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アイスランド国家破産の危機!グローバル恐慌レポート3.1

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   ||| アイスランド国家破産の危機 |||

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  アイスランド国家破産の危機 グローバル恐慌がもたらした最初の犠牲者
  金融財政逼迫にあえぐ小国、ロシアから54億ドルの借款、銀行を国営化


アイスランド国家破産の危機!グローバル恐慌レポート3.1_d0123476_18552829.gif国が滅びる場合、米流風にばっさりと言うと3つの形がある。
ひとつは、大国から侵略されて隷属する場合。これは古くはローマ帝国や近代ではナチスの第三帝国による国家の属州化が挙げられる。もうひとつは、天変地異の大災害による滅亡。古代の都市国家であったポンペイがベスヴィアス火山の噴火で埋もれたのが顕著な例だ。

そしてごく最近の「国家滅亡」の症例。それは国家財政破綻によるひとつの国の破産である。考えるだけでもぞっとする状況だが、いったいその国家的悲劇が、何が原因でどのようにして起きたのかを、症例として見つめるいい例がある………アイスランドである。
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この国の名を聞いて、私の凡庸な頭に真っ先に思い浮かぶのは、ビョークぐらいなものである。チベット弾圧反対のフリーチベット運動を介して、それ以前よりやや深く知った程度である。その他には……レイキャビクと聞いて、そう言えば、U2のボノが小洒落たホテルをオープンしたとか(ム、あれはアイルランド?)世界のセレブが参集する、カジノだったかクラブだったかができてブームだとかを、こちらの旅行誌の『Conde Nast Traveler』や『Travel+Leisure』で、だいぶ前に読んだなぁ……程度の、実にあいまいな知識である。

しかしどの記事も「時代の最先端を行くグローバルなブームタウン」的な、すばらしくヴィヴィッドで景気のいいエピソードに満ちていて、記事の行間から「まるで北極圏のサンモリッツかベガス……」とでも言いたそうな印象を受けたことは思い出せる。
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だから昨日のこのニュースには驚いた。なにしろ「National Bankruptcy」である。
「国家の破産」? 恐ろしい用語である。「国家滅亡」に近い壮絶なイメージが炸裂する。
  戦争が起きた訳でもないのに、どうすれば国家が崩壊するのか?
  これはもしかして武力ではなく経済力で他国を征服する
  新しい覇権戦略の敗者を意味するのだろうか? 
もしそうだとすれば、アイスランドは21世紀型のグローバル金融資本の最初の属国になったという、まったく新しいパラダイムの時代が、予想外に早く到来したことを意味する。

あえて別の見方をしよう。20世紀の冒頭から世界を思うままに翻弄し、あらかたの戦争の起因となってきた「石油支配」の時代が終わる。これから世界中の国で、あらゆる産業とあらゆる生産物の価値の見直しが始まるだろう。21世紀型の新しいエネルギーに即した経済要因、という観点で。この先5年ぐらい経たねば事実に裏付けられた結論は出ないが、もしかしたら地球が生き延びるためには、とてつもなく良いターニングポイントなのかも知れない。これまでのすべての「モノの価値」を転換するグローバルな大手術が、いま始まった。
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ひとつ非常に気になるのは、今回のアイスランドの国家ぐるみの倒産には、ロシアが54億ドルを貸し出したとある。米国が恐慌に陥ってなければ、英米の(一皮むけばユダヤ系列の)金融資本が手を差し伸べていたはずである。ロシアの北極圏制覇戦略の野望は、本気だった。(日本もその戦略地図の中にあるのだ。戦慄!)

グローバル経済下のアイスランドの興隆と滅亡の盛衰の陰には、いまだに旧大英帝国時代の属領だった国家に対して、政治経済両面で威圧を保持し続ける英国の投資銀行資本と、新進気鋭のエネルギー大国であるロシアの国家資本との、熾烈な相克が見え隠れしている。

やはりネット経済でグローバルに連繋し、企業だけでなく国家ぐるみで買収する、新しい覇権抗争「バーチャル・エコノミックウォー」のフロントライン/最前線が、噂よりも早くすでに出現したのかもしれない。ついにインターネットの戦場のパルスは、メディアやアナリストやエコノミストの、経験と洞察で予測するヒューマンなスピードを超えてしまったようだ。

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「国家の破産」………そこに住む者にとって、その恐怖感はいったいどれだけのものだろうか?
極北のアイスランドでは、一夜にして国家の貨幣価値が文字通り紙っぺらに帰してしまった。色とりどりの積木のおもちゃのような家に住む、小さな北の国の素朴なひとびとをなんとも気の毒に思いながらも、グローバル恐慌の最初の戦死者となったこの新しい国家崩壊の現象を、首都レイキャビクからの現地レポートで読み下してみたい。

【 米国時間 2008年10月8日 『米流時評』ysbee 】

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OCTOBER 8, 2008 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版アイスランド国家破産の危機!グローバル恐慌レポート3.1_f0127501_6213945.jpg
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 ASSOCIATED PRESS | BREAKING
グローバル恐慌レポート「アイスランド・国家破産の危機」前編
米国時間 2008年10月7日 | AP通信・アイスランド・レイキャビク発 | 『米流時評』ysbee 訳

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現地時間で7日火曜、危機に瀕した国家財政の窮状を訴え打開策を伝える記者会見をするゲイル・ハーデ首相

Iceland on the Brink of Bankruptcy

Struggling nation takes $5.4 billion loan from Russia, nationalizes bank
OCTOBER 7, 2008 EST | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee 
REYKJAVIK, Iceland — This volcanic island near the Arctic Circle is on the brink of becoming the first “national bankruptcy” of the global financial meltdown. Home to just 320,000 people on a territory the size of Kentucky, Iceland has formidable international reach because of an outsized banking sector that set out with Viking confidence to conquer swaths of the British economy — from fashion retailers to top soccer teams.

「国家破産宣告」寸前の財政危機
アイスランド。北極圏に近い巨大な火山島の上に生きるこの国は、 グローバル金融崩壊のあおりによる「national bankruptcy=国家規模の破産」の最初の犠牲者となる風前の灯の危機にある。
面積にしてケンタッキー州と同じ広さの地域に、わずかに32万人が住むに過ぎない極北の地。しかしアイスランドはこれまで、経済面では広汎な国際的サポートを享受してきた国でもある。その背景には、ファッションブランドからサッカーチームまで未だに世界的な影響力を持つ英国経済の、その一片を奪うというバイキング流の剛胆な野心から発した国際金融市場の国家プロジェクトがあった。このグローバル金融のカジノ開設が、この国と世界経済の時流を変えた大きな理由として挙げられる。
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首都レイキャビクの夜景 北極に近い高い緯度のために、夏場は真夜中でも写真のように明るい白夜が続く

1. Collapse from top of the world

The strategy gave Icelanders one of the world’s highest per capita incomes. But now they are watching helplessly as their economy implodes — their currency losing almost half its value, and their heavily exposed banks collapsing under the weight of debts incurred by lending in the boom times. “Everything is closed. We couldn’t sell our stock or take money from the bank,” said Johann Sigurdsson as he left a branch of Landsbanki in downtown Reykjavik.
世界のトップ経済からの転落
この金融国家化プロジェクトのおかげで、アイスランド国民は年収一人当りの豊かさでは、世界有数の国のひとつだった。しかし現在にいたって、彼らは自国の経済が崩壊するのを固唾を飲んで見つめるばかりだ。金融経済ブームの最盛期に際限なく貸付を膨らませた見返りとして、不良債権の重圧に押し潰され破産した銀行の派手なニュースが相次ぎ、この国の貨幣価値は今や半減した。
「何もかもアウトだよ。持ち株を売ることもできなければ、銀行の口座から金を引き下ろすことさえできないんだから」首都レイキャビクの中心街で出逢ったヨハン・シグルドソン氏は、こう嘆きながらこの国の代表的銀行ランズバンキのダウンタウン支店を立ち去った。
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金融危機に立つアイスランドの投資銀行のひとつ、グリットニール銀行 政府の買取りがなければ倒産する

2. Nationalizing banks under emergency laws

The government had announced it had nationalized the bank under emergency laws enacted to deal with the crisis. “We have been forced to take decisive action to save the country,” Prime Minister Geir H. Haarde said of those sweeping new powers that allow the government to take over companies, limit the authority of boards, and call shareholder meetings.
緊急法案による銀行の国営化
アイスランド政府は、今回の金融危機を乗り切るための非常手段として、財政救済緊急法案を決議し、経営破綻に陥ったこの国を代表する銀行ランズバンキを国営化した。
「国家を危機から救うには、今回のような思い切った行動に出ざるをえませんでした。」
アイスランドのゲイル・ハーデ首相は、銀行を買い取った政府が今後肩代わりする役割、すなわち取締役員会の権限を限定したり、株主会議を主催する新しい権限について、7日の記者会見で説明した。
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アイスランドの通貨アイスランドクローネ紙幣 今回の恐慌に近い株価の大暴落でクローネの価値も一挙に半減した

3. Government abandoned attemps

Iceland plunged further into financial crisis Wednesday as it scrapped plans to nationalize the country’s third-largest bank, Glitnir; instead placing it into receivership, and abandoned attempts to put a floor under its falling currency by pegging it to the euro. The financial strife also developed into a diplomatic spat as the British government said it planned to sue over lost deposits held by tens of thousands of Britons with Icelandic bank accounts.
銀行救済を放棄した政府銀行救済を放棄した政府
アイスランド政府は、この国で3番目の規模の銀行グリトニールを国営化する方策を、7日水曜の段階で放棄せざるをえなくなった。その原因は、国家財政がさらに深い財政危機に陥ったためである。法案実施のために確保していた資金を、受取人として予定されていたグリトニールに渡せず、株取引市場の売買を超インフレで価値の急落する同国の通貨クローネから一時的にユーロへと切り替えて、取引の続行を図ろうとした試みも放棄した。
財政危機はさらに英国との外交摩擦にまで進展した。その理由は、アイスランドの各銀行に口座を持っていた数万人の英国市民が、預金を引き出せないまま銀行が破産したためである。この件で、英国政府はアイスランド政府を訴えるつもりであると発表するにいたった。
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フランクフルトのディーラー 連日記録的な下げを続けるウォール街の暴落にひきずられ、欧州各国の市場も下落

4. Sending shockwave across the world

The threat prompted Prime Minister Geir H. Haarde to issue a statement saying the Nordic country was working toward a "mutually satisfactory solution." A full-blown collapse of Iceland’s financial system would send shock waves across Europe, given the heavy investment by Icelandic banks and companies across the continent.
世界に走る驚愕のニュース
英国政府からのこの脅しのおかげで、ゲイル・ハーデ首相は次のような声明を発表せざるをえなくなった。
「アイスランドは、関係国間がお互いに満足できる解決法を模索していく所存です。」
しかし、アイスランドの金融システムの完全な崩壊のニュースで、ヨーロッパ全体に衝撃が走ったのは言うまでもない。それというのも、今日まで欧州各国の数十万人の投資家が、アイスランドの金融機関を通じて膨大な額の株取引を行っていたためである。
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5. Retailing investment giant Baugur
One of Iceland’s biggest companies, retailing investment group Baugur, owns or has stakes in dozens of major European retailers — including enough to make it the largest private company in Britain, where it owns a handful of stores such as the famous toy store Hamley’s. Kaupthing, Iceland’s largest bank and one of those whose share trading was suspended last week to stop a huge sell-off, has also invested in European retail groups.
欧州ブランドへの巨大投資企業バウガー
アイスランドの主幹企業の一つに、リテールセクターの投資グループ、Baugur/バウガーがある。ヨーロッパの数十社の著名ブランドを対象に株式投資し、ポピュラーな米国のトイストアチェーンHamley’sなど、その中のいくつかでは筆頭株主として社主になっている。Baugurグループ全体を一巨大企業としてとらえれば、英国であればゆうに最大の民間法人となるスケールである。また、アイスランド最大の銀行「Kaupthing/カウプシング」と、先週莫大な売りが続いたために株取引の一時停止に踏み切った銀行ランズバンキもまた、バウガーと同様にヨーロッパ各国の大手リテイラー(小売業)グループに投資していた。
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アイスランドの首都レイキャビクの町並み。首都以外は茫漠とした極北の原野が広がるアウトドア派リゾートの別天地

6. Landsbanki's online sector, Icesave

Thousands of Britons have accounts with Icesave, the online arm of Landsbanki that regulators said was likely to file for bankruptcy after it stopped permitting customers to withdraw money from their accounts Tuesday.
ランズバンキのオンライン部門アイスセーブ
Icesave/アイスセーブは、アイスランドの投資銀行ランズバンキのオンライン部門であるが、数万人の英国人がクライアントとしてアイスセーブに口座を持ち利用していた。しかし今週ウォール街が大暴落を喫した直後の7日火曜に (取り付け騒ぎのパニックを恐れたランズバンキは)、全口座からの現金引き出しをストップしてしまった。同行のこうした動きから、政府の金融財務監査局ではランズバンキが破産宣告を申請するものと読んでいる。
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突然のサービス閉鎖と倒産の噂を打ち消そうと、本社の屋外で激励コンサートラリーを実行するランズバンキの社員

7. Loan negotiation of $5.4 billion from Russia

To try to wrest control of the spiraling situation, the government also loaned $680 million to Kaupthing to tide it over and said it was negotiating a $5.4 billion loan from Russia to shore up the nation's finances.
ロシアと54億ドルの借款を交渉中
アイスランドの市場全体が奈落へ転落する途をたどる中で、この恐慌への奔流を阻止しようと、アイスランド政府は同国最大のカウプシング銀行に対して、危機を脱出する資金として6.8億ドル (約680億円) を貸し付けた。さらには国家財政を危機から救うために、アイスランド政府はロシアから54億ドル (約5400億円) の借款を借り入れるべく交渉中である、という危機的状況に対処している実態を明らかにした。 »» 続く

【米国時間 2008年10月8日『米流時評』ysbee 訳】
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»» 次号「号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉! 」へ
«« 前号「2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル」へ
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||| 『米流時評』グローバル恐慌レポート |||
第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 IMF警告「グローバル・メルトダウン!」(翻訳中)
10/13 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)

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||| 『米流時評』で読む世界危機の最新情報 |||
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by ysbee-2 | 2008-10-08 21:18 | グローバルビジネス
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世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


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