スクープ!ムンバイ生残り犯人が自白したテロの全貌
||| ムンバイテロ犯人の自白調書初公開 |||
米国時間 2008年12月13日 | AP通信・ムンバイ支局発 | 訳『米流時評』ysbee
先月末のムンバイ同時多発テロ襲撃事件で、ただ一人の生き残り犯人として拘留中のテロリストは、逮捕後警察側の厳しい取り調べで事件に関する新しい事実を連日自白しているが、当初計画を立てていたテロの筋書きでは、人質を取り立てこもってメディアを介してテロ組織の要求を発表する予定だったと供述している。この供述内容は、13日土曜の段階でAP通信の事件担当記者がスクープ入手した犯人自身の供述書のコピーによるものである。
トップ写真:10人のテロリストのうち リーダーと唯一の生き残り犯人が襲撃した、ムンバイの鉄道ターミナル駅
下:事件から2週間経った広場、右にタージホテル、左にインド門というムンバイの2大名所が静かに向かい合う
Seven-page statement offers chilling details of the deadly three-day siege
DECEMBER 13, 2008 | Association Press — BREAKING | Translation by ysbee
MUMBAI, India — The gunman captured in last month's Mumbai attacks told police he had originally intended to seize hostages and call the media to make demands, according to his confession statement obtained Saturday by The Associated Press.
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DECEMBER 13, 2008 | 『米 流 時 評』 | 時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年12月13日号
A s s o c i a t e d P r e s s | B R E A K I N G
AP通信のスクープ! 全7ページのムンバイ犯人供述書初公開
米国時間 2008年12月13日午後1時14分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
1. Kasab, the lone survived terrorists
Mohammed Ajmal Kasab said he and his partner, who assaulted the city's main train station, had planned a rooftop standoff, but they couldn't find access to a roof, the statement said. The two killed dozens of people inside the station, but it's unclear if they ever held hostages.
唯一の生き残り犯人カサブ
10人のテロ攻撃犯人の中で唯一生き残った、21才のモハメッド・アジマル・カサブは、彼の相棒だった襲撃グループのリーダーと共に、ムンバイの交通機関の要であるターミナル駅を襲撃。当初の予定では、歴史的な駅の建物の屋上に上がって占拠を続ける予定だったが、屋上へ通じる入口が見つからず断念したと、供述書の中で述べている。ふたりは、駅構内の中央コンコースにいた一般の利用客に向けて機関銃を掃射。その結果、駅の現場だけで46名が亡くなったが、その時点で人質をとったかどうかは明らかにされていない。
2. Assault initially set for Sept. 27
He said the assault, which started Nov. 26, was initially set for Sept. 27, though he doesn't explain why it was delayed. The gunmen had been told by their handlers to carry out the attacks during rush hours when the station is teeming with commuters. After reaching Mumbai, Kasab and his partner, Ismail Khan, the group's ringleader, headed to the train station by taxi.
当初は9月27日予定だったテロ攻撃
カサブの供述によると、11月26日に実行された同時テロ襲撃は、本来は9月27日に予定されていたものだったと自白しているが、どういう理由で延期されたのかまでは語っていない。
10人の選ばれた特命のテロリストたちのうちカサブとカーンの二人は、通勤客でごった返すムンバイ駅のラッシュアワーを狙って襲撃を実行に移すよう、彼らの指令者であるテロ組織ラシュカレタイバのトップから、テロ決行の使命を受けた。実際には、カサブの相棒イスマイル・カーンはムンバイテロ襲撃グループのリーダーでもあったが、ムンバイの港に密航するために略奪したボートで到着した後、二人はタクシーで夕刻のラッシュアワーで混雑するムンバイ駅へと向かった。
3. Mumbai Terminal terror plot
"Ismail and myself went to the common toilet, took out the weapons from our sacks, loaded them, came out of toilet and started firing indiscriminately toward the passengers," Kasab told police. As a police officer opened fire, the two militants retaliated with grenades before entering another part of the station and randomly shooting more commuters.
ムンバイのターミナル駅襲撃計画
「イスマイルと私自身は、駅に着くなり公衆トイレへ直行して、そこでバックパックから武器を取り出し弾丸を装填した。そしてトイレからコンコースに出て、駅の中にいた乗客に向かって手当り次第に銃撃を浴びせた」カサブは警察の取調べ担当官に、駅での襲撃の手順をこう供述している。
彼らが機関銃の乱射を開始した時点で、駅の構内にいた警官のひとりが拳銃で彼らに向かって発砲したが、テロリスト二人はその警官に対して手榴弾を投げつけて応戦。そのあと駅のもう一方のウィングへ向かい、そこでもまた居合わせた通勤客に向かって、無差別に機関銃を乱射し続けた。
4. Call Chacha, Lashkar mastermind Lakhvi
The men then searched for a building with a rooftop where they had been told to hold hostages and call a contact named Chacha, whom Kasab identified as Zaki-ur-Rehman Lakhvi, the suspected mastermind behind the attacks. Chacha, which means "uncle" in Hindi.
テロ首謀者はラシュカールのチャチャ
そのあと二人は、駅舎の屋上へ上がる入口を探した。それは、彼らの指令者から人質をとって駅の屋上へ上がるようにと指示されていたからだと告白している。そのあとふたりは、組織間のコードネームで「チャチャ」と呼ばれる直接の指令者であり、この一連のテロ襲撃計画を指示した陰の首謀者と見られるザキウル・レーマン・ラクヴィに、携帯で報告を入れた。「チャチャ」とは、ヒンドゥ語で「おじさん/親父」という意味である。(ちなみにスパイ組織やテロ組織では、同志を「Brother/兄弟」、直接の指令者を「Uncle/おじさん」と呼ぶ場合が多く、各種スパイ小説や映画でもおなじみの通例である。)
5. Stormed into a hospital for hostages
Lakhvi would supply phone numbers for media outlets and specify what demands the two should make. "This was the general strategy decided by our trainers," Kasab said. After failing to find a "suitable building," however, the two men instead stormed a hospital where they looked for hostages and exchanged more gunfire with police, he said.
人質をとるため病院を襲撃
ラクヴィは二人に対してメディア各社の電話番号を教え、メディアに対して伝えるべきテロ組織からの特定の要求内容を、電話を介して伝えるはずだったとカサブは自白している。「以上(人質を取り、メディアを介してテロ組織の要求を宣言)が、われわれを訓練した指導者が決定した襲撃計画の基本戦略だ」カサブは今回のテロ襲撃の目標を、こう明らかにした。
しかしながら、人質をとって屋上に昇るという本来の目的が(駅の屋上への入口が見つからず)成就できなかったため、二人は駅をあとにしパトカーを奪って逃走。駅で実現しなかった人質をとるために病院へ押し入って、そこでもまた警備の警官と銃撃戦を交わした、と供述している。
6. Special training as terrorists
Kasab, 21, confirmed he was Pakistani national and said he was trained by Lashkar-e-Taiba, the terrorist group banned by Pakistan in 2002 and blamed by India in the attacks. He said he was given lectures on India security and intelligence agencies, as well as instruction in how to evade pursuing security forces.
ラシュカールのキャンプでテロリスト特訓
唯一の生き残り犯人、カサブの年齢は21才で、パキスタン国籍であることが確認された。彼は、2002年にテログループとしてパキスタン政府から違法の犯罪組織に認定され、インド政府が今回のムンバイテロの実行組織と指摘する「ラシュカレタイバ (ラシュカリタイバ)=ラシュカール」によって、1年以上にわたってテロリストとしての特訓を受けた、と自白している。
またその特訓の中では、インドの治安警備体制や諜報組織についても講釈を受け、攻撃目標の施設を警備している警察やセキュリティの警護体制をどうやって突破し侵入するかという、具体的方法のインストラクションも受けていたとも供述している。
7. Asking legal aid from Pakistani consulate
Police said Saturday that Kasab has also written to Pakistani officials to request legal help. In a letter written Thursday, he asks for "legal aid" from the Pakistani consulate and to meet with a consular representative, said Rakesh Maria, Mumbai's chief investigator.
パキスタン領事に法的援助を求めた犯人
ムンバイ警察の捜査陣が13日土曜に行った記者会見では、カサブは(被告となった立場に該当するパキスタン国民としての)「合法的援助」を要求して、パキスタン政府高官に宛てて手紙を書いた事実が明らかにされた。この手紙は11日木曜に書かれたもので、その中でカサブはムンバイ駐在のパキスタン領事に宛てて「法的幇助」を懇願し、領事館の代表者と会見したいと伝えた内容が、ムンバイ警察捜査当局のラケシ・マリア捜査主任から、記者会見で発表された。
8. Mumbai attorneys refused to defend
The letter was forwarded to India's government to relay to Pakistani officials, but it was unclear whether it had been delivered, Maria said. Pakistani officials were not immediately available for comment. A number of Indian lawyers — including a prominent group of Mumbai attorneys — have refused to defend Kasab against criminal charges amid outrage over the attacks.
カサブを擁護する弁護士見つからず
この法的擁護を求めたカサブの手紙は、ムンバイ駐在の外交官へ手渡すためにインド政府へ送られたが、ムンバイ駐在のパキスタン領事館へ届けられたかどうかまでは不明であると、捜査主任は明らかにした。また、パキスタン高官サイドからも(週末でもあり)迅速な回答は得られなかった。
また地元ムンバイの弁護士協会メンバーも含めたインド人弁護士たちの大半は、今回のムンバイテロ事件に対するインド国民の憤りが余りにも強い状況から、テロ犯罪を裁く法廷でカサブを被告として弁護することを拒否している。
9. Islamabad required further evidences
Kasab is being held on 12 offenses, including murder and waging war against the country, but has not yet been formally charged. Islamabad has refused to acknowledge Kasab's nationality, complaining that India has yet to furnish any evidence.
さらなる証拠を要求するパキスタン政府
検察側がカサブに対して挙げる12の罪状の中には、現行犯としての「殺人罪」から「国家に対する戦争謀議罪」まで列挙されているが、現在はまだ容疑者として逮捕拘禁の身柄で、正式に告訴された訳ではない。一方、首都イスラマバードのパキスタン政府側では、「インド政府はまだ、カサブがパキスタン国民であると断定するに足る確固とした証拠を提示していない」と理由づけて、パキスタン国民としてのカサブの属性認証を拒否している。 <了>
【 米国時間 2008年12月13日 『米流時評』ysbee訳 】
【追記】アフガンとの国境に近いワジリスタンやバルチスタンの辺境自治州は、産業もなく痩せた山岳地帯で、中央政府に見放されたパキスタン国内でも最も貧しい地域。唯一の食い扶持は、アヘンや大麻などの麻薬栽培とテロ活動の請け負い。
警察も無力でまったく統制力のない、辺境自治区のこうした権力の真空地帯を狙って、アルカイダやタリバンなどのテロ組織が着々と根を降ろす。前途に希望を持てない若者がテロ組織に走るのを食い止めるには、地域ぐるみの産業振興と教育の徹底以外にない。少なくとも、テロ戦争の名目で戦費に費やす数十兆円の膨大な予算を、こうした地域の振興助成費や教育・福祉医療費に充てるならば、テロ戦争の根本的な解決につながるはずである。
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| 2008-12-13 20:24
| インド・ムンバイテロ