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米流時評

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緊急!ランドレポートで急旋回するテロ戦争の最前線

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 ||| ランドレポート「タリバン白書」後編 |||

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ランドレポートが暴露したパキスタン政府とタリバンの癒着
ポストムシャラフ体制に米軍のパキスタン兵誤爆で急旋回するテロ戦争


d0123476_18552829.gif歴史上長らく軍閥の騎馬民族の戦闘の場であり、現代でも中央政府よりも地方軍閥の勢力が強いアフガニスタンと国境を接するパキスタン北西部のパシュトゥン族自治州は、親米政府のムシャラフ政権の統治を受け付けず、タリバンやアルカイダなどムスリム過激派を支持し親米政権を排斥する「イスラモ・ファシスト」の別天地である。
十字軍遠征時代のキリスト教徒とイスラム教徒の闘い「ジハド=聖戦」の伝統精神をいまだに継承するジハディストの土地、という意味合いで、米国メディアは国境地帯のこうしたムスリム軍閥が跋扈するこの地域を「ジハディスタン」、「タリバニスタン」と呼んで揶揄する。ある意味ではアフガン侵攻から7年経っても米軍もNATO軍も制覇できない不屈の聖戦兵士の土地、という半諦観と自嘲もこめて。(▲トップの写真は、パキスタン西部パンジャブ地方の州都ラホールのモスク。毎朝毎夕、数千人の市民が礼拝する)
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6月11日に米軍がパキスタンの堡俏地点をタリバンのキャンプと間違えて誤爆、パキスタン兵11名が死亡する事件が発生。それ以前の2月からポスト・ムシャラフの新政権は辺境地区でのタリバンとの和平交渉をすすめるなど、従来の米国のテロ戦争の方針と真っ向から対立する軍閥との妥協策を展開したため、米国・パキスタン両国の関係は急激に悪化。それまで年間10億ドルもの軍事援助費をパキスタン政府に投下してきたブッシュ政権は、その予算付けをストップし、アフガニスタンへNATOから10億ドル援助させる手だてに出た。

d0123476_202343.jpg誤爆事件を契機として急変するパキスタン情勢は「一挙にパキスタンとタリバンの連帯を促して、隣国のアフガニスタンを敵性化する」という中央アジア情勢の急転換を意味する。タリバンの故郷中央アジアでの米軍のテロ戦争のパートナーが、ムシャラフ政権のパキスタンからカルザイ政権のアフガニスタンへ、と瞬時に転換したこの時期。双方の作戦ひとつひとつが、今後の命運を分ける命取りになりかねない重要な比重を持つ。今後の米国の軍事外交政策の大きな梃子となるアフガン・パキスタン国境の「タリバニスタン紛争」は、テロ戦争に関わる全ての国にとっても目のそらせない、風雲急を告げる展開が続行中なので、継続して『テロ戦争最前線』の連載でお届けしたい。

【米国時間2008年6月17日『米流時評』ysbee 記】

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JUNE 17, 2008 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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  A s s o c i a t e d P r e s s

ランドレポート「パキスタン諜報がタリバン援助、軍事情報漏洩」
米国時間2008年6月9日午前8時34分 | AP通信特報・カブール発 | 訳『米流時評』ysbee

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U.S. Think Tank: Pakistan Officials Help Taliban
Rand report: 'Getting help from individuals within Pakistan's government'

JUNE 9, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee

d0123476_2042638.jpgContinued from the previous issue |KABUL, Afghanistan — Pakistan Interior Ministry chief Rehman Malik said Monday that he met with Karzai in the Afghan capital over the weekend, and the two sides agreed to set up biometric screening at key border checkpoints. Malik said tens of thousands of people cross each day without any documentation.

[前号からの続き]アフガニスタン・カブール発
パキスタン政府のレヘマン・マリク内相は、先週週末(7・8日)アフガニスタンの首都カブールでカルザイ大統領と会談し、両国国境地帯の主要検問所にコンピュータを導入することに同意したと、9日月曜公表した。マリク内相は、両国国境を毎日数万人の両国住民が、なんの査証も持たずに越境している実情も報告している。

9. 'No passport, no record, free for all'
"They go without any checking — no passport, no documentation. It's a free for all," he told reporters. He said the new computerized system would begin operating within two weeks. Nevertheless, he defended Pakistan's efforts to police the border, saying the government had deployed 120,000 troops and had set up five times more border posts than there are on the Afghan side.
越境フリーパスの現状と今後の対策
「彼らはパスポートも通過記録書類もいっさいなしに、なんのチェックも受けず越境している。全員フリーパスだ」マリク内相は記者団にこう語ったが、今後の国境警備の強化の手段として、最新のコンピュータチェックシステムを導入し、2週間以内に通過チェックシステムの実施をスタートする予定であるとも発表した。いずれにしろ内相は、「パキスタン政府は12万の政府軍を国境地帯へ駐屯させ、アフガニスタン側と比べて5倍もの数の国境検問所を設けているのが事実だ」と実情を説明し、パキスタン政府側の国境警備の努力を弁護した。
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アフガン側の国境では、ANAアフガン政府軍兵士とNATO軍の混成保安部隊がパキスタンからの越境者をチェック

10. Joint operations with Afghan security forces

Malik expressed willingness to share intelligence on extremists and conduct joint operations with Afghan security forces. He denied that Pakistan would strike peace deals with terrorists in order to calm Islamic militancy on its own soil. Pakistan has insisted it is only pursuing negotiations with militant groups willing to lay down their arms, and it has relied partly on tribal elders to mediate.
アフガン保安部隊との共同の国境防衛を提案
マリク内相は「パキスタン政府はアフガン政府軍の治安部隊と協力して、イスラム過激派に関する情報交換とジョイントオペレーション(軍事的共同作戦)を実行する意図がある」と明らかにした。また内相は「パキスタン政府はパキスタン国内のイスラム軍閥の反政府運動を鎮める目的で、テロリストグループ(タリバン)と平和協定を結ぶつもりはない」と、噂されているタリバンほかテログループとの密約を否定した。さらに、パキスタンが叛徒グループと交渉を持つとしたら、唯一彼らが武器を放棄する場合だけだと強調し、その場合でも直接交渉ではなく、辺境部族の長老などの地元住民の代表が中間の調停役にあたると補足した。
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パキスタン側の国境警備兵 制服までパジャマ党というのがどうにもしまらない印象 これではタリバンの敵ではない

11. Increasing attacks on U.S. operation

A handful of deals have already been struck. U.S. officials say attacks where American troops operate in eastern Afghanistan have gone up significantly since those deals were reached earlier this year.
軍閥との和約で米軍への攻撃激増
しかし、パキスタン政府と辺境軍閥との間では、すでに5本の指に余るほどの和約がなされてきたのは事実である。米国政府関係者の情報によると、今年早々にパキスタン政府とタリバンシンパの辺境軍閥との間で和解が取り交わされて以来、パキスタンと国境を接するアフガニスタン東部で米軍が作戦展開する場所に対するタリバン側の攻撃が目立って増えてきた事実は、両者の和約の結果の情報漏洩に他ならないと見ている。
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パキスタン西部のイスラム強硬派の強い地域でも、特にワジリスタン州はパシュトゥン族の独立意識が強い

12. Al-Qaida also find sanctuary in Pakistan

The study said that besides the Taliban, other major militant groups find sanctuary in Pakistan. These include al-Qaida, Gulbuddin Hekmatyar's radical Hezb-i-Islami group and the Haqqani network, led by Jalaluddin Haqqani and his son, Siraj.
アルカイダ以下のテロ集団の別天地
ランドレポートでは、タリバンの他にも有数の反乱分子グループが、パキスタンを安全な活動場所としており、このグループには「アルカイダ」、グルブディン・ヘクマティヤールの率いるイスラム過激派グループ「ヘズビ・イスラミ」やジャラルディン・ハッカニとその息子シラジの率いる「ハッカニ・ネットワーク」などが含まれる、と報告している。
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アフガニスタンで反米を掲げるイスラム過激派軍閥「ヒズビイスラミ」の首領グルブディン・ヘクマティヤールの息子チャイラット・バヒールの訪問をペシャワール空港で歓迎する、パキスタン側のイスラム過激派グループムの一団

13. Insurgents dominant in NW Tribal areas

"These insurgent groups find refuge in Pakistan's Federally Administered Tribal Areas, North West Frontier Province, and Baluchistan Province," RAND said in a news release. "They regularly ship weapons, ammunition and supplies into Afghanistan from Pakistan, and a number of suicide bombers have come from Afghan refugee camps based in Pakistan."
パキスタン北西部辺境のパシュトゥン族自治州
「こうしたイスラム過激派軍団は、パキスタンが自治県を認めて連邦的統治を行っているために中央政府の管理の及ばない、ワジリスタンやバルチスタンといったパキスタン北西部の辺境自治州に潜伏し、安全に活動できる軍事拠点としている。彼らはテロ活動の前線へ武器弾薬や必要な物資を補給するために、パキスタンから国境を越えてアフガニスタンへと定期的に輸送している。また、かなりの数の自爆テロリストは、パキスタン側にあるアフガン難民キャンプからリクルートされ、アフガニスタンへと送り出されている。」
今回米国政府からの依頼で調査報告をまとめたランドコーポレーションは、『パキスタンでのタリバン他テロリストグループ活動実態調査報告』の発表に際して、各メディアへ送ったニュースリリースの中で以上のように概説している。
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2001年の米軍とアフガニスタンの「ノーザン・アライアンス=北部共闘戦線」の共同作戦でタリバン掃討戦が展開されたが、その際に戦火を逃れて国境を越えパキスタン側へ避難した数十万の難民。これはそのひとつ、パキスタン側のジャロザイ難民キャンプで、カルザイ政権に反旗を翻すタリバン叛徒の温床と化している。

14. Urgency to build Afghan security forces

The report also called on the U.S. and its allies to help build the Afghan security forces, particularly the police, and to improve the quality of local governments, especially in rural regions. It also claimed that Afghanistan's police are incompetent and "almost uniformly corrupt," echoing frequent criticism of the police by international officials here. The U.S. is spending billions of dollars to train and equip the Afghan police, but the efforts are still years away from being completed.

アフガン警察の治安体制強化の必要性
ランドレポートではまた、米国とその友好国に対して、アフガニスタン独自の治安勢力、特にアフガン警察の保安部隊を編成する援助をするべきだと呼びかけており、辺境地区に主眼をおいた地方自治体の体制強化を主張している。さらにはパキスタンだけを非難対象とせず、アフガン警察もまた弱体で「警察全署がほとんど画一的に腐敗している」と手厳しく批判。当地アフガニスタンに駐留する国際警察機関の度重なる指摘と呼応する摘発内容となっている。米国政府は、これまでにも数十億ドルの治安強化予算を、アフガン警察の結成と施設充実・教練等に充当してきたが、こうした努力が結実して治安体制が完成するのはまだ数年先のようであると結論づけている。 [了]

【米国時間 2008年6月17日 『米流時評』ysbee 訳】
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ヒンズークシ山脈を遥かに望むヤルグーン川の谷間の湿地帯
»» 次号「テロ戦争最前線-3 カルザイ・アルティメータム」に続く


||| 『米流時評』テロ戦争関連特集 |||
•アフガン・タリバンの復活 | •アルカイダ2.0・核のテロ | •パキスタン戒厳令の季節
•中東核戦争 | •中東のパワーラビリンス | •グローバルウォー | •次世代冷戦時代
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by ysbee-2 | 2008-06-17 20:42 | タリバニスタン最前線
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世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


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