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サクラメントの秘跡 マリア・シュライバーの選択

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  ||| サクラメントの秘跡 マリアの選択 |||

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シュワルツェネッガー夫人マリア・シュライバー、オバマに支持表明

d0123476_18552829.gif今回の大統領選は驚きの連続である。民主党の長老上院議員テッド・ケネディが、従来の流れにさからってクリントン夫人ではなくバラク・オバマに支持表明をしたのは、実にうれしい驚きであった。その輝きをさらに増したのが、故ジョン・F・ケネディ大統領の遺児キャロライン・ケネディの支持表明。こちらはJFKと比較できるような理想的候補だから、という素晴らしいお墨付きである。

d0123476_743444.jpgメディアの報道に先立つ1月28日にテッド・ケネディから届いたメール。04年のケリーvsブッシュ大統領選の時から私もケネディ支援グループの一員なので、メンバーにはいつも事あるたびにお知らせが届く。今回の内容は単刀直入。彼もまたオバマに感化されたと言う。
「Barack Obama inspires me.....It's that simple. Through Barack, I believe we will move beyond the politics of fear and personal destruction and unite our country with the politics of common purpose.」

d0123476_6483835.jpgまだその興奮も醒めやらぬ日曜の朝、今度はCNNのニュースでマリア・シュライバーがEndorse=支持表明というニュースが流れた。Wow!である。これはすごい!
シュライバーは、故ケネディ大統領、故ロバート・ケネディ国防長官の妹で、エドワード(テッド)・ケネディ現上院議員の姉にあたるユニス・シュライバーの娘。ケネディ家の生粋のヤンキー魂を象徴するような、知性と行動力に恵まれた女性である。容貌もご覧のとおりの知的美人で、長い事NBCニュースのレポーター/論説委員をやっていた関係で、アメリカ人一般にも民主党・共和党の別なく一目置かれ、敬愛されている。

d0123476_712614.jpgしかし今回の支持表明で一番驚いたのは、彼女の特殊な立場から、という一点であろう。米国の政界やマスコミ界に興味のある方ならご存知のように、彼女はカリフォルニア州知事アーノルド・シュワルツェネッガー夫人である。シュワルツェネッガーは、先週水曜にジョン・マケイン候補に支持表明をしたばかりで、熱心なレーガンファンで知られる共和党の知事である。その夫人が、まったく反対の陣営、民主党の対立候補に対して支援を表明したのだから、驚きを通り越して関係者にはまさにショックだろう。彼女がたとえケネディ家の一員であっても。

d0123476_6492519.jpgたしかにオバマの大統領候補としての資質には、共和党寄りの評論家も誉めずにはいられない、人間としての品と格がある。しかし、支持表明というスタンプを押すというのは、対立候補を敵に回すことを意味する。つまり、彼女は「マケインなんか支持しませんよ」とはっきり断言したのだ。今考えてみると、水曜の共和党討論会の会場では、シュワ氏は最前列に座していたが、そう言えば夫人同伴ではなかった。その時からすでにシュライバーは、オバマへの支持を心に決めていたのだろうか。彼女の決心とその動機やいかに・・・

支持表明を聴く限りでは、オバマの「感動力」が彼女にもしっかり伝播したように思える。彼の演説を聞き、彼の周囲のエピソードを読むと、みなオバマ党になってしまう。共和党の人間ですら。初めに言葉ありき。そして言葉の力に打たれた者はみな、明日への希望と言う光明を見出したかのように、クリスマスの朝のこどものような輝く微笑みを浮かべて、幸せの帰路に着き言葉を広める .... YES, WE CAN .... YES, WE CAN ....
なんだいったいこれは? まるで救世主ではないか! 米国政界の長老テッド・ケネディまでが「He's the ONE」と叫ぶ。キリストを見いだした洗礼者ヨハネさながらだ。嘘だと思うならYou-Tubeなりオバマ本人のサイトのビデオで、ぜひ直接確かめていただきたい。一驚にあたいする。
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オバマの「感動力」が有権者の意識を高め、今回の予備選を動かす原動力になっているのは、左右を問わず選挙アナリストが指摘する事実である。アナリストにも一般大衆にも絶賛されるオバマに倣って、ヒラリーは唐突にスピーチのトーンを変え、大時代な物言いと声音を真似しているが、やればやるほど上っ面だけの鼻持ちならないスノッブ臭がふんぷんと漂う。ひと言で言うと、三流女優が『十戒』のモーゼ役を無理矢理演じているような、お体裁だけの実に白々しい演説なのだ。 今回の大統領選では、昨年早々各候補者が立候補声明をする都度ニュースレターを受けとれるようメールリストに登録したので、民主党側全員の戦術を比較できた。さらには各候補者のサイトも。

d0123476_1331181.jpgその中でジョン・エドワーズは、当初から P to P のカジュアルなメールで親しみやすさを演出し女性票を集めてきたように思える。特にエドワーズ夫人エリザベスのアピールは、隠しようのない人の良さと選挙に賭ける情熱が相まって、選挙戦における内助の功を果たした好例だと思える。ひるがえってヒラリー側でも、エリザベスの主婦に受ける戦法を取り入れようと、急遽とってつけたような「レシピ」のページを加えたりしたが、いかんせん物真似の手法がありありで、ますます嫌われたきらいがある。彼女のスピーチ、ニュースレター、すべてが嘘くさいのである。要するに選挙戦のコンセプトとなる「魂」がないまま、うつろな借り物の言葉がこだましているように受けとれた。

共和党のミット・ロムニーも、初戦アイオワでオバマが圧勝した直後、すぐにオバマのスローガン「CHANGE」をそのまま拝借して、トミー・ヒルフィガー風のネオ・アメリカニズムデザインのプラカードに掲げた。ロムニーの実践ビジネスの応用力は大したものである。毎日のニュースや世論の流れに対応して公約までが連日豹変する。そこまでやるかと思えるほどで、民の声に率直に耳を傾ける姿勢は、一種偉いと思う。ロムニーの5人の息子が選挙参謀になっているのも、そういった変わり身の早さ、若い世代にも受け入れられるカジュアルな選挙マーケティングの要因だろう。
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本筋に戻って、オバマフィーバーで今回の予備選の台風の目になっている若者たち。彼らにはすでに「オバマニア」というブランドが付いているが、ごく最近使われてきたのは「ミレニアム・ボーターズ」millennium voters。紀元2000年以降、新しいミレニアムになってから選挙権を得た、18才から25才の若い世代の有権者という意味である。別名「9.11世代」。青春の大部分を、テロとかイラク戦争とか言う深刻な問題と向き合って育ってきた世代である。彼らの目は純粋だ。欲得抜きで、現在のアメリカにとって「もっとも正しい大統領」を見極めているに違いない。
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現在ネット上で最高ヒットを続ける "YES WE CAN"ビデオ オバマ・スピーチのマジックを見事に捉えている

それともうひとつは、うっかり老兵マケインなぞが当選した暁には、テロ戦争は彼の公約通り百年戦争と化し、米国は滅亡への道をひた走る。彼らミレニアム世代の若者は、すでに何年も前から「徴兵制の復活」を真剣に怖れているのだ。米国のメジャーメディアではあまり取り上げないが、ブログ界ではこの恐怖感が原動力となって反戦運動や平和運動(両者のニュアンスは微妙に違う)今回の予備選からの投票参加運動「GO VOTE」に結びついているようだ。
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マケインが日本びいきだ、などという甘言に惑わされてはならない。要は軍資金の出資口くらいにしか考えていない。知力・外交能力・おまけに体力ともにブッシュよりも劣る。悪夢である。
マケインの暗い側面に関しては後日に回し、本命のL.A.タイムズ「マリア・シュライバーがオバマを支持表明」の記事を、次のエントリーでお読みください。

【米国時間 2008年2月3日『米流時評』ysbee】
»» 次号「特報!シュワ夫人マリア・シュライバー、オバマに支持表明」本文記事へd0123476_1023580.jpg

d0123476_12434412.jpg記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/7171156
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by ysbee-2 | 2008-02-03 14:40 | 2008年米国大統領選
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