緊急レポート・アゼルバイジャンの秘密
G8サミットでの二者会談で、プーチンの提案で
「アメリカのミサイル防衛施設の候補地として最適」と推薦されたアゼルバイジャン。
そんな名前聞いたこともないという御仁も少なくないだろう。
私も「昔はアゼルバジャンって言ってたんじゃ?」というのが最初の反応。
しかしよく考えて見ると、石油産出国には目の色を変える
ブッシュ政権の体質を知り尽くしているプーチンが推すということは、
この耳慣れない名前の国も、きっと石油/oilか 天然ガス/natural gasが
噴き出しているのでは……? という直感に間違いはなかった。
上はバクー油田 カスピ海沿岸一帯は採掘すればほとんど無尽蔵に産出する手つかずの原油と天然ガスが眠る宝庫
もし万一(私の予想では3割ほどの確率で)ブッシュがプーチンの提案と、
それにまつわるロシアらしい執拗な付帯条件を受け入れて、
従来の予定地であった ポーランドとチェコを失望させてまでも
アゼルバイジャンにミサイル基地を建設するとしたら?
この国はきっと、なにかとてつもない魅力的資源を保有しているか、
あるいは歴史を画すような一大転機の決断 (pivotal and epic determination) を促す
地政学的な要衝 (geopolitical importance) であるのかも知れない。
バクー油田の原油採掘や、豊富な天然ガスで知られる
カスピ海のほとりに面したこの国が、
何でまた 外交のシルバープレートに載せられて
プーチンからブッシュに差し出されたのか?
ざっとではあるが、一般的な知識のおさらいとして
概要をなぞりながら、その秘密を探ってみたい。
【米国時間 2007年6月9日『米流時評』ysbee】
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JUNE 9, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版
y s n o t e q u i c k i n f o
A z e r b a i j a n
Capital: Baku
Time Zone: GMT +4
Area: 86,600 sq. km ( 33,400 sq. mi. )
Population: 7,600,000 (1997)
Currency: Manat (AZM) 1 USD ~ 4600 AZM
Electricity: 220 V, 50 Hz (double pins european plug)
Main cities: Sumgait, Giandja, Nakhychivan
Languages: Azeri (official), Russian
Religions: Islam (mostly 86%), Christianity, Judaism
Export: Oil & gas, iron, copper, fruit, vines, cotton, silk, carpets
【 概 要 】
首 都: バクー市
時間帯: グリニッチ標準時よりも4時間早い
面 積: 86,600平方キロ(33,400平方マイル)
人 口: 760万人(1997年統計)
通 貨: マナット(AZM)1ドルは4,600マナット
使用電力: 220ボルト/50ヘルツ(ヨーロッパ式の二穴コンセント)
主要都市: スムガイト、ジャンジャ、ナキチヴァン
使用言語: アゼリ語(公用語)、ロシア語
宗 教: イスラム教(国民の大半、86%)、キリスト教、ユダヤ教
輸出製品: 石油、天然ガス、鉄、銅、各種果実、葡萄(ワインの原料)、綿製品、絹製品、絨毯
H I S T O R Y
A country of Transcaucasia, north of Iran. The region was settled by the Medes before the fourth century B.C. and was a separate kingdom after the death of Alexander the Great. Ceded to Russia by Persia in 1813 and 1828, the territory was a constituent republic of the USSR from 1936 to 1991 (It joined the USSR Dec. 30, 1922). Azerbaijan declared independence Aug. 30, 1991, and became an independent state when the Soviet Union disbanded Dec. 26, 1991.
【 歴 史 】
イランの北に位置するコーカサス地方の国。この地方は紀元前4世紀以前には、古代イラン人であるメデス人が定住していたメディア帝国の一部であったが、アレキサンダー大王の死後は独立した王国となった。
この地方は、1813年と1828年の2度にわたってペルシャ王国から帝政ロシアへ委譲されたが、その後ロシア革命を経て、1936年から1991年まではソビエト連邦に属する共和自治区であった。(1922年12月30日にソ連の傘下となる。)アゼルバイジャンが独立宣言を発したのは1991年8月30日で、同年12月26日にソビエト連邦が解体すると同時に独立国家となった。
P O L I T I C S
In September '88 Azerbaijan Republic had declared its national sovereignty, in October '91 the formal independence was declared. Power in Azerbaijan is focused on the President — Mr. Heydar Aliyev was elected in October '93 and won in new presidential elections in October'98 — and his team, but there is a Cabinet of Ministers headed by a Prime Minister and a Parliament ("Milli Mejlis") which acts as legislative body.
【 政 治 】
1988年の9月に、まだソ連邦の属領であったアゼルバイジャン共和国は独立国家としての名乗りを挙げ、91年10月には正式に独立国家であることを宣言した。アゼルバイジャンの行政権力は大統領の率いる政権に一括されるが(93年10月と98年10月の2度の選挙で勝ったヘイダール・アリイェフ氏を後継した息子が現大統領)、立法を司る首相以下の内閣閣僚と一院制の議会(ミリ・メイリス)が別個に存在する。
I N D U S T R Y
Based on rich reserves of oil and natural gas, Azerbaijan was one of the first petroleum-producing regions of the world. In addition the country has a well-developed agricultural base (with cotton as the main cash crop), a large industrial sector, and an extensive transportation network. The economic downturn during the past 5 years affected all these sectors, with the highest declines occurring in industry.
The industrial sector in Azerbaijan has been characterised by a strong dichotomy between energy and non-energy related activities, largely associated with a distorted price structure which has favoured energy products. Agriculture remains a key sector in the economy, generating about 30"/o of GDP for 1995 was about USD 1,8 billion.
【 産 業 】
この地域には石油と天然ガスが豊富に埋蔵されていることから、アゼルバイジャンは世界でもいち早く石油を産出した国のひとつである。その上主要産物の綿花を生産する農業的基盤は充分に開発され、大規模工業や交通機関が発達している。しかし過去5年間、経済はマイナス成長を続けたためにあらゆる分野で影響をきたしており、特に工業分野がもっともその傾向が大きい。
アゼルバイジャンの工業部門は、エネルギー系と非エネルギー系とにはっきりと二分されるのが特徴である。このことは、エネルギー産品に都合の良いいびつな価格構成と大いに関連している。農業もまた経済の主要な部門を占めており、1995年度には約18億ドルを計上した国民総生産の30%をはじきだしている。
T R A D E
Azerbaijan's primary export products are diesel fuel and other oil products, cotton, oil drilling equipment and light manufactures. Licensing requirements have been removed for non-strategic exports. Export contracts have to be submitted to and approved by the Ministry of the Foreign Economic Relations as a control on export underinvoicing. Export taxes were imposed in March'95 on strategic goods whose domestic prices remained significantly below world levels, notably oil products and cotton.
【 貿 易 】
アゼルバイジャンの主要輸出製品は、重油とその他の石油関連製品、綿花、石油採掘設備と軽工業製品である。戦略的輸出製品以外の輸出製品からは、輸出ライセンスの義務は廃止された。しかし輸出契約上の請求書発行には、内密のダンピングや不正取引のないよう、外務経済省による認可を通らねばならない。95年3月には同省により、国際市場における戦略的輸出品目に対して輸出税が設定された。その中には石油関連製品や綿花など、世界的水準から見て極端に安い国内価格の品目が含まれる。
O I L / G A S
In September'94, the Government signed a production sharing contract with a consortium of 11 international oil companies for the development of several deep water oil fields in the Caspian Sea. The contract specifies USD 7.5 billion in total investments over 15 years. As a signature bonus of the oil contract, Azerbaijan was granted USD 300 million. A new oil bonus of USD 173 million will be disbursed to Azerbaijan in tranches during 1995-98. Proven unexploited oil and natural gas resources are officially estimated at about 900 million metric tons, with substantial potentials below the Caspian Sea.
【 石油・天然ガス 】
94年9月にアゼルバイジャン政府は、海外の11社の石油企業と、コンソーティアム(石油採掘コングロマリット)の契約を結んだ。この事業開発計画は、カスピ海の海底油田を数基の油井を建設して原油を採掘するプロジェクトである。契約書文面には「今後15年間に総額75億米ドル(約9千億円)を投下する」と明記されている。
この油田プロジェクト契約が産出国にもたらす目覚ましい恩恵は、総投資額の中から3億米ドル(約360億円)がアゼルバイジャン政府に寄与されることである。その第1段階として1995〜1998年の期間に相当する第一次金として、同国政府に対して1億7300万米ドル(約207億円)が支払われた。カスピ海の海底に眠るまだ手つかずの原油と天然ガスの資源は、公式発表によるとおよそ9億立法トンに及ぶと推算されている。
【米国時間2007年6月9日『米流時評』ysbee訳】
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全国区はきびしい 牛歩の歩みですがぽちっ!
by ysbee-2
| 2007-06-09 15:10
| ユーラシアの回廊