特報!北朝鮮兵38度線脱北/北、韓国に核の威嚇
||| 38度線脱北兵士/北 核攻撃の威嚇 |||
韓国は北の核攻撃に備え先制攻撃を宣言、北は攻撃があれば核で報復と威嚇
「死線を越えて」という言葉があるが、今回の記事は北朝鮮と韓国の境界北緯38度線上に半世紀以上横たわるDMZ/DeMilitarized Zone=非武装地帯の、文字通り死線を越えて脱北に成功。韓国へ亡命した北朝鮮兵士のニュースである。さらにはその事件に前後して、南北朝鮮が「ミサイル先制攻撃」対「核の報復」を宣言する緊迫の経緯を。
命を賭する危険を冒してまで、なぜ脱北者があとを断たないのか。それは、北朝鮮の社会が「地獄のスタンダード」を押し付けているからにほかならない。政府への反対意見を一切受けつけない全体主義国家。反抗する者は直ちに投獄、あるいは甚だしい場合には公開処刑。第二次大戦の終結から60年以上経つと言うのに、こうした自由の対局にある国家が存在するのを見て見ぬ振りをする国際社会。
▶関連記事: 10/28 Japan: N. Korea's Kim likely still in hospital
今日はたまたま北朝鮮関連のやや大きな記事が4本もあって、どれも紹介したかったのだが、この脱北兵士のニュースが全体の潮流を紹介する意味でも有意義に思えたので翻訳してお伝えしたい。他の3つの記事は、最初に読んだのが「北が韓国を核攻撃と威嚇」という物騒な話題だが、その中身はこの記事にも重複して載っているので、金正日体制特有のセンセーショナルな脅しを発表した前後関係が理解できると思う。
▶関連記事: 10/28 N. Korea Threatens to Turn South into 'Debris'
▶関連記事: 10/28 N. Korea Defectors Describe Executions, Torture
願わくば、オバマがすでに公約している通り、米国の次期大統領が率いる新しい政権が中国や北朝鮮を始めとする世界中の独裁政権の弾圧を糾弾し、民衆が自由を勝ち取る方向へ力を貸す大国としての "Nobles Oblige" を実行することを願って止まない。
[米国時間 2008年10月28日『米流時評』ysbee]
__________________________________________________________________
OCTOBER 28, 2008 | 『米 流 時 評』 | 時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年10/28号
ASSOCIATED PRESS | B R E A K I N G
北朝鮮兵士、38度線の南北非武装地帯で 決死の越境亡命成功!
米国時間 2008年10月28日午前10時59分 | AP通信・ソウル支局発 | 訳『米流時評』ysbee
Separately, stark warning issued over Seoul's 'confrontational racket'
OCTOBER 28, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
SEOUL, South Korea — A North Korean soldier has defected to South Korea through the heavily fortified border dividing the two countries, an official from the South's spy agency said Tuesday, in only the second such defection in a decade. The North Korean defector was being investigated, a National Intelligence Service official said, declining to identify his name, rank and the date of his defection.
兵士の脱北は10年間でわずか2人目
韓国・ソウル発 |現地時間で28日火曜、南北朝鮮を2分する38度線非武装地帯の厳重な武装警備を突破して、北朝鮮の政府軍兵士1名が韓国側へ越境亡命したと、韓国の諜報機関NIS高官が情報を明かした。北鮮兵士のこのような脱北事件は、ここ10年間でわずかに2度目のケースである。脱北兵士はただちに身柄を調査されたが、NIS高官は兵士の氏名・階級・亡命日時を公表するのは控えた。
2. Approaching S.K. post in DMZ
文字数制限のため英文省略
38度線の韓国側堡哨基地へ亡命
この北朝鮮兵は、38度線の非武装地帯の中央にある韓国側の堡哨警備施設へ単独で歩み寄り、韓国への亡命を申し出たと、韓国の諜報機関NISの高官は語っている。同施設の韓国軍高官に兵士が語った亡命の理由は、北朝鮮での生活に嫌気がさし共産主義国家での将来の人生を考慮した結果の行動だと伝えている。ただしNISの高官は諜報機関の規則上、名前を公表できない立場にあり、今回は匿名での情報公開である。
3. Second defection since April
文字数制限のため英文省略
4月以来2度目の越境脱北者
北朝鮮兵士が38度線を超えて韓国側へと亡命した事件は、過去10年間で今回が2度目である。また北朝鮮政府高官が38度線を超えて脱北した例は、4月に起きたばかりである。DMZ/38度線の非武装地帯は、世界でももっとも警備の厳重な国境線のひとつに挙げられるため、この地域を越境しての亡命は非常に稀である。通常北朝鮮人が共産主義の母国を捨てて国外逃亡する場合、ほとんど大部分は陸続きの中国へ脱走し、その後東南アジアの自由主義国家を経て韓国へたどり着くのが常道である。
4. 14,300+ defectors since Korean War
More than 14,300 North Koreans have arrived in the South since the Korean War, according to South Korea's Unification Ministry. Relations between the two countries have been tense since South Korean President Lee Myung-bak's conservative government took office in February, pledging to get tough with Pyongyang.
朝鮮戦争終結以来、脱北者14,300名以上
韓国の南北統一省の調べによると、朝鮮戦争終結以来韓国へ亡命した北朝鮮脱北者の総数は、14,300名以上にのぼっている。韓国では、平壌政府に対して厳しい姿勢で臨むと公約していた、保守親米派の李明博大統領が今年2月に政権について以来、南北両国間の関係は緊張が高まっている。
5. 'Confrontational racket'
The two sides had no official contact until a military meeting earlier this month, and 20-minute talks were held Monday at the border. Earlier this month, Gen. Kim Tae-young, chairman of South Korea's Joint Chiefs of Staff, told a parliamentary committee that his military was prepared to attack suspected nuclear sites in North Korea if the communist country attempts to use its atomic weapons on the South.
20分間の板門店南北軍事会談
今月初めに両国軍部高官が、38度線上の板門店でわずか20分の会談を持つまで、南北両サイドの公式会談は皆無だったと言っていい。また今月早々に、韓国三軍の統合総司令官である金大楊将軍は「万一北朝鮮が韓国に向かって核兵器を使用する計画がある場合には、韓国軍は北朝鮮にある核施設をただちに (ミサイル) 攻撃する用意ができている」と、韓国国会の軍事委員会で発言し注目された。
6. Against South's pre-emptive strike
Meanwhile, North Korea warned it would turn South Korea into "debris" and break off all relations if Seoul does not halt "confrontational" activities against the communist country. The North threatened to cut off all ties if the "confrontational racket" continues, citing a South Korean general's remarks about a pre-emptive strike.
韓国の先制攻撃に対抗姿勢
こうした両国間の緊張が高まる一方で、北朝鮮は「万一韓国がわが共産主義国家に対して挑戦的な行動を止めない場合には、我が国は韓国を『灰塵に帰し』すべての外交関係を遮断するつもりである」と警告を発した。また韓国の総司令官が発した「先制攻撃」の発言に対しては、「挑発的な雑音を続けるならば、北は (6カ国協議も含めた) すべての外交関係を廃棄する」と威嚇した。
7. Threat to turn S. Korea into debris
The defense minister commented about Kim Jong Il's health and propaganda leafleting by activists. "The puppet authorities had better remember that the advanced pre-emptive strike of our own style will reduce everything opposed to the nation and reunification to debris, not just setting them on fire," the North's military said in a statement carried by the state-run Korean Central News Agency.
韓国へ核攻撃の威嚇
この発言の際に北の防衛長官は、金正日総書記の健康状態と、韓国側の統一運動のプロパガンダ用チラシに関してもふれた。「米国の傀儡である韓国の政権は、我が国独自の先制攻撃方式ならば、敵対国家のすべてを炎上させるだけでなく、灰塵に帰することができる近代兵器だということを、肝に銘じた方が良い」北の軍部総司令官はの発言は、国営メディアの朝鮮中央新報によって報道された。
8. Kim's current via Korean spy agency
Also Tuesday, South Korea's spy chief told lawmakers that North Korean leader Kim Jong Il — though "not physically perfect" — appears to be recovering and is running the country without difficulty. South Korean and U.S. officials say North Korea's autocratic 66-year-old leader suffered a stroke, reportedly in mid-August. North Korea denies he is ill.
韓国諜報による金正日の近況
28日火曜にはまた韓国の諜報部局長が、国会の諜報委員会で北朝鮮の金正日総書記の近況について報告したが「身体的に完全な状況ではない」と述べた。諜報情報によると、金総書記は回復の途上にあるものの、国家を指揮する上では何ら差し障りないようであると結論づけた。これまで韓国と米国の両政府は、報告によると今年66歳になる北朝鮮の独裁者が8月中旬に脳溢血を患った、という諜報情報を信頼していた。しかし北朝鮮側では、金総書記が病床にあった事実を否定している。
9. General 'Kim remained in control'
National Intelligence Service chief Kim Sung-ho made the remarks during a closed-door session with a parliamentary committee, according to Rep. Park Young-sun of the opposition Democratic Party. Later, South Korean Defense Minister Lee Sang-hee told a news conference in Washington that both the U.S. and South Korea believed Kim Jong Il remained in control, adding, "If we show him too much attention, then we might spoil him."
韓国防衛相「金正日の指導力継続」
国会の軍備委員会のメンバーを召集して非公開で開かれた緊急会議の席上、韓国諜報部 NISの金長官から以上のような諜報情報がもたらされたと、出席者のひとりで野党民主党の朴ヤンスン議員は伝えている。また現在米国側との会議のため訪米中の李楊孫防衛相が、ワシントンの記者会見で語った内容では、米国と韓国の両国とも「金正日総書記は北朝鮮政府の指令権限をいまだに把握している」と見ており、「われわれが金の去就にあまりにも注意を向け過ぎると、彼を甘やかす結果を招くだろう」という忠告を補足した。
[注:この段落の行間に、現在米国と韓国が北朝鮮に対処する方策を「共同で」練っている体勢が浮かび上がっている。韓国の防衛相が現時点でなぜ米国にいるのか? 答えはひとつ、彼の発言とは裏腹に、米韓ともに「ポスト金正日」の半島の防衛体勢を検討しているのだろう。わたしにはそういう解釈が一番すんなり理解できる。しかし、日本の防衛相が呼ばれていないというのが非常に気にかかる。万一、金が崩御したあとで北の軍部が核を使用して暴発したとしても、日本までには火の粉が降りかからないという前提なのだろうか? それとも韓国とは別個に、日本政府とは駐留米軍の司令官と東京で防衛対策が練られているのだろうか? 日本の記者諸君は、麻生首相の立寄先のカクテルの値段などを詮索するよりも、防衛省のキーパースンが誰と何処で逢って何を話しているのか、という「ポスト金のアジア対策」の進展を追いかけるべきだろう。]
10. PM Aso: 'French doctor went to Beijing'
On Tuesday, Japanese Prime Minister Taro Aso said that Tokyo has information that Kim Jong Il may be in a hospital and a French doctor went to Beijing, perhaps en route to North Korea. "His condition is not so good. However, I don't think he is totally incapable of making decisions," Aso said at the upper house foreign affairs committee. North Korea denies he is ill, but the leader was out of public sight for two months and missed several important anniversary celebrations, sparking speculation about his health.
麻生首相「北京経由で平壌入りの仏人医師」
28日火曜、日本の麻生太郎首相は、日本政府が把握している情報として次のように語った。「金正日総書記は多分入院中なのだろう。その理由は特別な治療を施すためにフランス人の医師が北京へ向かったが、中国を経由して北朝鮮へ入国するためと思われる。彼の容態は、あまり良好ではないようだ。しかしながら、彼は政策に決断を下す程度のことはできる状況だと考えられる。」麻生首相は、参議院の外交問題委員会で、以上のように説明した。
北朝鮮政府自体は、金が病床にあることを否定しているが、北の独裁者が公けの席から姿を消してからすでに2か月も経過しており、特に建国60周年記念式典の重要なパレードに欠席したことなどから、健康状態をいぶかる疑惑の噂に火がついたのも事実である。 [了]
【 米国時間 2008年10月26日 『米流時評』ysbee 訳 】
»» 次号「号外!パキスタン西部ケッタ地方大地震で数百名死亡」へ
»» 前号「号外!イラクの米軍ヘリがシリア領空侵犯!空爆で8名死亡」へ(未掲載)
«« 前々号「テロ戦争最前線 後編・タリバン殲滅まであと半年」へ
記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/8840537
TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/8840537
__________________________________________________________________
いつもご愛読いただきまして大変ありがとうございます。クリックでの応援に感謝申し上げます!
4〜7位を行ったり来たり。クリックで応援をよろしく!
「ブログ村」の国際政治部門では、おかげさまで1〜2位です!
ニュース部門でトップです。みなさまのクリック、ありがとうございます!
テクノラティはお気に入りブログの更新内容が一覧できて大変便利
第1章 ウォール街金融危機
9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?
第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル
第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)
第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)