人気ブログランキング |

米流時評

beiryu2.exblog.jp ブログトップ

経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

f0127501_128435.gif

   ||| 自爆装置ペイリントロジー |||

d0123476_2157776.jpg
  米国の経済恐慌が影を落とす大統領選、ペイリンは共和党の自爆装置?
  雪崩うつスキャンダルの山で崩壊点に達した、ペイリンのバブル人気


d0123476_18552829.gif[米国時間9月16日午後5時30分現在のCNNとMSNBCの臨時ニュース]
英国第三の銀行バークレーズが、リーマンブラザースの国際部門(法人組織全体の約1/3)を8000〜10,000人の社員を残留して買い取る意向と発表。これでリーマンは「絶滅の危機」を免れる模様ですが、いったん見限ったクライアント投資家が戻るかは疑問です。Lehman's No Return....などと洒落を言ってるバヤイではないのですが(しかも昭和前期生まれにしか通じない……)
d0123476_9351464.jpg
トップ:スーパースマッシャー「ハドロン・コライダー」ビッグバーンを人工的に再現して宇宙創世の謎を解明するというとてつもないマシン /上:南部ミズーリ州も大統領選では勝敗の鍵を握る。州都セントルイスのスカイライン

今回突出した「米国の兜町」ウォール街の危機は、もちろん大統領選の論争の焦点にもなっています。予備選の開幕当初から「今回の選挙の争点は経済政策だ」と叫ばれ、90年代クリントン政策の例の決まり文句「It's Economy, stupid!」が事あるたびに連呼されましたが、メディアはタブロイド的な話題を追いかけ、なかなかこの大問題に真剣に取り組まなかった。
しかし、ペイリンブームがスキャンダルの大雪崩で崩壊点に達し、ニューヨークダウ市場の大暴落で恐慌が囁かれる現在、ついに本腰を入れて民主共和両党候補の経済政策を、真剣に比較検討する最終段階に入ったようです。
d0123476_21591461.jpg
財政に関して素人目から見ると、一番わかりやすいのが税制改革。マケイン候補は増税はしないと公約していますが、その実態はブッシュ政権の押し進めたインベスターなどの「富裕階級への減税策」をそのまま10年以上凍結するという、あからさまな「Rich for Riches」案です。しかも現行の戦争は継続、プラス、イラン侵攻を公言。さらにはロシアとの対決も辞さないという、冷戦時代の世界観で外交政策を語る、はっきり言って現役政治家の中でも最もアナクロで頑迷な覇権主義の代表です。イラン対策に関しては核の投下も考慮しているようで、ブッシュよりも始末が悪い。
d0123476_2203123.jpg
» イラク戦争「百年かけても勝つ !」(誰に?もうとうの昔にサダムフセインは処刑しましたが……覚えてるのかな?)
» イラン戦争「ボム・ボム・ボム、ボミング・イラン…エ〜ニウエイ!」(ベトナム戦争時に流行ったビーチボーイズ『バーバラ・アン』の替え歌で「イランを空爆」と遊説中に歌う困ったオヤジギャグ)
» グルジア紛争「われわれはグルジア人だ!」60年代の冷戦感覚でロシアとの衝突も辞さないと言い切る好戦派
頑固・迷妄・陰湿・稚拙・倫理観の欠如(女癖の悪さでは定評があり、今春もロビイストとの醜聞をすっぱぬかれた)


一方のオバマ候補だが、その税制改革は庶民にとって理想的。ある一定収入以下(税制案としては年収25万ドル=約2680万円以下の世帯)を対象に収入税の税率を引き下げる減税案ですが、この案を実行すれば国民の95%が減税の対象になります。その代わりにミリオネア/ビリオネアの富裕階級への税率を引き上げるという、一般市民にも実に理解しやすい改革案。
さらには国家歳入を加速するために、「クリーンエナジー」のエネルギー改革案を標榜。石油一辺倒の輸入超過の悪循環を断って、風力やソーラーパワーなどの国内で自力再生できる自然エネルギー産業を興し、ドルの流出防止と失業者対策、さらには地球温暖化をストップするという、経済・雇用・環境対策を同時に叶える理想的な提案。つまり、これまでアラブ諸国からの輸入に頼っていた石油一辺倒のエネルギー政策にメスを入れ、オイルダラーで左右される米国の消費流通と市場経済双方の脆弱性を、根本から改革する大胆な刷新案です。
d0123476_9231444.jpg
オイルダラーに振り回される石油依存体質から脱出しようというオバマのニューエネルギープランはわかりやすい。
輸入過剰をストップ、新しい職場と内需の喚起、国内アントレプレナー援助、地球環境保護……といいことづくめ。


共和党の守護神から民主党のターボエンジンへと180度の大旋回を果たした、経済界の長老 T・ブーン・ピケンズ。彼の唱導するような「太陽・風・水」のクリーンエナジーへと、ドラスティックにシフトしていこう、という地球環境にも多いに貢献する、基本的エネルギー改革案です。良いことづくめのようですが、実際良い改革案で充満した候補なのだから仕方がない。その根本理由は、これまでの(特に精油業のメッカ、テキサス州出身ブッシュの)石油業界べったりのロビイストが牛耳る腐敗政治の根源を断ち切る、思い切った国民最優先の改革案を掲げているからでしょう。
d0123476_1831672.jpg
アラブ諸国からの石油ルートを断って、太陽エネルギーや風力、天然ガスによる新しいエネルギー開発を呼びかける ビリオネア、T・ブーン・ピケンズのプロジェクトは、エコロジー推進のオバマのニューエネルギー政策と直結する。

マケインの陳腐な政策と空疎な公約はさておき、ペイリンバブルが破裂するのは時間の問題です。一時的な人気のサージは昨日から退潮に入りました。登場当初から彼女に対する私の感想は「アホか」の一言で(この言葉を使ったのは、ブログ開始以来3年間で初めて)世論がちやほやする盲目ぶりに唖然としましたが、そのうち彼女のうさん臭さに皆気づくだろう、と達観しておりました。その間にもアラスカから吹きすさぶスキャンダルの嵐。
d0123476_2241697.jpg
米国3大ネットのひとつABCの朝の人気番組「The View」でペイリンの選択に関して突っ込まれ絶句したマケイン

「ハリケーン・サラ」のタイトルの元に、実際に読んでコピーした関連記事だけでも、500を越えました。おまけにそれ以前からマケイン陣営は彼女への取材を拒否しており、カーテンの陰に隠せば隠すほどその真実の姿を見たいと言う願望が募るのは人間の本能。今や米国のブログ界は、「ペイリン・スキャンダル・エキスポ」のような相を呈しています。何しろ毎時のニュースで新しい疑惑が提出される……ニューズウィーク今週号の表紙では、ついにこうした醜聞の嵐を「Palintology/ペイリントロジー」(オカルト宗派サイエントロジーのもじり)と命名して特集したほどです。
d0123476_2265825.jpg
故郷のワシラ高校時代はバスケットボールの選手で、食いついたら離さない獰猛さで「バラクーダ」の異名を取った

今週に入ってからは、アラスカ州の警察権力を私物化した知事の職権乱用が問われる、ペイリンの「トルーパーゲイト」に対して、州の検察局から事情聴取尋問のため召喚状が発令されましたが、マケイン陣営の指示で彼女はこの召喚を拒絶 (被告となる予定の人物ではあるが、罪状確認のできていない現段階では参考人と言う身柄で逮捕状ではない)。下手をすれば、起訴証拠が充分な場合には逮捕されるというのにです。潔白ならば当然捜査に応じるでしょうから、これでは言わずもがなで自ら有罪を認めたのと同じ効果。その程度の考えも回らないのでしょうか?
d0123476_2251449.jpg
ABCイブニングニュースの看板キャスター、チャーリー・ギブスンのインタビューで化けの皮がはがれたペイリン

さらには全米が注目した初のインタビューで、ABCテレビのチャーリー・ギブソンの質問「How's your insight on Russia?」外交問題でのロシアに関する洞察は?と聞かれて、「ロシアはアラスカから見える=Russia is in sight from Alaska」と答える大ズッコケで、図らずも外交面に関する無知をさらけ出してしまった彼女。もっとも雪崩うつスキャンダルを抜きにしても、彼女の言動・思想・経歴の怪しさを知ったなら、まともな神経の持ち主であれば戦慄せざるをえないでしょう。

Sarah Palin Holds Forth on Bush Doctrine, Pakistan — Sept. 12
Sarah Palin holds forth on Bush Doctrine, revealed her total lack of knowledge in diplomacy.



故郷ワシラの町ではキリスト教原理派でも極端に狂信的な宗派に属し、地球は4千年前に神が作ったと信じて疑わない世界観(教会で彼女自身が説教)・・・・イラク戦争は神の指令/ミッションを実行したもの・・・・図書館からは『ハリ−・ポッター』さえ邪宗の書物であると追放した・・・・高校の同級生を「彼女は牛が好きだった」というだけの理由で、アラスカ州政府の農業振興局長に指名・・・・また演説のたびに金切り声をはり上げて「ワシントンの旧体制をやっつける」と叫ぶのですが、その対象となる「旧体制」とはブッシュとマケインの共和党の亡国体制に他ならず、ほとんどポリティカルな自爆テロ行為。

Sarah Palin preaches "God's Grand Plan" in her church
Is She Ready to Serve in the Highest Office in the Land? You Decide....



マケインが共和党大会までわずか2日という土壇場で、ヤケクソの大博打に出て目をつむって指差した副大統領候補。たった一度20分ほどしか逢った事がなく、指名の電話が2度目の会話だったという、唖然とするほどお粗末な人選。その無謀なチョイスをためらいもなく受け入れた、途方もない野心の怪物であると結論づけるのは寸時で充分です。
そもそも、人口6千人のワシラという小さな漁師町で育ち、地元の高校卒業後、ビッグアイランドのハワイ大学ヒロ分校(僻地大学)へ入学するつもりでハワイ島へ来た。しかし「滞在中に雨ばかり降るので」という理由で入学手続きを済ませずに、急遽オアフ島の私立ハワイパシフィック大学へ入学。(世界中から遊び人サーファーが集まるので悪名高い)

Sarah Palin ABC Interview w/Charlie Gibson Part 1/4 — Sept. 12
ABC's Charlie Gibson interviews the GOP VP candidate Sarah Palin, about her career, ambition, mission. Also includes 20/20 video report on the reality check of her mounted scandals in Alaska.



その後も4年間で6校という懲りない転学を続け、最後はパッとしないアイダホ州立大学を卒業。専攻はジャーナリズムで、故郷へ戻ってからは、地元のテレビのスポーツキャスターとして犬ぞりレースのレポートなんかをやっていた……なんでこういう人物を副大統領候補に据えたのか。舞い上がっている本人は仕方がないとしても、抜擢したマケイン自身の判断力が問われている訳です。国政最大の選挙を人気取りのミスコンテストと取り違えるな、という意味で。そうした米国市民の一般的な反応を実によく代弁しているビデオがありますので、最後に紹介します。語っているのはみなさんにもおなじみの人物です。演技ではありません。現実のインタビューです。どうぞ。

【米国時間2008年9月17日『米流時評』ysbee 記】

Matt Damon Rips Sarah Palin — CBS News/September 10, 2008
"CBS News RAW": Actor Matt Damon criticizes Alaska governor Sarah Palin, citing her inexperience in national politics and comparing her candidacy to "a bad Disney movie" and says it's crazy that this woman could have a chance to become President, considering the condition of McCain's age and health.



»» 次号「Good News, Bad News, Everything In Between」へ続くd0123476_1023580.jpg

d0123476_12434412.jpg記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/8632122
TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/8632122

__________________________________________________________________
いつもご愛読いただきまして大変ありがとうございます。休載中もクリックしていただいたようで、感謝感激です!
d0123476_12465883.gif


あっという間に4位まで盛り返しました。クリックに大いに感謝!
ブログランキング・にほんブログ村へ  「ブログ村」の国際政治部門では、おかげさまでトップに戻りました!


d0123476_10141436.gif
ニュース部門でトップです。みなさまのクリック、ありがとうございます!
テクノラティお気に入りに追加する テクノラティはお気に入りブログの更新内容が一覧できて大変便利


d0123476_4274095.jpg
||| 『米流時評』で読む世界の今のおもてうら |||
次世代冷戦時代 | ユーラシアの回廊 | プーチンのロシア | テロとスパイ陰謀 | サルコジのフランス
グローバルウォー | 中東核戦争 | 中東のパワーラビリンス | イラク戦争レポート | トンデモ北朝鮮
アルカイダ2.0 核のテロ | アフガン・タリバンの復活 | パキスタン戒厳令の季節 | ビルマの赤い川革命
四川大地震と中国の核施設 | フリーチベット・フリー東トルキスタン | 北京の長い夏 | ダイハード中国
米大統領選 | ブッシュと米国政治 | 欧米メディアの見る日本 | EUとNATO | グローバル ビジネス


by ysbee-2 | 2008-09-17 22:16 | 2008年米国大統領選
line

世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


by ysbee-2
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31