作家フォーサイス 次の小説はギニアビサウのクーデタ

||| 暗殺とクーデタと作家フォーサイス |||

英国スパイ小説の大家、サー・フレデリック・フォーサイスが明かす次回作
今秋出版の新しい小説は、ギニアビサウ共和国のクーデタ陰謀と大統領暗殺

では昨日の続き「ギニアビサウのクーデタとフレデリック・フォーサイス」の後編を。記事下に今回の暗殺クーデタの舞台となったギニアビサウの歴史を、Wikiから抜粋して一巡。1973年にポルトガルから独立建国以来、現在までの36年間というもの、常に指導者の暗殺とクーデタに明け暮れてきた、いわば赤道直下の戦国時代を体験中の国であることがよくわかります。
【米国時間2009年3月6日『米流時評』ysbee】
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MARCH 6, 2009 | 『米 流 時 評』 | 時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2009年3月6日号

Associated Press | B R E A K I N G
「ギニアビサウの陰謀」フレデリック・フォーサイスが遭遇した暗殺とクーデタ
米国時間 2009年3月5日午前3時24分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

Frederick Forsyth Report: Real-life Assassination
From the vantage point of Coup d'etat and assassination in Guinea-Bissau
MATCH 5, 2009, 3:24 a.m | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
Continued from previous issue |BISSAU, Guinea-Bissau — Forsyth was a Royal Air Force pilot in the late 1950s, then spent 12 years as a foreign correspondent for the Reuters news agency and the BBC. His first attempt at fiction, "The Day of the Jackal," was about a plot to assassinate President Charles de Gaulle of France. Published in 1971, it was an international best-seller.
英国空軍パイロットから国際的小説家へ
英国の作家フレデリック・フォーサイスは、第二次大戦後間もなく1950年代には、英国空軍RAFのパイロットだった。その後除隊してジャーナリストに転身。ロイター通信とBBC放送の海外特派員として、12年の間 世界を股に駈けて取材に飛び歩いた。
彼が書いた最初の小説は『The Day of Jackal/ジャッカルの日』で、当時のフランス大統領シャルル・ドゴールの暗殺を題材にした作品だが、1971年に発売されるや否や、たちまち世界的ベストセラーとなった。(また長年にわたる著述家としての功績に対して、女王陛下からナイトの称号を授かっている。)

10. 'Zangoro' modeled after Equatorial Guinea
In 1974 came "The Dogs of War," set in the fictional nation of "Zangoro," which he said was modeled after the oil-rich Central African dictatorship of Equatorial Guinea, some 1,700 miles southeast of Guinea-Bissau. Forsyth's next novel, which he expects to publish next year, will be set in Guinea-Bissau.
「戦争の犬」は赤道ギニアがモデル
デビューから3年後の1974年に『The Dogs of War/戦争の犬』を発刊。物語の架空の舞台「Zangoro/ザンゴロ」は、石油資源に恵まれた中央アフリカの独裁政権国家、赤道ギニアをモデルにしたと、フォーサイスみずから明らかにしている。赤道ギニアは、今回クーデタのあったギニアビサウの南西1,700マイル(約2,700キロ)にある隣国である。

11. Rumor of financing 1973 attempted coup
Forsyth was long rumored to have financed a 1973 attempted coup in Equatorial Guinea. But he dismissed the claims as "imaginary fantasies" spurred by people who saw him interviewing mercenaries for "The Dogs of War" around the same time.
73年赤道ギニアクーデタの裏の工作者?
『戦争の犬』が発刊されるよりも1年前の1973年、舞台のモデルとなった当の赤道ギニアでは、小説の題材となったクーデタが実際に起きていた。実はフォーサイスがそのクーデタに資金づけをしたのではないかと、長年噂されていたのも事実である。
しかしインタビューでは彼はその疑惑を言下に否定した。そういった「夢物語」は、ちょうど時期を同じくして『戦争の犬』の題材を現地で取材していたフォーサイスが、傭兵を雇ってクーデタを起こしたのではないか?と想像する人々の勝手な妄想に過ぎないと一笑に伏した。

12. Idea, then travel for research and interview
Dressed in khaki pants and a loose white shirt, the sprightly, 70-year-old author said he always works the same way: story idea, then research, travel and interviews with people who have experienced the things he wants to write about. He spent much of his three days in Bissau talking with expatriates.
発想からリサーチの取材旅行へ
今年70才を迎えてもかくしゃくとしたフォーサイスは、ゆったりとした白い麻のシャツとカーキのチノパンという、旅先らしいラフな格好で現れた。
彼が自ら公開する著作法は、長年全く変わらない。先ず第1に物語の発想があり、その対象について綿密に調査する。それから物語の背景となる土地へ出かけ、彼がこれから書こうとしている事件や事柄を現実に体験した現地のひとびとに、直接会って取材する。フォーサイスがギニアビサウに滞在した3日間も、ご他聞にもれず暗殺クーデタにかかわった人物との会話についやされた。

13. Writing a new novel till this fall
At 10 pages a day, he figures it will take him October and November to write the novel. It will be another "international thriller involving the usual mix of forces of law and order, criminality, special forces, U.S. Green Berets, a coup d'etat, and a lot of money," Forsyth said. "But there will be surprises. It's not going to be what you just read about in the news."
今秋まで新しい小説を執筆中
現在フォーサイスが執筆している次の小説は、1日に10ページ位ずつ書き進めているので、脱稿するのは10月か11月になるだろうとみており、その内容について次のように語った。
「新作もまた、司法と警察、国際犯罪、特殊部隊、特に米軍のグリーンベレー、クーデタ、そして巨額の金が渦巻く、おなじみの国際的陰謀を暴く物語だけどね。しかし、今回もあっと驚くような筋書きになっていて、ニュースで読むような尋常な話じゃないことは請け合うよ。」

14. 'Real world is so weird and so scary'
Forsyth's next novel, which he expects to publish next year, will be set in Guinea-Bissau. He said he has stopped inventing fictional places "because the world is so weird and so scary, you might as well use the real ones." He said his vantage point is that he can speak more freely than government officials and see the nation's history "from an outsider's point of view."
現実の世界の方が奇妙で恐ろしい
フォーサイスの次の小説が出版されるのは来年になるが、その背景となる舞台はギニアビサウである。彼は架空の土地を創作するのをやめて、実在の場所を使うようになった経緯をこう語った。
「その理由は、現在では現実の世界の方がよほど不可解で恐ろしい世の中になっているからだよ。今なら誰でも本物の土地を素材に選ぶと思う。」
また取材に際しては、外国人作家としての彼の有利な立場をこう説明する。
「政府の高官であるよりも小説家という肩書きの方が、人々は警戒心を解いて気楽に語ってくれるからね。それと外国人の方がその国を部外者として冷静に観察できるのも、作家としての利点かもしれない。」

15. 'Investigative journalism is like a drug'
Asked if he misses the life of a foreign correspondent, Forsyth said: "Investigative journalism is like a drug. When you write, it's very hard to walk way." "If push comes to shove I could still cover a story. But in Guinea-Bissau, there is no need to exaggerate," he said. "This place is for real."
真相追求ジャーナリズムのジャンキー
かつて海外特派員の記者として活躍した時代が懐かしくなることはあるかと聴くと、フォーサイスはこう答えた。
「Investigative journalism=真相追求ジャーナリズムっていうのは、麻薬のようなもんだよ。それを書いている最中は表沙汰にはできないしね。でもどうしても書きたいという衝動が起きれば、事件を追いかけるかも知れないよ。ただし今回のギニアビサウのクーデタに関しては、実際のストーリーに脚色する必要はないくらいだ。」
そして作家はこう結んだ。「ここではすべての話が、本当に起きたことなんだから。」 <了>
【 米国時間 2009年3月6日 『米流時評』ysbee訳 】


3/05 「事実は小説よりも奇なり」フォーサイスが遭遇したクーデタ
3/04 新自由主義経済の終焉と景気の氷河期
3/03 ウォール街の真冬はいつまで続くのか?
3/02 ウォール街にブリザード!ダウ6千ドル台へ急落
3/01 予告:対訳「ウォーレン・バフェット2009年の託宣」


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歴 史 |ポルトガル植民地時代
1446年 ポルトガルがこの地域一帯の領有を宣言。
1630年 ポルトガルが総督府を設置。
1765年 ビサウに奴隷貿易の拠点が設置される。
1879年 カーボベルデ諸島植民地から分離して単独の植民地となる。
民族主義的集団が形成され、武装蜂起が度々起こる。
1951年 ポルトガルの憲法改正により、植民地から海外州・県(海外の領地)となる。
1956年 アミルカル・カブラルが指導するクレオールのギニア・カーボベルデ独立アフリカ党(PAIGC)による独立・民族解放運動が始まる。
以後、ソビエト連邦やキューバの支援を受けたPAIGCと、アメリカ合衆国の支援を受けたポルトガル軍事政権の間で植民地戦争が続き、戦況はPAIGC優勢で展開する。

1973年9/24 領土掌握のPAIGCが東部マディナ・ド・ボエでギニアビサウ共和国の独立を宣言。
初代大統領には、暗殺されたアミルカルの弟ルイス・カブラルが就任。
1974年4/25 ポルトガルでカーネーション革命が発生し、左派政権が誕生。
以後、ポルトガル新政権とPAIGCとの間で独立交渉が開始される。
1974年9/10 ポルトガル政府により、ギニアビサウ共和国の独立が正式に承認される。
PAIGCはカーボベルデとの統一を目指したが、国内でカーボベルデ系への反感が高まり、
カーボベルデ系ルイス・カブラルが軍事クーデターで失脚したため統一の可能性消える。

1980年 ジョアン・ヴィエイラによるクーデターが発生、革命評議会が全権を掌握する。
1984年 革命評議会に代わり国家評議会が設置され、ヴィエイラが議長に就任する。
建国当初の親東側路線はヴィエイラ政権により親米路線に変更されたが、
国内での治安は悪く、クーデター計画が頻発した。
1990年 ヴィエイラ、複数政党制民主主義への移行を表明。
1993年 クーデター未遂事件が発生。
1994年 建国後初の複数政党制選挙が行われ、ヴィエイラが大統領に当選する。
1998年 クーデターをきっかけに内戦が発生し、避難民30万人がビサウに流入。
1999年 クーデターでヴィエイラ大統領が亡命する。
2000年 クンバ・ヤラが大統領に就任する。
2003年 ヴェリッシモ・セアブラ将軍の無血クーデターでヤラ大統領が辞任・逮捕される。
エンリケ・ホザが臨時大統領に就任。
2004年 セアブラ将軍が死亡したのち、議会選挙でPAIGCが勝利。
カルロス・ゴメス・ジュニオル首相の連立政権樹立。
2005年 ヴィエイラ大統領就任。ジュニオル首相更迭、アリスティデス・ゴメスが新首相。

その一週間後、軍の不満分子による大統領官邸襲撃事件が発生。
反乱軍は撃退されクーデターは未遂に終わる。対策として大統領警護隊を編成。
2009年 1月 ナワイ参謀長が大統領警護隊の解散を命じたため、参謀長暗殺未遂事件が起きる。
3月1日 政府軍司令部爆破で大統領と対立のナワイ参謀長爆殺さる(参謀長2名連続暗殺事件)
3月2日 反乱軍兵士が大統領官邸を襲撃、ヴィエイラ大統領を殺害する。
政府軍は国営ラジオで反乱軍は「孤立した勢力」で鎮圧寸前と発表、軍は憲法遵守と保障。
ゴメス首相とルイス・サンカ国家安保顧問が大統領の死亡確認を発表したが詳細にふれず。
首都には軍部隊が配置され民間ラジオ局を閉鎖した。
現在までビサウに大きな混乱は無いが、軍司令部の建物が爆発で一部破壊された。
(注:黒字部分が今回の暗殺クーデタ事件の概略)

緊急特集 ||| ウォール街の真冬 ||| 経済危機
第1章「ウォール街にブリザード!」 ダウ平均6千ドル台の底値を記録
1. Dow ended at another misery milestone 売りの猛吹雪で悲惨な底値を記録
2. Dow ended at another misery milestone 97年来初めて7千ドルの大台を割る
3. Long term recovery for the great loss 大巾な損失回復には長期を覚悟
4. Zombie bank AIG still draw loans ゾンビーバンクAIGに追加注入金300億ドル
5. HSBC earning dropped 70% in 2008 欧州最大の金融機関HSBCの利益7割減
6. Game-changer: housing market 好転の鍵はハウジング市場に
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8. Recession is exacerbating problems 社会問題の元凶となる深刻な不況
9. Analysts read mostly grim by slide 市場アナリストは一様に暗黒時代を予測
10. Predictable severe financial reports 第2四半期の財務報告:ビジネス厳冬期
11. Next bubble: Credit card sector? 次にはじけるのはクレジットカード業界?
第3章「新自由主義経済の終焉と景気の氷河期」 オバマのマンモス再生予算
12. Mixed signals in different industries 業界によって異なる現況
13. U.S. Dollar, Treasury Bond prices surged 国債と米ドルは急騰
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15. Has it reached to the bottom yet? どこまで続く?不況の猛吹雪
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