プーチンの爆弾発言で急速冷却する米露関係
プーチンの爆弾発言「ブッシュの第4帝国」で急速冷却する米露関係
2007年5月31日 ワシントン/モスクワ発 |ブッシュ大統領は昨日30日水曜、最近数か月冷戦の再来を思わせるほど劇的に険悪化している米国とロシア間の外交関係を改善するために、メイン州ケンネバンクポートにあるブッシュ家の私邸にウラジミール・プーチン大統領を招待するという、思い切った方策をとった模様である。
Bush's Last Waltz - I
Bush invited Putin to visit his family compound in Maine after G-8
By Peter Baker from Washington / Peter Finn from Moscow | Washington Post
WASHINGTON/MOSCOW |MAY 31, 2007 — President Bush yesterday launched a high-stakes effort to repair the dramatically deteriorating U.S. relationship with Russia by inviting President Vladimir Putin to visit the family compound in Kennebunkport, Maine, after weeks of rhetoric reminiscent of the Cold War.
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JUNE 1, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版
W a s h i n g t o n P o s t
ブッシュのラストワルツ第1章
プーチンの爆弾発言「ブッシュの第4帝国」で急速冷却する米露関係
By ピーターベイカー/ピーター・フィン | ワシントンポスト紙第1面掲載 | 訳:ysbee
1. Moscow's dramatically harsh tone
The White House has grown increasingly alarmed lately with the harsh tone coming out of Moscow and its hardening positions on issues that include Iran's nuclear program, Kosovo statehood and missile defense. Administration officials said privately that the situation has reached a crisis stage and needs to be reversed before it gets worse.
Although the president's aides do not expect to resolve the stickiest issues dividing the two sides during the visit to the Bush family retreat on the rocky Maine coast July 1 to 2, they hope the relaxed setting will restore U.S.-Russian relations' constructive footing.
険悪化するロシアの米国批判
ホワイトハウスは、モスクワのロシア政府から発せられるブッシュ政権に対する批判が、最近とみに厳しさを増してきていることに警戒心をもち、その度合いもエスカレートしてきている。プーチン政権の批判の対象は、イランの核開発問題、コソボの国家体制、そしてロシアを包囲するように計画されたと受け止められている米国の欧州ミサイル防衛システムが、その主たるものである。
ブッシュ政権内の数人の高官が個人的見解として漏らした発言によると、今回の米露対立の状況は、「危機」と呼べる段階にいたっており、これ以上関係が悪化する以前に何らかの手段をこうじて巻き戻しする必要があると述べている。
メイン州の岩浜にあるブッシュ家の別邸をプーチン大統領が訪問する7月の1・2日のたった2日間のあいだに、両国間の距離を著しく隔てた難問を解決できるとは、大統領の側近では誰も期待している者はいない。しかしながら、彼らは少なくとも米露関係の建設的な足場を再構築できるような、リラックスしたシチュエーションが展開されることを望んでいる。
▲政府首脳部をプーチンに忠実なメンバーで固める親衛隊体勢 左が側近でキレ者のセルゲイ・ヤツルチェムスキー
▼ケンネバンクポートの岬に立つ典型的イーストコースト風リゾート建築スタイル B&Bケープ・アルーデル・イン
During more than six years as president, Bush has never asked any foreign leader to join him at his parents' seaside home until now, and aides hope Putin will be impressed with the show of intimacy.
"The Russians still remain a very important partner, despite the tensions that may arise over various issues," White House press secretary Tony Snow told reporters after announcing the meeting yesterday. "We're going to make all our concerns known, but on the other hand, we're going to continue working to work ahead."
プーチン「米国は世界支配を意図」
米国大統領としてすでに6年以上の任期期間中、ブッシュは他の国のどの元首に対しても、今日まで彼の両親の所有する海辺の別邸へ招待したことはなかった。こうした経緯もあって、ブッシュが特別に親密な意向を見せることによってプーチンは印象づけられるだろうと、側近たちは期待している。「さまざまな問題で起った両国間の緊張にもかかわらず、ロシアはいまだに米国の非常に重要なパートナーのままです。」ホワイトハウスのトニー・スノウ広報官は、昨日30日午後行われた記者会見でこう明言した。「我々は現在のお互いの懸念を知らせあうことになりますが、その一方でまた、これから先の問題を切り開いていくためにも相互に努力し続ける意向です。」
▼ロシアのSFBはソビエト連邦時代のKGBが変身して存続する厳しい戒律で悪名高い諜報機関 プーチンもSFB出身
But Russia specialists expressed doubt that Bush can make much headway with Putin, particularly now that both are heading into the twilight of their tenures. Putin has said that he will step down next spring in accordance with constitutional term limits, just months before Bush's successor is chosen in a U.S. election. Domestic politics in both countries have ratcheted up the tension lately.
"This is a relationship that's been taking one body blow after another," said Stephen Sestanovich, who was ambassador to former Soviet republics under President Bill Clinton. "It's very hard to put something like that back together when both leaders are deep into lame-duck status."
両大統領とも最終サーキット
しかしこうしたホワイトハウス側の意向にもかかわらず、ロシア外交の専門家は、とりわけ両大統領とも、いまやその手腕をふるえる最終段階にさしかかっていることから推して、ブッシュがプーチンと直接の話し合いをもっても、果たして今後への大きな進展をもたらせるかという点には疑問を表明している。プーチンはロシア憲法が規定する大統領の任期期限に従って、来春にはその地位を降りると発表している。この時期はちょうど、ブッシュの後継者が大統領選で選出される予定である11月の、数カ月前にあたる。アメリカとロシアどちらの国においても、国内政治に対して最近とみに批判の声が巻き起こってきている。
「両国とも、次から次へと連続パンチをくらっているような関係だ。」こう解説するのは、ビル・クリントン前大統領時代にまだソ連邦だったロシア駐在の米国大使を務めた、スティーヴン・セスタノヴィッチ氏である。「両国の指導者ともすでに死に態の状況である時点で、このような難問を元通りの状態へ復元することは、非常に難しいことです。」
▼ケンネバンクポートはセイリングや釣りなどマリンスポーツのメッカ 中央はフライフィッシング中のチェニー
The two sides are at loggerheads over several contentious issues. Bush wants Russia to do more to press Iran to give up its nuclear program, while Moscow resents U.S. plans to deploy missile defense systems in Eastern Europe. The two sides disagree over whether Kosovo, the southern province of Serbia that has been under U.N. administration since a 1999 war, should be allowed independence.
イラン問題の解決、東欧のミサイル防衛システム
両国ともいくつかの継続的懸案に対しては、手も足もでない膠着した状況だ。ブッシュは、ロシアがイランに対して核開発をあきらめるようにもっと圧力をかけることを要望しているし、一方ロシアは、米国が東ヨーロッパにミサイル防衛システムを設置するよう計画しているのを苦々しく思っている。また1999年のコソボ戦争以来、国連の管轄下にあるセルビア南部のコソボ地区に対して、国家としての独立を認めるか否かという問題に関しては、両国とも意見の不一致を見ている。
▼バルト三国、ポーランド、チェコ、ルーマニアからコーカサス地帯まで前ソ連領域に米がミサイル防衛ネットを計画
But more disturbing to U.S. officials has been the tenor of the Russian response to these disputes. Putin recently compared U.S. policy to that of the Third Reich and suspended the implementation of a major arms-control treaty to protest U.S. missile defense. Just this week, he accused the United States of turning Europe into a "powder keg," and his government announced it has tested a new missile that could penetrate any U.S. anti-missile shield.
プーチン、ブッシュ政権をナチスの第三帝国と比較
しかし米国政府関係者にとって、こうした従来から抱えている問題よりももっと深刻なのは、これら一連の論争に関してロシア側が投げつけた爆弾発言である。プーチンは先月9日に行われた赤の広場での演説で、米国の外交方針を「ヒットラーの第三帝国の(侵略)政策」になぞらえた。また4月にミュンヘンで行われたNATO軍縮会議では、米国が東欧に計画しているミサイル防衛システム敷設に抗議して、NATOにおける基本的な軍縮協定の導入を保留にしたのである。さらに今週(5/27〜6/2)に入ってからは、プーチンは「米国はヨーロッパを火薬庫にしようとしている」と非難する一方で、ロシア政府軍部からは「米国のどのミサイル防衛システムも突き破って攻撃できる新しいミサイルの発射実験に成功した」と発表させたのである。 【次号へ続く】
▶次号へ続く:「ブッシュのラストワルツ第2章 プーチンの反米理論とロシアン・リヴァイヴァル」
▶前号「ブッシュのラストワルツ序章 ブッシュ外交最後の切り札・プーチンを私邸へ招待」
▼今年3月に中南米各国を歴訪したブッシュは、行く先々でブッシュ政権の横暴外交に抗議する反米デモに出逢った
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