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ミラクルメーカー バラク・オバマ

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  ||| ミラクルメーカー バラク・オバマ |||

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オバママニアのバラ色の頬に 60年代の理想主義の輝きを見た朝

d0123476_18552829.gifオバマが「ミラクル・メーカー」奇跡の人と言われてから久しい。そもそもの生い立ちからして、小説の筋書きとしてもありえないような、稀な巡り合わせである。アフリカのケニアの貧農の部落から一念発起して勉学に励み、留学生としてアメリカへ渡った現代のクンタ・キンテのような父親。米国中西部のど真ん中カンサスに生まれ、空軍の父親を持つ白人の母親。こちらはアメリカの田舎のごく普通の白人家庭を代表するような環境で育った、オズの魔法使いに出逢う前のドロシーのような少女である。
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このふたりが、国際都市 International capital、というよりも実質的には無国籍都市 Bohemian Metropolis に近いホノルルのハワイ大学で、運命の赤い糸に導かれるように結ばれて、ふたりの間に生まれたこどもが、時のひと、バラク・フセイン・オバマである。彼の生い立ちは、2004年初版の自伝『Dreams from My Father』で詳しく描かれている。

この黒人でもあり白人でもある「究極のマージナル・マン」バラク・オバマは、彼の持つたったひとつの資産「人間としての純粋なスピリット」だけをひっさげて、ハーバード大学を首席クラスで卒業したあと、シカゴの自治体のワーカーから上院議員へ、そして今や最有力の大統領候補へと、ワシントンの政界に彗星のように現れた人物である。彼の幼少時の苦難な歩みから今日の地位を築くまでには、まさしく「ミラクル」と呼べる飛翔が何段階もあったに違いない。
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その彼が、なぜ誰の心にも往時のジョン・F・ケネディを思い起こさせるのだろうか。確かに、聞く者を感動させずにはいられない素晴らしいスピーチがそう思わせる、という事実は疑うべくもない。しかし名演説だけならば、米国で最高のスピーチライターを雇えば、誰でもレーガン程度の大統領演説はできる。オバマの場合は、スピーチライターの存在が知られているにもかかわらず、その言葉のひとつひとつが、アメリカ人にとってはまるで何十年も探し求めていた「理想の大統領の口から出てくる真実の言葉」として、傷口をいやす聖水のようにしみわたる効果があるのである。

彼のスピーチを聞いて、対抗政党の共和党の政治家や右派の評論家までもが、素直に感動したと述懐する。支持者は感涙を浮かべる。テレビの画面に映る聴衆はみな、紅潮してバラ色に輝く頬に、幸せの微笑みを浮かべている………こんな場面はいまだかつてあっただろうか。私の記憶にある限りでは、ジョン・F・ケネディの就任式の演説以来である。当時まだ小学生だった私には、テレビの国際ニュースで見た画面が不思議に映ったものだった。ワシントンの寒空の下に集まった群衆ひとりひとりの、嬉しくてたまらないという喜びにみちた顔が、当時は理解できなかった。
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しかし、今なら実によくわかる。ケネディは、朝鮮戦争に疲れたあとの米国に、戦後の疲弊を刷新する「ニュー・フロンティア・スピリット」を吹き込んで現れた、希望の大統領だったのだ。
9/11、テロ戦争、イラク戦争と、ブッシュが就任して以来、良い事のひとつもなかったアメリカ。自由社会の旗手としての国家の権威も、世界に冠たる大国としての経済力も、この7年間で地に堕ちた。アメリカ国内にいると毎日の空気や風にさらされるように、その実感がひしひしと伝わる。

ブッシュ政権の亡国政策に痛めつけられてきたアメリカの国民が、まだワシントン政界の垢にまみれていない新生の政治家に、その肌の色が黒であれ白であれ、「希望」という言葉の重みを裏付ける人間としての誠実さを見出して、これから先のアメリカの4年間を、いや多分8年間を託そうとしている。その必死さの度合いが、今回の大統領選への関心の高さへと直結し、民主党はどの州の予備選でも前回の倍という投票率の高さで、米国の選挙戦の記録を塗り替えている。特に、生まれて初めて政治活動を経験するという若い層の参加がめざましい。
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バラク・オバマは、旱魃続きで「Rainmaker=雨を降らせる男」にすがりつく農民のように、亡国の危機に瀕した米国民が求めた「Miracle maker」なのだろうか。多分きっとそうだろう。何しろ絶対優勢と太鼓判を押されていたクリントン家の夫婦を抜き去って、鮮やかな勝利を決めつつあるのだから。そして今朝は、かのジョン・F・ケネディの弟と遺児が、彼への支持を表明したのだから。民主党最高の長老エドワード・ケネディと、故大統領の遺児キャロライン・ケネディからの、賞賛と立候補支持表明。クリントンが願っても叶わなかった僥倖である。

特にキャロラインの支持推奨の言葉は特筆にあたいする。
「父が亡くなって以来初めて、人びとはオバマ氏の中に父と同じ資質を見いだすと言われてますが、私から見てもたしかにそう思えるので、生まれて初めて支持表明をすることにしました」 
キャロラインと、テッド・ケネディと、億というアメリカ人が「この国の未来が今よりはきっと必ず良くなる」という希望を見出して、「He is the ONE」とうなずく人物。
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黒人でもなく白人でもない、夢とか理想とか勇気という、誰もが何十年も前に本気で使う事を止めた言葉に、みずからの生い立ちを証しに、新しい息を吹き込んで甦らせた男。その父親が、地球の片隅のケニアの貧しい村から「Dream」だけを手にしてアメリカに渡り大学へと進むことができたのは、実はケネディ財団の海外留学生奨学金制度のおかげだったとは。

そして今新しいアメリカのリーダーを選出する大統領選で、かつてのケネディ財団留学生の息子がケネディ家の家長と財団の役員であるJFKの娘から「アメリカの未来をよろしく」と、傷ついた星条旗を立て直す新しい世代の旗手として認められた、運命の輪の不思議な完結。
疲弊して行方を見失ったアメリカを、自由と民主主義のこの国の根本精神に立ち返らせる指導者を探していた約束の指輪は、いまここにその理想の人物の手に渡された。
ミラクルメーカー。 まったくそのとおりだ。  これが奇跡でなくて何だというのだろう。

【米国時間 2008年1月28日『米流時評』ysbee 記】
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»» »» 次号「ケネディ家の太鼓判 オバマに最強の支持表明」へ続く

d0123476_184635.jpg【2008年大統領選スケジュール】 
   1/29 共和党フロリダ予備選(明日)
   2/05 津波チューズデー(あと8日)
   11/04 08年大統領選全国一斉投票(あと281日)
 09/1/21 新しく選出された大統領就任式(あと355日)

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2006年版の拙ブログ『楽園通信』で紹介したオバマの著書2冊 自伝の『Dreams from My Father』と、政治家としての信念と米国と世界が歩むべき道を説いたベストセラー『The Audacity of Hope』は今や若者のバイブル。
バラク・オバマに関してもっと知りたいと思われる方は、リストの「*印」のついた記事をご一読ください。
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by ysbee-2 | 2008-01-28 01:20 | 2008年米国大統領選
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