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米流時評

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勇者は帰りぬ・解放されたベタンクールさんフランスへ

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  ||| 勇者は帰りぬ。自由の闘士パリへ |||

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コロンビアゲリラから解放されたベタンクールさん、フランスへ帰還
フランス政府、パリ市をあげての歓迎、バチカンも祝福のメッセージ


勇者は帰りぬ・解放されたベタンクールさんフランスへ_d0123476_18552829.gif今日7月4日は、自由と人権に最大の価値をおく、アメリカの独立記念日。おりしも米国のニュースチャンネルでは、昨日のコロンビアゲリラからの人質解放を、トップニュースとして「自由と人権の勝利」を象徴するかのように、繰り返し流している。

『米流時評』でも、ゲリラグループに潜入したコロンビア政府軍のスパイがゲリラをだまして人質の解放に至るまでのドラマを一昨日の記事「特報!コロンビアゲリラから人質15名奇跡の奪還」でお届けしたが、今日新たにその救出時の一部始終を撮ったビデオがコロンビア政府から公開された。手ぶれの素人映像だが、人質たちの驚きと喜びが伝わる貴重なビデオ、一見の価値はある。


▶極左ゲリラFARCに人質になっていた要人捕虜15人がコロンビア政府軍に解放されるビデオ
勇者は帰りぬ・解放されたベタンクールさんフランスへ_d0123476_435812.jpg• NBC |New video recounts Colombian rescue
• CNN |Video of hostage rescue
• BBC |Betancourt and family reunited
• BBC |Betancourt's French return joy
• BBC |Betancourt speaks of freedom


▲トップの写真はコロンビア国籍のフランス人で元コロンビア大統領選候補のイングリッド・ベタンクール女史(中央)極左ゲリラFARCの人質として誘拐拉致されてから6年ぶりにコロンビア政府軍によって無事救出された。救出作戦に協力したと言われるフランスへ家族とともに帰国し、フランス政府とパリ市長(中央右)主宰の生還歓迎の舞台に立つ。

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JULY 4, 2008 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版勇者は帰りぬ・解放されたベタンクールさんフランスへ_f0127501_6213945.jpg
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   A S S O C I A T E D P R E S S

解放された要人人質ベタンクールさん、フランスへ英雄として生還
米国時間 2008年7月4日 12時03分 | AP 通信・パリ支局発速報 | 訳『米流時評』ysbee

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French Hero's Welcome for Betancourt
Country embraces politician held by FARC; she says 'France is my home'
JULY 4, 2008 EST | Associated Press — PARIS | Translation by ysbee
PARIS — Former hostage Ingrid Betancourt arrived in France to a hero's welcome Friday after six years being held by leftist rebels in the Colombian jungle. Betancourt said she "cried a lot during this time from pain and indignation," she said, today "I cry with joy."

6年間サバイバルの果てに生還
コロンビアの左翼ゲリラFARCによって拉致誘拐されて以来、6年間ジャングルで人質になっていた元大統領候補イングリッド・ベタンクールさんは、4日金曜彼女の第二の故郷フランスへ到着、「英雄の生還」として国をあげての大歓迎を受けた。ベタンコートさんは帰国の感想を「この6年間、苦痛と屈辱感でずいぶん泣きました。でも今日は喜びの涙です」と語った。
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誘拐されて以来6年ぶりに子供たちと再会できたイングリッド・ベタンクール 娘のメラニーと息子のロレンゾと

1. 'France is my home'

"It's a very, very moving moment for me: Breathing the air of France, being with you," Betancourt told supporters and reporters gathered on the windswept tarmac. "France is my home and you are my family." President Nicolas Sarkozy and first lady Carla Bruni-Sarkozy greeted the French-Colombian politician with hugs, kisses and broad smiles at the Villacoublay air base southwest of Paris.
「フランスはわが祖国」
「私は今どうしようもなく感激している最中です。こうしてあなたがたと一緒にここにいてフランスの空気を吸っているのですから……フランスは私のふるさとで、あなたがたは私の家族です。」ベタンクールは飛行場の風に吹かれながら、集まった支持者や取材陣を前にこう語った。パリの南西にあるヴィラクーブレー空軍基地まで彼女を出迎えたニコラス・サルコジ大統領とカーラ・ブルーニ・サルコジ夫人は、このフランス系コロンビア人の政治家を相好を崩して歓迎し、抱擁とキスで祝福した。
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コロンビアとフランス両方の国籍を持つベタンクール女史にとって子供時代と青春を過ごしたフランスは第2の故郷

2. 'There is no such thing as inevitability'

文字数制限のため英文省略
サルコジ「明けない夜はない」
ベタンクールの到着を歓迎する場面は、フランスの国営テレビで実況中継された。彼女のふたりの子供たちやほかの家族のメンバーもフランス政府の飛行機で到着し、滑走路で待ち受けた母親のベタンクールと再会、大統領夫妻たちら仏政府の歓迎陣と合流した。
サルコジは、今回のベタンクールの救出劇は、現在困難な状況にあるひとびとに対して心強いメッセージを送ったとして「苦難と闘うのは価値ある行為だ。この世に避けられない事などない。苦しみに耐え抜いた人々は皆ちょうどあなたのように、世界中への真実の証しだ……トンネルの終わりにはいつも輝かしい光が待ち受けているという事の」サルコジ大統領はこう歓迎の辞を述べた。
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コロンビアからパリ郊外の空軍基地へ降り立ったベタンクールさん一家を出迎えるサルコジ夫妻とクシュネール外相

3. Festive air around Elysee palace

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祝賀気分に包まれるエリゼー宮周辺
「家族とともに歩むあなたの人生がこれから先に待っているあなたは、今や自由で輝いている。」サルコジはこう祝福した。ベタンクールと家族、彼女の支援者たちは、一団となって飛行場を後にし大統領官邸へと向かった。一方、歓迎会場となるエリゼー宮では、彼女を一目見ようと集まった数百人の群衆が、ある者はコロンビアとフランスの両国旗を手に、また多くはカメラを構えて、警備の警官の列の背後に並んで待ち構えていた。
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大きな「LIBRE=自由」の文字が掲げられたエリゼー宮周辺は、ベタンクールさんの無事生還を祝う祝賀ムード

4. Proud of her children's strength

文字数制限のため英文省略
6年間でめざましく成長した子供
コロンビアとフランスの両国籍をもつベタンクールさんは、子供時代をフランスで過ごし、政治外交のエリートを目指すパリ政治学院*を卒業している。彼女の子供、22才のメラニーと19才になったロレンゾは、彼女が拉致されていた期間ふたりともパリで育ち学校へ通った。ベタンクールはフランス帰国に先駆けて、3日木曜にすでにコロンビアで子供たちと6年ぶりの再会を果たした。
欧州全体に流されるEurope-1のラジオ局では、ベタンクールがフランスへ到着するよりも一歩先に機中でのインタビューを放送したが、その中で彼女は、「母親の不在にも関わらず、子供たちがめざましい人格を持った大人に育ったことを、どんなに誇りに思っているか」と語った。

*訳者注:Paris' Institut d'Etudes Politiques/パリ政治学院は通称Sciences Poと呼ばれ、政治外交のエリートを育てる屈指の名門校。卒業生にはミッテラン、シラク元大統領、シモーヌ・ヴェイユなどの政治家からクリスチャン・ディオール、日産のピエールレノーまで、そうそうたる面々が並ぶ。
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6年前に誘拐された時には16才だった娘のメラニーと13才だった息子のロレンゾも立派に成長して母親を驚かせた

5. Becoming a 'Cause Celebre'

Betancourt was campaigning for Colombia's presidency when she was kidnapped in 2002. She became a cause celebre in France, with her portrait hung on town halls and constant street rallies by supporters. She was freed Wednesday in a daring Colombian operation involving military spies who tricked FARC rebels into handing over Betancourt and 14 other hostages without firing a shot.
自由と人権のシンボルに
2002年に誘拐された時点では、ベタンクールはコロンビアの大統領選に立候補し遊説していた最中だった。人質になってやつれた彼女の「存在証明」の写真が、極左ゲリラFARCから公開されて以来、彼女の巨大な「囚われの肖像」は自由と人権のために闘う象徴として、フランス各地の庁舎に掲げられ、支援集会やデモが繰り返された。その後6年も経た今月2日水曜に、コロンビア政府は政府軍諜報部隊が活躍した見事な隠密作戦で、1発の銃弾を撃つ事もなく、FARCゲリラの監禁からベタンクールとほかの14名の人質を無事救出し解放するにいたった。
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昨年の集会で解放を訴える母親/パリの街に掲げられたベタンクールの肖像は自由と人権を求める運動のシンボルに

6. Chained on the neck for three years

She recalled humiliating treatment by the FARC, saying she had to wear chains 24 hours a day for three years. "When you have a chain around your neck, you have to keep your head down and try to accept your fate without succumbing entirely to humiliation, without forgetting who you are," she said.
3年間鎖で木に繋がれた虜囚生活
インタビューの中で、彼女はFARCの屈辱的な扱いを思い出しながらこう言った。「脱出を企てたけれども失敗して、その後みせしめとして四六時中3年間もの間、犬のように首に鎖をかけられ木につながれたままでした。首を鎖でつながれている状態では、頭を垂れてゲリラの言うがままにするしかない運命を甘受するしかありません。しかも、精神的にはその屈辱に全面降伏せずに、決して自分自身を失う事なく、です。」
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世界のコカイン生産の40%を輸出し闘争資金とするコロンビアの共産党ゲリラFARC。要人誘拐も人質の身代金を資金源とする彼らの常套手段のひとつ。大統領候補として遊説中に誘拐されたベタンクールさんは、ゲリラ戦の被害者のシンボルとなった。上はゲリラがコロンビア政府へ送って世界的に有名になった「Proof of Life=生存証明」の写真

7. Close situation to the possibility of death

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死と直面したジャングルの捕虜生活
またFrance-2 テレビのインタビューには、こう答えている。「ある時点で、このまま死ぬかも知れないと悟りました。拉致された仲間が次々死んでいくのを目の当たりにしました。ジャングルの中では、死はあっという間に命を奪ってしまうということが身にしみましたから。」ベタンクールさんは、病弱になった状態をこう説明する。「いろんな悪い要素が積み重なって相乗した結果でしょう。栄養に気をつけるなんてできない話で、目に見えてやせました。動く力さえなく、ハンモックに寝たきりでした。最後には水を飲む事さえできないほど弱って……本当に死ぬ一歩手前の状態にまでなったんです。でもゲリラの男性の看護人が薬をもらってきて、一命をとりとめました。」
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今春のコンメモレーションの日に、ゲリラとの闘争で戦死したコロンビア政府軍の兵士を追悼するシンボリックな墓標

8. Freeing Betancourt, Sarkozy's priority

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人質解放はサルコジの最優先公約のひとつ
サルコジ大統領は、07年の選挙でフランスの大統領に選ばれた5月の夜、ベタンクールの人質からの解放を最優先事項のひとつに挙げた。それ以前にも当時のドミニク・ド・ヴィルパン首相がベタンクールの旧友だったこともあり、ジャック・シラク前政権もまた彼女の解放に手を尽くした。
今回のベタンクールさんの人質からの解放は、サルコジにとって大きなイメージアップとなった。なにしろ彼の政敵でさえ「サルコジのたつまぬ外交的努力が、コロンビア政府をして人質解放の方策を練る圧力となった」と、その功績を認めているくらいである。
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世界で最も有名な生存中の人質と呼ばれたベタンクールの解放とあって世界中のメディアから取材陣がボゴタへ参集

9. Surprised France welcomes survived hero

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作戦成功に驚いたフランス
しかし、サルコジが進めていたのはFARCとの人質交換あるいは身代金交渉で、コロンビア政府が決行したような軍事作戦ではなかった。またフランス政府は、今回のベタンクールを始めとする15人の人質救出作戦には、まったく関与していなかったと表明している。
この事実は、サルコジのもっとも信頼している側近で大統領官邸エリゼー宮の秘書室長であるクロード・ギアン氏が、3日木曜の記者会見で「フランス政府がベタンクール女史の救出成功を知ったのは、コロンビア国内のメディアが臨時ニュースを流すわずか15分前のことだった」と驚きを隠さなかったことからも明らかである。
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中共政府のチベット弾圧に抗議してパリ市庁舎にチベット国旗の雪山獅子旗を掲げ一躍名を馳せたパリ市長(左)が歓迎

10. A sincere catholic to visit Vatican

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経験な信者としてバチカン訪問予定
3日金曜バチカン市国からは「人質救出成功の報に接したローマ法王ベネディクト16世は、予定の許す限りできるだけ早くベタンクールさんと会見できれば幸いだと思っている」という法王の見解が公けにされた。この発表に先立って、法王は彼女が自由の身になった事を祝福する電報を送ったそうである。法王はすでに今年2月にバチカンで、解放を祈るベタンクールさんの母親と会見していた。 [了]
【米国時間 2008年7月4日 『米流時評』ysbee 訳】
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逃亡が失敗してから3年間は鎖につながれたままだったベタンクールさんを支えたのは神への信仰だったと言う
ボタンとひもと釘?で手づくりのロザリオが彼女の信仰心の篤さを物語る「希望はいつか必ず実現する」


»» 次号「ドクター・カーンの告白/北朝鮮とイランの核取引を知っていたパキスタン」に続く
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by ysbee-2 | 2008-07-04 14:25 | テロとスパイ陰謀
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