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米流時評

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第2章 民衆に選ばれた皇帝プーチン

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  ||| 民衆に選ばれし皇帝プーチン |||
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タイム誌「今年の人」プーチン独占インタビュー完訳連載・第2回

エイディ・イグナチウス | TIME誌/モスクワ支局 |『米流時評』ysbee 訳
前号「ザ・プーチン第1章 ツァーリ・プーチンの居城へ」からの続き

プーチンは、世界におけるロシアの役割というものをはっきりと認識している。ソビエト連邦の崩壊は大いなる悲劇であり、特に連邦制度が崩壊するやいなや、2500万人のロシア人同胞が一晩で「外国」に化した旧連邦諸国に封じ込められた事態を、無惨な歴史的事実として受け止めている。しかしだからといって、U.S.S.R.の旧ソビエト連邦を再建しようとか、軍事的政治的冷戦ブロックを再構築しようなどという大それた魂胆はないと言う。
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Vol. 2 – The Elected Czar Putin
Exclusive Interview by Adi Ignatius/TIME Magazine | Translation by ysbee
Continued from the previous issue — He is clear about Russia's role in the world. He is passionate in his belief that the dissolution of the Soviet Union was a tragedy, particularly since overnight it stranded 25 million ethnic Russians in "foreign" lands. But he says he has no intention of trying to rebuild the U.S.S.R. or re-establish military or political blocs.

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DECEMBER 23, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版第2章 民衆に選ばれた皇帝プーチン_f0127501_6213945.jpg
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ザ・プーチン第2章 「民衆に選ばれし皇帝プーチン」
TIME誌独占インタビュー連載第2回 | エイディ・イグナチウス/モスクワ支局 | 『米流時評』ysbee 訳

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9. Admiration for Yeltsin and Gorbachev
And he praises his predecessors Yeltsin and Mikhail Gorbachev for destroying a system that had lost the people's support. "I'm not sure I could have had the guts to do that myself," he tells us. Putin is, above all, a pragmatist, and has cobbled together a system—not unlike China's—that embraces the free market (albeit with a heavy dose of corruption) but relies on a strong state hand to keep order.
エリツィンとゴルバチョフを賞賛
プーチンは彼に先鞭をつけた先代エリツィンとその前のミハイル・ゴルバチョフの両大統領に対して、社会制度を破壊して人民の支持を失ったにもかかわらず大いに賞賛する。「もし私が彼らの立場だったら、あんなことをできるだけのガッツを持てるかどうか確信がない」と本音をもらす。この言からも伺えるとおり、プーチンはあらゆる点で「実践主義者」なのである。だからこそ中国のように混沌に陥らず、(官僚機構の政治腐敗は重症ではあるが)自由市場経済を享受しながらも国家の強力な規制に保たれて、崩壊寸前だった社会体制をつなぎ合わせてこれたのだ。
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10. Threats of terrorism by any 'Radicals'
Asked if he'd like to correct any American misconceptions about Russia, Putin leans forward and says, "I don't believe these are misconceptions. I think this is a purposeful attempt by some to create an image of Russia based on which one could influence our internal and foreign policies. This is the reason why everybody is made to believe...[Russians] are a little bit savage still or they just climbed down from the trees, you know, and probably need to have...the dirt washed out of their beards and hair." The veins on his forehead seem ready to pop.
いかなる思想の過激派もテロの脅威に
米国のジョージ・W・ブッシュ大統領と同様、プーチンもまたテロリズムをわれわれの新しい世紀の最大の脅威のひとつと見ているが、彼はイスラム教徒に「テロリスト」のレッテルを貼ることを危惧する。「テロリストは過激派だ」とプーチンは断言する。
「過激派という連中は、どんな(思想)環境でも見受けられる」プーチンはそう言って、最近になってロシアの諜報機関が、ロシアと米国の両方に対して脅威をもたらす「特別の」テロリストを発見したという話題を披露したが、その件に関してはブッシュ大統領にも電話を通じて知らせたそうである。
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11. Sees U.S. as 'command-freak'
What gets Putin agitated—and he was frequently agitated during our talk—is his perception that Americans are out to interfere in Russia's affairs. He says he wants Russia and America to be partners but feels the U.S. treats Russia like the uninvited guest at a party. "We want to be a friend of America," he says. "Sometimes we get the impression that America does not need friends" but only "auxiliary subjects to command."
「世界を指令下におきたい米国」
プーチンが声を大にして言いたかったことは(実を言えば会話の間中しきりにそうしていたのだが)「アメリカ人はロシアの問題に外部から干渉しようとしている」という彼独特の認識だった。プーチンいわく、ロシアと米国は世界の諸問題に対してパートナーでありたいとは思うが、彼が感じるところでは、米国はロシアをパーティーへの招かれざる客のように扱ったというのである。彼はずばりこう説明する。
「われわれはアメリカの友人でありたい。しかし時として、アメリカは友人などまるで必要とせず、むしろ命令の対象としてのお供がいれば、それでいいような印象を受ける。」
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12. Not misconceptions but purposeful disguise
Asked if he'd like to correct any American misconceptions about Russia, Putin leans forward and says, "I don't believe these are misconceptions. I think this is a purposeful attempt by some to create an image of Russia based on which one could influence our internal and foreign policies. This is the reason why everybody is made to believe...[Russians] are a little bit savage still or they just climbed down from the trees, you know, and probably need to have...the dirt washed out of their beards and hair." The veins on his forehead seem ready to pop.
捏造されたロシアのイメージ
そこで逆に取材の側から、ロシアに関するアメリカの誤解について何か正すべき点はあるかと訊ねると、プーチンは身を乗り出してこう言った。「私はそういった考えを誤解だとは思っていない。これはわが国の内政外交の政策方針に影響を与えうる基盤となるように、ロシアのイメージを勝手に創り上げようとした誰かによって、意図的に捏造された企みだと思う。だからそれが、外国の誰もが、ロシア人は未だに少々野蛮だとか、木から降りてきたばかり(の猿人)だとかいう誤ったイメージを信じ込まされている原因だ。よく聞くでしょう、ロシア人の髭や髪から土埃を洗い落とす必要があるとか....」前のめりの姿勢でこうまくしたてたときには、プーチンのこめかみの静脈は今にも破裂しそうにいきり立って見えた。
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13. 'Elected Emperor' by the people
Putin has said that next spring, at the end of his second term as President, he will assume the nominally lesser role of Prime Minister. In fact, having nominated his loyal former chief of staff (and current Deputy Prime Minister) Dmitri Medvedev to succeed him as President, Putin will surely remain the supreme leader, master of Russia's destiny, which will allow him to complete the job he started.
民衆から「選出された皇帝」
来春3月大統領として二期目の任期を終える時点で、プーチンは大統領よりは名義的に軽い役職の首相に納まることになっている。実際、彼の忠実な元側近のトップであり現在の第一副首相であるドミトリー・メドベージェフを、彼のあとを継ぐ次期大統領として指名した。さらにプーチンがロシアの将来の運命を握る首謀者となる最高権威の指導者として、今後も政界にとどまることは確実である。彼はクレムリンでスタートを切った職位に再び戻ることで、首相としての任務を完成することが可能になるだろう。
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14. Guided his nation's remarkable transformation
In his eight years as President, he has guided his nation through a remarkable transformation. He has restored stability and a sense of pride among citizens who, after years of Soviet stagnation, rode the heartbreaking roller coaster of raised and dashed expectations when Gorbachev and then Yeltsin were in charge.
ロシアの目覚ましい変貌を導いた旗手
大統領としての8年間の間に、プーチンは祖国に見違えるような変貌をもたらした。彼は、ロシアの社会体制にふたたび安定をもたらし、一般大衆にロシア人としての誇りと愛国心を呼び戻した。それ以前のゴルバチョフとエリツィンがとり仕切っていた時代は、自由化への期待と失望がローラーコースターのようにめまぐるしく駆け抜け、結果的に国全体が失意の底に落ち込んだソ連崩壊の時代だった。
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15. Workers' salaries doubled since 2003
A basket case in the 1990s, Russia's economy has grown an average of 7% a year for the past five years. The country has paid off a foreign debt that once neared $200 billion. Russia's rich have gotten richer, often obscenely so. But the poor are doing better too: workers' salaries have more than doubled since 2003.
4年間で倍増した労働者階級の所得
財政状態を振り返ると、90年代の低迷を逆転するかのように、この5年間ロシア経済は毎年平均7%の成長を続けた。かつては2千億ドル(約23兆円)近くあった外国からの負債額を、国庫から完済した。ロシア国内の金持ちは、しばしば不正行為を通してだが、以前にも増してさらに巨万の富を築き上げた。しかし、貧しい層もまたロシア経済復興の恩恵に与ったのは事実である。なにしろ労働者の平均収入は、2003年からたった4年の間に倍以上に上昇したのだから。
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ロシアへの移民労働者層も選挙ではプーチンの統一ロシア党を支持 この笑顔は買収して買えるものではない

15. Non-Arab Oil Republic

True, this is partly a result of oil at $90 a barrel, and oil is a commodity Russia has in large supply. But Putin has deftly managed the windfall and spread the wealth enough so that people feel hopeful.
オイルリッチ共和国ロシア
実際こうした現象の原因の一部は、1バレル当り90ドルにまで値上がりした原油価格からの差益がもたらした結果である。石油はロシアが大々的に供給できる天然資源である。この資源を貿易収支のレバレッジに用いて、プーチンはロシアを国家崩壊寸前の瀕死の状態から巧みに救い上げ、国民の全階層が希望を持てるように、国庫の利益から富をあまねくロシアの民衆に配分した功績は大きい。 »» 続く

【米国時間 2007年12月23日 『米流時評』ysbee 訳】

»» 連載の続き(未掲載)
 「ザ・プーチン第3章 ポストモダンのロシアン・ルネッサンス」へ
«« 前号 TIME誌独占会見完訳「ツァーリ・プーチンの居城へ」
»» 次号「きわめて個人的なクリスマスのメッセージ」


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»» 米流時評 特集「ポスト・プーチンのロシア」第2章 民衆に選ばれた皇帝プーチン_d0123476_1746245.jpg
序 章 「プーチンの過ぎゆくままに」米国とロシアの『戦争と平和』
第1章 「メドベージェフ登場」プーチン次期後継者を指名
第2章 「明日のプーチン」メドべージェフ、プーチンを首相に逆指名
第3章 「ユーラシア連邦の野望」ポストプーチン時代の予測第2章 民衆に選ばれた皇帝プーチン_d0123476_1023580.jpg
第4章 「クレムリンの暗闘」プーチン王朝内部のパワー闘争
第5章 「プーチニズムの踏襲」次世代ロシア時代の到来


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by ysbee-2 | 2007-12-23 16:05 | プーチンのロシア
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