ブッシュのニューシフト・イラク撤退へ方向転換
ブッシュ大統領は金曜夜、イラク駐留米軍を含む2008年度の軍事予算の議案に承認の署名をした。今後の米国と中東の、命運をくつがえすような決断が下された訳である。是が非でも米軍をイラクからの撤退にもっていくために、実質上(technically)駐留延長が不可能になるような条件を盛り込んだ、民主党提案の限定つきの予算案である。ここに至るまでは、この案を推進する下院与党の民主党とブッシュとの間で壮烈な舌戦が繰り広げられ、米軍撤退に賛成する一部共和党議員が、成否の鍵を握るキャスティングボードに位置していた。
またブッシュ自身なにがあってもそうするという最後の牙城的宣言を何度も繰り返して、ただでさえ地を這う支持率にさらに追い打ちをかけるような窮状に自らを追いやっていた。
今月9日に共和党議員有志が「このままではイラク戦争のおかげで国民の不評が高まり、来年の選挙にも共和党は勝てない」と大統領に直訴したのが功を奏したのか?
あるいはゲイツ国防長官、ライス国務長官といった、軍事行動よりも外交を重視するブッシュ政権内良識派の説得で、昨年11月に超党派の見識者から提示された「イラク研究会レポート」の箴言があらためて見直されたのか?
イランに対する対処の急激な変化など、他の外交問題でのドラスティックな変化と併せて考察すると、長いスパンで煮詰まってきたホワイトハウスのチェニー離れが「イラク戦争・継続か撤退か」という局面でついに表面化してきたようにも受けとれる。
これは2003年3月にイラク戦争が始まって以来の、一大方向転換である。大統領の無謀な号令一過、頑強に勝利に固執して36兆円も投下した挙句に、3400名の米兵と60万人のイラク市民を犠牲にしたこの戦争。死者の生前の笑顔と遺族の悲しみの声に明け暮れたこの4年間……
その功罪は、我々以上に、イラク人ひとりひとりの胸に刻まれているはずだ。
今回の署名は、ブッシュがメモリアルデーの休日を過ごしているキャンプデービッドの大統領別荘で金曜夜行われ、歴史の風向きを変える2008年度の軍事予算案は、戦死者を忍ぶメモリアルデーウィークエンドの前夜である今夕、ついに立法化した。
9/11からイラク戦争へという長い暗いトンネルに、ようやく出口が見えてきた。
アメリカに新しい風が吹いてきたように感じたのは、はたして私だけだろうか。
【米国時間 2007年5月25日深夜 米流時評 ysbee記】
▶次号「米国が変わる!イラク撤退への道」ニューヨークタイムズのスクープ記事へ続く
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by ysbee-2
| 2007-05-25 23:15
| イラク戦争レポート