オバマの戦争と平和・テロ戦争とロシアのUターン

||| オバマとロシアの テロ戦争と平和 |||


どういうことかという詳細はこの次のエントリー記事でお読みいただくが、端的に平たく言うと、「アフガンはロシアにまかせろ」と切り出したのだ。

骨の髄まで懲りているはずのロシアが、なぜまたアフガニスタンへ出かけて、米軍の代行としてこの地の平定を買って出ようとするのだろうか?

▶ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り 『米流時評』2007年6月10日号 再掲出


防衛に関しては、以前から主張してきたイラク駐留米軍撤退案を推進し、来年中にはほとんど全ての部分でイラク自衛軍が国家治安を担当する。先月末に実施された新生イラクとして2度目の総選挙も、投票率も高く国民の支持を得て、米軍撤退も思惑通りに進行するような兆しが見えてきた。

肝心のペンタゴンは、ブッシュ時代と同じロバート・ゲイツ長官が居残ったままなので、外交政策ほどの大転換は、まだ戦略上の方針転換としては現れてきていない。ただブッシュ時代のような、やみくもな軍備拡張や戦線拡大に走らないことだけは確かだろう。なにしろイラク戦争とテロ戦争終結は、オバマの選挙戦で最たる公約のひとつだったのだから。戦費をカットできれば、財政の穴が少しは縮まる。戦線縮小による米軍撤退は、財政立て直しの鍵でもある。

ブッシュ政権下では、彼のパトロンである軍需産業に貢献するための兵器と関連産業の「消費」が主目的だった。テロ戦争は、ネオコンの御用産業である警備代行のブラックウォーターから死体処理ビジネスのKenyonにいたるまで、Bush Co.と呼ばれる軍需産業ネットの完璧なフローワークで、巨額の利益を国庫から無尽蔵に吸い尽くす「ウォーマシン」と化していた。
▶ユーラシア大連邦と第三次世界大戦の兆候 米流時評 2007年10月16日号 再掲出

3. アルメニア人虐殺とトルコのイラククルド地区侵攻/4. 国連安保理でカダフィのリビアが理事国
5. 世界同時多発のグローバルウォー

オバマの主眼は、米国の覇権ではない。
外部からは想像もつかないほど腐敗したワシントンの国政と破局一歩手前の財政を立て直す政策・議案が、一刻を争って成立し実施されなければ、アメリカが立ち直るチャンスはない。そこまで追い詰められているのだ。

アメリカの政治家は、ローマ帝国や、大英帝国や、ソ連の膨張策の結末に待っていた巨大なる転落を忘れたわけではないだろう。その陥穽は、いつも戦争だ。

「アフガンはまかせろ」

だが、オバマが合衆国統一のかすがいとして取り込んだ保守中道の国民の大半は、ロシアへのアフガン戦線委譲はアメリカに負け犬の烙印を押すことになると受け止め、反対するだろう。彼らには「負けるが勝ち」という美学はない。キリスト教徒に仏教の諦観は通用しないのだ。

【 米国時間 2009年2月3日『米流時評』ysbee 】

▶次号後編「メドベージェフ vs オバマ/ロシアのアフガン回帰」
〜メドベージェフ大統領、オバマ新政権に中央アジア防衛上の全面的協力を申し出
1. ユーラシア防衛で米国に全面的協力 /2. ロシアからキルギスへ20億ドルの国債 /3. 米軍のテロ戦争アフガン戦線を代行 /4. 全面的協力の見返りは何か? /5. パキスタン補給ルート代行のロジスティックス /6. 米国の東欧MDS計画に鉄槌 /7. 「民主主義に強制はない」/8. オバマ新政権への変化球 /9. 旧ソ連盟邦国との結束強化
▶予告「エルドアンの直言/ガザ侵攻のイスラエルを堂々糾弾・独占会見」


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米流時評 特集 ||| オバマの時代 |||
第1章 オバマ時代開幕 Road to White House

▶11/01(1)世界が待ち望む オバマ時代の夜明け
▶11/02(2)世界危機に挑戦する 21世紀のニューリーダー
▶11/04(3)アメリカの再生を賭けた明日へのカウントダウン
▶11/07(4)オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」
▶11/13(5)オバマの初仕事・ホワイトハウスの組閣人事
▶11/14(6)オバマ紳士録・後編 クリントンが国務長官?
▶11/16(7)オバマのチャイナフリーFDA改革・禁中国汚染食品!
▶12/08(8)ウォール街復活? オバマのNewニューディール効果
第2章 オバマの百日革命 Revolutionary Road
▶1/19(1)勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり
▶1/23(2)ブッシュとオバマ/スーパーマンの仕事始め
▶1/24(3)カストロとオバマ/キューバとアメリカの新しい海峡
▶1/25(4)旧体制とオバマ/レボルーショナリーロード

▶1/27(5)中東とオバマ/カウボーイ外交からピース外交へ
▶1/28(6)アラブとオバマ/アルアラビアTVインタビュー対訳
▶2/01(7)金正日とオバマ/狼少年の歓迎のテポドン
▶2/03(8)テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧MD計画
▶2/04(9)メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン
▶2/05(10)アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋
▶2/06(11)パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略
▶2/07(12)アルカイダとオバマ/パキスタン ISIのCHANGE
▶2/08(13)ビンラディンとブッシュ/テロ戦争内幕の危険な関係
▶2/09(14)イスラエルとオバマ/タカ派三つ巴のイスラエル総選挙
▶2/10(15)ネタニヤフとオバマ/イスラエルの2月体制
▶2/11(16)アフマディネジャドとオバマ/テヘランの春
▶2/12(17)IAEAとオバマ/イラン核外交のCHANGE
▶2/13(18)パレスチナとオバマ/絶望と希望のはざまで
||| 『米流時評』 特集シリーズ |||
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by ysbee-2
| 2009-02-03 13:12
| ユーラシアの回廊