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米流時評

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クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談

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   ||| クリントン長官の日本初訪問 |||

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 ヒラリー・クリントン国務長官、アジア外交旅行第一歩は日本初訪問
 オバマ新政権、日本を最大の味方と重要視、北朝鮮拉致者家族と会談


クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談_d0123476_18552829.gifヒラリー・クリントンの変身には、何度も驚かされてきた。クリントン大統領が最初に立候補した際の健気な応援。しかしアーカンソー州知事夫人と言うよりも、勝気な学生のような歯に衣着せぬ当時の発言は、ある層には「生意気なリベラル」とひんしゅくを買ったのを覚えている。

その後、ホワイトハウスのファーストレディーに収まった後は、夫君の外遊や外交の表舞台で良きホステス役を務め、海外では米国を代表する顔となった。しかし、ビル・クリントンが大統領に再選された2期目に訪れた、クリントン家の土台を揺るがす危機。言わずと知れたモニカ・ルウィンスキー事件である。当時のニュースは、朝から晩までこのスキャンダルの細部まで暴露するのに汲々としていたように思い出す。平和な時代だったのかもしれない。
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醜聞にまみれながらも、一人娘チェルシーのために離婚の道は取らなかった、と後日談で語っていた。人生最大の危機を、アメリカ人には珍しい「耐える妻」の姿勢を通した。ビルが大統領として2期目の任期を終えたのと時期を前後して、今度はヒラリー自身がニューヨーク州の上院議員に立候補し、見事に当選を果たした。90年代からのクリントン夫妻への熱心なファンは、2008年の大統領選に際して、待ってましたと彼女を有力候補にかつぎ上げた。

スタート当初の下馬評では、無名の新人オバマを足下にも寄せ付けないだろう......と言うのが大方の予想だったのだが、オバマは百年にひとりの傑出した政治家だった。ブッシュ政権の嘘と欺瞞で凝り固まった簒奪(さんだつ)政治に辟易(へきえき)していたアメリカ人には、オバマの繰り出す腐敗政治へのストレートパンチは、長いこと待望していたヒーローの、必殺の一撃そのものだった。ご存知の通り、ヒラリー自身は「ナイーブ」と嘲笑した新人に予備選で敗れ、上院へ戻った。
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しかしこの新人は、ヒラリーの政治家としての資産を活用することを忘れなかった。夫妻の運営するクリントン財団が海外でどれだけパワーを発揮しているか、という実力を無視するほど、オバマは政治的に無垢ではなかった。彼の抜擢した人選を見ても、実に良くそれぞれの資質と経歴を見抜いて、最適のポジションへ配置している。チェスで言えば名人級の人事である。

そのオバマは、予備選では宿敵だったヒラリーを、閣僚の中でも副大統領に次いで重職の国務長官に抜擢した。世界のほとんどの国と直接外交交渉のあるアメリカにあって、この任務は実に重い。日本で言えば外務大臣だが、国務省の傘下にはCIAも収まっている。要するに、国家の中枢部分を司る省と言っても過言ではないだろう。
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そのヒラリーが日本を訪れる。外交旅行の振り出しはアジア訪問だが、最初のデスティネーションは東京だ。たしかに、中国へ向かう前の立寄り先に過ぎないと軽視する向きもいる。しかし、13日ニューヨークのアジア・ソサエティでの講演で、彼女はアメリカにとっての日本の重要性をことさら強調した。

外交辞令と言ってしまえばそれまでだが、花よりも実を取るなら、クリントンが日本訪問の際に会談する麻生首相や小沢氏が、どれだけ日本の国民の立場に立って切実に訴えてくれるか。またどれだけ米国側がその要求を真剣に受け止めて、実現に結びつけてくれるか。日本にとってのオバマ政権の外交の真価は、そこから歩き出す。ブッシュ時代の、のれんに腕押しの不甲斐ない外交関係を一蹴する、少しは歯ごたえのある新しい日米関係の時代が訪れることを、少しだけ本気で期待している。
【米国時間2009年2月13日『米流時評』ysbee】

注: トップの写真は、次のエントリで地球温暖化の件が出てくるので、たまたまとっておいたイメージで、特にクリントンが台風だと言っているわけではありません。(言ってるかな?)

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FEBRUARY 13, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月13日号
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   A s s o c i a t e d P r e s s | B R E A K I N G
オバマ新政権、日本を最大の味方と重要視、北朝鮮拉致者家族と会談
米国時間 2009年2月13日午後11時51分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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Clinton: 'Ready to Work with Asian Leaders'
She outlines priorities for Asia trip, including crucial issues in China, Japan
FEBRUARY 13, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
NEW YORK — Secretary of State Hillary Rodham Clinton declared that President Barack Obama's administration is "ready to work with leaders in Asia to resolve the economic crisis that threatens the Pacific as much as any other region, ready to strengthen our historic partnerships and alliances while developing deeper bonds with all nations."

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オバマ政権から国務長官に任命されて早々に、英国のミリバンド外相の表敬訪問を受け共同記者会見をするクリントン

国務長官就任後、初の外交方針演説

ニューヨーク発 |13日金曜ニューヨークで開催された、アジア・ソサエティ主催のフォーラムへ出席したヒラリー・ロッダム・クリントン国務長官は、就任後初の外交方針に関する講演を行なった。
「バラク・オバマ大統領の新しい米国政権は、環太平洋諸国はもとより、世界の他の地域にも波及し脅威を与えている経済危機を解決するために、アジア各国のリーダーとともに尽力する用意ができています。また、わが国が世界の国々と絆を深めて行く上で、歴史をふまえたパートナーシップと友軍関係を、さらに強化する覚悟もできています。」
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ニューヨーク市で開催されたアジアソサエティのフォーラムで初の外交方針をスピーチするクリントン国務長官

2. Speech at New York's Asia Society

Clinton spoke to New York's Asia Society on the eve of a trip to visit China, Indonesia, Japan and South Korea — her first as secretary of state — and noted that their major economies and huge populations will be critical to turning around the global financial crisis.
日本・韓国・中国・インドネシアを歴訪
ヒラリー・クリントンは、国務長官に任命されてから初めての親善旅行となる、中国、インドネシア、日本、韓国を歴訪する「アジア親善の旅」へ今週旅立つ。
彼女はその直前に、米国とアジア諸国の友好親善協会本部である、ニューヨーク市のアジアソサエティで基調講演を行なったが、その中では特に「世界経済のメジャーな担い手であり巨大な人口を抱えるアジア地区は、現在世界が直面しているグローバル規模の財政危機を切り抜ける上で、きわめて肝要な役割をになうだろう」と強調した。
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ホワイトハウスのジョージ・ワシントンルームでオバマ大統領、ジョージ・ミッチェル中東特使と歓談するヒラリー

3. Japan: Reassure as the top U.S. ally

She also sought to reassure Japan, the top U.S. ally in the region, on one of its top concerns, promising to meet with the families of Japanese citizens kidnapped by North Korea in the 1970s and 1980s. "I will assure our allies in Japan that we have not forgotten the families of Japanese citizens abducted by North Korea and I will meet with some of those families in Tokyo next week," she said.
日本:米国最大の味方として再確認
彼女はまた、この地域において日本は米国の最大の味方 (ally=友軍)であると再確認する考え方を強調し、70年代から80年代にかけて北朝鮮によって日本の本土から誘拐拉致された、日本の一般市民被害者の家族と会う約束があることも明らかにした。
「わが国の友好国日本を訪れたら、北朝鮮によって誘拐された日本人の市民の家族を、米国は決して忘れたりはしていないということを、私はあらためてはっきりさせたいと思います。ですから来週(今週)東京で、拉致被害者のご家族の方数人と会う予定です。」
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4. Meet the families of abductees

In a conference call with reporters after her speech, Clinton indicated that she would be taking a stance on the Japanese abduction issue similar to that of former President George W. Bush, who often spoke with emotion of his meeting at the White House with the mother of one of the victims.
北朝鮮拉致問題:被害者家族と直接面談
クリントン長官はフォーラムでの講演を終えた後、外部の記者とコンファランスコール(ネット会談)の時間を持ったが、その中で日本の拉致被害者問題に対する姿勢を説明し、ジョージ・ブッシュ前大統領と同じような立場を取ると自らを位置づけた。ちなみにブッシュ前大統領は、過去に拉致被害者の母親のひとりとホワイトハウスで面会した際に、個人的には非常に感情を動かされたとしばしば語っていた。(しかし、公的な動きは一切取らなかったのも事実である。)
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5. 'Cannot imagine what it must feel like'

"I don't know that I'll be meeting as a secretary of state, any more than I will be meeting with them as a wife, a mother, a daughter, a sister," Clinton said. "I cannot imagine what it must feel like to have lost family members and, for so many years, never to have heard anything about them or from them," she said.
「家族として想像に余りある悲しみ」
「家族の方々にお会いするときは、国務長官として逢うのか、それとも母親のひとりとして、あるいは娘や姉妹の立場がわかる一個人として逢うのか、わかりません。」(役職を忘れた一個人としての対話になるかも、という示唆)
「家族の一員を失ったまま、何の音沙汰もなく何の情報も得られないまま、こんなにも長い年月を過ごすのがどんなに悲痛なことか、想像に余りあります。」
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6. Continue to press NK for immediate address

"It's important that their plight not be forgotten. I attach great importance to the abduction issue." Clinton pledged to continue to press North Korea to immediately address Japan's concerns and to honor a previous commitment to provide more information to Japanese families. "They deserve it," she said.
「北朝鮮は日本へ即刻現状報告を」
「彼らの切実な願いを忘れないことが大事です。拉致被害者の問題 (abduction issue) については、きわめて重要性があると重きをおいています。」
クリントン長官は日本側の懸案に対して、速やかに声明を出すよう、また被害者の家族へより詳細な情報を伝えるというこれまでの姿勢を尊重して、北朝鮮に対して圧力をかけることを約束した。
「家族の方々は、切実にそう願っているはずですから。」クリントン長官は拉致問題へ対処する姿勢を以上のように語った。 <了>

【 米国時間 2009年2月13日 『米流時評』ysbee訳 】
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◀前号「テロ戦争とオバマ/タリバンの復活とパキスタン戦線」
▶次号「クリントンと金正日/核と平和のアメとムチ」
▶予告「アメリカの大いなる脱出・超大型活性化予算ついに可決!」
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クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談_d0123476_16472783.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/9342696
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米流時評 特集 ||| オバマの時代 |||
第1章 オバマ時代開幕 Road to White House
▶11/01(1)世界が待ち望む オバマ時代の夜明けクリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談_d0123476_19284774.jpg
▶11/02(2)世界危機に挑戦する 21世紀のニューリーダー
▶11/04(3)アメリカの再生を賭けた明日へのカウントダウン
▶11/07(4)オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」
▶11/13(5)オバマの初仕事・ホワイトハウスの組閣人事
▶11/14(6)オバマ紳士録・後編 クリントンが国務長官?
▶11/16(7)オバマのチャイナフリーFDA改革・禁中国汚染食品!
▶12/08(8)ウォール街復活? オバマのNewニューディール効果


第2章 オバマの百日革命 Revolutionary Road
▶1/19(1)勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり
▶1/23(2)ブッシュとオバマ/スーパーマンの仕事始め
▶1/24(3)カストロとオバマ/キューバとアメリカの新しい海峡
▶1/25(4)旧体制とオバマ/レボルーショナリーロード
▶1/27(5)中東とオバマ/カウボーイ外交からピース外交へ
▶1/28(6)アラブとオバマ/アルアラビアTVインタビュー対訳
▶2/01(7)金正日とオバマ/狼少年の歓迎のテポドン
▶2/03(8)テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧MD計画
▶2/04(9)メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタンクリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談_d0123476_1936736.jpg
▶2/05(10)アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋
▶2/06(11)パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略
▶2/07(12)アルカイダとオバマ/パキスタン ISIのCHANGE
▶2/08(13)ビンラディンとブッシュ/テロ戦争内幕の危険な関係
▶2/09(14)イスラエルとオバマ/タカ派三つ巴のイスラエル総選挙
▶2/10(15)ネタニヤフとリブニ/イスラエルの2月体制
▶2/11(16)タリバンとオバマ/首都カブール同時多発テロ攻撃
▶2/12(17)テロ戦争とオバマ/タリバンの復活とパキスタン戦線
▶2/13(18)クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談
▶2/14(19)クリントンと北朝鮮/核と平和のアメとムチ
▶2/15(20)ハマスとイスラエル/絶望と希望のはざまで・ガザ停戦
▶2/16(21)パレスチナとユダヤ/永遠に奪われし土地ガザの悲劇
▶2/17(22)グローバル不況とオバマ/史上最大の活性化予算成立!
▶2/18(23)ニューディール政策とオバマ/米国の21世紀型ルネッサンス
▶2/19(24)カルザイとオバマ/米国のアフガン政策に参画
▶2/20(25)アフマディネジャドとオバマ/テヘランの春
▶2/21(26)IAEAとオバマ/イラン核外交のCHANGE


||| 『米流時評』 特集シリーズ |||
次世代冷戦時代  |  グローバルウォー  |  イラク戦争  | テロとスパイ陰謀クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談_d0123476_1746245.jpg
アルカイダ2.0 核のテロ | パキスタン戒厳令の季節  |  アフガン・タリバンの復活
中東のパワーラビリンス | プーチンのロシア | ユーラシアの回廊 | ダイハード中国
2008年米大統領選 | ブッシュと米国政治 | サルコジのフランス | トンデモ北朝鮮
ビルマの赤い川革命 |  欧米の見る日本  | 世界不思議探検 | グローバルビジネス


by ysbee-2 | 2009-02-13 10:48 | オバマの時代
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世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


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