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NIEレポート2・暴かれたブッシュ政権の戦争体質

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   ||| 暴かれたブッシュ政権の戦争体質 |||
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イランに対する諜報評価転換がもたらしたブッシュ政権への致命傷
米国の威信失墜を覚悟の上で情報を変更した防衛諜報の司令官たち


ニューズウィーク・サイト独占掲載 | マイケル・ハーシュ時評 |『米流時評』ysbee 訳
米国時間 2007年11月6日 前号「NIE衝撃レポート1・さらば、イラン戦争」からの続き:
今回のNIEの内容公開がもたらした余波の第二に挙げられるのは、直撃波の衝撃が大き過ぎてまだ誰もそこまでは言及していないが、米国にとっては致命傷である。つまり、これまででも充分にずたずたに傷ついてきたブッシュ政権の海外の紛争処理能力に対する信頼だが、いまやそんなものは木っ端みじんに粉砕されてしまったという事実である。米国の威信は、NIEから吹いた風と共に、跡形もなく見事に消え去った。
Forget War With Iran — Part 2
Credibility of the Bush administration has gone with the wind of NIE blow
By Michael Hirch | NEWSWEEK — Web Exclusive | Translation by ysbee
Continued from the previous issue — The second, and less noted, effect of the new NIE is that the already tattered credibility of this administration over its assessment of dangers abroad is now shredded—simply gone with the wind.

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DECEMBER 6, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版NIEレポート2・暴かれたブッシュ政権の戦争体質_f0127501_6213945.jpg
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  N E W S W E E K | W E B E X C L U S I V E

NIE衝撃レポートPART 2 「暴かれたブッシュ政権の戦争体質」
米国時間 2007年12月4日 | マイケル・ハーシュ/ニューズウィーク | 『米流時評』ysbee 訳


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8. Shredded the already-tattered credibility
Whether Bush's earlier assertions about Iran's nuclear program were based on hype or bad information doesn't really matter; all that matters is that Washington has once again demonstrated to the world that it doesn't have the evidence it said it did.
信用ゼロのブッシュ政権に致命傷
イランの核兵器開発についての従来のブッシュの認識が、過剰に増幅された誤った情報に基づくものであった、などという言訳はもう実質的に問題ではない。今後何が問題かと言えば「米国政府はまたもや(イラク侵攻の際のありもしないWMDのように)掴んでもいない証拠をいかもあるかのように、全世界に対してふりかざして見せた」という動かせない事実である。
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9. Lost credibility of the American Presidency
And it will be years before future American presidents rebuild that credibility—before they can again lay claim to the kind of trustworthiness that, say, John F. Kennedy had in 1962 when France's Charles de Gaulle declined to examine Washington's photographic evidence of Soviet missile sites in Cuba, declaring that the president's word alone was good enough.
米国大統領の威信失墜
これから先現れる歴代の米国大統領がこの失墜した威信を回復するまでには、多分何年もかかるだろう。かつてのケネディ大統領時代のような性質の信頼に足る「世界のアメリカ」という評価を再び勝ち得るまでには。
ケネディ大統領の威信を象徴するエピソードのひとつに、1962年のキューバ危機の際の逸話がある。偵察機による諜報写真で「キューバにソ連のミサイルを発射する基地が設置された」という情報がホワイトハウスに報告された。フランスのシャルル・ドゴール大統領は、その真偽を確認するのに、時の米国大統領ジョン・F・ケネディに対して「ワシントンがその証拠写真を握っているのなら見せろ」と要請したが、ケネディはきっぱりと断って、毅然とした態度でこう答えた。
「米国の大統領がそう言っているというだけで充分ではないか。」
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10. Biden: 'serious wound to national security.'
"The president's actions have made it far more difficult to get other countries to work with us on Iran or to believe us about anything else," said Sen. Joseph Biden, chairman of the Foreign Relations Committee. "It's hard to think of a more serious and self-inflicted wound to our national security."
ジョー・バイデン「防衛体制に深刻な影響」
米国議会上院の外交委員会の議長を務めるジョー・バイデン上院議員は、今回のNIE情報公開によって予想される海外での評価を、次のように予測する。
「今回までにブッシュ大統領のとった行動によって、米国以外の国にとってイランに対抗して我が国と共同戦線を張ることは、これまで以上にはるかに困難になった。イランに関してだけでなく他のあらゆる件に関して、米国を信用できない状況を作ってしまった。我が国の防衛体制において、今回以上の深刻で自滅的な損傷は、ちょっと考えられない。」
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11. Problematic flip-flop of NIE
MThe problem we have created for ourselves is not so much with the new NIE, which seems sober and sound—if sometimes self-contradictory.
How can it assert so confidently that Iran has halted its weapons program when Tehran is still enriching uranium and, the report concludes, "Iranian entities are continuing to develop a range of technical capabilities that could be applied to nuclear weapons"?

国家評価情報の180度転換
米国が自ら作り出した自滅的問題は、なにもひとえに今回の新しいNIEの内容変更のおかげだとは言いきれない。NIEの内容自体は、むしろしっかりした健全な情報である。ただしそれ自体が、以前の諜報総括情報の内容とは矛盾する点が多々あることを除けばの話だが。
それにしても実際問題として、イラン政府がいまだに核兵器の素材となるウラン濃縮化を行なっているというのに、諜報機関はどうすればあんなにも自信に満ちて「イランは核兵器開発を停止した」と断言できるのだろう。しかも、報告書の結論は次のような一文で終わっているというのに。
「イランの現状は、今後核兵器に対して転用される可能性のある濃縮ウランの、製造過程での幾多の技術的問題を開発する途上にある。」(完成は早くても2010年と見込まれている。)
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12. Questions against confidential sources
The real question is what possessed Bush and other senior administration officials—and the writers of the 2005 NIE—to be so confident of their earlier conclusions that Iran was pursuing a weapon?
Because now we know that the intel they were citing was, at best, mixed.

イランを糾弾し続けた根拠は何か?
今回の事柄で真に謎なのは、いったい何がブッシュや他の米国政府首脳高官に、悪霊のように「取り憑いて」いたのだろう?という疑問だ。特に2005年度のNIEの制作者にも言える事だが、どうしてあれほど自信たっぷりに「イランは核兵器を手に入れようとしている」という当初の結論をふりかざすことができたのだろう?
その理由は、今やわれわれの眼前に暴かれている。なぜなら彼らが報告を受けていた諜報内容は、百歩譲って弁解すれば、矛盾する交錯した内容の情報だったからだ。
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ブッシュ政権の怖さを知る者ならぞっとするお三方 左から今回のNIEの発表に踏み切ったスティーブン・ハドリー大統領補佐官、ブッシュ帝国のダース・ベーダー、ディック・チェニー副大統領、米国諜報の影のドンで、イラク大使、国連大使を経て、現在はライス長官に次ぐ国務省の二番手、ジョン・ネグロポンテ国務次官

13. The change is in the air in D.C.
We should not be fooled by the spin out of the White House that "new" intelligence alone prompted the reassessment. What has changed at least as much as the intel is the cast of characters, and the political atmosphere.
ワシントン政界の空気の変化
今回ホワイトハウスが事後対策として言いふらしている言い訳に、われわれは二度と騙されてはいけない。彼らは「新しい諜報情報は、再検討を要するために提出されただけのことだ」などと、後付けで言い訳がましく説明を付け加えた。
しかし実際には、少なくとも「諜報情報そのものをできる限り変えた」という変遷自体が、諜報の世界が変わったということの本質を物語っている。そして政治をとりまく空気の変化も。
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14. Newly-arrived pros and pragmatists
Gone are ideologues like John Bolton and Scooter Libby, unremitting hardliners like Bob Joseph, the State Department's counterproliferation chief after Bolton, and politically driven officials like former CIA director George Tenet; newly arrived are pros and pragmatists like Robert Gates, CIA Director Michael Hayden and Director of National Intelligence Michael McConnell, who have successfully depoliticized intelligence assessments, as they're supposed to be.
実戦の強者による諜報の体質改善
ジョン・ボルトンやスクーター・リビイのようなネオコンのイデオロギー心酔者は、すでにホワイトハウスから去った。同じく、国務省のボルトンの後釜で懲りないタカ派のボブ・ジョゼフや、政治的野心に駆られた諜報官僚の代表、元CIA長官ジョージ・テネットももう現役ではない。
彼らの後継者として新たに参入したメンバーは、ラムズフェルドの跡を埋めたロバート(ボブ)・ゲイツ国防総省長官、マイケル・ヘイドンCIA長官、マイケル(マイク)・マッコネル国家諜報部門長官など、みな実戦で鳴らしたいわば制服組の軍事・諜報の生粋のプロばかりである。特にマッコネル長官は、諜報部門の情報分析を政治的影響力から切り離すことに成功した立役者でもある。

»» 次号 NIE衝撃レポート3「大統領選にまで拡大するNIEシンドロームの余波」へ続く
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【米国時間 2007年12月6日『米流時評』ysbee 訳】

»» 緊急特集「NIE衝撃の諜報レポート」
NIEレポート2・暴かれたブッシュ政権の戦争体質_d0123476_1746245.jpg時 評  「NIEレポートで暴かれたブッシュの大嘘」
Part-1 「さらば、イラン戦争」
Part-2 「暴かれたブッシュ政権の戦争体質」
Part-3 「大統領選にまで波及するNIEシンドローム」
Part-4 「米外交のUターン・金宛ブッシュ親書の謎」
Part-5 「半島平和?ブッシュ最終章外交の突然変異」

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by ysbee-2 | 2007-12-06 12:48 | ブッシュと米国政治
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