中国に核を売ったセールスマン・サルコジ
中国の爆発的電力需要を満たす核エネルギー革命に参与するフランス
1.3兆円のウラン取引で広東核開発公社とジョイントベンチャー成立
ジャミール・アンデルリーニ | 北京発/ファイナンシャルタイムズ |『米流時評』ysbee 訳
中国は核燃料ウラン確保するために、その供給先をグローバルに探していたが、11/26月曜、フランスの核開発会社AREVAと「少なくとも今後14年間はアフリカ産のウラニウムを供給する」という契約を結び、最終的解決をみた。
By Jamil Anderlini | Financial Times — CHINA | Translation by ysbee
NOVEMBER 27, 2007 EST — BEIJING |China's global quest to secure uranium supplies received a boost on Monday when Areva, the French nuclear company, agreed to supply African uranium for at least the next 14 years.
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DECEMBER 19, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版
F I N A N C I A L T I M E S
核のセールスマン・サルコジ 中国と1.3兆円のウラン取引成立
米国時間 2007年11月27日 | 北京発/ファイナンシャルタイムズ | 『米流時評』ysbee 訳
1. The biggest nuclear power contract
Areva will also build, operate and supply two nuclear reactors in the southern province of Guangdong. The €8bn ($12bn) deal with state-owned China Guangdong Nuclear Power Corp, the biggest commercial nuclear power contract on record, included at least 23,000 tonnes of uranium on top of an annual supply of about 600 tonnes to the two reactors, both of which had previously been announced.
史上最大の商用核開発の事業契約
これにともなって、AREVAは燃料ウランを供給するだけでなく、中国南部の広東省に2つの核燃料施設を建設・運営する契約も取り結んだ。今回のCGNPC(中国国営広東原子力発電公社)との80億ユーロ(120億ドル/1.32兆円)の核取引は、商用の原子力発電に関する取引としては史上最大である。前もって公開されていた情報によると、2基の核燃料炉に毎年600トンずつ、今後14年にわたって合計2万3千トン以上供給する燃料用ウランの契約が、今回の仏中の核開発契約の主眼となっている。
Areva also agreed to establish an engineering joint venture to transfer technology to CGNPC and work on other reactors in China. The deal was signed in Beijing in front of Nicolas Sarkozy, the French president, and Hu Jintao, his Chinese counterpart. With its ambitious plans to build dozens of reactors and more than double nuclear power capacity in the next 12 years, China is the fastest-growing uranium consumer in the world.
CGNPCとの核開発のジョイントベンチャー
AREVAはまた、CGNPC/中国広東原子力開発公社と核のテクノロジーを共有するジョイントベンチャーを創業し、中国におけるその他の核燃料炉の開発運営にもたずさわる予定になっている。
今回の事業契約は、フランスのニコラス・サルコジ大統領と中国の胡錦濤主席の両者立ち会いの下に、北京において調印された。今後12年間に中国各地に数十基の核燃料炉を建設するという、野心的な核の巨大開発計画の実現にともなって、中国は核燃料用ウランの消費量を、世界でももっとも急速に伸ばす国となった。
However, its domestic uranium deposits are declining, forcing Beijing to look abroad to secure future supply in an already stretched market. Under the deal CGNPC agreed to buy 35 per cent of the uranium production of UraMin, a Canadian mining company with uranium deposits in South Africa, Namibia and Central African Republic, which Areva bought in September for $2.5bn.
爆発する中国市場の需要に見合う電力供給
しかしながら、中国国内のウラニウムの産出量は年々減少しており、北京政府はすでに供給電力のぎりぎりにまで差し迫った電力消費の今後の展開にも追いつくように、燃料の供給先を海外へ求めねばならない羽目に陥いる窮状にあった。今回の契約によって、中国はウラニウム鉱山を採掘しているカナダの鉱山会社 UraMin から燃料用ウランの35%を購入する条件に同意したが、その採掘鉱山は南アフリカやナミビア、中央アフリカ共和国などに散在しており、UraMin自体は今年9月に25億ドルでAREVAに買収された会社である。
UraMin has estimated uranium reserves of about 65,000 tonnes but Areva is looking for new mining opportunities and the company's eventual output could be much larger. "The Chinese were very keen to secure uranium supply and were happy to agree to buy 35 per cent of whatever UraMin produces," said a person close to the deal. CGNPC agreed to pay a small discount to the future market price for uranium.
新しいウラン鉱脈発掘を探るAREVA
カナダに本社を置くウラン採掘会社 UraMinは、買収された時点で約6万5千トンのウラニウムを保有していたが、今後の新しい需要に応えるための採掘や、事業計画拡大にともなって、供給ベースはさらに急増するものと見られている。
「中国政府は、燃料用ウランの確保に非常にこだわっており、UraMinの総産出量の35%を購入する契約が成立したことを、非常に喜んでいるようだ。」契約に立ち会った関係者は、中国側の反応をこのように語った。CGNPCはまた、長期契約によってウラニウム相場の将来的価格が多少値下がりすることにも期待している。
The agreement lasts until 2022 but the two sides could easily extend it, said Anne Lauvergeon, chairman and CEO of Areva Group. Areva said its deal was "unprecedented in the world nuclear market" and marked the start of global co-operation with CGNPC, which will help build the plant in China's southern manufacturing hub. Ms. Lauvergeon said the company planned to double its production of uranium to meet demand from the "several hundred" reactors it expects will be built around the world in the next decade.
世界の核市場でも前代未聞のメガ取引
今回の契約は一応2022年まで継続することになっているが、契約事項の中でも二つの項目は、多分その後もそのまま延長されるだろうと、AREVAグループのアンヌ・ローヴェルジョン会長は語っている。AREVA側でも「今回の契約は世界の核関連市場でも前代未聞」であると強調し、CGNPCとのグローバルなジョイントベンチャーの開始によって、中国南部の工業地帯に電力を供給する原子力発電所建設計画の推進役になるものと自負している。
またローヴェルジョン会長は、今後の抱負について次のように述べた。「AREVAは、今後10年の間に世界中で建設される予定の『数百基の核燃料炉』からの需要に応えるべく、燃料用ウランの産出量を現在の状況から倍増する計画です。」
CGNPC and state-owned China National Nuclear Corp, the country's other large atomic group, are in the process of negotiating a deal to take a stake in a uranium miner in Kazakhstan in return for an equity stake in unspecified Chinese nuclear facilities, according to the president of Kazatomprom, the Kazakh state-owned nuclear power company. Kazakhstan plans to more than double its uranium output by 2010, overtaking Canada and Australia, which also supplies large quantities of uranium to China, to become the world's biggest producer.
カザクスタンの核エネルギー公社と交渉段階
CGNPCと中国のもうひとつの巨大な核開発グループCNNC中国国営核開発公社は、今回の契約の他にもカザクスタンのウラン採掘会社であるKazatomprom社と、燃料用ウランをめぐる取引交渉の最中である。カザクスタン国営のKazatomprom社の会長の談話では、中国が同社に投下した資本の見返りとして同社産出のウランを現物供与するという条件での、投資還元の取引契約である。
2010年までのカザクスタンでのウラニウム採掘量の予測は、従来中国の輸入先であったカナダとオーストラリア両国の産出量合計をしのぐものであり、開発が進めば世界最大のウラン産出国になる見通しである。[了]
【米国時間 2007年12月19日 『米流時評』ysbee 訳】
記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/6774532
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by ysbee-2
| 2007-12-19 12:22
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