イラクレポート第1報・地獄からのふたりの使者
「Nothing More Important than This Report」『イラクレポート』これがこの夏アメリカの議員と言わず一般市民まで待ちかねていた、イラク駐留の米軍と米国政府代表であるイラク駐留大使からの、公式のイラク占領の現状報告である。
今年2月にブッシュが提案した増兵案『SURGE plan』が、イラクの平定に投下するアメリカの国力(力と金=兵力+予算)の見積書であったとすれば、今日ワシントンの下院の特別聴聞会で総司令官ペトレイアス将軍とライアン・クロッカー大使が肩をならべて全米に報告するレポートは、納税者である国民というアメリカの一口株主に届いた決算書である。
今春以来の増兵が、果たしてイラクの治安に何らかの功を奏したのか。あるいは、何の効果もなければ撤退した方がいいのか。「毎月100億ドル(1兆1500億円)もかけてイラクの市民戦争の火に油を注いでいるのなら、さっさと撤退してイラクはイラクに任せよ」というのが、最近では7割以上の米国民の正直な胆懐である。しかしいかなる戦争も、勝敗の黒白よりも、その間に横たわる果てしなくグレイの部分が、戦争の苦悩を無限に彩っている。
陸軍士官学校を主席で卒業し、プリンストン大で博士号を取得している、エリート軍人中のエリート、ペトレイアス将軍。彼と歩調を合わせて、4年間のイラク占領政策の失敗を挽回しようと不眠の努力を続ける「バグダッドのローレンス」ライアン・クロッカー大使。図らずもバグダッドがやっと迎え入れた、米国の知性と実行力を代表する国防総省(防衛省)と国務省(外務省)のふたりのトップ高官。ドクター(博士)の肩書きを持つふたりの米国のブレーンが、ちょうど医者が患者の家族に冷静にその病状を伝えるかのように、「あまりにも遅過ぎた方策」を処方した後のイラクという重病人の病状について報告するべく、聴聞会のテーブルについた。
北爆を含む米軍のタカ派攻撃に責任のある総帥ウェストモーランド将軍/イラク米軍の進退を与るペトレイアス将軍
今回のレポートは、丁度1972年に当時のベトナム戦争の総指揮官ウェストモーランド国防総省長官が聴聞会で報告した内容のままに、米国が北爆への道をたどり長い苦しいベトナム戦争の泥沼に首まで浸かることになったピボタルな報告書と、マスコミではよく比較される。「のるか、そるか」増兵か、撤退か。この米国の決断には、友好国ばかりでなく、今やフラットになったグローバル経済でウォールストリートと直結する世界中の投資家も、待ち望んでいたヘラルドに違いない。
テレビのニュースステーションは全局終日、下院から実況で刻一刻の進捗を伝えている。ニュースサイトも全て毎時コンテンツを更新しながら、トップに継続掲出している。時間が許すものであれば、国内政治の報道に関しては歴史のあるワシントンポストの記事を紹介したいのだが、そうすると明朝午前0時まで待たねばならない。そこでともかくも現時点で追いかけられるところまで、まずはMSNBCのライブレポートからお伝えしたい。(順を追って次からの記事でお届けします)
8記事を数えた/1時間おきに矢継ぎ早に変わるタイトルイメージも、報告内容に関してどんどん疑問符が多くなる
【米国時間 2007年9月10日 『米流時評』ysbee】
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残 暑 お 見 舞 申 し 上 げ ま す
ご愛読たいへんありがとうございます。まだまだ残暑が続きますが、
皆さまも暑さに負けずブログを更新されていることと存じます。
米国では9月第1週の Labor Day Weekend の連休が明けて、
学校も一般の会社も、そろって新しい年度を迎えました。
▶風光明媚なアドリア海に面したクロアチアの初秋のはしけ
ブログ村では国際政治部門でただいま2位です。感謝!
11〜15位あたりです。10位入賞まであとひと息、ぽちっ!
政治部門にチャレンジしました。道のり遥かですが、一歩一歩ぽちっ!
おかげさまで、ニュース部門で1位をキープできてます。ありがとうございます!
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by ysbee-2
| 2007-09-10 08:30
| イラク戦争レポート