第3話 北とイランの核はカーン発ドバイ経由


第2話からの続き |しかしその後まもなく、真夜中に緊急の電話がかかってきて、MI6の支局長と英国税関の高官とただちに逢うように指示を受け、アミンはホテルのロビーへ呼び出された。ロビーで逢うなり、エージェント支局長は単刀直入にこう言った。「君の命が危ない。」
米国時間 2007年10月30日 | NBCニュース特捜班スクープ |『米流時評』ysbee 訳
»» インテリジェンス秘話『ドクター・カーンと核のネットワーク』
第1話「ドクター・カーンのグローバルな核のブラックマーケット」
第2話「英米 » ドバイ » パキスタン » リビア の核の密輸ルート」
第3話「北朝鮮とイランの核所有はカーン発ドバイ経由」
第4話「グローバルな新しい核の時代を許した恐怖の構図」
Dr. Khan's Nuclear Connection: Pakistan » Dubai » Iran
British agent says he alerted U.S., U.K. to A.Q. Khan's network in 2000
OCTOBER 30, 2007 EST | NBC News — BREAKING | Translation by ysbee
By Richard Greenberg and Robert Windrem — NBC News Special Investigation Team
Continued from Part 2 — Soon after, Amin said, he got an urgent phone call in the middle of the night telling him to meet the station chief and a Customs official in his hotel lobby. “The station chief cut to the chase,” Amin said. “He basically said to me … ‘Your life's in danger.’”
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NOVEMBER 1, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版


N B C N E W S | B R E A K I N G
第3話「北朝鮮・イラン・シリアの核所有はカーン発ドバイ経由」
米国時間 2007年10月30日午前8時20分 | NBCニュース特捜班スクープ | 『米流時評』ysbee 訳
By リチャード・グリーンバーグ/ロバート・ウィンドレム | NBCニュース特捜班プロデューサー

Amin said he did not believe the threat was that serious. The next evening, Amin said, his boss ordered him to return to London on the next plane. Amin returned to England dispirited late in April 2000, without evidence of the Libya connection and without an interview with suspect Buhary Syed Abu Tahir.
脅迫と即刻帰国命令

しかしあまりにも唐突なので、アミンはその脅し文句を文字通りの深刻な脅威としては受け止めなかった。
ところがその翌朝、彼は上司から直接連絡の電話を受けとった。それは、次に飛び立つ飛行機ですぐにロンドンへ舞い戻るように、という指示だった。アミンは仕方なく指示通りに英国へ帰国した。2000年の4月下旬のことだった。その結果、リビアコネクションの証拠となる書類の原本も、そのコネクションの容疑者ブハリ・サイード・アブタヒールへの尋問もあきらめねばならなかった。
ユナイテッド・アラブ・エミレーツの首都デュバイにある伝統的アフリカンアラブ様式の「ウィンドタワー」
2. U.K. court gave a suspended sentence
In October 2001, the case ended with a whimper: Abu Bakr Siddiqui was convicted in a British court on three counts of export violations, but given a suspended sentence. The judge said he was satisfied that Siddiqui was unaware of the intended use of the exports. A family member told NBC News that Siddiqui was traveling and unavailable for comment.

2001年の10月には、このケースは立ち消えになってしまった。それというのも、アブバクル・シディクには英国の法廷で、輸出入取締法違反で3件の起訴事実において有罪判決が下ったが、最終的には実刑を免れ執行猶予となったからである。その法廷の担当判事は、被告シディクが輸出品の最終的用途については知らなかったという申し開きを真に受けて判断したもので、満足のいく判決を下せたと語っていた。NBCニュースがこの件に関して独自に取材しようとシディクの自宅へ連絡を入れたが、家人の話ではシディクは旅行中であり、その件に関してはコメントはできないと断られた。
3. Cascade of information about Khan’s operations
UIn October 2003, authorities boarded the cargo ship BBC China in Italy and found thousands of centrifuge parts destined for Libya. That case, which led to a cascade of information about Khan’s operations, was widely considered an enormous intelligence success.

判決から2年後の2003年の10月には、イタリーの沖合でBBC China号という不審な貨物船をイタリーの海上保安庁が発見し、乗り込んで捜査したところ、リビアへ向けて輸送中の数千本の濃縮ウランの核燃料棒が、その船の船倉から発見された。保安部の捜査でこの摘発された事件からは、カーンの核素材の密輸オペレーションについて、まるでなだれ落ちる滝のように、膨大な情報が次々にもたらされ、世界的にも諜報側の大勝利と言う評価を獲得した。
4. Global network covered three continents
In February 2004, then-CIA director George Tenet described the “unrelenting” investigation: “Working with our British colleagues we pieced together the picture of the network, revealing its subsidiaries, scientists, front companies, agents, finances, and manufacturing plants on three continents. Our spies penetrated the network through a series of daring operations over several years. The arrests were made in South Africa and Europe."

またその翌年2004年2月には、当時のCIA局長ジョージ・テネットが、この核のマーケットに対する諜報側の捜査を「不屈の闘い」と表現し、次のように述懐している。
「我が国の同胞英国の諜報仲間の活躍によって、その捜査過程で明らかになった各部分をつなぎあわせた結果、科学者、請負人、トンネル会社、エージェント、投資家、そして核の製造工場にいたるまで、アジア・アフリカ・アメリカと3つの大陸を股に賭けて暗躍していた、巨大な核のネットワークの全体像を、われわれは掴む事ができた。われわれ英米のスパイはネットワークに潜伏し、数年間にわたって一連の大胆かつ危険な作戦を敢行してきた。その結果、南アフリカとヨーロッパの両大陸で、容疑者を逮捕する事ができた。」
5. Tahir in Malaysia, arrested and released
In Malaysia, police detained Tahir, who admitted helping Khan send used centrifuge units to Iran in the mid-1990s, according to a police report. After more than two years in custody, Tahir reportedly was released and left Malaysia. NBC News has not been able to confirm his current whereabouts. Malaysian authorities did not reply to a request for comment. The government of Dubai and U.K. Customs did not respond to requests for comment.

一方マレーシアでは、90年代の半ばに、パキスタンにいるカーン博士がイランに対して、使用済みの濃縮ウランを数本送るのに幇助した事実を認めたタヒールを、警察が逮捕していた。その後2年以上の拘束期間の後、タヒールは釈放されてマレーシア市内に出所したと伝えられている。
NBCニュース特捜取材班は、タヒールの最近の消息を確認しようとしたが、失敗に終わった。マレーシアの警察は、この件に関するコメントを避けている。ドバイ政府と英国の関税局へも同様にコメントを要望したが、応答はなかった。
6. Did spy agencies operation awkward?
U.S. officials involved in the Khan case acknowledge that from 2000 to 2003 Iran made significant strides thanks in part to know-how obtained via Khan. Atif Amin believes Khan’s network could have been disrupted much earlier had he been allowed to probe further in spring 2000. It appeared to him that the CIA and MI6 (through their Joint Intelligence Committee) had decided to let Khan continue operating in the interest of gathering more intelligence.

カーン博士のケースにたずさわった米国のエージェントは、2000年から2003年にかけて、イランが核開発の上で目覚ましい進展を遂げた事実を認めている。これはある部分、イランがカーン博士経由で入手した核製造技術のせいである。英国の関税Gメンであるアティフ・アミンも、2000年春の段階で(前号で述べたようにドバイ警察によって)捜査が妨害されずに順調に展開できていたら、カーン博士のネットワークをもっと早い段階でストップできたはずだと確信している。彼の立場から振り返ると、米国のCIAと英国のMI6の両方において、その当時の判断ではカーン博士を泳がせて、より広汎なインテリジェンス情報を蒐集する方に重きをおく捜査方針がとられたようであった。
7. A huge question where to stop networking
He acknowledged that intelligence interests do sometimes outweigh those of law enforcement, but gambling with such a threat, he believes, was a mistake. “It's a question of where do you stop it?” he said. “Do you stop it then? Do you stop it four years later? And if you stop it four years later, how much damage has been done?”

アミンもまたこの世界の常として、通常インテリジェンス組織の捜査方針の方が、警察や関税捜査などの司法組織のそれよりも、時として重要視されるならいは覚悟の上だった。しかし、核の脅威というような大問題にかぎって見れば、彼に言わせればそれは大変な間違いである。
「それは、どの時点で逮捕に踏み切るか?という問題だ。」彼はその点を強調して問いかける。
「その時に抑えるべきだったのか? それとも4年後に一網打尽にするべきなのか? しかも、たとえ4年後にネットワーク全体を捕まえたところで、核と言うブツを野放しにしてきたことで、どれだけ世界に脅威となる状況を生み出してしまっただろうか?」
»» 次号へ続く 第4話「グローバルな新しい核の時代を許した恐怖の構図」
【米国時間 2007年11月1日 訳『米流時評』ysbee】

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by ysbee-2
| 2007-11-01 15:30
| テロとスパイ陰謀