アフガンとオバマ/タリバンの復活とパキスタン戦線

||| カブール同時多発テロ事件・後編 |||



この予算付けによって、当然受注業者のビジネスと失業者対策への一挙両得の活性化が見越せる。単純に解釈すればそれが活性化案の本命である。当然、根幹企業の周辺産業も活性化する。イラク戦争を断絶することによって、毎年ドブに捨ててきたような戦費が数十億ドルずつ国内予算へ回せるという算段である。

その前にこのカブール同時多発テロ事件、その翌日に起きたバグダッドの同時多発自爆テロ事件、さらにはニューヨークのバッファロー空港近くで起きた旅客機墜落事故、ロンドンの旅客機不時着事故………いやはやちょっと主立った事件を挙げただけでも、1日に何本もエントリを立てなければ追いつかない。昨日は野暮用で丸一日つぶれてしまったので、超特急で記事を翻訳してお届けします。(前書きなぞ書いてるバヤイではないぞよ)
【米国時間2009年2月13日『米流時評』ysbee】
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FEBRUARY 12, 2009 | 『米 流 時 評』 | 時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2009年2月12日号

Associated Press | B R E A K I N G
オバマ新政権の軍事外交政策の焦点、アフガン戦線へ米軍派兵倍増で6万駐屯
米国時間 2009年2月11日午前11時41分 | ロイター通信・アフガン支局発 | 訳『米流時評』ysbee

Terror attacks on Kabul government underline the most dangerous zone
FEBRUARY 11, 2008 | REUTERS — BREAKING | Translation by ysbee
He faces a host of problems, from trying to ensure Pakistan battles the insurgents, encouraging the Afghan government to crack down on corruption and the drugs trade, to trying to ease age-old tensions between India and Pakistan.
叛徒制圧・汚職追放・カシミール紛争
前号「タリバンとオバマ/首都カブール同時多発テロ攻撃事件発生!」からの続き
アフガニスタン・カブール発 |オバマ政権での新しいアフガン・パキスタン特使、リチャード・ホルブルックは、数々の問題を抱えた大変な地域を受け持つことになる。
一例を挙げれば、パキスタン政府にはタリバン掃討に本腰を入れるようハッパをかけることとか、アフガン政府には汚職腐敗や麻薬取引の追放を叱咤激励するとか、さらには、インドとパキスタンとの間で (特にカシミール地方の帰属をめぐって) 長年わだかまっている敵意を和ませるよう奔走することとか、数え上げればきりがない。

The surge of U. S. troops in Afganistan is an attempt to stem the insurgent influence there that spills over into attacks and lawlessness inside Kabul itself. The commander of U.S. forces there warned of an increase in violence as his troops begin to patrol the area. A French officer and his Afghan translator were killed in an ambush in Logar on Wednesday, while four Afghan soldiers were killed elsewhere in the province by a roadside bomb.
NATO軍将校とアフガン通訳爆死
アフガニスタン駐留の米軍の増兵 (Surge/サージ) に関しては、辺境でのイスラム強硬派ゲリラの襲撃の影響が大きいと言える。その目的としては、自爆テロなどのテロ攻撃の発生を防ぐ治安警備と同時に、カブールの中央政府自身の内部腐敗や(麻薬密売などの)無法行為を摘み取る摘発作戦が主眼である。しかしながら米軍の現地司令官は、彼の部隊が各地域で治安パトロールを開始したのと同時に、逆にテロ攻撃も急増したと警告している。
その説を裏付けるかのように、11日水曜にはNATO軍所属のフランス軍将校がロガール地方でテロリストの一団の襲撃に遭い、アフガン人の通訳とともに殺されたし、アフガン政府軍の兵士はこの地方のあちこちで IED (道路埋込型遠隔操作爆弾) にやられ、4名が別個の場所で亡くなっている。

While the nearly 70,000 foreign troops now operating inside Afghanistan insist they are making progress toward security, the wave of Taliban suicide attacks, more than 150 last year alone, only increases the sense of insecurity felt by most Afghans.
昨年だけでタリバンの自爆テロ150件以上
アフガニスタンでは今や、米軍・NATO軍あわせておよそ7万名近い外国の軍隊が活動を展開し、軍部側の発表では治安状態は進歩が見られたと自画自賛しているが、実際にはタリバンの自爆テロの波状攻撃はますます頻繁になり、昨年だけで150件以上のテロ爆破事件が起きている。したがって、一般のアフガン市民から見ると、治安状況はひたすら悪化の一途をたどっていると言わざるをえない。

"The security is worsening, that is for sure. When the Taliban attack a ministry in the capital with explosives and weapons, they can do anything," said Mohammad Ziah, a phone card seller. On top of that, official corruption, slow economic progress, lack of rule of law and the mistaken killing of scores of civilians by foreign troops is further sapping faith in the ability of the Afghan government, as well as its Western backers.
汚職・政治腐敗・経済停滞・米軍誤爆 . . . .
「治安はたしかに悪くなっていることは事実だ。爆薬や武器で完全武装したタリバンが、首都の中央政府のビルを襲撃するなんて芸当ができるんだから、あいつらは何だってやれるさ」こう言うのは、フォーンカードの売人をするモハンマド・ジアーさんである。
こういった不穏な社会情勢に加えて、政府役人の汚職腐敗、経済停滞、無法状態があり、さらには外国軍隊の誤射や誤爆などで一般のアフガン市民が犠牲になる事件が頻発するに及んで、アフガン現政権の統治能力に対する信頼感は地に堕ちた。同様に、キリスト教国である欧米各国に対する信頼も消え去った。

The hope of people — deserved to bring an end to nearly 30 years of war — was dissappeared. "If it took 30 years to destroy this country, it might take 100 years to rebuild it," Halim Fidai, the governor of Wardak province, told a news conference in Logar province.
「国家破壊に30年なら再建には100年以上」
アフガンのひとびとが望んでいた希望……30年近く続いた戦争に、終止符を打つこと。その夢はとうに消えた。
「もしこの国を壊すのに30年かかったなら、元通りに再建するには100年かかるだろう」
ワルダック州のハリム・フィダイ知事は、ローガン州での記者会見でこう語った。

As Washington prepares to send more troops to Afghanistan, most of them to the south to try to break a military stalemate there. NATO is faced with having to diversify its supply routes to the landlocked country after a series of attacks on convoys coming through Pakistan.
パキスタン経由の補給路をタリバン襲撃
ワシントンの米国政府がアフガニスタンへの派兵を倍増しようとしているが、配属される部隊のほとんどは、タリバンとの膠着 (こうちゃく) 状態が続いている現況を打破するために、パキスタンとの国境に近いアフガン南部の州へ送り込まれる予定である。
一方NATO軍の方では、パキスタンの軍港から陸揚げされた軍用物資を輸送するトラック部隊が、カイバー峠を通るルートで最近立て続けに襲撃を受けたあとでもあり、海岸線を持たない内陸国のアフガニスタンへの代行輸送ルートを探さなくてはいけない局面に直面している。

Russia could offer military aircraft to help supply NATO in Afghanistan, Moscow's Foreign Minister Sergei Lavrov said. The Kremlin views Afghanistan as an area where Russian interests coincide with those of the United States, despite fierce disagreements on other issues.
NATOアフガン軍の空路補給をロシアが提供?
モスクワのロシア政府のセルゲイ・ラブロフ外相は、アフガン駐留のNATO軍への物資補給を援助するためなら、ロシアが軍用機を飛ばして補給を代行してもいいと申し出をした。他の懸案ならいざ知らず、ことアフガンに関しては、テロ組織撲滅という目標で米国と利害が一致する地域と看做しているかららしい。

The United States uses an airbase in ex-Soviet Kyrgyzstan to help supply its operations in nearby Afghanistan but the Kyrgyz government said last week it was closing the base. Moscow, which has been suspicious of the U.S. military presence near its borders, has denied any link between the closure of the base and Russia's decision to give Kyrgyzstan a $2 billion loan package.
キルギスタン米空軍基地閉鎖問題
米国は、アフガニスタンでの作戦に対する物資補給には、旧ソビエト連邦の盟邦国のひとつであるキルギスタンの米空軍基地を従来使用してきた。しかし先週キルギスタン政府は、首都ビシュケク郊外のマナス基地を閉鎖すると言い出した。その陰には、ロシアが自国と国境を接するキルギスタンでの米軍の存在を疑問視しているという事情もあった。
もっともロシア政府は、キルギスタンに対してロシアから20億ドルの借款を貸与する決断を下した事実と、キルギスタンが米軍の基地使用を断ったこととは、何の関係もないと否定はしているが。
<了>
【 米国時間 2009年2月12日 『米流時評』ysbee訳 】

▶次号「クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談」
▶予告「アメリカの大いなる脱出・超大型活性化予算ついに可決!」


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米流時評 特集 ||| オバマの時代 |||
第1章 オバマ時代開幕 Road to White House
▶11/01(1)世界が待ち望む オバマ時代の夜明け

▶11/02(2)世界危機に挑戦する 21世紀のニューリーダー
▶11/04(3)アメリカの再生を賭けた明日へのカウントダウン
▶11/07(4)オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」
▶11/13(5)オバマの初仕事・ホワイトハウスの組閣人事
▶11/14(6)オバマ紳士録・後編 クリントンが国務長官?
▶11/16(7)オバマのチャイナフリーFDA改革・禁中国汚染食品!
▶12/08(8)ウォール街復活? オバマのNewニューディール効果
第2章 オバマの百日革命 Revolutionary Road
▶1/19(1)勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり
▶1/23(2)ブッシュとオバマ/スーパーマンの仕事始め
▶1/24(3)カストロとオバマ/キューバとアメリカの新しい海峡
▶1/25(4)旧体制とオバマ/レボルーショナリーロード
▶1/27(5)中東とオバマ/カウボーイ外交からピース外交へ
▶1/28(6)アラブとオバマ/アルアラビアTVインタビュー対訳
▶2/01(7)金正日とオバマ/狼少年の歓迎のテポドン
▶2/03(8)テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧MD計画
▶2/04(9)メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン

▶2/05(10)アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋
▶2/06(11)パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略
▶2/07(12)アルカイダとオバマ/パキスタン ISIのCHANGE
▶2/08(13)ビンラディンとブッシュ/テロ戦争内幕の危険な関係
▶2/09(14)イスラエルとオバマ/タカ派三つ巴のイスラエル総選挙
▶2/10(15)ネタニヤフとリブニ/イスラエルの2月体制
▶2/11(16)タリバンとオバマ/首都カブール同時多発テロ攻撃
▶2/12(17)テロ戦争とオバマ/タリバンの復活とパキスタン戦線
▶2/13(18)クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談
▶2/14(19)クリントンと北朝鮮/核と平和のアメとムチ
▶2/15(20)ハマスとイスラエル/絶望と希望のはざまで・ガザ停戦
▶2/16(21)パレスチナとユダヤ/永遠に奪われし土地ガザの悲劇
▶2/17(22)グローバル不況とオバマ/史上最大の活性化予算成立!
▶2/18(23)ニューディール政策とオバマ/米国の21世紀型ルネッサンス
▶2/19(24)カルザイとオバマ/米国のアフガン政策に参画
▶2/20(25)アフマディネジャドとオバマ/テヘランの春
▶2/21(26)IAEAとオバマ/イラン核外交のCHANGE
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