サルコジ大統領誕生!フランス新世代へシフト
今後6年のフランスの新しい顔、次期大統領にユダヤ系移民2世のサルコジ氏選出
【MSNBCニュース速報】 2007年5月6日 パリ発 |シラク大統領の12年間の政権を引き継いで、新しい時代のフランスへと牽引して行くフランスの新しい顔が決まった。6日日曜、フランスの有権者は、新しい大統領にニコラ・サルコジ氏を選出した。今回の投票では、事前に行われた4社のアンケート結果からも予測された通り、変革への要望を託された保守党候補が余裕をもって、長い大統領選のゴールで勝利をつかんだ。サルコジ氏の対立候補であるフランス社会党のロワイヤル女史は、開票終了直後に敗北声明を発表し、今回の大統領選の結論を出した。
By MSNBC News Services | 訳:米流時評 ysbee
Nicolas Sarkozy Elected French President:
Socialist Royal conceded election; polls reflect conservative's win
BREAKING NEWS — PARIS | MAY 6, 2007 — French voters chose Nicolas Sarkozy as their new president on Sunday, giving the conservative a comfortable margin for victory and a mandate for change, result projections from four polling agencies showed. His Socialist opponent conceded minutes after polls closed.
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MAY 6, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版
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||| フランス共和制の新時代開幕 |||
1. 'Universal suffrage has spoken'
The agencies said the conservative won 53 percent of the vote amid massive turnout, dashing Socialist Segolene Royal's hopes of being elected France's first woman president. The projections were based on vote counts from representative samples of hundreds of polling stations across the country.
"Universal suffrage has spoken. I wish the next president of the Republic the best in accomplishing his mission in the service of all the French people," Royal told supporters in Paris.
ロワイヤル社会党候補から敗北宣言
今回の大統領選では、例年にない高い投票率の元に結果が注目されたが、保守党のサルコジ氏が投票者の53%の支持を得て、フランス初の女性大統領の出現なるかと期待された躍進する仏社会党セゴレーヌ・ロワイヤル女史を引き離し、大統領の座を獲得した。この予測結果は、フランス全土の投票所から数百カ所をサンプル抽出し、得票比率で割り出した投票総数を算出した数値に基づいている。
「世間の選択がすべてを語ります。フランス全国民に奉仕する使命を全うして下さるよう、次期大統領の健闘をお祈りします」対立候補のロワイヤル女史は、パリの支援集会でこのように敗北声明を発表した。
写真は2月に行われた選挙前の公開演説でのロワイヤル女史 政治改革を標榜するフランス左派を代表する社会党候補
2. Sarkozy leadS 53% before ballot ends
French law bans the publication of any exit polls or projections in France until after the last polling stations in large cities close. La Libre Belgique daily and RTBF quoted several sources as saying Sarkozy was leading with 53 percent more than two hours before the balloting ends in the main urban centers. Le Soir, quoting sources close to the French Interior Ministry's political intelligence service, said Sarkozy had about 54 percent of the vote.
サルコジ氏53%の得票率で勝利
フランスでは、国内主要都市の最後の投票所が終了するまでは、いかなる開票結果も予想得票も、公表することは法律で禁じられている。ベルギーのメディア、日刊のラ・リブレ・ベルジーク紙とRTBF-TV/ラジオ局では、フランスのいくつかの消息筋が伝えるところによる情報として、主要都市で開票の終わる2時間以上前の時点で、サルコジ氏が53%の得票率でリードしていると報道した。フランスの夕刊紙ル・ソワールはフランス内務省の政治情報機関に近い消息筋からの情報として、サルコジ氏は54%前後の得票率だと伝えている。
カナダのケベック、モントリオールなど国外でも在留フランス人が国外投票所で清き一票 写真はスイスのローザンヌ
3. An immigrant vs. a mother of four
Both Sarkozy, who says he had to fight harder because of his foreign roots, and Royal, a mother of four who says she had to overcome sexism, are originals in French politics and energized an electorate craving new direction. Turnout in the April 22 first-round vote was an exceptional 84 percent.
移民の息子と4児の母の対決
外国人のルーツを持つが故に人一倍懸命に闘わねばならないと誓ったサルコジ氏。4児の母で女性である差別を乗り越えねばならないと宣言したロワイヤル女史。重いハンディキャップを背負った両人とも、学問での専攻はフランス政治学であり、またともに待望されていたフランスの進むべき新しい針路を掲げて選挙戦を盛り上げた。この熱気を反映して、4月の22日に実施された第一次投票では、前代未聞の84%という驚異的投票率を記録し、有権者の関心の高さを如実に示した。
4児の母で左派の政治活動家のロワイヤル女史 ハンガリー人の父とギリシャ系ユダヤ人の母を持つ移民のサルコジ氏
4. Expecting a generation shift
Whoever wins, the race marks a generational shift, because a 50-something will replace 74-year-old Jacques Chirac, in office for 12 years. But Sarkozy and Royal, nicknamed Sarko and Sego, have radically different formulas for how to revive France’s sluggish economy, reverse its declining clout in world affairs and improve the lives of the impoverished residents of housing projects where largely minority youth rioted in 2005.
共和制新世代へのシフト
どちらが勝つにしろ、今回の選挙戦は世代のシフトを記す転機となるのは間違いない。というのも、どちらが選出されても50代前半の若い候補者が、12年間の長期にわたって大統領の座に君臨した74才のジャック・シラクに取って代わるのであるから。
しかし「サルコ」と「セゴ」と愛称されるサルコジ氏とロワイヤル女史は、フランスが抱える山積した問題にどう対処するかという抜本的対策としては、極端に異なる公約を打ち出している。フランスの沈滞した経済を活性化し、国際社会で受けた打撃を挽回し、住宅政策においては、2005年に若年層の移民の暴動が起った貧困地域住民の生活環境を向上させること……などの重要な課題に関しての対策である。
第2次大戦後のフランス第5共和制歴代大統領:左からシャルル・ドゴール将軍、ジョルジュ・ポンピドー、ヴァレリー・ジスカール・デスタン、フランソワ・ミッテラン、現大統領ジャック・シラク、次期ニコラ・サルコジの各氏
5. U.S. admirer, hard-liner
Sarkozy, 52, says France’s 35-hour work week is absurd, and he wants to make overtime pay tax-free to encourage people to work more. A former interior minister, Sarkozy cracked down on drunk driving, crime and illegal immigration, and he promises tougher sentencing for repeat offenders if he wins. He is an admirer of the United States who has borrowed from some American policy ideas, such and zero tolerance and affirmative action. Tough-talking and blunt, he won no fans in France’s housing projects when he called young delinquents “scum.”
硬派の米国政策信奉者
今年52才のサルコジ氏は、フランスの週35時間労働を甘すぎると批判。フランス人がもっと勤勉に働くようにするために、残業手当に対しては免税にしたい方針である。シラク内閣での内務大臣を経験したサルコジ氏は、国内の行政面においては、飲酒運転追放と違法入国を厳しく取り締まって成果を挙げている。選挙公約では、当選した暁には違法行為の常犯者に対して、より厳しい措置で対処すると明言している。
彼はまた米国の信奉者でもあり、「ゼロトーレランス方式(鉄則主義)」とか「アファーマティブ・アクション(差別特別是正措置)」のような米国起源の政策を導入してきてもいる。
また政敵に対しては、論鋒鋭く歯に衣着せぬ発言で知られ、フランスの住宅政策での論争では、反逆する若者に対して「世間のくず」と蔑称して、ひんしゅくを買ったこともある。
6. Concerns about possible unrest
Police were quietly keeping watch for possible unrest Sunday night in France’s poor, predominantly immigrant neighborhoods if Sarkozy is elected. Authorities in the Seine-Saint-Denis region northeast of Paris — the epicenter of the 2005 rioting — refused officers’ requests for days off Sunday, one official said.
サルコジ氏勝利で反対派を厳重警戒
投票の終わった日曜夜、フランス警察は主に移民が多く住む貧しい地域で、サルコジ氏が選出されれば起こりうる騒擾を警戒している。パリの北西部にあるセーヌ河畔のサンドニ地区は、2005年に継起した暴動の震源地であったが、警察側はパトロールの警官に日曜出勤を命じて警戒に当たっていると関係者は伝えている。
右:日曜投票所へ向かうニコラ・サルコジ氏(本名はニコラ・ポール・ステファヌ・サルコジ・ド・ナジ=ボクサ)とセシリア夫人
7. Royal's series of foreign policy gaffes
Royal, 53, is a former environment minister who believes France must keep its welfare protections strong. She wants to raise the minimum wage, create 500,000 state-funded starter jobs for youths and build 120,000 subsidized housing units a year. On the campaign trail she often talked about her four children, and she appealed to women to vote for her because she is female. Royal is strong on the environment and schools but has made a series of foreign policy gaffes — suggesting, for instance, that the Canadian province of Quebec deserved independence.
ロワイヤル女史、外交政策が致命傷
一方、今年53才になるロワイヤル女史は、以前社会環境相だった時代に「フランスは社会福祉へのテコ入れを継続すべき」と主張していた。彼女の公約では、最低賃金のアップ、若年層に対しては50万以上の新規就職口を政府の補助金で開拓、年間12万戸の住宅建設に助成資金、などをうたっていた。
選挙戦の遊説中も、演説の中に彼女の4人の子供の話しをしばしばはさんで、女性候補と言う特権をフルに活用して女性有権者の票を稼いでいた。ロワイヤル女史は環境問題と教育の分野には強いが、外交政策では一連の失言を重ねていた。その一例を挙げるならば「カナダのケベック州は独立するべき」などというのはまずい提案であった。
環境問題・教育問題など内政には強いが、国際時事や外交問題には難点がみられ、大統領としての資質が疑問視された
8. Royal points Salkozy 'a dangerous choice'
This week, as poll numbers suggested Royal’s chances were slim, she made a last-ditch effort to rip into Sarkozy, warning of the chance for new riots if he is elected and calling him “a dangerous choice” for France. Sarkozy retorted in an interview published in Le Parisien newspaper’s Web site: “I think that in the history of the Republic, we have never heard such violent or threatening comments.”
「サルコジ氏は危険な選択」と警告
今週の時点での有権者に対するアンケート調査では、ロワイヤル女史の勝つ見込みはごくわずかと見られていた。最後の追い込みでロワイヤル女史は「万一サルコジ氏が選出されれば新たな暴動が起きる危険性がある」と警告し、「サルコジ氏はフランスにとって危険な選択である」と断言して、サルコジ支持者からの票の流出をねらった土壇場での作戦を展開した。この攻撃に対してサルコジ氏も激しく応酬し、フランスの大手新聞ル・パリズィアン紙のサイトでのインタビューで、こう切り返している。「フランス共和制の長い歴史の中でも、われわれはいまだかつて、これほどまでに暴力的で脅迫じみた発言は聞いたことがない。」
一次投票前後の選挙戦の模様を報道するヨーロッパの各メディア:
左から 英国ヘラルド・トリビューン紙、フランスのル・フィガロ紙、ル・パリズィエン。リベラシオン誌の大見出しは「ル・コンバット・ロワイヤル」で、ロワイヤル女史とサルコジ氏の「バトル・ロイヤル=死闘」というタイトル
9. Predicted win for Salkozy
On Saturday, the candidates stayed out of the public eye because French election rules forbid campaigning a day before the race. No polls or interviews were published Saturday. The Ipsos/Dell poll released Friday, which suggested that Sarkozy had consolidated his lead to 55 percent, surveyed 992 registered voters. The margin of error for a poll of that size is about 3 percentage points. Other polls also suggested Sarkozy was ahead.
予測されたサルコジ氏の勝利
投票日の土曜の段階では、両候補ともマスコミの目からは遠ざかっていた。というのも、フランスの選挙法では投票日前日の選挙活動は禁じられているためである。土曜日には一片のインタビューも得票予測も流れなかった。金曜の段階で最終的に発表されたイプソス・デルの得票予測では、992名の有権者に対してなされたアンケートの集計結果が報告されたが、それによるとサルコジ氏の得票率が55%でリードと要約されていた。ちなみに、この規模での集計誤差は約3%と設定されている。他の得票予想アンケートでも「サルコジ氏優勢」を示す同様の結果が出ていた。
6年の任期を2期務めたシラク氏の跡を継ぎこの先6年間の全権を与るサルコジ氏の新居、大統領官邸のエリゼー宮
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by ysbee-2
| 2007-05-06 05:22
| サルコジのフランス