「明日のプーチン」メドべージェフ、プーチンを首相に逆指名
後継者に指名されたメドベージェフ、速攻で新首相にプーチンを提案
総選挙圧勝から1週間で次世代ロシア体制の基礎を確立したプーチン
米国時間 2007年12月11日 午前7時31分 | モスクワ発速報 |『米流時評』ysbee 訳
ウラジミール・プーチン大統領が自ら選んだ子飼いの後継者ドミトリー・メドベージェフ第一副首相は、その翌日11日火曜には、来る3月2日の選挙にはプーチンが選出されて首相となるように呼びかけた。
Putin's Chosen Successor Calls for Him to Be PM
Medvedev's proposal would secure powerful role for current president
DECEMBER 11, 2007 EST | Associated Press — RUSSIA | Translation by ysbee
MOSCOW — Dmitry Medvedev, the hand-picked candidate to succeed President Vladimir Putin, called Tuesday for Putin become prime minister after the March 2 election.
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DECEMBER 12, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版
ASSOCIATED PRESS | R U S S I A
「明日のプーチン」メドべージェフ、新首相にプーチンを逆指名
米国時間 2007年12月11日 午前7時31分 | AP通信/ニュース速報 | 『米流時評』ysbee 訳
Putin is prohibited by law for running for a third consecutive term, but clearly wants to retain a powerful role once he steps down. Medvedev's proposal would provide such a role, especially if the constitution were amended to increase the prime minister's powers — which could be done readily with the new parliament dominated by pro-Putin politicians.
首相職の権力拡大も視界に
プーチンは、大統領の三期目に立候補することは(二期までという制限を超えるため)憲法で禁止されているが、いったん大統領の座から降りても、明らかに強大な権力を振るう役割にとどまりたいようである。メドベージェフの今回の提案は、特にもしも首相の権限が拡張するように憲法を改訂するならば、プーチンにそのような役割を与えるものである。この場合は、新しく選出された国会の議席がプーチン支持派の国会議員によって寡占されたために、その体制はすでに整ったと言えよう。
2. Just a day after Putin endorsement
Medvedev, 42, has spent most of his career as a loyal comrade of Putin, and his proposal for him to become prime minister almost certainly was made with prior consultation with the president. "Having expressed my readiness to run for president of Russia, I appeal to (Putin) with a request to give his principal agreement to head the Russian government after the election of the new president of our country," Medvedev said in televised address a day after Putin endorsed his candidacy.
プーチン後任指名の翌日に提案
今年42才のメドベージェフは、これまでの経歴の大部分をプーチンの忠実な側近として過ごしてきており、大統領指名を受けた翌日に、今度は逆に彼がプーチンを首相に推すよう提案したという経過を見れば「ほとんど確実にプーチン大統領との事前協議で指示を受けた」と解釈するのが当然であろう。
「ロシアの大統領に立候補する私自身の心構えをはっきりと表明するためにも、わが国の新しい大統領を選出する選挙が終わった暁には、私はプーチン大統領に対して、彼が『ロシア政府を統率することに同意する趣意書』を国会に提出するよう求める提案書を渡しました。」メドベージェフは、プーチンから次期大統領候補の指名を受けた翌日に、テレビ中継でこう語った。
3. "Pursuit of Putin Policy"
Putin's support for Medvedev virtually ensures that he would win the election. Medvedev also said that after the election, Russia must continue to pursue the policies driven by Putin in the past eight years. Medvedev's support for Putin's policies and his proposal that he become prime minister were sure to raise questions of whether he would be a genuinely independent president or essentially a figurehead, doing Putin's bidding.
「プーチニズムの踏襲と完成を目指す」
プーチンがメドベージェフを後継者に指名したことで、彼が大統領選で勝利を掴むことは実質上確実となった。メドベージェフはまた「ロシアは過去8年間プーチンによって推進されてきた政策を、選挙後も継続して遂行するべきである」と今後への抱負を述べた。
メドベージェフのプーチン政策への支持と、プーチンが大統領任期満了後は首相になるように提案した事によって、「果たして彼は純粋に独立した大統領でありえるだろうか?それとも基本的にはプーチンの言いなりの傀儡になるのだろうか?」という疑問を投げかけたことは疑うべくもない。
4. Much milder face than Putin
Medvedev, who projects a milder and more sympathetic image than the steely and often sardonic Putin, nonetheless echoed the prickly national pride and distrust of the West that characterize Putin's public statements.
威圧的プーチニズムを緩和するソフトパワー
従来プーチンは公式の場では、ともするとロシア流ナショナリズムの推進者としてのプライドを必要以上に誇示するあまり、強面(こわもて)な印象を与えがちだった。プーチンの見せるこういった特徴が災いして、とりもなおさず欧米諸国からは危険人物視される傾向があったことは否めない。それにひきかえ後継者に指名されたメドベージェフは、威厳はあるがややもすると近寄り難く冷徹に見えるプーチンに比べて、はるかに穏健で親しみやすいイメージを与えている。
5. 'Russia returned to its overwhelming position'
"The world's attitudes toward Russia has been changed. They don't lecture us like schoolchildren. They respect us and they reckon with us. Russia has been returned to its overwhelming position in the world community," Medvedev said in a three-minute statement broadcast on state television.
「世界に冠たるロシアが復活」
「ロシアに対する世界の態度は変わった。彼らはもう昔のように、我々を小学生扱いして教えを垂れるようなことはしない。彼らはわれわれに敬意を表し、優遇するようになった。ロシアは国際社会において、ふたたび偉大なる地位に復活することができた。」メドベージェフは、国営テレビ局の放送でわずか3分間ではあったが、このように最近のロシアに対して抱く思いを語った。
6. Stern contrast with hardliner Ivanov
He also praised efforts under Putin to restore the country's armed forces after years of post-Soviet neglect and underfunding, saying "Our military defense and security have been increased." Despite the assertion of surging military might, Medvedev is not considered a Kremlin hard-liner, in contrast with the others who had vied for Putin's endorsement, chiefly fellow First Deputy Prime Minister Sergei Ivanov.
軍事威圧型タカ派イワノフと対照的
メドベージェフはまた、ソビエト連邦崩壊後、予算のつけられないまま何年も放置されてきたロシア政府軍を再建するために、プーチン大統領の指揮の下に続けられた防衛力復活の努力に対して賛辞を惜しまない。「わが国の防衛と安全保障体制は、プーチン大統領の下で格段に増強された。」
しかしながら、このような軍事力強化への手放しの信念を表明しているにもかかわらず、メドベージェフ自身はクレムリンのロシア政府内では、軍事体制重視の強硬派とは見られていない。むしろ、プーチンの後継者と看做されていた、メドベージェフと同じ地位のセルゲイ・イワノフ第一副首相に代表されるような、タカ派とみなされる他の閣僚メンバーとは対照的である。
7. All the way from St. Petersburg to Moscow
Both Medvedev and Putin worked under St. Petersburg's reformist Mayor Anatoly Sobchak in the early 1990s. After Putin became prime minister in 1999, he brought Medvedev to Moscow to become deputy chief of staff of the Cabinet. He then moved up to become deputy chief of staff for the president, was appointed to head the board of state natural gas giant Gazprom in 2002 and became full presidential chief of staff in 2003. In 2005, Putin named him a first deputy prime minister.
サンクトペテルスブルク時代からの子飼いの側近
メドベージェフとプーチンの両者は、1990年代初頭には、ともにサンクトペテルスブルクで、改革主義者のアナトリー・ソブチャック市長の指揮下に、市の自治体に勤務していた。その後1999年にプーチンが首相になった時点で、プーチンはメドベージェフをモスクワへ引き連れ、内閣側近のトップの地位に就けた。その後もメドベージェフは、プーチンの大統領就任と対応して大統領直属の副参謀官へと昇格し、2002年には天然ガス供給の国営公社ガスプロムの取締役会長に任命された。2003年には大統領補佐官となり、2005年には第一副首相を任命され今日に至っている。 [了]
»» 次号 第3章 「ユーラシア連邦の野望 ポスト・プーチン時代の予測」へ続く
【米国時間 2007年12月12日『米流時評』ysbee 訳】
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序 章 「プーチンの過ぎゆくままに」米国とロシアの『戦争と平和』
第1章 「メドベージェフ登場」プーチン次期後継者を指名
第2章 「明日のプーチン」メドべージェフ、プーチンを首相に逆指名
第3章 「ユーラシア連邦の野望」ポストプーチン時代の予測
第4章 「クレムリンの暗闘」プーチン王朝内部のパワー闘争
第5章 「プーチニズムの踏襲」次世代ロシア時代の到来
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by ysbee-2
| 2007-12-12 15:42
| プーチンのロシア