」の民主党旗でしょうか?
万が一にも五星紅旗だったら、日本終了ですね。(万に一つです。念のため)
中国語に堪能な方に、ぜひ翻訳していただきたいと思うのですが、
大見出しの漢字を読む限りでは「日本国換了」となっていますね。
CHANGE=変換が終了した、と推読できますが、
「大王旗」が何を指すのか?
またその上の青い文字の「民主党"革命" 萩成功」も気になります。
「民主党革命大成功」?……ったく冗談じゃない。
できれば、抽象的な意味合いで使ったケースと解釈したいものです。
北の新聞は、もうイッてしまっている体制下なので何をか言わんやですが……
と危惧されている状況の真っ直中にある日本。
国際間の誤解を招く一言一句が、
時には国家の命取りになることもあると、警戒を怠りなく。
チャイニーズメディアであっても、
日本に関する報道の見出しには、極力 心してほしい。
こうした一言一句が、日本とアメリカの距離をますます引き離し
環太平洋圏での、日本の孤立化が深まるばかりですから。
アメリカがだめなら中国があるさ、と夢思うなかれ。
「個人の社会的自由と基本的人権の保護」に関しては、
米国と中国とでは、天国と地獄ほどの甚だしい落差のあることを、
あらためて痛感するべきです。
平和と繁栄を享受できてきた日本。
その目に見えない恩恵を、まかり間違っても
「友愛の隣国」に蹂躙されないように。
他国の傀儡ではない独自外交は結構ですが、くれぐれも
日本の平和を保証する基底となっている同盟を
浅薄な独立心で、反古 (ほご) にすることのないように。
【米国時間 2009年9月16日『米流時評』ysbee】
日本のパワーシフト 閣僚経験皆無の民主党政権スタート
米国時間 2009年9月16日午前2時37分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
New prime minister faces economic challenges, seeks change in U.S. ties
SEPTEMBER 16, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
1. After 50+ years of conservative rules
TOKYO — Longtime opposition leader Yukio Hatoyamawas elected prime minister and installed his new Cabinet Wednesday, promising to reinvigorate Japan's economy and shake up government with his left-of-center party after more than 50 years of nearly unbroken rule by conservatives.
半世紀以上の保守党政権統治の終焉
AP通信 東京支局発 |16日水曜、自民党政権の続いた戦後体制に終止符を打ち、総選挙によって万年野党から与党に転じた民主党の党首 鳩山由紀夫氏が日本国の首相に選出され、新しい内閣が発足した。
民主党の新政権は、停滞する日本経済を再び活性化し、日本の戦後55年間の長きにわたって不動の座にあった保守党の統治体制を、鳩山氏の率いる中道左派の政策の元に改革することを表明した。
2. Marking of Japan's major turning point
Hatoyama's victory marks a major turning point for Japan, which is facing its worst economic slowdown since World War II, with unemployment at record highs and deflation intensifying. But concerns ran deep over whether the largely untested government would be able to deliver.
歴史的な日本の一大方向転換
記録的な失業率、悪化するデフレ……第2次大戦以来最悪のこうした経済低迷に直面している日本にとって、鳩山氏が率いる民主党の勝利は、歴史的な一大転機を記すものである。しかしながら、組閣メンバーの大部分が閣僚未経験者である新政権が、果たして難題を解決できるのかどうか危惧する見方が強いのも事実である。
3. Focusing on consumers, not big business
Hatoyama has vowed to cut government waste, rein in the national bureaucracy and restart the economy by putting a freeze on planned tax hikes, removing tolls on highways and focusing policies on consumers, not big business.
経済:大企業ではなく消費者に焦点
鳩山氏は選挙戦の公約では、「政府の無駄な経費削減、官僚主導体制の阻止、増税計画の凍結による経済活性化、高速道路無料化」など、大企業ではなく一般消費者を優遇する政策を掲げて、衆議院での圧倒的多数議席獲得を果たした。
4. Independent foreign policy from U.S.
He has also pledged to improve Tokyo's often bumpy ties with its Asian neighbors and forge a foreign policy that is more independent from Washington."I am excited by the prospect of changing history," Hatoyama said. "The battle starts now." The new prime minister said he wanted to build a "relationship of trust" with President Barack Obama by exchanging views "frankly."
外交:米国から独立した対アジア政策
鳩山氏はまた、従来日本政府が東アジアの近隣国家との間でしばしば対立してきた関係を改善し、米国政府からより独立した外交方針を推進する、とも公約してきた。
「歴史を変革する可能性を感じ、意気高揚しています。闘いはこれからです。」
新任首相としての記者会見で、鳩山氏は「バラク・オバマ大統領とは、お互いの意見を "率直に" 交換することで、信頼関係を築いていきたいと思います」と、対米外交面での豊富を語った。
5. Pro-U.S. LDP ousted after 55-year rule
Parliament convened in a special session to formally select Hatoyama, whose Democrats won a landslide in parliamentary elections last month to take control of the body's lower house, ousting Prime Minister Taro Aso's Liberal Democratic Party, which is conservative and staunchly pro-United States.
55年間の親米保守党政権の撤退
同じく16日水曜には、鳩山氏を首相として正式に選出承認するための特別国会が開かれた。先月末に実施された国会の衆議院議員を選出する全国投票では、鳩山氏が党首の民主党が地滑り的大勝を納め、現役だった麻生太郎首相の率いる自由民主党を、与党の座から追いやった。ちなみに自民党は、親米に徹した保守党である。
6. DPJ administration backed by strong majority
In Wednesday's parliamentary vote to choose the prime minister, Hatoyama won 327 of the 480 votes in the lower house. He needed a simple majority of 241 votes. Quickly after his election, Hatoyama named Katsuya Okada as his foreign minister and Hirohisa Fujii as his finance minister.
民主党の総選挙圧勝で鳩山首相誕生
水曜の衆議院で行なわれた国会議員の首班指名投票では、鳩山氏が全480票中327票を獲得し、首相としての信任を受けた。日本の場合は、単純に241票あれば過半数とみなされる。(注:米国上院の場合、法案可決には100名中60名以上の得票が必要)
この投票後、鳩山氏はただちに同じ民主党の岡田克也氏を外務大臣に、藤井裕久氏を財務大臣に指名した。
7. Finance minister, former bureaucrat
Though Okada has never held a Cabinet post, Fujii was finance minister under a coalition government in 1993-94, the only time in its 55-year history that the Liberal Democrats had previously been ousted from power. He was also a former bureaucrat in the Ministry of Finance — suggesting that the new government won't be too confrontational with Japan's powerful ministries.
旧大蔵省官僚出身の財政相
外相に指名された岡田氏には閣僚経験はないが。藤井氏は93〜94年の短期連合内閣で、当時の蔵相を務めた経験がある。この期間は戦後55年の日本の国政で、唯一保守党である自民党が野党であった期間である。藤井氏はまた、元大蔵省官僚出身でもある。この人選から察しても、民主党新政権は、日本の強大な官僚体制と真っ向から対立するつもりはないようである (won't be too confrontational)。
8. Fujii experienced macro-economic policy
It's good news that Hatoyama picked Fujii as finance minister," said Tsuneo Watanabe, a senior fellow at the Tokyo Foundation, a think tank. "He's experienced. Fujii knows macro-economic policy." Hatoyama, who has a Ph.D from Stanford University and is the grandson of a conservative prime minister, had a limited pool of seasoned politicians to choose from.
藤井財政相はマクロ経済経験者
「鳩山氏が藤井氏を財相に選んだのは朗報です」こう言うのは、日本のシンクタンク東京財団で主任研究員を務める渡辺常男氏で、その理由をこう説明した。「藤井氏なら経験者だし、マクロ経済に精通していますから。」
首相の鳩山氏自身は、(カリフォルニア州の) スタンフォード大学で修士課程を卒業。初代自民党総裁でソ連との国交回復を果たした54~56年の総理、鳩山一郎の孫にあたり、親族の系譜には池田勇人、宮澤喜一など元首相から、母方の祖父でブリジストン会長、石橋正二郎氏など財界トップまで、錚々たる名士が控えている。
9. Uncertainty over inexperienced administration
His party, created a decade ago, has never held power, and nearly half of the Democrats' members of the lower house will be serving in their first terms in parliament. The inexperienced new government was bound to make some missteps, analysts said.
未経験閣僚と新人議員に対する不安
鳩山氏の所属する民主党は、10年前に結成された比較的新しい政党で、これまで政権の座に就いた経験がない。また衆議院の過半数を占める民主党議員も、そのうち半数近くが初選出で1期目の、まったくの新人である。議会をあずかる議員、政局の中枢たる閣僚。そのどちらも未経験者で多くを占められた新しい政府は、当然何らかの過ちをおかすことが予測されると識者は予見している。
10. Mix of defectors face huge tasks
"This is a big change. But with change often comes with uncertainty. Beginners usually have some troubles," said Tsuneo Watanabe, a senior fellow at the Tokyo Foundation, a think tank. Hatoyama and his party, a mix of defectors from the conservative party and social progressives, face huge tasks that they must deal with quickly.
不統一政権で前途多難を危惧する識者
こうした状況に対して、前述の東京財団の渡辺氏は次のような見解を示す。
「今回の政局転換は日本の政治の非常に大きな変革です。しかしながら変化にはしばしば、その不確定性に対する不安がつきものです。特に初心者は、なにがしかの問題につきあたるでしょう。」
自民党から分派した保守派も、社会主義の革新派も混在する民主党政権と、それを率いる鳩山首相には、これまでに山積した巨大な責務と、今後速攻で取り組まざるを得ない状況に直面していると言えよう。 >次号へ続く
【 米国時間 2009年9月16日『米流時評』ysbee 訳 】
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by ysbee-2
| 2009-09-16 17:25
| 日本のパワーシフト