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米流時評

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新冷戦から平和へ!米ロの意外な軍事シフト

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  ||| 米ロ新冷戦から平和へのシフト |||

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グルジア戦争は米・ロに何を残したか? 両国外交のヘルシンキシフト
ブッシュ/プーチン覇権の体制からメドベージェフ/オバマ繁栄の体制へ


新冷戦から平和へ!米ロの意外な軍事シフト_d0123476_18552829.gif 昨日のエントリーを読んで「米ロが和平会談?」ととまどわれた方も多いと思う。従来の方程式にはあてはまらない進展だからである。まず第一に気がつくのは、ロシア側では少数民族の保護とか、グルジア側ではテロリストの掃討とか、いくら奇麗事を言っても「グルジア紛争はやはり米ロ新冷戦の代理戦争だった」という点。

物理的に砲弾を撃ち交わしたのは、南下した側のロシアと侵略された側のグルジア両国なのだから、本来ならば仲介役をはさんでも、この当事国の間で解決を話し合うのが筋だったはずだ。そもそものいきなりの開戦が、8月の9日。その後は各国のテレビニュースが刻々とレポートする悲惨な映像を、呆然とみつめるばかりだった。(歴史チャンネルの第二次大戦やベトナム戦争の回顧録のようなドキュメンタリー以外では、ただ今この時点で進行中の「生の空中戦」をテレビのニュースで見るという体験は初めてで、恐怖と恍惚の入り交じった不思議な心理……開高健が「輝ける闇」と表現したのはまさしく。)

▶関連記事:8/10 オセチア紛争勃発!南オセチア攻撃で住民1600名死亡!
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それから19日の一時停戦までにも、フランスのサルコジ大統領やドイツのメルケル首相は直接首都トビリシを訪れ、ロシアの侵攻占領による亡国一歩手前のサーカシビリ大統領を激励する立場を明らかにし、小国グルジアに対するロシアの脅威にクッションを入れたことは確かである。

またその後2か月経つ現在までにも、米国のライス国務長官は元よりチェニー副大統領も同国を訪問。ロシアと国境を接しながらも対抗する姿勢を崩さないグルジアのサーカシビリに対して、両者ともロシアとの紛争解決というよりは、旧ソ連邦のコーカサス地方で民主主義を推進する「親米国家の優等生」に対する慰労の印象が強かった。

▶関連記事:8/26 メドベージェフの新冷戦宣言 ポストグルジア戦争のコーカサス
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しかしこれでは、事態は少しも快方へ向かわない。無差別の空襲による爆撃で、家を焼かれ家族を失い命からがら故郷を捨てて避難してきた、オセチア住民だったグルジア人が、今や数十万の難民と化し人道問題になっている。ヨーロッパ各国でのロシア侵攻に抗議するデモや、難民支援運動も活発だった。

しかし、ロシアの銃口をへし折るのに一番効果があったのは「中国のロシア不支持」だったように思える。国連の安保理事会で、軍事演習まで共同で実行する兄弟分だったはずの中国が、最終票決でロシアの侵攻を非難する側に回ったのは驚きだった。

▶関連記事:8/28 中央アジアの逆風|グルジア侵攻で米露対決
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もちろんその裏には、ロシアからの燃料供給を反古にしても大丈夫、という中国側の計算があったのだろう。代替エネルギーは、フランスと提携して開発中の原子力なのか。あるいは米国が直接ニューエネルギー計画の推進協力を申し出たのだろうか。利益のない選択はしない中国だから、某かの巨大な保証を取り付けた上で、ロシアに反旗を翻したのだろうことは想像に難くない。

ロシアの「オセチアを発火点としてグルジアからアゼルバイジャンへ」というコーカサスの資源戦争の戦略は、侵攻以前の思惑に反して、ガスプロの偉大な顧客であり共産主義国家としての兄弟分である、ロシアがもっとも頼りとする中国の同意が得られない、という思いがけない結末を招いた。

▶関連記事:9/29 上海「非協力」機構|中国離反でロシア孤立化へ
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かくして、旧ソ連邦の同盟国家圏を復活するというプーチンの野望は叶わず、その後ベネズエラへロシア艦隊を出動してミサイル設置をほのめかし「キューバ危機の再来か」と米国の肝を冷やす一幕もあった。しかし、しかしである。嵐の去った後の奇跡的な青空のように、青天の霹靂とも思えるような一陣の風が、極北のフィンランドから吹いてきた。

噂ではなく、現地駐在米国大使館の広報官からの事後通達である。AP通信の記事のタイトル「Unannounced Talks=非公表の会談」からは、「特ダネ」に近い雰囲気が漂う。しかも会談の主役は、大方の予想を裏切って、国務省の外交官同士ではない。米国もロシアも、全軍を総括する最高責任者同士の「将軍会議」である。ヘルシンキという国際外交の表舞台で、これほど意外な配役でいきなり開幕した展開というのも珍しい。

▶関連記事:8/11 ユーラシア大連邦と第三次世界大戦の兆候(再掲出)
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案の定、日本のマスメディアではまったく触れてないようだ。ブログでさえ扱っている記事はほとんどみつからない。みなさん、これはひょっとしてどころか、ちょっとやそっとじゃない大事/おおごとですよ!
その理由:
・まず第1に、米国とロシアがここ3年間で乖離してきた溝を埋めようとしている事。
・第2に、国務省という外交の正式機関ではなく、国防省が会談の第一線に出てきた事。
・第3に、米国もロシアも軍の中枢部では、従来の好戦的なタカ派が後退して和平派がトップに立っているのではないかと言う事。
・第4に、任期あと100日を切ったブッシュは論争の対象圏外としても、メドベージェフの手綱を握っていたプーチンの、これまでの強気の攻略戦略が「手控え」の状態になっているのではないか、ということ。


特に4番目の「プーチンとメドベージェフの間に、グルジアでの失敗をめぐって微妙なパワーバランスのシフトがあったのではないか?」と言う点が、私にとってはもっとも興味を引く疑問である。今後注目すべきは、ロシアの持ち駒であるチャベスのベネズエラ、特にカストロの病状如何で急変するだろうキューバの社会状況、コーカサスのオイルリッチ国アゼルバイジャン、ウラニウム資源や宇宙開発委託で破竹の勢いのカザクスタン、それに東欧ミサイルシステムの建設現場、ポーランドとチェコである。

▶関連記事:8/11 ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り(再掲出)
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昨日のエントリーの続きの記事にちょっとした説明を補足するつもりが、すっかり長々と書いてしまった。これはこれで、『米流』のオリジナルな時評としてエントリーすることにしよう。ともかく言いたかったことの核心は、これまで8年間の、正確に言えば9/11以来の世界がひたすら破滅に向かっているのではないかという重苦しい不安の雲が、ヘルシンキからの一陣の風で去りつつある、ということである。これはきっと、オバマの勝利に確実性が見えてきた事と無縁ではあるまい。

メドベージェフが大国の元首としての自覚に目覚め、大統領就任後のオバマとともに平和的建設の方向へ歩みだすならば、テロ戦争も経済危機も乗り越えられるだろう。ブラウンもサルコジもメルケルも、自ら戦場を造り出すような無謀なカウボーイではない。そうなれば、中国だけが国際倫理の問題児として取り残される。
戦争で笑うのは、戦争産業の悪のビジネスマンと投資家だけである。死者の復讐は、さらなる死者を呼ぶばかりだ。猿の祖先から幾千万の月の出と日の出を眺めてきた人類よ、ここらでいい加減、成人しようじゃないか。
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【米国時間 2008年10月22日『米流時評』ysbee】
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»» 次号「冷戦は終わった!ヘルシンキ会談に見る米ロ関係のシフト 」へ
«« 前号「特報!ヘルシンキ会談・グルジア紛争で米ロが軍事的解決 」へ


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||| 『米流時評』グローバル恐慌レポート |||
第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)

by ysbee-2 | 2008-10-22 12:32 | 次世代冷戦時代
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世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


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