G20イブ・サミット開幕前夜の超人オバマ

||| G-20 ロンドンサミット開幕前夜 |||

ブラウン首相、メドベージェフ大統領、胡錦濤総書記、エリザベス女王と会見

たしかに1月20日の就任式の翌日から、連日午前に2本午後3〜4本の重要会議をこなし、しかもその会議や法案は、米国の未来に新しい軌道を敷くための根本的に重要な案件ばかり。もちろん、24時間体制のケーブルニュースチャンネルで逐次報道されるのだが、ホワイトハウスのサイトでも毎日その様子がブログ形式で公開されている。

ホワイトハウス公式ブログ: http://www.whitehouse.gov/blog/

今回のG20サミット出席と、その前後に予定されている各国首脳との直接的外交会談。前述のハワード・ファインマンは、多分そのスケジュールの詳細まで知っていたのだろう。彼もまたオバマの超人的な仕事のこなし方を賞賛し、なかば呆れ「スーパー・プレッツ(超人大統領)」と言うタイトルを捧げた。

準備段階から伝えるロンドンからのライブ中継が待ち遠しくて、今週はずっと早起きである。大統領番の記者達も、憔悴しているかと思いきや、オバマのスーパーパワーが乗り移ったように、終日ライブレポートの画面でまくしたてている。(デモ隊が繰り返すシュプレヒコールの喧噪に負けないように、声を張り上げるせいでもあるのだが)
興奮するのも無理もない。明日の本会議前にすでに英国のブラウン首相、中国の胡錦濤総書記、ロシアのメドベージェフ大統領、そしてバッキンガム宮殿でエリザベス女王と、分刻みのスケジュールで各国元首とオバマとの会談につきあって取材したのだから、今夜は興奮して眠れないだろう。そんな記者団の高揚した気分が伝わる記事が、あらゆるメディアで時々刻々報告されている。

【米国時間2009年4月1日『米流時評』ysbee】
写真上から:1. バンク・オブ・イングランド英国銀行前の広場へ集結した、G20反対の抗議のデモ隊/2. ホワイトハウスのサウスローンで待機する大統領専用ヘリ、マリーンワンへ向かうミシェルとバラク/3. 大統領専用機エアフォース・ワンに搭乗/4. アンドリュース空軍基地から、就任後初のサミットと欧州歴訪に旅立つファーストカップル
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APRIL 1, 2009 | 『米 流 時 評』 | 時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2009年4月1日号

M S N B C N E W S | B R E A K I N G
オバマ、本会議前日にブラウン、メドベージェフ、胡錦濤、エリザベス女王と会見
米国時間 2009年4月1日午後2時51分 | MSNBC・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

Obama, Brown Predict G20 Deal for Recession
President exudes optimism, but France warns against ‘false compromises’
APRIL 1, 2009, 2:51 p.m. | MSNBC News Team — London Report | Translation by ysbee
1. Anticipated summit to fix the crisis
G-20 / LONDON — Global trade is plummeting, protectionism is beginning to make inroads and unemployment is rising. Public anger is also inflamed — protests here Wednesday turned violent in some places. Much-anticipated G-20 London summit begins with a formal dinner later Wednesday before business meetings on Thursday, even as the crisis reaches a critical point.
世界経済危機への解答となるか
G-20ロンドンサミット |グローバル経済は不況の底に転落し、保護貿易主義が鎌首をもたげ、失業率だけがうなぎ上りだ。民衆の怒りもまたあちこちで炎上している。4月に入った初日の水曜、ここロンドンで展開されている抗議行動も、ある場所では警官隊との激しい暴力の応酬となり、怪我人を出す騒ぎとなった。(後続の報道では、ついに死者1名の惨事に)
現在世界が直面している経済危機を乗り越えるために、各方面から待望されていた「ロンドンG20経済緊急サミット」は、明日からの本題のビジネス会議を前に、今夜 女王陛下主催の正式ディナーで開幕する。経済危機が極限に達しようとしている、嵐の前の一服のようだ。

2. Summit to tackle worldwide recession
Doggedly optimistic in the face of doubts, President Barack Obama and British Prime Minister Gordon Brown predicted Thursday's emergency G-20 economic summit would produce a significant global deal to tackle the deepening worldwide recession.
危機克服の具体案を模索するサミット
今回のサミットの成功が疑問視されている中で、世界各国から集まった記者団を前にしたG20前日の共同記者会見の席へ、バラク・オバマ米大統領とゴードン・ブラウン英首相は、二人そろってくったくのない笑顔で現れた。そして両者とも「木曜に開かれるG20経済緊急サミットは、世界規模で深まる不況を克服するために、グローバルなスケールのめざましい施策を生み出すだろう」という希望的観測をもって、サミットの結果を期待していることを明らかにした。

3. Skeptical France and Germany
Others weren't so sure. France warned on Wednesday that neither it nor Germany would agree to "false compromises." Sarkozy is skeptical that soft-pedal a need for tougher financial regulation to curb abuses that contributed to the spreading chaos.
米・英の経済規制と対立するフランスとドイツ
しかし米英以外の参加国は、サミットの成果に対して、それほど期待していないようである。特にフランスのサルコジ大統領は、1日水曜の段階で「フランスもドイツも、誤った施策に対する妥協には同意しかねる」と厳しい警告を発した。
「経済危機の泥沼を助長するだけの、資本家・経営者側の巨額報酬のような悪弊をただすために、財政管理や課税面で以前よりも厳しい規制枠を設ける必要性がある」と主張し、米国内で実行に踏み切ったオバマ大統領。しかしサルコジは、オバマ流のソフトな経済規制対策に関しては、公然と疑問視する批判の声を上げている。

4. Protesters against global crisis by extreme capitalists
And outside the carefully scripted meetings, protesters smashed bank windows and pelted police with eggs and fruit. Thousands surged into London's financial district, blockading the Bank of England and breaking into a branch of the Royal Bank of Scotland.
経済原理主義が招いた階級格差への抗議デモ
綿密に組まれたタイトなスケジュールのサミット本会議をよそに、会場となったロンドン市内では「グローバル経済に破綻を招いた金融資本主体の経済原理主義」に抗議して、警戒態勢を敷く警官隊の列に向かって、デモ隊が卵やフルーツを投げつけ、銀行のウィンドーが破壊された。
1日水曜、ロンドン旧市街の銀行や金融機関が集まったファイナンシャル地区では、数千人の抗議のデモ隊が集結し、終日抗議のシュプレヒコールを上げていたが、たまたま防御用のベニヤ板を張っていなかった RBS ロイヤルスコットランド銀行ロンドンシティ支店の脇のウィンドーが、デモ隊によって粉々に破壊される騒ぎがあった。

5. Absolutely confident on broader consensus
Elsewhere, however, inside the meetings, Obama said differences among the presidents and prime ministers of the Group of 20 rich and emerging countries, were "vastly overstated." "I am absolutely confident that this meeting will reflect enormous consensus about the need to work in concert to deal with these problems," said Obama, making his first major international appearance.
オバマ、問題解決への各国間合意に自信
一方サミットの内部では、大統領として初めての国際的舞台に立ったオバマは、会場のいたるところで次のような主張を力強く繰り返した。
「G20加盟国の間で、問題解決の施策について、裕福な国と発展途上国とでは大きな差異があるという考えは、必要以上に大袈裟に伝えられているにすぎない。こうした問題を解決するには『各国が協調して施策を展開する必要がある』という認識を反映して、今回のサミットが大いなる合意にこぎつけるだろうという観測に関しては、絶対的自信を持っている。」

6. IMF’s $500 billion to help emerging countries
With economic chaos spreading, Brown, the host of the summit, predicted agreement on a coordinated strategy, including a possible $100 billion fund to finance global trade, tighter financial rules and action to support economic growth and job creation. G-20 leaders are also in general agreement on a plan to double the money available to IMF some $500 billion to help emerging countries.
IMFの開発援助資金を500兆円に倍増
経済危機が拡大していく中で、サミットの主催者である英国のブラウン首相は、外交上の協調戦略にもとづいて、最終的な合意にいたるものと予測している。
合意の中には一例として、1千億ドル(約100兆円)のグローバル貿易援助金や、各国間の金融財政管理面での規制枠、また経済成長と新たな職の創成…といった条件が盛り込まれる予定である。G20サミット参加国の元首たちもまた、今年度のIMF予算で途上国対象の開発援助資金を5千億ドル(約500兆円)に倍増する案に、大局的には合意している。

7. Quick diplomacy with top leaders
字数制限のため英文省略
初会談でロシアと中国への訪問旅行を約束
しかしそれ以上の合意に関しては、皆目見当がつかず薮の中である。米国大統領として国際的ステージに初めて登場したオバマは、米国経済と世界に及ぼすその影響力の実績立直しに必死である。
ロンドン到着後、オバマはブラウン首相官邸での会見に直行したあと、ロシアのメドベージェフ大統領、中国の胡錦濤総書記と、たてつづけに初会見の席で会談に臨んだ。その結果、7月にはロシアを、今年後半には中国を訪問という、ふたつの重要な招待旅行が約束された。

8. Stunning renewal of nuclear treaty with Russia
字数制限のため英文省略
ロシアと核非拡散協定の画期的声明
米国とロシア両国の指導者が初めて顔を合わせた両首脳会談で、オバマとメドベージェフ両大統領は、核弾頭の保有数を限定する話し合いをあらためて持つことを明らかにした。
これは、米露二国間では数年ぶりの大きな歩み寄りを示す共同声明であり、オバマが上院議員時代から熱心に進めてきた「gravest threat to humanity=人間性に対する最大の脅威」である核の非拡散運動を、ロシアとも協調して進める体制ができることを意味する、重大な転機である。

9. New global currency called by China
Regarding China, the White House said Obama and Hu agreed to "intensify coordination and cooperation on global economic and financial issues." The administration also announced that it will continue high-level talks with China but reduce the frequency to one meeting a year, instead of two. The first meeting under Obama will be held this summer in the U.S.
中国提案の「新世界通貨」問題
他方ロシアと中国政府は、国際貿易の舞台で米ドルの独裁体制を終わらせる新しい国際基軸通貨の設定を呼びかけているが、この提案が現実案として即座に採用される見込みはほとんどない。
中国に関しての情報では、ホワイトハウスのギブズ広報官からの発表によると、オバマと胡錦濤総書記は「グローバル経済と金融危機問題に関して、緊密な連絡と協調体制で対処する」という合意に達した模様である。オバマ政権はまた、中国との首脳会談は継続して持つが、これまでのブッシュ政権時代の年2回から1回へと回数を減らし、その第1回目の会談は今夏米国で行なわれる予定となった。

10. The First couple visit Buckingham Palace
字数制限のため英文省略
大統領夫妻バッキンガム宮殿を訪問
ロンドン到着当日の1日水曜の夕方、オバマとファーストレディ、ミシェル夫人は、エリザベス女王の謁見を受けるためバッキンガム宮殿へ向かった。宮殿前の沿道には数千人の市民が人波をつくり、大統領専用車が通過する際にはみな手を振って歓迎の気持ちを表した。
バッキンガム宮殿での会見の際には、オバマがエリザベス女王に刻印をほどこしたiPodをプレゼントする、という楽しい話題も生まれた。

11. Musical gift installed in iPod
字数制限のため英文省略
エリザベス女王にiPodで名曲をプレゼント
贈られたiPodには、女王の好きなミュージカルの名曲が数十曲インストールされていた。その中には、アーサー王伝説をもとにした『キャメロット』や、ロンドンが舞台の『マイフェアレディ』のナンバーが含まれていた。オバマ夫妻はそのほかに、ミュージカル『王様と私』の作曲者であるリチャード・ロジャースの希少本の楽譜も、iPodとともに友好のプレゼントととして贈った。
>> 次号へ続く
【 米国時間 2009年4月1日 『米流時評』ysbee訳 】

NBC ニュースビデオ 4/01 ロンドンからライブレポート

In just a few hours, President Barack Obama completed the equivalent of a diplomatic decathlon, squeezing a week's worth of international diplomacy into 12 hours. NBC's Chuck Todd reports.
• Obama meets world leaders |オバマ、世界の首脳と会談
• The first O-M meeting |オバマ・メドベージェフ初会談


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